(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073356
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】裁断機および裁断機のストッパー
(51)【国際特許分類】
B26D 7/26 20060101AFI20230518BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20230518BHJP
B26F 1/44 20060101ALI20230518BHJP
B26D 3/08 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B26D7/26
B26F1/40 B
B26F1/44 Z
B26D3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051564
(22)【出願日】2023-03-28
(62)【分割の表示】P 2021166085の分割
【原出願日】2021-10-08
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】391003048
【氏名又は名称】曙機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(57)【要約】
【課題】異なる刃型の高さや被裁断材の特性などに応じて、可動盤の移動を規制可能なストッパーを提供する。
【解決手段】裁断機100は、断面六角形状であって、3つの対面62A、62B、対面64A、64B、対面66A、66Bの互いの距離間隔L1、L2、L3が互いに異なるストッパー60を備える。刃型50の高さ、被裁断材Pの特性や種類(ハーフカット対象など)などに応じて、ストッパー60を当て板40Bの刃型搭載面40Sに置いたときの高さHを段階的に調整可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定盤と、
固定盤に対して相対的に上下方向に移動可能な可動盤と、
刃型を取り付け可能な前記固定盤または前期可動盤の刃型搭載面に設置され、裁断位置から前記可動盤が前記固定盤へ向けて移動するのを制限するストッパーとを備え、
前記ストッパーが、取り付けられる刃型の高さおよび/または被裁断材の特性に応じて、刃型搭載面からの高さを、少なくとも3段階以上による段階的調整、あるいは連続的調整が可能なように構成されていることを特徴とする裁断機。
【請求項2】
前記ストッパーが、対面の距離間隔が互いに異なる断面2n角形状(nは3以上の整数)を有する棒状部材によって構成され、
取り付けられる刃型の高さおよび/または被裁断材の特性に応じた高さとなるように、前記刃型搭載面に設置されることを特徴とする請求項1に記載の裁断機。
【請求項3】
前記ストッパーが、3つの対面の距離間隔が互いに異なる断面六角形状の棒状部材によって構成されることを特徴とする請求項2に記載の裁断機。
【請求項4】
前記ストッパーが、互いに対向する傾斜面に沿って連続的に相対移動可能な第1、第2の板状部材から成り、平行平面板を形成することを特徴とする請求項1に記載の裁断機。
【請求項5】
前記第1の板状部材が、ねじ込み式ダイヤルと接続され、前記ねじ込み式ダイヤルに対する操作に応じて、前記第2の板状部材に対し相対移動することを特徴とする請求項4に記載の裁断機。
【請求項6】
前記第1および第2の板状部材が、互いに平行であって目盛りを表示したスケールを、同じ側面で互いに向かい合う位置に設けていることを特徴とする請求項4または5に記載の裁断機。
【請求項7】
前記可動盤が、油圧によって駆動制御されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の裁断機。
【請求項8】
対面の距離間隔が互いに異なる断面2n角形状(nは3以上の整数)の棒状部材によって構成され、
刃型の取り付け可能な裁断機の固定盤または可動盤の刃型搭載面に設置され、裁断位置から前記可動盤が前記固定盤へ向けて移動するのを制限するストッパーであって、
取り付けられる刃型の高さおよび/または被裁断材の特性に応じた刃型裁断面からの高さとなるように、前記刃型搭載面に設置可能であることを特徴とする裁断機のストッパー。
【請求項9】
互いに対向する傾斜面に沿って連続的に相対移動可能な第1、第2の板状部材から成り、平行平面板を形成し、
刃型の取り付け可能な裁断機の固定盤または可動盤の刃型搭載面に設置され、裁断位置から前記可動盤が前記固定盤へ向けて移動するのを制限するストッパーであって、
取り付けられる刃型の高さおよび/または被裁断材の特性に応じた刃型裁断面からの高さとなるように、前記第1、第2の棒状部材の互いの相対的位置を調整可能であることを特徴とする裁断機のストッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートやフィルムなどを刃型によって型抜き可能な裁断機に関し、特に、可動盤の移動を規制するストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムや樹脂シートなどの素材を型抜きする裁断機では、固定盤もしくは上下方向に移動可能な可動盤に対し、トムソン刃型などの刃型が設置される。そして、可動盤を固定盤に向けて移動させ、被裁断材を刃型と固定盤との間で挟みこむことによって型抜きする(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、裁断時、刃型が裁断位置から固定盤側へより接近するのを規制するストッパーが、固定盤と可動盤との間に設置される構成が知られている(特許文献2参照)。そこでは、角柱のストッパーを刃型の両側に配置するとともに、シート材などの被裁断材の厚さに応じて刃型の高さより長い高さに定め、刃型の刃先を裁断位置で維持させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-157906号公報
【特許文献2】特開2010-172971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
裁断機による型抜きでは、被裁断材の必要部分を切断する全抜きだけでなく、基材にシール材料を積層させた素材などに対し、ハーフカットの裁断も行われる。また、トムソン刃型も、標準高さ以外の高さをもつ刃型が複数用意されており、さらに、トムソン刃型以外の刃型(鍛造刃型など)も使用されることがある。
【0006】
したがって、異なる刃型の高さや被裁断材の特性などに応じて、可動盤の移動を規制可能なストッパーを提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の裁断機は、固定盤と、固定盤に対して相対的に上下方向に移動可能な可動盤と、刃型を取り付け可能な固定盤または可動盤の刃型搭載面に設置され、裁断位置から可動盤が固定盤へ向けて移動するのを制限するストッパーとを備える。例えば、油圧式裁断機が適用可能である。
【0008】
そして、本発明のストッパーは、取り付けられる刃型の高さ、または被裁断材の特性に応じて、あるいはその両方に応じて、刃型搭載面からの高さを、少なくとも3段階以上によって段階的調整可能であるか、あるいは、連続的調整が可能なように構成されている。ここでの「刃型の高さ」は、通常、ベースの板(例えばベニヤ板)底面から刃先までの高さを表す。また、板の底面に貼られた硬化性のある樹脂板からの高さなども含まれる。
【0009】
本発明の一態様である裁断機のストッパーは、対面の距離間隔が互いに異なる断面2n角形状(nは3以上の整数)の棒状部材によって構成され、刃型の取り付け可能な裁断機の固定盤または可動盤の刃型搭載面に設置され、裁断位置から可動盤が固定盤へ向けて移動するのを制限するストッパーであって、取り付けられる刃型の高さおよび/または被裁断材の特性に応じた刃型裁断面からの高さとなるように、刃型搭載面に設置可能である。
【0010】
ストッパーは、対面の距離間隔が互いに異なる断面2n角形状(nは3以上の整数)を有する棒状部材によって構成され、取り付けられる刃型の高さおよび/または被裁断材の特性に応じた高さとなるように、刃型搭載面に設置可能である。例えば、ストッパーが、3つの対面の距離間隔が互いに異なる断面六角形状の棒状部材によって構成される。
【0011】
また、本発明の他の態様である裁断機のストッパーは、互いに対向する傾斜面に沿って連続的に相対移動可能な第1、第2の板状部材から成り、平行平面板を形成し、刃型の取り付け可能な裁断機の固定盤または可動盤の刃型搭載面に設置され、裁断位置から可動盤が固定盤へ向けて移動するのを制限するストッパーであって、取り付けられる刃型の高さおよび/または被裁断材の特性に応じた刃型裁断面からの高さとなるように、第1、第2の棒状部材の互いの相対的位置を調整可能である。
【0012】
例えば、第1の板状部材が、ねじ込み式ダイヤルと接続され、前記ねじ込み式ダイヤルに対する操作に応じて、前記第2の板状部材に対し相対移動可能なように構成される。また、第1および第2の板状部材が、互いに平行であって目盛りを表示したスケールを、同じ側面で互いに向かい合う位置に設ける構成にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なる刃型の高さや被裁断材の特性などに応じて、可動盤の移動を規制可能なストッパーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態である裁断機を示した概略的平面図である。
【
図3】ストッパーを
図2の矢印A方向から見た一側面図である。
【
図4A】全抜きの場合におけるストッパーの設置状態を示した図である。
【
図4B】ハーフカットの場合におけるストッパーの設置状態を示した図である。
【
図5】第2の実施形態である裁断機のストッパーを側面側から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、第1の実施形態である裁断機を示した概略的平面図である。
【0016】
裁断機100は、固定盤10と可動盤20とを備え、ここでは上方にある固定盤10に対し、下方にある可動盤20が上下方向に移動するように構成されている。また、裁断機100は、油圧式裁断機で構成されている。可動盤20は、図示しない油圧シリンダによって上下方向に往復移動可能であり、図示しない駆動制御機構によって駆動される。可動盤20の上面には裁ち台30が載置され、刃型搭載面となる当て板40Bがその上に設置されている。一方、固定盤10においても、当て板40Aが設置されている。
【0017】
可動盤20の当て板40Bの表面(刃型搭載面)には、被裁断材Pの型抜きを行う刃型50が設置可能である。刃型50では、ベースとなる板材に対して型抜き箇所に合わせた形状をもつ刃が埋め込まれ、刃先までを含め所定の高さに定められている。刃型50は、例えばトムソン刃型で構成される。
【0018】
また、裁断時、刃型50の表面には被裁断材Pが設置される。被裁断材Pとしては、様々な素材が適用可能であり、合成樹脂製シート、樹脂フィルムなどの各種フィルム、セロハン、フェルト、ゴム、ウレタンフォーム、ベニヤ板、あるいはガラス繊維などが適用可能である。刃型50のサイズは、被裁断材Pのサイズに合わせて成形されている。
【0019】
可動盤20は、固定盤10に対し、上下方向とともに水平方向に平行移動可能である。作業者は、固定盤10から離れた位置(ここでは紙面手前側)に搬送させた可動盤20に対し、刃型50を当て板40Bに固定し、被裁断材Pを刃型50に載せる。そして、作業者が操作パネル(図示せず)などに対して操作を行うと、可動盤20は固定盤10の真下に移動した後、あらかじめ定められた裁断位置に向けて上昇する。
【0020】
裁断機100は、ここでは圧抜きによる裁断を行うように構成されている。裁断機100は、可動盤20の固定盤10にかかる圧力を測定するセンサ(図示せず)を備え、設定圧力に達すると可動盤20の上昇を終了させる。また、裁断機100は、可動盤20の上下方向位置を計測する位置センサ(図示せず)を備え、所定位置に達した時に可動盤20の上昇を停止させるリミット抜きを行うこともできる。
【0021】
当て板40Bには、一対のストッパー60が刃型50の両側に設けられている。ストッパー60は、ここでは棒状部材で構成され、可動盤20の搬送方向(紙面垂直方向)に沿って配置されている(なお、ストッパー60が棒状であるため、ストップバーとも言われる)。
【0022】
ストッパー60は、刃型50が裁断位置を超えて固定盤10へ近づくのを規制する部材であり、可動盤20の上昇によってストッパー60が固定盤10の当て板40Aと当接すると、可動盤20の更なる上昇は制限され、裁断位置で停止する。これにより、油圧式である裁断機100において、定められた加圧時間経過するまでの間、可動盤20を裁断位置で位置決めすることが可能となる。加圧時間が経過すると、可動盤20が下降し、先の刃型搭載位置まで移動する。
【0023】
本実施形態では、ストッパー60を当て板40Bへ設置するとき、設置面を変えることによって、ストッパー60の上下方向に沿った高さを変えることができる。以下、これについて詳述する。
【0024】
図2は、ストッパー60を端面側から示した図である。
図3は、ストッパー60を
図2の矢印A方向から見た一側面図である。
【0025】
ストッパー60は、ここではその断面形状が六角形であり、互いに平行な3つの対となる面(以下、対面という)62A、62B、対面64A、64B、対面66A、66Bを形成している。ストッパー60は、各対面の貫通孔62Tにボルトを通すことによって当て板40Bに固定可能である。
【0026】
ここで、対面62A、62Bの距離間隔をL1、対面64A、64Bの距離間隔をL2、対面66A、66Bの距離間隔をL3とすると、距離間隔L1、L2、L3は、互いに相違する。すなわち、ストッパー60の断面形状は、各対面に垂直なライン対して線対称形状ではなく、また、回転対称形状になっていない。ここでは、L3<L1<L2の順で距離間隔が大きい。
【0027】
したがって、ストッパー60の当て板40Bへの設置面が異なると、ストッパー60の高さが相違することになり、3段階で高さ調整可能である。作業者は、ストッパー60の高さを、当て板40Bに搭載される刃型50の高さ、または被裁断材Pの特性や種類、あるいはその両方によって調整することができる。
【0028】
図4Aは、対面62A、62Bの距離間隔L1をストッパー60の高さとするように設置した状態を示した図である。
図4Bは、対面64A、64Bの距離間隔L2をストッパー60の高さとするように設置した状態を示した図である。
【0029】
図4Aでは、全抜きによる裁断が行われるのに従い、ストッパー60は、その表面62Bが当て板40Bの刃型搭載面40Sと接するように固定されている(表面62Aを当て板40Bと接するようにしてもよい)。刃型50には、厚さtの被裁断材Pが搭載されている。ストッパー60の高さH(=L1)は、刃も含めた刃型50の高さH0と同じ長さになっている。
【0030】
そのため、裁断時に可動盤20が上昇してストッパー60が固定盤10の当て板40Aに当接すると、
図4Aに示すように、刃型50の刃先の位置は、当て板40Aの表面位置と一致する。これにより、被裁断材Pにおける必要な切断箇所が全抜きされる。
【0031】
一方、ハーフカットによる裁断を行う場合、
図4Bに示すように、ストッパー60は、表面64Bが当て板40Bの刃型搭載面40Sと接するように固定される(表面64Aを当て板40Bと接するように固定してもよい)。刃型50の上には、基材P2の上にシール材料P1を積層した素材から成る厚さtの被裁断材Pが搭載されている。
【0032】
被裁断材Pの基材P2の厚さをt2、シール材料P1の厚さをt1としたとき、ストッパー60の高さH(=L2)は、刃も含めた刃型50の高さH0と、被裁断材Pの基材P2の厚さt2とを合わせた長さとなっている。そのため、裁断時にストッパー60が固定盤10の当て板40Aに当接したとき、
図4Bに示すように、刃型50の刃先は、被裁断材の基材P2の表面と一致する。これにより、シール材料P1に対してのみ型抜きが行われる、すなわちハーフカットされる。
【0033】
一方、高さH0より低い高さH0’の刃型50が当て板40Bに設置され、全抜き、あるいはハーフカットが行われる場合、ストッパー60は、表面66Bが当て板40Bの刃型搭載面40Sと接するように固定される(表面66Aを当て板40Bと接するように固定してもよい)。これにより、裁断時にストッパー60が固定盤10の当て板40Aに当接したとき、刃型50の刃先が当て板40Aの表面あるいは被裁断材Pの基材P2の表面と一致する。
【0034】
例えば、刃型50がトムソン刃型の場合、対面62A、62Bの距離間隔L1を23.65mm、対面64A、64Bの距離間隔L2を23.70mm、対面66A、66Bの距離間隔L3を23.50mmに定め、断面六角形状のストッパー60を構成することが可能である。刃型50がトムソン刃型の場合、基準となる刃型高さは、通常23.60mmに定められている。
【0035】
例えば、全抜きを行う場合、ストッパー60は、その高さHが距離間隔L3(=23.50mm)となるように、表面66B(又は表面66A)を当て板40Bの刃型搭載面40Sと向かい合わせにして設置される。刃先の一部は当て板40Aと食い込み、型抜きが確実に行われる。
【0036】
一方、薄型フィルムなど、基材に対しシール材料を積層した被裁断材Pの場合、刃先が基材に対して食い込まないハーフカットを行うため、ストッパー60は、その高さHが距離間隔L2(=23.70mm)となるように、表面64B(又は表面64A)を刃型搭載面40Sと向かい合わせになって設置される。これにより、裁断後にシール部分のみを確実に剥がすことができる。
【0037】
また、基材に対し素材を積層させた被裁断材Pに対し、刃先が機材の一部に食い込むハーフカットも行われる。この場合、ストッパー60は、その高さHが距離間隔L1(=23.65mm)となるように、表面62B(又は表面62A)を刃型搭載面40Sと向かい合わせになって設置される。
【0038】
さらに、刃型底面に硬化性の合成樹脂板(いわゆるPP板)などが貼られて刃型50の高さが基準高さに対して調整されている場合、また、刃型50が基準高さよりも低い高さのトムソン刃型が使用される場合、被裁断材Pの厚さが通常と異なる厚さである場合、被裁断材Pの素材に応じて通常とは異なる裁断手法を用いる場合などにおいても、ストッパー60は、刃型の高さや素材の特性(あるいはその両方)に合わせて、その高さHが距離間隔L1~L3いずれかとなるように、刃型搭載面40Sに搭載することができる。
【0039】
例えば、ゴム素材などのように厚みが比較的ある被裁断材Pを全抜きする場合、刃先が被裁断材Pの裏面直前到達前で停止するように、位置センサなどを用いて可動盤20を停止させ、被裁断材Pの弾性力によって全抜きする。このような全抜きに応じた刃型高さに合わせて距離間隔L1~L3いずれかの高さHをもつように、ストッパー60を刃型搭載面40Sに設置させることが可能である。
【0040】
このように本実施形態によれば、裁断機100は、断面六角形状であって、3つの対面62A、62B、対面64A、64B、対面66A、66Bの互いの距離間隔L1、L2、L3が互いに異なるストッパー60を備え、刃型50の高さ、被裁断材Pの特性や種類(ハーフカット対象など)などに応じて、ストッパー60を当て板40Bの刃型搭載面40Sに置いたときの高さHを、段階的に調整することができる。
【0041】
距離間隔L1、L2、L3の長さは、用意されている刃型50の高さ、被裁断材Pの厚さなどに応じて定めればよい。距離間隔L1、L2、L3の大きさは、L3<L1<L2の順に限定されず、様々な断面六角形状のストッパー60を形成することができる。
【0042】
なお、ストッパー60は、刃型50の両側に設置され、両方の高さを一致させる必要がある。しかしながら、距離間隔L1、L2、L3の長さは大きく相違していないため(例えば1mm以下)、誤ってストッパー60を別々の高さで設置する恐れがある。
【0043】
これを防ぐため、3つの対面62A、62B、対面64A、64B、対面66A、66Bに対し、高さの違いを作業者が認識できるインジケータ表示を行うのが良い。例えば、対面それぞれに対して数値刻印を行ってもよい。また、ストッパー60の端部の径を小さくして段差を設け、その箇所に異なるカラーリングといった色付けなどを行ってもよい。対面の塗布などで高さに影響が生じることなく、高さの違いを認識させることができる。
【0044】
本実施形態のストッパー60は、断面六角形状であるが、八角形状、十角形状であってもよい。一般的に、対面の距離間隔が互いに異なる断面2n角形状(nは3以上の整数)であればよい。
【0045】
次に、
図5を用いて第2の実施形態である裁断機のストッパーについて説明する。
図5は、第2の実施形態におけるストッパーの概略的平面図である。
【0046】
ストッパー160は、第1のプレート162、第2のプレート164から成り、互いに相対する傾斜面162S、164Sを有し、平行平面板を形成するように重ねて配置されている。ストッパー160は、第1の実施形態と同様、当て板40Bに対してその長手方向が搬送方向に沿うように配置、固定される。
【0047】
第1のプレート162は、当て板40Bに対して微小角度αだけ傾く傾斜面に沿って、第2のプレート164に対し摺動可能である。また、第1のプレート162の端部には、ねじ込み式ダイヤル166が装着されている。第1のプレート162は、ねじ込み式ダイヤル166に対する操作量に応じた分だけ第2のプレート164の傾斜面164Sに沿って相対移動する。その結果、ストッパー160の高さが変化する。なお、ストッパー160には、当て板40Bのボルト固定箇所に合わせて、移動量を制限するスペース170、180が設けられている。
【0048】
第1のプレート162、第2のプレート164には、同じ側面にスケールS1、S2がそれぞれ設けられている。スケールS1、S2は、互いに平行となるように設置され、スケールS1、S2の相対的な位置ずれ量が確認できるように目盛りが刻まれている。作業者は、所望する高さとなるように、スケールS1、S2の目盛りを確認しながら、ねじ込み式ダイヤル166を回す。ストッパー160は、スケールS1、S2が刃型50とは反対側を向くように当て板40Bに設置するのがよい。
【0049】
このように第2の実施形態によれば、ストッパー160が、平行平面板を形成する第1のプレート162、第2のプレート164で構成されることにより、ストッパー160の高さを連続的に変化させることができる。これにより、様々な刃型50の高さ、被裁断材Pの特性や種類に対処することが可能である。
【0050】
本実施形態では、固定盤10を上方、可動盤20を下方に配置し、可動盤20を固定盤10に向けて上昇させる構成であるが、固定盤を下方側、可動盤を上方側にした裁断機として構成することも可能である。この場合、可動盤に刃型を装着して固定盤に被裁断材を載せ、可動盤を降下させて型抜きさせればよい。ストッパーは、下方の固定盤に設置すればよい。
【0051】
本実施形態では、油圧式裁断機として構成されているが、クランク機構を備え、サーボモータによって駆動させる裁断機によって構成することも可能である。また、プレス打ち抜きなどを行う裁断機などに対し適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 固定盤
20 可動盤
40B 当て板
50 刃型
60、160 ストッパー
100 裁断機