IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラインダストリアルツールズ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073578
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】セルホルダ及び電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/271 20210101AFI20230519BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20230519BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20230519BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20230519BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20230519BHJP
   H01M 50/247 20210101ALN20230519BHJP
【FI】
H01M50/271 S
H01M50/284
H01M50/298
H01M50/213
H01M50/244 A
H01M50/247
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186118
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】森宗 伸二
(72)【発明者】
【氏名】三藤 喬
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AS18
5H040AT01
5H040AY05
5H040AY08
5H040AY10
5H040CC05
5H040CC14
5H040CC38
5H040DD03
5H040DD07
5H040DD08
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電池装置を小型化することが可能な技術を提供する。
【解決手段】セルホルダは、直列接続される円筒形の複数の電池セルが、当該複数の電池セルの長手方向に垂直な方向に沿って一列に並ぶように当該複数の電池セルを保持する。セルホルダは、複数の電池セルの表面を覆うカバー部を有する。カバー部は、複数の電池セルの並び方向及び長手方向に垂直な垂直方向の一方側からの第1平面視において、複数の電池セルの少なくとも一つの外周面を露出させる第1開口部を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続される円筒形の複数の電池セルが、当該複数の電池セルの長手方向に垂直な方向に沿って一列に並ぶように当該複数の電池セルを保持するセルホルダであって、
前記複数の電池セルの表面を覆うカバー部を有し、
前記カバー部は、前記複数の電池セルの並び方向及び前記長手方向に垂直な垂直方向の一方側からの第1平面視において、前記複数の電池セルの少なくとも一つの外周面を露出させる第1開口部を有する、セルホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のセルホルダであって、
前記カバー部は、前記垂直方向の他方側からの第2平面視において、前記複数の電池セルの少なくとも一つの前記外周面を露出させる第2開口部を有する、セルホルダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセルホルダであって、
前記第1開口部は、前記第1平面視において、前記複数の電池セルに含まれるある電池セルの前記外周面を露出させる開口を含み、
前記長手方向に垂直な平面での第1断面視において、前記カバー部における前記開口の周縁部の断面構造は、前記ある電池セルの前記外周面において前記開口から露出する露出面の頂点よりも突出しない、セルホルダ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のセルホルダであって、
前記第1開口部は、前記第1平面視において、前記複数の電池セルに含まれるある電池セルの前記外周面を露出させる開口を含み、
前記第1平面視において、前記ある電池セルの前記外周面の前記長手方向の一端は、前記開口から露出している、セルホルダ。
【請求項5】
請求項4に記載のセルホルダであって、
前記第1平面視において、前記ある電池セルの前記外周面の前記長手方向の一端及び他端は、前記開口から露出している、セルホルダ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のセルホルダであって、
前記ある電池セルの中心軸を通る、前記並び方向に垂直な平面での第2断面視において、前記周縁部の断面構造での前記一端側の第1部分は、前記ある電池セルの前記外周面よりも突出しない、セルホルダ。
【請求項7】
請求項5に記載のセルホルダであって、
前記ある電池セルの中心軸を通る、前記並び方向に垂直な平面での第2断面視において、前記周縁部の断面構造での前記一端側の第1部分及び前記他端側の第2部分は、前記ある電池セルの前記外周面よりも突出しない、セルホルダ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載のセルホルダであって、
前記カバー部は、前記複数の電池セルに含まれる、互いに隣り合う2つの電池セルの間に挟まれ、かつ前記長手方向に沿って延びるセル間部分を有し、
前記セル間部分における前記第1平面視にて視認可能な表面は、前記長手方向に沿って延びかつ両端が開口した溝状の凹面を有する、セルホルダ。
【請求項9】
請求項8に記載のセルホルダであって、
前記セル間部分は、前記2つの電池セルの前記外周面を露出させる第3開口部を有する、セルホルダ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載のセルホルダであって、
前記カバー部を構成し、前記複数の電池セルを前記長手方向から挟み込む第1部分ホルダ及び第2部分ホルダを備える、セルホルダ。
【請求項11】
請求項10に記載のセルホルダであって、
前記第1部分ホルダ及び前記第2部分ホルダを互いに取り付ける取付構造を備え、
前記取付構造は、前記第1部分ホルダに設けられた係合爪と、前記第2部分ホルダに設けられた、前記係合爪と係合する係合穴とを有する、セルホルダ。
【請求項12】
請求項11に記載のセルホルダであって、
前記係合爪及び前記係合穴は、前記複数の電池セルに含まれる、互いに隣り合う2つの電池セルの間に位置する、セルホルダ。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のセルホルダであって、
前記取付構造は、複数の係合爪と、当該複数の係合爪とそれぞれ係合する複数の係合穴とを有し、
前記第1部分ホルダ及び前記第2部分ホルダのそれぞれでは、前記取付構造が有する係合爪及び係合穴が前記並び方向に沿って交互に設けられている、セルホルダ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一つに記載のセルホルダと、
前記セルホルダで保持される前記複数の電池セルと
を備える、電池装置。
【請求項15】
請求項14に記載の電池装置であって、
請求項8に記載のセルホルダと、
前記セルホルダ及び前記複数の電池セルを収容するケースと
を備え、
前記ケースは、前記セルホルダが有する前記セル間部分の前記溝状の凹面に沿って凹む凹湾曲部を有する、電池装置。
【請求項16】
請求項15に記載の電池装置であって、
前記ケースは、前記セル間部分の前記溝状の凹面に沿って凹む前記凹湾曲部と、前記セル間部分を挟む前記2つの電池セルの一方の前記外周面に沿って凸となる凸湾曲部とを有する、電池装置。
【請求項17】
請求項14から請求項16のいずれか一つに記載の電池装置であって、
前記複数の電池セルに含まれる第1電池セルの端子に電気的に接続され、前記複数の電池セルに対して前記長手方向の一方側に位置する第1配線をさらに備える、電池装置。
【請求項18】
請求項17に記載の電池装置であって、
前記複数の電池セルに含まれる第2電池セルの端子に電気的に接続され、前記複数の電池セルに対して前記長手方向の他方側に位置する第2配線をさらに備える、電池装置。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の電池装置であって、
前記第1配線に繋がり、前記複数の電池セルに対して前記並び方向の一方側に位置する第3配線をさらに備える、電池装置。
【請求項20】
請求項19に記載の電池装置であって、
前記第1配線、前記第2配線及び前記第3配線を有する配線部材を備え、
前記第1平面視において前記配線部材はU字状である、電池装置。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載の電池装置であって、
前記複数の電池セルに対して前記並び方向の前記一方側に位置し、前記第3配線が電気的に接続された第1回路基板をさらに備える、電池装置。
【請求項22】
請求項21に記載の電池装置であって、
前記第1回路基板は、前記垂直方向と前記長手方向に沿って立設されている、電池装置。
【請求項23】
請求項22に記載の電池装置であって、
前記第1回路基板と対向する第2回路基板をさらに備え、
前記第1回路基板は、前記第2回路基板よりも前記第3配線側に位置する、電池装置。
【請求項24】
請求項23に記載の電池装置であって、
前記第1回路基板は、直列接続された前記複数の電池セルの合計電圧に基づいて電圧を生成する電源回路基板であり、
前記第2回路基板は、前記第1回路基板を制御する制御回路基板である、電池装置。
【請求項25】
請求項14から請求項24のいずれか一つに記載の電池装置であって、
直列接続された前記複数の電池セルの合計電圧を降圧して出力する電源部を備える、電池装置。
【請求項26】
請求項25に記載の電池装置であって、
前記電源部は、前記合計電圧を昇圧して出力する、電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の電池セルと当該複数の電池セルを保持するホルダとを備える電池パックに関する技術が記載されている。特許文献2には、電池セルを保持するホルダに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-79547号公報
【特許文献2】特開2016-21401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電池セルを備える電池装置の小型化に関して改善の余地がある。
【0005】
そこで、電池装置を小型化することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
セルホルダ及び電池装置が開示される。一の実施の形態では、セルホルダは、直列接続される円筒形の複数の電池セルが、当該複数の電池セルの長手方向に垂直な方向に沿って一列に並ぶように当該複数の電池セルを保持する。セルホルダは、複数の電池セルの表面を覆うカバー部を有する。カバー部は、複数の電池セルの並び方向及び長手方向に垂直な垂直方向の一方側からの第1平面視において、複数の電池セルの少なくとも一つの外周面を露出させる第1開口部を有する。
【0007】
また、一の実施の形態では、電池装置は、上記のセルホルダと、当該セルホルダで保持される複数の電池セルとを備える。
【発明の効果】
【0008】
電池装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電池装置の外観の一例を示す概略図である。
図2】電池装置の外観の一例を示す概略図である。
図3】ファン付き衣服1の外観の一例を示す概略図である。
図4】電池装置が衣服用ファンに接続されている様子の一例を示す概略図である。
図5】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図6】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図7】電池装置の電気的構成の一例を示す概略図である。
図8】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図9】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図10】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図11】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図12】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図13】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図14】セルホルダの構成の一例を示す概略図である。
図15】セルホルダの構成の一例を示す概略図である。
図16】電池装置の一部の断面構造の一例を示す概略図である。
図17】電池装置の一部の断面構造の一例を示す概略図である。
図18】セルホルダの構成の一例を示す概略図である。
図19】セルホルダの構成の一例を示す概略図である。
図20】セルホルダの一部の構成の一例を示す概略図である。
図21】セルホルダの一部の構成の一例を示す概略図である。
図22】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図23】電池装置の一部の構成の一例を示す概略図である。
図24】セルホルダの構成の一例を示す概略図である。
図25】セルホルダの構成の一例を示す概略図である。
図26】電池装置の一部の断面構造の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び2は電池装置10の外観の一例を示す概略斜視図である。図2では、図1とは異なる角度から見た電池装置10の外観の一例が示されている。図1及び2に示されるように、電池装置10はケース100を備える。ケース100には、例えば、複数の電池セル等が収容されている。ケース100は電池装置10の外装を構成する。ケース100は外装ケースともいえる。また、ケース100はハウジングともいえる。ケース100の外形は例えば略直方体となっている。電池装置10は電池パックとも呼ばれる。
【0011】
電池装置10は、例えば、対象装置に対して電力を供給することが可能である。電池装置10は、例えば直流電圧を対象装置に対して供給することが可能である。対象装置は、例えば、衣服2に取り付けられる衣服用ファン3(単にファン3ともいう)であってもよい。
【0012】
図3はファン付き衣服1の一例を示す概略図である。ファン付き衣服1は、例えば、衣服2と、衣服2に取り付けられた少なくとも一つのファン3とを備える。図3の例では、衣服2に対して2個のファン3が取り付けられているが、衣服2に取り付けられるファン3の数は1個であってもよいし、3個以上であってもよい。ファン3は、例えば衣服2に着脱可能である。
【0013】
電池装置10は、各ファン3に対して電力を供給することができる。電池装置10は、例えば、図4に示されるように、各ファン3に対してケーブル4で接続される。電池装置10は、例えば、衣服2のポケットに収容される。電池装置10から出力される電力(言い換えれば直流電圧)は、ケーブル4を通じて各ファン3に供給される。
【0014】
各ファン3は、電池装置10から供給される電力に基づいて回転する。ファン3が回転している状態では、衣服2外の空気がファン3によって衣服2内に取り込まれる。衣服2内に取り込まれた空気がファン3の回転によって衣服2内で循環して衣服2の襟ぐり等から衣服2外に排気される。これにより、ファン付き衣服1の着用者、つまりユーザの体が冷却される。
【0015】
なお、対象装置は、衣服用ファン3以外であってもよい。例えば、対象装置は、衣服に取り付けられるヒータであってもよいし、衣服に取り付けられないファンあるいはヒータであってもよいし、他の装置であってもよい。
【0016】
<電池装置の構成の一例の概要>
図5は、図1に示される電池装置10からケース100を取り外した様子の一例を示す概略図である。図6は、図2に示される電池装置10からケース100を取り外した様子の一例を示す概略図である。
【0017】
図5及び6に示されるように、電池装置10は、例えば、組電池20と、電源回路基板30と、制御回路基板40と、配線部材50と、接続部材60と、複数の接続部材70と、サーミスタ80(図6参照)と、絶縁紙90(図6参照)とを備える。これらの構成要素はケース100に収容されている。
【0018】
電源回路基板30は、組電池20から出力される電圧に基づいて、対象装置(例えばファン3)に供給する電圧を生成することが可能である。また、電源回路基板30は、電池装置10の外部から供給される電力に基づいて組電池20を充電することが可能である。電源回路基板30は、組電池20の放電及び充電を制御することが可能である。
【0019】
サーミスタ80は、組電池20が備える電池セル21の温度を検出することが可能である。サーミスタ80は、例えば、抵抗体である本体81と、本体81から出力される検出信号を制御回路基板40に伝達する2本のリード線82とを備える。リード線82は制御回路基板40に電気的に接続されている。制御回路基板40は、サーミスタ80(詳細には本体81)での検出結果等に基づいて、電源回路基板30の動作を制御することが可能である。制御回路基板40と電源回路基板30とは、複数の接続部材70によって互いに電気的に接続されている。制御回路基板40及び電源回路基板30は、組電池20からの電力に基づいて動作することが可能である。
【0020】
配線部材50は、組電池20から出力される電圧を電源回路基板30まで伝達するための部材であって、接続部材60によって電源回路基板30と電気的に接続されている。絶縁紙90は、組電池20の電池セル21と、その周囲の部材との間の絶縁性を担保するための部材である。
【0021】
電池装置10は、組電池20からの電圧に基づいて電源回路基板30が生成する電圧を外部に出力することが可能である。電池装置10から出力される電圧は、ケーブル4を通じてファン3に供給される。これにより、組電池20からの電力がファン3に供給される。ファン3は組電池20からの電力に基づいて動作することが可能である。
【0022】
<電池装置の電気的構成の一例>
図7は電池装置10の電気的構成の一例を示すブロック図である。図7に示されるように、組電池20は、例えば複数の電池セル21を備える。組電池20は、例えば5個の電池セル21を備える。組電池20が備える複数の電池セル21の数は、5個未満であってもよいし、6個以上であってもよい。
【0023】
電池セル21は、例えば、充電可能な二次電池セルである。電池セル21は、例えばリチウムイオン電池セルである。電池セル21の公称電圧は例えば3.6V程度であって、電池セル21の満充電電圧は例えば4.2V程度である。電池セル21は、リチウムイオン電池セル以外の二次電池セルであってもよい。例えば、電池セル21は、鉛蓄電池セルであってもよいし、他の二次電池セルであってもよい。また、電池セル21は、アルカリ乾電池等の一次電池セルであってもよい。
【0024】
複数の電池セル21は、例えば互いに直列接続されている。組電池20は、互いに直列接続された複数の電池セル21の合計電圧を出力する。ここで、1個の電池セル21の電圧をセル電圧という。組電池20は、例えば、5個の電池セル21のセル電圧の合計電圧を出力する。各セル電圧が例えば3.6Vの場合、組電池20から出力される合計電圧は18Vとなる。
【0025】
電源回路基板30(単に回路基板30ともいう)には、組電池20が出力する合計電圧が入力される。また、回路基板30には、例えば、1段目の電池セル21の負極端子の電位と、各電池セル21の正極端子の電位とが入力される。具体的には、回路基板30には、1段目の電池セル21(電池セル21aともいう)の負極端子の電位V0と、1段目の電池セル21の正極端子の電位V1と、2段目の電池セル21(電池セル21bともいう)の正極端子の電位V2と、3段目の電池セル21(電池セル21cともいう)の正極端子の電位V3と、4段目(電池セル21dともいう)の電池セル21の正極端子の電位V4と、5段目(電池セル21eともいう)の電池セル21の正極端子の電位V5とが入力される。電位V1は2段目の電池セル21bの負極端子の電位でもあり、電位V2は3段目の電池セル21cの負極端子の電位でもあり、電位V3は4段目の電池セル21dの負極端子の電位でもあり、電位V4は5段目(つまり最終段)の電池セル21eの負極端子の電位でもある。電位V0を0Vとすると、各セル電圧が3.6Vの場合には、電位V1,V2,V3,V4、V5は、それぞれ、3.6V、7.2V、10.8V、14.4V及び18Vとなる。組電池20が出力する合計電圧は、電位V5と電位V0との電位差である。以後、組電池20が出力する合計電圧を組電池電圧と呼ぶことがある。
【0026】
回路基板30は、例えば、配線基板31と、組電池20を保護するための保護回路32と、ファン3に供給する電圧を生成する電源部33と、電池装置10の外部の装置と接続されるコネクタ34とを備える。保護回路32、電源部33及びコネクタ34は配線基板31上に搭載されている。配線基板31には、例えば複数の配線(配線パターンともいう)が形成されている。例えば、配線基板31の両面に部品が実装される。
【0027】
コネクタ34には、例えばケーブル4(図4参照)が接続される。また、コネクタ34には、組電池20を充電するための電力(充電用電力ともいう)を伝送するケーブルが接続される。コネクタ34でのケーブルの接続口はケース100から露出している。コネクタ34は、入力される充電用電力を電源部33に出力する。
【0028】
保護回路32は、例えば、電池セル21の過充電及び過放電を検出することが可能である。保護回路32には電位V0~V5が入力される。保護回路32は、電位V0~V5に基づいて、各電池セル21のセル電圧を求める。保護回路32は、電位V1と電位V0の電位差を求めて、それを1段目の電池セル21のセル電圧とする。また、保護回路32は、電位V2と電位V1の電位差を求めて、それを2段目の電池セル21のセル電圧とする。また、保護回路32は、電位V3と電位V2の電位差を求めて、それを3段目の電池セル21のセル電圧とする。また、保護回路32は、電位V4と電位V3の電位差を求めて、それを4段目の電池セル21のセル電圧とする。そして、保護回路32は、電位V5と電位V4の電位差を求めて、それを最終段の電池セル21のセル電圧とする。保護回路32は、複数の電池セル21のセル電圧の少なくとも一つが充電終止電圧(例えば4.2V)を超えると、過充電検出信号を電源部33に出力する。また、保護回路32は、複数の電池セル21のセル電圧の少なくとも一つが放電終止電圧(例えば3.0V)よりも下がると、過放電検出信号を電源部33に出力する。
【0029】
電源部33は、例えば、パッケージ化された1つのIC(Integrated Circuit)と、インダクタ、コンデンサ及び半導体スイッチング素子(例えばFET(Field Effect Transistor))等を含む複数のディスクリート部品とで構成された回路である。電源部33は電源回路ともいえる。本例では、電源部33は、1つのICを用いて、組電池電圧の降圧、組電池電圧の昇圧、組電池20の充電制御及び組電池20の放電制御を行うことができる。
【0030】
電源部33は、組電池電圧に基づいて、ファン3に供給する電圧(外部供給電圧ともいう)を生成する。そして、電源部33は、生成した外部供給電圧をコネクタ34に出力する。コネクタ34は、入力された外部供給電圧をケーブル4を通じてファン3に出力する。外部供給電圧は例えば直流電圧である。ファン3は外部供給電圧に基づいて動作する。外部供給電圧はファン3の電源電圧であるともいえる。
【0031】
電源部33は、例えば、互いに値が異なる複数種類の外部供給電圧を生成することが可能である。電源部33は、例えば4種類の外部供給電圧を生成することが可能である。電源部33は、例えば、最も値が小さい第1外部供給電圧と、2番目に値が小さい第2外部供給電圧と、3番目に値が小さい第3外部供給電圧と、最も値が大きい第4外部供給電圧とを出力することが可能である。第1外部供給電圧は例えば6Vであって、第2外部供給電圧は例えば9Vであって、第3外部供給電圧は例えば12Vであって、第4外部供給電圧は例えば17Vである。外部供給電圧の値が大きいほど、ファン3の風量が大きくなる。電池装置10は、ファン3の風量を例えば4段階設定することができる。電源部33は、例えば、制御回路基板40からの指示に基づいて外部供給電圧の値を設定する。外部供給電圧がファン3に供給されている場合、各電池セル21は放電する。
【0032】
電源部33は、外部供給電圧の出力中に、保護回路32から過放電検出信号を受け取ると、つまり、保護回路32が過放電を検出すると、外部供給電圧の出力を停止する。電源部33は、組電池電圧を降圧あるいは昇圧して外部供給電圧を生成する。ここで、放電終止電圧が例えば3.0V程度である場合、保護回路32が過放電を検出するときの組電池電圧の最小値は15V程度になる。よって、電源部33が外部供給電圧を出力する場合に、組電池電圧が15V程度まで低下することがある。電源部33は、第4外部供給電圧(例えば17V)を生成する場合、組電池電圧が17V未満であるときには組電池電圧を昇圧して第4外部供給電圧を生成し、組電池電圧が17Vよりも大きいときには組電池電圧を降圧して第4外部供給電圧を生成する。一方で、電源部33は、第1外部供給電圧(例えば6V)、第2外部供給電圧(例えば9V)及び第3外部供給電圧(例えば12V)のそれぞれを、組電池電圧を降圧して生成する。
【0033】
電源部33は、コネクタ34から供給される充電用電力に基づいて組電池20の各電池セル21を充電することができる。電源部33は、各電池セル21の充電中に保護回路32から過充電検出信号を受け取ると、各電池セル21の充電を停止する。
【0034】
制御回路基板40(単に回路基板40ともいう)は、例えば、配線基板41と、制御部42と、操作ボタン43とを備える。制御部42及び操作ボタン43は配線基板41上に搭載されている。配線基板41には、例えば複数の配線(配線パターンともいう)が形成されている。操作ボタン43は、例えば押しボタンであって、操作スイッチとも呼ばれる。操作ボタン43のうちユーザによって押される領域はケース100から露出している。例えば、配線基板41の両面に部品が実装される。
【0035】
制御部42は電源回路基板30を制御することが可能である。制御部42は、回路基板30の電源部33を制御することが可能である。制御部42は、例えば、電源部33に対して、外部供給電圧の出力を指示したり、外部供給電圧の出力の停止を指示したりすることができる。また、制御部42は、電源部33に対して、出力する外部供給電圧の種類を指示することができる。
【0036】
制御部42の全ての機能あるいは制御部42の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、制御部42は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。
【0037】
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、または複数の通信可能に接続された集積回路(IC)及び/またはディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
【0038】
1つの実施形態において、プロセッサは、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続又は処理を実行するように構成された1以上の回路又はユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続き又は処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
【0039】
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、または他の既知のデバイス及び構成の組み合わせを含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
【0040】
本例では、制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等を備えるマイクロコンピュータで構成される。制御部42は制御回路ともいえる。また制御部42は一種のコンピュータであるともいえる。
【0041】
制御部42は、操作ボタン43に対する操作を特定することができる。制御部42は、操作ボタン43に対する操作に応じて電源部33を制御することが可能である。操作ボタン43は、例えば、ファン3に対する電源の供給を制御する電源ボタンとして機能する。電源部33が外部供給電圧を出力していない状態で、操作ボタン43が例えば所定時間以上押されると、制御部42は、電源部33に対して外部供給電圧の出力を指示する。電源部33は制御部42からの指示に応じて外部供給電圧の出力を開始する。これにより、電池装置10から外部供給電圧が電源としてファン3に供給され、ファン3の回転が開始する。一方で、電源部33が外部供給電圧を出力している状態で、操作ボタン43が例えば所定時間以上押されると、制御部42は、電源部33に対して外部供給電圧の出力の停止を指示する。電源部33は制御部42からの指示に応じて外部供給電圧の出力を停止する。これにより、電池装置10からのファン3に対する外部供給電圧の供給が停止し、ファン3の回転が停止する。所定時間は、例えば、1秒から2秒程度に設定される。
【0042】
操作ボタン43は、ファン3の風量を調整するための調整ボタンとしても機能する。ファン3に外部供給電圧が供給されている状態で、操作ボタン43が所定時間未満押された後に操作ボタン43に対する押圧が解除されると、制御部42は、電源部33に対して、出力する外部供給電圧の種類を変更するように指示する。電源部33は制御部42からの指示に応じて、出力する外部供給電圧の種類を変化させる。これにより、電池装置10がファン3に供給する外部供給電圧の値が変化し、ファン3の風量が変化する。ファン3に供給される外部供給電圧は、例えば、操作ボタン43が操作されるたびに、第1外部供給電圧、第2外部供給電圧、第3外部供給電圧及び第4供給電圧の間で巡回的に変化する。制御部42あるいは制御回路基板40は、電源回路基板30を通じてファン3を制御することが可能である。
【0043】
制御部42は、電池セル21の温度を検出するサーミスタ80での検出結果に基づいて、電源部33を制御することが可能である。制御部42は、サーミスタ80での検出結果に基づいて電池セル21の温度(セル温度ともいう)を求める。電源部33が外部供給電圧を出力している状態で(言い換えれば電池セル21の放電中に)、セル温度が所定値(例えば50℃)以上になると、外部供給電圧の出力の停止を電源部33に指示する。電源部33は制御部42からの指示に応じて外部供給電圧の出力を停止する。これにより、セル温度が高温になった場合に電池セル21の放電が停止する。また、電源部33が電池セル21を充電している状態で、セル温度が所定値以上になると、制御部42は、電池セル21の充電の停止を電源部33に指示する。電源部33は制御部42からの指示に応じて電池セル21の充電を停止する。これにより、セル温度が高温になった場合に電池セル21の充電が停止する。
【0044】
なお、制御回路基板40は、制御部42によって制御され、配線基板41に搭載される表示部を備えてもよい。表示部は、ファン3の風量の設定値を表示してもよいし、組電池20の電池残量を表示してもよい。組電池20の電池残量は、例えば電源部33で求められて制御部42に通知されてもよい。表示部は、LED(Light Emitting Diode)等の発光部を備えてもよい。また、表示部は、液晶表示パネルを備えてもよいし、有機EL(Electroluminescence)パネルを備えてもよい。
【0045】
このように、本例では、電源部33は、複数の電池セル21の合計電圧(言い換えれば組電池電圧)を降圧して出力することが可能である。ここで、例えば複数の電池セル21が例えば並列接続されるなどして、組電池電圧が小さい場合には、電源部33は、組電池電圧を常に昇圧して外部供給電圧を生成する必要がある。この場合、電源部33の消費電力が大きくなる可能性がある。本例では、電源部33は、組電池電圧を降圧して外部供給電圧を生成することがあることから、電源部33の消費電力を低減することができる。
【0046】
また、電源部33は、組電池電圧を昇圧することも可能であることから、組電池電圧が低下した場合であっても外部供給電圧を適切に生成することができる。
【0047】
<組電池の構成例>
図8及び9は組電池20の構成の一例を示す概略斜視図である。図10及び11は組電池20の構成の一例を示す概略平面図である。図5,6,8~11に示されるように、組電池20は、複数の電池セル21以外にも、例えば、複数の電池セル21を保持するセルホルダ22と、複数の電池セル21の端子間を電気的に接続する複数の接続導電板28(図8及び9参照)とを備える。
【0048】
各電池セル21は例えば円筒形を成している。セルホルダ22は、複数の電池セル21がそれらの長手方向に垂直な方向に沿って一列に並ぶように複数の電池セル21を保持する。複数の電池セル21の長手方向は互いに平行をなしている。
【0049】
ここで、本開示では、図1,2,5,6,8~11等に示されるXYZ直交座標系を用いて電池装置10の構造について説明する。X軸は電池セル21の長手方向に沿って延び、Y軸は複数の電池セル21の並び方向(言い換えれば配列方向)に沿って延びている。Z軸は、複数の電池セル21の並び方向及び長手方向に垂直な方向に沿って延びている。以後、セル長手方向といえば、電池セル21の長手方向を意味する。また、セル並び方向あるいはセル配列方向といえば、複数の電池セル21の並び方向あるいは配列方向を意味する。また、説明の便宜上、+Z側を上側、-Z側を下側、+X側を左側、-X側を右側、+Y側を後ろ側、-Y側を前側と呼ぶことがある。Z軸方向、X軸方向及びY軸方向は、それぞれ、上下方向、左右方向及び前後方向であるともいえる。
【0050】
互いに直接接続された複数の電池セル21では、1段目の電池セル21a、2段目の電池セル21b、3段目の電池セル21c、4段目の電池セル21d及び5段目(つまり最終段)の電池セル21eが、この順で、+Y側から-Y側に向かって並んでいる。1段目、3段目及び5段目の電池セル21では、正極端子及び負極端子が+X側及び-X側にそれぞれに位置し、2段目及び4段目の電池セル21では、正極端子及び負極端子が-X側及び+X側にそれぞれに位置する。
【0051】
複数の電池セル21は、複数の接続導電板28によって互いに直列接続されている。図12及び13は、複数の電池セル21が複数の接続導電板28によって互いに直列接続されている様子の一例を示す概略図である。
【0052】
図8,9,12,13に示されるように、複数の接続導電板28には、1段目の電池セル21aの正極端子と2段目の電池セル21bの負極端子とを電気的に接続する接続導電板28aと、2段目の電池セル21bの正極端子と3段目の電池セル21cの負極端子とを電気的に接続する接続導電板28bと、3段目の電池セル21cの正極端子と4段目の電池セル21dの負極端子とを電気的に接続する接続導電板28cと、4段目の電池セル21dの正極端子と5段目の電池セル21eの負極端子とを電気的に接続する接続導電板28dとが含まれる。接続導電板28a及び28cは複数の電池セル21に対して+X側に位置し、接続導電板28b及び28dは複数の電池セル21に対して-X側に位置する。接続導電板28は、それによって互い直列接続される2つの電池セル21において、一方の電池セル21の正極端子と他方の電池セル21の負極端子とに溶接等で接続される。接続導電板28は、例えば、ニッケル等の金属で構成される。
【0053】
各接続導電板28は配線部材50に電気的に接続される。各接続導電板28は、当該接続導電板28を配線部材50に接続するための接続突起部280を有する。電池セル21の端子に固定された接続導電板28が配線部材50と電気的に接続されることによって、電池セル21の端子が配線部材50と電気的に接続されることから、接続導電板28は、電池セル21の端子を配線部材50に電気的に接続するための部材であるといえる。
【0054】
組電池20は、複数の接続導電板28以外にも2個の接続導電板29を備える。2個の接続導電板29には、1段目の電池セル21aの負極端子を配線部材50に電気的に接続するための接続導電板29aと、最終段の電池セル21eの正極端子を配線部材50に電気的に接続するための接続導電板29bとが含まれる。接続導電板29は、例えば、ニッケル等の金属で構成される。接続導電板29aは、1段目の電池セル21aの負極端子に溶接等で接続される。接続導電板29bは、最終段の電池セル21eの正極端子に溶接等で接続される。各接続導電板29は配線部材50に電気的に接続される。これにより、1段目の電池セル21aの負極端子及び最終段の電池セル21eの正極端子が配線部材50に電気的に接続される。各接続導電板29は、当該接続導電板29を配線部材50に接続するための接続突起部290を有する。
【0055】
各電池セル21の正極端子及び負極端子は、複数の接続導電板28、複数の接続導電板29及び配線部材50によって、電源回路基板30の配線基板31に電気的に接続される。
【0056】
<セルホルダの構成例>
図14及び15はセルホルダ22の構成の一例を示す概略斜視図である。セルホルダ22は例えば樹脂等で構成されている。セルホルダ22は各電池セル21をセル長手方向から挟み込む。セルホルダ22は、各電池セル21の表面を覆うカバー部23を備える。
【0057】
カバー部23は、例えば、複数の電池セル21の+X側の端面を覆う第1端面カバー部24と、複数の電池セル21の-X側の端面を覆う第2端面カバー部25と、複数のセル間部分26とを備える。セル間部分26は、互いに隣り合う2つの電池セル21の間に挟まれ、かつセル長手方向(言い換えればX軸方向)に沿って延びる。複数のセル間部分26には、1段目の電池セル21aと2段目の電池セル21bの間に挟まれるセル間部分26aと、2段目の電池セル21bと3段目の電池セル21cの間に挟まれるセル間部分26bと、3段目の電池セル21cと4段目の電池セル21dの間に挟まれるセル間部分26cと、4段目の電池セル21dと5段目の電池セル21eの間に挟まれるセル間部分26dとが含まれる。各セル間部分26は、第1端面カバー部24から-X側に延びて第2端面カバー部25に達する。セルホルダ22は、第1端面カバー部24が各電池セル21の+X側の端面と当接し、第2端面カバー部25が各電池セル21の-X側の端面と当接することによって、各電池セル21をセル長手方向から挟み込む。
【0058】
第1端面カバー部24は、例えば、Y軸方向に沿って延びる略板状を成している。略板状の第1端面カバー部24は、例えば、YZ平面に沿って立設されている。第1端面カバー部24は、複数の電池セル21の+X側の端子に接続された接続導電板28a,28c,29bを露出させる開口部245を有する。
【0059】
開口部245は、接続導電板28aのうち、1段目の電池セル21aの+X側端面(つまり、正極端子側の端面)に溶接等で固定された部分を露出させる開口240を有する。第1端面カバー部24における開口240の周縁部は、電池セル21aの+X側端面の周端部を覆う。
【0060】
開口部245は、接続導電板28aのうち、2段目の電池セル21bの+X側端面(つまり、負極端子側の端面)に固定された部分と、接続導電板28cのうち、3段目の電池セル21cの+X側端面(つまり、正極端子側の端面)に固定された部分とを露出させる開口241を有する。第1端面カバー部24における開口241の周縁部は、電池セル21bの+X側端面の周端部と、電池セル21cの+X側端面の周端部とを覆う。
【0061】
開口部245は、接続導電板28cのうち、4段目の電池セル21dの+X側端面(つまり、負極端子側の端面)に固定された部分と、5段目の電池セル21eの+X側端面(つまり、正極端子側の端面)に固定された接続導電板29bとを露出させる開口242を有する。第1端面カバー部24における開口242の周縁部は、電池セル21dの+X側端面の周端部と、電池セル21eの+X側端面の周端部とを覆う。
【0062】
第2端面カバー部25は、例えば、Y軸方向に沿って延びる略板状を成している。略板状の第2端面カバー部25は、例えば、YZ平面に沿って立設されている。第2端面カバー部25は、複数の電池セル21の-X側の端子に接続された接続導電板28b,28d,29aを露出させる開口部255を有する。
【0063】
開口部255は、1段目の電池セル21aの-X側端面(つまり、負極端子側の端面)に溶接等で固定された接続導電板29aと、接続導電板28bのうち、2段目の電池セル21bの-X側端面(つまり、正極端子側の端面)に固定された部分とを露出させる開口250を有する。第2端面カバー部25における開口250の周縁部は、電池セル21aの-X側端面の周端部と、電池セル21bの-X側端面の周端部とを覆う。
【0064】
開口部255は、接続導電板28bのうち、3段目の電池セル21cの-X側端面(つまり、負極端子側の端面)に固定された部分と、接続導電板28dのうち、4段目の電池セル21dの-X側端面(つまり、正極端子側の端面)に固定された部分とを露出させる開口251を有する。第2端面カバー部25における開口251の周縁部は、電池セル21cの-X側端面の周端部と、電池セル21dの-X側端面の周端部とを覆う。
【0065】
開口部255は、接続導電板28dのうち、5段目の電池セル21eの-X側端面(つまり、負極端子側の端面)に固定された部分を露出させる開口252を有する。第2端面カバー部25における開口252の周縁部は、電池セル21eの-X側端面の周端部を覆う。
【0066】
各セル間部分26は、例えば、X軸方向に沿って延びる略板状を成している。略板状のセル間部分26は、例えば、XZ平面に沿って立設されている。セル間部分26は、互いに隣り合う2つの電池セル21の間を仕切るセル間壁部であるともいえる。
【0067】
ここで、セル間部分26を説明する場合に、+Y側電池セル21と言えば、当該セル間部分26を挟む2つの電池セル21のうちの+Y側(言い換えれば後ろ側)の電池セル21を意味する。また、セル間部分26を説明する場合に、-Y側電池セル21と言えば、当該セル間部分26を挟む2つの電池セル21のうちの-Y側(言い換えれば前側)の電池セル21を意味する。セル間部分26の+Y側の面(言い換えれば後ろ側の面)は、+Y側電池セル21の外周面210に応じて凹状に湾曲する領域(凹面あるいは凹曲面ともいう)を有し、+Y側電池セル21の外周面210の-Y側領域(言い換えれば前側領域)を覆う。セル間部分26の-Y側の面(言い換えれば前側の面)は、-Y側電池セル21の外周面210に応じて凹状に湾曲する領域を有し、-Y側電池セル21の外周面210の+Y側領域(後ろ側領域)を覆う。
【0068】
セル間部分26は、+Y側電池セル21の外周面210の-Y側領域と、-Y側電池セル21の外周面210の+Y側領域とを露出させる開口部260(図14及び15参照)を有する。開口部260は、セル間部分26をその厚み方向(言い換えればY軸方向あるいは前後方向)に貫通する貫通穴であり、セル間部分26の+Y側の面から-Y側に面に達する。開口部260は、例えばX方向に沿って延在している。セル間部分26aは、電池セル21a及び21bの外周面210を露出させる開口部260を有し、セル間部分26bは、電池セル21b及び21cの外周面210を露出させる開口部260を有する。セル間部分26cは、電池セル21c及び21dの外周面210を露出させる開口部260を有し、セル間部分26dは、電池セル21d及び21eの外周面210を露出させる開口部260を有する。
【0069】
カバー部23は、複数の電池セル21の並びの外側(具体的には+Y側)から1段目の電池セル21aの外周面210を覆う外周面カバー部270と、複数の電池セル21の並びの外側(具体的には-Y側)から5段目の電池セル21eの外周面210を覆う外周面カバー部275とを備える。外周面カバー部270は電池セル21aの外周面210の+Y側領域を覆う。外周面カバー部275は電池セル21eの外周面210の-Y側領域を覆う。
【0070】
後ろ側の外周面カバー部270は、電池セル21aの外周面210の+Y側領域の上側を覆う上側カバー部分271及び272と、電池セル21aの外周面210の+Y側領域の下側を覆う下側カバー部分273及び274とを有する。
【0071】
上側カバー部分271及び下側カバー部分273は第1端面カバー部24から-X方向に延びている。上側カバー部分272及び下側カバー部分274は第2端面カバー部25から+X方向に延びている。上側カバー部分271と、上側カバー部分272とは、互いに間隔を空けてX方向に並んでいる。下側カバー部分273と、下側カバー部分274とは、互いに間隔を空けてX方向に並んでいる。
【0072】
上側カバー部分271及び下側カバー部分273の内側の面(言い換えれば-Y側の面)は、電池セル21aの外周面210に応じて凹状に湾曲する領域を有し、電池セル21aの外周面210の+Y側領域の+X側を覆う。上側カバー部分272及び下側カバー部分274の内側の面は、電池セル21aの外周面210に応じて凹状に湾曲する領域を有し、電池セル21aの外周面210の+Y側領域の-X側を覆う。
【0073】
前側の外周面カバー部275は、電池セル21eの外周面210の-Y側領域の上側を覆う上側カバー部分276及び277と、電池セル21eの外周面210の-Y側領域の下側を覆う下側カバー部分278及び279とを有する。
【0074】
上側カバー部分276及び下側カバー部分278は第1端面カバー部24から-X方向に延びている。上側カバー部分277及び下側カバー部分279は第2端面カバー部25から+X方向に延びている。上側カバー部分276と、上側カバー部分277とは、互いに間隔を空けてX方向に並んでいる。下側カバー部分278と、下側カバー部分279とは、互いに間隔を空けてX方向に並んでいる。
【0075】
上側カバー部分276及び下側カバー部分278の内側の面(言い換えれば+Y側の面)は、電池セル21eの外周面210に応じて凹状に湾曲する領域を有し、電池セル21eの外周面210の-Y側領域の+X側を覆う。上側カバー部分277及び下側カバー部分279の内側の面は、電池セル21eの外周面210に応じて凹状に湾曲する領域を有し、電池セル21eの外周面210の-Y側領域の-X側を覆う。
【0076】
セルホルダ22では、外周面カバー部270とセル間部分26aとが1段目の電池セル21aの外周面210を保持し、セル間部分26a及び26bが2段目の電池セル21bの外周面210を保持する。また、セル間部分26b及び26cが3段目の電池セル21cの外周面210を保持し、セル間部分26c及び26dが4段目の電池セル21dの外周面210を保持する。そして、セル間部分26dと外周面カバー部275とが最終目の電池セル21eの外周面210を保持する。
【0077】
カバー部23は、セル並び方向及びセル長手方向に垂直な垂直方向の一方側からの第1平面視において、複数の電池セル21の少なくとも一つの外周面210を露出させる第1開口部230を有する。つまり、カバー部23は、図5,8,10,14等に示されるように、+Z側からの平面視において、複数の電池セル21の少なくとも一つの外周面210を露出させる第1開口部230を有する。
【0078】
第1開口部230は、例えば、複数の電池セル21のそれぞれの外周面210を露出させる。第1開口部230は、複数の電池セル21の外周面210をそれぞれ露出させる複数の開口231を有する。複数の開口231には、電池セル21aの外周面210の+Z側(言い換えれば上側)を露出させる開口231aと、電池セル21bの外周面210の+Z側を露出させる開口231bと、電池セル21cの外周面210の+Z側を露出させる開口231cと、電池セル21dの外周面210の+Z側を露出させる開口231dと、電池セル21eの外周面210の+Z側を露出させる開口231eとが含まれる。以後、第1開口部230を上側開口部230と呼び、開口231を上側開口231と呼ぶことがある。
【0079】
また、カバー部23は、セル並び方向及びセル長手方向に垂直な垂直方向の他方側からの第2平面視において、複数の電池セル21の少なくとも一つの外周面210を露出させる第2開口部235を有する。つまり、カバー部23は、図6,9,11,15等に示されるように、-Z側からの平面視において、複数の電池セル21の少なくとも一つの外周面210を露出させる第2開口部235を有する。
【0080】
第2開口部235は、例えば、複数の電池セル21のそれぞれの外周面210を露出させる。第2開口部235は、複数の電池セル21の外周面210をそれぞれ露出させる複数の開口236を有する。複数の開口236には、電池セル21aの外周面210の-Z側(言い換えれば下側)を露出させる開口236aと、電池セル21bの外周面210の-Z側を露出させる開口236bと、電池セル21cの外周面210の-Z側を露出させる開口236cと、電池セル21dの外周面210の-Z側を露出させる開口236dと、電池セル21eの外周面210の-Z側を露出させる開口236eとが含まれる。以後、第2開口部235を下側開口部235と呼び、開口236を下側開口236と呼ぶことがある。
【0081】
上側開口部230及び下側開口部235は、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、複数のセル間部分26と、外周面カバー部270及び275とで規定される。上側開口231aは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、外周面カバー部270の上側カバー部分271及び272と、セル間部分26aの上側端部とで規定される。上側開口231bは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、セル間部分26aの上側端部と、セル間部分26bの上側端部とで規定される。上側開口231cは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、セル間部分26bの上側端部と、セル間部分26cの上側端部とで規定される。上側開口231dは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、セル間部分26cの上側端部と、セル間部分26dの上側端部とで規定される。上側開口231eは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、セル間部分26dの上側端部と、外周面カバー部275の上側カバー部分276及び277とで規定される。
【0082】
下側開口236aは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、外周面カバー部270の下側カバー部分273及び274と、セル間部分26aの下側端部とで規定される。下側開口236bは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、セル間部分26aの下側端部と、セル間部分26bの下側端部とで規定される。下側開口236cは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、セル間部分26bの下側端部と、セル間部分26cの下側端部とで規定される。下側開口236dは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、セル間部分26cの下側端部と、セル間部分26dの下側端部とで規定される。下側開口236eは、第1端面カバー部24と、第2端面カバー部25と、セル間部分26dの下側端部と、外周面カバー部275の下側カバー部分278及び279とで規定される。
【0083】
図16は、ケース100、セルホルダ22及び複数の電池セル21の断面構造の一例を示す概略図である。図16では、セル長手方向に垂直な平面(言い換えればYZ平面)での第1断面視におけるケース100、セルホルダ22及び複数の電池セル21の断面構造の一例が示されている。第1断面視は、セル並び方向に沿った断面視でもあることから、第1断面視をセル並び方向断面視と呼ぶことがある。また、電池セル21の外周面210をセル外周面210と呼ぶことがある。図16では、ケース100、セルホルダ22及び複数の電池セル21の断面構造に斜線が示されている。
【0084】
図16に示されるように、各上側開口231に関して、セル並び方向断面視において、カバー部23における上側開口231の周縁部238の断面構造は、電池セル21の外周面210において上側開口231から露出する露出面211(上側露出面211ともいう)の頂点211aよりも上側(言い換えれば+Z側)に突出していない。例えば、上側開口231aについては、セル並び方向断面視において、カバー部23における上側開口231aの周縁部238の断面構造は、電池セル21aの外周面210において上側開口231aから露出する上側露出面211の頂点211aよりも上側に突出していない。また、上側開口231eについては、セル並び方向断面視において、カバー部23における上側開口231eの周縁部238の断面構造は、電池セル21eの外周面210において上側開口231eから露出する上側露出面211の頂点211aよりも上側に突出していない。図16の例では、セル並び方向断面視において、カバー部23における上側開口231の周縁部238の断面構造は、電池セル21の上側露出面211の頂点211aよりも下側(言い換えれば-Z側)に位置している。セル並び方向断面視において、上側露出面211の頂点211aは、上側露出面211において最も上側に位置する部分であると言える。
【0085】
本例では、セル並び方向断面視において、セルホルダ22において+Z側からの平面視において視認可能な表面(言い換えればセルホルダ22の+Z側の面)のすべてが、各電池セル21の上側露出面211の頂点211aよりも下側に位置する。言い換えれば、セル並び方向断面視において、カバー部23において+Z側からの平面視において視認可能な表面のすべてが、各電池セル21の上側露出面211の頂点211aよりも下側に位置する。
【0086】
なお、セル並び方向断面視において、カバー部23における上側開口231の周縁部238の断面構造のうち最も上側に位置する部分は、Z軸方向において、電池セル21の上側露出面211の頂点211aと同じ位置に存在してもよい。例えば、セル並び方向断面視において、カバー部23における上側開口231bの周縁部238の断面構造のうち最も上側に位置する部分は、Z軸方向において、電池セル21bの上側露出面211の頂点211aと同じ位置に存在してもよい。また、セル並び方向断面視において、セルホルダ22において+Z側からの平面視において視認可能な表面のうち最も上側に位置する部分は、Z軸方向において、各電池セル21の上側露出面211の頂点211aと同じ位置に存在してもよい。
【0087】
図16に示されるように、各下側開口236に関して、セル並び方向断面視において、カバー部23における下側開口236の周縁部239の断面構造は、セル外周面210において下側開口236から露出する露出面212(下側露出面212ともいう)の頂点212aよりも下側(言い換えれば-Z側)に突出しない。例えば、下側開口236cについては、セル並び方向断面視において、カバー部23における下側開口236cの周縁部239の断面構造は、電池セル21cの外周面210において下側開口236cから露出する下側露出面212の頂点212aよりも下側に突出しない。また、下側開口236dについては、カバー部23における下側開口236dの周縁部238の断面構造は、セル並び方向断面視において、電池セル21dの外周面210において下側開口236dから露出する下側露出面212の頂点212aよりも下側に突出しない。図16の例では、セル並び方向断面視において、カバー部23における下側開口236の周縁部238の断面構造は、電池セル21の下側露出面212の頂点212aよりも上側に位置している。セル並び方向断面視において、下側露出面212の頂点212aは、下側露出面212において最も下側に位置する部分であると言える。
【0088】
本例では、セル並び方向断面視において、セルホルダ22において-Z側からの平面視において視認可能な表面(言い換えればセルホルダ22の-Z側の面)のすべてが、各電池セル21の下側露出面212の頂点212aよりも上側に位置する。言い換えれば、セル並び方向断面視において、カバー部23において-Z側からの平面視において視認可能な表面のすべてが、各電池セル21の下側露出面212の頂点212aよりも上側に位置する。
【0089】
なお、セル並び方向断面視において、カバー部23における下側開口236の周縁部239の断面構造のうち最も下側に位置する部分は、Z軸方向において、電池セル21の下側露出面212の頂点212aと同じ位置に存在してもよい。例えば、セル並び方向断面視において、カバー部23における下側開口236bの周縁部239の断面構造のうち最も下側に位置する部分は、Z軸方向において、電池セル21bの下側露出面212の頂点212aと同じ位置に存在してもよい。また、セル並び方向断面視において、セルホルダ22において-Z側からの平面視において視認可能な表面のうち最も下側に位置する部分は、Z軸方向において、各電池セル21の下側露出面212の頂点212aと同じ位置に存在してもよい。
【0090】
図10に示されるように、各電池セル21について、+Z側からの平面視において、セル外周面210のセル長手方向の両端215のそれぞれは、カバー部23の上側開口231から露出している。例えば、電池セル21cについては、+Z側からの平面視において、電池セル21cの外周面210のセル長手方向の両端215のそれぞれが上側開口231cから露出している。また、電池セル21dについては、+Z側からの平面視において、電池セル21dの外周面210のセル長手方向の両端215のそれぞれが上側開口231dから露出している。以後、セル外周面210のセル長手方向の左側(言い換えれば+X側)の端215を左端215aと呼び、セル外周面210のセル長手方向の右側(言い換えれば-X側)の端215を右端215bと呼ぶことがある。
【0091】
図11に示されるように、各電池セル21について、-Z側からの平面視において、セル外周面210のセル長手方向の両端215のそれぞれは、カバー部23の下側開口236から露出している。例えば、電池セル21aについては、-Z側からの平面視において、電池セル21aの外周面210のセル長手方向の両端215のそれぞれが下側開口236aから露出している。また、電池セル21eについては、-Z側からの平面視において、電池セル21eの外周面210のセル長手方向の両端215のそれぞれが下側開口236eから露出している。
【0092】
なお、+Z側からの平面視において、セル外周面210の左端215a及び右端215bの一方は、上側開口231から露出していなくてもよい。つまり、+Z側からの平面視において、セル外周面210の左端215a及び右端215bの一方の全領域は、カバー部23で覆われてもよい。また、+Z側からの平面視において、セル外周面210の左端215a及び右端215bのそれぞれが、上側開口231から露出していなくてもよい。また、-Z側からの平面視において、セル外周面210の左端215a及び右端215bの一方は、下側開口236から露出していなくてもよい。また、-Z側からの平面視において、セル外周面210の左端215a及び右端215bのそれぞれが、下側開口236から露出していなくてもよい。
【0093】
図17は、セルホルダ22及び電池セル21の断面構造の一例を示す概略図である。図17では、電池セル21の中心軸を通る、セル並び方向に垂直な平面での第2断面視におけるセルホルダ22及び電池セル21の断面構造の一例が示されている。電池セル21の中心軸はX軸方向に沿って延びている。図17では、セルホルダ22及び電池セル21の断面構造に斜線が示されている。第2断面視は、セル長手方向に沿った断面視でもあることから、第2断面視をセル長手方向断面視と呼ぶことがある。図17には、複数の電池セル21のうちの電池セル21cの断面構造が代表的に示されている。図17では、セルホルダ22及び電池セル21の断面構造に斜線が示されている。
【0094】
図17に示されるように、セル長手方向断面視において、上側の各周縁部238の断面構造(上側の周縁部長手方向断面構造ともいう)は、電池セル21の外周面210よりも上側(言い換えれば+Z側)に突出しない。例えば、カバー部23における上側開口231cの周縁部238については、セル長手方向断面視において、当該周縁部238の断面構造が、電池セル21cの外周面210よりも突出しない。また、カバー部23における上側開口231dの周縁部238については、セル長手方向断面視において、当該周縁部238の断面構造が、電池セル21dの外周面210よりも突出しない。
【0095】
本例では、セル長手方向断面視において、上側の周縁部長手方向断面構造における、セル外周面210の左端215a側(言い換えれば+X側)の第1部分238aは、セル外周面210よりも+Z側に突出しない。また、セル長手方向断面視において、上側の周縁部長手方向断面構造における、セル外周面210の右端215b側(言い換えれば-X側)の第2部分238bは、セル外周面210よりも+Z側に突出しない。セル長手方向断面視において、第1部分238aは電池セル21の+X側の端面を部分的に覆い、第2部分238bは電池セル21の-X側の端面を部分的に覆う。
【0096】
また、セル長手方向断面視において、下側の各周縁部239の断面構造(下側の周縁部長手方向断面構造ともいう)は、電池セル21の外周面210よりも下側(言い換えれば-Z側)に突出しない。例えば、カバー部23における下側開口236cの周縁部239については、セル長手方向断面視において、当該周縁部239の断面構造が、電池セル21cの外周面210よりも突出しない。また、カバー部23における下側開口236bの周縁部239については、セル長手方向断面視において、当該周縁部239の断面構造が、電池セル21bの外周面210よりも突出しない。
【0097】
本例では、セル長手方向断面視において、下側の周縁部長手方向断面構造における、セル外周面210の左端215a側の第1部分239aは、セル外周面210よりも-Z側に突出しない。また、セル長手方向断面視において、下側の周縁部長手方向断面構造における、セル外周面210の右端215b側の第2部分239bは、セル外周面210よりも-Z側に突出しない。セル長手方向断面視において、第1部分239aは電池セル21の+X側の端面を部分的に覆い、第2部分239bは電池セル21の-X側の端面を部分的に覆う。
【0098】
なお、上側の周縁部長手方向断面構造の第1部分238a及び第2部分238bの一方が、セル外周面210より上側に突出していてもよい。また、第1部分238a及び第2部分238bのそれぞれが、セル外周面210より上側に突出していてもよい。また、下側の周縁部長手方向断面構造の第1部分238a及び第2部分239bの一方が、セル外周面210より下側に突出していてもよい。また、第1部分239a及び第2部分239bのそれぞれが、セル外周面210より下側に突出していてもよい。
【0099】
図5,8,10,14,16に示されるように、セル間部分26における+Z側からの平面視にて視認可能な表面(言い換えればセル間部分26の+Z側の表面)は、セル長手方向に沿って延びかつ両端が開口した溝状の凹面265を有する。溝状の凹面265の+X側の開口は、組電池20の+X側からの平面視において視認可能である。溝状の凹面265の-X側の開口は、組電池20の-X側からの平面視において視認可能である。溝状の凹面265は、セル間部分26における+Z側からの平面視にて視認可能な表面(言い換えればセル間部分26の+Z側の表面)においてX軸方向の端から端まで延在している。
【0100】
図6,9,11,15,16に示されるように、セル間部分26における-Z側からの平面視にて視認可能な表面(言い換えればセル間部分26の-Z側の表面)に開口する2つの肉抜き部268が、セル間部分26に設けられている。2つの肉抜き部268は例えばX軸方向に沿って並んでいる。
【0101】
セルホルダ22は、例えば、複数の電池セル21を長手方向から挟み込む第1部分ホルダ2200及び第2部分ホルダ2250を備える。第1部分ホルダ2200及び第2部分ホルダ2250はカバー部23を構成する。セルホルダ22は、例えば、第1部分ホルダ2200及び第2部分ホルダ2250の2つに分割することが可能である。第1部分ホルダ2200及び第2部分ホルダ2250は互いに取り付けられる。第1部分ホルダ2200及び第2部分ホルダ2250は、例えば、X軸方向に沿って引き離すことが可能である。第1部分ホルダ2200は+X側に位置し、第2部分ホルダ2250は-X側に位置する。
【0102】
図18及び19は、第1部分ホルダ2200及び第2部分ホルダ2250が互いに引き離されている様子の一例を示す概略斜視図である。第1部分ホルダ2200は、第1端面カバー部24と、上側カバー部分271,276と、下側カバー部分273,278と、複数のセル間第1部分2210とを備える。一のセル間第1部分2210は、一のセル間部分26の+X側の略半分を構成する。第2部分ホルダ2250は、第2端面カバー部25と、上側カバー部分272,277と、下側カバー部分274,279と、係合爪を有する複数のセル間第2部分2260とを備える。一のセル間第2部分2260は、一のセル間部分26の-X側の略半分を構成する。一のセル間第1部分2210と、一のセル間第2部分2260とで、一のセル間部分26が構成される。
【0103】
第1部分ホルダ2200は、複数のセル間部分26の数と同じ数の複数のセル間第1部分2210を有する。複数のセル間第1部分2210はY軸方向に沿って並んでいる。第2部分ホルダ2250は、複数のセル間部分26の数と同じ数の複数のセル間第2部分2260を有する。複数のセル間第2部分2260はY軸方向に沿って並んでいる。セルホルダ22では、例えば、複数のセル間第1部分2210と複数のセル間第2部分2260とがそれぞれ互いに取り付けられることによって、第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とが互いに取り付けられる。
【0104】
図20及び21は、セル間第1部分2210及びセル間第2部分2260の構成の一例を示す概略図である。図20及び21では、互いに取り付けられる一組のセル間第1部分2210及びセル間第2部分2260が、互いに引き離された状態で示されている。
【0105】
セル間第1部分2210は、例えば、+Z側に位置する上側部分2220と、-Z側に位置する下側部分2230と、上側部分2220と下側部分2230とを繋ぐ連結部分2240とを有する。上側部分2220及び下側部分2230は、第1端面カバー部24から-X方向に延びている。連結部分2240はZ軸方向に沿って延びている。連結部分2240の+Z側の端は、上側部分2220の+X側の端部に繋がり、連結部分2240の-Z側の端は、下側部分2230の+X側の端部に繋がっている。
【0106】
セル間第2部分2260は、例えば、+Z側に位置する上側部分2270と、-Z側に位置する下側部分2280と、上側部分2270と下側部分2280とを繋ぐ連結部分2290とを有する。上側部分2270及び下側部分2280は、第2端面カバー部25から+X方向に延びている。連結部分2290はZ軸方向に沿って延びている。連結部分2290の+Z側の端は、上側部分2270の-X側の端部に繋がり、連結部分2290の-Z側の端は、下側部分2280の-X側の端部に繋がっている。
【0107】
上側部分2220における+Z側からの平面視にて視認可能な表面(言い換えれば上側部分2220の+Z側の上面)は、溝状の凹面265の+X側の部分を構成する。上側部分2270における+Z側からの平面視にて視認可能な表面(言い換えれば上側部分2270の+Z側の表面)は、溝状の凹面265の-X側の部分を構成する。下側部分2230には+X側の肉抜き部268が形成され、下側部分2280には-X側の肉抜き部268が形成されている。
【0108】
上側部分2220の-X側の端部には、係合穴2221が設けられている。係合穴2221は、上側部分2220の-X側の端部をZ軸方向に貫通する貫通穴である。上側部分2270の+X側の端部の+Z側の面には、係合穴2221と係合する係合爪2271が設けられている。係合爪2271は、+Z方向に突出しており、係合穴2221に対して-Z側から係合する。係合穴2221と係合爪2271とが係合することによって、上側部分2220と上側部分2270とが互いに取り付けられる。
【0109】
一組の係合穴2221及び係合爪2271は、Y軸方向で互いに隣り合う2つの電池セル21の間に位置する。言い換えれば、一組の係合穴2221及び係合爪2271は、互いに隣り合う2つの電池セル21で挟まれている。さらに言い換えれば、一組の係合穴2221及び係合爪2271は、互いに隣り合う2つの電池セル21の間の空間に配置されている。例えば、セル間部分26aを構成するセル間第1部分2210及びセル間第2部分2260がそれぞれ有する係合穴2221及び係合爪2271は、1段目の電池セル21aと2段目の電池セル21bとの間に位置する。複数のセル間第1部分2210がそれぞれ備える複数の係合穴2221はY軸方向に沿って並んでいる。また、複数のセル間第2部分2260がそれぞれ備える複数の係合爪2271はY軸方向に沿って並んでいる。
【0110】
下側部分2230の-X側の端部には、係合穴2231が設けられている。係合穴2231は、下側部分2230の-X側の端部をZ軸方向に貫通する貫通穴である。下側部分2280の-Z側の面には、係合穴2231と係合する係合爪2281が設けられている。係合爪2281は、-Z方向に突出しており、係合爪2281は係合穴2231に対して+Z側から係合する。係合穴2231と係合爪2281とが係合することによって、下側部分2230と下側部分2280とが互いに取り付けられる。
【0111】
一組の係合穴2231及び係合爪2281は、Y軸方向で互いに隣り合う2つの電池セル21の間に位置する。例えば、セル間部分26bを構成するセル間第1部分2210及びセル間第2部分2260がそれぞれ有する係合穴2231及び係合爪2281は、2段目の電池セル21bと3段目の電池セル21cとの間の空間に配置されている。複数のセル間第1部分2210がそれぞれ備える複数の係合穴2231はY軸方向に沿って並んでいる。また、複数のセル間第2部分2260がそれぞれ備える複数の係合爪2281はY軸方向に沿って並んでいる。
【0112】
係合穴2221及び2231を有するセル間第1部分2210は穴有り部分2210ともいえ、係合爪2271及び2281を有するセル間第2部分2260は爪有り部分2260ともいえる。
【0113】
セル間部分26では、互いに取り付けられた上側部分2220,2270と、互いに取り付けられた下側部分2230,2280と、上側部分2220と下側部分2230とを連結する連結部分2240と、上側部分2270と下側部分2280とを連結する連結部分2290とで囲まれた空間が、上述の開口部260を構成する。
【0114】
上側部分2220の-Z側の面には、係合穴2221と係合爪2271の係合を案内するガイド溝2212が設けられている。ガイド溝2212は、係合穴2221よりも-X側に位置し、上側部分2220の-X側端から係合穴2221まで延びている。ガイド溝2212に対して、-X側から係合爪2271が挿入される。
【0115】
下側部分2230及び2280には、係合穴2231と係合爪2281の係合を案内するガイド突起2232及びガイド溝2282がそれぞれ設けられている。ガイド突起2232は、下側部分2230の+Z側面に設けられている。ガイド突起2232は、係合穴2231よりも+X側の位置し、係合穴2231に向けてX軸方向に沿って延びている。ガイド溝2282は、下側部分2280の-Z側面に設けられている。ガイド溝2282は、係合爪2281よりも+X側に位置し、係合爪2281付近から下側部分2280の+X側端まで延びている。ガイド突起2232は、ガイド溝2282に対して+X側から挿入される。また、下側部分2230の+Z側面には、係合穴2231と係合爪2281の係合を案内するガイド溝2233が設けられている。ガイド溝2233は、係合穴2231よりも-X側に位置し、下側部分2230の-X側端から係合穴2231まで延びている。ガイド溝2233に対して、-X側から係合爪2281が挿入される。
【0116】
第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とは、X軸方向に沿って互いに近づけられて、複数の電池セル21をセル長手方向から挟み込むように互いに取り付けられる。第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とが、X軸方向に沿って互いに近づけられると、Y軸に沿って並ぶ複数の係合穴2221とY軸方向に沿って並ぶ複数の係合爪2271とがそれぞれ互いに係合し、Y軸に沿って並ぶ複数の係合穴2231とY軸方向に沿って並ぶ複数の係合爪2281とがそれぞれ互いに係合する。このとき、係合爪2271は、ガイド溝2212内を相対的に移動することによって係合穴2221まで案内されて係合穴2221に係合する。また、ガイド突起2232がガイド溝2282内を相対的に移動し、係合爪2281がガイド溝2233内を相対的に移動することによって、係合爪2281が係合穴2231まで案内されて係合穴2231に係合する。複数の係合穴2221と複数の係合爪2271とがそれぞれ互いに係合し、かつ複数の係合穴2231と複数の係合爪2281とがそれぞれ互いに係合することによって、第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とが互いに取り付けられる。セルホルダ22では、複数の係合穴2221と、当該複数の係合穴2221とそれぞれ係合する複数の係合爪2271と、複数の係合穴2231と、当該複数の係合穴2231とそれぞれ係合する複数の係合爪2281とで、第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とを互いに取り付ける取付構造220が構成されている。
【0117】
以上のような構成を有するセルホルダ22によって、互いに直列接続される複数の電池セル21が保持されることによって、例えば、互いに隣り合う2つの電池セル21の外周面210の被覆が破損した場合であっても、セル間部分26によって、当該2つの電池セル21の正極間あるいは負極間が短絡しにくくなる。また、図12及び13のように複数の電池セル21が複数の接続導電板28で直列接続される場合には、複数の電池セル21が蛇腹状に開きやすくなるが、セルホルダ22によって複数の電池セル21を保持することによって、複数の電池セル21が蛇腹状に開きにくくなる。よって、電池装置10の組み立て作業性が向上する。
【0118】
上記の例では、セル間部分26a~26dのそれぞれの+Z側の表面に溝状の凹面265が設けられているが、セル間部分26a~26dの一部の+Z側の表面には溝状の凹面265が設けられなくてもよい。また、セル間部分26a~26dのすべての+Z側の表面に溝状の凹面265が設けられなくてもよい。また、セル間部分26a~26dの少なくとも一つの-Z側の表面に、溝状の凹面265と同様の溝状の凹面が設けられてもよい。
【0119】
また、上記のセルホルダ22では、カバー部23に設けられた上側の第1開口部230は、電池セル21a~21eのすべての外周面210を露出させているが、電池セル21a~21eの一部の外周面210を露出させなくてもよい。つまり、電池セル21a~21eの一部の外周面210の+Z側の領域はカバー部23で覆われてもよい。同様に、カバー部23に設けられた下側の第2開口部235は、電池セル21a~21eの一部の外周面210を露出させなくてもよい。つまり、電池セル21a~21eの一部の外周面210の-Z側の領域はカバー部23で覆われてもよい。
【0120】
また、セル間部分26a~26の少なくとも一つには開口部260が設けられなくてもよい。また、外周面カバー部270において、上側カバー部分271と上側カバー部分272とが互いに繋がってもよいし、下側カバー部分273と下側カバー部分274とが互いに繋がってもよい。また、外周面カバー部270は、電池セル21aの外周面の+Y側領域の大部分を覆うように構成されてもよい。同様に、外周面カバー部275において、上側カバー部分276と上側カバー部分277とが互いに繋がってもよいし、下側カバー部分278と下側カバー部分279とが互いに繋がってもよい。また、外周面カバー部275は、電池セル21eの外周面の-Y側領域の大部分を覆うように構成されてもよい。また、電池セル21a~21eの少なくとも一つの外周面210の全領域がカバー部23で覆われてもよい。
【0121】
また、上記の例では、第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とは、係合爪と係合穴とが係合することによって互いに取り付けられているが、他の方法で互いに取り付けられてもよい。例えば、第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とは、ネジが使用されて互いに取り付けられてもよい。また、第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とは、係合爪及び係合穴からなる係合構造とネジとが併用されて互いに取り付けられてもよい。
【0122】
<ケースの構成例>
図1,2,16に示されるように、略直方体のケース100は、互いに対向する上壁部110及び下壁部120と、上壁部110の周端部と下壁部120の周端部とを繋ぐ側壁部130とを備える。側壁部130は、上壁部110及び下壁部120のそれぞれの周縁を取り囲んでいる。上壁部110及び下壁部120はXY平面に沿って面状に広がっている。ケース100は、例えば、上下方向(言い換えればZ方向)に2つに分割することが可能である。なお、ケース100は、2つ以上に分割されてもよいし、複数に分割されなくてもよい。
【0123】
上壁部110は組電池20の上側の表面を覆い、下壁部120は組電池20の下側の表面を覆っている。上壁部110は、図1,2,16に示されるように、セルホルダ22のセル間部分26の溝状の凹面265に沿って凹む凹湾曲部111を有する。上壁部110は、凹湾曲部111として、例えば、セル間部分26bの溝状の凹面265に沿って凹む凹湾曲部111aと、セル間部分26cの溝状の凹面265に沿って凹む凹湾曲部111bと、セル間部分26dの溝状の凹面265に沿って凹む凹湾曲部111cとを備える。図1,2,16の例では、上壁部110は、セル間部分26aの溝状の凹面265に沿って凹んでいないが、セル間部分26aの溝状の凹面265に沿って凹む凹湾曲部111を備えてもよい。
【0124】
凹湾曲部111は、-Z側に凹み、X軸方向に沿って延在している。凹湾曲部111は、上壁部110のX軸方向の端から端まで延在している。凹湾曲部111は、X軸方向に沿って延びる細長い板部をその短手方向に凹状に曲げた形状を成している。複数の凹湾曲部111a,111b,111cはY軸方向に沿って並んでいる。
【0125】
凹湾曲部111が構成する凹面1110は、上壁部110の外表面(言い換えれば+Z側の表面)の一部を構成する。上壁部110の外表面は、凹湾曲部111a,111b,111cがそれぞれ構成する3つの凹面1110を有する。凹面1110は、セル間部分26bの溝状の凹面265に応じた形状を成している。凹面1110は、X軸方向に沿って延在している。凹面1110は、上壁部110の外表面のX軸方向の端から端まで延在している。凹面1110は、浅い溝状の面であるともいえる。複数の凹面1110はY軸方向に沿って並んでいる。
【0126】
上壁部110は、Y軸方向で互いに隣り合う2つの凹湾曲部111の間に、電池セル21の外周面210に沿って凸となる凸湾曲部112を有する。上壁部110は、凸湾曲部112として、例えば、凹湾曲部111aと凹湾曲部111bとの間に位置する凸湾曲部112aと、凹湾曲部111bと凹湾曲部111cとの間に位置する凸湾曲部112bとを備える。凸湾曲部112aは電池セル21cの外周面210に応じて湾曲し、凸湾曲部112bは電池セル21dの外周面210に応じて湾曲している。
【0127】
凸湾曲部112は、+Z側に凸となり、X軸方向に沿って延在している。凸湾曲部112は、上壁部110のX軸方向の端から端まで延在している。凸湾曲部112は、X軸方向に沿って延びる細長い板部をその短手方向に凸状に曲げた形状を成している。凹湾曲部111a、凸湾曲部112a、凹湾曲部111b、凸湾曲部112b及び凹湾曲部111cは、この順で+Y側から-Y側に連続して並んでいる。
【0128】
凸湾曲部112が構成する凸面1120は、上壁部110の外表面の一部を構成する。上壁部110の外表面は、凸湾曲部112a及び112bがそれぞれ構成する2つの凸面1120を有する。凸面1120は、X軸方向に沿って延在している。凸面1120は、上壁部110の外表面のX軸方向の端から端まで延在している。凹湾曲部111aの凹面1110、凸湾曲部112aの凸面1120、凹湾曲部111bの凹面1110、凸湾曲部112bの凸面1120及び凹湾曲部111cの凹面1110は、この順で+Y側から-Y側に連続して並んでいる。上壁部110の外表面は、+X側から見ても-X側から見ても凹凸している。
【0129】
上壁部110では、複数の凹湾曲部111及び複数の凸湾曲部112以外の部分は、例えば平坦部(言い換えば平坦な板状部)を成している。また、下壁部120は、例えば、全体的に平坦な板状部を成している。
【0130】
上記の例では、ケース100の上壁部110は、3つの凹湾曲部111を備えているが、1つの凹湾曲部111を備えてもよいし、2つの凹湾曲部111を備えてもよい。また、上壁部110は、凹湾曲部111を備えておらず、平坦部であってもよい。また、セル間部分26a~26dの少なくとも一つの-Z側の表面に溝状の凹面が設けられる場合には、下壁部120は、上壁部110と同様に、少なくとも1つの凹湾曲部を備えてもよい。また、セル間部分26a~26dの少なくとも一つの-Z側の表面に溝状の凹面が設けられる場合であっても、下壁部120は図2と同様に平坦部であってもよい。
【0131】
また、上記の例では、上壁部110において2つの凹湾曲部111の間の部分は、凸湾曲部112となっているが平坦部であってもよい。また、下壁部120に設けられた2つの凹湾曲部の間の部分は、凸湾曲部であってもよいし平坦部であってもよい。
【0132】
以上のように、セルホルダ22のカバー部23は、+Z側からの平面視において、複数の電池セル21の少なくとも一つの外周面210を露出させる第1開口部230を有する。これにより、+Z側からの平面視において、複数の電池セル21の少なくとも一つの外周面210がセルホルダ22で覆われていない分、電池装置10のZ軸方向のサイズ、言い換えれば電池装置10の厚みを小さくすることができる。よって、電池装置10を小型化することができる。
【0133】
また、セルホルダ22のカバー部23は、第1開口部230だけではなく、-Z側からの平面視において、複数の電池セル21の少なくとも一つの外周面210を露出させる第2開口部235を有する。これにより、+Z側からの平面視だけではなく、-Z側からの平面視においても、複数の電池セル21の少なくとも一つの外周面210がセルホルダ22で覆われていない分、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0134】
また、セルホルダ22では、図16に示されるように、セル並び方向断面視において、カバー部23における上側開口231の周縁部238の断面構造が、電池セル21の外周面210において当該開口231から露出する露出面211の頂点211aよりも突出しない。これにより、並び方向断面視において、周縁部238の断面構造が、電池セル21の露出面211の頂点211aよりも突出する場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0135】
また、セル並び方向断面視において、カバー部23における下側開口236の周縁部239の断面構造が、電池セル21の外周面210において当該開口236から露出する露出面212の頂点212aよりも突出しない。これにより、並び方向断面視において、周縁部239の断面構造が、電池セル21の露出面212の頂点212aよりも突出する場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0136】
また、セルホルダ22では、図10等に示されるように、+Z側からの平面視において、電池セル21の外周面210長手方向の一端215が、上側開口231から露出している。これにより、+Z側からの平面視において、カバー部23が電池セル21の外周面210長手方向の一端215を覆う場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0137】
また、セルホルダ22では、図10等に示されるように、+Z側からの平面視において、電池セル21の外周面210長手方向の両端215のそれぞれが、上側開口231から露出している。これにより、+Z側からの平面視において、カバー部23が電池セル21の外周面210長手方向の両端215のそれぞれを覆う場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0138】
また、セルホルダ22では、図11等に示されるように、-Z側からの平面視において、電池セル21の外周面210長手方向の一端215が、下側開口236から露出している。これにより、-Z側からの平面視において、カバー部23が電池セル21の外周面210長手方向の一端215を覆う場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0139】
また、セルホルダ22では、図11等に示されるように、-Z側からの平面視において、電池セル21の外周面210長手方向の両端215のそれぞれが、下側開口236から露出している。これにより、-Z側からの平面視において、カバー部23が電池セル21の外周面210長手方向の両端215のそれぞれを覆う場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0140】
また、セルホルダ22では、図17に示されるように、セル長手方向断面視において、上側の周縁部238の断面構造における、セル外周面210の左端215a側の第1部分238aは、セル外周面210よりも突出しない。これにより、第1部分238aがセル外周面210よりも突出する場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0141】
また、セル長手方向断面視において、第1部分238aだけではなく、上側の周縁部238の断面構造における、セル外周面210の右端215b側の第2部分238bが、セル外周面210よりも突出しないことから、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0142】
また、図17に示されるように、セル長手方向断面視において、下側の周縁部239の断面構造における、セル外周面210の左端215a側の第1部分239aは、セル外周面210よりも突出しない。これにより、第1部分239aがセル外周面210よりも突出する場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0143】
また、セル長手方向断面視において、第1部分239aだけではなく、下側の周縁部239の断面構造における、セル外周面210の右端215b側の第2部分239bが、セル外周面210よりも突出しないことから、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0144】
また、セルホルダ22では、セル間部分26における+Z側からの平面視にて視認可能な表面が、セル長手方向に沿って延びかつ両端が開口した溝状の凹面265を有することから、セルホルダ22を軽量化することができる。
【0145】
また、セル間部分26は、当該セル間部分26を挟む2つの電池セル21の外周面210を露出させる開口部260を有することから、セルホルダ22を軽量化することができる。
【0146】
また、セルホルダ22では、取付構造220に含まれる係合爪及び係合穴を互いに係合させることによって、第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250とを簡単に互いに取り付けることができる。また、取付構造220に含まれる一組の係合爪及び係合穴の代わりにネジ等が用いられる場合と比較して、電池装置10を小型化することができる。
【0147】
また、取付構造220に含まれる係合爪及び係合穴は、互いに隣り合う2つの電池セル21の間に位置することから、係合爪及び係合穴が電池セル21の+Z側あるいは-Z側に位置する場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0148】
また、ケース100は、図1及び16等に示されるように、セル間部分26の+Z側の表面に設けられた溝状の凹面265に沿って凹む凹湾曲部111を有する。これにより、ユーザがケース100を手に持った場合にケース100が滑りにくくなる。また、ケース100が凹湾曲部111だけではなく凸湾曲部112を有する場合には、ケース100がさらに滑りにくくなる。
【0149】
<回路基板の配置例>
図5及び6に示されるように、回路基板30及び40は、組電池20に対して-Y側に配置されている。回路基板30は回路基板40よりも組電池20側に位置する。複数の電池セル21、回路基板30及び回路基板40は、Y軸方向に沿って並んでいる。
【0150】
回路基板30の配線基板31及び回路基板40の配線基板41は、例えば、長方形の板状であって、X軸方向に沿って延在している。配線基板31及び41は、XZ平面に沿って広がっている。回路基板30及び40は、Z軸方向及びX軸方向に沿って立設されている。つまり、回路基板30及び40は、セル並び方向及びセル長手方向に垂直な方向とセル長手方向に沿って立設されている。回路基板30及び40は、互いに対向配置されている。
【0151】
回路基板30と回路基板40とは、複数の接続部材70で互いに電気的に接続されている。接続部材70は、例えば、複数のピンを有するピンヘッダである。接続部材70が有する複数のピンは、回路基板30の配線基板31及び回路基板40の配線基板41に対して例えば半田付けされる。回路基板30と回路基板40との間の距離は、複数の接続部材70で保持されている。接続部材70によって、配線基板31が有する配線と配線基板41が有する配線とが互いに電気的に接続される。回路基板30と回路基板40とが互いに電気的に接続されることによって、回路基板30と回路基板40との間で信号等のやり取りが可能となる。
【0152】
回路基板40では、配線基板41の-Y側の面に操作ボタン43が実装されている。操作ボタン43のうちユーザによって押される領域は、図1等に示されるように、ケース100の側壁部130の-Y側の外表面から露出している。回路基板30では、配線基板31の-Y側の面にコネクタ34が実装されている。配線基板41と配線基板31との間の距離は、例えばコネクタ34の高さとほぼ同じである。なお、図5及び6では、回路基板30が有する複数の部品のうちコネクタ34以外の部品の図示は省略している。また、図5及び6では、回路基板40が有する複数の部品のうち操作ボタン43以外の部品の図示は省略している。
【0153】
<サーミスタの配置例>
図6及び16に示されるように、サーミスタ80の本体81(サーミスタ本体81ともいう)は、例えば、セルホルダ22と最終段の電池セル21eとの間に位置する。図14,16,18に示されるように、セルホルダ22が備える下側カバー部分278の内側の面(言い換えれば+Y側の面)には、サーミスタ本体81が配置される配置溝278zが設けられている。配置溝278zはX軸方向に沿って延びている。
【0154】
配置溝278z内に配置されたサーミスタ本体81からは、図6に示されるように、2本リード線82が延びている。リード線82は、配置溝278z内を通って電池セル21eに沿って-X側に延びている。そして、リード線82は、電池セル21eの-X側端部の近傍から-Y側に曲がって回路基板40に達している。2本のリード線82は配線基板41に電気的に接続されている。
【0155】
<配線部材の構成例>
配線部材50は、例えばシート状の部材であって、例えばFPC(Flexible printed circuits)で構成されている。FPCはフレキシブル回路基板あるいはフレキシブル配線板と呼ばれる。配線部材50は、U字状(言い換えれば、片仮名の「コ」の字状)に曲げられている。配線部材50は、+Z側あるいは-Z側からの平面視においてU字状である。図5および6に示されるように、配線部材50は、セルホルダ22の第1端面カバー部24と対向する第1配線部51と、セルホルダ22の第2端面カバー部25と対向する第2配線部52と、第1配線部51と第2配線部52とを繋ぐ第3配線部53とを備える。
【0156】
シート状の第1配線部51は、組電池20の+X側に位置し、YZ平面に沿って広がっている。第1配線部51は、Y軸方向及びZ軸方向に沿って立設されている。組電池20の接続導電板28a及び28cの接続突起部280と、接続導電板29bの接続突起部290とは、第1配線部51を貫通した状態で第1配線部51に例えば半田付けされている。セルホルダ22は、第1配線部51の位置決めを行うための複数の位置決め突起部2800を有する。本例では、2個の位置決め突起部2800がセルホルダ22に設けられている。図9に示されるように、2個の位置決め突起部2800は、例えば、セル間部分26b及び26dの+X側の端面からそれぞれ+X側に突出している。各位置決め突起部2800は、セルホルダ22から第1配線部51に向けて突出して第1配線部51を貫通する。
【0157】
シート状の第2配線部52は、組電池20の-X側に位置し、YZ平面に沿って広がっている。第2配線部52は、組電池20を間に挟んで第1配線部51と対向している。組電池20の接続導電板28b及び28dの接続突起部280及び接続導電板29aの接続突起部290は、第2配線部52を貫通した状態で第2配線部52に例えば半田付けされている。セルホルダ22は、第2配線部52の位置決めを行うための複数の位置決め突起部2810を有する。本例では、2個の位置決め突起部2810がセルホルダ22に設けられている。図8に示されるように、2個の位置決め突起部2810は、例えば、セル間部分26a及び26cの-X側の端面からそれぞれ-X側に突出している。各位置決め突起部2810は、セルホルダ22から第2配線部52に向けて突出して第2配線部52を貫通する。
【0158】
シート状の第3配線部53は、組電池20の-Y側に位置し、XZ平面に沿って広がっている。第3配線部53は、第1配線部51及び第2配線部52と略直角を成している。第3配線部53は接続部材60によって回路基板30と電気的に接続されている。接続部材60は、例えば、複数のピンを有するピンヘッダであって、第3配線部53の-Y側の面に表面実装されている。接続部材60の複数のピンは、-Y方向に突出して回路基板30の配線基板31を貫通している。接続部材60の複数のピンは配線基板31に対して例えば半田付けされている。図6に示されるように、第3配線部53と最終段の電池セル21eとの間には絶縁紙90が配置されている。電池セル21eの外周面210の被覆が破損した場合であっても、電池セル21eと第3配線部53との間の電気絶縁性が絶縁紙90によって維持される。
【0159】
配線部材50は、例えば、樹脂等で構成された基材と、基材上の複数の配線と、複数の配線を覆う、樹脂等で構成されたカバーレイとを備える。図22及び23は、配線部材50が備える複数の配線と複数の電池セル21との配置関係の一例を示す概略図である。図22及び23では、説明の便宜上、配線部材50から複数の配線だけを取り出して示している。
【0160】
配線部材50は、例えば、複数の配線511~513,521~523,531~536を備える。複数の配線511~513,521~523,531~536のそれぞれは、例えば、銅等の金属で構成されている。配線511~513は第1配線部51に設けられ、配線521~523は第2配線部52に設けられ、配線531~536は第3配線部53に設けられている。
【0161】
接続導電板28a及び28cの接続突起部280と接続導電板29aの接続突起部290とが第1配線部51に半田付けされることによって、配線511~513が、接続導電板28a、接続導電板28c及び接続導電板29bにそれぞれ電気的に接続されている。配線511は、接続導電板28aを通じて、電池セル21aの+X側端子(つまり正極端子)と電池セル21bの+X側端子(つまり負極端子)とに電気的に接続されている。配線512は、接続導電板28cを通じて、電池セル21cの+X側端子(つまり正極端子)と電池セル21dの+X側端子(つまり負極端子)に電気的に接続されている。配線513は、接続導電板29bを通じて電池セル21eの+X側端子(つまり正極端子)に電気的に接続されている。比較的大きな電流が流れる配線513の幅は、配線511及び512の幅よりも大きく設定されている。
【0162】
配線511~513は、複数の電池セル21に対してセル長手方向の一方側に位置する。詳細には、配線511~513は複数の電池セル21に対して+X側に位置する。配線511~513は概ねY軸方向に沿って延在している。配線511は、電池セル21a~21eの+X側端面と対向している。配線512は、電池セル21d及び21eの+X側端面と対向している。配線513は電池セル21eの+X側端面と対向している。
【0163】
接続導電板29aの接続突起部290と接続導電板28b及び28dの接続突起部280とが第2配線部52に半田付けされることによって、配線521~523が、接続導電板29a、接続導電板28b及び接続導電板28dにそれぞれ電気的に接続されている。配線521は、接続導電板29aを通じて電池セル21aの-X側端子(つまり負極端子)に電気的に接続されている。配線522は、接続導電板28bを通じて、電池セル21bの-X側端子(つまり正極端子)と電池セル21cの-X側端子(つまり負極端子)に電気的に接続されている。配線523は、接続導電板28dを通じて、電池セル21dの-X側端子(つまり正極端子)と電池セル21eの-X側端子(つまり負極端子)に電気的に接続されている。比較的大きな電流が流れる配線521の幅は、配線522及び523の幅よりも大きく設定されている。
【0164】
配線521~523は、複数の電池セル21に対してセル長手方向の他方側に位置する。詳細には、配線521~523は複数の電池セル21に対して-X側に位置する。配線521~523は概ねY軸方向に沿って延在している。配線521は、電池セル21a~21eの-X側端面と対向している。配線522は、電池セル21c~21eの-X側端面と対向している。配線523は電池セル21eの-X側端面と対向している。
【0165】
配線531~536は、複数の電池セル21に対してセル並び方向の一方側に位置する。具体的には、配線531~536は、複数の電池セル21に対して-Y側に位置する。配線531~533は配線521~523とそれぞれ繋がっており、配線534~536は配線511~513とそれぞれ繋がっている。
【0166】
配線531は、配線521の-Y側端から+X方向に延びて、電池セル21eの+X側端部付近に達している。配線532は、配線522の-Y側端から+X方向に延びて、電池セル21eの+X側端部付近に達している。配線533は、配線523の-Y側端から+X方向に延びて、電池セル21eの+X側端部付近に達している。配線534~535は、配線511~513の-Y側端に繋がっており、電池セル21eの+X側端部付近に位置する。接続部材60は第3配線部53の+X側の端部に設けられている。接続部材60が備える複数のピンは、配線531~533の+X側端部と、配線534~535とに対してそれぞれ電気的に接続されている。配線531~536は、接続部材60を通じて、回路基板30の配線基板31に電気的に接続されている。
【0167】
電池セル21aの負極端子の電位V0は、接続導電板29aと、配線521及び531と、接続部材60とを通じて回路基板30に入力される。電池セル21aの正極端子の電位V1は、接続導電板28aと、配線511及び534と、接続部材60とを通じて回路基板30に入力される。電池セル21bの正極端子の電位V2は、接続導電板28bと、配線522及び532と、接続部材60とを通じて回路基板30に入力される。電池セル21cの正極端子の電位V3は、接続導電板28cと、配線512及び535と、接続部材60とを通じて回路基板30に入力される。電池セル21dの正極端子の電位V4は、接続導電板28d、配線523及び533と、接続部材60とを通じて回路基板30に入力される。電池セル21eの正極端子の電位V5は、接続導電板29bと、配線513及び536と、接続部材60とを通じて回路基板30に入力される。
【0168】
なお、配線511~513,521~523,531~536は、FPCが備える配線であったが、バスバーで構成されてもよい。この場合、配線部材50は、バスバーから成る配線511~513,521~523,531~536だけで構成される。この場合であっても、配線部材50は、全体的には、+Z側あるいは-Z側からの平面視においてU字状である。バスバーは、板状の部材であって、例えば、銅あるいはアルミニウムなどの金属で構成される。以後、バスバーで構成された配線511~513,521~523,531~536をバスバー配線511~513,521~523,531~536と呼ぶ。
【0169】
バスバー配線511,512,513の一端は、例えば、接続導電板28aの接続突起部280、接続導電板28cの接続突起部280及び接続導電板29aの接続突起部290にそれぞれ半田付けされる。バスバー配線521,522,523の一端は、例えば、接続導電板29aの接続突起部290、接続導電板28bの接続突起部280及び接続導電板28dの接続突起部280にそれぞれ半田付けされる。接続部材60が備える複数のピンは、バスバー配線531~536にそれぞれ半田付けされる。
【0170】
このように、電池装置10では、配線511~513が、複数の電池セル21に対してセル長手方向の一方側に位置する。これにより、配線511~513が複数の電池セル21に対して+Z側あるいは-Z側に位置する場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズ、言い換えれば電池装置10の厚みを小さくすることができる。
【0171】
また、電池装置10では、配線521~523が、複数の電池セル21に対してセル長手方向の他方側に位置することから、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0172】
また、配線531~536が、複数の電池セル21に対してセル並び方向の一方側に位置することから、配線531~536が複数の電池セル21に対して+Z側あるいは-Z側に位置する場合と比較して、電池装置10のZ軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0173】
また、配線531~536が電気的に接続される回路基板30が、複数の電池セル21に対して配線531~536と同じ側に位置することから、回路基板30と配線531~536とを電気的に接続しやすくなる。
【0174】
また、回路基板30は、セル並び方向及びセル長手方向に垂直な垂直方向とセル長手方向に沿って立設されている。つまり、回路基板30はXZ平面に沿って立設されている。これにより、回路基板30が例えばXY平面に平行に配置される場合と比較して、電池装置10のY軸方向のサイズ(言い換えれば前後方向のサイズ)を小さくすることができる。
【0175】
また、回路基板40が、セル並び方向及びセル長手方向に垂直な垂直方向とセル長手方向に沿って立設されていることから、電池装置10のY軸方向のサイズを小さくすることができる。
【0176】
また、回路基板30が回路基板40よりも配線531~536側に位置することから、回路基板30と配線531~536とを電気的に接続しやすくなる。
【0177】
なお、配線部材50、回路基板30、回路基板40及びサーミスタ80の配置場所は上記の例に限られない。例えば、配線部材50は、組電池20の上側に位置する部分を有してもよいし、組電池20の下側に位置する部分を有してもよいし、組電池20の+Y側に位置する部分を有してもよい。また、回路基板30及び40の少なくとも一方は、組電池20の上側に位置してもよいし、組電池20の下側に位置してもよいし、組電池20の+Y側に位置してもよい。また、回路基板30及び40の少なくとも一方は、XY平面に平行に配置されてもよいし、YZ平面に平行に配置されてもよいし、他の姿勢で配置されてもよい。また、サーミスタ80の本体81は、電池セル21eの近傍ではなく、電池セル21a~21dのいずれか一つの近傍に位置してもよい。
【0178】
<セルホルダの他の構成例>
上記の例では、第1部分ホルダ2200と第2部分ホルダ2250を互いに取り付ける取付構造220が備える複数の係合穴はすべて第1部分ホルダ2200に設けられ、当該取付構造220が備える複数の係合爪はすべて第2部分ホルダ2250に設けられている。しかしながら、第1部分ホルダ2200及び第2部分ホルダ2250のそれぞれが係合穴及び係合爪を有してもよい。図24及び25はこの場合のセルホルダ22(セルホルダ22Aともいう)の構成の一例を示す概略斜視図である。以下に、セルホルダ22Aの構成について、図14,15,18,19等に示されるセルホルダ22との相違点を中心に説明する。
【0179】
セルホルダ22Aが備える第1部分ホルダ2200(第1部分ホルダ2200Aともいう)は、例えば、係合穴を有する2つの穴有り部分2210Aと、係合爪を有する2つの爪有り部分2260Aとを備える。同様に、セルホルダ22Aが備える第2部分ホルダ2250(第2部分ホルダ2250Aともいう)は、例えば、2つの穴有り部分2210Aと2つの爪有り部分2260Aとを備える。穴有り部分2210Aは、上述のセル間第1部分2210と同様の構造を有する。爪有り部分2260Aは、上述のセル間第2部分2260と同様の構造を有する。
【0180】
穴有り部分2210Aは、上側部分2220Aと、下側部分2230Aと、上側部分2220A及び下側部分2230Aを互いに繋ぐ連結部分2240Aとを有する。上側部分2220Aは上述の上側部分2220と同じ構造を有する。下側部分2230Aは、ガイド突起2232を備えていない点以外については、上述の下側部分2230と同じ構造を有する。連結部分2240Aは上述の連結部分2240と同じである。なお、下側部分2230Aはガイド突起2232を備えてもよい。
【0181】
爪有り部分2260Aは、上側部分2270Aと、下側部分2280Aと、上側部分2270A及び下側部分2280Aを互いに繋ぐ連結部分2290Aとを有する。上側部分2270Aは上述の上側部分2270と同じ構造を有する。下側部分2280Aは、ガイド溝2282を備えていない点以外については、上述の下側部分2280と同じ構造を有する。連結部分2290Aは上述の連結部分2290と同じである。なお、下側部分2280Aはガイド溝2282を備えてもよい。
【0182】
第1部分ホルダ2200Aでは、一方の穴有り部分2210A、一方の爪有り部分2260A、他方の穴有り部分2210A及び他方の爪有り部分2260Aが、この順で、+Y側から-Y側にかけて並んでいる。これにより、第1部分ホルダ2200Aでは、一方の穴有り部分2210Aの上側部分2220Aの係合穴2221(左上第1係合穴2221ともいう)、一方の爪有り部分2260Aの上側部分2270Aの係合爪2271(左上第1係合爪2271ともいう)、他方の穴有り部分2210Aの上側部分2220Aの係合穴2221(左上第2係合穴2221ともいう)及び他方の爪有り部分2260Aの上側部分2270Aの係合爪2271(左上第2係合爪2271ともいう)が、この順で、+Y側から-Y側にかけて並んでいる。また、第1部分ホルダ2200Aでは、一方の穴有り部分2210Aの下側部分2230Aの係合穴2231(左下第1係合穴2231ともいう)、一方の爪有り部分2260Aの下側部分2280Aの係合爪2281(左下第1係合爪2281ともいう)、他方の穴有り部分2210Aの下側部分2230Aの係合穴2231(左下第2係合穴2231ともいう)及び他方の爪有り部分2260Aの下側部分2280Aの係合爪2281(左下第2係合爪2281ともいう)が、この順で、+Y側から-Y側にかけて並んでいる。
【0183】
第2部分ホルダ2250Aでは、一方の爪有り部分2260A、一方の穴有り部分2210A、他方の爪有り部分2260A及び他方の穴有り部分2210Aが、この順で、+Y側から-Y側にかけて並んでいる。これにより、第2部分ホルダ2250Aでは、一方の爪有り部分2260Aの上側部分2270Aの係合爪2271(右上第1係合爪2271ともいう)、一方の穴有り部分2210Aの上側部分2220Aの係合穴2221(右上第1係合穴2221ともいう)、他方の爪有り部分2260Aの上側部分2270Aの係合爪2271(右上第2係合爪2271ともいう)及び他方の穴有り部分2210Aの上側部分2220Aの係合穴2221(右上第2係合穴2221ともいう)が、この順で、+Y側から-Y側にかけて並んでいる。また、第2部分ホルダ2250Aでは、一方の爪有り部分2260Aの下側部分2280Aの係合爪2281(右下第1係合爪2281ともいう)、一方の穴有り部分2210Aの下側部分2230Aの係合穴2231(右下第1係合穴2231ともいう)、他方の爪有り部分2260Aの下側部分2280Aの係合爪2281(右下第2係合爪2281ともいう)及び他方の穴有り部分2210Aの下側部分2230Aの係合穴2231(右下第2係合穴2231ともいう)が、この順で、+Y側から-Y側にかけて並んでいる。
【0184】
セルホルダ22Aでは、+Z側において、左上第1係合穴2221、左上第1係合爪2271、左上第2係合穴2221及び左上第2係合爪2271と、右上第1係合爪2271、右上第1係合穴2221、右上第2係合爪2271及び右上第2係合穴2221とが、それぞれ係合する。第1部分ホルダ2200A及び第2部分ホルダ2250Aのそれぞれにおいて、Y軸方向に沿って、係合穴2221と係合爪2271とが交互に設けられている。
【0185】
また、セルホルダ22Aでは、-Z側において、左下第1係合穴2231、左下第1係合爪2281、左下第2係合穴2231及び左下第2係合爪2281と、右下第1係合爪2281、右下第1係合穴2231、右下第2係合爪2281及び右下第2係合穴2231とが、それぞれ係合する。第1部分ホルダ2200A及び第2部分ホルダ2250Aのそれぞれにおいて、Y軸方向に沿って、係合穴2231と係合爪2281とが交互に設けられている。
【0186】
第1部分ホルダ2200Aが有する穴有り部分2210Aの上側部分2220A及び下側部分2230Aと、第2部分ホルダ2250Aが有する爪有り部分2260Aの上側部分2270A及び下側部分2280Aとがそれぞれ連結することによって、一つのセル間部分26が構成される。また、第1部分ホルダ2200Aが有する爪有り部分2260Aの上側部分2270A及び下側部分2280Aと、第2部分ホルダ2250Aが有する穴有り部分2210Aの上側部分2220A及び下側部分2230Aとがそれぞれ連結することによって、一つのセル間部分26が構成される。
【0187】
セルホルダ22Aの第1端面カバー部24に設けられた開口部245(開口部245Aともいう)は、開口240~242の替わりに開口246~248を有する。開口246は接続導電板28aを露出させる。開口247は接続導電板28cを露出させる。開口248は接続導電板29bを露出させる。
【0188】
セルホルダ22Aの第2端面カバー部25に設けられた開口部255(開口部255Aともいう)は、開口250~252の替わりに開口256~258を有する。開口256は接続導電板29aを露出させる。開口257は接続導電板28bを露出させる。開口258は接続導電板28dを露出させる。
【0189】
セルホルダ22Aは、一つの位置決め突起部2800と、一つの位置決め突起部2810とを有する。セルホルダ22Aでは、位置決め突起部2800は、例えば、セル間部分26cの+X側の端面から+X側に突出し、位置決め突起部2810は、例えば、セル間部分26bの-X側の端面から-X側に突出している。
【0190】
なお、セルホルダ22の構造は上記の例に限られない。例えば、第1部分ホルダ2200及び第2部分ホルダ2250のそれぞれにおいて、Y軸方向に沿って、複数の係合穴が連続的に並びかつ複数の係合爪が連続的に並んでもいい。
【0191】
上記の例では、サーミスタ本体81の近傍の下側カバー部分278は、電池セル21eの外周面210に沿って湾曲しているが、湾曲してなくてもよい。図26はこの場合のケース100、セルホルダ22及び複数の電池セル21の断面構造の一例を示す概略図である。図26は上述の図16に対応する図である。
【0192】
図26の例では、下側カバー部分278は、例えば、Y軸方向からZ軸方向に直角に曲がっており、XY平面に平行な平坦部分278aと、XZ平面に平行な平坦部分278bとで構成されている。平坦部分278aの-Y側端と、平坦部分278bの-Z側端とが繋がっている。平坦部分278aと平坦部分278bとが成す角度は例えば90度である。
【0193】
下側カバー部分278の内側の面(言い換えれば、電池セル21e側の面)は、電池セル21eの外周面210に沿って湾曲していない。下側カバー部分278の内側の面は、XY平面に平行な平坦面(平坦部分278aの内側の面)と、XZ平面に平行な平坦面(平坦部分278bの内側の面)とで構成されている。平坦部分278aの内側の平坦面と、平坦部分278bの内側の平坦面とは例えば90度を成している。つまり、平坦部分278aの内側の平坦面と平坦部分278bの内側の平坦面とが成す角の角度は例えば90°である。サーミスタ本体81は、平坦部分278aの内側の平坦面と、平坦部分278bの内側の平坦面と、電池セル21eの外周面210とで構成されたスペースに配置されている。
【0194】
このように、下側カバー部分278の内側の面を平坦面で構成することによって、サーミスタ本体81の配置スペースを確保しやすくなる。その結果、サーミスタ本体81を配置しやすくなる。
【0195】
なお、平坦部分278aと平坦部分278bとが成す角度は、90度よりも大きくてもよいし、90度未満であってもよい。つまり、平坦部分278aの内側の平坦面と、平坦部分278bの内側の平坦面とが成す角度は、90度よりも大きくてもよいし、90度未満であってもよい。
【0196】
以上のように、セルホルダ及び電池装置は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0197】
10 電池装置
21,21a,21b,21c,21d,21e 電池セル
22 セルホルダ
23 カバー部
26,26a,26b,26c,26d セル間部分
30 電源回路基板
33 電源部
40 制御回路基板
100 ケース
111,111a,111b,111c 凹湾曲部
210 外周面
211,212 露出面
211a,212a 頂点
215 端
215a 左端
215b 右端
220 取付構造
230,235、260 開口部
231,231a,231b,231c,231d,231e,236,236a,236b,236c,236d,236e 開口
238,239 周縁部
238a,239a 第1部分
238b,239b 第2部分
265 溝状の凹面
511~513,521~523,531~536 配線
2200,2200A 第1部分ホルダ
2250,2250A 第2部分ホルダ
2221,2231 係合穴
2271,2281 係合爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26