(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073567
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20230519BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20230519BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20230519BHJP
H01M 50/466 20210101ALI20230519BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/262 S
H01M50/262 P
H01M10/04 Z
H01M50/466
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186102
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】515090628
【氏名又は名称】株式会社スリーダムアライアンス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝
(72)【発明者】
【氏名】小島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 良太
(72)【発明者】
【氏名】永原 良樹
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼中 信秋
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H040
【Fターム(参考)】
5H021CC19
5H021HH10
5H028AA08
5H028CC01
5H028CC15
5H040AA36
5H040AT04
5H040AY10
5H040CC20
5H040CC34
5H040CC38
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】ジグザグ状に折り畳んでなるセパレータを有するラミネート型電池セルの劣化を防止することができる電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池セル10は、1枚の帯状体20をジグザグ状に折り畳んでなるセパレータ2と、それぞれ複数の正極部材3及び負極部材4とを備える。セパレータ2は、複数の第1折返線部2a、複数の第2折返線部2b及び複数の仕切板部2cを備える。収容体6は、セパレータ2の折畳方向においてセル積層体11を挟み込む一対のカバープレート8と、両カバープレート8におけるセパレータ2の各第1折返線部2aに対応する側の縁部同士を挟持する第1連結ユニット12と、両カバープレート8におけるセパレータ2の各第2折返線部2bに対応する側の縁部同士を挟持する第2連結ユニット13とを備え、第2連結ユニット13は、挟持力が第1連結ユニット12の挟持力よりも大きく設定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのラミネート型電池セル(10)か、或いは、複数のラミネート型電池セル(10)を積層してなる被収容体(11)を収容する収容体(6)を備えた電池モジュールであって、
前記電池セル(10)は、1枚の帯状体(20)をジグザグ状に折り畳んでなるセパレータ(2)と、フィルム状又はシート状をなす複数の正極部材(3)及び負極部材(4)と、を備え、
前記セパレータ(2)は、前記帯状体(20)の一方の面(20a)側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第1折返線部(2a)と、前記帯状体(20)の他方の面(20b)側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第2折返線部(2b)と、前記各第1折返線部(2a)と前記各第2折返線部(2b)とを境に前記帯状体(20)において区画形成された折畳方向に複数重なる仕切板部(2c)とを備え、
前記各正極部材(3)は、前記帯状体(20)の一方の面(20a)側において前記各仕切板部(2c)の間にそれぞれ挟み込まれ、前記各負極部材(4)は、前記帯状体(20)の他方の面(20b)側において前記各仕切板部(2c)の間にそれぞれ挟み込まれ、
前記電池モジュール(1)において、それぞれ前記第1折返線部(2a)と前記第2折返線部(2b)との並設方向をX方向と、前記第1折返線部(2a)及び第2折返線部(2b)と平行に延びる方向をY方向と、前記セパレータ(2)の折畳方向をZ方向と、X方向一側を前記第1折返線部(2a)が位置する側と、X方向他側を前記第2折返線部(2b)が位置する側としたとき、
前記収容体(6)は、前記被収容体(11)におけるZ方向一側と他側とにそれぞれ位置し且つ前記被収容体(11)を挟み込む一対のカバープレート(8)と、該両カバープレート(8)におけるX方向一側の縁部同士を挟持して繋ぐ第1挟持手段(12)と、前記両カバープレート(8)におけるX方向他側の縁部同士を挟持して繋ぐ第2挟持手段(13)と、を備え、
前記第2挟持手段(13)は、挟持力が前記第1挟持手段(12)よりも大きく設定されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールにおいて、
前記第1挟持手段(12)は、前記各カバープレート(8)の互いに対応する位置に形成された一対の第1ボルト挿通孔(H1)と、該両第1ボルト挿通孔(H1)に順に挿通させる第1ボルト(12a)と、該第1ボルト(12a)に螺合連結して当該第1ボルト(12a)に軸力を発生させる第1ナット(12b)とを備え、
前記第2挟持手段(13)は、前記各カバープレート(8)の互いに対応する位置に形成された一対の第2ボルト挿通孔(H2)と、該両第2ボルト挿通孔(H2)に順に挿通させる第2ボルト(13a)と、該第2ボルト(13a)に螺合連結して当該第2ボルト(13a)に軸力を発生させる第2ナット(13b)とを備え、
前記挟持力は、前記軸力であることを特徴とする電池モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の電池モジュールにおいて、
前記カバープレート(8)の前記第2ボルト挿通孔(H2)に対応する位置には、弾性体(13c)が前記第2ボルト(13a)に螺合する第2ナット(13b)と前記カバープレート(8)との間に配設されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電池モジュールにおいて、
前記第1挟持手段(12)は、1つ、或いは、Y方向に沿って複数設けられ、
前記第2挟持手段(13)は、Y方向に沿って複数設けられ、
前記第2挟持手段(13)は、前記第1挟持手段(12)よりも多く設けられていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の電池モジュールにおいて、
前記第2ボルト(13a)の径は、前記第1ボルト(12a)の径よりも大きく設定されていることを特徴とする電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート型電池セルを1つ以上備えた電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池を構成する電池モジュールとして、1枚の帯状体をジグザグ状に折り畳んでなるセパレータを有するラミネート型電池セルを備えたものが知られている。例えば、特許文献1に開示されている電池セルは、帯状体の一方の面側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第1折返線部と、帯状体の他方の面側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第2折返線部と、各第1折返線部と各第2折返線部とを境に帯状体において区画形成された折畳方向に複数重なる仕切板部とを備えている。各正極部材は、帯状体の一方の面側において各仕切板部の間にそれぞれ挟み込まれる一方、各負極部材は、帯状体の他方の面側において各仕切板部の間にそれぞれ挟み込まれている。そして、セパレータ、各正極部材及び各負極部材からなる積層体は、外装体に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ラミネート型電池セルにおいては、各負極部材を構成する負極活物質の高充電状態時における膨張現象が知られている。このとき、特許文献1のようにセパレータがジグザグ状に折畳んだ帯状の態様であると、負極活物質の膨張によって、上記セパレータの第1折返線部側よりも第2折返線部側の方において負極の積層方向に拡がるように変形しやすくなる。その結果、電池セル内において上記セパレータの第1折返線部側と第2折返線部側とで電気化学反応の進み方が異なり、充放電サイクル容量維持率低下等、電池セルの劣化を引き起こしてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ジグザグ状に折り畳んでなるセパレータを有するラミネート型電池セルの劣化を防止することができる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、電池セルを収容する収容体の第1折返線部側よりも第2折返線部側においてセパレータの折畳方向に大きな挟持力を加えるようにしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、1つのラミネート型電池セルか、或いは、複数のラミネート型電池セルを積層してなる被収容体を収容する収容体を備えた電池モジュールを対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記電池セルは、1枚の帯状体をジグザグ状に折り畳んでなるセパレータと、フィルム状又はシート状をなす複数の正極部材及び負極部材と、を備え、前記セパレータは、前記帯状体の一方の面側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第1折返線部と、前記帯状体の他方の面側を山折りして形成され且つ折畳方向に並ぶ複数の第2折返線部と、前記各第1折返線部と前記各第2折返線部とを境に前記帯状体において区画形成された折畳方向に複数重なる仕切板部とを備え、前記各正極部材は、前記帯状体の一方の面側において前記各仕切板部の間にそれぞれ挟み込まれ、前記各負極部材は、前記帯状体の他方の面側において前記各仕切板部の間にそれぞれ挟み込まれ、前記電池モジュールにおいて、それぞれ前記第1折返線部と前記第2折返線部との並設方向をX方向と、前記第1折返線部及び第2折返線部と平行に延びる方向をY方向と、前記セパレータの折畳方向をZ方向と、X方向一側を前記第1折返線部が位置する側と、X方向他側を前記第2折返線部が位置する側としたとき、前記収容体は、前記被収容体におけるZ方向一側と他側とにそれぞれ位置し且つ前記被収容体を挟み込む一対のカバープレートと、該両カバープレートにおけるX方向一側の縁部同士を挟持して繋ぐ第1挟持手段と、前記両カバープレートにおけるX方向他側の縁部同士を挟持して繋ぐ第2挟持手段と、を備え、前記第2挟持手段は、挟持力が前記第1挟持手段よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記第1挟持手段は、前記各カバープレートの互いに対応する位置に形成された一対の第1ボルト挿通孔と、該両第1ボルト挿通孔に順に挿通させる第1ボルトと、該第1ボルトに螺合連結して当該第1ボルトに軸力を発生させる第1ナットとを備え、前記第2挟持手段は、前記各カバープレートの互いに対応する位置に形成された一対の第2ボルト挿通孔と、該両第2ボルト挿通孔に順に挿通させる第2ボルトと、該第2ボルトに螺合連結して当該第2ボルトに軸力を発生させる第2ナットとを備え、前記挟持力は、前記軸力であることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、前記カバープレートの前記第2ボルト挿通孔に対応する位置には、弾性体が前記第2ボルトに螺合する第2ナットと前記カバープレートとの間に配設されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、記第1挟持手段は、1つ、或いは、Y方向に沿って複数設けられ、前記第2挟持手段は、Y方向に沿って複数設けられ、前記第2挟持手段は、前記第1挟持手段よりも多く設けられていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第2から第4のいずれか1つの発明において、前記第2ボルトの径は、前記第1ボルトの径よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、電池セル内において負極活物質の膨張があっても、電池セルのX方向他側におけるZ方向の変形が抑制される。したがって、電池セルのX方向一側と他側とにおけるZ方向の偏った変形が抑制されるので、電池セル内における電気化学反応を均一にして充放電サイクル容量維持率低下等、電池セルの劣化を防ぐことができる。
【0014】
第2の発明では、第1ボルト及び第1ナットの締付トルクと第2ボルト及び第2ナットの締付トルクとをそれぞれ変えるだけで、両カバープレートのX方向一側より他側の挟持力を強くすることが可能になる。このように、収容体のX方向一側と他側とにおける挟持力の差を簡単につけることができるようになるので、電池モジュールの組み立てを簡単に行うことができる。
【0015】
第3の発明では、弾性体が第2ナットとカバープレートとを離間させる方向に力を加えるので、両カバープレートにおけるX方向他側の挟持力が安定するようになる。したがって、電池セルにおける偏った変形を確実に防ぐことができる。
【0016】
第4の発明では、両カバープレートのX方向一側よりX方向他側の挟持力を簡単に強くすることができる。したがって、偏った変形が発生し難い電池モジュールの構造を安価に組み立てることができる。
【0017】
第5の発明では、部品点数を増やすことなく両カバープレートのX方向一側よりX方向他側の挟持力を大きくすることができる。したがって、コストをかけずに電池セルにおける偏った変形を確実に防ぐことができる電池モジュールにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図3】電池セル内における積層構造の分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る
図1相当図である。
【
図5】本発明の実施形態3に係る
図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0020】
《発明の実施形態1》
図1及び
図2は、本発明の実施形態1に係るラミネート型の電池モジュール1を示す。該電池モジュール1は、略平板状をなす4つのラミネート型電池セル10をセルの厚み方向に積層してなるセル積層体11(被収容体)と、該セル積層体11を収容する収容体6とを備えている。
【0021】
電池セル10は、所謂つづら折り型のセパレータ2と、矩形板状をなすフィルム材又はシート材からなるそれぞれ複数の正極部材3及び負極部材4と、平坦な袋状をなす外装体5とを備えている。
【0022】
セパレータ2は、
図3に示すように、例えば、シート状又はフィルム状の多孔質の熱可塑性樹脂材からなる1枚の帯状体20をジグザグ状に折り畳んで形成されたものである。
【0023】
セパレータ2は、帯状体20の一方の面20a側を山折りして形成された複数の第1折返線部2aと、帯状体20の他方の面20b側を山折りして形成された複数の第2折返線部2bと、各第1折返線部2aと各第2折返線部2bとを境に帯状体20において区画形成された複数の仕切板部2cとを備え、各仕切板部2cが折畳方向に重なるとともに、当該仕切板部2cに隣接して各第1折返線部2a及び各第2折返線部2bがそれぞれ折畳方向に並んでいる。
【0024】
尚、以下では、便宜上、電池モジュール1において、第1折返線部2aと第2折返線部2bとの並設方向をX方向と、第1折返線部2a及び第2折返線部2bと平行に延びる方向をY方向と、セパレータ2の折畳方向をZ方向とそれぞれ定義するとともに、X方向一側を第1折返線部2aが位置する側と、X方向他側を第2折返線部2bが位置する側と、Y方向一側を正極端子5aが位置する側と、Y方向他側を負極端子5bが位置する側と、それぞれ定義する。すなわち、各電池セル10の積層方向はZ方向に一致している。
【0025】
正極部材3は、アルミニウム箔やアルミニウム合金箔等からなる略矩形板状をなす導電性の正極集電体の両面に正極活物質等の正極合剤層を積層したものであり、Y方向一端には、正極集電リード3aが接続されている。
【0026】
正極部材3は、帯状体20の一方の面20a側において隣り合う2つの仕切板部2cの間にそれぞれ挟み込まれている。
【0027】
正極部材3は、その全領域が隣り合う2つの仕切板部2cに覆われていて、正極集電リード3aは、Y方向一側に向かってセパレータ2から延出している。
【0028】
一方、負極部材4は、銅箔等からなる略矩形板状をなす導電性の負極集電体の両面に負極活物質等の負極合剤層を積層したものであり、Y方向他端には、負極集電リード4aが接続されている。
【0029】
負極部材4は、帯状体20の他方の面20b側において隣り合う2つの仕切板部2cの間にそれぞれ挟み込まれている。
【0030】
負極部材4は、その全領域が隣り合う2つの仕切板部2cに覆われていて、負極集電リード4aは、Y方向他側に向かってセパレータ2から延出している。
【0031】
外装体5は、
図1及び
図2に示すように、例えば、アルミニウム箔の両面に樹脂層を積層した2枚のラミネートフィルムをその間に収容空間S1が形成されるように重ねて外周部分を互いに接合して形成されたものであり、収容空間S1には、セパレータ2、正極部材3及び負極部材4からなる電極積層体7が図示しない電解液とともに収容されている。
【0032】
外装体5のY方向一端には、各正極集電リード3aに繋がる正極端子5aが収容空間S1から外装体5の外側に延出されるように設けられ、外装体5のY方向他端には、各負極集電リード4aに繋がる負極端子5bが収容空間S1から外装体5の外側に延出されるように設けられている。
【0033】
収容体6は、
図1及び
図2に示すように、アルミニウム材等の金属板からなる互いに平行に延びる矩形板状をなす一対のカバープレート8と、該両カバープレート8を連結する第1連結ユニット12(第1挟持手段)及び第2連結ユニット13(第2挟持手段)とを備え、各カバープレート8は、同形状で且つ収容体6の大部分を覆う形状をなしている。
【0034】
両カバープレート8は、収容体6におけるZ方向一側と他側とに離間して配置されてセル積層体11を挟み込んでいる。
【0035】
各カバープレート8のX方向一側縁部は、セパレータ2の各第1折返線部2aに対応しており、各カバープレート8の各々のX方向一側縁部寄りの位置には、互いに対向する一対の第1ボルト挿通孔H1がY方向に沿って所定の間隔をあけて二組形成されている。
【0036】
また、各カバープレート8のX方向他端縁部は、セパレータ2の各第2折返線部2bに対応しており、各カバープレート8の各々のX方向他側縁部寄りの位置には、互いに対向する一対の第2ボルト挿通孔H2がY方向に沿って所定の間隔をあけて二組形成されている。
【0037】
第1連結ユニット12は、収容体6のY方向に沿って一対設けられ、細長い第1ボルト12aと、該第1ボルト12aに螺合可能な第1ナット12bとを備えている。
【0038】
第1連結ユニット12は、両カバープレート8における互いに対向する一対の第1ボルト挿通孔H1に第1ボルト12aを順に挿通させた状態で当該第1ボルト12aに第1ナット12bを螺合連結することにより、両カバープレート8におけるX方向一側の縁部同士を挟持して繋ぐようになっている。
【0039】
そして、第1連結ユニット12は、第1ナット12bを捩じ込んで第1ボルト12aの頭部と第1ナット12bとで両カバープレート8を挟み込むと、第1ボルト12aに軸力P1を発生させるようになっている。
【0040】
すなわち、各第1連結ユニット12の両カバープレート8を挟持する挟持力は、軸力P1となっている。
【0041】
一方、第2連結ユニット13は、収容体6のY方向に沿って一対設けられ、細長い第2ボルト13aと、該第2ボルト13aに螺合可能な第2ナット13bと、第2ボルト13aに挿通可能なスプリングワッシャー13c(弾性体)とを備え、第2ボルト13a及び第2ナット13bは、第1ボルト12a及び第1ナット12bとそれぞれ同形状をなしている。
【0042】
第2連結ユニット13は、両カバープレート8における互いに対向する一対の第2ボルト挿通孔H2に第2ボルト13aを順に挿通させ、且つ、スプリングワッシャー13cを第2ボルト13aに外嵌合させた状態で当該第2ボルト13aに第2ナット13bを螺合連結することにより、両カバープレート8におけるX方向他側の縁部同士を挟持して繋ぐようになっている。
【0043】
第2連結ユニット13が両カバープレート8を挟持した際、スプリングワッシャー13cは、カバープレート8の第2ボルト挿通孔H2に対応する位置において第2ボルト13aに螺合する第2ナット13bとカバープレート8との間に配設されるようになっている。
【0044】
そして、第2連結ユニット13は、第2ナット13bを捩じ込んで第2ボルト13aの頭部と第2ナット13bとでスプリングワッシャー13cを介して両カバープレート8を挟み込むと、第2ボルト13aに軸力P2を発生させるようになっている。
【0045】
すなわち、各第2連結ユニット13の両カバープレート8を挟持する挟持力は、軸力P2となっていて、各軸力P2が各軸力P1よりも大きくなるように第1ナット12b及び第2ナット13bの締付トルクが設定されている。
【0046】
つまり、第2連結ユニット13は、挟持力が第1連結ユニット12よりも大きく設定されている。
【0047】
次に、本発明の実施形態1に係る電池モジュール1の使用時について詳述する。各電池セル10の各正極端子5a及び各負極端子5bを電源(図示せず)に接続し、電池セル10の充電を開始する。その後、各電池セル10が高充電状態になると、各電池セル10の各負極部材4を構成する負極活物質が膨張し始める。その際、ジグザグ状に折り畳まれたセパレータ2において、負極部材4を挟み込む2つの仕切板部2cのX方向一側は1つの第1折返線部2aで繋がる一方、X方向他側は2つの第2折返線部2bが繋がっていないので、各電池セル10の各第1折返線部2a側においては、負極部材4を挟み込む2つの仕切板部2cが離間せずに負極活物質の膨張が抑制されるが、各第2折返線部2b側においては、負極部材4を挟み込む2つの仕切板部2cが互いに離間する方向(Z方向)に規制されておらず、負極活物質がZ方向において膨張しようとする。このとき、収容体6のX方向他側に位置する各第2連結ユニット13がX方向一側に位置する各第1連結ユニット12よりも大きな軸力P2によりセル積層体11を挟み込んでいるので、電池セル10におけるX方向他側のZ方向の変形がX方向一側のZ方向の変形よりも抑制される。したがって、電池セル10がZ方向において偏って変形し難くなる。
【0048】
このように、本発明の実施形態1によると、電池セル10のX方向他側におけるZ方向の変形が抑制される。したがって、電池セル10のX方向一側と他側とにおけるZ方向の偏った変形が抑制されるので、電池セル10内における電気化学反応を均一にして充放電サイクル容量維持率低下等、電池セル10の劣化を防ぐことができる。
【0049】
また、第1ボルト12a及び第1ナット12bの締付トルクと第2ボルト13a及び第2ナット13bの締付トルクとをそれぞれ変えるだけで、両カバープレート8のX方向一側より他側の挟持力を強くすることが可能になる。このように、収容体6のX方向一側と他側とにおける挟持力の差を簡単につけることができるようになるので、電池モジュール1の組み立てを簡単に行うことができる。
【0050】
また、スプリングワッシャー13cが第2ナット13bとカバープレート8とを離間させる方向に力を加えるので、両カバープレート8におけるX方向他側の挟持力が安定するようになる。したがって、電池セル10における偏った変形を確実に防ぐことができる。
【0051】
《発明の実施形態2》
図4は、本発明の実施形態2の電池モジュール1を示す。この実施形態2では、第2連結ユニット13の数が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0052】
実施形態2では、各カバープレート8の各々のX方向他側縁部寄りの位置において互いに対応するように形成された一対の第2ボルト挿通孔H2がY方向に沿って所定の間隔をあけて三組形成されている。
【0053】
実施形態2の第2連結ユニット13は、収容体6のY方向に沿って3つ設けられ、各第2連結ユニット13は、各カバープレート8において互いに対応する一対の第2ボルト挿通孔H2を介して両カバープレート8を挟持して繋いでいる。
【0054】
以上より、本発明の実施形態2によると、互いにボルト及びナット形状が同じである第1連結ユニット12よりも第2連結ユニット13の数を増やすだけで両カバープレート8のX方向一側よりX方向他側の挟持力を簡単に強くすることができる。したがって、偏った変形が発生し難い電池モジュール1の構造を安価に組み立てることができる。
【0055】
《発明の実施形態3》
図5は、本発明の実施形態3の電池モジュール1を示す。この実施形態3では、第2連結ユニット13の構造が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0056】
実施形態3の各第2連結ユニット13における第2ボルト13aの径は、各第1連結ユニット12における第1ボルト12aの径よりも大きく設定され、第2ナット13bは、第2ボルト13aの径に対応する大きさになっている。
【0057】
以上より、本発明の実施形態3によると、実施形態2のように部品点数を増やすことなく両カバープレート8のX方向一側よりX方向他側の挟持力を大きくすることができる。したがって、コストをかけずに電池セル10における偏った変形を確実に防ぐことができる電池モジュール1にすることができる。
【0058】
尚、本発明の実施形態1~3では、電池モジュール1が4つの電池セル10で構成されているが、これに限らず、1~3つの電池セル10で構成されていてもよいし、5つ以上の電池セル10で構成されていてもよい。
【0059】
また、本発明の実施形態1~3では、第2ナット13bとカバープレート8との間にスプリングワッシャー13cを配設しているが、これに限らず、縮んだ際に付勢力が発生する弾性体であればよく、コイルバネやゴム体等であってもよい。
【0060】
また、本発明の実施形態1~3では、第1ボルト12a及び第1ナット12bや第2ボルト13a及び第2ナット13bで両カバープレート8を挟持しているが、収容体6におけるX方向一側よりもX方向他側の挟持力を高められるのであれば、例えば、第1連結ユニット12及び第2連結ユニット13をクランプ構造にしてこのクランプ構造で両カバープレート8を挟持するようにしてもよい。
【0061】
また、本発明の実施形態2では、第2連結ユニット13が3つで、第1連結ユニット12が2つになっているが、これに限らず、例えば、第1連結ユニット12が1つで第2連結ユニット13が2つであってもよく、第1連結ユニット12よりも第2連結ユニット13の数が多ければよい。
【符号の説明】
【0062】
1 電池モジュール
2 セパレータ
2a 第1折返線部
2b 第2折返線部
2c 仕切板部
3 正極部材
4 負極部材
6 収容体
8 カバープレート
10 電池セル
11 セル積層体(被収容体)
12 第1連結ユニット(第1挟持手段)
12a 第1ボルト
12b 第1ナット
13 第2連結ユニット(第2挟持手段)
13a 第2ボルト
13b 第2ナット
13c スプリングワッシャー(弾性体)
H1 第1ボルト挿通孔
H2 第2ボルト挿通孔