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特開2023-73455ヒト褐色脂肪細胞前駆体の分化を誘導するための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073455
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ヒト褐色脂肪細胞前駆体の分化を誘導するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230518BHJP
   C12N 5/077 20100101ALI20230518BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 31/603 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A61K45/00
C12N5/077 ZNA
A61P3/06
A61P3/10
A61P3/04
A61P3/08
A61K31/603
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056276
(22)【出願日】2023-03-30
(62)【分割の表示】P 2020206597の分割
【原出願日】2015-02-24
(31)【優先権主張番号】61/966,496
(32)【優先日】2014-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516253444
【氏名又は名称】エナジーシス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ビー. ボス
(72)【発明者】
【氏名】ピー. スコット グリックセン
(57)【要約】
【課題】ヒト骨格筋において見出される褐色脂肪細胞前駆細胞から、インビトロおよびインビボで褐色脂肪細胞を動員するための組成物および方法を提供すること。
【解決手段】代謝疾患を処置するための方法も提供される。加えて、低体温症を処置するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、褐色脂肪細胞動員因子は、ヒトタンパク質またはヒトペプチドである。他の実施形態において、褐色脂肪細胞動員因子は、非ヒトタンパク質または非ヒトペプチドであり得る。さらに他の実施形態において、褐色脂肪細胞動員因子は、小分子または天然物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の活性薬剤を含む、代謝障害の治療における使用のための組成物であって、該単一の活性薬剤は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、該代謝障害は、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、および高脂血症のうち1つまたはそれより多くである、組成物。
【請求項2】
前記代謝障害が、高インスリン血症である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記代謝障害が、肥満である、請求項1~2のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記代謝障害が、II型糖尿病である、請求項1~2のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記代謝障害が、インスリン抵抗性である、請求項1~2のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記代謝障害が、高脂血症である、請求項1~2のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
シクロオキシゲナーゼ阻害剤を使用して褐色脂肪生成を促進するエクスビボの方法。
【請求項8】
細胞を前記活性薬剤と接触させる工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞が、ヒト骨格筋から単離された褐色脂肪組織(BAT)前駆細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞がCD34について陽性である、および/または前記細胞がCD31について陰性である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
褐色脂肪生成の促進を必要とする被験体において褐色脂肪生成を促進する方法における使用のための組成物であって、該組成物は、
シクロオキシゲナーゼ阻害剤を含み、
該方法は、
代謝障害を有する被験体の細胞を前記組成物と接触させる工程、および
該接触させる工程の後に、該細胞を該被験体へ移植する工程
を含み、
ここで、該細胞は、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞であり、
該代謝障害は、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患および/またはアルツハイマー病からなる群から選択される、
組成物。
【請求項12】
前記細胞が、CD34について陽性である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記細胞が、CD31について陰性である、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
これは、2014年2月24日に出願された米国仮出願第61/966,496号への優先権および利益を主張し、この開示全体が本明細書中に参照により援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、2型糖尿病、肥満、インスリン抵抗性および脂質異常症などの状態における褐色脂肪細胞および/または褐色脂肪細胞の量の向上に関連する組成物および方法に関連する。とりわけ、本開示は、骨格筋から単離した褐色脂肪組織(BAT)前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を増大させるか、または促進する化合物を同定し、記載する。さらに、本開示は、褐色脂肪細胞分化および/または量の制御に関係する遺伝子産物と相互作用する化合物を同定し、記載する。またさらに、本開示は、2型糖尿病、肥満、インスリン抵抗性および脂質異常症の予防および処置のための化合物の同定および治療的使用のための方法を提供する。本開示は、肥満、2型糖尿病、インスリン抵抗性および脂質異常症などの多様な代謝性疾患の研究、予防および処置のために有用である。
【背景技術】
【0003】
背景
肥満の蔓延は、糖尿病の有病率の増大、高血圧、冠動脈心疾患、がんおよび他の障害に密接に関連する。白色脂肪組織の役割は、脂質を蓄積することであり、これは、肥満に関連する。褐色脂肪組織(「BAT」)の役割は、事実上反対である。これは、脂質燃焼および熱としてのエネルギーの消散に専門化される。実際に、褐色脂肪細胞は、多数のミトコンドリア(この中で細胞内燃焼が生じる)を含み、脱共役タンパク質1(「UCP1」)を独自に発現する。UCP1は、酸化的リン酸化の脱共役体として作用し、これは、エネルギーの熱としての消散をもたらす。交感神経系は、ミトコンドリア発生(mitochondriogenesis)ならびにUCP1の発現および活性を刺激する。げっ歯類におけるBATに関連した熱生成は、低温への曝露の際に増大し(例えば、低体温症を予防する)、または過食の結果として増大し、これは、過剰に吸収された脂肪を燃焼し、体重増加を予防する。BATは、体重増加への感受性を改変すること、および多量のグルコースを消費することによってインスリン感度も改善する。それゆえ、これは、体温、エネルギーバランスおよびグルコース代謝の維持において重要な役割を担う。
【0004】
トランスジェニック動物を用いた実験は、BATの潜在的な抗肥満性質を支持する。例えば、BATの遺伝学的切除は、肥満を引き起こすことが報告されているが、一方でBAT(および/もしくはUCP1発現)の量ならびに/または機能における遺伝学的増大は、報告によれば、痩せてかつ健康的な表現型を促進する。とりわけ、より高い量のBATを有するマウスは、対照マウスよりも低い体重に達し、高いインスリン感度である。最近、マウス筋肉における異所性BAT蓄積が立証され、これは、体重増加およびメタボリックシンドロームからの防御の遺伝学的メカニズムを提供することが示されている。
【0005】
UCP1は、げっ歯類におけるエネルギーバランスの調節における役割を担い、UCP1を発現するBATは、ヒト新生児において存在することが報告されているが、成人ヒトにおいて、生理学的に意義のあるUCP1発現はないと長らく考えられてきた。実際に、UCP1を発現するBATは、一生における早期に消失すると考えられており、成人ヒト
はBATを欠いていると考えられていた。しかしながら最近、数多くの研究が、BATは、実際には、新生児および小児におけるものよりもかなり低いレベルではあるが、ほとんどの成人ヒトにおいて維持されていることを実証している。
【0006】
このように、多様な代謝性疾患(肥満、2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質異常症および1型糖尿病)の研究、予防および処置のために、成体体内においてより多くのBATを供給するためかつ/またはUCP1発現を刺激するための方法を、慎重に同定し、研究する必要性が存在する。
【0007】
出願人らは、例えば、PCT公開番号WO2009151541およびWO2013071063(これら両方の開示全体は、本明細書中に参照により援用される)において、褐色脂肪細胞に分化することのできる、多様な組織内の細胞の存在を以前に同定した。しかしながら、例えば、UCP1遺伝子の発現を誘導すること、インビトロでBAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進すること、インビボでBAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進すること、またはこれらの活性の組み合わせ、が可能な薬剤(例えば、化合物、タンパク質、生物製剤など)についての必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/151541号
【特許文献2】国際公開第2013/071063号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、ヒト骨格筋において見出されるBAT前駆細胞からインビトロおよびインビボで褐色脂肪細胞を動員するかまたは産生するための組成物を提供する。これらの薬剤またはそれらの組み合わせは、インビトロ、インビボまたはその両方で、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進するため、および/またはBAT前駆細胞におけるUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導するために使用することができる。さらに、これらの薬剤は、患者における代謝性疾患(肥満、糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症および他の状態を含むが、これらに限定されない)を処置するために使用することができる。
【0010】
本開示は、部分的に、多様なタンパク質、ペプチドおよび小分子(まとめると薬剤)が、BAT前駆細胞の分化における重要な役割を担うという発見に基づく。特に、本明細書中で開示される多様な薬剤は、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞の成熟した、機能的な褐色脂肪細胞への分化を著しく誘導することが見出された。これらの多様な薬剤のうち1つまたはそれより多くを用いたこれらのBAT前駆細胞の処置は、これらの細胞の褐色脂肪細胞分化への傾倒を引き起こす。いくつかの場合において、脂肪生成培地の導入の前の期間(例えば、2、3時間、1日、2日、3日またはこれより短いかまたはこれより長い)にわたる薬剤を用いた処置は、褐色脂肪細胞分化をもたらす。他の場合において、脂肪生成培地の導入と同時および/または導入後の薬剤を用いた処置は、褐色脂肪細胞分化をもたらす。
【0011】
褐色脂肪組織(BAT)は、エネルギー消費に専門化されるため、本明細書中で記載される薬剤は、肥満および関連障害(糖尿病など)の処置に有用である。この薬剤は、食用動物を含む被験体における脂肪蓄積を減少させるため(例えば、これらから得られた肉の品質を改良するため)にも使用することができる。
【0012】
したがって、1つの態様において、本開示は、被験体を処置する(例えば、ヒトなどの
被験体における脂肪蓄積または体重を減少させる)方法を特徴とする。この方法は、本明細書中で開示される有効量の薬剤または薬剤の組み合わせを被験体に投与する工程を含む。
【0013】
さらなる態様において、本開示は、薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を投与することによって、脂肪蓄積または体重を減少させる必要のある被験体を処置する方法を特徴とし、ここで、該薬剤で活性化された前駆細胞の集団は、褐色脂肪生成を経る。この方法は、必要に応じて脂肪蓄積または体重を減少させる必要のある被験体を同定する工程を含み得る。
【0014】
さらなる態様において、本開示は、被験体(例えば、インスリン抵抗性である被験体)におけるインスリン感度を向上させる方法を含む。この方法は、薬剤および/または薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を被験体に投与する工程を含み、ここで、該薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団は、褐色脂肪生成を経る。この方法は、必要に応じてインスリン感度を向上させる必要のある被験体を同定する工程を含み得る。
【0015】
別の態様において、本開示は、被験体における褐色脂肪組織の機能または成長を調節する(例えば、BAT脂肪生成を促進する)方法を特徴とする。この方法は、薬剤および/または薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を被験体に投与する工程を含み、ここで、該薬剤で活性化された前駆細胞の集団は、褐色脂肪生成を経る。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書中で記載される方法は、薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を被験体に移植する工程を含み得る。この薬剤で活性化された細胞は、直接移植され得るか、または細胞が付着することができる足場、マトリクスもしくは他の移植可能なデバイス(例としては、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、多糖、フィブリン、ゼラチン、自己組織化小ペプチドおよびそれらの組み合わせでできたキャリアが挙げられる)において投与され得る。一般的に、この方法は、被験体において褐色脂肪細胞量の増大を促進する(被験体における褐色脂肪細胞の量を、少なくとも1%、例えば、2%、5%、7%、10%、15%、20%、25%またはこれより多く増大させる)ために十分な数の細胞を含む、薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を移植する工程を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、この方法は、被験体から単離されたBAT前駆細胞を本明細書中で開示される薬剤のうちの1つまたはそれより多くと接触させることによって、被験体におけるBAT脂肪生成のレベルを評価する工程を含む。BAT分化は、例えば脱共役タンパク質(UCP)などのBATマーカー(例えばUCP1発現)、BATの形態学(細胞の視覚的な検査、例えば、顕微鏡検査を使用する)、またはBATの熱力学(例えば、シトクロムオキシダーゼ活性、Na+-K+-ATPアーゼ酵素ユニット、またはBAT熱生成に関係する他の酵素)のいずれかを測定することによって評価することができる。
【0018】
一般的に、被験体は哺乳類であり得る。いくつかの実施形態において、被験体は、ヒト被験体(例えば肥満のヒト被験体)である。いくつかの実施形態において、被験体は、非ヒトの哺乳類(例えば、実験動物、コンパニオンアニマルまたは家畜、例えば、食用に飼育されるウシ、ブタもしくはヒツジ)である。一般的に、タンパク質またはペプチドが、BAT前駆細胞から褐色脂肪細胞を動員するために使用される場合、このタンパク質またはペプチドは、被験体(例えば、ヒト、ネコ、イヌ、ウシ、ブタまたはヒツジ)と同種または関連した種からのものである。このタンパク質またはペプチドは、被験体に対して異種でもあり得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、この方法は、体重、白色脂肪組織蓄積、褐色脂肪組織蓄積、脂肪組織の形態学、インスリンレベル、インスリン代謝、グルコースレベル、熱生成能および低温感度のうち1つまたはそれより多くについて被験体を評価する工程を含む。評価は、薬剤および/または薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の投与の前、間および/または後に行うことができる。例えば、評価は、投与の前および/または後の少なくとも1日、2日、4日、7日、14日、21日、30日またはそれよりも長期もしくはそれよりも短期において行うことができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、この方法は、1回またはそれより多くの追加的なラウンドの、薬剤を用いた処置または薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の移植(例えば、褐色脂肪細胞の量を増大させるため、例えば、被験体における肥満を維持するか、またはさらに低減させるため)を含む。
【0021】
タンパク質またはペプチド薬剤が使用される場合のいくつかの実施形態において、BAT前駆細胞は、増大したレベルのこのようなタンパク質またはペプチドを、安定または一過性のいずれかで発現するように、遺伝学的に操作され得る。細胞は、例えば、培養哺乳類細胞(例えばヒト細胞)であり得る。使用される発現させたリコンビナントタンパク質またはペプチドは、一般的に、BAT前駆細胞と同種または関連した種のものである(例えば、ヒト細胞において発現させたヒトタンパク質またはペプチド)。リコンビナントタンパク質またはペプチドは、BAT前駆細胞に対して異種でもあり得る。
【0022】
さらなる態様において、本開示は、インビトロ、インビボまたはその両方で、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進するため、および/またはBAT前駆細胞においてUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導するための、本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤の使用を提供する。
【0023】
また本明細書中で提供されるのは、過体重、肥満、インスリン抵抗性、糖尿病、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病から選択される1つまたはそれより多くの疾患もしくは状態の処置のための、本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤の使用である。前述の疾患を処置する必要のある被験体に、本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤を投与する工程を含む、前述の疾患を処置するための方法も提供される。
【0024】
さらなる態様は、本明細書中で開示される1つもしくはそれより多くの薬剤および薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤またはキャリアを含む薬学的組成物に関連する。
【0025】
1つの特定の態様は、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞から褐色脂肪細胞を動員するための薬剤の使用に関連し、該薬剤は、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンまたはスピペロンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α-PGF2または9α,11β-PGF2などのプロスタグランジンF2
(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10またはFGF13などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF-1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、
メトホルミンなどのビグアニド、
シグアゾダンなどのPDE3阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤、
リオシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、
b型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、
毛様体神経栄養因子(CNTF)、
インターロイキン6(IL-6)、
オレキシンB、および
グアンファシン塩酸塩などのα2アドレナリン受容体アゴニスト
のうち1つまたはそれより多くから選択される。
【0026】
いくつかの実施形態において、薬剤は、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α-PGF2または9α,11β-PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF-1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、および
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤
のうち1つまたはそれより多くから選択される。
【0027】
ある実施形態において、薬剤は、インビトロ、インビボまたはその両方でBAT前駆細胞においてUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、薬剤は、
(a)以下:ベータ3アドレナリン受容体(β3-AR)、溶質キャリアファミリー2、促進グルコース輸送体メンバー4(SLC2A4)、超長鎖脂肪酸伸長タンパク質3(ELOVL3)、CD36抗原、II型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素(DIO2)、BMP5、BMP6、FGF7、FGF10、FGF13、FGF21、脂肪酸結合タンパク質
7(FABP7)、CXCL12、非定型ケモカイン受容体3(ACKR3)、インスリン様増殖因子結合タンパク質4(IGFBP4)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、アデニル酸シクラーゼ4(ADCY4)、細胞死活性化因子CIDE-A(CIDEA)、分泌型フリッツルド関連タンパク質1(SRFP1)、SRFP2、脳由来神経栄養因子(BDNF)、血管内皮増殖因子D(VEGF-D)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFB2)、cAMP特異的3',5'-サイクリックホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)、cAMP特異的3',5'-サイクリックホスホジエステラーゼ4D(PDE4D)、高親和性cAMP特異的3',5'-サイクリックホスホジエステラーゼ7A(PDE7A)およびcAMP特異的3',5'-サイクリックホスホジエステラーゼ7B(PDE7B)のうち1つまたはそれより多くの増大または減少を引き起こすこと、
(b)褐色脂肪組織および/または骨格筋組織における熱生成の増大を引き起こすこと、(c)骨格筋、白色脂肪組織または肝臓のインスリン感度の増大を引き起こすこと、
(d)グルコース寛容の増大を引き起こすこと、
(e)基礎呼吸、最大呼吸速度または非共役呼吸(uncoupled respiration)の増大を引き起こすこと、
(f)代謝速度の増大を引き起こすこと、および
(g)肝脂肪変性の減少を引き起こすこと
からなる群より選択される1つまたはそれより多くの生物学的活性を有し得る。
【0029】
ある実施形態において、薬剤は、以下:ベータ3アドレナリン受容体(β3-AR)、溶質キャリアファミリー2、促進グルコース輸送体メンバー4(SLC2A4)、超長鎖脂肪酸伸長タンパク質3(ELOVL3)、CD36抗原およびII型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素(DIO2)のうち1つまたはそれより多くの増大または減少を引き起こし得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、薬剤は、被験体における代謝応答を調節すること、または被験体における代謝障害を予防もしくは処置することができる。いくつかの実施形態において、この代謝障害は、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病のうち1つまたはそれより多くであり得る。
【0031】
別の態様は、褐色脂肪生成の促進を必要とする被験体において、褐色脂肪生成を促進する方法に関連し、この方法は、本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤から選択される薬剤を、被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態における方法は、被験体における代謝応答を調節することおよび/または被験体における代謝障害を予防または処置することをさらに含み得る。この代謝障害は、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病のうち1つまたはそれより多くであり得る。ある実施形態において、この方法は、被験体の細胞を薬剤と接触させる工程、および必要に応じて該接触工程の後に該細胞の該被験体への移植工程をさらに含む。いくつかの実施形態における細胞は、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞であり得る。細胞は、CD34について陽性かつ/またはCD31について陰性であり得る。
【0032】
別段定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門的用語および科学的用語は、この開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。方法および材料が、本開示における使用のために本明細書中で記載され、当該分野において公知の他の適切な方法および材料も使用することができる。材料、方法および実施例は、単なる実例であり、限定されることを意図しない。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、データベース登録および他の参考文献は、それらの全体が参照によって援用される。矛盾の場合において、定義を含め、本明細書が支配する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞から褐色脂肪細胞を動員するための薬剤の使用であって、該薬剤は、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンまたはスピペロンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α-PGF2または9α,11β-PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10またはFGF13などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF-1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、
メトホルミンなどのビグアニド、
シグアゾダンなどのPDE3阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤、
リオシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、
b型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、
毛様体神経栄養因子(CNTF)、
インターロイキン6(IL-6)、
オレキシンB、および
グアンファシン塩酸塩などのα2アドレナリン受容体アゴニスト
のうち1つまたはそれより多くから選択される、使用。
(項目2)
前記薬剤が、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α-PGF2または9α,11β-PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF-1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、および
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤
のうち1つまたはそれより多くから選択される、項目1に記載の使用。
(項目3)
前記薬剤が、インビトロ、インビボまたはその両方で、前記BAT前駆細胞においてUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導することができる、項目1または2に記載の使用。
(項目4)
前記薬剤が、
(a)以下:ベータ3アドレナリン受容体(β3-AR)、溶質キャリアファミリー2、促進グルコース輸送体メンバー4(SLC2A4)、超長鎖脂肪酸伸長タンパク質3(ELOVL3)、CD36抗原、II型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素(DIO2)、BMP5、BMP6、FGF7、FGF10、FGF13、FGF21、脂肪酸結合タンパク質7(FABP7)、CXCL12、非定型ケモカイン受容体3(ACKR3)、インスリン様増殖因子結合タンパク質4(IGFBP4)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、アデニル酸シクラーゼ4(ADCY4)、細胞死活性化因子CIDE-A(CIDEA)、分泌型フリッツルド関連タンパク質1(SRFP1)、SRFP2、脳由来神経栄養因子(BDNF)、血管内皮増殖因子D(VEGF-D)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFB2)、cAMP特異的3',5'-サイクリックホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)、cAMP特異的3',5'-サイクリックホスホジエステラーゼ4D(PDE4D)、高親和性cAMP特異的3',5'-サイクリックホスホジエステラーゼ7A(PDE7A)およびcAMP特異的3',5'-サイクリックホスホジエステラーゼ7B(PDE7B)のうち1つまたはそれより多くの増大または減少を引き起こすこと、
(b)褐色脂肪組織および/または骨格筋組織における熱生成の増大を引き起こすこと、(c)骨格筋、白色脂肪組織または肝臓のインスリン感度の増大を引き起こすこと、
(d)グルコース寛容の増大を引き起こすこと、
(e)基礎呼吸、最大呼吸速度または非共役呼吸の増大を引き起こすこと、
(f)代謝速度の増大を引き起こすこと、および
(g)肝脂肪変性の減少を引き起こすこと
からなる群より選択される1つまたはそれより多くの生物学的活性を有する、項目1または2に記載の使用。
(項目5)
前記薬剤が、以下:ベータ3アドレナリン受容体(β3-AR)、溶質キャリアファミリー2、促進グルコース輸送体メンバー4(SLC2A4)、超長鎖脂肪酸伸長タンパク質3(ELOVL3)、CD36抗原およびII型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素(DIO2)のうち1つまたはそれより多くの増大または減少を引き起こす、項目4に記載の使用。
(項目6)
前記薬剤が、被験体における代謝応答を調節すること、または被験体における代謝障害を予防することもしくは処置することができる、項目1または2に記載の使用。
(項目7)
前記代謝障害が、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病のうち1つまたはそれより多くである、項目6に記載の方法。
(項目8)
褐色脂肪生成を必要とする被験体において褐色脂肪生成を促進するための方法であって、該方法は、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンまたはスピペロンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β、11α-PGF2または9α、11β-PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10またはFGF13などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF-1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、
メトホルミンなどのビグアニド、
シグアゾダンなどのPDE3阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤、
リオシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、
b型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、
毛様体神経栄養因子(CNTF)、
インターロイキン6(IL-6)、
オレキシンB、および
グアンファシン塩酸塩などのα2アドレナリン受容体アゴニスト
のうち1つまたはそれより多くから選択される薬剤を該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目9)
前記薬剤が、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α-PGF2または9α,11β-PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF-1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、および
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤
のうち1つまたはそれより多くから選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記被験体における代謝応答を調節する工程および/または前記被験体における代謝障害を予防もしくは処置する工程をさらに含む、項目8または9に記載の方法。
(項目11)
前記代謝障害が、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病のうち1つまたはそれより多くである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記被験体の細胞を前記薬剤と接触させる工程をさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目13)
前記接触させる工程の後に、前記細胞を前記被験体へ移植する工程をさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記細胞が、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞である、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記細胞が、CD34について陽性である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記細胞が、CD31について陰性である、項目14に記載の方法。
(項目17)
被験体における低体温症を予防する方法であって、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンまたはスピペロンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α-PGF2または9α,11β-PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10またはFGF13などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF-1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、
メトホルミンなどのビグアニド、
シグアゾダンなどのPDE3阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤、
リオシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、
b型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、
毛様体神経栄養因子(CNTF)、
インターロイキン6(IL-6)、
オレキシンB、および
グアンファシン塩酸塩などのα2アドレナリン受容体アゴニスト
のうち1つまたはそれより多くから選択される薬剤を該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目18)
前記薬剤が、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α-PGF2または9α,11β-PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF-1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、および
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤
のうち1つまたはそれより多くから選択される、項目17に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、PPARγ2 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図2図2は、PPARγ2 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図3図3は、UCP1 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図4図4は、UCP1 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図5図5は、PPARγ2 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図6図6は、PPARγ2 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図7図7は、PPARγ2 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図8図8は、PPARγ2 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図9図9は、UCP1 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図10図10は、UCP1 mRNAの発現に対するFGF7およびFGF10(両方とも100nM、-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図11図11は、PPARγ2 mRNAの発現に対するFGF7およびFGF10(両方とも100nM、-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図12図12は、UCP1 mRNAの発現に対するFGF7(1nM、d0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。ロシグリタゾン(rosi、1μM)、骨形成タンパク質7(bmp7、6nM)またはrosiとbmp7との両方を、-3日からd0に当該細胞と共にインキュベートした。
図13図13は、PPARγ2 mRNAの発現に対するFGF7(1nM、d0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。ロシグリタゾン(rosi、1μM)、骨形成タンパク質7(bmp7、6nM)またはrosiとbmp7との両方を、-3日からd0に当該細胞と共にインキュベートした。
図14図14は、UCP1 mRNAの発現に対するFGF10(10nM、-3日からd0に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。ロシグリタゾン(rosi、1μM)、骨形成タンパク質7(bmp7、6nM)またはrosiとbmp7との両方を、-3日からd0に当該細胞と共にインキュベートした。
図15図15は、PPARγ2 mRNAの発現に対するFGF10(10nM、-3日からd0に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。ロシグリタゾン(rosi、1μM)、骨形成タンパク質7(bmp7、6nM)またはrosiとbmp7との両方を、-3日からd0に当該細胞と共にインキュベートした。
図16図16は、UCP1 mRNAの発現に対するFGF7(1nM、d0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)またはFGF10(10nM、-3日からd0に、当該細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。ロシグリタゾン(rosi、1μM)、骨形成タンパク質7(bmp7、6nM)またはrosiとbmp7との両方を、-3日からd0に当該細胞と共にインキュベートした。
図17図17は、PPARγ2 mRNAの発現に対するFGF7(1nM、d0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)またはFGF10(10nM、-3日からd0に、当該細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。ロシグリタゾン(rosi、1μM)、骨形成タンパク質7(bmp7、6nM)またはrosiとbmp7との両方を、-3日からd0に当該細胞と共にインキュベートした。
図18図18は、PPARγ2 mRNAの発現に対する多様な薬剤(-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図19図19は、UCP1 mRNAの発現についての多様な薬剤(-3日からd0およびd0からd3に、褐色脂肪細胞前駆細胞と共にインキュベートした)の効果を示す。
図20ABC図20A~20Cは、UCP1タンパク質発現(FITC、緑)および細胞核数(DAPI、青)についての免疫組織化学(IHC)アッセイ結果を図示する蛍光顕微鏡画像を示す。ロシグリタゾン(1μM)への曝露後最小分化培地(MDM)において8日間にわたって分化させたCD31-細胞は、高レベルのUCP1を発現する褐色脂肪細胞に大いに分化するが(図20A)、一方でロシグリタゾンに曝露しなかった細胞は、かなり低いレベルの分化およびUCP1発現を示す(図20B)。増殖培地(EGM-2)中で維持された細胞は、分化せず、UCP1を発現しない(図20C)。
図21図21は、多様な条件(rosiおよびBMP-7を-3日からd0まで使用した)において、褐色脂肪細胞前駆細胞を誘導して9日間の培養で分化させた後のBODIPY 500/510 C1,C12蛍光シグナルを示す。
図22図22は、細胞内脂肪滴形成についてのBODIPYアッセイの結果を図示する蛍光顕微鏡を示す(BODIPY 500/510 C1,C12、緑)。CD31-細胞は、3日間(-3日から0日)にわたるロシグリタゾン(1μM)への曝露後、最小分化培地(MDM)において8日間で分化した。
図23ABC図23A~23Hは、CD31-細胞および褐色脂肪細胞形成を促進する数種の薬剤を用いた処理後に結果として生じる褐色脂肪細胞分化の光学顕微鏡写真を示す。図23A:ビヒクル(DMSO)。図23B:ロシグリタゾン。図23C:BMP7。図23D:ジフルニサル。図23E:シロシンゴピン。図23F:ケンフェロール。図23G:プロベネシド。図23H:チアプリド。
図23DEF】同上。
図23GH】同上。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
本明細書中で使用される場合、「薬剤で活性化された」は、BAT前駆細胞(複数可)が、本明細書中に記載されるような1つまたはそれより多くの薬剤を用いて処置され、褐色脂肪細胞に分化することに、少なくとも部分的に傾倒されることを意味する。細胞は、自家、同種異系または異種であり得る。「褐色脂肪生成」は、インビボ、インビトロまたは部分的にインビボおよび部分的にインビトロでのBAT前駆細胞からの褐色脂肪細胞の生成を意味する。褐色脂肪生成は誘導され得る、すなわち、例えば本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤による誘導の前の所謂「BAT前駆細胞」は、褐色脂肪細胞への分化に必ずしも傾倒される必要はなく、幹細胞または体細胞から褐色脂肪細胞へリプログラミングまたは分化転換され得ることを特記すべきである。「褐色脂肪細胞を動員する」は、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進もしくは向上させること、ならびに/またはインビボおよび/もしくはインビトロで褐色脂肪細胞の量もしくは濃度を増大させることを意味する。
【0035】
本明細書中で提供されるのは、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進することができ、かつ/またはインビトロ、インビボもしくはその両方でUCP1遺伝子の発現を誘導することのできる薬剤(例えば、化合物、タンパク質、生物製剤など)である。このような薬剤は、化合物、タンパク質、生物製剤などをスクリーニングすることによって同定することができる。例えば、いくつかの実施形態において、BAT前駆細胞(例えばヒト骨格筋から単離された細胞)は、UCP1遺伝子の発現および/またはBAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を誘導する能力についての薬剤をスクリーニングするために使用することができる。この態様で同定された薬剤は、多様な研究目的、診断目的および治療目的(例えば、肥満、2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質異常症などの代謝疾患の処置が挙げられる)のために使用することができる。いくつかの実施形態において、本開示にしたがうアッセイによって同定された薬剤は、その物理化学的性質および/または薬物動態学的性質の改良のために最適化される。
【0036】
インビトロならびにインビボでのBAT前駆細胞におけるUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/またはCOX IVの発現は、本開示において提供される方法にしたがい向上され得る。いくつかの実施形態において、脂肪生成培地への曝露は、BAT前駆細胞におけるUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/またはCOX IVの発現増大を刺激するために使用され得る。
【0037】
したがって、いくつかの実施形態において、以下の薬剤:PDE3阻害剤(例えばシグアゾダン)、PDE4阻害剤(例えばロリプラム)、9β,11α-プロスタグランジンF2または9α,11β-プロスタグランジンF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、55aa(aa25~79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP、ADCYAP1、UniProt P18509)遺伝子に由来するペプチド(例えば一部)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、オレアノール酸などのTGR5アゴニスト、BMP-7、ケンフェロール(KMP、CAS番号520-18-3)などのフラボノイド、リオシグアト(BAY 63-2521、CAS 625115-55-1)などの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、線維芽細胞増殖因子(FGF7(線維芽細胞増殖因子7、KGF、ケラチノサイト増殖因子)、FGF10(線維芽細胞増殖因子10、KGF-2、ケラチノサイト増殖因子2)またはFGF13(線維芽細胞増殖因子13)など)、BNP(b型ナトリウム利尿ペプチド)、メントールまたはイシリンなどのTRPM8(CMRI)リガンド、カエル由来などのボンベシンペプチド(UniProt P84214)、CNTF(毛様体神経栄養因子、UniProt P05231)、インターロイキン6(IL-6)、オレキシンB、SDF-1γ(CXCL12)またはグアンファシン塩酸塩、またはこれらの組み合わせは、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進するため、および/またはインビトロ、インビボまたはその両方でBAT前駆細胞においてUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導するために使用することができる。
【0038】
さらに、他の実施形態において、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進するため、および/またはUCP1の発現を誘導するために使用することができる追加の薬剤またはそれらの組み合わせとしては、プロスタグランジンJ2(PGJ2)、24(S)-ヒドロキシコレステロール、1,25-ジヒドロキシビタミンD3または24,25-ジヒドロキシビタミンD3などのビタミンDの形態およびジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0039】
さらに他の実施形態において、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進するため、および/またはUCP1の発現を誘導するために使用することができる追加の薬剤またはそれらの組み合わせとしては、BMP5(骨形成タンパク質5、UniProt P22003)およびBMP6(骨形成タンパク質6、UniProt P22004)などの骨形成タンパク質、血小板由来増殖因子受容体様タンパク質(PDGFRL、UniProt Q15198)、血管内皮増殖因子D(VEGF-D、FIGF、UniProt O43915)、CYTL1(サイトカイン様タンパク質1、UniProt Q9NRR1)、SCG2(セクレトグラニン2、UniProt P13521)、NPTX2(神経ペントラキシン2、UniProt P47972)、OLFML2B (オルファクトメジン様タンパク質2B、UniProt Q68BL8)、TFPI2(組織因子経路インヒビター2、UniProt P48307)、IFNE(インターフェロンイプシロン、UniProt Q86WN2)、プロスタグランジンF2などのプロスタグランジンF2-α受容体(PTGFR、プロスタノイドFP受容体、UniProt P43088)リガンド、CNTF(毛様体神経栄養因子)、インターロイキン6(IL-6、UniProt P05231)、インターロイキン15(IL-15、UniProt P40933)、CXCL12((ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド12)、ストロマ細胞由来因子1、SDF1、UniProt P48061アイソフォームSDF-1g/UniProt P48061-3)および/またはSDF1(CXCL12)などの非定型ケモカイン受容体3のリガンド(ACKR3、CMKOR1、CXCR7、GPR159、RDC1、UniProt P25106)が挙げられる。
【0040】
またさらなる実施形態において、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進するため、および/またはUCP1の発現を誘導するために使用することができる他の薬剤またはそれらの組み合わせとしては、メトホルミンなどのビグアニド、ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、チアプリド塩酸塩、スピペロン、チエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、コルヒチンなどの微小管調節剤、レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、プロベネシド、またはフェロジピンなどのカルシウムチャネルアンタゴニストが挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態において、本明細書で示される1つの薬剤または薬剤の組み合わせを用いた被験体(ヒト被験体を含む)の処置は、この被験体の骨格筋におけるUCP1 mRNAまたはタンパク質の産生の増大をもたらす。例えば、いくつかの実施形態において、ロシグリタゾンを用いた被験体の処置は、骨格筋における褐色脂肪細胞の出現または分化を誘導するか、骨格筋内または骨格筋付近(骨格筋組織の表面および/または隣接した筋線維の間)に存在する褐色脂肪細胞におけるUCP1遺伝子の発現を向上させるか、またはその両方が可能である。いくつかの実施形態において、骨格筋における褐色脂肪細胞の出現または分化は、代謝疾患に罹患した被験体において誘導され得る。褐色脂肪細胞は、高いミトコンドリア性呼吸および細胞内呼吸および脂肪酸酸化速度によってグルコースシンク(glucose sink)を提供し得、熱としてエネルギーを消散させる(非共役型酸化的リン酸化)。被験体の代謝速度は、向上させることができ、体重の減少は、誘導することができる。褐色脂肪細胞の出現または分化の誘導は、インスリン感度、血中グルコース恒常性および心血管疾患危険因子の改善ももたらし得る。褐色脂肪細胞は、健常エネルギーバランスおよび低い体脂肪レベル、増大したインスリン感度および改善された血中グルコース恒常性または心血管健康に到達することに寄与する因子を、更に分泌し得る。
【0042】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書中で開示される薬剤またはそれらの組み合わせは、被験体(ヒト被験体を含む)の処置のために使用することができる。いくつかの態様において、これらの薬剤は、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進し得る。他の態様において、これらの薬剤は、インビトロ、インビボまたはその両方でBAT前駆細胞におけるUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導し得る。
【0043】
いくつかの態様において、処置される代謝疾患は、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病であり得る。
【0044】
他の実施形態において、薬剤は、単離された自家のBAT前駆細胞を活性化させるために使用され得、当該細胞は次いで被験体(ヒト被験体を含む)の処置のために使用される。
【実施例0045】
分子経路の解明
CD31-前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化および/またはUCP1の発現の誘導における役割を担う分子経路を解明するために、遺伝子チップ研究を行った。CD31-細胞を、WO2013071063(本明細書中に参照により援用される)において以前に記載したように、ヒト骨格筋生検から単離し、2つの研究において使用した:(1)cAMP研究:CD31-細胞を、ビヒクル(対照1サンプル)またはcAMP(cAMPサンプル)の添加を加えて(対照)、WO2013071063(本明細書中に参照により援用される)において記載されるように分化させた、および(2)ロシグリタゾン研究:ロシグリタゾンを脂肪生成培地(対照2サンプル)から除外することを除き、WO2013071063において以前に記載したように、CD31-細胞を分化させた。ロシグリタゾンは、本研究における第2のサンプル(ロシグリタゾンサンプル)のみに添加した。上記で議論したように、これらの薬剤は、CD31-細胞の褐色脂肪細胞への分化およびUCP1の発現を促進することが示されている。
【0046】
総RNAをこれらのサンプルから精製し、転写プロファイルをIllumina Human WG-6 BeadChip(Expression Analysis,Inc.、Durham、NC)を用いて評価した。結果を、Ingenuity Pathway Analysis 7.0(試用版)を用いて解析した。これらの結果を使用して、どの分子経路が、CD31-細胞の褐色脂肪細胞への分化に関係するか、およびより重要なことに、どの分子標的を、褐色脂肪細胞の出現およびUCP1の発現を促進する薬剤の開発のために使用することができるかを決定した。
【0047】
この取り組みに基づき、以下のメカニズムおよび薬剤:PPARγリガンド(例えばロシグリタゾン)、PDE3阻害剤(例えばシグアゾダン)、PDE4阻害剤(例えばロリプラム)、BMP7(骨形成タンパク質7、UniProt P18075)、BMP5(骨形成タンパク質5、UniProt P22003)、BMP6(骨形成タンパク質6、UniProt P22004)、FGF7(線維芽細胞増殖因子7、KGF、ケラチノサイト増殖因子)、FGF10(線維芽細胞増殖因子10、KGF-2、ケラチノサイト増殖因子2)、BNP(b型ナトリウム利尿ペプチド)、FGF13(線維芽細胞増殖因子13)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤(例えばリオシグアト(BAY 63-2521、CAS 625115-55-1)、TRPM8(CMRI)リガンド(例えばメントール、イシリン)、血小板由来増殖因子受容体様タンパク質(PDGFRL、UniProt Q15198)、血管内皮増殖因子D(VEGF-D、FIGF、UniProt O43915)、CYTL1(サイトカイン様タンパク質1、UniProt Q9NRR1)、SCG2(セクレトグラニン2、UniProt P13521)、NPTX2(神経ペントラキシン2、UniProt P47972)、OLFML2B(オルファクトメジン様タンパク質2B、UniProt Q68BL8)、TFPI2(組織因子経路インヒビター2、UniProt P48307)、IFNE(インターフェロンイプシロン、UniProt Q86WN2)およびプロスタグランジンF2などのプロスタグランジンF2-α受容体(PTGFR、プロスタノイドFP受容体、UniProt P43088)リガンドは、BAT前駆細胞からの褐色脂肪細胞成長を促進することが見出された。遺伝子チップデータに基づきBAT前駆細胞からの褐色脂肪細胞成長を促進することが見出された、さらに他のメカニズム/薬剤としては、:55aa(aa25-79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP、ADCYAP1、UniProt P18509)遺伝子に由来するペプチド(200nM~2μM)、CNTF(毛様体神経栄養因子)、インターロイキン6(IL-6、UniProt P05231)、インターロイキン15(IL-15、UniProt P40933)、CXCL12(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド12)、ストロマ細胞由来因子1(SDF1、UniProt P48061)アイソフォームSDF-1g/UniProt P48061-3)および/またはSDF1(CXCL12)などの非定型ケモカイン受容体3(ACKR3、CMKOR1、CXCR7、GPR159、RDC1、UniProt P25106)のリガンドが挙げられる。
【0048】
ヒトUCP1 mRNAの可能性のあるモジュレーターのスクリーニング
CD31-細胞は、これらの細胞の褐色脂肪細胞への分化を誘導するか、またはUCP1の発現を調節する薬剤(例えば、化合物、タンパク質、生物製剤など)を同定するためのツールとして使用することができる。例えば、RT-PCRに基づく方法は、ある薬剤によって影響され得るUCP1 mRNAレベルを測定するために使用することができる。
【0049】
これは、CD31-細胞の褐色脂肪細胞への分化、ならびに/またはUCP1遺伝子の転写を向上させることおよび/もしくはUCP1転写産物を安定化させることによって、UCP1の発現を向上させることができる薬剤の同定を可能にする。
【0050】
例えば、ロシグリタゾンのようなPPARγリガンドは、CD31-前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進させるために使用することができる(図1~19、20A、21、
22)。別の例は、リコンビナントタンパク質、ヒトBMP-7の使用である(図1~19、21)。
【0051】
褐色脂肪細胞マーカーUCP1、脂肪細胞マーカーPPARγ2および内部対照として使用される「ハウスキーピング」遺伝子シクロフィリンAに対応するmRNA種を同時に定量することによる、WO2013071063において以前に開示され、本明細書中に参照により援用される確固とした方法を、褐色脂肪細胞へのCD31-細胞分化の検出のために使用した。
【0052】
この方法は、CD31-細胞の褐色脂肪細胞への分化を向上させる薬剤を同定するための、多数のサンプルの解析を可能にする。褐色脂肪細胞へ分化した場合、CD31-細胞は、特定のレベルのシクロフィリンAに対してかなり高いレベルのUCP1およびPPARγ2 mRNAを発現する。シクロフィリンA mRNAレベルに対して正規化したUCP1 mRNAレベルおよびPPARγ2 mRNAレベルは、サンプル中の細胞の総数に依存することなく、CD31-細胞の褐色脂肪細胞への分化のレベルの指標を与える。
【0053】
したがって、マルチプレックスTaqManリアルタイムPCRによるUCP1、PPARγ2およびシクロフィリンA mRNAの定量を、CD31-細胞の褐色脂肪細胞への分化を定量するために使用した。
【0054】
この方法を使用して、以下の薬剤:ロシグリタゾンのようなPPARγリガンド、シグアゾダンのようなPDE3阻害剤、ロリプラムのようなPDE4阻害剤、9β,11α-プロスタグランジンF2のようなプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、55aa(aa25-79)のPACAPプロペプチドのような下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP、ADCYAP1、UniProt P18509)遺伝子に由来するペプチド、BDNF(脳由来神経栄養因子)、オレアノール酸のようなTGR5アゴニスト、BMP-7、ケンフェロール(KMP、CAS番号520-18-3)、リオシグアト(BAY 63-2521、CAS 625115-55-1)のような可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、FGF7(線維芽細胞増殖因子7、KGF、ケラチノサイト増殖因子)、FGF10(線維芽細胞増殖因子10、KGF-2、ケラチノサイト増殖因子2)、BNP(b型ナトリウム利尿ペプチド)、メントールまたはイシリンのようなTRPM8(CMRI)リガンド、ボンベシン、CNTF(毛様体神経栄養因子)、インターロイキン6(IL-6)、オレキシンB、SDF-1γ(CXCL12)およびFGF13(線維芽細胞増殖因子13)が、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進すること、ならびに/またはインビトロ、インビボもしくはその両方でBAT前駆細胞におけるUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC-1αおよび/もしくはCOX IVの発現を誘導することが同定または確認された。
【0055】
別途指示される場合を除き、分析グレードまたは分子生物学グレードの全ての有機薬品および無機薬品は、Sigma Chemical Co.(St Louis、MI)、Life Technologies(Grand Island、NY)、GenScript、Prospec、LifeTein、AnaSpecから購入した。ロシグリタゾンは、Cayman Chemical(#71742)から購入し、リコンビナントヒトBMP7(rhBMP7)は、R&D Systems(100μg/ml、6.3μM、#354-BP-010)からである。
【0056】
細胞培養
細胞を0.2%ゼラチンコートプレート(48ウェル組織培養、Chemglass#CLS-3500-048)に1cmあたり10,000個で播き、内皮細胞増殖培地2(EGM2)(BulletKit増殖培地、Lonza#CC-3162)中で37℃でコンフルエントまで(2~4日)および分化まで(10~16日多い)培養した。EGM2培地における2日または3日後、この培地を脂肪生成培地(これは、Rodriguez et al.[21]によって記載された脂肪生成培地の改変であり、分化誘導薬剤(例えばPPARγアゴニスト)を含み得るか、または含まない可能性がある)で置換することによって、細胞を誘導して分化させた。上に記載されたMDMは、DMEM/HamのF-12 50/50ミックス(3.151g/l、17.5mM D-グルコース、3.651g/l L-グルタミン)(Cellgro#10-090-CV)、5μg/ml(0.86μM)インスリン、1μMデキサメタゾン、100μM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン、0.2nM 3,3',5-トリヨード-L-チロニン、10μg/ml(127nM)トランスフェリンおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含む。ロシグリタゾンが分化誘導薬剤として使用される場合、これは、1μMまたはBAT前駆細胞の脂肪細胞への分化を誘導するために十分な任意の他の濃度で供給され得る。
【0057】
細胞増加研究のために、EGM2培地のみで増殖させたコンフルエント細胞を、37℃で3~5分間のトリプシン-EDTAを用いた処理によって剥がし、次いで1:3または1:4に分け、上に記載されるように培養した。
【0058】
定量逆転写リアルタイムPCRによるUCP1およびPPARγ2 mRNAの定量
総RNAを、PureLink RNA Isolation Kit(Invitrogen#12183-016)を使用して細胞から調製し、第1鎖cDNAを、High Capacity cDNA Reverse Transcription kit(Applied Biosystems、Foster City、CA)およびランダムプライマーを使用して合成した。
【0059】
定量リアルタイムPCRを、Applied Biosystems StepOnePlusTM機器、TaqMan Gene Expression Master Mix(Applied Biosystems#4369016)およびカスタムのTaqMan遺伝子発現プローブならびにヒト脱共役タンパク質1「UCP1」(GenBank NM_021833)についてのプライマーおよびヒトペプチジルプロリルイソメラーゼA「シクロフィリンA」(GenBank NM_021130)についてのプライマーを使用して行った。カスタムのTaqMan遺伝子発現試薬も多重様式における(UCP1およびシクロフィリンAと共に)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ転写産物バリアント2(PPARγ2)(GenBank NM_015869)を同時測定するために開発した:UCP1 FAM-MGBプローブ:TCA AGG GGT TGG TAC CTT CC(配列番号1)、センスプライマー:CAC TAA CGA AGG ACC AAC GG(配列番号2)およびアンチセンスプライマー:TTC CAG GAT CCA AGT CGC AA(配列番号3)。シクロフィリンA NED-MGBプローブ:ACT GCC AAG ACT GAG TGG TT(配列番号4)、センスプライマー:CAA ATG CTG GAC CCA ACA CA(配列番号5)およびアンチセンスプライマー:TCA CTT TGC CAA ACA CCA CA(配列番号6)。PPARg2 VIC-MGBプローブ:TCA CAA GAA ATG ACC ATG GTT G(配列番号7)、センスプライマー:AGC GAT TCC TTC ACT GAT ACA C(配列番号8)およびアンチセンスプライマー:CCA GAA TGG CAT CTC TGT GT(配列番号9)。
【0060】
シクロフィリンAを、逆転写の効率に起因するいずれかの変動を説明するための対照として使用した。標的mRNAレベルをシクロフィリンA mRNAレベルに対して正規化することによって、任意の単位を決定した(Ctに基づく)。
【0061】
統計的解析
データは、平均±SEMとして表される。有意性は、独立スチューデントのt検定を使用して評価した。有意性は、p<0.05で設定した。
【0062】
細胞形態学のための写真
細胞の写真を、手持ちデジタルカメラ(Nikon Coolpix 950)および細胞培養観察のために使用される倒立顕微鏡(Nikon TMS)を使用して撮影し、画像を、自動コントラストおよび自動レベルのためにAdobe Photoshop Elements 8の機能を使用して最適化した。
【0063】
本明細書中で使用される節の見出しおよび小見出しは、構成目的のみのためであり、記載される対象物を何ら限定するものとして解釈されない。さらに、本教示は、多様な実施形態と併せて記載されるが、一方で本教示が、そのような実施形態に限定されることは意図されない。反対に、本教示は、当業者によって理解される多様な代替物、改変および等価物を含む。
【0064】
UCP1タンパク質の定量 褐色脂肪細胞前駆体の褐色脂肪細胞への分化は、免疫組織化学(IHC)によるUCP1タンパク質の定量を通じて検出することができる。
【0065】
CD31-細胞の褐色脂肪細胞への培養および分化を、1μMロシグリタゾンを欠く脂肪生成分化培地(最小分化培地、MDM)または含有する脂肪生成分化培地(参照分化培地、RDM)を使用して行った。15日間の分化後、細胞を4%パラホルムアルデヒド PBS pH7.4を用いて固定し、標準的なプロトコルにしたがい相対的UCP1レベル(緑)を定量するためにUCP1抗体(Abcam ab23841)およびAlexafluor 488ヤギ抗ウサギ抗体と共にインキュベートした。細胞の固定の前に、核を5μM DAPI(青)で10分間標識した。各処理条件を、各データポイントについて合計でおよそ360~480細胞に相当する96ウェルプレートにおいてトリプリケートで評価した。InCell 1000 Developer Toolboxソフトウェアを、UCP1シグナル強度を測定するための自動化細胞検出スクリプトを開発するために使用した(核および細胞質検出アルゴリズムを使用する)。リードアウトとして、細胞内のUCP1シグナルの合計強度を使用し、細胞数を正規化した。
【0066】
いくつかの実施形態において、この技術を使用して同定された薬剤またはその組み合わせとしては、ファモチジン、チアプリド塩酸塩、グアンファシン塩酸塩、レセルピン、ミノキシジル、スピペロン、ジフルニサル、シロシンゴピン、プロベネシド、メトホルミン、チエチルペラジン、コルヒチンおよびフェロジピンが挙げられる。
【0067】
褐色脂肪細胞分化の検出
BODIPY蛍光色素で標識された中性脂肪は、細胞質脂肪滴に組み込まれたものとなり、これは、蛍光細胞イメージングによる細胞の脂肪酸取り込みおよび脂肪細胞分化の解析を可能にする。マイクロプレートに基づくハイスループット、ハイコンテント、明視野および蛍光細胞イメージャーおよび分析器(Cyntellect Celigo(登録商標)またはGE Healthcare IN Cell Analyzer)上でのイメージングの前に、細胞をC1-BODIPY(登録商標)500/510 C12(Molecular Probes#D-3823)と共に3~6時間培養する。
【0068】
他の実施形態
本開示の多様な態様は、単独で、組み合わせで、または先に記載される実施形態において特に議論されない多様なアレンジにおいて使用され得るため、その適用において、その細部および先の記載に示される構成要素または図面において説明される構成要素のアレンジに限定されない。例えば、ある実施形態で記載される態様は、他の実施形態で記載される態様と任意の手段で組み合わされ得る。
【0069】
特許請求の範囲における、請求項の要素を改変するための「第1の」、「第2の」、「第3の」などの順序を示す用語の使用は、それ自身によっていずれの優先順位、先行またはある請求項の要素の別のものに対する順序もしくは方法が行われる時間的順序を含まないが、請求項の要素を区別するために、特定の名称を有する1つの請求項の要素を、(順序を示す用語がなければ)同じ名称を有する別の要素から区別するためのただの標識として使用される。
【0070】
また、本明細書中で使用される表現法および専門用語は、説明の目的のためであり、限定としてみなされるべきではない。本明細書における「含む/挙げられる(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関係する(involving)」およびこれらのバリエーションの使用は、これらの後に列挙される項目およびこれらの等価物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【0071】
本開示は、インビトロおよびインビボで褐色脂肪細胞を動員することができる、とりわけ新規の組成物を提供する。本開示の特定の実施形態が議論されているが、一方で上記の明細書は、例示的なものであり限定的なものではない。本開示の多くのバリエーションが、この明細書の検討に際し当業者に対して明らかとなる。本開示の全ての範囲は、全ての範囲の等価物を伴う特許請求の範囲、およびこのようなバリエーションを伴う本明細書への参照によって決定されるべきである。
【0072】
参照による援用
本明細書中に参照される全ての刊行物、特許および特許出願は、各個別の刊行物、特許または特許出願が、その全体が全ての目的のために参照によって援用されることが具体的に指示されているのと同程度に、本明細書中に参照によってそのように援用される。
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20ABC
図21
図22
図23ABC
図23DEF
図23GH
【配列表】
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