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特開2023-73612緩衝シート、ガラス物品の輸送方法及びガラス物品の積載方法
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  • 特開-緩衝シート、ガラス物品の輸送方法及びガラス物品の積載方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073612
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】緩衝シート、ガラス物品の輸送方法及びガラス物品の積載方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20230519BHJP
   B65D 19/38 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B65D81/02
B65D19/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186168
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】深谷 重勝
【テーマコード(参考)】
3E063
3E066
【Fターム(参考)】
3E063BA01
3E063FF20
3E063GG03
3E066AA21
3E066CA01
3E066DA01
3E066FA11
3E066GA12
3E066JA23
3E066MA09
3E066NA30
(57)【要約】
【課題】ガラス物品の輸送中に当該ガラス物品が破損することを抑制しつつ、輸送車両の荷台にガラス物品を積み下ろしする際の作業性を高めることができる緩衝シート、ガラス物品の輸送方法及びガラス物品の積載方法を提供する。
【解決手段】緩衝シート90は、管ガラス梱包体が積載されるパレットと輸送車両の荷台110との間に配置される。緩衝シート90は、発泡樹脂層である第1層91と、発泡樹脂層であって、第1層91に積層される第2層92と、を備える。第1層91は、金属との間の静止摩擦係数が0.7以下であり、第2層92は、第1層91よりも密度が小さい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品が積載されるパレットと輸送車両の荷台との間に配置される緩衝シートであって、
発泡樹脂層である第1層と、
発泡樹脂層であって、前記第1層に積層される第2層と、を備え、
前記第1層は、金属との間の静止摩擦係数が0.7以下であり、
前記第2層は、前記第1層よりも密度が小さい
緩衝シート。
【請求項2】
前記第2層の発泡倍率は、前記第1層の発泡倍率よりも高い
請求項1に記載の緩衝シート。
【請求項3】
前記第2層の発泡倍率は、10倍以上60倍以下である
請求項1又は請求項2に記載の緩衝シート。
【請求項4】
前記第1層は、前記パレットが積載される面であり、
前記第2層は、前記荷台に接する面である
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の緩衝シート。
【請求項5】
ガラス物品が積載されるパレットと輸送車両の荷台との間に緩衝シートを配置して、前記ガラス物品を輸送するガラス物品の輸送方法であって、
前記緩衝シートとして、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の緩衝シートを用いる
ガラス物品の輸送方法。
【請求項6】
ガラス物品の積載方法であって、
輸送車両の荷台に緩衝シートを配置する配置工程と、
前記緩衝シートにガラス物品が積載されたパレットを積載する積載工程と、を備え、
前記緩衝シートとして、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の緩衝シートを用いる
ガラス物品の積載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝シート、ガラス物品の輸送方法及びガラス物品の積載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パレットに積載される管ガラス梱包体が記載されている。こうした管ガラス梱包体をトラックなどの輸送車両で輸送する場合には、輸送車両の荷台とパレットとの間に緩衝シートが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-100442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝シートは、輸送中の振動などで、管ガラス梱包体を構成する管ガラスに破損が発生することを抑制することが望ましい。また、緩衝シートは、輸送車両の荷台に管ガラス梱包体を積み下ろしする作業の妨げにならないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する緩衝シートは、ガラス物品が積載されるパレットと輸送車両の荷台との間に配置される緩衝シートであって、発泡樹脂層である第1層と、発泡樹脂層であって、前記第1層に積層される第2層と、を備え、前記第1層は、金属との間の静止摩擦係数が0.7以下であり、前記第2層は、前記第1層よりも密度が小さい。
【0006】
緩衝シートにおいて、第1層は、金属との間の静止摩擦係数が0.7以下である。この場合には、例えば、第1層が上方を向くように緩衝シートを輸送車両の荷台の上に配置するとよい。すると、ガラス物品を積載したパレットが輸送車両の荷台に積み下ろしされる際に、パレットが緩衝シートに対して滑りやすくなる。このため、作業者は、荷台に対するパレットの積み下ろしを円滑に行うことができる。
【0007】
また、緩衝シートにおいて、第2層は第1層よりも低密度であるため、第2層は第1層よりも変形しやすい。このため、ガラス物品を積載したパレットを輸送する場合には、輸送車両に生じる振動により、緩衝シートの第2層が変形しやすくなる。言い換えれば、輸送車両に生じる振動を緩衝シートの第2層が吸収しやすくなる。このため、緩衝シートは、輸送車両に生じる振動をパレットに伝わりにくくできる。その結果、緩衝シートは、パレットに積載されるガラス物品の破損を抑制できる。
【0008】
緩衝シートにおいて、前記第2層の発泡倍率は、前記第1層の発泡倍率よりも高いことが好ましい。緩衝シートは、発泡倍率に差を設けることにより、第2層を第1層よりも低密度とすることができる。
【0009】
緩衝シートにおいて、前記第2層の発泡倍率は、10倍以上60倍以下であることが好ましい。緩衝シートは、第2層のクッション性を確保しつつ、第2層の耐久性を確保できる。
【0010】
緩衝シートにおいて、前記第1層は、前記パレットが載置される面であり、前記第2層は、前記荷台に接する面であることが好ましい。
上記課題を解決するガラス物品の輸送方法は、ガラス物品が積載されるパレットと輸送車両の荷台との間に緩衝シートを配置して、前記ガラス物品を輸送するガラス物品の輸送方法であって、前記緩衝シートとして、上述した緩衝シートを用いる。
【0011】
ガラス物品の輸送方法は、上述した緩衝シートの作用効果と同等の作用効果を得ることができる。
上記課題を解決するガラス物品の積載方法は、輸送車両の荷台に緩衝シートを配置する配置工程と、前記緩衝シートにガラス物品が積載されたパレットを積載する積載工程と、を備え、前記緩衝シートとして、上述した緩衝シートを用いる。
【0012】
ガラス物品の積載方法は、上述した緩衝シートの作用効果と同等の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成によれば、ガラス物品の輸送中に当該ガラス物品が破損することを抑制しつつ、輸送車両の荷台にガラス物品を積み下ろしする際の作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、輸送車両の斜視図である。
図2図2は、管ガラス梱包体の斜視図である。
図3図3は、管ガラス集積物の斜視図である。
図4図4は、緩衝シートの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、緩衝シート、ガラス物品の輸送方法及びガラス物品の積載方法について説明する。
<輸送車両100>
図1は、管ガラス梱包体10を輸送する輸送車両100を図示している。
【0016】
図1に示すように、輸送車両100は、荷台110を備える。荷台110には、管ガラス梱包体10が積載されるパレット80が積載される。輸送車両100に対して管ガラス梱包体10を積み下ろしする場合には、フォークリフトなどの荷役自動車200が用いられる。
【0017】
<管ガラス梱包体10及びパレット80>
図2に示すように、管ガラス梱包体10は、複数列に並んだ状態で複数段に積載される複数の管ガラス集積物20と、最下段の管ガラス集積物20の下に配置される第1シート30と、各段の管ガラス集積物20の上に配置される第2シート40と、を備えている。また、管ガラス梱包体10は、管ガラス梱包体10の四隅に位置して管ガラス集積物20を保護する複数の保護部材50と、複数の管ガラス集積物20を包む梱包フィルム60と、を備えている。本実施形態では、管ガラス梱包体10が「ガラス物品」の一例に相当する。
【0018】
図3に示すように、管ガラス集積物20は、集積された複数の管ガラス21と、複数の管ガラス21の両端部を結束する結束フィルム22と、を有している。管ガラス21は、両端部が開口する円筒状をなしている。管ガラス21の内径は、例えば、数mm~十数mmであり、管ガラス21の全長は、例えば、数百mmである。管ガラス21の用途は、例えば、アンプル、シリンジ及びバイアル等の医薬容器用及び理化学容器用である。管ガラス21の組成は、例えば、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス又はアルミノシリケートガラスなどである。なお、管ガラス21は、片方の端部又は両方の端部を封止したものであってもよい。
【0019】
図2に示すように、パレット80は、管ガラス梱包体10が積載される台である。パレット80は、荷役自動車200の爪などを差し込むための孔81を有する。本実施形態のパレット80は、重量物である管ガラス梱包体10が積載される点で、鉄製となっている。ここで、鉄製のパレット80とは、ステンレスなどの鉄を含有する材料からなるパレット80を含むものとする。他の実施形態において、パレット80は、アルミニウムなどの非鉄金属製のパレット80であってもよい。本実施形態では、管ガラス梱包体10とパレット80とを合わせた質量は200kg~1200kg程度である。
【0020】
<緩衝シート90>
図1に示すように、緩衝シート90は、荷台110とパレット80との間に配置される。緩衝シート90は、管ガラス梱包体10の輸送時に管ガラス梱包体10に作用する衝撃を緩和するための構成である。
【0021】
図4に示すように、緩衝シート90は、第1層91及び第1層91に積層される第2層92を備える。第1層91及び第2層92は、何れもポリオレフィンなどの樹脂によって構成される発泡樹脂層である。第1層91及び第2層92は、接着剤などで接合されている。第1層91及び第2層92は、全面にわたって接合されていることが好ましいが、部分的に接合されているだけでもよい。緩衝シート90の厚みは、管ガラス梱包体10とパレット80とを合わせた質量に応じて選択することが好ましい。一例として、緩衝シート90の厚みは、1~5cm程度であればよい。
【0022】
第1層91は、例えば、ポリプロピレンを押出発泡成形したシートであればよい。第1層91の密度は、0.10g/cm以上1.00g/cm以下であることが好ましく、0.20g/cm以上0.60g/cm以下であることがより好ましい。第1層91の発泡倍率は、1.3倍以上5倍以下であることが好ましく、1.5倍以上4倍以下であることがより好ましい。第1層91は、金属との間の静止摩擦係数が小さいことが好ましい。一例として、第1層91は、パレット80の材質である鉄との間の静止摩擦係数が0.2以上0.7以下であることが好ましく、0.3以上0.65以下であることがより好ましい。第1層91は、反発弾性率が0.5%以上2.5%以下であることが好ましく、0.5%以上2.0%以下であることがより好ましい。本実施形態において、第1層91は、密度が0.31g/cmであり、発泡倍率が3倍であり、鉄との間の静止摩擦係数が0.50であり、反発弾性率が1%である。こうした点で、第1層91は、例えば、三井化学東セロ株式会社のパロニア(登録商標)を用いることができる。また、第1層91の厚さは、0.5cm程度である。
【0023】
第2層92は、例えば、ポリエチレンを押出発泡成形したシートであればよい。第2層92の密度は、0.01g/cm以上0.07g/cm以下であることが好ましく、0.02g/cm以上0.06g/cm以下であることがより好ましい。第2層92の発泡倍率は、10倍以上60倍以下であることが好ましく、15倍以上45倍以下であることがより好ましい。なお、第2層92は、金属との間の静止摩擦係数が小さくなくてもよい。第2層92は、反発弾性率が25%以上70%以下であることが好ましく、30%以上65%以下であることがより好ましい。本実施形態において、第2層92は、密度が0.047g/cmであり、発泡倍率が20倍であり、反発弾性率が37%である。こうした点で、第2層92は、例えば、株式会社カネカのエペラン(登録商標)を用いることができる。また、第2層92の厚さは、2cm程度である。
【0024】
以上より、第1層91の密度は、第2層92の密度よりも高くなっている。言い換えれば、第1層91の発泡倍率は、第2層92の発泡倍率よりも小さくなっている。材質の違い及び発泡倍率の違いにより、第1層91の弾性率は、第2層92の弾性率よりも高くなっている。この点で、第2層92は、第1層91よりも衝撃吸収性に優れている。また、第1層91と鉄との間の静止摩擦係数は、第2層92と鉄との間の静止摩擦係数よりも低く、第1層91の反発弾性率は、第2層92の反発弾性率よりも小さくなっている。さらに、第1層91の厚さは、第2層92の厚さよりも薄くなっている。なお、上述した静止摩擦係数の測定方法は、「JIS-P8147」に準拠するものであり、反発弾性率の測定方法は、「JIS K 6400-3」に準拠するものである。
【0025】
<管ガラス梱包体10の積載方法及び輸送方法>
管ガラス梱包体10の積載方法は、輸送車両100の荷台110に緩衝シート90を配置する配置工程と、緩衝シート90の上に管ガラス梱包体10が積載されたパレット80を積載する積載工程と、を備える。
【0026】
配置工程は、第1層91が上方を向くとともに第2層92が下方を向くように、緩衝シート90を配置する。言い換えれば、配置工程は、第2層92が荷台110に接するように、緩衝シート90を配置する。このとき、配置工程は、緩衝シート90を荷台110に固定することが好ましい。
【0027】
積載工程は、荷役自動車200を用いて、管ガラス梱包体10が積載されたパレット80を荷台110に積載する。積載工程では、緩衝シート90上にパレット80を一旦積載した後に、緩衝シート90に対してパレット80を水平方向に移動させる場合がある。すなわち、積載工程では、パレット80と緩衝シート90とが相対的に摺動する場合がある。この点、本実施形態の緩衝シート90は、パレット80との間の静止摩擦係数が比較的低い第1層91が上方を向いているため、パレット80が緩衝シート90に対して滑りやすい。つまり、パレット80を緩衝シート90に対して摺動させる場合に、パレット80が緩衝シート90に引っ掛かりにくくなる。
【0028】
管ガラス梱包体10の輸送方法は、管ガラス梱包体10が積載されるパレット80と輸送車両100の荷台110との間に緩衝シート90を配置して、管ガラス梱包体10を輸送する。言い換えれば、管ガラス梱包体10の輸送方法は、上述した管ガラス梱包体10の積載方法によって、輸送車両100に積載された管ガラス梱包体10を輸送する方法である。なお、管ガラス梱包体10を輸送する場合には、荷台110に隣り合って積載される管ガラス梱包体10の間にクッション材を配置することが好ましい。
【0029】
<本実施形態の作用>
以下、本実施形態の作用として、荷台110とパレット80との間に配置する緩衝シート90の構成を変化させた比較例及び実施例について、管ガラス梱包体10の輸送時に管ガラス21の破損率がどのように変化したかを説明する。破損率は、輸送する管ガラス梱包体10の総数のうち、管ガラス21が破損した管ガラス梱包体10の占める割合である。例えば、10個の管ガラス梱包体10を輸送するときに、1個の管ガラス梱包体10に含まれる管ガラス21が破損し、9個の管ガラス梱包体10に含まれる管ガラス21が破損しない場合、破損率は10%となる。管ガラス梱包体10の輸送条件は、比較例及び実施例の何れも同条件である。
【0030】
第1比較例は、輸送車両100の荷台110の上に、管ガラス梱包体10が積載されたパレット80を積載させた場合である。言い換えれば、荷台110とパレット80との間に緩衝シート90を配置しない場合である。第2比較例は、輸送車両100の荷台110と管ガラス梱包体10が積載されたパレット80との間に、第1層91のみを備える緩衝シートを配置する場合である。第2比較例の緩衝シートの厚みは、実施例の緩衝シート90と厚みと等しい。つまり、第2比較例の緩衝シートの厚みは、実施例の緩衝シート90の第1層91の厚み及び第2層92の厚みの和と等しい。実施例は、輸送車両100の荷台110と管ガラス梱包体10が積載されたパレット80との間に、上述した緩衝シート90を配置する場合である。
【0031】
第1比較例、第2比較例及び実施例について、輸送車両100を同条件で走行させた場合の破損率は以下のようになった。緩衝シート90を配置しない第1比較例の場合には、破損率が17%となり、第1層91のみで構成される緩衝シートを配置する第2比較例の場合には、破損率が15%となった。これに対し、実施例の場合には、破損率が1%となった。このように、実施例は、比較例1及び比較例2に対して、破損率が大幅に低減した。
【0032】
なお、輸送車両100の荷台110と管ガラス梱包体10が積載されたパレット80との間に、第2層92のみを備える緩衝シートを配置する第3比較例は、パレット80を荷台110に積み下ろしする際の作業性が著しく低下した。詳しくは、パレット80が第3比較例に係る緩衝シート上を滑らず、パレット80を積載することが困難であった。このため、第3比較例について、管ガラス梱包体10の輸送時の破損率の測定を実施しなかった。
【0033】
その他、緩衝シート90の代わりに鉄板を用いる場合には、緩衝シート90を設けない比較例1と同様の結果になることが予想される。また、緩衝シート90の代わりに木製の合板を用いる場合には、パレット80との摩擦により合板の損傷が進みやすくなる。つまり、木屑が荷台110に散乱したり、木屑が管ガラス梱包体10の梱包フィルム60に付着したりするおそれがある。
【0034】
<本実施形態の効果>
(1)管ガラス梱包体10を積載したパレット80を輸送車両100の荷台110に積み下ろしされる際に、パレット80が緩衝シート90に対して滑りやすくなる。このため、作業者は、荷台110に対するパレット80の積み下ろしを円滑に行うことができる。また、緩衝シート90において、第2層92は第1層91よりも低密度であるため、第2層92は第1層91よりも変形しやすい。このため、管ガラス梱包体10を積載したパレット80を輸送する場合には、輸送車両100に生じる振動により、緩衝シート90の第2層92が変形しやすくなる。言い換えれば、輸送車両100に生じる振動を緩衝シート90の第2層92が吸収しやすくなる。このため、緩衝シート90は、輸送車両100に生じる振動をパレット80に伝わりにくくできる。その結果、緩衝シート90は、パレット80に積載される管ガラス梱包体10の破損を抑制できる。
【0035】
(2)また、搬送中の不規則な振動で緩衝シート90が変形し、緩衝シート90とパレット80の間に隙間が生じたとしても、発泡率の高い第2層92がすぐに復元するため、隙間が生じにくくなる。合わせて、反発弾性率の低い第1層91が衝撃を吸収するため、管ガラス梱包体10を構成する管ガラス21の破損を抑制できる。
【0036】
(3)緩衝シート90は、発泡倍率に差を設けることにより、第2層92を第1層91よりも低密度とすることができる。
(4)緩衝シート90の第1層91と金属との間の静止摩擦係数は、0.7以下である。このため、緩衝シート90は、パレット80を輸送車両100の荷台110に積み下ろしする際の作業性を良好にできる。
【0037】
(5)緩衝シート90の第2層92の発泡倍率は、10倍以上60倍以下である。このため、緩衝シート90は、第2層92のクッション性を確保しつつ、第2層92の耐久性を確保できる。
【0038】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0039】
・パレット80の底面に緩衝シート90を接着剤などで貼付してもよい。この場合、パレット80の底面に対して、緩衝シート90の第2層92が貼付されることが好ましい。これによれば、輸送車両100の荷台110に緩衝シート90を配置しなくても、パレット80を積載する際に、パレット80が荷台110に対して滑りやすくなる。このため、パレット80を荷台110に積み下ろしする際の作業性を向上できる。
【0040】
・第1層91及び第2層92の発泡倍率は同一であってもよい。この場合、第1層91及び第2層92は、材質により物性に差を設けることが好ましい。同様に、第1層91及び第2層92の材質は同一であってもよい。この場合、第1層91及び第2層92は、発泡倍率により物性に差を設けることが好ましい。
【0041】
・第1層91及び第2層92は、熱溶着されていてもよいし、金具などで連結されていてもよい。
・緩衝シート90の第1層91の表面は、金属との間の静止摩擦係数を低減するためのコーティング層を備えてもよい。
【0042】
・緩衝シート90は、発泡樹脂層によって構成される第3層を備える3層構造であってもよい。また、緩衝シート90は、4層以上の発泡樹脂層からなる階層構造を取ってもよい。
【0043】
・パレット80に積載されるガラス物品は、複数の棒ガラスであってもよいし、複数の板ガラスであってもよいし、複数の他の形状のガラスであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…管ガラス梱包体
20…管ガラス集積物
21…管ガラス
80…パレット
90…緩衝シート
91…第1層
92…第2層
100…輸送車両
110…荷台
図1
図2
図3
図4