(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073566
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20230519BHJP
H01M 50/466 20210101ALI20230519BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20230519BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20230519BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/466
H01M10/04 Z
H01M50/262 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186101
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】515090628
【氏名又は名称】株式会社スリーダムアライアンス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(72)【発明者】
【氏名】小島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 良太
(72)【発明者】
【氏名】永原 良樹
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼中 信秋
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H040
【Fターム(参考)】
5H021CC19
5H021HH10
5H028AA08
5H028CC01
5H028CC02
5H028CC15
5H040AA36
5H040AT04
5H040AY10
5H040CC20
5H040CC34
5H040CC38
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】ジグザグ状に折り畳んでなるセパレータを有するラミネート型電池セルの劣化を防止することができる電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池セル10は、1枚の帯状体20をジグザグ状に折り畳んでなるセパレータ2と、それぞれ複数の正極部材3及び負極部材4とを備える。セパレータ2は、複数の第1折返線部2a、複数の第2折返線部2b及び複数の仕切板部2cを備え、各仕切板部2cが折畳方向に重なる。各正極部材3は、帯状体20の一方の面20a側の各仕切板部2cの間にそれぞれ挟み込まれ、各負極部材4は、帯状体20の他方の面20b側の各仕切板部2cの間にそれぞれ挟み込まれる。収容体6は、断面コ字状の収容フレーム8を備える。収容フレーム8は、セパレータ2の第2折返線部2b側における電極積層方向に拡がる変形を規制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのラミネート型電池セル(10)か、或いは、複数のラミネート型電池セル(10)を積層してなる被収容体(11)を収容する収容体(6)を備えた電池モジュールであって、
前記電池セル(10)は、1枚の帯状体(20)をジグザグ状に折り畳んでなるセパレータ(2)と、フィルム状又はシート状をなす複数の正極部材(3)及び負極部材(4)と、を備え、
前記セパレータ(2)は、前記帯状体(20)の一方の面(20a)側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第1折返線部(2a)と、前記帯状体(20)の他方の面(20b)側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第2折返線部(2b)と、前記各第1折返線部(2a)と前記各第2折返線部(2b)とを境に前記帯状体(20)において区画形成された折畳方向に複数重なる仕切板部(2c)とを備え、
前記各正極部材(3)は、前記帯状体(20)の一方の面(20a)側において前記各仕切板部(2c)の間にそれぞれ挟み込まれ、前記各負極部材(4)は、前記帯状体(20)の他方の面(20b)側において前記各仕切板部(2c)の間にそれぞれ挟み込まれ、
前記電池モジュール(1)において、それぞれ前記第1折返線部(2a)と前記第2折返線部(2b)との並設方向をX方向と、前記第1折返線部(2a)及び第2折返線部(2b)と平行に延びる方向をY方向と、前記セパレータ(2)の折畳方向をZ方向と、X方向一側を前記第1折返線部(2a)が位置する側と、X方向他側を前記第2折返線部(2b)が位置する側としたとき、
前記収容体(6)は、少なくとも前記X方向他側に位置し、且つ、前記Y方向に沿って延びる形状をなし、前記電池セル(10)の前記X方向他側における前記Z方向に拡がる変形を規制する変形規制部(12)を備えていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールにおいて、
前記収容体(6)は、断面コ字状をなす一体形成された収容フレーム(8)を備え、
該収容フレーム(8)は、前記被収容体(11)の前記X方向他側において前記Y方向に沿って帯状に延びる第1壁部(8a)と、該第1壁部(8a)の各側縁部から同方向に延出して前記被収容体(11)を前記Z方向から挟み込む第2壁部(8b)及び第3壁部(8c)とを備え、
前記変形規制部(12)は、前記第1壁部(8a)、第2壁部(8b)及び第3壁部(8c)で構成されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の電池モジュールにおいて、
前記セパレータ(2)、並びに、前記複数の正極部材(3)及び負極部材(4)は、外装体(5)に収容されており、
前記外装体(5)における前記X方向他側の端部は、前記第1壁部(8a)に当接していることを特徴とする電池モジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電池モジュールにおいて、
前記収容体(6)は、前記収容フレーム(8)に収容された前記被収容体(11)の前記X方向一側において前記第2壁部(8b)及び前記第3壁部(8c)を橋絡する橋絡手段(9)を備えていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の電池モジュールにおいて、
前記橋絡手段(9)は、ボルト(9a)及びナット(9b)で構成されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項6】
請求項4に記載の電池モジュールにおいて、
前記橋絡手段(9)は、リベット(9c)であることを特徴とする電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート型電池セルを1つ以上備えた電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池を構成する電池モジュールとして、1枚の帯状体をジグザグ状に折り畳んでなるセパレータを有するラミネート型電池セルを備えたものが知られている。例えば、特許文献1に開示されている電池セルは、帯状体の一方の面側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第1折返線部と、帯状体の他方の面側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第2折返線部と、各第1折返線部と各第2折返線部とを境に帯状体において区画形成された折畳方向に複数重なる仕切板部とを備えている。各正極部材は、帯状体の一方の面側において各仕切板部の間にそれぞれ挟み込まれる一方、各負極部材は、帯状体の他方の面側において各仕切板部の間にそれぞれ挟み込まれている。そして、セパレータ、各正極部材及び各負極部材からなる積層体は、外装体に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ラミネート型電池セルにおいては、各負極部材を構成する負極活物質の高充電状態時における膨張現象が知られている。このとき、特許文献1のようにセパレータがジグザグ状に折畳んだ帯状の態様であると、負極活物質の膨張によって、上記セパレータの第1折返線部側よりも第2折返線部側の方において負極の積層方向に拡がるように変形しやすくなる。その結果、電池セル内において上記セパレータの第1折返線部側と第2折返線部側とで電気化学反応の進み方が異なり、充放電サイクル容量維持率低下等、電池セルの劣化を引き起こしてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ジグザグ状に折り畳んでなるセパレータを有するラミネート型電池セルの劣化を防止することができる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、負極活物質の膨張による電極積層方向の変形を規制する変形規制部を設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、1つのラミネート型電池セルか、或いは、複数のラミネート型電池セルを積層してなる被収容体を収容する収容体を備えた電池モジュールを対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記電池セルは、1枚の帯状体をジグザグ状に折り畳んでなるセパレータと、フィルム状又はシート状をなす複数の正極部材及び負極部材と、を備え、前記セパレータは、前記帯状体の一方の面側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第1折返線部と、前記帯状体の他方の面側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第2折返線部と、前記各第1折返線部と前記各第2折返線部とを境に前記帯状体において区画形成された折畳方向に複数重なる仕切板部とを備え、前記各正極部材は、前記帯状体の一方の面側において前記各仕切板部の間にそれぞれ挟み込まれ、前記各負極部材は、前記帯状体の他方の面側において前記各仕切板部の間にそれぞれ挟み込まれ、前記電池モジュールにおいて、それぞれ前記第1折返線部と前記第2折返線部との並設方向をX方向と、前記第1折返線部及び第2折返線部と平行に延びる方向をY方向と、前記セパレータの折畳方向をZ方向と、X方向一側を前記第1折返線部が位置する側と、X方向他側を前記第2折返線部が位置する側としたとき、前記収容体は、少なくとも前記X方向他側に位置し、且つ、前記Y方向に沿って延びる形状をなし、前記電池セルの前記X方向他側における前記Z方向に拡がる変形を規制する変形規制部を備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記収容体は、断面コ字状をなす一体形成された収容フレームを備え、該収容フレームは、前記被収容体の前記X方向他側において前記Y方向に沿って帯状に延びる第1壁部と、該第1壁部の各側縁部から同方向に延出して前記被収容体を前記Z方向から挟み込む第2壁部及び第3壁部とを備え、前記変形規制部は、前記第1壁部、第2壁部及び第3壁部で構成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、前記セパレータ、並びに、前記複数の正極部材及び負極部材は、外装体に収容されており、前記外装体における前記X方向他側の端部は、前記第1壁部に当接していることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、前記収容体は、前記収容フレームに収容された前記被収容体の前記X方向一側において前記第2壁部及び前記第3壁部を橋絡する橋絡手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第4の発明において、前記橋絡手段は、ボルト及びナットで構成されていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第4の発明において、前記橋絡手段は、リベットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明では、電池セル内において負極活物質の膨張があっても、電池セルの第2折返線部側における電極積層方向の変形を収容体の変形規制部が規制するようになる。したがって、電池セルの電極積層方向の偏った変形がなくなるので、電池セル内における電気化学反応を均一にして充放電サイクル容量維持率低下等、電池セルの劣化を防ぐことができる。
【0015】
第2の発明では、収容フレームは一体形成されているので、電池セルの第2折返線部側を囲う第1壁部、第2壁部及び第3壁部の連続する部分の剛性が高くなる。したがって、高充電状態時における電池セル内の負極活物質の膨張があっても、電池セルの第2折返線部側における電極積層方向の変形を簡単に且つ低コスト構造で防ぐことができる。
【0016】
第3の発明では、電池セルを収容フレームに収容した状態において当該収容フレームの第1壁部と電池セルとが第1壁部の板厚方向に接近するようになるので、電池モジュールの外形を第1壁部の板厚方向にコンパクトにすることができる。
【0017】
第4の発明では、橋絡手段が収容フレームに収容された状態の電池セルの第1壁部から離間する方向への移動を遮るようになる。したがって、電池モジュールに不意に力が加わって電池セルが収容フレームにおける第1壁部の反対側から滑脱してしまうといったことを防ぐことができる。
【0018】
第5の発明では、簡単な作業で第2壁部と第3壁部とを橋絡することができるので、組立コストを低く抑えることができる。
【0019】
第6の発明では、第2壁部と第3壁部とが強固に固定されるようになるので、電池モジュール全体の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図3】電池セル内における積層構造の分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る
図1相当図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係る
図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0022】
《発明の実施形態1》
図1及び
図2は、本発明の実施形態1に係るラミネート型の電池モジュール1を示す。該電池モジュール1は、略平板状をなす4つのラミネート型電池セル10をセルの厚み方向に積層してなるセル積層体11(被収容体)と、該セル積層体11を収容する収容体6とを備えている。
【0023】
電池セル10は、所謂つづら折り型のセパレータ2と、矩形板状をなすフィルム材又はシート材からなるそれぞれ複数の正極部材3及び負極部材4と、平坦な袋状をなす外装体5とを備えている。
【0024】
セパレータ2は、
図3に示すように、例えば、シート状又はフィルム状の多孔質の熱可塑性樹脂材からなる1枚の帯状体20をジグザグ状に折り畳んで形成されたものである。
【0025】
セパレータ2は、帯状体20の一方の面20a側を山折りして形成された複数の第1折返線部2aと、帯状体20の他方の面20b側を山折りして形成された複数の第2折返線部2bと、各第1折返線部2aと各第2折返線部2bとを境に帯状体20において区画形成された複数の仕切板部2cとを備え、各仕切板部2cが折畳方向に重なるとともに、当該仕切板部2cに隣接して各第1折返線部2a及び各第2折返線部2bがそれぞれ折畳方向に並んでいる。
【0026】
尚、以下では、便宜上、電池モジュール1において、第1折返線部2aと第2折返線部2bとの並設方向をX方向と、第1折返線部2a及び第2折返線部と平行に延びる方向をY方向と、セパレータ2の折畳方向をZ方向とそれぞれ定義するとともに、X方向一側を第1折返線部2aが位置する側と、X方向他側を第2折返線部2bが位置する側と、Y方向一側を正極端子5aが位置する側と、Y方向他側を負極端子5bが位置する側と、それぞれ定義する。すなわち、各電池セル10の積層方向はZ方向に一致している。
【0027】
正極部材3は、アルミニウム箔やアルミニウム合金箔等からなる略矩形板状をなす導電性の正極集電体の両面に正極活物質等の正極合剤層を積層したものであり、Y方向一端には、正極集電リード3aが接続されている。
【0028】
正極部材3は、帯状体20の一方の面20a側において隣り合う2つの仕切板部2cの間にそれぞれ挟み込まれている。
【0029】
正極部材3は、その全領域が隣り合う2つの仕切板部2cに覆われていて、正極集電リード3aは、Y方向一側に向かってセパレータ2から延出している。
【0030】
一方、負極部材4は、銅箔等からなる略矩形板状をなす導電性の負極集電体の両面に負極活物質等の負極合剤層を積層したものであり、Y方向他端には、負極集電リード4aが接続されている。
【0031】
負極部材4は、帯状体20の他方の面20b側において隣り合う2つの仕切板部2cの間にそれぞれ挟み込まれている。
【0032】
負極部材4は、その全領域が隣り合う2つの仕切板部2cに覆われていて、負極集電リード4aは、Y方向他側に向かってセパレータ2から延出している。
【0033】
外装体5は、
図1及び
図2に示すように、例えば、アルミニウム箔の両面に樹脂層を積層した2枚のラミネートフィルムをその間に収容空間S1が形成されるように重ねて外周部分を互いに接合して形成されたものであり、収容空間S1には、セパレータ2、正極部材3及び負極部材4からなる電極積層体7が図示しない電解液とともに収容されている。
【0034】
外装体5のY方向一端には、各正極集電リード3aに繋がる正極端子5aが収容空間S1から外装体5の外側に延出されるように設けられ、外装体5のY方向他端には、各負極集電リード4aに繋がる負極端子5bが収容空間S1から外装体5の外側に延出されるように設けられている。
【0035】
収容体6は、
図1及び
図2に示すように、断面コ字状をなす収容フレーム8と、互いに螺合連結可能なボルト9a及び2つのナット9bからなる橋絡ユニット9(橋絡手段)とを備えている。
【0036】
収容フレーム8は、長方形板状をなすアルミニウム材等の金属板を折り曲げて一体に形成したものであり、X方向他側においてY方向に帯状に延びる第1壁部8aと、該第1壁部8aの各側縁部から当該第1壁部8aの板厚方向、すなわちX方向で且つ同方向に延出する第2壁部8b及び第3壁部8cとを備えていて、本発明の変形規制部12は、断面コ字状をなす第1壁部8a、第2壁部8b及び第3壁部8cで構成されている。
【0037】
第2壁部8bと第3壁部8cとは、同形状で且つ互いに略平行に延びており、その間隔は、セル積層体11の厚みに対応する寸法になっている。
【0038】
そして、収容フレーム8は、セル積層体11をセパレータ2の各第2折返線部2bが第1壁部8aに対応するように第2壁部8b及び第3壁部8cでZ方向から挟み込んだ状態で収容するようになっていて、セル積層体11の外装体5における第2折返線部2b側の端部は、第1壁部8aに当接するようになっている。
【0039】
また、第1壁部8aのY方向の寸法D1は、セパレータ2における各第2折返線部2bの全長D2よりも長く設定されていて、収容フレーム8がセル積層体11を収容すると、第1壁部8aがセパレータ2の各第2折返線部2bを覆う配置となるようになっている。
【0040】
すなわち、本発明の変形規制部12は、第1壁部8a、第2壁部8b及び第3壁部8cで構成された断面コ字状で、且つ、Y方向に沿って延びる形状の部分であり、電池セル10のX方向他側の領域におけるZ方向に拡がる変形を規制するようになっている。
【0041】
第2壁部8b及び第3壁部8cの各々の第1壁部8aとは反対側の縁部寄りの位置には、互いに対向する一対の貫通孔H1がY方向に所定の間隔をあけて二組形成されている。
【0042】
互いに対向する一対の貫通孔H1には、ボルト9aが順に挿通され、該ボルト9aの両端にそれぞれナット9bを螺合することにより、ボルト9a及び2つのナット9bで第2壁部8b及び第3壁部8cの第1壁部8aとは反対側の縁部を橋絡するようになっている。
【0043】
すなわち、各橋絡ユニット9は、収容フレーム8に収容されたセル積層体11のX方向一側において第2壁部8b及び第3壁部8cを橋絡するようになっている。
【0044】
次に、本発明の実施形態1に係る電池モジュール1の使用時について詳述する。各電池セル10の各正極端子5a及び各負極端子5bを電源(図示せず)に接続し、電池セル10の充電を開始する。その後、各電池セル10が高充電状態になると、各電池セル10の各負極部材4を構成する負極活物質が膨張し始める。その際、ジグザグ状に折り畳まれたセパレータ2において、負極部材4を挟み込む2つの仕切板部2cのX方向一側は1つの第1折返線部2aで繋がる一方、X方向他側は2つの第2折返線部2bが繋がっていないので、各電池セル10の各第1折返線部2a側においては、負極部材4を挟み込む2つの仕切板部2cが離間せずに負極活物質の膨張が抑制されるが、各第2折返線部2b側においては、負極部材4を挟み込む2つの仕切板部2cが互いに離間する方向(Z方向)に規制されておらず、負極活物質がZ方向において膨張しようとする。このとき、一体に形成された断面コ字状の第1壁部8a、第2壁部8b及び第3壁部8cが、電池セル10の膨張に応じてZ方向に反力を生じさせるので、その結果として電池セル10のZ方向の膨張を規制する。つまり、第2壁部8bと第3壁部8cとの間の間隔が維持されるようになる。したがって、電池セル10のZ方向の偏った変形をなくすことができる。
【0045】
以上より、本発明の実施形態1によると、電池セル10内において負極活物質の膨張があっても、電池セル10のZ方向の変形を変形規制部12が規制するようになる。したがって、電池セル10のZ方向の偏った変形がなくなるので、電池セル10内における電気化学反応を均一にして充放電サイクル容量維持率低下等、電池セル10の劣化を防ぐことができる。
【0046】
また、収容フレーム8は一体形成されているので、電池セル10の第2折返線部2b側を囲う第1壁部8a、第2壁部8b及び第3壁部8cの連続する部分の剛性が高くなる。したがって、高充電状態における電池セル10内の負極活物質の膨張があっても、電池セル10の第2折返線部2b側におけるZ方向の変形を簡単に且つ低コスト構造で防ぐことができる。
【0047】
また、外装体5におけるX方向他側の端部が第1壁部8aに当接しているので、電池セル10を収容フレーム8に収容した状態において当該収容フレーム8の第1壁部8aと電池セル10とが第1壁部8aの板厚方向に接近するようになる。したがって、電池モジュール1の外形を第1壁部8aの板厚方向にコンパクトにすることができる。
【0048】
また、各橋絡ユニット9であるボルト9a及び9bが収容フレーム8に収容された状態の電池セル10の第1壁部8aから離間する方向への移動を遮るようになる。したがって、電池モジュール1に不意に力が加わって電池セル10が収容フレーム8における第1壁部8aの反対側から滑脱してしまうといったことを防ぐことができる。
【0049】
また、ボルト9a及び9bの締結という簡単な作業で第2壁部8bと第3壁部8cとを橋絡することができるので、組立コストを低く抑えることができる。
【0050】
《発明の実施形態2》
図4及び
図5は、本発明の実施形態2の電池モジュール1を示す。この実施形態2では、橋絡ユニット9の構造が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0051】
実施形態2では、橋絡ユニット9がボルト9a及びナット9bではなく、リベット9cで構成されている。
【0052】
すなわち、互いに対向する一対の貫通孔H1にリベット9cを順に挿通するとともに、リベット9cの先端部分を変形させることにより、各リベット9cが収容フレーム8に収容されたセル積層体11のX方向一側において第2壁部8b及び第3壁部8cを橋絡するようになっている。
【0053】
以上より、本発明の実施形態2によると、第2壁部8bと第3壁部8cとをリベット9cで橋絡しているので、第2壁部8bと第3壁部8cとが強固に固定されるようになり、電池モジュール1全体の剛性を高めることができる。
【0054】
《発明の実施形態3》
図6は、本発明の実施形態3の電池モジュール1を示す。この実施形態3では、収容体6の構造が実施形態2と異なっている以外は実施形態2と同様であるので、実施形態2と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0055】
実施形態3の第1壁部8aにおけるZ方向中央には、軽量化等の目的で複数の第1貫通孔8dがY方向に所定の間隔をあけて一列に形成されている。
【0056】
また、実施形態3の第2壁部8bには、軽量化等の目的で多数の第2貫通孔8eがZ方向から見て格子点状に所定の間隔をあけて形成されている。尚、図示しないが、第3壁部8cにも多数の第2貫通孔8eが形成されている。
【0057】
すなわち、実施形態3の変形規制部12は、複数の第1貫通孔8d及び複数の第2貫通孔8eが形成された収容フレーム8で構成されている。
【0058】
以上より、本発明の実施形態3によると、電池セル10のZ方向の変形を変形規制部12が規制するようになるので、実施形態1,2と同様に、電池セル10のZ方向の偏った変形が無くなり、電池セル10内における電気化学反応を均一にして充放電サイクル容量維持率低下等、電池セル10の劣化を防ぐことができる。
【0059】
尚、本発明の実施形態1から3では、電池モジュール1が4つの電池セル10で構成されているが、これに限らず、1から3個の電池セル10で構成されていてもよいし、5個以上の電池セル10で構成されていてもよい。
【0060】
また、本発明の実施形態1から3では、金属板を折り曲げることにより収容フレーム8を形成しているが、これに限らず、金属部材を切削加工して形成してもよいし、樹脂材を用いて一体成形することにより形成してもよい。
【0061】
また、本発明の実施形態1から3では、収容フレーム8の断面コ字状の部分で電池セル10のZ方向の変形を規制しているが、その他の構造で電池セル10の変形を規制するようにしてもよく、例えば、第1壁部8aのY方向に連続して延びる押圧機構を用いて各電池セル10の第2折返線部2b側においてZ方向にセル積層体11を押圧することにより各電池セル10の変形を規制するような構成にしてもよい。
【0062】
また、本発明の実施形態1から3では、橋絡ユニット9が2つ設けられているが、これに限らず、橋絡ユニット9は1つであってもよいし、橋絡ユニット9を3つ以上設けるようにしてもよい。
【0063】
また、本発明の実施形態1から3では、セル積層体11の全ての外装体5における第2折返線部2b側の端部が第1壁部8aに当接しているが、全ての外装体5の端部が第1壁部8aに当接することは必須ではない。
【符号の説明】
【0064】
1 電池モジュール
2 セパレータ
2a 第1折返線部
2b 第2折返線部
2c 仕切板部
3 正極部材
4 負極部材
5 外装体
6 収容体
8 収容フレーム
8a 第1壁部
8b 第2壁部
8c 第3壁部
9 橋絡ユニット(橋絡手段)
9a ボルト
9b ナット
9c リベット
10 電池セル
11 セル積層体(被収容体)
12 変形規制部
20 帯状体