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  • 特開-水素生成装置とその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073554
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】水素生成装置とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20230519BHJP
   B01J 23/80 20060101ALI20230519BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20230519BHJP
【FI】
C01B3/38
B01J23/80 M
H01M8/0612
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186088
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 理
(72)【発明者】
【氏名】武田 憲有
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】西崎 柾峻
【テーマコード(参考)】
4G140
4G169
5H127
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB03
4G140EB24
4G140EB33
4G140EB46
4G169AA11
4G169AA15
4G169BB02
4G169BC31
4G169BC35
4G169CB81
4G169EA02
5H127BA01
5H127BA05
5H127BA19
5H127BA34
(57)【要約】
【課題】本開示は、改質部の外径が蒸発部の外径よりも大きくても、CO低減触媒を充填して所定位置に保持する作業を効率よく行うことができる水素生成装置を提供する。
【解決手段】本開示における水素生成装置は、加熱部隔壁と加熱部隔壁を囲む第1隔壁との間に蒸発部と改質部とが配置され、第1隔壁における蒸発部が構成されている部分と、その部分を囲む第2隔壁上との間にCO低減部が配置され、第1隔壁における改質部が構成されている部分の外径が、第1隔壁における蒸発部が構成されている部分の外径よりも大きい水素生成装置であって、蒸発部とCO低減部との間に空間が介在するように第1隔壁に伝熱緩衝筒を設けるとともに、伝熱緩衝筒におけるCO低減部の構成部材が配置されている部分の外径を、第1隔壁における改質部が構成されている部分の外径よりも大きくした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に中心軸を有する筒状の加熱部隔壁と、鉛直方向に中心軸を有し前記加熱部隔壁の外周を囲む筒状の第1隔壁との間に、前記加熱部隔壁を介して伝わる熱で原料ガスと水とを加熱して前記水を蒸発させるように構成された蒸発部と、前記蒸発部の下方で前記加熱部隔壁を介して伝わる熱で前記原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一酸化炭素を含む一次水素含有ガスを生成するように構成された改質部と、が配置され、
前記第1隔壁における前記蒸発部が構成されている部分と、鉛直方向に中心軸を有し前記蒸発部の外周を囲む筒状の第2隔壁上との間に、前記改質部から流出した前記一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減することにより二次水素含有ガスを生成するように構成されたCO低減部が配置され、
前記第1隔壁における前記改質部が構成されている部分と、鉛直方向に中心軸を有し上端が前記第2隔壁上の下端と接続されて前記改質部の外周と底部とを囲む有底筒状の第2隔壁下との間に、前記改質部から下方に流出した前記一次水素含有ガスの流れを上向きに変えて前記CO低減部に導くリターン流路が形成され、
前記第1隔壁における前記改質部が構成されている部分の外径が、前記第1隔壁における前記蒸発部が構成されている部分の外径よりも大きい水素生成装置であって、
前記第1隔壁における前記蒸発部が構成されている部分と前記CO低減部との間に空間が形成されるように、鉛直方向に中心軸を有し上下端部が内周側に曲げられて前記第1隔壁における前記蒸発部が構成されている部分の外周面に固定された伝熱緩衝筒を設け、
前記CO低減部は、前記第2隔壁上と前記伝熱緩衝筒との間に充填される粒状のCO低減触媒と、前記CO低減触媒を下から支えるように前記第2隔壁上と前記伝熱緩衝筒との間に配置される棚板であって前記CO低減触媒の粒子径より小さい通気孔が形成されたドーナツ盤形状のCO低減部下棚板と、前記CO低減触媒を上から覆うように前記第2隔壁上と前記伝熱緩衝筒との間に配置される棚板であって前記CO低減触媒の粒子径より小さい通気孔が形成されたドーナツ盤形状のCO低減部上棚板と、を備え、
前記伝熱緩衝筒における前記CO低減触媒と前記CO低減部下棚板と前記CO低減部上棚板が配置されている部分の外径を、前記第1隔壁における前記改質部が構成されている部分の外径よりも大きくしたことを特徴とする水素生成装置。
【請求項2】
前記改質部が、前記第1隔壁と前記加熱部隔壁との間に充填される粒状の改質触媒と、前記改質触媒を下から支えるように前記第1隔壁と前記加熱部隔壁との間に配置される棚板であって前記改質触媒の粒子径より小さい通気孔が形成されたドーナツ盤形状の改質部下棚板と、前記改質触媒を上から覆うように前記第1隔壁と前記加熱部隔壁との間に配置される棚板であって前記改質触媒の粒子径より小さい通気孔が形成されたドーナツ盤形状の改質部上棚板と、
を備えた請求項1に記載の水素生成装置の製造方法であって、
所定位置に取り付け済みの前記第2隔壁上の下端には、未だ前記第2隔壁下を接合しておらず、前記第1隔壁と前記加熱部隔壁との間に、前記改質部上棚板を取り付け済みであるが、前記改質触媒と前記改質部下棚板は、未だ前記第1隔壁と前記加熱部隔壁との間に配置しておらず、前記第2隔壁上と前記伝熱緩衝筒との間に、前記CO低減部上棚板を取り付け済みであるが、前記CO低減触媒と前記CO低減部下棚板は、未だ前記第2隔壁上と前記伝熱緩衝筒との間に配置していない状態まで、水素生成装置を製造して、水素生成装置の使用時の重力方向の上下を反転させる触媒充填準備工程と、
前記触媒充填準備工程が完了した状態において、前記第1隔壁と前記加熱部隔壁と前記改質部上棚板に囲まれた空間に前記改質触媒を充填する作業と、前記第2隔壁上と前記伝熱緩衝筒と前記CO低減部上棚板に囲まれた空間に前記CO低減触媒を充填する作業とを行う触媒充填工程と、
前記触媒充填工程が完了した状態において、前記改質部下棚板を、鉛直方向上部から前記改質触媒が充填された部分に向けて導入して、前記改質触媒が充填された部分の上端に
当接する位置に設置する作業と、前記CO低減部下棚板を、鉛直方向上部から前記CO低減触媒が充填された部分に向けて導入して、前記CO低減触媒が充填された部分の上端に当接する位置に設置する作業とを行う触媒封止工程と、を有する、
水素生成装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素生成装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱部隔壁と加熱部隔壁の外周を囲む第1隔壁との間において、上側に蒸発部が、下側に改質部が、それぞれ構成され、第1隔壁と第1隔壁の外周を囲む第2隔壁との間に、CO低減部が構成され、第1隔壁における改質部が構成されている部分の外径が、第1隔壁における蒸発部が構成されている部分の外径よりも大きい水素生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-118863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、改質部の外径が蒸発部の外径よりも大きくても、CO低減触媒を充填して所定位置に保持する作業を効率よく行うことができる水素生成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における水素生成装置は、鉛直方向に中心軸を有する筒状の加熱部隔壁と、鉛直方向に中心軸を有し加熱部隔壁の外周を囲む筒状の第1隔壁との間に、蒸発部と、改質部と、が配置され、第1隔壁における蒸発部が構成されている部分と、鉛直方向に中心軸を有し蒸発部の外周を囲む筒状の第2隔壁上との間に、CO低減部が配置されている。
【0006】
さらに、第1隔壁における改質部が構成されている部分と、鉛直方向に中心軸を有し上端が第2隔壁上の下端と接続されて改質部の外周と底部とを囲む有底筒状の第2隔壁下との間に、リターン流路が形成され、第1隔壁における改質部が構成されている部分の外径が、第1隔壁における蒸発部が構成されている部分の外径よりも大きく構成されている。
【0007】
蒸発部は、加熱部隔壁を介して伝わる熱で原料ガスと水とを加熱して水を蒸発させるように構成され、改質部は、蒸発部の下方で加熱部隔壁を介して伝わる熱で原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一酸化炭素を含む一次水素含有ガスを生成するように構成されている。
【0008】
CO低減部は、改質部から流出した一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減することにより二次水素含有ガスを生成するように構成されている。
【0009】
リターン流路は、改質部から下方に流出した一次水素含有ガスの流れを上向きに変えてCO低減部に導く流路である。
【0010】
本開示における水素生成装置の一つ目の特徴は、第1隔壁における蒸発部が構成されている部分と、CO低減部との間に、伝熱緩衝筒を設けたことである。
【0011】
この伝熱緩衝筒は、蒸発部とCO低減部との間に空間が形成されるように構成された部材であり、鉛直方向に中心軸を有し、上下端部が、内周側に曲げられて第1隔壁における蒸発部が構成されている部分の外周面に固定されている。
【0012】
CO低減部は、CO低減触媒と、CO低減部下棚板と、CO低減部上棚板と、を備えている。CO低減触媒は、第2隔壁上と伝熱緩衝筒との間に充填される粒状の触媒である。CO低減部下棚板は、CO低減触媒を下から支えるように第2隔壁上と伝熱緩衝筒との間に配置される棚板であり、CO低減部上棚板は、CO低減触媒を上から覆うように第2隔壁上と伝熱緩衝筒との間に配置される棚板である。
【0013】
CO低減部下棚板とCO低減部上棚板は、ドーナツ盤形状で、CO低減触媒の粒子径より小さい通気孔が形成されている。
【0014】
本開示における水素生成装置のもう一つの特徴は、伝熱緩衝筒におけるCO低減触媒とCO低減部下棚板とCO低減部上棚板が配置されている部分の外径を、第1隔壁における改質部が構成されている部分の外径よりも大きくしたことである。
【発明の効果】
【0015】
本開示における水素生成装置は、蒸発部とCO低減部との間に空間が介在するように、第1隔壁に伝熱緩衝筒を設けるとともに、伝熱緩衝筒におけるCO低減部の構成部材が配置されている部分の外径を、第1隔壁における改質部が構成されている部分の外径よりも大きくしたことにより、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、第2隔壁上の下端に第2隔壁下を接合しておらず、CO低減部上棚板を取り付け済みであるが、CO低減触媒とCO低減部下棚板は配置していない状態まで水素生成装置を製造して、水素生成装置の使用時の重力方向の上下を反転させた(上下逆にした)状態で、CO低減触媒を充填した後に、改質部の外径の大きさに邪魔されることなくCO低減部下棚板を所定位置に取り付けて、CO低減部上棚板とCO低減部下棚板との間にCO低減触媒を保持させることができる。
【0017】
そのため、改質部の外径が蒸発部の外径よりも大きくても、CO低減触媒を充填して所定位置に保持する作業を、改質触媒を充填して所定位置に保持する作業とともに、連続的に効率よく行うことができ、それによって製造コストの低減を図ることができる水素生成装置を提供できる。
【0018】
また、伝熱緩衝筒によって蒸発部とCO低減部との間に空間が形成されるので、内周側に充填されたCO低減触媒が蒸発部との熱交換によって局所的に冷却される(CO低減触媒において温度ムラが発生する)ことを抑制でき、CO低減触媒全体を変成反応に適した温度にすることが容易になるので、二次水素含有ガスにおける一酸化炭素の濃度を従来よりも低減できたり、CO低減触媒の充填量を従来よりも減らすことができたりする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1における水素生成装置の概略構成図
図2】実施の形態1おける水素生成装置の触媒充填に関連する3つの製造工程を示す概略構成図
図3】他の形態における水素生成装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、加熱部隔壁と加熱部隔壁の外周を囲む第1隔壁との間において、上側に蒸発部が、下側に改質部が、それぞれ構成され、第1隔壁と第1隔壁の外周を囲む第2隔壁との間に、CO低減部が構成され、第1隔壁における改質部が構成されている部分(改質触媒を囲む部分)の外径が、第1隔壁における蒸発部が構
成されている部分の外径よりも大きい多重円筒構造の水素生成装置の技術があった。
【0021】
しかしながら、従来の水素生成装置においては、蒸発部の下方に改質部が配置され、改質部の外径が蒸発部の外径よりも大きくために、製造工程で触媒を充填する時は、水素生成装置を使用時の鉛直方向の上下が反転した状態にして、改質触媒を充填して、改質触媒を棚板で上下から挟んで所定位置に保持した後に、上下を反転させた状態から使用時の向きに変えて、CO低減触媒を充填して、CO低減触媒を棚板で上下から挟んで所定位置に保持する手順になっていた。
【0022】
そのため、改質触媒とCO低減触媒の充填作業のための工程数が多く、効率が悪いという課題があった。
【0023】
そうした状況下において、発明者らは、水素生成装置を使用時の鉛直方向の上下が反転した状態にして、改質触媒とCO低減触媒の充填作業を連続的に行えば、触媒充填工程を簡素化できるという着想を得た。
【0024】
しかしながら、その着想を実現するには、CO低減触媒を充填した後、CO低減触媒を下から支える下棚板を、第1隔壁と第2隔壁との間に導入するにあたって、CO低減触媒を支える下棚板の内径が、第1隔壁における改質部が構成される部分(改質触媒を囲む部分)の外径よりも小さいため、第1隔壁における改質部が構成される部分(改質触媒を囲む部分)が邪魔になって、CO低減触媒を支える下棚板をCO低減触媒の位置まで導入することができないという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0025】
そこで、本開示は、蒸発部とCO低減部との間に空間が介在するように、第1隔壁に伝熱緩衝筒を設けるとともに、伝熱緩衝筒におけるCO低減部の構成部材が配置されている部分の外径を、第1隔壁における改質部が構成されている部分の外径よりも大きくしたことにより、CO低減触媒を充填して所定位置に保持する作業を、改質触媒を充填して所定位置に保持する作業とともに、連続的に効率よく行うことができ、それによって製造コストの低減を図ることができる水水素生成装置を提供する。
【0026】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0027】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0028】
(実施の形態1)
以下、図1図2を用いて、実施の形態1を説明する。
【0029】
[1-1.構成]
図1図2において、水素生成装置100は、加熱部120と、蒸発部121と、改質部122と、CO低減部123と、CO低減部上棚板124と、CO低減部下棚板125と、燃焼筒130と、加熱部隔壁131と、第1隔壁132と、第2隔壁下133と、第2隔壁上134と、伝熱緩衝筒135と、燃焼排ガス流路140と、リターン流路141とを有している。
【0030】
加熱部120は、鉛直方向に中心軸を有する燃焼筒130の内周側に配置され、燃焼用
空気が混合された可燃性ガスを燃焼して燃焼排ガスを排出するバーナと、バーナに可燃性ガスを供給するガス供給管と、バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給管と、を備えている。加熱部120のバーナは、下向きの炎を形成するように構成されている。
【0031】
可燃性ガスには、原料ガス(都市ガスやLPガス)を用いることができ、水素生成装置100が燃料電池に水素含有ガスを燃料ガスとして供給する場合は、燃料電池で利用されずに燃料電池から排出される燃料ガス(アノードオフガス)を用いることができる。
【0032】
燃焼筒130は、加熱部120と同軸になるように配置され、燃焼筒130の内周側では、燃焼排ガスを鉛直方向の下向きに流し、燃焼筒130の外周側(燃焼筒130と加熱部隔壁131との間に形成された燃焼排ガス流路140)では、燃焼排ガスを鉛直方向の上向きに流すための部材である。
【0033】
燃焼筒130の下端は、改質部122の下端よりも鉛直方向の下に位置し、燃焼筒130と同軸になるように配置され燃焼筒130を囲む有底円筒形の加熱部隔壁131の底部よりも鉛直方向の上に位置する。
【0034】
水素生成装置100は、加熱部120のバーナの燃焼で発生した燃焼排ガスが、燃焼筒130の内周面に沿って燃焼筒130の内周側を下方に流れた後に、加熱部隔壁131の底部と燃焼筒130の下端との隙間を通って上方に折り返して、燃焼筒130と加熱部隔壁131との間に形成された燃焼排ガス流路140を、改質部122と熱交換した後に蒸発部121と熱交換して、加熱部隔壁131における上部に設けられた燃焼排ガス出口管から水素生成装置100の外部に排出されるように構成されている。
【0035】
加熱部隔壁131は、内径が燃焼筒130の外径よりも大きく、燃焼筒130の外周面を囲み燃焼筒130と同軸になるように配置され、燃焼筒130との間に燃焼排ガス流路140を形成する有底円筒形の金属部材であり、加熱部隔壁131の底部と燃焼筒130の下端との間に燃焼排ガスが通流する隙間がある。
【0036】
第1隔壁132は、内径が加熱部隔壁131の外径よりも大きく、加熱部隔壁131の外周面を囲み加熱部隔壁131と同軸になるように配置された金属部材である。第1隔壁132と加熱部隔壁131との間には、炭化水素を含む原料ガスと水とを螺旋状に流すための螺旋状に曲げられた棒材が配置され、その螺旋状の棒材の下方に原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一次水素含有ガス(一酸化炭素を含む水素含有ガス)を生成する改質触媒150が充填されている。
【0037】
第1隔壁132と加熱部隔壁131との間で、螺旋状の棒材が配置された箇所は、炭化水素を含む原料ガスと水とが加熱部隔壁131から伝わる熱で加熱されながら通過する蒸発部121となり、改質触媒150が充填された箇所は改質部122となっている。
【0038】
第1隔壁132における螺旋状の棒材が配置された箇所よりも上部には、蒸発部121に原料ガスと水を供給する供給管が接続されている。
【0039】
第1隔壁132は、第1隔壁132における改質部122が構成された部分の径が、第1隔壁における蒸発部121が構成された部分の径よりも大きく構成されている。
【0040】
第2隔壁下133は、内径が第1隔壁132における改質部122が構成された部分の外径よりも大きく、第1隔壁132における改質部122が構成された部分の外周面を囲み第1隔壁132と同軸になるように配置され、第1隔壁132における改質部122が構成された部分との間にリターン流路141を形成する有底円筒形の金属部材であり、第
2隔壁下133の底部と第1隔壁132の下端との間に一次水素含有ガスが通流する隙間がある。
【0041】
第2隔壁下133の底部は、加熱部隔壁131の底部よりも大きく、第2隔壁下133の底部は、加熱部隔壁131の底部よりも下方に位置するように構成されている。第2隔壁下133の上端部の径は、第2隔壁下133の上端を第2隔壁上134の下端部と接合できるように、第2隔壁下133における上端部以外の部分の径よりも大きく構成されている。
【0042】
伝熱緩衝筒135は、上下端部が内周側に曲げられて第1隔壁132における蒸発部121が構成されている部分の外周面に固定される筒状部材である。伝熱緩衝筒135は、第1隔壁132における蒸発部121が構成された部分の外周面を囲み第1隔壁132と同軸になるように配置されている。
【0043】
改質部122から流出した一次水素含有ガスのうち、CO低減部123を通流せずに、伝熱緩衝筒135と第1隔壁132との間を通流して、水素生成装置100の外に出てしまう一次水素含有ガスの量が許容量を超えないように、伝熱緩衝筒135の上端部と下端部の少なくともどちらか一方と第1隔壁132との間は、できるだけ気密に接合することが望ましい。
【0044】
伝熱緩衝筒135は、上端部と下端部との間の部分の内径が、第1隔壁132における蒸発部121が構成されている部分の外径よりも大きく、伝熱緩衝筒135の内周面と第1隔壁132における蒸発部121が構成された部分の内周面との間に空間を形成する。また、伝熱緩衝筒135における上端部と下端部との間の部分の外径は、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分の外径よりも大きい。
【0045】
伝熱緩衝筒135は、伝熱緩衝筒135の外周側に隣接する部材または伝熱緩衝筒135の外周面を流れるガスが、蒸発部121との熱交換によって局所的に冷却されることを抑制する空間を形成するための部材である。
【0046】
第2隔壁上134は、内径が伝熱緩衝筒135の外径よりも大きく、第1隔壁132における蒸発部121が構成されている部分と伝熱緩衝筒135の外周面を囲み第1隔壁132(伝熱緩衝筒135)と同軸になるように配置され、伝熱緩衝筒135との間にCO低減部123を構成する金属部材である。
【0047】
CO低減部123は、改質部122から流出した一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減することにより二次水素含有ガスを生成するように構成されており、CO低減触媒151と、CO低減部下棚板125と、CO低減部上棚板124と、を備えている。
【0048】
CO低減触媒151は、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135との間に充填される直径が2~3mmの粒状のCu-Zn系の触媒である。
【0049】
CO低減部下棚板125は、CO低減触媒151を下から支えるように第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135との間に配置される棚板であり、CO低減部上棚板124は、CO低減触媒151を上から覆うように第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135との間に配置される棚板である。
【0050】
CO低減部下棚板125とCO低減部上棚板124は、ドーナツ盤形状で、CO低減触媒151の粒子径より小さい直径が1mmの通気孔が形成されている。
【0051】
伝熱緩衝筒135は、伝熱緩衝筒135の外周面と第2隔壁上134の内周面との間に充填されるCO低減触媒151が、蒸発部121との熱交換によって局所的に冷却される(CO低減触媒151において温度ムラが発生する)ことを抑制する空間を形成する。
【0052】
伝熱緩衝筒135は、伝熱緩衝筒135の内周面と第1隔壁132における蒸発部121が構成された部分の内周面との間に空間を形成し、この空間が蒸発部121とCO低減部123との間の伝熱(熱交換)を抑制する。
【0053】
第2隔壁上134は、第2隔壁上134におけるCO低減部123が構成されている部分よりも上部に二次水素含有ガスを水素生成装置100の外部に排出(供給)する出口管を備えている。
【0054】
第2隔壁上134は、伝熱緩衝筒135との間もしくは外周面が伝熱緩衝筒135で覆われていない第1隔壁132との間に、リターン流路141を通過した一次水素含有ガスをCO低減部下棚板125(CO低減部123)まで導く流路と、CO低減部上棚板124(CO低減部123)から流出した二次水素含有ガスを出口管まで導く流路も形成している。
【0055】
改質部122は、第1隔壁132と加熱部隔壁131との間に充填される改質触媒150の他に、改質部下棚板127と、改質部上棚板126と、を備えている。
【0056】
改質部下棚板127は、改質触媒150を下から支えるように第1隔壁132と加熱部隔壁131との間に配置される棚板であり、改質部上棚板126は、改質触媒150を上から覆うように第1隔壁132と加熱部隔壁131との間に配置される棚板である。改質部下棚板127と改質部上棚板126は、ドーナツ盤形状で、改質触媒150の粒子径より小さい通気孔が形成されている。
【0057】
(水素製造装置の製造工程)
図2において、水素生成装置100の製造方法は、触媒充填準備工程101と、触媒充填工程102と触媒封止工程103と、を有する。
【0058】
触媒充填準備工程101は、後の工程で、改質触媒150とCO低減触媒151を充填できるように、第1隔壁132に取り付け済みの第2隔壁上134の下端には、未だ第2隔壁下133を接合しておらず、加熱部隔壁131と第1隔壁132の間に改質部上棚板126を取り付け済みであるが、改質部下棚板127は未だ加熱部隔壁131と第1隔壁132の間に配置しておらず、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135の間にCO低減部上棚板124を取り付け済みであるが、CO低減部下棚板125は未だ第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135の間に配置していない状態まで、水素生成装置を製造して、水素生成装置の使用時の重力方向の上下を反転させる(上下逆にする)工程である。
【0059】
触媒充填工程102は、触媒充填準備工程101が完了した状態において、加熱部隔壁131と第1隔壁132と改質部上棚板126に囲まれた空間に改質触媒150を充填する作業と、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135とCO低減部上棚板124に囲まれた空間にCO低減触媒151を充填する作業とを行う工程である。
【0060】
触媒封止工程103は、触媒充填工程102が完了した状態において、改質部下棚板127を、鉛直方向上部から改質触媒150が充填された部分に向けて導入して、改質触媒150が充填された部分の上端に当接する位置に設置する作業と、CO低減部下棚板125を、鉛直方向上部からCO低減触媒151が充填された部分に向けて導入して、CO低
減触媒151が充填された部分の上端に当接する位置に設置する作業と、を行う工程である。
【0061】
[1-2.動作]
以上のように構成された水素生成装置100において、以下、その動作と作用を説明する。
【0062】
(水素生成装置の動作)
水素生成装置100において、必要な水素量を得るために、原料ガスと水が、適正な比率で供給管から蒸発部121に供給される。供給された水は、蒸発部121の螺旋状流路に沿って流れながら加熱部隔壁131を介して伝わる加熱部120の熱(燃焼排ガスの熱を含む)によって水蒸気となり、原料ガスと混合される。
【0063】
原料ガスと水蒸気の混合ガスは、改質部122へ供給され、加熱部隔壁131を介して伝わる加熱部120の熱(燃焼排ガスの熱を含む)によって改質反応に適した温度に加熱された改質触媒150により水蒸気改質反応が行われて一次水素含有ガスとなる。
【0064】
改質部122から排出された一次水素含有ガスは、リターン流路141を通流して、CO低減触媒151に下方から供給され、CO低減触媒151の変成反応により、一次水素含有ガス中のCO濃度が0.1~0.2%程度まで低減されて二次水素含有ガスとなる。
【0065】
このとき、CO低減触媒151は、改質部122(改質触媒150)から排出されCO低減触媒151に流入する一次水素含有ガスの熱と、蒸発部121から、第1隔壁132と、伝熱緩衝筒135によって形成された空間と、伝熱緩衝筒135とを介して、CO低減触媒151に伝わる冷熱とによって、変成反応に適した温度に加熱されている。
【0066】
CO低減触媒151から排出された二次水素含有ガスは、出口管から水素生成装置100の外に出ていき、燃料電池などの水素利用機器に供給される。
【0067】
加熱部120のバーナの燃焼で発生した燃焼排ガスは、燃焼筒130の内周面に沿って燃焼筒130の内周側を下方に流れた後に、加熱部隔壁131の底部と燃焼筒130の下端との隙間を通って上方に折り返して、燃焼筒130と加熱部隔壁131との間に形成された燃焼排ガス流路140を、改質部122と熱交換した後に、蒸発部121と熱交換して、加熱部隔壁131における上部に設けられた燃焼排ガス出口管から水素生成装置100の外部に排出される。
【0068】
(水素生成装置の触媒充填に関連する製造工程)
触媒充填準備工程101は、後の工程で、改質触媒150とCO低減触媒151を充填できるように、第1隔壁132に取り付け済みの第2隔壁上134の下端には、未だ第2隔壁下133を接合しておらず、加熱部隔壁131と第1隔壁132の間に改質部上棚板126を取り付け済みであるが、改質部下棚板127は未だ加熱部隔壁131と第1隔壁132の間に配置しておらず、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135の間にCO低減部上棚板124を取り付け済みであるが、CO低減部下棚板125は未だ第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135の間に配置していない状態まで、水素生成装置を製造して、水素生成装置の使用時の重力方向の上下を反転させる(上下逆にする)工程である。
【0069】
これにより、触媒充填準備工程101が完了した状態の水素生成装置は、加熱部隔壁131と第1隔壁132と改質部上棚板126に囲まれた空間と、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135とCO低減部上棚板124に囲まれた空間へそれぞれ、上から触媒を導入していくことができるので、改質触媒150とCO低減触媒151の触媒充填を触媒充填工
程102で続けて行うことができる。
【0070】
触媒封止工程103は、触媒封止工程103で充填した触媒を封止(所定位置に保持)するため、触媒充填工程102が完了した状態において、改質部下棚板127を、鉛直方向上部から改質触媒150が充填された部分に向けて導入して、改質触媒150が充填された部分の上端に当接する位置に設置する作業と、CO低減部下棚板125を、鉛直方向上部からCO低減触媒151が充填された部分に向けて導入して、CO低減触媒151が充填された部分の上端に当接する位置に設置する作業とを行う。
【0071】
伝熱緩衝筒135の外径は、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分の外径よりも大きく構成されているため、伝熱緩衝筒135の外周側に設置するCO低減部下棚板125の内径は、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分の外径よりも大きくできる。
【0072】
したがって、CO低減部下棚板125を、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分を通過させて所定位置に設置するときに、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分に邪魔されることなく、CO低減部下棚板125を、CO低減触媒151が充填された部分に当接する位置まで導入していくことができる。
【0073】
そのため、触媒封止工程103で、改質部下棚板127とCO低減部下棚板125とによって改質触媒150とCO低減触媒151とを封止(所定位置に保持)する作業を連続して行うことができる。
【0074】
[1-3.効果]
以上のように、本実施の形態における水素生成装置100は、鉛直方向に中心軸を有する筒状の加熱部隔壁131と、鉛直方向に中心軸を有し加熱部隔壁131の外周を囲む筒状の第1隔壁132との間に、蒸発部121と改質部122とが配置され、第1隔壁132における蒸発部121が構成されている部分と、鉛直方向に中心軸を有し蒸発部121の外周を囲む筒状の第2隔壁上134との間に、CO低減部123が配置されている。
【0075】
さらに、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分と、鉛直方向に中心軸を有し上端が第2隔壁上134の下端と接続されて改質部122の外周と底部とを囲む有底筒状の第2隔壁下133との間に、リターン流路141が形成され、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分の外径が、第1隔壁132における蒸発部121が構成されている部分の外径よりも大きも大きく構成されている。
【0076】
蒸発部121は、加熱部隔壁131を介して伝わる熱で原料ガスと水とを加熱して水を蒸発させるように構成され、改質部122は、蒸発部121の下方で加熱部隔壁131を介して伝わる熱で原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一酸化炭素を含む一次水素含有ガスを生成するように構成されている。
【0077】
CO低減部123は、改質部122から流出した一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減することにより二次水素含有ガスを生成するように構成されている。
【0078】
リターン流路141は、改質部122から下方に流出した一次水素含有ガスの流れを上向きに変えてCO低減部123に導く流路である。
【0079】
本開示における水素生成装置100の一つ目の特徴は、第1隔壁132における蒸発部121が構成されている部分と、CO低減部123との間に、伝熱緩衝筒135を設けた
ことである。
【0080】
伝熱緩衝筒135は、蒸発部121とCO低減部123との間に空間が形成されるように構成された部材であり、鉛直方向に中心軸を有し、上下端部が、内周側に曲げられて第1隔壁132における蒸発部121が構成されている部分の外周面に固定されている。
【0081】
CO低減部123は、CO低減触媒151と、CO低減部下棚板125と、CO低減部上棚板124と、を備えている。CO低減触媒151は、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135との間に充填される粒状の触媒である。CO低減部下棚板125は、CO低減触媒151を下から支えるように第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135との間に配置される棚板であり、CO低減部上棚板124は、CO低減触媒151を上から覆うように第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135との間に配置される棚板である。
【0082】
CO低減部下棚板125とCO低減部上棚板124は、ドーナツ盤形状で、CO低減触媒151の粒子径より小さい通気孔が形成されている。
【0083】
本開示における水素生成装置100のもう一つの特徴は、伝熱緩衝筒135におけるCO低減触媒151とCO低減部下棚板125とCO低減部上棚板124が配置されている部分の外径を、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分の外径よりも大きくしたことである。
【0084】
本実施の形態における水素生成装置100において、改質部122が、改質部下棚板127と改質部上棚板126との間に、改質触媒150を保持する構造である場合の製造方法は、触媒充填準備工程101と、触媒充填工程102と触媒封止工程103と、を有する。
【0085】
触媒充填準備工程101は、後の工程で、改質触媒150とCO低減触媒151を充填できるように、第1隔壁132に取り付け済みの第2隔壁上134の下端には、未だ第2隔壁下133を接合しておらず、加熱部隔壁131と第1隔壁132の間に改質部上棚板126を取り付け済みであるが、改質部下棚板127は未だ加熱部隔壁131と第1隔壁132の間に配置しておらず、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135の間にCO低減部上棚板124を取り付け済みであるが、CO低減部下棚板125は未だ第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135の間に配置していない状態まで、水素生成装置を製造して、水素生成装置の使用時の重力方向の上下を反転させる(上下逆にする)工程である。
【0086】
触媒充填工程102は、触媒充填準備工程101が完了した状態において、加熱部隔壁131と第1隔壁132と改質部上棚板126に囲まれた空間に改質触媒150を充填する作業と、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135とCO低減部上棚板124に囲まれた空間にCO低減触媒151を充填する作業とを行う工程である。
【0087】
触媒充填準備工程101が完了した状態の水素生成装置は、加熱部隔壁131と第1隔壁132と改質部上棚板126に囲まれた空間と、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135とCO低減部上棚板124に囲まれた空間へそれぞれ、上から触媒を導入していくことができるので、改質触媒150とCO低減触媒151の触媒充填を触媒充填工程102で続けて行うことができる。
【0088】
触媒封止工程103は、触媒充填工程102が完了した状態において、改質部下棚板127を、鉛直方向上部から改質触媒150が充填された部分に向けて導入して、改質触媒150が充填された部分の上端に当接する位置に設置する作業と、CO低減部下棚板125を、鉛直方向上部からCO低減触媒151が充填された部分に向けて導入して、CO低
減触媒151が充填された部分の上端に当接する位置に設置する作業と、を行う工程である。
【0089】
伝熱緩衝筒135の外径は、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分の外径よりも大きく構成されているため、伝熱緩衝筒135の外周側に設置するCO低減部下棚板125の内径を、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分の外径よりも大きくすることができる。
【0090】
したがって、CO低減部下棚板125を、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分を通過させて所定位置に設置するときに、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分に邪魔されることなく、CO低減部下棚板125を、CO低減触媒151が充填された部分に当接する位置まで導入していくことができる。
【0091】
そのため、触媒封止工程103で、改質部下棚板127とCO低減部下棚板125とによって改質触媒150とCO低減触媒151とを封止(所定位置に保持)する作業を連続して行うことができる。
【0092】
本実施の形態における水素生成装置100は、蒸発部121とCO低減部123との間に空間が介在するように、第1隔壁132に伝熱緩衝筒135を設けるとともに、伝熱緩衝筒135におけるCO低減部123の構成部材が配置されている部分の外径を、第1隔壁132における改質部122が構成されている部分の外径よりも大きくしたことによって、以下の効果が得られる。
【0093】
すなわち、第2隔壁上134の下端に第2隔壁下133を接合しておらず、CO低減部上棚板124を取り付け済みであるが、CO低減触媒151とCO低減部下棚板125は配置していない状態まで水素生成装置100を製造して、水素生成装置100の使用時の重力方向の上下を反転させた(上下逆にした)状態で、CO低減触媒151を充填した後に、改質部122の外径の大きさに邪魔されることなくCO低減部下棚板125を所定位置に取り付けて、CO低減部上棚板124とCO低減部下棚板125との間にCO低減触媒151を保持させることができる。
【0094】
そのため、改質部122が、改質部下棚板127と改質部上棚板126との間に、改質触媒150を保持する構造であれば、改質部122の外径が蒸発部121の外径よりも大きくても、CO低減触媒151を充填して所定位置に保持する作業を、改質触媒150を充填して所定位置に保持する作業とともに、連続的に効率よく行うことができ、それによって製造コストの低減を図ることができる水素生成装置100を提供できる。
【0095】
また、伝熱緩衝筒135によって蒸発部121とCO低減部123との間に空間が形成されるので、内周側に充填されたCO低減触媒151が蒸発部121との熱交換によって局所的に冷却される(CO低減触媒151において温度ムラが発生する)ことを抑制できる。
【0096】
そのことによって、CO低減触媒151全体を変成反応に適した温度にすることが容易になるので、二次水素含有ガスにおける一酸化炭素の濃度を従来よりも低減できたり、CO低減触媒151の充填量を従来よりも減らすことができたりする。
【0097】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素
を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0098】
そこで、以下、図3を用いて、他の実施の形態を例示する。
【0099】
実施の形態1では、触媒として改質触媒150とCO低減触媒151を備える構成を説明した。
【0100】
図3のように、水素生成装置200は、CO低減触媒151の下流(上方)にCO低減部123から流出した二次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を選択酸化反応でさらに低減することにより三次水素含有ガスを生成するCO除去触媒を充填したCO除去部142を設けてもよい。
【0101】
CO除去触媒は、直径が2~3mmの粒状のRu系の触媒である。CO除去触媒は、CO除去部下棚板144で下から支えられ(下方向への移動を制限され)、CO除去部上棚板143によって上から覆われ(上方向への移動を制限され)ており、CO除去部下棚板144とCO除去部上棚板143との間に保持されている。
【0102】
CO除去部下棚板144およびCO除去部上棚板143は、ともに、CO除去触媒の粒子径より小さい直径が1mmの通気孔が形成されているドーナツ盤形状の板である。
【0103】
これにより、CO除去触媒によって、水素生成装置200から排出(供給)される水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を実施の形態1の水素生成装置100よりもさらに低減することができる。そのため、信頼性の高い水素生成装置200を提供することができる。
【0104】
CO除去触媒の充填作業は、充填の前にCO除去部下棚板144を設置して、水素生成装置は使用時の向き(上下正常状態)で行い、CO除去触媒の充填後に、CO除去部上棚板143を設置することで、CO除去触媒をCO除去部下棚板144とCO除去部上棚板143との間に保持することができる。
【0105】
なお、上下正常状態で、CO除去触媒の充填後に、CO除去部上棚板143を設置するために、CO除去触媒の充填作業をするときは、第2隔壁上134と伝熱緩衝筒135との間に設置されたCO除去部上棚板143の上方に、上からCO除去触媒を充填してCO除去部上棚板143を設置するのを妨害する障害物が存在しないように、第2隔壁上134などを構成しておく必要がある。
【0106】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示は、加熱部隔壁と加熱部隔壁を囲む第1隔壁との間に蒸発部と改質部とが配置され、第1隔壁における蒸発部が構成されている部分と、その部分を囲む第2隔壁上との間にCO低減部が配置され、第1隔壁における改質部が構成されている部分の外径が、第1隔壁における蒸発部が構成されている部分の外径よりも大きい水素生成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0108】
100 水素生成装置
101 触媒充填準備工程
102 触媒充填工程
103 触媒封止工程
120 加熱部
121 蒸発部
122 改質部
123 CO低減部
124 CO低減部上棚板
125 CO低減部下棚板
126 改質部上棚板
127 改質部下棚板
130 燃焼筒
131 加熱部隔壁
132 第1隔壁
133 第2隔壁下
134 第2隔壁上
135 伝熱緩衝筒
140 燃焼排ガス流路
141 リターン流路
142 CO除去部
143 CO除去部上棚板
144 CO除去部下棚板
150 改質触媒
151 CO低減触媒
200 水素生成装置
図1
図2
図3