(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073540
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】動物用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20230519BHJP
A01K 1/015 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
A01K1/015 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186063
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101CA08
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】仕切部材の高さを調節することが可能な動物用トイレを提供する。
【解決手段】動物用トイレ1は、本体容器10、及び仕切部材20を備えている。本体容器10は、底面部10a及び側面部10bを有している。仕切部材20は、尿を通過させる貫通孔22を有し、本体容器10の内部を上下に区画している。仕切部材20の高さは、可変である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び側面部を有する本体容器と、
尿を通過させる貫通孔を有し、前記本体容器の内部を上下に区画する仕切部材と、を備え、
前記仕切部材の高さは、可変であることを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の高さの最大値と最小値との差は、5cm以上である動物用トイレ。
【請求項3】
請求項2に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の高さの最大値と最小値との差は、10cm以上である動物用トイレ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の高さが段階的に変化するように構成されている動物用トイレ。
【請求項5】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体容器は、前記側面部から当該本体容器の内側に突出し、前記仕切部材を下から支持することが可能な第1及び第2の支持部を有し、
前記第2の支持部は、前記第1の支持部よりも高い位置に設けられている動物用トイレ。
【請求項6】
請求項5に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の支持部は、平面視で、前記側面部の内周の全体に設けられている動物用トイレ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の支持部は、平面視で、前記側面部の内周の一部にのみ設けられている動物用トイレ。
【請求項8】
請求項7に記載の動物用トイレにおいて、
平面視で、前記側面部の前記内周のうち前記第2の支持部が設けられた部分の長さは、当該内周全体の長さの1/2以下である動物用トイレ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の動物用トイレにおいて、
前記側面部の前記内周は、平面視で、略矩形状をしており、
前記第2の支持部は、平面視で、前記内周の4辺のうち、互いに対向する2辺にのみ設けられている動物用トイレ。
【請求項10】
請求項5乃至9の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の支持部の突出長さは、前記第1の支持部の突出長さよりも小さい動物用トイレ。
【請求項11】
請求項5乃至10の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記本体容器は、前記側面部から当該本体容器の内側に突出し、前記仕切部材を下から支持することが可能な第3の支持部を有し、
前記第3の支持部は、前記第2の支持部よりも高い位置に設けられている動物用トイレ。
【請求項12】
請求項11に記載の動物用トイレにおいて、
前記第3の支持部は、平面視で、前記第2の支持部と同一の位置に設けられている動物用トイレ。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の動物用トイレにおいて、
前記第3の支持部は、平面視で、前記側面部の内周の一部にのみ設けられている動物用トイレ。
【請求項14】
請求項13に記載の動物用トイレにおいて、
平面視で、前記側面部の前記内周のうち前記第3の支持部が設けられた部分の長さは、当該内周全体の長さの1/2以下である動物用トイレ。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の動物用トイレにおいて、
前記側面部の前記内周は、平面視で、略矩形状をしており、
前記第3の支持部は、平面視で、前記内周の4辺のうち、互いに対向する2辺にのみ設けられている動物用トイレ。
【請求項16】
請求項11乃至15の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記第3の支持部の突出長さは、前記第1の支持部の突出長さよりも小さい動物用トイレ。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材は、板状をしている動物用トイレ。
【請求項18】
請求項17に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材は、当該仕切部材の周囲全体が前記側面部から離間した状態で前記本体容器内に配設可能である動物用トイレ。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材上に敷設され、疎水性を有する複数の粒状体を備える動物用トイレ。
【請求項20】
請求項19に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物を主材料としている動物用トイレ。
【請求項21】
請求項20に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、前記有機物のみからなる動物用トイレ。
【請求項22】
請求項1乃至21の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の下方に配設され、前記貫通孔を通過した前記尿を吸収する吸水性シートを備える動物用トイレ。
【請求項23】
請求項22に記載の動物用トイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記側面部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体容器に対して抜き挿しすることが可能である動物用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された動物用トイレは、本体容器、及び尿を通過させる貫通孔を有する仕切部材(簀子)を備えている。仕切部材は、本体容器内の所定の位置に配設されており、本体容器の内部を上下に区画している。仕切部材上には、低吸水性を有する複数の粒状体が敷設されている。仕切部材の下方には、吸水性シートが配設されている。粒状体上に排泄された尿は、粒状体どうしの間、及び仕切部材の貫通孔を通過した後、吸水性シートに吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の動物用トイレにおいては、仕切部材が本体容器内の所定の位置に据えられているため、仕切部材の高さは一定である。しかしながら、仕切部材の適度な高さは、当該動物用トイレを使用する動物の大きさによって異なる。そのため、従来の動物用トイレにおいては、仕切部材の位置が高すぎたり低すぎたりすることがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、仕切部材の高さを調節することが可能な動物用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による動物用トイレは、底面部及び側面部を有する本体容器と、尿を通過させる貫通孔を有し、上記本体容器の内部を上下に区画する仕切部材と、を備え、上記仕切部材の高さは、可変であることを特徴とする。
【0007】
この動物用トイレにおいては、仕切部材の高さが可変となっている。この場合、当該動物用トイレを使用する動物の大きさに合わせて仕切部材の高さを変えることにより、仕切部材の高さを調節することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仕切部材の高さを調節することが可能な動物用トイレが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。
【
図2】
図1の動物用トイレの構成を説明するための端面図である。
【
図3】
図1の動物用トイレの構成を説明するための端面図である。
【
図6】支持部12の構成を説明するための平面図である。
【
図7】支持部14の構成を説明するための平面図である。
【
図8】支持部16の構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。同図を参照しつつ、動物用トイレ1の構成の概略を説明する。動物用トイレ1は、本体容器10、仕切部材20、複数の粒状体30、吸水性シート40、及び引出部50を備えている。本体容器10は、箱状をしており、底面部10a及び側面部10bを有している。本体容器10の外形は、略直方体である。本体容器10の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0012】
本体容器10は、支持部12(第1の支持部)、支持部14(第2の支持部)及び支持部16(第3の支持部)を有している。各支持部12,14,16は、側面部10bから本体容器10の内側に突出しており、仕切部材20を下から支持することが可能である。各支持部12,14,16は、仕切部材20を水平に支持する。各支持部12,14,16は、例えば、突条又は突起からなる。各支持部12,14,16は、側面部10bと一体に成形されてもよいし、側面部10bと別々に成形された後に側面部10bに取り付けられてもよい。
【0013】
支持部12、支持部14及び支持部16は、本体容器10の高さ方向(
図1の上下方向に等しい。)について、相異なる位置に設けられている。具体的には、支持部14は、支持部12よりも高い位置に設けられている。また、支持部16は、支持部14よりも高い位置に設けられている。
【0014】
仕切部材20は、板状をしており、底面部10aと平行に配置されている。仕切部材20は、全体的に厚みの等しい1枚の板からなっている。仕切部材20は、尿を通過させる貫通孔22を有している。貫通孔22は、尿を通過させる一方で、粒状体30を通過させない。仕切部材20は、本体容器10(側面部10b)の上端及び吸水性シート40の双方から離間した位置に配設されている。これにより、仕切部材20は、本体容器10の内部を上下に区画している。すなわち、本体容器10の内部は、仕切部材20によって、上部空間S1と下部空間S2とに区画されている。上部空間S1は、仕切部材20の上方に存在し、複数の粒状体30が敷設される空間である。下部空間S2は、仕切部材20の下方に存在し、貫通孔22を通過した尿が溜まる空間である。仕切部材20は、本体容器10に対して着脱可能である。仕切部材20の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0015】
仕切部材20は、支持部12、支持部14又は支持部16上に載置される。各支持部12,14,16の上面(仕切部材20が載置される面)は、水平である。
図1においては、仕切部材20が支持部14上に載置された状態を示している。
図2に示すように仕切部材20を支持部12上に載置した場合、仕切部材20を支持部14上に載置した場合に比して、仕切部材20の高さ(本体容器10が設置される床面から仕切部材20の上面までの距離)が下がる。一方、
図3に示すように仕切部材20を支持部16上に載置した場合、仕切部材20を支持部14上に載置した場合に比して、仕切部材20の高さが上がる。このように仕切部材20の高さは、可変である。動物用トイレ1は、仕切部材20の高さが段階的に変化するように構成されている。仕切部材20の高さの最大値(支持部16上に載置された状態での高さ)と最小値(支持部12上に載置された状態での高さ)との差d1(
図1参照)は、5cm以上であることが好ましく、10cm以上であることがより好ましい。差d1は、本体容器10の高さ方向についての支持部12の上面から支持部16の上面までの距離に等しい。
【0016】
仕切部材20上には、排泄物(尿)を処理するための複数の粒状体30が敷設される。各粒状体30は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体30の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体30の粒径は、当該粒状体30を内包し得る最小の球の直径として定義される。動物用トイレ1の使用時、粒状体30は、排泄された尿を直接に受けることになる。
【0017】
粒状体30は、疎水性を有している。すなわち、粒状体30は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。粒状体30が疎水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が60%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体30(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって液通過率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml以上であれば、液通過率が60%以上となるため、粒状体30が疎水性を有するといえる。
【0018】
各粒状体30は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体30の主材料とは、粒状体30を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体30に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類、又はオカラが挙げられる。各粒状体30は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0019】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物、印画紙、剥離紙、フラッフパルプ、製紙スラッジ、又はパルプスラッジが挙げられる。塩ビ壁紙分級物は、紙及びポリ塩化ビニルを含有する塩ビ壁紙からポリ塩化ビニルの一部が除去されてなる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、又は紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)が挙げられる。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。これらの材料には、疎水処理(撥水処理)が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。
【0020】
粒状体30を構成する材料は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体30を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体30は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体30の疎水性を高めることができる。石膏又は重曹の量は、例えば、粒状体30の全体に対して5重量%以上50重量%未満である。
【0021】
粒状体30は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて被造粒材料(粒状体30を構成する材料)を造粒することにより、粒状体30となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤(撥水剤)でコーティングすることにより行うことができる。疎水処理を行わない場合、造粒時に被造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体30の内部に尿等の液体が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、被造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。
【0022】
仕切部材20の下方には、吸水性シート40が配設される。吸水性シート40は、仕切部材20の貫通孔22を通過した尿を吸収する。すなわち、貫通孔22を通過した尿は、吸水性シート40に吸収された状態で下部空間S2に溜まる。
【0023】
引出部50は、側面部10bに形成された開口18を通じて、本体容器10に対して抜き挿しすることが可能である。引出部50には、吸水性シート40が収容される。すなわち、吸水性シート40は、引出部50に収容された状態で本体容器10内に配設されている。引出部50の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0024】
動物用トイレ1の使用時、粒状体30上に排泄された尿は、粒状体30どうしの隙間を通り抜けて下方へと流れる。当該尿は、仕切部材20の貫通孔22を通じて、上部空間S1から下部空間S2へと移動し、吸水性シート40に吸収される。
【0025】
以下、
図4~
図10を参照しつつ、動物用トイレ1の各部の構成を詳細に説明する。
図4及び
図5は、それぞれ、本体容器10を示す端面図及び正面図である。本体容器10の側面部10bには、引出部50を抜き挿しするための開口18が形成されている。開口18は、底面部10aの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口18の横方向(
図5の左右方向)の長さは、本体容器10の横幅(内寸)に略等しく、例えば20cm以上40cm以下である。開口18の縦方向(
図5の上下方向)の長さは、例えば2cm以上5cm以下である。
【0026】
図6~
図8は、本体容器10を示す平面図である。ただし、
図6においては、支持部14及び支持部16の図示を省略している。
図7においては、支持部12及び支持部16の図示を省略している。また、
図8においては、支持部12及び支持部14の図示を省略している。支持部12は、
図6からわかるように、平面視で、側面部10bの内周の全体に設けられている。支持部12は、側面部10bの内周に沿って環状に設けられた突条からなる。側面部10bの内周は、平面視で、略矩形状をしている。
【0027】
支持部14は、
図7からわかるように、平面視で、側面部10bの内周の一部にのみ設けられている。平面視で、側面部10bの内周のうち支持部14が設けられた部分の長さは、当該内周全体の長さの1/2以下であることが好ましい。支持部14は、平面視で、側面部10bの内周の4辺のうち、互いに対向する2辺にのみ設けられている。支持部14は、当該2辺に沿って延在する突条からなる。
【0028】
支持部16は、
図8からわかるように、平面視で、側面部10bの内周の一部にのみ設けられている。平面視で、側面部10bの内周のうち支持部16が設けられた部分の長さは、当該内周全体の長さの1/2以下であることが好ましい。支持部16は、平面視で、側面部10bの内周の4辺のうち、互いに対向する2辺にのみ設けられている。支持部16は、当該2辺に沿って延在する突条からなる。支持部16は、平面視で、支持部14と同一の位置に設けられている。それゆえ、支持部14と支持部16とは、平面視で、互いに重なり合っている。
【0029】
支持部12の突出長さp1(
図6参照)は、例えば10mm以上20mm以下である。ここで、支持部12の突出長さとは、当該支持部12が設けられた側面部10bの内面に垂直な方向の長さである。支持部14の突出長さp2(
図7参照)は、支持部12の突出長さp1よりも小さい。同様に、支持部16の突出長さp3(
図8参照)は、支持部12の突出長さp1よりも小さい。各突出長さp2,p3は、例えば5mm以上15mm以下である。突出長さp2と突出長さp3とは、互いに等しくてもよいし、相異なっていてもよい。
【0030】
図9は、仕切部材20を示す平面図である。仕切部材20は、その周囲全体が側面部10bから離間した状態で本体容器10内に配設可能である。仕切部材20の平面形状は、略矩形である。貫通孔22は、仕切部材20において二次元的に配列されている。本実施形態において各貫通孔22の平面形状は、円形である。各貫通孔22の径は、例えば2mm以上4mm以下である。
【0031】
図10は、引出部50を示す斜視図である。引出部50は、底板50a、前板50b、先板50c、及び一対の側板50dを有している。底板50aの大きさは、本体容器10の底面部10aの大きさに略等しい。前板50bは、開口18と略同一の形状及び大きさをしている。前板50bには、把手52が取り付けられている。
【0032】
動物用トイレ1の効果を説明する。動物用トイレ1においては、仕切部材20の高さが可変となっている。この場合、動物用トイレ1を使用する動物の大きさに合わせて仕切部材20の高さを変えることにより、仕切部材20の高さを調節することができる。したがって、仕切部材20の高さを調節することが可能な動物用トイレ1が実現されている。
【0033】
ところで、仕切部材20の位置を低くした方が、上部空間S1が深くなるため、粒状体30が本体容器10の外に飛び散るのを防ぐのに有利である。しかし、その反面、上部空間S1が深いと、体の小さい動物が本体容器10に出入りしにくくなってしまう。それゆえ、粒状体30の飛び散りにくさと動物の出入りしやすさとの均衡の観点から、仕切部材20の適度な高さは、動物用トイレ1を使用する動物の大きさによって異なる。具体的には、比較的大きい動物に対しては仕切部材20の位置を比較的低くし、比較的小さい動物に対しては仕切部材20の位置を比較的高くすることが好ましい。本実施形態によれば、このように動物の大きさに応じた仕切部材20の高さの調節が可能となる。
【0034】
様々な大きさの動物に柔軟に対応するには、仕切部材20の高さの変動幅が大きい方が有利である。かかる観点から、仕切部材20の高さの最大値と最小値との差は、5cm以上であることが好ましく、10cm以上であることがより好ましい。他方、仕切部材20の高さの変動幅が大きすぎると、仕切部材20が配置される可能性のあるスペースを本体容器10内に確保するのが困難になりかねない。かかる観点から、仕切部材20の高さの最大値と最小値との差は、20cm以下であることが好ましい。
【0035】
動物用トイレ1は、仕切部材20の高さが段階的に変化するように構成されている。このように仕切部材20の高さが段階的に変化する構成であれば、比較的簡易な機構で実現することができる。実際、動物用トイレ1においては、本体容器10の高さ方向について相異なる位置に複数の支持部(支持部12及び支持部14)を設けるという簡易な機構により、仕切部材20の高さを段階的に変化させることが可能な構成が実現されている。
【0036】
本体容器10は、支持部12及び支持部14に加えて、支持部16を有している。これにより、支持部12及び支持部14のみが設けられている場合よりも多段階で仕切部材20の高さを調節することが可能となる。ただし、本体容器10に支持部16を設けることは必須でない。
【0037】
支持部12は、平面視で、側面部10bの内周の全体に設けられている。これにより、仕切部材20が支持部12の下方に落下するのを防ぎやすくなる。
【0038】
支持部14は、平面視で、側面部10bの内周の一部にのみ設けられている。この場合、支持部14が側面部10bの内周の全体に設けられている場合に比して、支持部14を越える仕切部材20の移動を円滑に行うことができる。このため、仕切部材20の高さ調節(例えば、仕切部材20が支持部14上に載置された状態から支持部12上に載置された状態への切替え)が容易になる。
【0039】
このように仕切部材20の移動を円滑にする観点から、側面部10bの内周のうち支持部14が設けられた部分の長さは、当該内周全体の長さの1/2以下であることが好ましい。
【0040】
支持部16は、平面視で、側面部10bの内周の一部にのみ設けられている。この場合、支持部16が側面部10bの内周の全体に設けられている場合に比して、支持部16を越える仕切部材20の移動を円滑に行うことができる。このため、仕切部材20の高さ調節(例えば、仕切部材20が支持部14上に載置された状態から支持部16上に載置された状態への切替え)が容易になる。
【0041】
このように仕切部材20の移動を円滑にする観点から、側面部10bの内周のうち支持部16が設けられた部分の長さは、当該内周全体の長さの1/2以下であることが好ましい。
【0042】
支持部14は、平面視で、側面部10bの内周の4辺のうち、互いに対向する2辺にのみ設けられている。この場合、残りの2辺に支持部14が存在しないため、支持部14を越える仕切部材20の移動を特に円滑に行うことができる。
【0043】
支持部16は、平面視で、側面部10bの内周の4辺のうち、互いに対向する2辺にのみ設けられている。この場合、残りの2辺に支持部16が存在しないため、支持部16を越える仕切部材20の移動を特に円滑に行うことができる。
【0044】
支持部14の突出長さは、支持部12の突出長さよりも小さい。このように支持部14の突出長さを小さくすることは、支持部14を越える仕切部材20の移動を円滑にするのに有利である。一方、支持部12の突出長さを大きくすることは、仕切部材20が支持部12の下方に落下するのを防ぐのに有利である。
【0045】
支持部16の突出長さは、支持部12の突出長さよりも小さい。このように支持部16の突出長さを小さくすることは、支持部16を越える仕切部材20の移動を円滑にするのに有利である。
【0046】
支持部16は、平面視で、支持部14と同一の位置に設けられている。この場合、支持部14を越えて仕切部材20を移動させるときと同じように仕切部材20を傾ければ、支持部16を越えて仕切部材20を移動させることができる。このことも、仕切部材20の高さ調節を容易にするのに資する。
【0047】
仕切部材20は、板状をしている。この場合、仕切部材20を傾けることにより支持部14,16を躱すことができるので、支持部14及び/又は支持部16を越える仕切部材20の移動を円滑にするのに有利である。
【0048】
仕切部材20は、その周囲全体が側面部10bから離間した状態で本体容器10内に配設可能である。このように仕切部材20と側面部10bとの間にマージンを設けておくことにより、高さ調節時に仕切部材20の移動を円滑に行うことができる。
【0049】
各粒状体30は、疎水性を有している。この場合、粒状体30上に排泄された尿の大部分は、粒状体30どうしの隙間を透過して仕切部材20に達する。仕切部材20に達した尿は、貫通孔22を通じて下部空間S2に移動する。このようにして尿を下部空間S2に溜めることにより、当該尿からの悪臭が本体容器10の外に漏れにくいようにすることができる。
【0050】
各粒状体30が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体30を得ることができる。この場合、使用済みの粒状体30を可燃ゴミとして捨てやすくなるため、ユーザ(動物の飼主等)にとっての利便性が向上する。特に各粒状体30が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体30を得ることができる。
【0051】
仕切部材20の下方には、吸水性シート40が配設されている。これにより、下部空間S2に溜まった尿を吸水性シート40内に閉じ込めることができる。このため、当該尿からの悪臭の発生を緩和することができる。
【0052】
本体容器10に対して抜き挿しすることが可能な引出部50が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート40を新しいものと交換する作業を楽に行うことができる。
【0053】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、支持部12が平面視で側面部10bの内周の全体に設けられた場合を例示した。しかし、支持部12は、平面視で、側面部10bの内周の一部にのみに設けられてもよい。
【0054】
上記実施形態においては、支持部14が平面視で側面部10bの内周の一部にのみ設けられた場合を例示した。しかし、支持部14は、平面視で、側面部10bの内周の全体に設けられてもよい。支持部16についても同様である。
【0055】
上記実施形態においては、支持部14の突出長さが支持部12の突出長さより小さい場合を例示した。しかし、支持部14の突出長さは、支持部12の突出長さに等しくてもよいし、支持部12の突出長さより大きくてもよい。支持部16の突出長さについても同様である。
【0056】
上記実施形態においては、貫通孔22の平面形状が円形である場合を例示した。しかし、貫通孔22の平面形状は、任意であり、例えば、楕円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。
【0057】
上記実施形態においては、引出部50が設けられた場合を例示した。しかし、引出部50を設けることは必須でない。引出部50を設けない場合、吸水性シート40は、底面部10a上に直接配設される。その場合、当然ながら、側面部10bに開口18は設けられない。
【0058】
上記実施形態においては、本体容器10に吸水性シート40が配設される場合を例示した。しかし、本体容器10に吸水性シート40を配設することは必須でない。吸水性シート40を配設しない場合、引出部50も設けられない。
【符号の説明】
【0059】
1 動物用トイレ
10 本体容器
10a 底面部
10b 側面部
12 支持部(第1の支持部)
14 支持部(第2の支持部)
16 支持部(第3の支持部)
18 開口
20 仕切部材
22 貫通孔
30 粒状体
40 吸水性シート
50 引出部
52 把手
S1 上部空間
S2 下部空間