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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073505
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/06 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
F25D17/06 306
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060033
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2018231166の分割
【原出願日】2018-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】舘野 恭也
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 昌志
(72)【発明者】
【氏名】小松 肇
(57)【要約】
【課題】送風機カバーの開閉動作に伴い発生する動作音を低減することができる冷蔵庫を提供することにある。
【解決手段】本発明の冷蔵庫10の遮蔽装置60は、送風機50を冷却室23の外側から覆う送風機カバー61と、送風機カバー61の開閉を駆動する駆動軸62と、駆動軸62と送風機カバー61との間に形成されたネジ機構と、駆動軸62を回転させるモータ93と、を有している。更に、制御装置70は、駆動軸62を一方向に回転することで、送風機カバー61を送風機50送風機に接近させ、風路を閉じる閉動作を実行する。また、駆動軸62を他方向に回転することで、送風機カバー61を送風機50から離し、風路を開ける開動作を実行する。また、制御装置70は、閉動作または開動作の終端期間に於いて、モータ93の動作に伴う動作音を低減する静音動作を実行する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室に風路を経由して供給される空気を冷却する冷凍サイクルの冷却器と、前記冷却器が配設されて前記貯蔵室につながる送風口が形成される冷却室と、前記送風口から供給される前記空気を前記貯蔵室に向けて送風する送風機と、前記送風口を少なくとも部分的に塞ぐ遮蔽装置と、前記冷凍サイクル、前記送風機および前記遮蔽装置の動作を制御する制御装置と、を具備し、
前記遮蔽装置は、前記送風機を前記冷却室の外側から覆う送風機カバーと、前記送風機カバーの開閉を駆動する駆動軸と、前記駆動軸と前記送風機カバーとの間に形成されたネジ機構と、前記駆動軸を回転させるモータと、を有し、
前記モータは、ステッピングモータであり、
前記制御装置は、
前記駆動軸を一方向に回転することで、前記送風機カバーを前記送風機に接近させ、前記風路を閉じる閉動作を実行し、
前記駆動軸を他方向に回転することで、前記送風機カバーを前記送風機から離し、前記風路を開ける開動作を実行し、
前記閉動作または前記開動作の終端期間に於いて、前記モータの動作に伴う動作音を低減する静音動作を実行し、
前記ステッピングモータのStep数が一定に達したら、前記静音動作を実行することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記静音動作は、前記ステッピングモータの回転速度を低速にする低速動作であることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記静音動作は、前記ステッピングモータを間欠的に動作させる間欠動作であることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵室内に食品等を冷却保存する冷蔵庫に関し、特に、貯蔵室に繋がる風路を遮蔽装置で適宜塞ぐ冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されたような、一つの冷却器で複数の貯蔵室を適宜冷却する冷蔵庫が知られている。
【0003】
図14に、この文献に記載された冷蔵庫100を模式的に示す。この図に示す冷蔵庫100には、上方から、冷蔵室101、冷凍室102および野菜室103が形成されている。冷凍室102の奥側には、冷却器108が収納される冷却室104が形成されており、冷却室104と冷凍室102とを区画する区画壁105には、冷気を各貯蔵室に供給するための開口部106が形成されている。また、開口部106には、冷気を送風する送風ファン107が配設されており、この送風ファン107を覆う送風機カバー110が冷凍室102側に配置されている。冷蔵室101に供給される冷気が流通する風路109の途中には、ダンパ114が配設されている。
【0004】
図15を参照して、上記した送風機カバー110を詳述する。送風機カバー110は、略四角形形状を呈する凹部111が形成されており、凹部111の上部を部分的に切り欠いて開口部113が形成されている。ここで、送風機カバー110が、上記した送風ファン107を覆う状況では、送風機カバー110の開口部113は、冷蔵庫本体側の風路109と連通している。
【0005】
上記した構成の冷蔵庫100は次のように動作する。図14を参照して、先ず、冷蔵室101および冷凍室102の両方を冷却する場合は、送風機カバー110を送風ファン107から離間させ、ダンパ114を開き、この状態で送風ファン107を回転させる。そうすると、冷却室104の内部で冷却器108により冷却された冷気の一部は、送風ファン107の送風力で、冷凍室102に送風される。また、この冷気の他の一部は、風路109、ダンパ114および風路109を経由して、冷蔵室101に送風される。これより、冷凍室102と冷蔵室101の両方が冷却される。
【0006】
一方、冷蔵室101のみを冷却する際には、送風ファン107を送風機カバー110で覆い、ダンパ114を開き、この状態にて冷却器108で冷却された冷気を送風ファン107で送風する。送風機カバー110を閉鎖状態にすると、送風機カバー110の上部に形成された開口部113が、風路109と連通するようになる。よって、送風ファン107で送風された冷気は、上記した開口部113、ダンパ114、風路109を経由して、冷蔵室101に供給される。
【0007】
上記のように、開口部113が形成された送風機カバー110を用いることで、一つの冷却器108で、複数の貯蔵室を適宜冷却することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-2664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した構成を有する冷蔵庫100では、送風機カバー110の開閉動作に伴い大きな動作音が発生する課題があった。
【0010】
具体的には、図14を参照して、送風機カバー110が開口部106を閉動作する際には、ここでは図示しないモータの駆動力で、送風機カバー110を後方に向かって移動させる。このとき、送風機カバー110の後端が区画壁105に当接する際に大きな動作音が発生するおそれがある。
【0011】
また、送風機カバー110が開口部106を開動作する際には、モータの駆動力で送風機カバー110を前方に向かって移動させる。送風機カバー110の前端が、他の部材に当接すると、この当接に伴い大きな動作音が発生する。
【0012】
更に、送風機カバー110を閉動作する際には、遮蔽動作を確実にするべく、送風機カバー110の後端が区画壁105に当接した後に、更にモータを回転させるオーバーステップ動作を実行することもある。係るオーバーステップの際に、送風機カバー110の周囲に配置された構成部材とモータとが共振することで、大きな騒音が発生してしまう課題がある。かかる課題は、送風機カバー110を開動作する際にも発生し得る。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送風機カバーの開閉動作に伴い発生する動作音を低減することができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室に風路を経由して供給される空気を冷却する冷凍サイクルの冷却器と、前記冷却器が配設されて前記貯蔵室につながる送風口が形成される冷却室と、前記送風口から供給される前記空気を前記貯蔵室に向けて送風する送風機と、前記送風口を少なくとも部分的に塞ぐ遮蔽装置と、前記冷凍サイクル、前記送風機および前記遮蔽装置の動作を制御する制御装置と、を具備し、前記遮蔽装置は、前記送風機を前記冷却室の外側から覆う送風機カバーと、前記送風機カバーの開閉を駆動する駆動軸と、前記駆動軸と前記送風機カバーとの間に形成されたネジ機構と、前記駆動軸を回転させるモータと、を有し、前記モータは、ステッピングモータであり、前記制御装置は、前記駆動軸を一方向に回転することで、前記送風機カバーを前記送風機に接近させ、前記風路を閉じる閉動作を実行し、前記駆動軸を他方向に回転することで、前記送風機カバーを前記送風機から離し、前記風路を開ける開動作を実行し、前記閉動作または前記開動作の終端期間に於いて、前記モータの動作に伴う動作音を低減する静音動作を実行し、前記ステッピングモータのStep数が一定に達したら、前記静音動作を実行することを特徴とする。
【0015】
本発明の冷蔵庫では、前記静音動作は、前記ステッピングモータの回転速度を低速にする低速動作であることを特徴とする。
【0016】
本発明の冷蔵庫では、前記静音動作は、前記ステッピングモータを間欠的に動作させる間欠動作であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷蔵庫によれば、送風機カバーの開閉動作に伴い発生する動作音を低減することができる冷蔵庫を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の正面外観図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の概略構造を示す側方断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の風路の概略を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の送風機カバーが開いている状態を示す冷却室付近の側方断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の送風機カバーが閉じている状態を示す冷却室付近の側方断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の遮蔽装置を示す分解斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、冷蔵庫の接続構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の運転方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る遮蔽装置を示す図であり、(A)は遮蔽装置の開動作を示す断面図であり、(B)は遮蔽装置の閉動作を示す断面図である。
図10】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の遮蔽装置の開閉動作に於いて、静音動作として低速動作を実行する際に於けるStep数とモータの回転速度との関係を示すグラフである。
図11】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の遮蔽装置の開閉動作に於いて、静音動作として間欠動作を実行する際に於ける特性を示すグラフであり、(A)はStep数とモータの回転速度との関係を示し、(B)は経過時間とモータの回転速度との関係を示す。
図12】本発明の実施形態に係る遮蔽装置の効果を示すグラフであり、(A)は比較例に係る遮蔽装置のオーバーステップ動作に伴う動作音の大きさを示し、(B)は本願発明の遮蔽装置のオーバーステップ動作に伴う動作音の大きさを示している。
図13】本発明の実施形態に係る遮蔽装置の効果を示すグラフであり、(A)は比較例に係る遮蔽装置の開閉動作に伴う動作音の大きさを示し、(B)は本願発明の遮蔽装置の開閉動作に伴う動作音の大きさを示している。
図14】背景技術に係る冷蔵庫を示す側方断面図である。
図15】背景技術に係る冷蔵庫で採用される送風機カバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。更に以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右を示している。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10の概略構造を示す正面外観図である。図1に示すように、本実施形態に係る冷蔵庫10は、本体としての断熱箱体12を備え、断熱箱体12の内部に食品等を貯蔵する貯蔵室が形成されている。この貯蔵室は、最上段が冷蔵室13、その下段左側が製氷室14で右側が上段冷凍室15、更にその下段が下段冷凍室16、そして最下段が野菜室17である。なお、製氷室14、上段冷凍室15および下段冷凍室16は、何れも冷凍温度域の貯蔵室である。以下の説明では適宜、これらをまとめて冷凍室141と称する場合もある。
【0021】
断熱箱体12の前面は開口しており、各貯蔵室に対応した開口には、各々断熱扉18ないし断熱扉22が開閉自在に設けられている。断熱扉181および断熱扉182は、冷蔵室13の前面を分割して塞ぎ、断熱箱体12に回動自在に支持されている。また、断熱扉19ないし断熱扉22は、各々収納容器と一体的に組み合わされ、冷蔵庫10の前方に引出自在に、断熱箱体12に支持されている。具体的には、断熱扉19は製氷室14を塞ぎ、断熱扉20は上段冷凍室15を塞ぎ、断熱扉21は下段冷凍室16を塞ぎ、断熱扉22は野菜室17を塞ぐ。
【0022】
図2は、冷蔵庫10の概略構造を示す側方断面図である。なお、図2ないし図5において、庫内を循環する冷気の流れを実線矢印で示している。図2に示すように、冷蔵庫10の本体である断熱箱体12は、前面が開口する鋼板製の外箱121と、外箱121内に間隙を持たせて配設され、前面が開口する合成樹脂製の内箱122と、外箱121と内箱122との間隙に充填発泡された発泡ポリウレタン製の断熱材123と、から構成されている。なお、上記した各断熱扉18等も、断熱箱体12と同様の断熱構造を採用している。
【0023】
冷蔵室13と、その下段に位置する冷凍室141は、断熱仕切壁38によって区画されている。冷凍室141の内部の製氷室14と上段冷凍室15との間は、図示しない仕切壁によって仕切られている。また、製氷室14および上段冷凍室15と、その下段に設けられた下段冷凍室16との間は、冷気が流通自在に連通している。そして、冷凍室141と野菜室17は、断熱仕切壁39によって区画されている。
【0024】
冷蔵室13の後方には、合成樹脂製の仕切部材37で区画され、冷蔵室13に冷気を供給する冷蔵室供給風路24が形成されている。仕切部材37には、冷蔵室13に冷気を吹き出す吹出口27が形成されている。また、冷蔵室供給風路24には、冷蔵室ダンパ44が設けられている。冷蔵室ダンパ44は、モータ等によって駆動される開閉自在なダンパであり、冷蔵室13に供給する冷気の流量を制御して、冷蔵室13の庫内温度を適切に維持するためのものである。
【0025】
冷凍室141の後方には、冷却器42で冷却された冷気を冷凍室141に流す冷凍室供給風路25が形成されている。冷凍室供給風路25の更に後方には、冷却室23が形成されており、その内部には、庫内を循環する冷気を冷却するための蒸発器である冷却器42が配置されている。
【0026】
冷却器42は、圧縮機41、図示しない凝縮器、図示しないキャピラリーチューブ等の膨張手段に冷媒配管を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成するものである。
【0027】
図3は、冷蔵庫10の供給風路の概略構成を示す正面図である。図3に示すように、冷蔵庫10は、冷蔵室13と野菜室17をつなぐ野菜室供給風路26を備えている。これにより、冷蔵室13に供給された冷気は、冷蔵室13の下部に形成された帰還口31から野菜室供給風路26に流入し、吹出口30から吹き出されて野菜室17に供給される。図2に示すように、野菜室17には、冷却室23の下部につながる帰還口34が形成されており、野菜室17内の冷気は、帰還口34から冷却室23の下部へと流れる。
【0028】
図4および図5は、冷蔵庫10の冷却室23付近の構造を示す側方断面図である。図4は送風機カバー61が開いている状態を示し、図5は送風機カバー61が閉じている状態を示している。
【0029】
図4に示すように、冷却室23は、断熱箱体12の内部で、冷凍室供給風路25の奥側に設けられている。冷却室23と、冷凍室供給風路25または冷凍室141との間は、合成樹脂製の仕切部材35によって仕切られている。即ち、冷却室23は、内箱122と仕切部材35によって挟まれて形成された空間である。
【0030】
冷却室23の前方に形成された冷凍室供給風路25は、仕切部材35とその前方に組み付けられた仕切部材45との間に形成された空間であり、冷却器42で冷却された冷気が流れる供給風路となる。冷凍室供給風路25の上部は、冷蔵室供給風路24につながっている。
【0031】
仕切部材45には、冷凍室141に冷気を吹き出す開口である吹出口28が形成されている。下段冷凍室16の下部背面には、冷凍室141から冷却室23の下部に冷気を戻す帰還口33が形成されている。
【0032】
また、冷却器42の下方には、冷却器42に付着した霜を融かして除去する除霜手段として、除霜ヒータ43が設けられている。除霜ヒータ43は、電気抵抗加熱式のヒータである。
【0033】
冷却室23上部の仕切部材35には、冷凍室供給風路25につながる開口である送風口36が形成されている。送風口36の前方には、冷凍室141等に冷気を送り出す送風機50が配設されている。送風機50は、ファン52を備えた遠心送風機である。
【0034】
送風機50の前方には、可動式の送風機カバー61を有する遮蔽装置60が設けられている。送風機カバー61は、冷凍室供給風路25側から送風機50に接近して、送風機50および送風口36を少なくとも部分的に覆う。送風機カバー61は、送風機50に対向する面が略凹形状に成形されている。これにより、送風機カバー61は、送風口36の前方に配置される送風機50のファン52に接触することなく、送風口36を塞ぐことができる。
【0035】
更に、送風機カバー61は、仕切部材45側に設けられる駆動軸62によって駆動されて前後方向に移動する。具体的には、開動作では、後述する制御装置70の指示に基づいて、モータ93および駆動軸62が一方向に回転することで、送風機カバー61が送風機50から離れる方向、即ち前方に移動する。これにより、送風口36が遮蔽されなくなり、送風機カバー61と仕切部材45との間に冷気の風路が形成される。よって、冷却器42で冷却された冷気が送風機50で送り出されて冷蔵室13、冷凍室141および野菜室17に供給される。
【0036】
他方、図5に示すように、閉動作では、後述する制御装置70の指示に基づいて、モータ93および駆動軸62が他方向に回転することで、送風機カバー61が送風機50に接近する方向、即ち後方に移動する。これにより、送風口36が塞がれ、上段冷凍室15等に冷気が流れる風路が遮蔽される。一方、この状態では、送風機カバー61の上部に形成された開口部を経由して、冷気が冷蔵室供給風路24を通過して冷蔵室13に向かって送風される。
【0037】
上記したように、冷蔵庫10では、送風機50で送風した冷気は、冷蔵室13、冷凍室141および野菜室17に送風される。また、冷蔵室13、冷凍室141および野菜室17を冷却した冷気は、帰還風路を経由して冷却室23に帰還する。よって、冷蔵室13、冷凍室141および野菜室17に貯蔵された被貯蔵物に含まれる水分は、冷却室23に帰還した後に冷却器42に付着して着霜する。この着霜が進行すると、冷却室23に於ける送風および熱交換が妨げられるので、除霜運転を行う。除霜運転では、後述する制御装置70は、圧縮機41および送風機50を停止し、送風口36を送風機カバー61で塞ぎ、冷蔵室ダンパ44を閉じ、除霜ヒータ43に通電する。これにより、冷却室23の内部が暖められ、冷却器42に付着した霜が融ける。
【0038】
冷却器42の霜取りが完了すると、後述する制御装置70は、除霜ヒータ43の通電を止め、圧縮機41を起動し、冷凍サイクルによる冷却を開始する。そして、制御装置70は、冷却器42および冷却室23が所定の温度まで冷却されたことを検出した後、或いはタイマ等で所定の時間が経過した後、図4に示すように、送風機カバー61を開き、送風機50の運転を開始する。これにより、冷却運転を再開することができる。
【0039】
図6を参照して、上記した遮蔽装置60の構成を説明する。図6は、遮蔽装置60を後側上方から見て示す分解斜視図である。
【0040】
遮蔽装置60は、送風機50を冷却室23の外側から開閉自在に塞ぐ送風機カバー61と、送風機カバー61を冷却室23の反対から開閉駆動する駆動軸62と、送風機50を支持すると共に送風機カバー61および駆動軸62を摺動自在に支持する支持基体63と、を有する。遮蔽装置60は、上記した冷凍室141を区切る仕切部材45の一部である貯蔵室側カバー64と、上記した冷凍室供給風路25を区切る仕切部材35の一部である冷却室側カバー69との間に配置される。また、遮蔽装置60は、上記した仕切部材45の一部を構成する貯蔵室側カバー64の後面に取り付けられる。詳しくは、仕切部材45の後面には、前方に向かって凹む凹部65が形成されており、遮蔽装置60は、凹部65に収納される。
【0041】
送風機カバー61は、上記したように、送風機50を適宜塞ぐ蓋状の部材であり、主面部80と、主面部80の周縁部から後方に向かって立設された側面部81と、を有する。主面部80の側方周縁および下方周縁からは側面部81が立設しており、主面部80の上方周縁には側面部81は立設されていない。送風機カバー61の上端部分には開口部82が形成されている。これにより、送風機カバー61で送風機50を塞いだ場合でも、開口部82を経由して冷気を冷蔵室13に送風できる。なお、後述する支持基体63のガイドピン66に嵌合するガイド孔67は、側面部81の外側に配置される。また、送風機カバー61の主面部80の中央付近には、略円形状に貫通して内側にネジ溝が形成されたねじ孔である開口部801が形成されている。
【0042】
支持基体63には、送風機カバー61を前後方向に摺動可能に支持する略円柱状のガイドピン66が形成されている。ガイドピン66は、ここでは2本設けられ、それぞれ支持基体63の主面から後方に向かって、ファン52の回転軸に対して略平行に延在する。送風機カバー61には、ガイドピン66が摺動自在に嵌合するガイド孔67が形成されている。
【0043】
支持基体63の主面から後方に向かって、3本の送風機支持部77が垂直に立設されている。送風機支持部77は円柱状を呈し、その後方側の端部は、送風機カバー61の主面に形成された貫通孔78を貫通し、送風機50の鍔部79の前面に当接している。送風機支持部77と送風機50の鍔部79とは、ネジなどの締結手段で締結される。
【0044】
また、支持基体63の主面の下方部分から後方に向かって、2本の仕切部材支持部76が垂直に立設されている。仕切部材支持部76の後端は、仕切部材35の冷却室側カバー69に当接してネジ止めなどで締結される。
【0045】
支持基体63には、送風機カバー61を前後方向に移動させるための駆動軸62が取り付けられる。駆動軸62は、支持基体63に形成された軸支持部86に回転自在に支持されている。
【0046】
駆動軸62は、円筒形状に形成された胴体部621を有しており、胴体部621の外側面には、ここでは図示しないネジ山が螺旋状に形成されている。駆動軸62の胴体部621のネジ山は、送風機カバー61の開口部801のネジ溝に螺合する。即ち、送風機カバー61と駆動軸62との間にネジ機構が形成されている。また、支持基体63の軸支持部86には、図示しないモータ93が内蔵されており、そのモータ93の駆動力で駆動軸62は所定角度回転する。駆動軸62を一方向に回転させると、送風機カバー61が送風機50に近づき、図5に示したように、風路が閉状態となる。他方、モータが駆動軸62を他方向に回転させると、送風機カバー61が送風機50から離れ、図4に示したように、風路が開状態となる。
【0047】
送風機50は、上記したように、送風口36を覆う位置に設置されており、送風口36よりも前方側、即ち上記した冷凍室141側に配置されている。送風機50としては、遠心方向に向かって冷気を送風する遠心送風機を採用することができ、具体的にはターボファンを採用できる。
【0048】
図7のブロック図を参照して、冷蔵庫10の接続構成を説明する。冷蔵庫10は、CPUである制御装置70、温度センサ91、タイマ92、圧縮機41、送風機50、モータ93、冷蔵室ダンパ44および除霜ヒータ43を有している。温度センサ91およびタイマ92は、制御装置70の入力側端子に接続されている。圧縮機41、送風機50、モータ93、冷蔵室ダンパ44および除霜ヒータ43は、制御装置70の出力側端子に接続されている。
【0049】
温度センサ91は、上記した冷蔵室13、冷凍室141および野菜室17の内部に夫々配置され、これらの各貯蔵室の庫内温度を示す情報を制御装置70に伝送する。
【0050】
タイマ92は、冷蔵室13、冷凍室141および野菜室17を冷却する冷却時間や除霜ヒータ43の運転時間等を計測し、その時間を示す情報を制御装置70に伝送する。
【0051】
圧縮機41は、制御装置70からの指示に従い、上記したように、冷凍サイクルで用いられる冷媒を圧縮する。
【0052】
送風機50は、制御装置70からの指示に従い、上記したように、冷凍サイクルの冷却器42が冷却した冷気を各貯蔵室に向かって送風する。
【0053】
モータ93は、制御装置70からの指示に従い、上記した遮蔽装置60の駆動軸62を所定角度回転させる。モータ93としては、例えばステッピングモータが採用される。
【0054】
冷蔵室ダンパ44は、制御装置70からの指示に従い、冷蔵室供給風路24に送風される冷気を適宜遮断する。
【0055】
除霜ヒータ43は、制御装置70からの指示に従い、通電されることで、冷却室23の内部の空気を暖める。
【0056】
図8図9図10および図11に基づいて、上記した各図も参照しつつ、本実施形態に於いて、送風機カバー61の開閉動作に伴う動作音を低減する制御方法を説明する。図8は、送風機カバー61の開閉制御方法を示すフローチャートである。図9(A)は開動作の終了時に於ける遮蔽装置60を示す断面図であり、図9(B)は閉動作の終了時に於ける遮蔽装置60を示す断面図である。図10は、モータ93のStep数と回転速度との関係を示すグラフである。図11(A)は、送風機カバー61の開閉動作を行う場合に於けるモータ93のStep数と回転数を示すグラフである。図11(B)は、間欠動作に於いて、運転時間とモータ93の回転数との関係を示すグラフである。
【0057】
先ず、本実施形態の制御方法の概要を説明する。図5を参照して説明したように、送風機カバー61で風路を塞ぐ閉動作を行う際には、上記したモータ93で駆動軸62を一方向に回転させ、送風機カバー61を後方に移動させる。送風機カバー61の周縁部が、送風口36の周囲に於いて仕切部材35に当接することで、送風口36から冷凍室供給風路25に繋がる風路が遮蔽される。この際、送風機カバー61が仕切部材35に当接すると大きな当接音が発生し、使用者がその当接音を不快に感じる恐れがある。また、モータ93が動作する際に、モータ93の周囲に配置された部材が共振することにより騒音が発生する恐れもある。
【0058】
そこで本実施形態では、送風機カバー61の閉動作の終端期間に於いて、静音動作を実行している。
【0059】
ここで、終端期間とは、送風機カバー61の開閉動作において、送風機カバー61が他部材に当接する直前から、モータ93が停止するまでの期間である。よって、後述するオーバーステップ動作を行う場合は、終端期間とは、送風機カバー61が他部材に当接する直前から、オーバーステップ動作が終了するまでの期間である。一例として、図10を参照して、開閉動作が全体でStep1940である場合、Step0からStep1750までが通常開閉動作を行う期間であり、Step1751からStep1940までが終端期間である。
【0060】
また、静音動作としては、図10を参照して後述する低速動作と、図11を参照して後述する間欠動作がある。静音動作を実行することで、モータ93の回転に伴い発生する動作音を低減することができ、ユーザが感じる不快感を低減できる。
【0061】
また、係る事項は、図4に示した送風機カバー61の開動作に於いても同様である。即ち、モータ93および駆動軸62を上記とは逆方向に回転させることで、送風機カバー61を送風機50から離し、風路を開状態とする。この際に発生する騒音を低減するために、以下の静音動作を実行している。
【0062】
図8を参照して、具体的には、先ず、ステップS10において、制御装置70は、送風機カバー61が開動作または閉動作を行っているか否かを判断する。送風機カバー61が開動作または閉動作を行っていれば、即ちステップS10がYESであれば、制御装置70は、ステップS11に移行する。一方、送風機カバー61が開動作または閉動作を行っていなければ、即ちステップS10がNOであれば、制御装置70は、静音動作を行わずに終了する。
【0063】
ステップS11では、制御装置70は、通常冷却動作が実行されているか否かを判断する。ここで、通常冷却動作とは、図2を参照して、制御装置70の指示に基づいて、冷却器42が冷却した冷却室23の内部の冷気を、送風機50が各貯蔵室に送風することで、各貯蔵室を所定の冷却温度帯域に冷却する動作である。
【0064】
通常冷却動作が実行されていれば、即ち、ステップS11がYESであれば、制御装置70は、ステップS12に移行する。一方、通常冷却動作が実行されていなければ、即ち、ステップS11がNOであれば、制御装置70は、ステップS16に移行する。
【0065】
ステップS12ないしステップS15では、制御装置70は、上記した静音動作として低速動作を実行する。
【0066】
具体的には、先ず、ステップS12では、モータ93を通常速度で回転させることで、送風機カバー61を比較的高速で移動させる。
【0067】
ここで、図10のグラフを参照して、モータの回転速度を説明する。本実施形態では、送風機カバー61の開閉動作が、通常開閉動作と、終端期間に於ける低速動作とを含む。ステップS12の通常開閉動作は、例えば、Step0からStep1750までの期間に於ける動作であり、モータ93の回転数は500PPSとされている。通常開閉動作におけるモータ93の回転速度を500PPSとすることで、送風機カバー61の開閉動作を素早く行うことができる。
【0068】
ステップS13では、制御装置70は、送風機カバー61が終端期間に達しているか否かを判断する。具体的には、図10を参照して、モータ93のStep数がStep1750に達したら、制御装置70は、送風機カバー61は終端期間に達したと判断する。一方、モータ93のStep数がStep1750以下であれば、制御装置70は、送風機カバー61は終端期間に達していないと判断する。
【0069】
送風機カバー61が終端期間に達していれば、即ちステップS13がYESであれば、制御装置70はステップS14に移行する。一方、送風機カバー61が終端期間に達していなければ、ステップS13がNOであれば、制御装置70はステップS12に戻り、モータ93を通常速度で回転させ、送風機カバー61の通常開閉動作を続行する。
【0070】
ステップS14では、開閉動作の終端期間に於いて、モータ93を低速で回転させる。図10を参照して、ここでの静音動作としての低速動作は、例えば、Step1751からStep1940までの期間に於ける動作である。また、低速動作におけるモータ93の回転速度は、通常開閉動作におけるモータ93の回転速度の半分以下とされており、例えば250PPSである。モータ93の回転数を低減することで、モータ93から発生する振動に起因して、送風機カバー61およびその周辺部材が共振することが抑制され、大きな動作音が発生することを抑止することができる。
【0071】
ステップS15では、制御装置70は、送風機カバー61の開動作または閉動作が終了したか否かを判断する。
【0072】
図9を参照して、ステップS15を説明する。図9(A)を参照して、送風機カバー61の開動作においては、送風機カバー61のネジ溝が、駆動軸62のネジ山の端部まで移動することで、開動作が終了する。または、送風機カバー61の前端が、支持基体63に当接することで、開動作が終了するようにしても良い。この状態にすることで、送風機50から冷凍室141に繋がる風路は、送風機カバー61で閉鎖されず、開放状態となる。
【0073】
図9(B)を参照して、送風機カバー61の閉動作においては、送風機カバー61の後端部が仕切部材35に接触することで、閉動作が終了する。この状態にすることで、送風機50から冷凍室141に繋がる風路は、送風機カバー61で閉鎖される。
【0074】
送風機カバー61が他部材に当接すれば、即ちステップS15がYESであれば、制御装置70はモータ93を停止し、送風機カバー61の開閉動作を終了する。一方、送風機カバー61が他部材に当接していなければ、即ちステップS15がNOであれば、制御装置70は、ステップS14に戻り、モータ93を低速で回転させて送風機カバー61の開閉動作を続行する。
【0075】
ここで、オーバーステップ動作を行う場合を説明する。図10を参照して、送風機カバー61が他部材に当接するのは、例えば、Step1840に達したときである。制御装置70は、Step1750からStep1840までは、送風機カバー61を開閉動作させつつ、静音動作を実行する。その後、Step1841からStep1940までは、制御装置70は、送風機カバー61が他部材に当接した状態で、モータ93をそれまでと同じ方向に更に回転させるオーバーステップ動作を実行する。制御装置70は、Step1940に達したら、モータ93を停止する。オーバーステップ動作を実行することで、送風機カバー61をより確実に開閉することが出来る。
【0076】
ステップS16ないしステップS20では、上記した静音動作として間欠動作を実行する。
【0077】
具体的には、先ず、ステップS16では、制御装置70は、初期動作が実行されているか否かを判断する。ここで、初期動作とは、図5を参照して、送風機カバー61を前端または後端まで移動させることで、送風機カバー61の位置を認識する動作である。初期動作は、例えば、冷蔵庫10の電源が投入された際に実行される。
【0078】
初期動作を実行されていれば、即ち、ステップS16がYESであれば、制御装置70は、ステップS17に移行する。一方、初期動作を実行されていなければ、即ち、ステップS16がNOであれば、制御装置70は、動作を終了する。
【0079】
ステップS17では、モータ93を通常速度で回転させることで、送風機カバー61を比較的高速で移動させる。ここでは、上記したステップS12と同様に、Step0からStep1750までの期間に於いて、モータ93の回転数を500PPSとしている。
【0080】
ステップS18では、制御装置70は、送風機カバー61が終端期間に達しているか否かを判断する。具体的には、図11(A)を参照して、モータ93のStep数が1750Stepに到達したら、制御装置70は、モータ93が終端期間に到達したと判断する。
【0081】
送風機カバー61が終端期間に達していれば、即ちステップS18がYESであれば、制御装置70はステップS19に移行する。一方、送風機カバー61が終端期間に達していなければ、即ちステップS18がNOであれば、制御装置70はステップS17に戻り、モータ93を通常速度で回転させ、送風機カバー61の通常開閉動作を続行する。
【0082】
ステップS19では、開閉動作の終端期間に於いて、モータ93を間欠的に回転させる。図11を参照して、この間欠動作を説明する。
【0083】
図11(A)に示すように、ここでは、0Stepから1750Stepまで通常開閉動作を行い、1751Stepから1940Stepまで間欠動作を実行している。
【0084】
図11(B)に示すように、間欠動作では、モータ93を所定の時間間隔で間欠的に回転させている。具体的には、モータ93を500PPSで10Step回転させた後に、モータ93を10msec停止させる。ステップS19では、この間欠的な動作を繰り返し行っている。係る間欠動作を行うことで、モータ93から発生する振動に起因して、送風機カバー61およびその周辺部材が共振することが抑制され、大きな動作音が発生することを抑止することができる。
【0085】
ステップS20では、制御装置70は、送風機カバー61の開動作または閉動作が終了したか否かを判断する。ステップS20では、上記したステップS15と同様の動作が実行される。
【0086】
送風機カバー61の開動作または閉動作が終了すれば、即ちステップS20がYESであれば、制御装置70はモータ93を停止し、送風機カバー61の開閉動作を終了する。一方、送風機カバー61の開動作または閉動作が終了していなければ、即ちステップS20がNOであれば、制御装置70は、ステップS19に戻り、モータ93を間欠的に回転させて送風機カバー61の開閉動作を続行する。
【0087】
以上が、本実施形態に係る冷蔵庫10の動作に関する説明である。
【0088】
上記した本実施形態に係る冷蔵庫10により奏される効果を、以下に説明する。
【0089】
本実施形態では、終端期間に於いて、オーバーステップ動作を行う際に発生する動作音を低減することができる。図12を参照してこの効果を説明する。図12(A)および図12(B)では、横軸は経過時間を示し、縦軸は動作音の大きさを示している。更に、図12(A)および図12(B)では、後方で計測した動作音の大きさを実線で示し、前方で計測した動作音の大きさを点線で示している。
【0090】
図12(A)は静音動作を行わずにオーバーステップ動作を実行した際に発生する動作音を示している。この図から明らかなように、オーバーステップ動作に伴い、最大で35dB程度の動作音が発生している。
【0091】
図12(B)では、上記した静音動作として間欠動作を行いながらオーバーステップ動作を実行した場合を示している。この図から明らかなように、オーバーステップ動作に伴い、最大で25dB程度の動作音が発生している。
【0092】
上記から明らかなように、静音動作として間欠動作を行うことで、オーバーステップ動作に伴い発生する動作音を、5dBないし15dB程度低減することができる。これにより、冷蔵庫10が冷却運転を行う際に於ける、ユーザの快適性を向上することができる。
【0093】
図13を参照して、冷蔵庫10の効果を更に詳述する。図13(A)は、上記した静音動作を実行しない場合、即ち、送風機カバー61の開閉動作の終端期間に於いて、モータ93の回転速度を低下させない場合に遮蔽装置60から発生する動作音を示している。図13(B)は、送風機カバー61の開閉動作の終端期間に於いて、低速動作または間欠動作を行った場合に遮蔽装置60から発生する動作音を示している。ここでは、遮蔽装置60が連続的に開閉動作を行い、その開閉動作に伴い発生する動作音を遮蔽装置60の近傍で計測した。図13(A)および図13(B)に示したグラフに於いて、横軸は経過時間を示し、縦軸は遮蔽装置60から発生する動作音の大きさを示している。
【0094】
図13(A)を参照して、静音動作を行わない比較例に於いては、開閉動作の終了時に動作音は最大値と成り、具体的には、50dBないし60dBの動作音が発生する。ここでは、発生音のピークを点線の円で囲んでいる。これは、開閉動作の終端期間において、モータとその周囲の構成部材との間で共振現象が発生することが原因と考えられる。
【0095】
図13(B)を参照して、本願発明の遮蔽装置60から発生する動作音の最大値は、40dBないし50dBである。よって、図13(A)に示した比較例に比べて、本実施形態では、動作音が低減されている。これは、開閉動作の終端期間において、静音動作を実行することで、モータとその周囲の構成部材との間の共振現象を防止していることが原因と考えられる。
【0096】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【0097】
例えば、図8を参照して、ステップS15およびステップS20に於いては、送風機カバー61が他部材に当接すれば開閉動作を終了させているが、送風機カバー61が他部材に当接した後、更にモータ93を回転させるオーバーステップ動作を実行しても良い。係るオーバーステップ動作を実行することで、開閉動作をより確実に行うことができる。よって、通常の冷却動作に於いては確実に風路開閉が行え、初期動作においては送風機カバー61の初期位置を正確に検出できる。
【0098】
また、上記では、通常冷却運転の場合は静音動作としての低速動作を実行し、初期動作の場合は静音動作として間欠動作を実行した。しかしながら、通常冷却運転の場合に静音動作として間欠動作を実行し、初期動作の場合に静音動作として低速動作を実行しても良い。
【0099】
前述した実施形態から把握できる発明を、その効果と共に以下に記載する。
【0100】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室に風路を経由して供給される空気を冷却する冷凍サイクルの冷却器と、前記冷却器が配設されて前記貯蔵室につながる送風口が形成される冷却室と、前記送風口から供給される前記空気を前記貯蔵室に向けて送風する送風機と、前記送風口を少なくとも部分的に塞ぐ遮蔽装置と、前記冷凍サイクル、前記送風機および前記遮蔽装置の動作を制御する制御装置と、を具備し、前記遮蔽装置は、前記送風機を前記冷却室の外側から覆う送風機カバーと、前記送風機カバーの開閉を駆動する駆動軸と、前記駆動軸と前記送風機カバーとの間に形成されたネジ機構と、前記駆動軸を回転させるモータと、を有し、前記制御装置は、前記駆動軸を一方向に回転することで、前記送風機カバーを前記送風機に接近させ、前記風路を閉じる閉動作を実行し、前記駆動軸を他方向に回転することで、前記送風機カバーを前記送風機から離し、前記風路を開ける開動作を実行し、前記閉動作または前記開動作の終端期間に於いて、前記モータの動作に伴う動作音を低減する静音動作を実行することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、送風機カバーの閉動作または開動作を実行する際に、その終端期間において静音動作を実行することで、遮蔽装置から発生する騒音を小さくすることができる。
【0101】
更に、本発明の冷蔵庫では、前記静音動作は、前記モータの回転速度を低速にする動作であることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、終端期間に於いてモータの回転速度を低速にすることで、遮蔽装置から発生する騒音を小さくすることができる。
【0102】
更に、本発明の冷蔵庫では、前記静音動作では、前記モータの回転速度を、通常開閉動作の半分以下にすることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、終端期間に於いてモータの回転速度を半分以下にすることで、遮蔽装置から発生する騒音を更に小さくすることができる。
【0103】
更に、本発明の冷蔵庫では、前記静音動作は、前記モータを間欠的に回転させる動作であることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、送風機カバーの閉動作または開動作を実行する際に、その終端期間においてモータの回転速度を間欠的に動作させることで、遮蔽装置から発生する騒音を小さくすることができる。
【0104】
更に、本発明の冷蔵庫では、前記制御装置は、冷却運転の際には、前記閉動作または前記開動作の終端期間に於いて、前記静音動作として、前記モータの回転速度を低速にし、初期動作を実行する際には、前記閉動作または前記開動作の終端期間に於いて、前記静音動作として、前記モータを間欠的に回転させることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、冷蔵庫の通常冷却運転時において送風機カバーを開閉する際には、終端期間に於いてモータを低速にすることで、遮蔽装置から発生する騒音を低減する。また、送風機カバー位置を検出するための初期動作を行う際には、閉動作または開動作の終端期間に於いて、モータを間欠的に回転させることで、初期動作に伴い発生する動作音を低減している。
【符号の説明】
【0105】
10 冷蔵庫
12 断熱箱体
121 外箱
122 内箱
123 断熱材
13 冷蔵室
14 製氷室
141 冷凍室
15 上段冷凍室
16 下段冷凍室
17 野菜室
18 断熱扉
181 断熱扉
182 断熱扉
19 断熱扉
20 断熱扉
21 断熱扉
22 断熱扉
23 冷却室
24 冷蔵室供給風路
25 冷凍室供給風路
26 野菜室供給風路
27 吹出口
28 吹出口
30 吹出口
31 帰還口
33 帰還口
34 帰還口
35 仕切部材
36 送風口
37 仕切部材
38 断熱仕切壁
39 断熱仕切壁
41 圧縮機
42 冷却器
43 除霜ヒータ
44 冷蔵室ダンパ
45 仕切部材
50 送風機
52 ファン
60 遮蔽装置
61 送風機カバー
62 駆動軸
621 胴体部
63 支持基体
64 貯蔵室側カバー
65 凹部
66 ガイドピン
67 ガイド孔
69 冷却室側カバー
70 制御装置
76 仕切部材支持部
77 送風機支持部
78 貫通孔
79 鍔部
80 主面部
801 開口部
81 側面部
82 開口部
86 軸支持部
91 温度センサ
92 タイマ
93 モータ
100 冷蔵庫
101 冷蔵室
102 冷凍室
103 野菜室
104 冷却室
105 区画壁
106 開口部
107 送風ファン
108 冷却器
109 風路
110 送風機カバー
111 凹部
113 開口部
114 ダンパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15