(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073519
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20230518BHJP
H10K 39/32 20230101ALI20230518BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 E
H10K39/32
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060313
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2019084538の分割
【原出願日】2019-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2018104989
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 順司
(72)【発明者】
【氏名】高見 義則
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好弘
(57)【要約】
【課題】ノイズの原因となるリーク電流を低減する。
【解決手段】本開示の撮像装置は、複数の画素を備え、前記複数の画素のそれぞれは、光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、第1導電型の不純物を含む第1半導体層を含む半導体基板と、前記第1半導体層内の第2導電型の不純物領域であって前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、前記第1半導体層内の第2導電型の第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタと、前記電荷蓄積領域と前記第1トランジスタとの間に位置する遮断構造とを含み、前記遮断構造は、前記第1半導体層の表面において前記第1不純物領域と前記電荷蓄積領域との間に位置する第2不純物領域を含む。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を備え、
前記複数の画素のそれぞれは、
光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、
第1導電型の不純物を含む第1半導体層を含む半導体基板と、
前記第1半導体層内の第2導電型の不純物領域であって前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記第1半導体層内の第2導電型の第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタと、
前記電荷蓄積領域と前記第1トランジスタとの間に位置する遮断構造と
を含み、
前記遮断構造は、前記第1半導体層の表面において前記第1不純物領域と前記電荷蓄積領域との間に位置する第2不純物領域を含む、撮像装置。
【請求項2】
さらに、前記第2不純物領域に電圧を印加するように構成された電圧供給回路を備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
平面視において、前記遮断構造は、前記画素の一方の端部から他方の端部にまで延びている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
平面視において、前記遮断構造は、前記画素の一方の端部から他方の端部にまで延びていない、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2不純物領域は第2導電型の不純物領域である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記半導体基板は、
第1導電型の不純物を含む支持基板と、
前記支持基板と前記第1半導体層との間に位置し、第2導電型の不純物を含む第2半導体層と
を含む、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記半導体基板は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に位置し、第1導電型の不純物を含む第3半導体層をさらに含み、
前記第3半導体層は、平面視において前記第3不純物領域と重なる開口を有し、
前記開口内に位置する部分の第1導電型の不純物濃度は、前記第3半導体層の第1導電型の不純物濃度よりも低い、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
電圧供給回路をさらに備え、
前記電圧供給回路は、前記信号電荷が前記電荷蓄積領域に蓄積される期間において、前記第1半導体層に関して逆バイアスとなる第1電圧、または前記第1半導体層と等電位となる第2電圧を、前記第2不純物領域に印加する、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記期間において、前記第1電圧と同じ電圧が前記支持基板を介して前記第2不純物領域に印加される、請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記期間において、前記第1電圧とは異なる第3電圧、または0Vである前記第2電圧が、前記第1半導体層を介して前記第2不純物領域および前記第4不純物領域に印加される、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第3電圧は前記第1電圧よりも低い、請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第2不純物領域は第1導電型の不純物領域である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第2不純物領域の第1導電型の不純物濃度は、前記第1半導体層の第1導電型の不純物濃度よりも高い、請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記半導体基板は、
第1導電型の不純物を含む支持基板と、
前記支持基板と前記第1半導体層との間に位置し、第2導電型の不純物を含む第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に位置し、第1導電型の不純物を含む第3不純物領域と
をさらに含み、
前記第3不純物領域の第1導電型の不純物濃度は、前記第1半導体層の第1導電型の不純物濃度よりも高い、請求項12に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記第3不純物領域は、平面視において前記第1不純物領域と重ならない、請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
電圧供給回路をさらに備え、
前記電圧供給回路は、前記信号電荷が前記電荷蓄積領域に蓄積される期間において、第1電圧を前記第2不純物領域に印加する、請求項12に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記半導体基板は、
第1導電型の不純物を含む支持基板と、
前記支持基板と前記第1半導体層との間に位置し、第2導電型の不純物を含む第2半導体層と
を含み、
前記期間において、前記第1電圧と同じ電圧が前記支持基板を介して前記第2不純物領域に印加される、請求項16に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどにCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサおよびCMO
S(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが広く用いられている
。よく知られているように、これらのイメージセンサは、半導体基板に形成されたフォトダイオードを有する。
【0003】
例えば下記の特許文献1および2に開示されるように、フォトダイオードに代えて、半導体基板の上方に光電変換層を配置した構造も提案されている。このような構造を有する撮像装置は、積層型の撮像装置と呼ばれることがある。積層型の撮像装置では、光電変換によって生成された電荷が、半導体基板に形成された拡散領域などに信号電荷として一時的に蓄積される。蓄積された電荷量に応じた信号が、半導体基板に形成されたCCD回路またはCMOS回路を介して読み出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/002330号
【特許文献2】国際公開第2012/147302号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像を表現する信号電荷とは異なる電荷が、信号電荷を一時的に保持する拡散領域へ流入すると、ノイズの原因となり得る。ノイズは、得られる画像を劣化させる。このような意図しない電荷の移動を抑制できると有益である。以下では、このような、意図しない電荷の移動をリーク電流と表現することがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の限定的ではないある例示的な実施形態によれば、以下が提供される。
【0007】
複数の画素を備え、前記複数の画素のそれぞれは、光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、第1導電型の不純物を含む第1半導体層を含む半導体基板と、前記第1半導体層内の第2導電型の不純物領域であって前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、前記第1半導体層内の第2導電型の第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタと、前記電荷蓄積領域と前記第1トランジスタとの間に位置する遮断構造とを含み、前記遮断構造は、前記第1半導体層の表面において前記第1不純物領域と前記電荷蓄積領域との間に位置する第2不純物領域を含む、撮像装置。
【0008】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システムまたは方法で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、装置、モジュール、システムおよび方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【0009】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる
。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、リーク電流が低減された撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1の実施形態による撮像装置の例示的な構成を示す図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図3A】
図2に示す画素10Aのデバイス構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3B】第1の実施形態の第1の変形例による撮像装置のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図4】第1の実施形態の第2の変形例による撮像装置の例示的な構成を示す図である。
【
図5】第1の実施形態の第2の変形例による撮像装置が有する画素のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図6A】画素10Bと電圧供給回路48との間の電気的接続の例を模式的に示す図である。
【
図6B】画素10Bと電圧供給回路48との間の電気的接続の他の例を模式的に示す図である。
【
図7】遮断構造28Bに対する電気的接続のさらに他の例を模式的に示す図である。
【
図8】本開示の第1の実施形態による撮像装置の第3の変形例の回路構成を示す模式図である。
【
図9】
図8に示す画素10Cのデバイス構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図10】画素10Cにおける各素子のレイアウトの一例を示す模式的な平面図である。
【
図11】
図10に示す画素10Cの2次元配列の一例を示す模式的な平面図である。
【
図12】画素10Cの2次元配列の他の一例を示す模式的な平面図である。
【
図13】本開示の第1の実施形態による撮像装置の第4の変形例の回路構成を示す模式図である。
【
図14】
図13に示す画素10Xにおける各素子のレイアウトの一例を示す模式的な平面図である。
【
図15】
図13に示す画素10Xの2次元配列の一例を示す模式的な平面図である。
【
図16A】本開示の第2の実施形態による撮像装置が有する画素の例示的なデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図16B】第2の実施形態の第1の変形例による撮像装置が有する画素のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図17】第2の実施形態の第2の変形例による撮像装置が有する画素のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図18】画素10Fと電圧供給回路48との間の電気的接続の例を模式的に示す図である。
【
図19】本開示の第3の実施形態による撮像装置が有する画素10G中の各素子のレイアウトの一例を示す模式的な平面図である。
【
図20】
図19に示す画素10Gの例示的な回路構成を示す図である。
【
図21】シミュレーションに用いたモデルを説明するための模式図である。
【
図22】
図5に示す画素10Bと基本的に同じ構造を想定した実施例1に関するシミュレーション結果を示す図であり、各部の電位に関する計算結果を示す。
【
図23】
図5に示す画素10Bと基本的に同じ構造を想定した実施例1に関するシミュレーション結果を示す図であり、各部の電流密度に関する計算結果を示す。
【
図24】実施例2のサンプルの各部の電位に関する計算結果を示す図である。
【
図25】実施例2のサンプルの各部の電流密度に関する計算結果を示す図である。
【
図26】比較例1のサンプルの各部の電位に関する計算結果を示す図である。
【
図27】比較例1のサンプルの各部の電流密度に関する計算結果を示す図である。
【
図28】n型不純物領域68bnの近傍で発生した電荷のうち電荷蓄積領域に流入する電荷の割合の計算結果を示す図である。
【
図29】実施例1のサンプルの各部の電場に関する計算結果を示す図である。
【
図30】実施例2のサンプルの各部の電場に関する計算結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一態様の概要は以下のとおりである。
【0013】
[項目1]
光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、
第1導電型の不純物を含む第1半導体層を含む半導体基板と、
前記第1半導体層内の第2導電型の不純物領域であって前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記第1半導体層内の第2導電型の第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタと、
前記電荷蓄積領域と前記第1トランジスタとの間に位置する遮断構造と
を備え、
前記遮断構造は、
前記第1半導体層内の第1導電型の第2不純物領域と、
前記第1半導体層内の第2導電型の第3不純物領域と、
前記第1半導体層内の第1導電型の第4不純物領域と
を含み、
前記第1半導体層の表面において、前記第1不純物領域から前記電荷蓄積領域に向かう第1方向に沿って、前記第2不純物領域、前記第3不純物領域、および前記第4不純物領域がこの順に配置されている、撮像装置。
【0014】
[項目2]
前記半導体基板は、
第1導電型の不純物を含む支持基板と、
前記支持基板と前記第1半導体層との間に位置し、第2導電型の不純物を含む第2半導体層と
を含む、項目1に記載の撮像装置。
【0015】
[項目3]
前記半導体基板は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に位置し、第1導電型の不純物を含む第3半導体層をさらに含み、
前記第3半導体層は、平面視において前記第3不純物領域と重なる開口を有し、
前記開口内に位置する部分の第1導電型の不純物濃度は、前記第3半導体層の第1導電型の不純物濃度よりも低い、項目2に記載の撮像装置。
【0016】
[項目4]
電圧供給回路をさらに備え、
前記電圧供給回路は、前記信号電荷が前記電荷蓄積領域に蓄積される期間において、前記第1半導体層に関して逆バイアスとなる第1電圧、または前記第1半導体層と等電位となる第2電圧を、前記第3不純物領域に印加する、項目1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0017】
[項目5]
前記期間において、前記第1電圧とは異なる第3電圧、または0Vである前記第2電圧が、前記第1半導体層を介して前記第2不純物領域および前記第4不純物領域に印加される、項目4に記載の撮像装置。
【0018】
[項目6]
前記第3電圧は前記第1電圧よりも低い、項目5に記載の撮像装置。
【0019】
[項目7]
前記期間において、前記第3不純物領域と前記第2半導体層とに同じ電圧が印加される、項目4から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0020】
[項目8]
前記電荷蓄積領域をソースおよびドレインの一方として含む第2トランジスタを備え、
前記第3不純物領域と、前記第2トランジスタの前記ソースおよび前記ドレインの他方とに同じ電圧が印加される、項目1から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0021】
[項目9]
前記第2不純物領域と前記第4不純物領域とは、前記第3不純物領域を取り囲む連続した単一の不純物領域である、項目1から8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0022】
[項目10]
光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、
第1導電型の不純物を含む第1半導体層を含む半導体基板と、
前記第1半導体層内の第2導電型の不純物領域であって前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記第1半導体層内の第2導電型の第1不純物領域をソースまたはドレインとして含む第1トランジスタと、
前記電荷蓄積領域と前記第1トランジスタと間に位置する遮断構造と
を備え、
前記遮断構造は、
前記第1半導体層内の第1導電型の第2不純物領域と、
前記第2不純物領域内に位置し、一部が前記第1半導体層の表面に位置し、前記第2不純物領域よりも第1導電型の不純物濃度の高い第1導電型の第3不純物領域と
を含む、撮像装置。
【0023】
[項目11]
前記半導体基板は、
第1導電型の不純物を含む支持基板と、
前記支持基板と前記第1半導体層との間に位置し、第2導電型の不純物を含む第2半導体層と
を含む、項目10に記載の撮像装置。
【0024】
[項目12]
前記半導体基板は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に位置し、第1導電型
の不純物を含む第4不純物領域をさらに含み、
前記第4不純物領域の第1導電型の不純物濃度は、前記第1半導体層の第1導電型の不純物濃度よりも高い、項目11に記載の撮像装置。
【0025】
[項目13]
前記第4不純物領域は、平面視において前記第1不純物領域と重ならない、項目12に記載の撮像装置。
【0026】
[項目14]
前記電荷蓄積領域をソースおよびドレインの一方として含む第2トランジスタを備え、
前記第4不純物領域は、平面視において前記第2トランジスタの前記ソースおよび前記ドレインの他方と重ならない、項目12または13に記載の撮像装置。
【0027】
[項目15]
電圧供給回路をさらに備え、
前記電圧供給回路は、前記信号電荷が前記電荷蓄積領域に蓄積される期間において、第1電圧を前記第3不純物領域に印加する、項目10から14のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0028】
[項目16]
前記期間において、前記第1電圧と同じ電圧が前記支持基板を介して前記第2不純物領域に印加される、請求項15に記載の撮像装置。
【0029】
[項目17]
1以上の画素を備える撮像装置であって、
1以上の画素の各々は、
光電変換部と、
第2導電型の第1不純物領域、および、光電変換部に電気的に接続された第2導電型の電荷蓄積領域を有する半導体基板と、
光電変換部に電気的に接続されたゲートを有し、第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタと、
電荷蓄積領域をソースおよびドレインの一方として有する第2トランジスタと
を含み、
半導体基板は、
第1不純物領域と電荷蓄積領域との間において互いに分離して半導体基板中に配置された第1導電型の第2不純物領域および第4不純物領域と、
第2不純物領域と第4不純物領域との間に位置する第2導電型の第3不純物領域と
をさらに有し、
第3不純物領域の少なくとも一部は、半導体基板の表面に位置する、
撮像装置。
【0030】
項目17の構成によれば、第2導電型の第1不純物領域と電荷蓄積領域との間に第1導電型の第2、第4不純物領域を設け、さらに、これらの間に第2導電型の第3不純物領域を設けている。そのため、第1不純物領域のpn接合部で発生し、電荷蓄積領域に向かって移動する電荷を、電荷蓄積領域に到達する前に電位勾配によって第3不純物領域で収集することが可能になる。すなわち、電荷蓄積領域への余計な電荷の混入を抑制して、リーク電流に起因する画像の劣化を抑制し得る。
【0031】
[項目18]
半導体基板は、
第1導電型の不純物を含む支持基板と、
支持基板の上方に位置し、第1導電型の不純物を含む第1半導体層と、
支持基板と第1半導体層との間に位置し、第2導電型の不純物を含む第2半導体層と
を有し、
電荷蓄積領域、第1不純物領域、第2不純物領域、第4不純物領域および第3不純物領域は、第1半導体層中に位置する、
項目17に記載の撮像装置。
【0032】
項目18の構成によれば、光電変換部との電気的接続を有するコンタクトプラグが半導体基板に接触する部分の周囲に、相対的に不純物濃度の低い領域を配置することが可能になる。これにより、例えば、電荷蓄積領域とその周囲との間に形成されるpn接合における電界強度を緩和し得る。
【0033】
[項目19]
半導体基板は、第1半導体層と第2半導体層との間に位置し、第1導電型の不純物を含む第3半導体層をさらに有し、
第3半導体層は、第3不純物領域の直下の領域以外の領域に形成されており、
第1半導体層のうち第3不純物領域の直下に位置する部分の不純物濃度は、第3半導体層よりも低い、
項目18に記載の撮像装置。
【0034】
項目19の構成によれば、第3不純物領域の直下において、第2半導体層とその周囲との間に形成されるpn接合の位置が第3不純物領域に向かってせり出すので、第1不純物領域から電荷蓄積領域に向かう電荷の移動経路が狭くなる。そのため、第1不純物領域とその周囲のpn接合で発生して半導体基板中を移動する電荷が生じても、そのような電荷は、電位勾配に従って第3不純物領域または第2半導体層に向かって進行し、結果として、電荷蓄積領域への少数キャリアの移動がより効率的に抑制される。
【0035】
[項目20]
少なくとも、光電変換部によって生成された電荷を電荷蓄積領域に蓄積する電荷蓄積期間に、第1半導体層に関して逆バイアスとなる第1電圧または第1半導体層と等電位となる0Vの第2電圧を第3不純物領域に印加する電圧供給回路をさらに備える、
項目18または19に記載の撮像装置。
【0036】
項目20の構成によれば、第3不純物領域に外部から電圧を印加できるので、電荷蓄積領域に向かって移動する余計な電荷をより効率的に第3不純物領域によって回収し得る。
【0037】
[項目21]
第2不純物領域および第4不純物領域は、電荷蓄積期間に、第1半導体層を介して第1電圧とは異なる第3電圧または0Vの第2電圧の供給を受ける、
項目20に記載の撮像装置。
【0038】
[項目22]
第3電圧は、第1電圧よりも低い、
項目21に記載の撮像装置。
【0039】
項目22の構成によれば、リーク電流の原因となる少数キャリアの電荷蓄積領域への移動をさらに効率よく抑制し得る。
【0040】
[項目23]
第2半導体層は、電荷蓄積期間に、第1電圧または第2電圧と共通の電圧の供給を受ける、項目20から22のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0041】
[項目24]
第3不純物領域と、第2トランジスタのソースおよびドレインの他方とに共通の電圧が印加される、
項目17から23のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0042】
項目24の構成によれば、第3不純物領域をその一部に含む遮断構造に供給する電圧と、第2トランジスタに供給するリセット電圧とを共通とするので、別途にリセット電圧源を設ける必要が無く、撮像装置の小型化に有利である。
【0043】
[項目25]
1以上の画素を備える撮像装置であって、
1以上の画素の各々は、
光電変換部と、
第2導電型の第1不純物領域、および、光電変換部に電気的に接続された第2導電型の電荷蓄積領域を有する半導体基板と、
光電変換部に電気的に接続されたゲートを有し、第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタと、
電荷蓄積領域をソースおよびドレインの一方として有する第2トランジスタと
を含み、
半導体基板は、
第1不純物領域と電荷蓄積領域との間に位置する第1導電型の第2不純物領域と、
第2不純物領域中に位置し、第2不純物領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第3不純物領域と
をさらに有し、
第3不純物領域の少なくとも一部は、半導体基板の表面に位置する、
撮像装置。
【0044】
項目25の構成によれば、項目17と同様の効果が得られる。さらに、第2不純物領域と第3不純物領域との間で導電型が共通であるので、半導体基板中のpn接合の数を減らして、リーク電流の原因となる電荷の発生を低減する効果が期待できる。
【0045】
[項目26]
半導体基板は、
第1導電型の不純物を含む支持基板と、
支持基板の上方に位置し、第1導電型の不純物を含む第1半導体層と、
支持基板と第1半導体層との間に位置し、第2導電型の不純物を含む第2半導体層と
を有し、
電荷蓄積領域、第1不純物領域および第2不純物領域は、第1半導体層中に位置する、項目25に記載の撮像装置。
【0046】
項目26の構成によれば、項目18と同様の効果が得られる。
【0047】
[項目27]
半導体基板は、第2半導体層上に位置し、かつ、第1導電型の不純物を含む第4不純物領域をさらに有し、
第4不純物領域の不純物濃度は、第1半導体層よりも高い、
項目26に記載の撮像装置。
【0048】
[項目28]
第4不純物領域は、第1不純物領域の直下には位置しない、
項目27に記載の撮像装置。
【0049】
項目28の構成によれば、相対的に不純物濃度の高い第4不純物領域が第1不純物領域に向かって拡大するので、第1不純物領域とその周囲との間のpn接合で発生した電荷が第4不純物領域に移動しやすくなる。結果として、第1不純物領域から電荷蓄積領域に向かって移動する少数キャリアが減少し、リーク電流が抑制される。
【0050】
[項目29]
第4不純物領域は、第2トランジスタのソースおよびドレインの他方の直下には位置しない、
項目27または28に記載の撮像装置。
【0051】
項目29の構成によれば、項目28の構成と同様の理由により、第2トランジスタのソースおよびドレインの他方とその周囲との間のpn接合で発生した電荷が第4不純物領域に移動しやすくなり、電荷蓄積領域に向かって移動する少数キャリアが減少する結果、リーク電流が抑制される。
【0052】
[項目30]
少なくとも、光電変換部によって生成された電荷を電荷蓄積領域に蓄積する電荷蓄積期間に、第3不純物領域に所定の電圧を印加する電圧供給回路をさらに備える、
項目25から29のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0053】
項目30の構成によれば、第3不純物領域に外部から電圧を印加できるので、電荷蓄積領域に向かって移動する余計な電荷をより効率的に第3不純物領域によって回収し得る。
【0054】
[項目31]
電荷蓄積期間に、第3不純物領域への印加電圧と共通の電圧が第2不純物領域に印加される、
項目30に記載の撮像装置。
【0055】
項目31の構成によれば、電荷蓄積期間において第2不純物領域および第3不純物領域の電位が固定されるので、電荷蓄積領域への少数キャリアの混入をより効果的に抑制し得る。
【0056】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0057】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態による撮像装置の例示的な構成を示す。
図1に示す撮像装置100Aは、半導体基板60に形成された複数の画素10および周辺回路を有する
。
【0058】
各画素10は、光電変換部12を含む。光電変換部12は、光の入射を受けて正および負の電荷、典型的には、正孔-電子対を発生させる。光電変換部12は、半導体基板60の上方に配置された光電変換層を含む光電変換構造、あるいは、半導体基板60に形成されたフォトダイオードであり得る。なお、
図1では、各画素10の光電変換部12が空間的に互いに分離されているように図示されているが、これは説明の便宜に過ぎず、複数の画素10の光電変換部12が互いに間隔をあけずに半導体基板60上に連続的に配置されることもあり得る。
【0059】
図1に示す例では、画素10が、m行n列の複数の行および列に配列されている。ここで、m、nは、独立して1以上の整数を表す。画素10は、半導体基板60に例えば2次元に配列されることにより、撮像領域R1を形成する。各画素10が、光電変換部12として例えば半導体基板60の上方に光電変換構造を有する場合、撮像領域R1は、半導体基板60のうち、光電変換構造によって覆われている領域として規定され得る。
【0060】
画素10の数および配置は、図示する例に限定されない。例えば、撮像装置100Aに含まれる画素10の数は、1つであってもよい。この例では、各画素10の中心が正方格子の格子点上に位置しているが、例えば、各画素10の中心が、三角格子、六角格子などの格子点上に位置するように複数の画素10を配置してもよい。例えば、画素10を1次元に配列することにより、撮像装置100Aをラインセンサとして利用し得る。
【0061】
図1に例示する構成において、周辺回路は、垂直走査回路42および水平信号読み出し回路44を含む。
図1に例示するように、周辺回路は、付加的に、制御回路46を含み得る。また、後述するように、周辺回路が、例えば、画素10などに対して所定の電圧を供給する電圧供給回路をさらに含むこともあり得る。周辺回路は、信号処理回路、出力回路などをさらに含んでいてもかまわない。
【0062】
垂直走査回路42は、行走査回路とも呼ばれ、複数の画素10の各行に対応して設けられたアドレス信号線34との接続を有する。後述するように、複数の画素10の各行に対応して設けられる信号線は、アドレス信号線34に限定されず、垂直走査回路42には、複数の画素10の行ごとに複数の種類の信号線が接続され得る。水平信号読み出し回路44は、列走査回路とも呼ばれ、複数の画素10の各列に対応して設けられた垂直信号線35との接続を有する。
【0063】
制御回路46は、撮像装置100Aの例えば外部から与えられる指令データ、クロックなどを受け取って撮像装置100A全体を制御する。典型的には、制御回路46は、タイミングジェネレータを有し、垂直走査回路42、水平信号読み出し回路44、後述の電圧供給回路などに駆動信号を供給する。
図1中、制御回路46から延びる矢印は、制御回路46からの出力信号の流れを模式的に表現している。制御回路46は、例えば1以上のプロセッサを含むマイクロコントローラによって実現され得る。制御回路46の機能は、汎用の処理回路とソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよいし、このような処理に特化したハードウェアによって実現されてもよい。
【0064】
図1において模式的に示すように、周辺回路を構成するこれらの回路は、典型的には、撮像領域R1の外側の周辺領域R2に配置される。
図1に示す例では、周辺回路に含まれる各回路は、半導体基板60上に設けられている。ただし、周辺回路の一部が、画素10の形成された半導体基板60とは異なる他の基板上に配置されることもあり得る。
【0065】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を模式的に示す。
図2では、図面が複雑となることを避けるために、2行2列に配列された4つの画素10Aが代表して示されている。これら画素10Aの各々は、
図1に示す画素10の一例である。画素10Aの各々は、光電変換部12としての光電変換構造12Aを有し、光電変換構造12Aに電気的に接続された信号検出回路14Aを含む。後に図面を参照して詳しく説明するように、光電変換構造12Aは、半導体基板60の上方に配置された光電変換層を含む。すなわち、ここでは、撮像装置100Aとして積層型の撮像装置を例示する。なお、本明細書において、「上方」、「下方」、「上面」および「下面」などの用語は、あくまでも部材間の相互の配置を指定するために用いており、撮像装置の使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0066】
各画素10Aの光電変換構造12Aは、蓄積制御線31との接続を有する。撮像装置100Aの動作時、蓄積制御線31には所定の電圧が印加される。例えば、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、正の電荷を信号電荷として利用する場合であれば、撮像装置100Aの動作時に蓄積制御線31に例えば10V程度の正電圧が印加され得る。以下では、信号電荷として正孔を利用する場合を例示する。
【0067】
図2に例示する構成において、信号検出回路14Aは、信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26を含む。後に図面を参照して詳しく説明するように、信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26は、典型的には、光電変換構造12Aを支持する半導体基板60に形成された電界効果トランジスタである。以下では、特に断りの無い限り、トランジスタとしてNチャンネルMOSを用いる例を説明する。
【0068】
図2において模式的に示すように、信号検出トランジスタ22のゲートは、光電変換構造12Aに電気的に接続されている。図示する例において、信号検出トランジスタ22のゲートを光電変換部12に接続する電荷蓄積ノードFDは、光電変換構造12Aによって生成された電荷を一時的に保持する機能を有する。動作時に蓄積制御線31に所定の電圧を印加することにより、電荷蓄積ノードFDに例えば正孔を信号電荷として蓄積することができる。後に図面を参照して説明するように、電荷蓄積ノードFDは、半導体基板60に形成された不純物領域をその一部に含む。
【0069】
信号検出トランジスタ22のドレインは、撮像装置100Aの動作時に各画素10Aに例えば3.3V程度の電源電圧VDDを供給する電源配線32に接続され、ソースは、アドレストランジスタ24を介して垂直信号線35に接続される。信号検出トランジスタ22は、ドレインに電源電圧VDDの供給を受けることにより、電荷蓄積ノードFDに蓄積された信号電荷の量に応じた信号電圧を出力する。
【0070】
信号検出トランジスタ22と垂直信号線35との間に接続されたアドレストランジスタ24のゲートには、アドレス信号線34が接続されている。したがって、垂直走査回路42は、アドレストランジスタ24のオンおよびオフを制御する行選択信号をアドレス信号線34に印加することにより、選択した画素10Aの信号検出トランジスタ22の出力を、対応する垂直信号線35に読み出すことができる。なお、アドレストランジスタ24の配置は、
図2に示す例に限定されず、信号検出トランジスタ22のドレインと電源配線32との間であってもよい。
【0071】
垂直信号線35の各々には、負荷回路45およびカラム信号処理回路47が接続されている。負荷回路45は、信号検出トランジスタ22とともにソースフォロア回路を形成する。カラム信号処理回路47は、行信号蓄積回路とも呼ばれ、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換などを行う。水平信号読み出し回路44は、複数のカラム信号処理回路47から水平共通信号線49に信号を順次読み出
す。負荷回路45およびカラム信号処理回路47は、上述の周辺回路の一部であり得る。
【0072】
リセットトランジスタ26のゲートには、垂直走査回路42との接続を有するリセット信号線36が接続される。リセット信号線36は、アドレス信号線34と同様に複数の画素10Aの行ごとに設けられる。垂直走査回路42は、アドレス信号線34に行選択信号を印加することにより、リセットの対象となる画素10Aを行単位で選択することができ、リセット信号線36を介してリセット信号をリセットトランジスタ26のゲートに印加することにより、選択された行のリセットトランジスタ26のオンおよびオフを切り替えることができる。リセットトランジスタ26がオンとされることにより、電荷蓄積ノードFDの電位がリセットされる。
【0073】
この例では、リセットトランジスタ26のドレインおよびソースの一方は、電荷蓄積ノードFDに接続され、ドレインおよびソースの他方は、複数の画素10Aの列ごとに設けられたフィードバック線53のうちの対応する1つに接続されている。すなわち、この例では、光電変換構造12Aの電荷を初期化するリセット電圧として、フィードバック線53の電圧が電荷蓄積ノードFDに供給される。
【0074】
図2に例示する構成において、撮像装置100Aは、反転増幅器50を帰還経路の一部に含むフィードバック回路16Aを有する。
図2に示すように、反転増幅器50は、複数の画素10Aの列ごとに設けられ、上述のフィードバック線53は、複数の反転増幅器50のうちの対応する1つの出力端子に接続される。反転増幅器50は、上述の周辺回路の一部であり得る。
【0075】
図示するように、反転増幅器50の反転入力端子は、対応する列の垂直信号線35に接続され、反転増幅器50の非反転入力端子には、撮像装置100Aの動作時、例えば1Vまたは1V近傍の正電圧である参照電圧Vrefが供給される。アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26をオンとすることにより、その画素10Aの出力を負帰還させる帰還経路を形成することができ、帰還経路の形成により、垂直信号線35の電圧が、反転増幅器50の非反転入力端子への入力電圧Vrefに収束する。換言すれば、帰還経路の形成により、垂直信号線35の電圧がVrefとなるような電圧に、電荷蓄積ノードFDの電圧がリセットされる。電圧Vrefとしては、電源電圧および接地の範囲内の任意の大きさの電圧を用い得る。帰還経路の形成により、リセットトランジスタ26のオフに伴って発生するリセットノイズを低減可能である。フィードバックを利用したリセットノイズの抑制の詳細は、国際公開第2012/147302号において説明されている。参考のために、国際公開第2012/147302号の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0076】
(画素10Aのデバイス構造)
図3Aは、画素10Aのデバイス構造の一例を模式的に示す。画素10Aは、概略的には、半導体基板60Aと、半導体基板60Aの上方に配置された光電変換構造12Aと、導電構造89とを含む。図示するように、光電変換構造12Aは、半導体基板60Aを覆う層間絶縁層90に支持され、導電構造89は、層間絶縁層90の内部に配置されている。図示する例において、層間絶縁層90は、複数層の絶縁層を含み、導電構造89は、層間絶縁層90の内部に配置された複数層の配線層の各々の一部を含む。層間絶縁層90中に配置された複数層の配線層は、アドレス信号線34およびリセット信号線36などをその一部に有する配線層、垂直信号線35、電源配線32およびフィードバック線53などをその一部に有する配線層などを含み得る。言うまでもないが、層間絶縁層90中の絶縁層の数および配線層の数は、この例に限定されず、任意に設定可能である。
【0077】
光電変換構造12Aは、層間絶縁層90上に形成された画素電極12a、光の入射側に
配置された対向電極12c、および、これらの電極間に配置された光電変換層12bを含む。光電変換構造12Aの光電変換層12bは、有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から形成され、対向電極12cを介して入射した光を受けて、光電変換により正および負の電荷を生成する。光電変換層12bは、典型的には、複数の画素10Aにわたって連続的に形成される。光電変換層12bは、有機材料から構成される層と無機材料から構成される層とを含んでいてもよい。
【0078】
対向電極12cは、ITOなどの透明導電性材料から形成された透光性の電極である。本明細書における「透光性」の用語は、光電変換層12bが吸収可能な波長の光の少なくとも一部を透過することを意味し、可視光の波長範囲全体にわたって光を透過することは必須ではない。典型的には、対向電極12cは、光電変換層12bと同様に、複数の画素10Aにわたって形成される。
図3Aにおいて図示が省略されているが、対向電極12cは、上述の蓄積制御線31との接続を有する。撮像装置100Aの動作時、蓄積制御線31の電位を制御して対向電極12cの電位を画素電極12aの電位よりも例えば高くする。これにより、光電変換で生成された正および負の電荷のうち正の電荷を画素電極12aによって選択的に収集することができる。複数の画素10Aにわたって連続した単一の層の形で対向電極12cを形成してもよい。これにより、複数の画素10Aの対向電極12cに、一括して所定の電位を印加することが可能になる。
【0079】
画素電極12aは、アルミニウム、銅などの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される電極である。画素電極12aは、隣接する他の画素10Aの画素電極12aから空間的に分離されることにより、他の画素10Aの画素電極12aから電気的に分離される。
【0080】
導電構造89は、典型的には、銅もしくはタングステンなどの金属、または、金属窒化物もしくは金属酸化物などの金属化合物から形成された複数の配線およびプラグと、ポリシリコンプラグとを含む。導電構造89の一端は、画素電極12aに接続されている。後述するように、半導体基板60Aに形成された回路素子に導電構造89の他端が接続されることにより、光電変換構造12Aの画素電極12aと半導体基板60A上の回路とが互いに電気的に接続される。
【0081】
ここで、半導体基板60Aに注目する。
図3Aに模式的に示すように、半導体基板60Aは、支持基板61と、支持基板61上に形成された1以上の半導体層とを含む。ここでは、支持基板61として、p型シリコン基板を例示する。
【0082】
図3Aに例示する構成において、半導体基板60Aは、支持基板61上のp型半導体層61pと、p型半導体層61p上のn型半導体層62nと、n型半導体層62n上のp型半導体層63pと、p型半導体層63p上に位置するp型半導体層65pとを有する。この例では、p型半導体層63pは、支持基板61のおおむね全面にわたって形成されている。第1半導体層としてのp型半導体層65p、第2半導体層としてのn型半導体層62n、第3半導体層としてのp型半導体層63p、および、p型半導体層61pの各々は、典型的には、エピタキシャル成長で形成した半導体層への不純物のイオン注入によって形成される。
【0083】
p型半導体層63pおよびp型半導体層65pにおける不純物濃度は、p型半導体層61pの不純物濃度よりも高い。ここでは、p型半導体層63pの不純物濃度は、p型半導体層65pよりも高い。p型半導体層61pの不純物濃度は、例えば1015cm-3程度、p型半導体層65pの不純物濃度は、例えば1017cm-3程度である。p型半導体層63pの不純物濃度は、例えば1018cm-3程度であり得る。なお、上記の不純物濃度の相互の関係は、あくまでも一例であり、p型半導体層63pおよびp型半導体層
65pにおける不純物濃度が、互いに同程度であるような構成も採用し得る。あるいは、p型半導体層65pにおける不純物濃度が、p型半導体層63pの不純物濃度を上回っていることもあり得る。
【0084】
n型半導体層62nは、p型半導体層61pとp型半導体層63pとの間に位置する。
図3Aにおいては図示が省略されているが、n型半導体層62nには、不図示のウェルコンタクトが接続される。ウェルコンタクトは、撮像領域R1の外側に設けられ、撮像装置100Aの動作時、n型半導体層62nの電位は、ウェルコンタクトを介して制御される。n型半導体層62nを設けることにより、支持基板61または周辺回路から、信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域への少数キャリアの流入が抑制される。
【0085】
さらに、この例では、半導体基板60Aは、p型半導体層61pとn型半導体層62nとを貫通するようにしてp型半導体層63pと支持基板61との間に設けられたp型領域64を有する。p型領域64は、p型半導体層63pおよびp型半導体層65pと比較して高い不純物濃度を有し、p型半導体層63pと支持基板61とを互いに電気的に接続する機能を有する。
【0086】
支持基板61は、
図3Aにおいては不図示の、撮像領域R1の外側に設けられた基板コンタクトとの接続を有する。撮像装置100Aの動作時、基板コンタクトを介して、支持基板61およびp型半導体層63pの電位が制御される。また、p型半導体層63pに接するようにp型半導体層65pを配置することにより、撮像装置100Aの動作時にp型半導体層63pを介してp型半導体層65pの電位を制御することが可能である。撮像装置100Aの動作時、p型半導体層65pには、基板コンタクトを介して例えば0Vの電圧が印加され得る。
【0087】
図3Aに例示する構成において、p型半導体層65pは、不純物濃度がより低いp型不純物領域66pをその一部に有し、p型不純物領域66p中にn型不純物領域67nが形成されている。
図3Aに模式的に示すように、n型不純物領域67nは、半導体基板60Aの表面の近傍に形成されており、その少なくとも一部は、半導体基板60Aの表面に位置している。ここでは、n型不純物領域67nは、第1領域67aと、第1領域67a内に位置し、かつ、第1領域67aよりも不純物濃度の高い第2領域67bとを含んでいる。第1領域67aの不純物濃度は、例えば10
17cm
-3程度であり、第2領域67bの不純物濃度は、例えば3*10
18cm
-3程度である。ここで、「*」は、乗算を意味する。
【0088】
半導体基板60Aの光電変換構造12A側の主面上には、絶縁層が配置される。この例では、半導体基板60Aの光電変換構造12A側の主面は、第1絶縁層71、第2絶縁層72および第3絶縁層73によって覆われている。第1絶縁層71は、例えばシリコンの熱酸化膜である。第2絶縁層72は、例えば二酸化シリコン層であり、第3絶縁層73は、例えばシリコン窒化物層である。第2絶縁層72が、複数の絶縁層を含む積層構造を有していてもよく、同様に、第3絶縁層73も、複数の絶縁層を含む積層構造を有していてもよい。
【0089】
第1絶縁層71、第2絶縁層72および第3絶縁層73の積層構造は、n型不純物領域67nの第2領域67b上にコンタクトホールh1を有する。
図3Aに示す例では、導電構造89の一部であるコンタクトプラグCp1がコンタクトホールh1を介して第2領域67bに接続されている。これにより、n型不純物領域67nが、導電構造89を介して光電変換構造12Aの画素電極12aに電気的に接続されている。
【0090】
pウェルとしてのp型不純物領域66pおよびn型不純物領域67nの間のpn接合に
よって形成される接合容量は、信号電荷の少なくとも一部を蓄積する容量として機能する。すなわち、n型不純物領域67nは、信号電荷を一時的に保持する電荷蓄積領域としての機能を有する。導電構造89およびn型不純物領域67nは、上述の電荷蓄積ノードFDの少なくとも一部を構成するといえる。
【0091】
上述したように、p型半導体層63pに隣接してp型半導体層65pを配置することにより、撮像装置100Aの動作時にp型半導体層63pを介してp型半導体層65pの電位を制御することが可能である。このような構造の採用により、光電変換構造12Aとの電気的接続を有するコンタクトプラグCp1と半導体基板60Aとが接触する部分の周囲に、相対的に不純物濃度の低い領域を配置することが可能になる。すなわち、この例のように、n型不純物領域67nの第2領域67bの周囲に、第1領域67aおよびp型不純物領域66pを配置し得る。相対的に不純物濃度の低い第1領域67aを第2領域67bの周囲に配置することにより、n型不純物領域67nと、p型不純物領域66pとの間のpn接合によって形成される電界強度を緩和し得る。pn接合によって形成される電界強度が緩和されることにより、pn接合によって形成される電界に起因するリーク電流を抑制する効果が得られる。
【0092】
なお、n型不純物領域67nにおける第2領域67bの形成は必須ではない。ただし、コンタクトプラグCp1と半導体基板60Aとの接続部分である第2領域67bの不純物濃度を比較的高くすることにより、コンタクトプラグCp1と半導体基板60Aとが接触する部分の周囲の空乏層の広がりを抑制する効果が得られる。また、コンタクトプラグCp1と半導体基板60Aとの界面における半導体基板60Aの結晶欠陥、換言すれば、界面準位に起因して発生する、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nへの意図しない電荷の流入および/またはn型不純物領域67nからの意図しない電荷の流出を抑制し得る。また、比較的高い不純物濃度を有する第2領域67bにコンタクトプラグCp1を接続することにより、コンタクト抵抗を低減する効果も得られる。
【0093】
半導体基板60Aには、上述の信号検出回路14Aが形成される。画素10A中の信号検出回路14Aは、互いに隣接する画素10A間に素子分離領域69が配置されることにより、隣接する他の画素10A中の信号検出回路14Aから電気的に分離される。素子分離領域69は、例えばp型の拡散領域である。
【0094】
信号検出回路14Aのうち、リセットトランジスタ26は、n型不純物領域67nをドレイン領域およびソース領域の一方として含み、n型不純物領域68anをドレイン領域およびソース領域の他方として含む。リセットトランジスタ26は、さらに、第1絶縁層71上のゲート電極26eを含み、第1絶縁層71のうちゲート電極26eと半導体基板60Aとの間に位置する部分は、リセットトランジスタ26のゲート絶縁膜として機能する。n型不純物領域68anは、p型半導体層65pに形成されており、コンタクトホールh2を介してフィードバック線53に接続されている。
【0095】
p型半導体層65pには、n型不純物領域68bn、68cnおよび68dnも設けられる。なお、n型不純物領域68an、68bn、68cnおよび68dnの不純物濃度は、n型不純物領域67nの第1領域67aよりも高い。
【0096】
信号検出トランジスタ22は、n型不純物領域68bnと、n型不純物領域68cnと、第1絶縁層71上のゲート電極22eとを含む。
図3A中に破線で模式的に示すように、この例では、ゲート電極22eは、アドレス信号線34およびリセット信号線36などが位置するレイヤーにおいて、導電構造89のうち画素電極12aとコンタクトプラグCp1とを互いに接続する部分に接続されている。換言すれば、導電構造89は、ゲート電極22eとの電気的接続も有している。
【0097】
ドレイン領域としてのn型不純物領域68bnには、コンタクトホールh3を介してコンタクトプラグCp3が接続されている。コンタクトプラグCp3には、ソースフォロワ電源としての上述の電源配線32が接続される。なお、電源配線32は、
図3Aにおいては図示が省略されている。
【0098】
図3Aに模式的に示すように、n型不純物領域68bnは、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nから離間してp型半導体層65p中に配置される。この例では、n型不純物領域68bnと、n型不純物領域67nとの間に不純物領域69nと、p型の不純物領域69paおよび69pbとが介在させられることにより、n型不純物領域68bnがn型不純物領域67nから電気的に分離されている。また、この例では、p型不純物領域66pがn型不純物領域68bnの位置まで延びており、上述の不純物領域69n、不純物領域69paおよび69pbは、p型半導体層65pのうち相対的に不純物濃度が低くされたp型不純物領域66p中に配置されている。
図3Aに模式的に示すように、半導体基板60Aの主面に垂直な断面を見たとき、不純物領域69paおよび69pbは、n型不純物領域68bnと、n型不純物領域67nとの間において互いに分離してp型不純物領域66p中に配置される。不純物領域69paおよび69pbの各々は、上述の素子分離領域69の一部であり、典型的には、p型の拡散領域である。不純物領域69paおよび69pbにおける不純物濃度は、例えば10
18cm
-3以上5*10
18cm
-3以下程度の範囲である。
【0099】
導電型の異なるn型の不純物領域69nは、これらp型の不純物領域69paおよび69pbの間に位置する。不純物領域69nは、典型的には、n型の拡散領域である。不純物領域69nは、n型不純物領域67nの第1領域67aと比較して同程度以上の不純物濃度を有する。すなわち、不純物領域69nは、例えば1017cm-3程度以上の不純物濃度を有し得る。後に実施例を参照しながら説明するように、n型不純物領域68bnとn型不純物領域67nとの間にn型の不純物領域69nと、p型の不純物領域69paおよび69pbとを設けることにより、n型不純物領域68bnのpn接合部で発生し、n型不純物領域67nに向かって移動する電荷を電位勾配によって不純物領域69nに向けて移動させ得る。
【0100】
図3Aにおいて模式的に示すように、不純物領域69nの少なくとも一部は、半導体基板60Aの表面に位置する。同様に、不純物領域69paの少なくとも一部および69pbの少なくとも一部も、半導体基板60Aの表面に位置する。したがって、p型半導体層65pの表面において、不純物領域69paから不純物領域69pbに向かう方向に沿って、不純物領域69pa、不純物領域69n、および不純物領域69pbがこの順に配置される。不純物領域69paおよび69pbは、平面視において不純物領域69nを取り囲むような配置を有していてもよい。換言すれば、不純物領域69nの少なくとも下方には、比較的高濃度のp型の領域は、配置されない。このような配置を採用することにより、高濃度のp型の不純物領域中にn型の不純物領域69nを設けるような構成と比較して、p型の不純物領域とn型の不純物領域69nとの間にpn接合が形成されることに起因するリーク電流の発生を回避できる。
【0101】
なお、
図3Aに例示する構成においては、さらに、不純物領域69paと不純物領域69nとの間、および、不純物領域69pbと不純物領域69nとの間にp型不純物領域66pの一部が介在させられている。この例のように、不純物領域69nから間隔をあけて不純物領域69paおよび69pbをp型不純物領域66p中に配置することにより、比較的高濃度のp型の領域と比較的高濃度のn型の領域とが接することによるpn結合の形成を回避でき、リーク電流の発生をより抑制し得る。
【0102】
上述したように、信号検出トランジスタ22のドレイン領域として機能するn型不純物領域68bnには、撮像装置100Aの動作時、3.3V程度の比較的高い電圧が印加される。本発明者らの検討によると、高電圧が印加されるドレイン領域とその周囲との間に形成されるpn接合で電子が生成されると、その一部が、素子分離領域の界面準位およびシリコン基板表面の界面準位を介した拡散によって電荷蓄積領域に流入することが生じ得る。このような、電荷蓄積領域への余計な電荷の流入に起因するリーク電流は、得られる画像の劣化の原因となり得る。
【0103】
しかしながら、本開示の第1の実施形態によれば、n型不純物領域68bnと電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nとの間に不純物領域69paおよび69pb、69nが介在させられている。そのため、n型不純物領域68bnのpn接合部で発生し、n型不純物領域67nに向かって拡散によって移動する電荷を、n型不純物領域67nに到達する前に不純物領域69nで収集することができる。すなわち、n型不純物領域68bnのpn接合部で発生し、n型不純物領域67nに向かって移動する電荷が生じた場合であっても、信号電荷を蓄積するn型不純物領域67nへの余計な電荷の混入を抑制して、リーク電流に起因する画像の劣化を抑制し得る。
【0104】
その意味で、不純物領域69paおよび69pb、69nをあわせてリーク電流遮断構造と呼ぶことができる。以下では、簡単のために、不純物領域69paおよび69pb、69nを含む構造をまとめて便宜的に「遮断構造28A」と呼ぶことがある。画素中に遮断構造28Aを設けることにより、n型不純物領域67nへの少数キャリアの移動が遮断構造28Aによって遮断され、その結果、n型不純物領域67nへの少数キャリアの混入によるリーク電流を抑制する効果が得られる。
【0105】
半導体基板60Aには、さらに、アドレストランジスタ24も形成されている。アドレストランジスタ24は、n型不純物領域68cn、n型不純物領域68dn、および、第1絶縁層71上のゲート電極24eを含む。n型不純物領域68cnは、アドレストランジスタ24のドレイン領域として機能し、n型不純物領域68dnは、アドレストランジスタ24のソース領域として機能する。第1絶縁層71のうちゲート電極24eと半導体基板60Aとの間に位置する部分は、アドレストランジスタ24のゲート絶縁膜として機能する。この例では、アドレストランジスタ24と信号検出トランジスタ22との間でn型不純物領域68cnが共有されることにより、これらのトランジスタが互いに電気的に接続されている。
図3Aに模式的に示すように、n型不純物領域68dnには、コンタクトホールh4を介して垂直信号線35が接続される。
【0106】
(第1の変形例)
図3Bは、第1の実施形態の第1の変形例による撮像装置の例示的な構成を模式的に示す。
図3Bに示す画素10Asと、
図3Aを参照して説明した画素10Aとの間の主な相違点は、画素10Asでは、p型半導体層63pに代えてp型半導体層63psが半導体基板60A中に設けられている点である。
【0107】
図3Bに模式的に示すように、p型半導体層63psは、n型半導体層62n上において不純物領域69nの直下の領域以外の領域に形成されている。換言すれば、p型半導体層63psは、不純物領域69nの直下に位置する部分に開口を有する。図示するように、この開口の内部には、p型不純物領域66pの一部であるp型不純物領域66paが位置している。
【0108】
上述したように、p型不純物領域66pの不純物濃度は、p型半導体層65pと比較して低い。したがって、p型不純物領域66paは、p型半導体層63pよりも小さな不純物濃度を有する。p型不純物領域66paにおける不純物濃度は、例えば1016cm-
3程度であり得る。後に実施例により説明するように、p型半導体層63pの一部、特に、不純物領域69nの直下の位置に相対的に不純物濃度の低い領域を設けることにより、n型不純物領域67nに向かって移動する不要な少数キャリアをn型半導体層62nに吸収させ得る。結果として電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nへの不要な電流の流れ込みがより抑制され、リーク電流抑制の効果が期待できる。
【0109】
(第2の変形例)
図4は、第1の実施形態の第2の変形例による撮像装置の例示的な構成を模式的に示す。
図1に示す撮像装置100Aと比較して、
図4に示す撮像装置100Bは、周辺領域R2に配置された電圧供給回路48をさらに有する。
【0110】
図4に模式的に示すように、電圧供給回路48は、制御回路46からの駆動信号に基づき、電圧線38を介して各画素10に所定の電圧を供給する。電圧供給回路48は、特定の電源回路に限定されず、バッテリーなどの電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよいし、所定の電圧を生成する回路であってもよい。電圧供給回路48は、上述の垂直走査回路42の一部であってもよい。
【0111】
図5は、
図4に示す撮像装置100Bが有する画素のデバイス構造を模式的に示す。
図3Aおよび
図3Bに示す例と同様に、
図5に示す画素10Bにおいても、ゲート電極22eは、アドレス信号線34およびリセット信号線36などが位置するレイヤーにおいて導電構造89に電気的に接続される。
【0112】
図3Bを参照して説明した画素10Asと比較して、
図5に示す画素10Bは、遮断構造28Aに代えて遮断構造28Bを有する。遮断構造28Bは、不純物領域69pa、69pbおよび不純物領域69nに加えて、コンタクトプラグCp8をさらに含む。コンタクトプラグCp8は、第1絶縁層71、第2絶縁層72および第3絶縁層73に設けられたコンタクトホールh8を介して不純物領域69nに接続されている。
図5に模式的に示すように、コンタクトプラグCp8は、不純物領域69nと電圧線38とを互いに電気的に接続する。
図5では、電圧線38がアドレス信号線34およびリセット信号線36と同層に位置しているが、電圧線38は、アドレス信号線34、リセット信号線36および導電構造89のいずれとの間にも電気的接続を有しない。
【0113】
図4を参照して説明したように、電圧線38は、電圧供給回路48との接続を有する。すなわち、この例では、遮断構造28Bは、電圧線38を介して不純物領域69nに電圧を印加可能に構成されている。電圧供給回路48は、動作時、例えば、p型半導体層65pに関して逆バイアスとなる電圧を遮断構造28Bの不純物領域69nに供給する。すなわち、電圧供給回路48は、p型半導体層65pよりも高い電圧を遮断構造28Bの不純物領域69nに供給する。あるいは、電圧供給回路48は、動作時、電圧線38を介して、不純物領域69nがp型半導体層65pと等電位になるような電圧を不純物領域69nに印加してもよい。不純物領域69nがp型半導体層65pと等電位になるような電圧としては、例えば0Vの電圧を用い得る。
【0114】
電圧供給回路48による電圧印加は、撮像装置100Bの動作時に恒常的に実行される必要はなく、少なくとも、露光期間、換言すれば、光電変換部12によって生成された電荷をn型不純物領域67nに蓄積する電荷蓄積期間に実行されればよい。不純物領域69nへの電圧の印加により、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nに向かって移動する余計な電荷をより効率的に不純物領域69nによって回収し得る。遮断構造28Bに印加される電圧は、垂直走査回路42から供給されてもよい。
【0115】
上述したように、支持基板61およびp型半導体層63pの電位は、基板コンタクトを
介して制御される。すなわち、基板コンタクトに印加する電圧の制御により、p型半導体層63p上に配置されたp型半導体層65pの電位、ひいては、p型半導体層65p内に配置された不純物領域69paおよび69pbの電位を制御し得る。換言すれば、遮断構造28B中の不純物領域69nと、遮断構造28B中の不純物領域69paおよび69pbとに、例えば、互いに異なる電圧を個別に印加することが可能である。
【0116】
図6Aは、画素10Bと電圧供給回路48との間の電気的接続の例を模式的に示す。
図6Aに例示する構成では、基板コンタクト61Cに第2の電圧供給回路48bが接続されている。電圧供給回路48bは、基板コンタクト61Cに電圧を供給することにより、支持基板61、p型領域64、p型半導体層63pおよびp型半導体層65pを介して、遮断構造28B中の不純物領域69paおよび69pbの電位を制御可能である。基板コンタクト61Cを介して不純物領域69paおよび69pbに印加される電圧は、例えば、電圧線38を介して不純物領域69nに印加される電圧よりも低い。あるいは、不純物領域69paおよび69pb、p型半導体層65p、ならびに不純物領域69nが等電位となるように、基板コンタクト61Cを介して不純物領域69paおよび69pbに同じ電圧、例えば0Vの電圧が印加されてもよい。不純物領域69paおよび69pbへの外部からの電圧の印加は、遮断構造28Bの不純物領域69nへの電圧印加と同様に、少なくとも、電荷蓄積期間に選択的に実行されればよい。別個の2つの電圧供給回路を設けず、単一の電圧供給回路により、不純物領域69nと基板コンタクト61Cとに独立して電圧を供給してもかまわない。
【0117】
図6Bは、画素10Bと電圧供給回路48との間の電気的接続の他の例を模式的に示す。
図6Aに示す例では、電圧線38は、不純物領域69nだけでなく、例えばウェルコンタクト62Cに接続されることにより、n型半導体層62nにも接続されている。すなわち、
図6Bに例示する構成において、電圧供給回路48は、例えば電荷蓄積期間に、不純物領域69nおよびn型半導体層62nの両方に共通の電圧を印加可能である。ウェルコンタクト62Cを介してn型半導体層62nに印加される電圧は、p型半導体層65pに関して不純物領域69nが逆バイアスとなるような電圧であってもよい。すなわち、ウェルコンタクト62Cを介してn型半導体層62nに印加される電圧は、p型半導体層65pよりも高い電圧であってもよい。あるいは、不純物領域69nがp型半導体層65pと等電位となる電圧、例えば0Vの電圧であってもよい。もちろん、
図6Aを参照して説明した例のように、基板コンタクト61Cを介して、遮断構造28B中の不純物領域69paおよび69pbの電位をさらに制御してもよい。
【0118】
例えば、n型半導体層62nおよび不純物領域69nに、p型半導体層65pに対して逆バイアスとなる電圧を印加し得る。すなわち、n型半導体層62nおよび不純物領域69nに、p型半導体層65pよりも高い電圧を印加し得る。このような電圧印加により、リーク電流の原因となる少数キャリアを遮断構造28Bによってさらに効率よく吸収し得る。すなわち、不純物領域69nおよびn型半導体層62nの両方への電圧の印加により、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nに向かって移動する余計な電荷をより効率的に不純物領域69nまたはn型半導体層62nによって回収することが可能になる。
【0119】
図7は、遮断構造28Bに対する電気的接続のさらに他の例を模式的に示す。
図7に示すように、フィードバック線53に代えて、リセットトランジスタ26のn型不純物領域68anに電圧線38を接続してもよい。すなわち、この例では、電圧供給回路48は、リセット電圧を各画素に供給するリセット電圧源としても機能している。リセットトランジスタ26に遮断構造28Bの不純物領域69nと共通の電圧を供給することにより、別途リセット電圧源を配置する必要が無くなるので、撮像装置の小型化に有利である。
【0120】
(第3の変形例)
図8は、本開示の第1の実施形態による撮像装置の第3の変形例を示す。
図8は、撮像装置の第3の変形例が有する画素10Cのうちの1つを代表して取り出し、画素10Cの例示的な回路構成を示す。
図2に示す信号検出回路14Aと比較して、
図8に示す画素10Cの信号検出回路14Cは、信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26に加えて、帯域制御トランジスタ56、第1容量素子51および第2容量素子52をさらに有する。
【0121】
帯域制御トランジスタ56は、リセットトランジスタ26と、フィードバック線53との間に接続され、そのゲートには、フィードバック制御線58が接続される。フィードバック制御線58は、例えば垂直走査回路42に接続され、撮像装置の動作時、帯域制御トランジスタ56のゲート電圧は、垂直走査回路42によって制御される。
【0122】
第1容量素子51は、比較的小さな容量値を有し、リセットトランジスタ26に並列に接続される。第2容量素子52は、第1容量素子51よりも大きな容量値を有し、リセットトランジスタ26および帯域制御トランジスタ56の間のノードRDに一方の電極が接続され、第2容量素子52の他方の電極は、感度調整線54に接続される。感度調整線54は、例えば垂直走査回路42に接続され、撮像装置100の動作時、その電位が例えば0Vに設定される。
【0123】
帯域制御トランジスタ56をオンとすることにより、信号検出トランジスタ22および帯域制御トランジスタ56をその経路に含む帰還経路を形成することができる。すなわち、
図8に示すフィードバック回路16Cによって形成される帰還経路は、反転増幅器50に加えて帯域制御トランジスタ56をも含む。第2容量素子52および帯域制御トランジスタ56は、RCフィルタ回路として機能し得る。
【0124】
信号検出トランジスタ22の出力信号の一部または全部を電気的に帰還させるフィードバックループの形成により、リセットトランジスタ26および帯域制御トランジスタ56のオフに伴って発生するkTCノイズの影響を低減することが可能である。帰還を利用したこのようなノイズキャンセルの詳細は、特開2017-046333号公報に説明されている。また、
図8に例示するような回路構成によれば、リセットトランジスタ26をゲイン切替え用のトランジスタとしても機能させ得る。このようなモード切り替えの詳細も、特開2017-046333号公報に説明されている。参考のために、特開2017-046333号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0125】
図8に示すような、リセットトランジスタ26とフィードバック線53との間に帯域制御トランジスタ56を接続した回路構成においては、ノイズ低減の観点から、例えば信号検出トランジスタ22のドレイン領域からのノードRDへの余計な電荷の混入を抑制して、ノードRDにおけるリーク電流を抑制できると有益である。以下に説明するように、電荷蓄積ノードFDと同様の接続構造をノードRDに適用することにより、ノードRDにおけるリーク電流を抑制し得る。
【0126】
(画素10Cのデバイス構造)
図9は、
図8に示す画素10Cのデバイス構造の一例を模式的に示す。
図9に例示する構成において、画素10Cは、光電変換構造12Aを支持する半導体基板76を含む。半導体基板76は、
図3B、
図5に示す半導体基板60Aと同様に、支持基板61と、p型半導体層63psを含む支持基板61上の複数の半導体層とを有する。半導体基板76は、p型半導体層63ps上にp型半導体層75pを有する。p型半導体層75pにおける不純物濃度は、上述のp型半導体層65pと同程度であり得る。p型半導体層75pは、p型不純物領域66pおよびp型不純物領域76pを有する。p型不純物領域76pにおける不純物濃度は、p型不純物領域66pと同程度であり得る。p型不純物領域76pに
は、n型不純物領域77nが形成されている。n型不純物領域77nは、リセットトランジスタ26のドレイン領域およびソース領域の一方として機能する。
【0127】
n型不純物領域77nは、n型不純物領域67nと同様に、第1領域77aと、第1領域77a内に配置された第2領域77bとを含む。第1領域77aは、n型不純物領域67nの第1領域67aと例えば同程度の不純物濃度を有する。あるいは、第1領域77aの不純物濃度は、第1領域67aよりも大きい。これは、電荷蓄積ノードFDよりもノードRDの方がリーク電流の許容値を大きく設定可能なためである。第1領域77aの不純物濃度を第1領域67aの不純物濃度よりも大きくすることにより、リセットトランジスタ26の例えばソース側の寄生抵抗を低減でき、リセットトランジスタ26の電流駆動能力を向上させ得る。
【0128】
図示する例において、第1絶縁層71、第2絶縁層72および第3絶縁層73の積層構造は、n型不純物領域77n上の領域に設けられたコンタクトホールh5を有する。このコンタクトホールh5を介して、コンタクトプラグCp5がn型不純物領域77nに接続される。この例では、n型不純物領域77nの第2領域77bにコンタクトプラグCp5が接続されている。ここで、第2領域77bは、第1領域77aよりも高い不純物濃度を有する。n型不純物領域77n内への高不純物濃度の第2領域77bの形成は必須ではないが、n型不純物領域77n内に第2領域77bを形成することにより、コンタクト抵抗低減の効果が得られる。
【0129】
コンタクトプラグCp5は、コンタクトプラグCp1などの他のコンタクトプラグと同層であり、典型的にはポリシリコン膜のパターニングによって形成される。コンタクトプラグCp5は、層間絶縁層90内に配置されたメタルプラグp5などを介して配線88に接続される。配線88は、第2容量素子52が有する電極のうち感度調整線54に接続されていない側の電極に接続された配線である。なお、この例においても
図5を参照して説明した例と同様に電圧線38は、アドレス信号線34およびリセット信号線36と同層に位置している。しかしながら、電圧線38は、アドレス信号線34、リセット信号線36および導電構造89のいずれとの間にも電気的接続を有しない。
図9において不図示の第1容量素子51および第2容量素子52は、MIS(metal-insulator-semiconductor)
構造の形で画素10C中に形成されていてもよいし、MIM(metal-insulator-metal)
の形で形成されていてもよい。MIM構造を採用すると、より大きな容量値を得やすい。
【0130】
コンタクトプラグCp5の上面は、金属シリサイド層を有しない。したがって、この例では、メタルプラグp5は、コンタクトプラグCp5の上面に直接に接続される。金属シリサイド層を介さずにメタルプラグp5をコンタクトプラグCp5に直接に接続することにより、コンタクトプラグCp5を介したn型不純物領域77nへの金属の拡散、特にニッケルの拡散を防止することができる。換言すれば、ノードRDへの余計な電荷の混入を抑制して、画素10Cにおけるノイズをより抑制することが可能になる。
【0131】
図示する例において、帯域制御トランジスタ56は、n型不純物領域77nをリセットトランジスタ26と共有している。すなわち、
図9に例示する構成において、n型不純物領域77nは、帯域制御トランジスタ56のソース領域およびドレイン領域の一方としても機能する。n型不純物領域68anは、ここでは、n型不純物領域68bn~68dnと同様にp型半導体層75p中に形成され、帯域制御トランジスタ56のソース領域およびドレイン領域の他方として機能する。
【0132】
帯域制御トランジスタ56は、さらに、第1絶縁層71上に配置されたゲート電極56eを有する。ゲート電極56eは、典型的にはポリシリコン電極であり、信号検出トランジスタ22のゲート電極22e、アドレストランジスタ24のゲート電極24e、リセッ
トトランジスタ26のゲート電極26eと同層に位置する。これらのトランジスタのゲート電極は、典型的には、n型の不純物のドープによって導電性が付与されたポリシリコン電極である。
【0133】
図5に示す例と同様に、画素10Cも、n型不純物領域68bnとn型不純物領域67nとの間に位置する不純物領域69nを含む遮断構造28Bを有する。上述の遮断構造28Aと比較して、遮断構造28Bは、不純物領域69nに接続されたコンタクトプラグCp8をさらに含んでいる。
図9に模式的に示すように、コンタクトプラグCp8は、第1絶縁層71、第2絶縁層72および第3絶縁層73の積層構造に設けられたコンタクトホールh8を介して不純物領域69nに接続されている。また、コンタクトプラグCp8は、電圧線38との接続を有し、電圧供給回路48から所定の電圧を印加可能に構成されている。
【0134】
図10は、画素10Cにおける各素子のレイアウトの一例を示す。なお、上述の
図9では、信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26および帯域制御トランジスタ56が1つの断面に現れるようにこれらが示されているが、これはあくまでも説明の便宜のためにすぎない。そのため、
図10に示す素子レイアウトをある線に沿って切断したときに得られる断面と、
図9に示す断面との間で一致しない部分が生じることがあり得る。
【0135】
図10に例示する構成において、リセットトランジスタ26および帯域制御トランジスタ56は、紙面の上下方向に沿って直線状に配置されている。したがって、ここでは、コンタクトプラグCp5と半導体基板76との間の接続部分である第2領域77bは、リセットトランジスタ26のゲート電極26eと帯域制御トランジスタ56のゲート電極56eとの間に位置する。また、この例では、信号検出トランジスタ22およびアドレストランジスタ24も紙面の上下方向に沿って直線状に配置されている。図示するように、垂直信号線35も紙面の上下方向に沿って延びており、したがって、ここでは、紙面の上下方向は、複数の画素10Cの列方向に平行である。
【0136】
リセットトランジスタ26および帯域制御トランジスタ56の組、信号検出トランジスタ22、およびアドレストランジスタ24の各々が形成された領域の周囲には、不純物領域69paおよび69pbをその一部に含む素子分離領域69が配置される。これにより、これらの領域は、素子分離領域69によって互いに電気的に分離される。この例では、遮断構造28Bは、n型不純物領域68bnと、n型不純物領域67nとの間に位置し、平面視において垂直信号線35に沿って画素10Cの一方の端部から他方の端部にまで延びている。遮断構造28Bを構成する不純物領域69nおよび不純物領域69pa、69pbも、画素10Cの一方の端部から他方の端部にわたって延びる。
【0137】
信号検出トランジスタ22のドレイン領域としてのn型不純物領域68bnと、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nとの間に遮断構造28Bが位置することにより、n型不純物領域68bnで発生してn型不純物領域67nに移動する少数キャリアを遮断構造28Bによって遮断し得る。また、この例では、遮断構造28Bの少なくとも一部がn型不純物領域68bnと、n型不純物領域77nとの間にも位置するので、n型不純物領域68bnで発生してn型不純物領域77nに移動する少数キャリアも遮断構造28Bによって遮断することが可能になる。すなわち、ノードRDにおけるリーク電流の発生をも抑制することができる。特にこの例では、遮断構造28B中の不純物領域69paおよび69pbは、不純物領域69nを挟むような配置を有し、かつ、遮断構造28Bが平面視において画素10Cの一方の端部から他方の端部にまで延びている。そのため、n型不純物領域68bnからだけでなく、n型不純物領域68cn、68dnからのn型不純物領域67nまたは77nへの少数キャリアの移動に起因するリーク電流の発生を抑制する効
果が期待できる。
【0138】
さらに、
図10に例示するように、n型不純物領域68bnと、n型不純物領域67nまたは77nとの間の領域以外の領域において延びる遮断構造28Bbを画素内にさらに配置してもよい。
図10に示す例では、紙面において信号検出トランジスタ22およびアドレストランジスタ24の右側に、垂直信号線35に沿って画素10Cの一方の端部から他方の端部にまで延びる遮断構造28Bbを配置している。遮断構造28Bbは、上述の遮断構造28Bと同様の構造を有し得る。
【0139】
図11は、
図10に示す画素10Cの2次元配列の一例を示す。
図1を参照して説明したように、画素10Cは、半導体基板60Aに例えば2次元に配列され得る。
図11からわかるように、
図10に示す画素10Cを2次元に敷き詰めると、遮断構造28Bbは、その遮断構造28Bbが設けられた画素10Cの例えばn型不純物領域68bnと、その画素10Cに隣接する画素10Cのn型不純物領域67nおよび77nとの間に位置することになる。すなわち、行方向に関してn型不純物領域68dnと、そのn型不純物領域68dnに最も近いn型不純物領域67nとの間には必ず遮断構造28Bbが介在することになる。したがって、ある画素10Cのn型不純物領域68dnなどからの、その画素10Cに行方向に隣接する画素10Cのn型不純物領域67nへの余計な少数キャリアの流入を効果的に抑制することができる。
【0140】
なお、
図11に示す例では、遮断構造28Bおよび28Bbは、列方向に並ぶ複数の画素10Cにわたって連続的に延びている。ただし、コンタクトプラグCp8は、列方向に並ぶ複数の画素10Cのうち両端に位置する画素10Cに選択的に設けられている。このように、遮断構造28Bおよび28Bbが複数の画素10Cにわたって連続的に延びる場合には、列方向に並ぶ複数の画素10Cのうち端部に位置する画素10CにコンタクトプラグCp8を設け、残りの画素10CにおいてコンタクトプラグCp8を省略してもよい。
【0141】
コンタクトプラグCp8が配置された画素は、撮像領域R1の外側に配置されたダミーの画素であってもよい。画像信号の取得を目的としないダミーの画素を設け、ダミーの画素に選択的にコンタクトプラグCp8を配置することにより、他の画素において、半導体基板76にコンタクトプラグCp8を接続することによるコンタクトプラグCp8からの半導体基板76への不純物の拡散を回避できる。そのため、コンタクトプラグCp8が省略された画素について、コンタクトの周辺での不要なキャリアの発生を抑制し得る。結果として、n型不純物領域67nにおけるリーク電流が抑制される。
【0142】
上述のウェルコンタクト62Cおよび基板コンタクト61Cの一方または両方も、ダミーの画素が配置された領域に形成され得る。
図11に例示するように複数の画素にわたって連続して不純物領域69paおよび不純物領域69pbを形成することにより、ダミーの画素に配置された基板コンタクト61Cへの電圧の印加により、同一列に属する複数の画素の不純物領域69paおよび不純物領域69pbに一括して共通の電圧を印加し得る。
【0143】
図12は、画素10Cの2次元配列の他の一例を示す。この例では、
図10に示す例と同様の素子レイアウトを有する画素10Caと、画素10Caの中心を通り、かつ、複数の画素の列方向に平行に延びる仮想的な軸に関して画素10Caを折り返した構造を有する画素10Cbとが、複数の画素の行方向に交互に配列されている。すなわち、複数の画素の列方向、すなわち、紙面の上下方向については、画素10Caには画素10Caが隣接し、画素10Cbには画素10Cbが隣接する。
【0144】
例えばn型不純物領域68bnに着目すると、このような画素の配列を採用することにより、行方向に関してn型不純物領域68bnと、そのn型不純物領域68bnに最も近いn型不純物領域67nとの間には必ず遮断構造28Bが介在する。換言すれば、互いに隣接する画素10Caと画素10Cbとの間において、行方向に関して遮断構造28Bが介在することなくn型不純物領域68bnとn型不純物領域67nとが隣接することが回避される。そのため、遮断構造28Bbを省略することができる。行方向に代えて、あるいは、行方向に加えて、列方向に関して画素10Caおよび画素10Cbが交互に繰り返されるような配列を採用してもよい。
【0145】
(第4の変形例)
図13は、本開示の第1の実施形態による撮像装置の第4の変形例を示す。
図13に示す画素10Xは、光電変換構造12Aaおよび光電変換構造12Abを有する。
【0146】
図13に示すように、光電変換構造12Aaには信号検出回路14Xaが接続され、光電変換構造12Abには信号検出回路14Xbが接続されている。光電変換構造12Aaおよび光電変換構造12Abは、例えば、対向電極および光電変換層12bが共通とされる一方、互いに電気的に独立した形で画素電極が設けられる。光電変換構造12Aaの画素電極は、電荷蓄積ノードFDaに電気的に接続され、信号検出回路14Xaは、光電変換構造12Aaによって生成されて電荷蓄積ノードFDaに保持された信号電荷に対応する信号を垂直信号線35aに読み出す。他方、光電変換構造12Abの画素電極は、電荷蓄積ノードFDbに電気的に接続され、信号検出回路14Xbは、光電変換構造12Abによって生成されて電荷蓄積ノードFDbに保持された信号電荷に対応する信号を垂直信号線35bに読み出す。すなわち、画素10Xは、信号検出回路14Xaおよび信号検出回路14Xbのいずれを介して信号の読み出しを実行するかに応じて、2種類の信号を独立して読み出し可能に構成されている。
【0147】
図13に示す例において、信号検出回路14Xaは、
図8に示す画素10Cの信号検出回路14Cに似た回路構成を有し、信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26、帯域制御トランジスタ56、第1容量素子51および第2容量素子52を含む。この例では、信号検出回路14Xaは、一方の電極が電荷蓄積ノードFDaに接続された第3容量素子51aをさらに含んでいる。第3容量素子51aは、第1容量素子51と同等程度の容量値を有し得る。
【0148】
また、信号検出回路14Xaは、信号検出トランジスタ22の出力信号の一部または全部を帰還させるフィードバック回路16Xaを有する。ただし、ここでは、帯域制御トランジスタ56のソースおよびドレインの一方に接続されたフィードバック線53aは、信号検出トランジスタ22のソースに接続されている。すなわち、フィードバック回路16Xaでは、信号検出トランジスタ22の出力そのものがリセットにおける基準電圧として利用される。
【0149】
このような回路構成によっても、信号検出トランジスタ22の出力信号の一部または全部を電気的に帰還させるフィードバックループを形成でき、リセットトランジスタ26および帯域制御トランジスタ56のオフに伴って発生するkTCノイズの影響を低減することが可能である。しかも、
図8の例と比較して、反転増幅器50が省略されており、画素10Xの単位で帰還を利用したノイズキャンセルを実行することができる。画素単位でのノイズキャンセルに関する詳細は、例えば特開2016-127593号公報に説明されている。参考のために、特開2016-127593号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0150】
この例では、信号検出回路14Xaは、保護トランジスタ55をさらに有する。保護ト
ランジスタ55のドレインまたはソースと、ゲートとは、信号検出トランジスタ22のゲートと光電変換構造12Aaとの間の電荷蓄積ノードFDaに接続されている。保護トランジスタ55のドレインおよびソースのうち光電変換構造12Aaに接続されていない側は、不図示の電源に接続されることにより撮像装置100Aの動作時に所定の電源の供給を受ける電源線57に接続されている。
【0151】
他方、光電変換構造12Abとの電気的接続を有する信号検出回路14Xbに注目すると、信号検出回路14Xbは、光電変換構造12Abに接続されたゲートを有する第2の信号検出トランジスタ22bと、信号検出トランジスタ22bおよび垂直信号線35bの間に接続された第2のアドレストランジスタ24bと、光電変換構造12Abとフィードバック線53bとの間に接続された第2のリセットトランジスタ26bと、第2の保護トランジスタ55bとを含む。リセットトランジスタ26bのゲートには、リセット信号線36bが接続されており、例えば垂直走査回路42は、リセット信号線36bの電位の制御により、リセットトランジスタ26bのオンおよびオフを制御する。保護トランジスタ55bのドレインまたはソースと、ゲートとは、信号検出トランジスタ22bのゲートと光電変換構造12Abとの間の電荷蓄積ノードFDbに接続され、保護トランジスタ55bのドレインおよびソースのうち光電変換構造12Abに接続されていない側は、上述の保護トランジスタ55と同様に電源線57に接続される。
【0152】
信号検出回路14Xbのアドレストランジスタ24bのゲートには、アドレス信号線34bが接続される。アドレス信号線34bは、例えば垂直走査回路42に接続されており、垂直走査回路42は、アドレス信号線34bの電位の制御により、アドレストランジスタ24bのオンおよびオフを制御する。つまり、
図13に例示する回路によれば、信号検出回路14Xaおよび14Xbのいずれかを選択して、電荷蓄積ノードFDaに蓄積された電荷量に応じた信号または電荷蓄積ノードFDbに蓄積された電荷量に応じた信号を選択的に読み出すことができる。
【0153】
信号検出回路14Xbは、フィードバック回路16Xbを含んでいる。したがって、信号検出回路14Xaと同様に、信号検出トランジスタ22bの出力信号の一部または全部を電気的に帰還させるフィードバックループの形成により、リセットトランジスタ26bのオフに伴って発生するkTCノイズを縮小可能である。
【0154】
信号検出回路14Xbは、例えばMIM構造の形で画素10X中に設けられることにより比較的大きな容量値を有する容量素子52bをその一部に含む。図示するように、容量素子52bの一方の電極は、電荷蓄積ノードFDbに接続されており、他方の電極は、例えば感度調整線54に接続される。電荷蓄積ノードFDbに接続された容量素子52bは、信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域全体の容量値を増大させる機能を有する。
【0155】
上述したように、
図13に例示する回路によれば、電荷蓄積ノードFDaに蓄積された電荷量に応じた信号または電荷蓄積ノードFDbに蓄積された電荷量に応じた信号を選択的に読み出すことができる。信号検出回路14Xbでは、比較的大きな容量値を有する容量素子52bが電荷蓄積ノードFDbに接続されており、したがって、より多くの信号電荷を保持することができ、例えば高照度のもとでの撮影に有利である。他方、信号検出回路14Xaは、リセットトランジスタ26に並列に接続された第1容量素子51をその一部に含み、電荷蓄積領域全体の容量値の増大を抑えながら、より効果的にノイズキャンセルを実行し得る。すなわち、高感度での撮影に特に有利である。このように、1つの画素内に2つの信号検出回路を設け、これらのうち撮影シーンに適した信号検出回路を介して信号の読み出しを実行するようにしてもよい。本明細書における「画素」は、例えば、撮像領域R1中の繰り返し構造を構成する単位を指し、単一の信号検出回路を含む構造に限定されず、2以上の信号検出回路を含んでいてもよい。
【0156】
図14は、
図13に示す画素10Xにおける各素子のレイアウトの一例を示し、
図15は、
図13に示す画素10Xの2次元配列の一例を示す。
図14および
図15中、点線により、不純物領域69paおよび不純物領域69pbのおおよその位置が示されている。
【0157】
図15中に示された4つの画素のうち、右下に位置する画素10Xaは、画素10Xの中心を通り、かつ、複数の画素の列方向に平行に延びる仮想的な軸に関して画素10Xを折り返した構造を有する。
図15中に示された4つの画素のうち、右上に位置する画素10Xbおよび左上に位置する画素10Xcは、それぞれ、画素10Xの中心を通り、かつ、複数の画素の行方向に平行に延びる仮想的な軸に関して画素10Xおよび画素10Xaを折り返した構造を有する。第4の変形例において、撮像領域R1は、これら4つの画素10X、10Xa~10Xcの群を単位とする繰り返しから形成され得る。
【0158】
図14に示す例では、画素10Xの概ね中央に遮断構造28Bが配置されており、信号検出回路14Xaおよび14Xbは、遮断構造28Bを取り囲むように画素10X中に配置されている。この例では、n型不純物領域68bnなどを含む複数のn型不純物領域が、遮断構造28B中の不純物領域69nの周囲に位置している。そのため、ここでは、遮断構造28Bの不純物領域69paおよび不純物領域69pbは、不純物領域69nを取り囲む形で画素10X中に設けられている。なお、
図14では、不純物領域69paと不純物領域69pbとの間に境界が存在するようにこれら2つの領域が示されているが、既に説明したように、不純物領域69paおよび不純物領域69pbは、素子分離領域69の一部であり、これらの間に明確な境界が存在するわけではない。
【0159】
図14に模式的に示すように、この例では、遮断構造28Bの不純物領域69paおよび不純物領域69pbは、n型不純物領域68bnと、信号検出回路14Xa側の電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nとの間に位置する。したがって、n型不純物領域68bnから信号検出回路14Xaのn型不純物領域67nへの余計な電荷の流入を遮断構造28Bによって抑制することが可能である。ノイズ抑制に対する要求が相対的に厳しい高感度側の信号検出回路14Xaのn型不純物領域67nと、n型不純物領域68bnとに挟まれるように遮断構造28Bまたは遮断構造28Aを配置することにより、リーク電流による画質の劣化を効果的に抑制し得る。なお、
図14から理解されるように、
図13では、フィードバック線53aおよび53bが配線の形で図示されているが、信号検出トランジスタ22のソースを帯域制御トランジスタ56に電気的に接続する構造および信号検出トランジスタ22bのソースをリセットトランジスタ26bに電気的に接続する構造は、配線の態様に限定されない。
【0160】
(第2の実施形態)
図16Aは、本開示の第2の実施形態による撮像装置が有する画素10Eの例示的なデバイス構造を模式的に示す。
図3Aを参照して説明した画素10Aと、
図16Aに示す画素10Eとの間の主な相違点は、画素10Eが、遮断構造28Aに代えて遮断構造28Eを有する点である。なお、画素10Aと比較して、この例では、画素10Eは、半導体基板60Aに代えて半導体基板60Bを有する。
【0161】
図3Aに示す遮断構造28Aと比較して、
図16Aに示す遮断構造28Eは、不純物領域69n、不純物領域69paおよび不純物領域69pbに代えて、不純物領域69pと、不純物領域69p中に位置するp型の不純物領域69bとを、n型不純物領域68bnと、n型不純物領域67nとの間に有する。ここで、不純物領域69pは、素子分離領域69の一部であり、典型的には、p型の拡散領域の形でp型半導体層65p中に設けられる。図示するように、この例では、n型不純物領域68bnおよびn型不純物領域67nもp型半導体層65p中に位置している。
【0162】
不純物領域69p中に位置する不純物領域69bは、ここではp型の拡散領域であり、不純物領域69pよりも一桁程度高い不純物濃度を有する。不純物領域69bの不純物濃度は、例えば3*1019cm-3程度であり得る。遮断構造28Aにおける不純物領域69nと同様に、遮断構造28Eにおける不純物領域69bも、その少なくとも一部が半導体基板60Bの表面に位置する。
【0163】
半導体基板60Bの法線方向から画素10Eを見たときの素子レイアウトは、
図10に例示する素子レイアウトにおいて遮断構造28Bを遮断構造28Eに置き換えたレイアウトと同様であり得る。すなわち、p型の不純物濃度が相対的に高くされた不純物領域69bの少なくとも一部は、信号検出トランジスタ22のドレイン領域としてのn型不純物領域68bnと、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nとの間に位置する。
【0164】
上述の第1の実施形態では、信号検出回路を構成するトランジスタのゲート電極の導電型と同じ導電型を有する不純物領域69nによって遮断構造を形成している。これに対し、ここでは、トランジスタのゲート電極とは逆極性の導電型を有する不純物領域69bによって遮断構造28Eを形成している。この例のように、n型不純物領域68bnと、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nとの間に例えばp型の不純物領域69pを設け、不純物領域69p中にさらに高い不純物濃度を有する不純物領域69bを形成することによっても、第1の実施形態の遮断構造28Aと同様の効果を得ることができる。
【0165】
なお、第1の実施形態の遮断構造28Aでは、不純物領域69nとは導電型の異なる不純物領域69paおよび不純物領域69pbが不純物領域69nを挟むようにして半導体基板60A中に配置されている。すなわち、不純物領域69nの下方には、比較的高濃度のp型の不純物領域は配置されていない。これに対し、
図16Aに示す遮断構造28Eでは、不純物領域69bは、相対的に不純物濃度の高い不純物領域69pに取り囲まれている。このような配置を採用することにより、不純物領域69bを挟むようにしてn型の不純物領域を配置した場合と比較して、不純物領域69bの下方からの少数キャリアの回り込みを抑制して、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nへの少数キャリアの到達を抑制し得る。
【0166】
n型不純物領域68bnと、n型不純物領域67nとの間に、相対的に高い不純物濃度の不純物領域69bを形成することにより、n型不純物領域68bnで発生してn型不純物領域67nに向かう電子を不純物領域69bの位置で多数キャリアとの再結合によって消滅させ得る。すなわち、n型不純物領域68bnからn型不純物領域67nへの余計な電荷の混入を抑制してリーク電流を抑制する効果が得られる。離間して配置された2つのp型の不純物領域の間に、比較的不純物濃度の高いn型の不純物領域を配置することによって遮断構造を形成することに代えて、導電型が共通かつ相対的に不純物濃度の高い領域をp型の不純物領域69p中に形成した配置によって遮断構造を形成する。これにより、半導体基板60B中のpn接合の数を減らすことができる。そのため、リーク電流の原因となる電荷の発生を低減する効果が期待できる。
【0167】
(変形例)
図16Bは、第2の実施形態の第1の変形例による撮像装置が有する画素のデバイス構造を模式的に示す。
図16Bに例示する画素10Esにおいて、半導体基板60Bは、n型半導体層62n上にp型不純物領域63prを有する。p型不純物領域63prの不純物濃度は、p型半導体層65pよりも高く、例えば3*10
18cm
-3程度以上であり得る。この例では、p型不純物領域63prは、半導体基板60B内の、平面視において遮断構造28Eおよび電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nに重なる領域に選択的に形成されている。
【0168】
図16Bに模式的に示すように、p型不純物領域63prは、典型的には、n型不純物領域68bnの直下には存在しない。本発明者らの検討によると、半導体基板60Bのうち平面視においてn型不純物領域68bnと重なる領域を避けてp型不純物領域63prを配置すると、n型不純物領域68bnの直下においてn型半導体層62nがn型不純物領域68bnに向かって拡がる傾向がある。n型半導体層62nとp型半導体層65pとの境界がn型不純物領域68bnに近づくと、n型不純物領域68bnとその周囲との間のpn接合で発生した電子がn型半導体層62nに移動しやすくなる。結果として、n型不純物領域68bnからn型不純物領域67nに向かって移動する少数キャリアが減少し、リーク電流抑制の効果が生じる。
【0169】
図16Bに例示する構成では、p型不純物領域63prは、n型不純物領域68anの直下にも存在しない。平面視においてn型不純物領域68anと重なる領域を避けてp型不純物領域63prを配置することにより、n型不純物領域68anの直下においてn型半導体層62nをn型不純物領域68anに向かって拡大させ得る。したがって、n型不純物領域68bnの直下を避けてp型不純物領域63prを形成した場合と同様に、n型不純物領域68anとその周囲との間のpn接合で発生した電子のn型不純物領域67nへの混入を抑制する効果が得られる。なお、p型不純物領域63prは、第3不純物領域を例示する。
【0170】
図17は、第2の実施形態の第2の変形例による撮像装置が有する画素のデバイス構造を模式的に示す。
図16Bに示す画素10Esと比較して、
図17に示す画素10Fは、遮断構造28Eに代えて遮断構造28Fを有する。図示するように、遮断構造28Fは、不純物領域69bに接続されたコンタクトプラグCp8をさらに含む。ここでは、コンタクトプラグCp8は、p型の不純物のドープによって導電性が付与されたポリシリコンプラグである。
図5を参照して説明した例と同様に、コンタクトプラグCp8は、電圧線38に接続されている。電圧線38は、
図5、
図9に示す例と同様に、アドレス信号線34、リセット信号線36および導電構造89のいずれとの間にも電気的接続を有しない。
【0171】
図18は、画素10Fと電圧供給回路48との間の電気的接続の例を模式的に示す。遮断構造28Fは、電圧線38を介して不純物領域69bに所定の電圧を印加可能な構成を有する。また、この例では、ウェルコンタクト62Cに第2の電圧供給回路48bが接続されることにより、n型半導体層62nに対しても所望の電圧を印加可能である。
【0172】
撮像装置100Aの動作時、電圧供給回路48は、不純物領域69bに例えば0Vの電圧を供給する。これに対し、n型半導体層62nには、電圧供給回路48bから例えば0.5Vの電圧が印加される。すなわち、不純物領域69bの電位およびn型半導体層62nの電位は、独立して制御され得る。
図18に例示する構成では、不純物領域69bに電圧線38が接続されることにより、不純物領域69bに対して直接的に例えば0Vの所定の電圧が印加されるが、電圧線38を上述の基板コンタクト61Cに接続し、支持基板61、p型領域64、p型半導体層65pおよび不純物領域69pを介して不純物領域69bに電圧を印加してもよい。ただし、
図18に例示するように、p型半導体層65pなどを介さずに不純物領域69bに電圧線38を接続する方が、基板コンタクト61Cから不純物領域69bに至るまでの抵抗成分の影響を除去しながら不純物領域69bに対して電圧を供給できるので有益である。
【0173】
さらに基板コンタクト61Cを介して、不純物領域69pに、不純物領域69bに印加される電圧と共通の電圧が供給されてもかまわない。画素10Fの外部からの電圧の印加によって不純物領域69pおよび69bの電位を固定することにより、n型不純物領域67nへの少数キャリアの混入をより効果的に抑制し得る。不純物領域69pおよび69b
への電圧の印加は、単一の電圧供給回路、例えば、電圧供給回路48によって実行されてもよい。電圧の印加は、恒常的に実行される必要はなく、電荷蓄積期間にわたって選択的に実行されればよい。
【0174】
なお、
図17に例示する構成においては、コンタクトプラグCp8を介して不純物領域69bに電圧線38から所定の電圧が印加されるが、コンタクトプラグCp8を省略して、メタル配線を不純物領域69bに接続するような構成も可能である。この場合、不純物領域69bが3*10
19cm
-3程度以上の不純物濃度を有すると有益である。
【0175】
(第3の実施形態)
図19および
図20は、本開示の第3の実施形態による撮像装置を示す。
図19は、第3の実施形態による撮像装置が有する画素10G中の各素子のレイアウトの一例を示し、
図20は、
図19に示す画素10Gの例示的な回路構成を示す。
【0176】
図19および
図20に示す画素10Gは、光電変換部12としてフォトダイオード12Bを有する。光電変換構造12Aに代えてフォトダイオード12Bを適用する場合、
図2に示す蓄積制御線31は、省略される。リセットトランジスタ26のドレインおよびソースの一方が電荷蓄積ノードFDに接続される点は、
図2に示す構成と同様である。ただし、ここでは、リセットトランジスタ26のドレインおよびソースの他方に電源配線32が接続されている。
【0177】
画素10Gは、フォトダイオード12Bに接続された信号検出回路14Gを含む。上述の画素10Aの信号検出回路14Aと比較して、信号検出回路14Gは、信号検出トランジスタ22のゲートと、フォトダイオード12Bとの間に接続された転送トランジスタ29をさらに有する。転送トランジスタ29のゲート電極29eには、転送信号線39が接続される。転送信号線39は、例えば垂直走査回路42との接続を有し、垂直走査回路42によってその電位が制御される。垂直走査回路42は、転送トランジスタ29のオンおよびオフの制御により、フォトダイオード12Bで生成された信号電荷の電荷蓄積ノードFDへの転送のタイミングを制御することができる。
【0178】
この例では、電荷蓄積ノードFDは、信号検出トランジスタ22のゲート電極22eをフォトダイオード12Bに接続するノードである。電荷蓄積ノードFDは、これまでに説明した例と同様に、半導体基板60Aに形成されたn型不純物領域67nをその一部に含む。
図19に例示する構成では、平面視において、ゲート電極26eおよび29eの間に、相対的に不純物の濃度低いp型不純物領域66pが位置している。n型不純物領域67nは、p型不純物領域66p中に位置する。
【0179】
図19に示す例においても、n型不純物領域67nと、n型不純物領域68bnとの間に、遮断構造28Aが配置されている。したがって、n型不純物領域67nに向かって移動する不要な少数キャリアのn型不純物領域67nへの混入を遮断構造28Aによって抑制することが可能である。この例では、
図14および
図15を参照して説明した例と同様に、遮断構造28Aの不純物領域69paおよび不純物領域69pbは、不純物領域69nを取り囲む形で画素10G中に設けられる。遮断構造28Aに代えて、上述した遮断構造28B、28Eおよび28Fのいずれをも適用可能であることは、言うまでもない。
【実施例0180】
シミュレーションにより、画素中に遮断構造を設けることによるリーク電流抑制の効果を検証した。シミュレーションには、市販の一般的なデバイスシミュレータを使用した。
【0181】
図21は、シミュレーションに用いたモデルを模式的に示す。
図21中には、n型の不
純物の濃度の分布もあわせて示されている。ここでは、
図5に示す画素10Bと同様の構造を想定し、
図21中に黒い点GRに示す位置で電子が発生したとして、そのうちの何割がn型不純物領域67nに到達するかを求めることにより、リーク電流の大きさを評価した。
図21中、太い破線は、pn接合の位置を表しており、両矢印s1で示す距離、両矢印s2で示す距離、および、両矢印s3で示す距離は、それぞれ、90nm、390nmおよび50nmに設定した。ここでは、n型不純物領域67nおよびn型不純物領域68bnの電位をそれぞれ0.5Vおよび3.3Vに固定している。また、遮断構造28Bおよびn型半導体層62nに0.5Vの電圧が印加された状態を想定して解析を行った。
【0182】
(実施例1)
図22および
図23は、
図5に示す画素10Bと基本的に同じ構造を想定した実施例1に関するシミュレーション結果を示す。
図22は、各部の電位に関する計算結果を示し、
図23は、各部の電流密度に関する計算結果を示す。以降の図面中、太い実線は、pn接合の位置を示し、矩形Ctは、基板コンタクトの位置を示している。
【0183】
(実施例2)
次に、
図3Aを参照して説明した例のように、p型半導体層63pがn型半導体層62nのほぼ全面を覆う構成、換言すれば、不純物領域69nの直下の位置に開口を有するp型半導体層63psに代えてp型半導体層63pを配置した構成を実施例2のサンプルとして想定し、解析を行った。
図24は、実施例2のサンプルの各部の電位に関する計算結果を示し、
図25は、実施例2のサンプルの各部の電流密度に関する計算結果を示す。
【0184】
(比較例1)
次に、実施例2のサンプルから遮断構造28Bを取り除いた構成を比較例1のサンプルとして想定し、解析を行った。
図26は、比較例1のサンプルの各部の電位に関する計算結果を示し、
図27は、比較例1のサンプルの各部の電流密度に関する計算結果を示す。
【0185】
図28は、n型不純物領域68bnの近傍で発生した電荷のうちn型不純物領域67nに流入する電荷の割合の計算結果を示す。
図28中、一番右のプロットは、実施例1に関する計算結果を示し、中央のプロットは、実施例2に関する計算結果を示す。
図28中、一番左のプロットは、比較例1に関する計算結果を示す。
【0186】
図28中、実施例1、2に関する計算結果と、比較例1に関する計算結果とから、画素中に遮断構造を設けることにより、リーク電流を5桁程度低減できることがわかる。また、実施例1に関する計算結果と、実施例2に関する計算結果との比較から、特に、
図5に示す画素10Bのように、p型半導体層63psに開口を設け、開口中に相対的に不純物濃度の低いp型不純物領域66pを配置することにより、リーク電流をさらに2桁程度低減可能であることがわかる。
【0187】
次に、実施例1および実施例2のサンプルについて、各部の電場の大きさを計算することにより、遮断構造28Bを構成する不純物領域69nの直下の位置にp型不純物領域66pを配置することによるリーク電流低減の効果を検証した。
図29は、実施例1のサンプルの各部の電場に関する計算結果を示し、
図30は、実施例2のサンプルの各部の電場に関する計算結果を示す。
【0188】
不純物領域69nと、n型半導体層62nのうち不純物領域69nの直下に位置する部分との間の領域に注目する。
図29および
図30の比較からわかるように、実施例2のサンプルではn型半導体層62nとその上層との間の境界であるpn接合が概ね平坦であることに対して、実施例1のサンプルでは、n型半導体層62nとその上層との間のpn接合が不純物領域69nの直下において不純物領域69nに向かって盛り上がっている。そ
のため、実施例2のサンプルでは、図中に太い点線で示すように、不純物領域69nの直下において電場の小さな領域が比較的大きく存在していることに対し、実施例1のサンプルでは、これら太い点線の間隔が狭まっている。
【0189】
これは、n型不純物領域68bnからn型不純物領域67nに向かう電荷の移動経路が不純物領域69nの直下において狭くなっていることを示唆している。つまり、p型半導体層63psのうち不純物領域69nの直下に位置する部分の不純物濃度を選択的に低くすることにより、n型不純物領域bnとn型不純物領域67nとの間の電荷の移動経路が狭くなる。そのため、n型不純物領域68bnとその周囲で発生して半導体基板中を移動する電荷は、電位勾配に従って不純物領域69nまたはn型半導体層62nに向かって進行することになり、不純物領域69nまたはn型半導体層62nに吸収される。すなわち、n型不純物領域67nへの不要な少数キャリアの流入が不純物領域69nの位置で遮断され、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nに不要な電流が流れ込みにくくなり、リーク電流抑制の効果が得られる。
【0190】
以上に説明したように、本開示の実施形態によれば、リーク電流による影響を抑制し得るので、高画質で撮像を行うことが可能な撮像装置が提供される。なお、半導体基板中の不純物領域の導電型は、上述の各例に示した配置に限定されず、n型とp型とを互いに入れ替えた構成も可能である。また、上述の信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26などの各トランジスタは、NチャンネルMOSであってもよいし、PチャンネルMOSであってもよい。これらのトランジスタの全てがNチャンネルMOSまたはPチャンネルMOSのいずれかに統一されている必要もない。画素中トランジスタの各々をNチャンネルMOSとし、信号電荷として電子を用いる場合には、これらのトランジスタの各々におけるソースおよびドレインの配置を互いに入れ替えればよい。
本開示の実施形態によれば、リーク電流による影響を抑制して高画質の撮影が可能な撮像装置が提供される。本開示の撮像装置は、例えばイメージセンサ、デジタルカメラなどに有用である。本開示の撮像装置は、医療用カメラ、ロボット用カメラ、セキュリティカメラ、車両に搭載されて使用されるカメラなどに用いることができる。