(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073599
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】コンベアおよびスライス食品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 23/34 20060101AFI20230519BHJP
B65B 35/44 20060101ALI20230519BHJP
B65G 15/12 20060101ALI20230519BHJP
B65G 47/30 20060101ALI20230519BHJP
B65G 21/14 20060101ALI20230519BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B65G23/34
B65B35/44
B65G15/12
B65G47/30 D
B65G21/14 B
B26D3/28 610Q
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186149
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】503049427
【氏名又は名称】匠技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100150762
【弁理士】
【氏名又は名称】阿野 清孝
(72)【発明者】
【氏名】今浦 博志
【テーマコード(参考)】
3E054
3F023
3F025
3F081
【Fターム(参考)】
3E054AA01
3E054DD01
3E054DE01
3E054FA07
3E054FA08
3E054FB01
3E054HA05
3E054JA03
3F023AA05
3F023AB10
3F023BA02
3F023BB02
3F023BC01
3F023CA03
3F025AB03
3F081AA47
3F081BD09
3F081BD15
3F081BF13
3F081CC08
3F081EA09
3F081EA10
(57)【要約】
【課題】スライス食品とフレームとの接触によるコンベアの減速やスライス食品の位置ずれを解消したコンベアを提供する。
【解決手段】本発明のコンベアは、所定の間隔を隔てて配置された一対のプーリと、当該一対のプーリを回転可能に支持する長尺のフレームと、前記一対のプーリ間に捲回された平ベルトとを備え、スライス装置で作製された未包装のスライス食品を包装機に向けて搬送する。当該コンベアにおいて、平ベルトおよびプーリは、搬送方向と直交する幅方向に2分割され、かつ当該2分割された平ベルトの間に、モータの回転駆動力を前記一対のプーリに伝達するタイミングベルトが設置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を隔てて配置された一対のプーリと、当該一対のプーリを回転可能に支持する長尺のフレームと、前記一対のプーリ間に捲回された平ベルトとを備え、スライス装置で作製された未包装のスライス食品を包装機に向けて搬送するコンベアであって、
前記平ベルトおよび一対のプーリは、搬送方向と直交する幅方向に2分割され、かつ当該2分割された平ベルトの間に、第1のモータの回転駆動力を前記一対のプーリに伝達するタイミングベルトが設置されていることを特徴とするコンベア。
【請求項2】
前記フレームは、
断面がL字状の一対の長尺の板を対向させた状態で連結したメインフレームと、
当該メインフレームの搬入側端部および搬出側端部に取り付けられた第1および第2の板状のサブフレームとで構成され、
前記一対のプーリは、前記第1および第2のサブフレームにそれぞれ支持され、
かつ前記第2のサブフレームは、前記メインフレームに対して鉛直面内で回転可能である、請求項1に記載のコンベア。
【請求項3】
前記第1のモータは、上部に前記フレームが取り付けられた筐体内に収容され、
前記第1のモータの駆動力は、当該筐体内および当該筐体の外面に取り付けられた回転伝達機構を介して前記タイミングベルトに伝達される、請求項1または2に記載のコンベア。
【請求項4】
前記筐体は、第2のモータによって、搬入側の端部近傍を中心として水平面内で旋回できるように構成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のコンベア。
【請求項5】
前記スライス食品は、食品原木のスライス片が積み重ねられたものである、請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベア。
【請求項6】
平行に移送される複数本の食品原木をスライスして複数個の未包装のスライス食品を作製するスライス装置と、当該複数個のスライス食品を、多数のポケットが形成された包装用フィルムの当該ポケットに収容した後、当該ポケットを密封する包装機との間に設置され、前記スライス装置で作製された複数個のスライス食品を前記包装機まで搬送するスライス食品搬送装置であって、
前記スライス装置で作製された複数個のスライス食品を載置する第1のコンベアと、
次のスライスのために前記第1のコンベアに載置された複数個のスライス食品を移載する第2のコンベアと、
当該第2のコンベアから移載された複数個のスライス食品を搬送すると共に、搬送方向と直交する幅方向の位置を、前記包装用フィルムのポケットの位置に合わせて調節する第3のコンベアと、
当該第3のコンベアで幅方向の位置が調節された複数個のスライス食品を前記包装機に向けて搬送する第4のコンベアと、を備え、
前記第3のコンベアは、搬送方向と直交する幅方向に配列された請求項4に記載の複数のコンベアで構成されることを特徴とするスライス食品搬送装置。
【請求項7】
前記複数のコンベアの上方に設置され、前記第2のコンベアから移載された各スライス食品の画像を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した画像からスライス食品の画像を取り出して、当該スライス食品の幅方向の位置データを算出すると共に、算出された位置データに基づいて前記第2のモータを駆動し、前記複数のコンベアを旋回させて、前記スライス食品の幅方向の位置を調節するコントローラと、を備えた、請求項6に記載のスライス食品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライス食品の搬送に用いるコンベア、およびそのコンベアが組み込まれたスライス食品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スライスされたハムを包装用フィルムに形成されたポケットに投入してスライス食品を生産する場合、1~2mのハム原木を一定の厚さでスライスし、スライス片を所定枚数重ねた後、コンベアに送り出す。
【0003】
コンベアに送り出された未包装のスライス食品は、複数台のコンベアで構成された搬送装置によって包装機まで搬送された後、包装用フィルムのポケットに投入され、更にカバーフィルムで密閉されて商品の形態となる。
【0004】
上述の工程によってスライス食品を生産する場合、生産性を高めるために、複数本(例えば4本)のハム原木を1つの切断刃で切断している。その際、スライスされたハム間のピッチと、包装用フィルムに形成されたポケットのピッチが異なり、またスライスの状態によってハムが落下する位置が微妙にずれる。そのため、コンベアに載置されたスライス食品を、そのまま包装機に搬送した場合、スライス食品がフィルムのポケットにうまく投入できない。
【0005】
上述の問題を解決するため、従来の搬送装置では、ハム原木が切断された後、スライス食品の位置を搬送方向と直交する幅方向にずらして、包装用フィルムのポケットに正確に収容されるようにしている。
【0006】
一方、上述の用途に使用される搬送装置は、スライス食品を搬送するコンベアが搬送方向と直交する幅方向に、間隔を置いて複数台(例えば4台)設置されるため、横幅が広くなり、スペースの確保が難しくなる。
【0007】
そこで、発明者は、スライス食品の位置調整用として適切な、幅の狭いコンベアを提案した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のコンベアは、スライス食品搬送用の平ベルトを2分割すると共に、その間に平ベルト駆動用の歯車を配置したもので、平ベルトの側面には何も配置されていないため、コンベアの幅を、スライス食品を搬送する上で必要な最小限に留めることができる。
【0010】
また特許文献1に記載のコンベア装置は、スライス食品と接する平ベルト、プーリおよびフレームを、簡単に筐体から取り外して洗浄できるため、保守作業が楽になる利点を有する。
【0011】
しかし、その反面、平ベルトを支持するフレームが平ベルト間に露出しているため、スライス食品の搬送中にその一部が垂れてフレームに接触することがあり、それがブレーキとなって、次のコンベアに引き渡すタイミングが遅れ、予定した位置がずれることがある。
【0012】
同様に、フレームに接触する場所によっては、スライス食品が回転して位置がずれ、スライス食品を、包装用フィルムのポケットに正確に投入するという本来の目的が果たせなくなる。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、スライス食品とフレームとの接触によるコンベアの減速やスライス食品の位置ずれを防止できるコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため本発明に係るコンベアは、所定の間隔を隔てて配置された一対のプーリと、当該一対のプーリを回転可能に支持する長尺のフレームと、前記一対のプーリ間に捲回された平ベルトとを備え、スライス装置で作製された未包装のスライス食品を包装機に向けて搬送するコンベアであって、
前記平ベルトおよび一対のプーリは、搬送方向と直交する幅方向に2分割され、かつ当該2分割された平ベルトの間に、第1のモータの回転駆動力を前記一対のプーリに伝達するタイミングベルトが設置されていることを特徴とする。
【0015】
ここで、前記フレームは、
断面がL字状の一対の長尺の板を対向させた状態で連結したメインフレームと、
当該メインフレームの搬入側端部および搬出側端部に取り付けられた第1および第2の板状のサブフレームとで構成され、
前記一対のプーリは、前記第1および第2のサブフレームにそれぞれ支持され、
かつ前記第2のサブフレームは、前記メインフレームに対して鉛直面内で回転可能であることが好ましい。
【0016】
また前記第1のモータは、上部に前記フレームが取り付けられた筐体内に収容され、前記第1のモータの駆動力は、当該筐体内および当該筐体の外面に取り付けられた回転伝達機構を介して前記タイミングベルトに伝達されることが好ましい。
【0017】
前記筐体は、第2のモータによって、搬入側の端部近傍を中心として水平面内で旋回できるように構成されていることが好ましい。
【0018】
前記スライス食品は、食品原木のスライス片が積み重ねられたものであることが好ましい。
【0019】
また上記目的を達成するため、本発明に係るスライス食品搬送装置は、平行に移送される複数本の食品原木をスライスして複数個の未包装のスライス食品を作製するスライス装置と、当該複数個のスライス食品を、多数のポケットが形成された包装用フィルムの当該ポケットに収容した後、当該ポケットを密封する包装機との間に設置され、前記スライス装置で作製された複数個のスライス食品を前記包装機まで搬送するスライス食品搬送装置であって、
前記スライス装置で作製された複数個のスライス食品を載置する第1のコンベアと、
次のスライスのために前記第1のコンベアに載置された複数個のスライス食品を移載する第2のコンベアと、
当該第2のコンベアから移載された複数個のスライス食品を搬送すると共に、搬送方向と直交する幅方向の位置を、前記包装用フィルムのポケットの位置に合わせて調節する第3のコンベアと、
当該第3のコンベアで幅方向の位置が調節された複数個のスライス食品を前記包装機に向けて搬送する第4のコンベアと、を備え、
前記第3のコンベアは、搬送方向と直交する幅方向に配列された上述の複数のコンベアで構成されることを特徴とする。
【0020】
また本発明に係るスライス食品搬送装置は、前記複数のコンベアの上方に設置され、前記第2のコンベアから移載された各スライス食品の画像を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した画像からスライス食品の画像を取り出して、当該スライス食品の幅方向の位置データを算出すると共に、算出された位置データに基づいて前記第2のモータを駆動し、前記複数のコンベアを旋回させて、前記スライス食品の幅方向の位置を調節するコントローラと、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るコンベアを用いれば、フレームとの接触によってコンベアが減速すること、およびコンベアに対してスライス食品の位置がずれるのを防止でき、結果として、スライス食品を、包装用フィルムのポケットに正確に投入できる搬送装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係るコンベアの平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るコンベアの組み立ての手順を説明する図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るコンベアの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図6】スライス食品搬送装置の機能を説明する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係るコンベアおよびそれが組み込まれたスライス食品搬送装置について、図面を参照して説明する。
【0024】
<スライス食品搬送装置の構成と機能>
本実施の形態に係るコンベアについて説明する前に、
図6を参照して、本実施の形態に係るコンベアを構成要素とするスライス食品搬送装置について説明する。
【0025】
図6は、スライス食品搬送装置の概略構成を示す平面図である。スライス食品搬送装置10は、スライス装置5の下方に設置された第1のコンベア1と、その下流に配置された第2、第3および第4のコンベア2、3および4で構成されている。
【0026】
図6を参照して、原木Wがスライスされてから、包装機(図示せず)に配置された包装用フィルムのポケットに投入されるまでの手順を簡単に説明する。図中、矢印はスライス食品の搬送方向を示している。
【0027】
前述したように、1~2mの円柱状の原木Wを4本用意し、スライス装置5において、原木Wを一定の速度で移送し、円板状の切断刃51を自転させながら公転させると、原木Wが先端から順次所定の厚さでスライスされ、円形のスライス片が作製される。
【0028】
原木Wは、図示しない原木移送機構によって左側に移送される。原木Wは、紙面に向って右側が上、左側が下になるように傾斜しており、切断刃51によってスライスされたスライス片は、整列用の第1のコンベア1上に落下する。
【0029】
第1のコンベア1を静止させた状態でスライスを繰り返せば、コンベア上に複数枚のスライス片が重なった状態で積層される。一方、第1のコンベア1を若干移動させながらスライスを繰り返すと、コンベア上にスライス片がずらした状態で積層される。スライス片をいずれの形態で整列させるかは、包装用フィルムへの実装状態にあわせて決定される。なお、スライス食品には、厚みのある1枚のスライス片を包装用フィルムのポケットに収納したものもある。
【0030】
第1のコンベア1上に積層された未包装のスライス食品Sは、次のスライスに備えてコンベア上を空けるため、第2のコンベア2に移載される。第1のコンベア1と第2のコンベア2の搬送速度は等しく、かつ隣接して設置され、搬送面の高さがほぼ等しいため、スライス食品Sの円滑な移載が可能である。
【0031】
スライス食品Sは、更に、搬送方向と直交する幅方向の位置を調整するため、4台の小コンベア30で構成された第3のコンベア3に移載される。下流に設置された包装機(図示せず)において、スライス食品Sは搬送方向と直交する方向に4列並んだ状態で包装される。そのため、包装用フィルムには、搬送方向と直交する方向にスライス食品Sを収納する4列のポケットが、均等な位置にピッチP2で形成されている。
【0032】
スライス装置5で4本の原木Wをスライスする際には、単一の切断刃51を用いて4本の原木Wを切断する制約上、第1のコンベア1に落下し、整列した4枚のスライス食品間のピッチP1は、包装用フィルムに形成されたポケットのピッチP2より狭い。このため、位置調整用の第3のコンベア3で、スライス食品S間のピッチを拡げると共に、フィルムのポケットの位置と一致させる必要がある。
【0033】
図6のスライス食品搬送装置10では、位置調整用のコンベア3を、搬送方向と直交する方向に設置された、本実施の形態に係る4台の小コンベア30で構成し、各コンベア30で搬送する間に、スライス食品Sの各位置を、搬送方向と直交する方向にずらして、包装用フィルムのポケットの位置と一致させている。
【0034】
このようにして搬送方向と直交する幅方向の位置が調整された4個のスライス食品Sは、第4のコンベア4に移載され、包装機(図示せず)に向けて搬送された後、それぞれ、包装用フィルムの4つのポケットに投入され、その後、カバーフィルムで密閉される。
【0035】
<位置調整用コンベアの構成と動作>
次に、
図1~
図3を参照して、位置調整用の小コンベア30を構成する、本実施の形態に係るコンベアについて説明する。
【0036】
図1は、本実施の形態に係るコンベア30を上方から見た図、
図2は、同コンベア30を正面から見た一部断面図、
図3は同コンベア30を側面から見た一部断面図である。
【0037】
前述の
図6に示したように、本実施の形態では、4個のスライス食品Sを同時に作製・搬送する形態を採用しており、それぞれのスライス食品Sを搬送するコンベア30が、第2のコンベア2の下流側に並置されている。若干の隙間を隔てて並置された4台のコンベア30は、同一の構成を備えている。
【0038】
図1は、そのうちの1台のコンベア30を上方から見た図であり、スライス食品Sの搬入側および搬出側に配置された一対のプーリ310および320の間に、それぞれ平ベルト330が捲回され、またプーリ310および320は、フレーム340によって支持されている。
【0039】
以後、図では、搬送方向左側のプーリを310a、320a、右側のプーリを310b、320bと表記する。同様に、平ベルトについても、左側の平ベルトを330a、右側の平ベルト330bと表記する。一方、説明において、これらを区別する必要がない場合には、プーリ310、プーリ320、平ベルト330と表記する。他の部材についても、同様の取り扱いとする。
【0040】
図2に示すように、フレーム340は、メインフレーム341と、その前後に取り付けられたサブフレーム342、343で構成されている。そのうちメインフレーム341は、断面がL字状の長尺の金属板を、側面が対向する状態で、金属棒で作製された2本のピン344および345で連結したものであり、それぞれの上面で平ベルト330を支持している。
【0041】
またメインフレーム341は、支持板361で連結された一対の取付版362によって筐体370に取り付けられ、サブフレーム343は、一対の取付板364によって筐体370に取り付けられている。
【0042】
図2に示すように、金属板で作製された一対のサブフレーム342は、ビスによってメインフレーク341の搬入側端部に固定され、その先端に軸受を介してプーリ310が取り付けられている。
【0043】
一方、金属板で作製され、搬出側端部に取り付けられた一対のサブフレーム343は、金属棒で作製されたピン346で連結され、一体化している。
【0044】
サブフレーム343は、軸347を中心に鉛直面内で回転できるように構成されており、サブフレーム343が下方に垂れた状態において、側面から突出したピン346を、取付板364の上部に形成された係合溝365に挿入し、メインフレーム341を、側面から突出したピン344を中心に反時計回りに旋回させれば、ピン346が係合溝365に沿って、
図2に示す位置まで移動する。
【0045】
メインフレーム341の搬出側端部には、ストッパ348が形成されており、このストッパ348がサブフレーム343の上部に当接することで、メインフレーム341の旋回は止まり、水平状態に維持される。なお、フレーム340の筐体370への取付方法については、後に、
図4を用いて詳述する。
【0046】
図2に示すように、搬入側のプーリ310a、310bは、サブフレーム342a、342bの側面に軸受を介して回転可能な状態で支持され、かつ
図3に示すように回転軸を共有している。
【0047】
一方、メインフレーム341の搬出側の端部側面には、サブフレーム320a、320bが軸347によって回転可能な状態で取り付けられている。前述したように、1対のサブフレーム343a、343bはピン346で連結され、一体化している。
【0048】
搬出側のプーリ320a、320bは、サブフレーム343a、343bの先端に軸受を介して支持されており、搬入側のプーリ310a、310bと同様に、回転軸を共有している。
【0049】
図1に示したように、左右の平ベルト330a、330bの間には、平ベルト駆動用のタイミングベルト351が配置されている。そしてタイミングベルト351は、プーリ310aと310bの間に配置されたタイミングプーリ352、プーリ320aと320bの間に配置されタイミングプーリ353、および取付板366を介して筐体370に取り付けられたタイミングプーリ354に捲回されている。
【0050】
後述するように、筐体370内に設置されたモータの回転駆動力は、筐体内および筐体の外面に取り付けられた回転伝達機構を介してタイミングベルト351に伝達され、左右の平ベルト330a、330bを駆動する。
【0051】
図2および
図3を参照して、平ベルト330の回転伝達機構について説明する。筐体370の内部空間には、プーリ310および320を回転させて平ベルト330を駆動するモータと回転伝達機構が収容されている。なお、図にはボルト、ナット等の締結用部材や軸受が記載されているが、それぞれの機能は周知であるため、説明を省略する。
【0052】
筐体370の空洞部には、モータ381と一体となったギアボックス382が、取付金具371を介して壁面に取り付けられ、更にプーリ385が、取付金具372を介して壁面に取り付けられている。
【0053】
モータ381の回転力は、ギアボックス382、タイミングプーリ383、タイミングベルト384、タイミングプーリ385、回転軸386、タイミングプーリ387およびタイミングベルト388を介して、取付板366に取り付けられたタイミングプーリ389に伝達され、更に、タイミングプーリ389と同軸回転するタイミングプーリ354およびタイミングベルト351を介してタイミングプーリ352および353に伝達される。
【0054】
上述したように、平ベルト330は左右に2分割されており、左側の平ベルト330aはプーリ310a、320aによって回転駆動され、右側の平ベルト330bはプーリ310b、320bによって回転駆動される。
【0055】
タイミングベルト351によって回転駆動されるタイミングプーリ352、353は、プーリ310および320と同軸であるため、タイミングプーリ352、353が回転すると、プーリ310および320が同一速度で回転し、平ベルト330aおよび330b上に載置されたスライス食品Sが、第2のコンベア2側から第4のコンベア4側に搬送される。
【0056】
平ベルト330を2分割すると共に、その間に駆動用のタイミングベルト351を配置した場合、平ベルト330a、330bとタイミングベルト351が同速度で移動する。このため、スライス食品Sの搬送中に、その一部が垂れてタイミングベルト351に接触したとしても、それがブレーキとなって次のコンベアへの移載のタイミングがずれることはない。同様に、搬送途中でスライス食品Sが回転したり横方向にずれたりすることもない。
【0057】
更に、平ベルト330aおよび330bの左右両端の幅を、スライス食品Sが中心から若干ずれる場合を考慮した上で、最小限の値に設定できるため、複数のコンベアを並べて設置する場合のスペースを小さくできる。
【0058】
筐体370の空洞部には、上述した回転伝達機構以外に、コンベア30を水平面内で旋回させる回転伝達機構が設置されている。
図2および
図3に示すように、筐体370は、円柱状の支柱390を介して基台(図示せず)に取り付けられており、支柱390の軸を中心に、水平面内で回転できるように構成されている。
【0059】
具体的には、支柱390の上端には、複数の歯車で構成されたギアボックス391が取り付けられており、ギアボックス391に隣接して設置されたモータ392の回転を筐体370に伝達し、筐体370を支柱390の軸回りに旋回させる。モータ392の制御については、後に
図5を参照して説明する。
【0060】
次に、コンベア30を筐体370に取り付ける際の手順について、
図4を参照して説明する。コンベア30は、衛生上の観点より、スライス食品を搬送する都度、洗浄する必要がある。このため、コンベア30は、簡単に分解し、かつ組み立てることができるように構成されている。
【0061】
前述したように、コンベアのフレーム340は、取付板362および364を介して筐体370に取り付けられている。またメインフレーム341およびサブフレーム343は、取付板362の上部に形成された係合溝363、および取付板364の上部に形成された係合溝365に、メインフレーム340およびサブフレーム342の側面から突出したピン344および343を係合させることで支持されている。
【0062】
コンベア30を組み立てる際には、まず一対の平ベルト330を一対のプーリ310と320の間にかける。
図4(a)に示したように、この状態では、サブフレーム343の先端が自重で下方に垂れ下がっており、平ベルト330の長さにゆとりがあるため、簡単にプーリ310、320間にかけることができる。併せて、タイミングベルト351を、2つのタイミングプーリ352と353の間にかける。
【0063】
その後、
図4(a)に矢印で示すように、メインフレーム341の側面から突出したピン344を、取付板362の上部に形成された係合溝363に係合させる。
【0064】
次に、
図4(b)に矢印で示したように、サブフレーム343の側面に取り付けられたピン346を、取付板364の係合溝365に挿入しながらメインフレーム341を反時計回りに旋回させる。メインフレーム341が水平状態となるまで下降し、サブフレーム343の上部がメインフレーム341の先端に形成されたストッパ348に当接した時点で停止し、その後、メインフレーム341とサブフレーム343は直線状に配置され、かつ水平状態を保つ。
【0065】
この状態においては、プーリ310、320間に捲回された平ベルト330の張力により、軸347を中心として、サブフレーム343を上方に回転させようとする力が働くが、ストッパ348によってサブフレーム343の回転が阻止される。結果として、メインフレーム341とサブフレーム343は、締結具を用いて相互を固定することなく、直線状の配置が維持され、かつ水平に保持される。
【0066】
一方、
図4(c)に示すように、メインフレーム341が水平に保持された時点では、タイミングベルト351は、タイミングプーリ352、353および354の間に張架され、平ベルト330によってスライス食品Sを搬送する準備が完了する。その後、コントローラ6の指示によりスライス食品Sの搬送が開始される。
【0067】
搬送作業の終了後、洗浄のため、平ベルト330およびメインフレーム341を筐体370から取り外す際には、
図4(a)~(c)に示す手順を逆に行えば、各部材を簡単に筐体370から取り外すことができる。
【0068】
次に、
図5を参照して、コンベア30の制御系について説明する。コンベア30の制御は、コントローラ6と、1台の駆動用モータ381および旋回用モータ392を用いて説明すれば足りるが、前述したように、4台のコンベアは連携してスライス食品Sの位置を調節するため、ここでは4台のコンベア30を制御する構成について説明する。
【0069】
コンベア30の制御系は、コントローラ66、カメラ7およびモータ81~88で構成されており、各部材の間は信号伝達用および電力供給用のケーブル(図示せず)で接続されている。
【0070】
具体的には、搬送方向に対して右側に配置されたコンベアの筐体には、モータ81と82が、次のコンベアの筐体にはモータ83と84が、さらに次のコンベアの筐体にはモータ85と86が、搬送方向に対して最も左側に配置されたコンベアの筐体にはモータ87と88がそれぞれ収容されている。
【0071】
図2に示したコンベア20の構成部材のうち、モータ381がモータ81、83、85および87に相当し、同じくモータ392がモータ82、84、86および88に相当する。
【0072】
複数のコンベア30の上方には、第2のコンベア2からコンベア30に移載されたスライス食品Sの画像を撮影するカメラ7が設置されている。
図6の2点鎖線で囲んだ領域7Rは、カメラ7の撮影エリアを示している。カメラ7で撮影されたスライス食品Sの画像データはコントローラ6に入力される。
【0073】
図5に示すように、コントローラ6は、画像認識部61、制御部72、記憶部63、入力部64および表示部65で構成され、一般的なパーソナルコンピュータによって実現されている。
【0074】
画像認識部61および制御部62の機能は、記憶部63に記憶されたソフトウェアによって実現される。画像認識部61は、カメラ7で撮影した画像からスライス食品Sの画像を取り出し、円の中心の幅方向の位置データを算出する。更に、算出した位置データと、予め記憶部63に記憶された位置データ、具体的には、前述の4つのスライス食品Sの中心の位置データとを比較し、その差分を算出する。
【0075】
制御部62は、画像認識部61で算出した差分の位置データに基づいて各コンベア30の旋回用モータ82、84、86および88を制御し、コンベア30で搬送され、第4のコンベア4に引き渡される際のスライス食品Sの幅方向の位置が予定された位置になるように、それぞれのコンベア30を旋回させる。
【0076】
入力部64はキーボードやマウスで構成され、基準となる位置データ等を入力するのに用いられる。また表示部65は液晶ディスプレイ等で構成され、カメラ7で撮影したスライス食品Sの画像や算出された位置データを表示するのに用いられる。
【0077】
図5および
図6を参照して、本実施の形態に係るコンベア30の動作を説明する。
【0078】
スライス装置5によるスライス動作が繰り返され、第1の搬送手段1上に所定枚数重なった状態で載置された未包装のスライス食品Sは、第1のコンベア1と第2のコンベア2を同一速度で駆動することにより、コンベア30に移載される。
【0079】
コンベア30において
図6に示す位置まで搬送されたスライス食品Sは、カメラ7によって撮影され、画像データがコントローラ6に送られる。コントローラ6の画像認識部61は、受信した画像データからスライス食品Sの画像を抽出すると共に、スライス食品Sの中心の位置データ(Y座標)を算出する。更に、算出された位置データを、記憶部63に記憶された位置データと比較し、差分データを算出する。
【0080】
コントローラ6の制御部62は、画像認識部61によって算出された位置データに基づいて各コンベア30の旋回用モータ82、84、86、88を駆動し、コンベア30を旋回させて、コンベア4に引き渡されるスライス食品Sの幅方向の位置(Y座標)が記憶部63に記憶された位置と一致するように調節する。
【0081】
上述したように、スライス装置5でスライスされた食品Sが第1のコンベア1上に落下する位置は、切断刃で切断される状態によって若干ずれるが、コンベア30による搬送の都度、ずれの程度に応じて幅方向(Y座標)の位置が修整される。
【0082】
一方、搬送方向(X座標)の位置については、第4のコンベア4の下流に配された4台の小コンベア(図示せず)によって、4個のスライス食品Sの搬送方向の位置が揃い、かつ前後が等間隔になるように調節されるが、この機能は、既存のスライス食品搬送装置の基本的機能の一つであるため、ここでは説明を省略する。
【0083】
上述した処理により、包装機においてスライス食品Sが包装用フィルムのポケットに投入される際には、搬送方向(X軸)および幅方向(Y軸)の位置がポケットの位置と一致しているため、スライス食品を確実にポケットに投入することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態に係るコンベアを用いれば、スライスされた食品がフレームと接触することによって平ベルトが減速したり、平ベルトに対してスライス食品の位置がずれたりすることを防止できる。結果として、スライス食品を、包装用フィルムのポケットに正確に投入できる。
【0085】
また、スライス食品と接する平ベルト、プーリおよびフレームを簡単に筐体から取り外して洗浄できることから、搬送装置の保守作業が楽になる。
【0086】
なお、上述した実施の形態では、4本の食品原木を同時にスライスするスライス装置に対応して、第3のコンベアを4台の小コンベアで構成したが、小コンベアの数は4台に限定されない。それ以上の数の食品原木を同時にスライスする場合は、原木の数に対応した数の小コンベアで構成すればよい。
【0087】
また、上述した実施の形態において、第4のコンベアに載置されたスライス食品の位置データを取得する手段としてカメラを用いたが、これに限定されない。例えば、線状に配列された光電センサを小コンベアと第2のコンベアの間に配置し、スライス食品によって光が遮られた位置によってスライス食品の位置データを取得するようにしてもよい。
【0088】
更に、上述した実施の形態では、円形のスライス食品を搬送する場合について説明したが、本発明に係る搬送装置は、円形のスライス食品に限定されず、楕円形や四角形のスライス食品の搬送にも適用できることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0089】
S スライス食品
W 食品原木
1~4、30 コンベア
5 スライス装置
6 コントローラ
7 カメラ
10 スライス食品搬送装置
61 画像認識部
62 制御部
63 記憶部
64 入力部
65 表示部
81、83、85、87 駆動用モータ
82、84、86、88 旋回用モータ
310、320 プーリ
330 平ベルト
340 フレーム
341 メインフレーム
342、343 サブフレーム
343 軸
344、345 ピン
345 ストッパ
351、384、388 タイミングベルト
352、353、354、385、389 タイミングプーリ
362、364 取付板
370 筐体
381、392 モータ
390 支柱