(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073630
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】シワ加工システム、及びシワ加工方法
(51)【国際特許分類】
B31F 1/36 20060101AFI20230519BHJP
B65H 27/00 20060101ALI20230519BHJP
B65H 18/00 20060101ALI20230519BHJP
B65H 20/02 20060101ALI20230519BHJP
B65H 23/195 20060101ALI20230519BHJP
B31F 1/12 20060101ALI20230519BHJP
D06C 7/00 20060101ALI20230519BHJP
D06J 1/06 20060101ALI20230519BHJP
B29C 61/02 20060101ALI20230519BHJP
B29C 59/18 20060101ALI20230519BHJP
B65H 20/32 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B31F1/36 A
B65H27/00 B
B65H18/00
B65H20/02 Z
B65H23/195
B31F1/12
D06C7/00 Z
D06J1/06
B29C61/02
B29C59/18
B65H20/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186199
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】593184260
【氏名又は名称】株式会社野村製作所
(71)【出願人】
【識別番号】391020517
【氏名又は名称】株式会社大昌▲鉄▼工所
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】野村 外司樹
(72)【発明者】
【氏名】福崎 祥正
【テーマコード(参考)】
3B154
3E078
3F055
3F103
3F104
3F105
4F209
4F210
【Fターム(参考)】
3B154AB22
3B154AB27
3B154BA36
3B154BA39
3B154BB47
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3B154DA13
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4F209AC03
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4F210RG04
(57)【要約】
【課題】 シワ加工が施されたシート材のシワを安定させて巻き取ることができるシワ加工システムを提供する。
【解決手段】 本実施形態におけるシワ加工システム1は、長尺のシート材5に対して、シワ加工を施すシワ加工機20と、シワ加工機20によりシワ加工が施されたシート材5を巻き取る巻き取り機30と、シワ加工機20と巻き取り機30との間で、シワ加工機20から送り出されるシート材5を、冷却しながら下方から支持する支持手段40とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のシート材に対して、シワ加工を施すシワ加工機と、
前記シワ加工機によりシワ加工が施されたシート材を巻き取る巻き取り機と、
前記シワ加工機と前記巻き取り機との間で、前記シワ加工機から送り出されるシート材を、冷却しながら下方から支持する支持手段と
を有するシワ加工システム。
【請求項2】
前記支持手段は、前記シート材よりも熱伝導率の高い材料で構成された天面を有する支持機であり、
前記巻き取り機は、前記シワ加工機の送り出し速度に応じた速度で、前記シート材を巻き取る
請求項1に記載のシワ加工システム。
【請求項3】
前記巻き取り機による巻き取り速度は、前記シワ加工機と前記巻き取り機との間において前記シート材が重力で弛む程度の値に設定されている
請求項2に記載のシワ加工システム。
【請求項4】
前記シワ加工機は、電気ヒータ又は蒸気ヒータにより前記シート材を加熱しながら、シワ加工を行い、
前記支持機は、前記シート材に従動回転する回転ロールを有し、この回転ロールの外周面により、前記シート材を支持する
請求項2に記載のシワ加工システム。
【請求項5】
前記シワ加工機は、シワ加工が施されたシート材の送り出し速度を設定できるように構成されており、
前記巻き取り機は、前記シワ加工機に設定された送り出し速度に応じて、送り出し速度よりも遅い巻き取り速度に設定される
請求項3に記載のシワ加工システム。
【請求項6】
長尺のシート材に対して、シワ加工を施す工程と、
前記シワ加工が施されたシート材を下方から支持しながら冷却する工程と、
冷却された前記シート材を巻き取る工程と
を有するシワ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シワ加工システム、及びシワ加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、(4)ウェブな、駆動領域内で被駆動把持表面に押圧し、それにより、ウェブな縦方向に前進駆動する手段;ウェブな減速領域内で減速し、それ以前に圧縮された材料により、駆動された未処理材料の進行を妨害し、該未処理材料をそれに対して縦方向に圧縮する減速手段;を含んで構成されてなる装置において、上記減速手段は、ウェブの表面と接触するように配設された作業表面を有する減速部材を構成するシート部材からなり、上記作業表面は、減速すべきウェブの部分の食中にわたって配設された多数の間隔な開けられた減速突起を形成しており、上記突起は、上記縦表向に対して鋭角をなして配設され、且つ上記突起の位置に到着したウェブの対応する部分に抵抗力(FR)を加えるようにされた先端部分(EL)を有してなり、上記突起の抵抗力は、ウェブの前進運動に対抗するようにウェブの近づく対応部分を減速する減速分力と、ウェブの対応部分の移動経路を、-1時的に偏向する偏向分力とからなるようにされてなり、そして、上記多数の減速突起は、全体として接触するウェブにかなりの減速作用を加えるようにされてなる、超微細皺形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、シワ加工が施されたシート材のシワを安定させて巻き取ることができるシワ加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るシワ加工システムは、長尺のシート材に対して、シワ加工を施すシワ加工機と、前記シワ加工機によりシワ加工が施されたシート材を巻き取る巻き取り機と、前記シワ加工機と前記巻き取り機との間で、前記シワ加工機から送り出されるシート材を、冷却しながら下方から支持する支持手段とを有する。
【0006】
また、好適には、前記支持手段は、前記シート材よりも熱伝導率の高い材料で構成された天面を有する支持機であり、前記巻き取り機は、前記シワ加工機の送り出し速度に応じた速度で、前記シート材を巻き取る。
【0007】
また、好適には、前記巻き取り機による巻き取り速度は、前記シワ加工機と前記巻き取り機との間において前記シート材が重力で弛む程度の値に設定されている。
【0008】
また、好適には、前記シワ加工機は、電気ヒータ又は蒸気ヒータにより前記シート材を加熱しながら、シワ加工を行い、前記支持機は、前記シート材に従動回転する回転ロールを有し、この回転ロールの外周面により、前記シート材を支持する。
【0009】
また、好適には、前記シワ加工機は、シワ加工が施されたシート材の送り出し速度を設定できるように構成されており、前記巻き取り機は、前記シワ加工機に設定された送り出し速度に応じて、送り出し速度よりも遅い巻き取り速度に設定される。
【0010】
また、本発明に係るシワ加工方法は、長尺のシート材に対して、シワ加工を施す工程と、前記シワ加工が施されたシート材を下方から支持しながら冷却する工程と、冷却された前記シート材を巻き取る工程とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シワ加工が施されたシート材のシワを安定させて巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態におけるシワ加工システム1を例示する図である。
【
図2】シワ加工システム1の構成をより詳細に説明する図である。
【
図3】シワ加工方法(S10)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
まず、実施形態におけるシワ加工システム1の構成を説明する。
図1は、本実施形態におけるシワ加工システム1を例示する図である。
図2は、シワ加工システム1の構成をより詳細に説明する図である。
図1及び
図2に例示するように、シワ加工システム1は、乾式により、長尺のシート材5にシワを施すシステムである。シート材5とは、例えば、紙等の繊維シート、ウエブ状シート、不織布、樹脂フィルム、及び、基材表面に蒸着で成膜された金属膜又は金属箔等を配置したフィルム等である。本例のシート材5は、不織布層と多孔質樹脂フィルム層とを含む層構造をした高密度ポリエチレン繊維不織布であり、いわゆる透湿防水シートである。本例の透湿防水シートは、住宅用であり伸縮性のある防水シートである。
シワ加工システム1は、繰り出し機10と、シワ加工機20と、巻き取り機30と、支持機40と、ガイドロール50とを有する。シート材5の搬送方向において上流側から、繰り出し機10、ガイドロール50A、シワ加工機20、支持機40、ガイドロール50B、巻き取り機30の順に配置されている。
【0014】
繰り出し機10は、長尺のシート材5を券回されたロール(供給ロール6)から引き出されたシート材5をシワ加工機20に送り出す装置である。繰り出し機10は、繰出用ロール100を含む。繰出用ロール100は、伝達された動力で駆動するロールである。繰出用ロール100は、供給ロール6を配置した状態で回転し、供給ロール6から引き出されたシート材5をシワ加工機20に送り出す。繰出用ロール100の回転速度は、適宜設定することができる。
【0015】
シワ加工機20は、長尺のシート材5に対して、シワ加工を施す装置である。シワ加工機20は、加工用ロール200、押圧ブレード202、及びドクターブレード210を含む。
加工用ロール200は、所定の動力源から伝達された動力で駆動するロールである。本例の加工用ロール200は、チェーン駆動伝達方式であり、加工用ロール200が高温状態となった場合であっても破損しにくい。また、加工用ロール200のロール面は、溶射加工によって高摩擦コーティングされ微細な凹凸状となっている。加工用ロール200は、微細な凹凸状であるロール面により、繰り出し機10から送られてきたシート材5の滑りを防止する。また、加工用ロール200は、ロール面の温度をシート材5が軟化する温度に加熱することができる加熱機構(不図示)を含む。加熱機構の加熱方式として、例えば、オイルヒーター、電気ヒーター、又は蒸気ヒーター等の加熱方式を選択できる。なお、本例の加工用ロール200は、オイルヒーターによる加熱方式である。加熱方式の選択として、シワ加工の観点でいうと、蒸気ヒーターを選択する場合、製紙工場では蒸気を日常的に利用しているため蒸気を再利用することで、製造コストを抑えることができる。また、電気ヒーターを選択する場合、オイルヒーターによる加熱方式より、高い温度で加熱することができる。
また、加工用ロール200は、オイルヒーターであればロール面の温度を300℃程度まで上げることができるが、透湿防水シート材の軟化温度(約120℃程)を考慮すると、ロール面の温度が80℃以上110℃以下とすることが好ましい。
また、シワ加工機20は、シワ加工が施されたシート材5の送り出し速度を設定できる。換言すると、シワ加工機20は、加工用ロール200の回転速度を設定できる。加工用ロール200の回転速度は、設定された巻取駆動ロール300の回転速度に応じて、巻取駆動ロール300の回転速度よりも速い回転速度に設定される。また、加工用ロール200は、巻取駆動ロール300と同じタイミングで、回転開始および回転停止する。
【0016】
押圧ブレード202は、加工用ロール200のロール面に対して、繰り出し機10から送られてきたシート材5のシート面を押圧するブレードである。押圧ブレード202は、エアシリンダに接続された基部203と、基部203に支持された板バネ204とを含む。押圧ブレード202は、加工用ロール200のロール面に対して、シート材5のシート面を押圧することにより、加工用ロール200と共働して、シート材5の長尺方向に収斂させる程度の隙間を形成する。シート材5を収斂させる程度の隙間とは、シート材5が塑性変形しないと通過できない程度の隙間、換言すると塑性変形しながらようやく通過できる程度の隙間である。
ドクターブレード210は、押圧ブレード202及び加工用ロール200により形成された隙間を通過するシート材5の下方を支持する支持材である。押圧ブレード202の下流側に位置し、加工用ロール200の表面近傍に配置される。
【0017】
巻き取り機30は、シワ加工機20によりシワ加工が施されたシート材5を巻き取る装置である。巻き取り機30は、施されたシワを潰さない、かつシワが伸びて戻らないような張力をシート材5に加えながら、シート材5を均一に巻き取る。巻き取り機30は、巻取駆動ロール300、及び巻取ロール302を含む。
巻取駆動ロール300は、所定の動力源から伝達された動力で駆動するロールである。巻取駆動ロール300のロール面は、溶射加工されており、シワ加工機20から送られてきたシート材5の滑りを防止する。また、巻取駆動ロール300は、ロール面を冷却する冷却機構を設けてもよい。巻取駆動ロール300のロール表面を冷却する冷却方式とは、例えば、巻取駆動ロール300内部に貯水部を設けて水を貯留させてもよいし、流路を設けて水を流路内に循環させてもよい。また、流路内にエアーを流し冷却する方法でもよい。また、冷却用エアーを用いてシート材5を直接冷却しても良い。これにより、シワ加工後のシート材5の巻き取り時において、高温状態のシート材5を冷却することで熱膨張状態を収縮させシワを安定させて巻き取ることができる。
また、巻き取り機30は、シワ加工機20に設定された送り出し速度に応じて、送り出し速度よりも遅い巻き取り速度に設定される。換言すると、巻取駆動ロール300の回転速度は、加工用ロール200の回転速度よりも遅い回転速度で回転し、巻取駆動ロール300は、巻取ロール302にシート材5を巻き取らせる。巻き取り機30による巻き取り速度、すなわち巻取駆動ロール300の回転速度は、シワ加工機20と巻き取り機30との間においてシート材5が重力で弛む程度の値に設定されている。
また、巻取駆動ロール300は、正転又は逆転でき、回転方向を適宜変更することができる。巻取駆動ロール300は、シワ加工後のシート材5のシート面のうち、押圧ブレード202に押圧される表面を内側にして巻き取る場合と、シート材5のシート面のうち、加工用ロール200のロール面と接触する裏面を内側にして巻き取る場合とで、正転又は逆転を使い分けて、シート材5を巻取ロール302に巻き取らせる。
【0018】
巻取ロール302は、シート材5の搬送方向にいて、巻取駆動ロール300より下流側に位置し、シート材5の搬送によって回転する回転ロールである。巻取ロール302は、エアシリンダー304により、巻取駆動ロール300に向かって引っ張られた状態で、巻取駆動ロール300に押圧される。このとき、巻取ロール302は、シート材5に施したシワが潰れないような押圧力で巻取駆動ロール300に対して押圧される。なお、巻取駆動ロール300に対する巻取ロール302の押圧力を極限まで抑えた状態で巻き取ると、巻取駆動ロール300のグリップ力が低下するが、巻取駆動ロール300のロール面には溶射加工されているためグリップ力低下防止となっている。
【0019】
支持機40は、本発明に係る支持手段の一例であり、シワ加工機10と巻き取り機30との間で、シワ加工機10から送り出されるシート材5を、冷却しながら下方から支持する装置である。支持機40は、支持材400と、支持用ロール402とを含む。なお、支持手段は、シート材5を冷却しながら下方から支持するものであれば、支持機40の後述する支持材400に限定するものではなく、例えば、シート材5の下方からエアーを当てて、冷却しながら支持してもよいし、ロールで冷却しながら支持してもよい。
支持材400は、シワ加工機20と巻き取り機30との間において搬送中であるシート材5が重力で弛むため下方から支持する支持材である。支持材400は、シート材5よりも熱伝導性の高い材料で構成された天面(天面400A)を有する。本例の支持材400は、シート材5よりも熱伝導性の高い材料で形成される。支持材400は、例えばステンレス鋼、アルミ鋼、又は銅鋼の板材であり、その板面である天面400Aもシート材5よりも熱伝導性の高い材料で構成され、滑らかな表面形状となっている。なお、本例の支持材400は、一枚板であるが、これに限定するものではなく、二重構造にして内部に冷却用水を通してもよい。また、支持材400は、シート材5の搬送方向に位置する端部において滑らかに曲げられている。これにより、搬送中のシート材5を傷つけない。
また、支持材400は、搬送されるシート材5のシート面の下方面(裏面)と、支持材400の天面400Aとが対向し、かつ、シート材5の下方面と天面400Aとが接触する位置に配置される。
また、支持材400は、所定の回動軸を中心として回動自在に配置される。例えば、支持材400は、搬送方向の下流側端部近傍にある回動軸を中心として回動する。支持材400は、天面400Aがシート材5のシート裏面を下方から支持する位置(実線で示した位置)から、天面400Aがシート材5のシート裏面から離間し、シート材5の搬送方向に天面400Aを向けるような位置(破線で示した位置)の範囲で回動する。シワ加工時にシート材5の冷却が必要な場合に、支持材400は、実線で示した位置に配置される。また、シワ加工していないときにおいて、装置内で作業者がシート材5の加工準備等の所定作業、若しくはメンテナンスを行う場合、又は、シート材5のシワ加工時において、シート材5の冷却が不要な場合に、支持材400は、破線で示した位置に配置される。なお、本例では、シワ加工時にシート材5の冷却が必要であるため、支持材400を実線で示した位置に配置している。
【0020】
支持用ロール402は、シート材5に従動回転する回転ロールである。支持用ロール402は、支持材400に隣接し、シート材5の搬送方向にいて、支持材400より下流側に位置し、シート材5の搬送によって回転する。支持用ロール402は、この支持用ロール402の外周面すなわちロール面により、シート材5を支持する。支持用ロール402のロール面は、溶射加工によって高摩擦コーティングされ微細な凹凸状となっている。支持用ロール402は、微細な凹凸状であるロール面により、送られてきたシート材5の滑りを防止する。支持用ロール402のロール面は、巻取駆動ロール300のロール面と同じ表面粗さであり、支持用ロール402から巻取駆動ロール300までの区間において、シート材5の張力を維持している。また、支持用ロール402は、ロール面を冷却する冷却機構を採用してもよく、例えば、ロール内部に貯水部を設けて水を貯留させてもよいし、流路を設けて水を流路内に循環させてもよい。また、冷却用エアーを用いて流路内にエアーを流し冷却してもよい。
【0021】
ガイドロール50は、シート材5の搬送によって回転する回転ロールである。ガイドロール50は、ガイドロール50A、及び、ガイドロール50Bを含む。なお、ガイドロール50A、及び、ガイドロール50Bは、実質的に同様の構成であり、特に区別する必要がない場合は、単にガイドロール50と称呼する。
ガイドロール50Aは、繰り出し機10とシワ加工機20との間に位置し、繰り出し機10の供給ロールからシワ加工機20の加工用ロール200に向かって、搬送されるシート材5を誘導する。
ガイドロール50Bは、支持機40と巻き取り機30との間に位置し、支持機40の支持用ロール402から巻き取り機30の巻取駆動ロール300に向かって、搬送されるシート材5を誘導する。
ガイドロール50は、搬送中のシート材5に、寄りシワやたるみ等が発生しないロールの表面粗さ・面相度や配置位置に設定されている。
このように、本例のシワ加工システム1は、繰り出し機10、シワ加工機20、巻き取り機30、支持機40、及びガイドロール50が協働することにより、良好なシワ加工を施したシート材5を得ることができる。
【0022】
次に、実施形態におけるシワ加工方法を説明する。
図3は、シワ加工方法(S10)を説明するフローチャートである。
シワ加工システムは、繰り出し機10によるシート材5の送り出し、シワ加工機20によるシート材5に対するシワ加工、巻き取り機30によるシート材5の巻き取りを同時に並行して行う。そのため、本方法の説明の便宜上、搬送方向において上流側から下流側に向かって説明する。
図3に例示するように、ステップ100(S100)において、繰り出し機10は、繰出用ロール100を回転させて供給ロール6からシート材5を引き出し、ガイドロール50Aを通過して、シワ加工機20に対してシート材5を送り出す。
【0023】
ステップ102(S102)において、シワ加工機20は、繰り出し機10から送り出されたシート材5に対してシワ加工を施す。具体的には、押圧ブレード202は、板バネ204により、搬送されるシート材5のシート面のうち表面を、加工用ロール200のロール面に押圧する。押圧されたシート材5は、シート面のうち裏面が加工用ロール200のロール面に押圧される。なお、シート材5の裏面は、表面よりも摩擦抵抗が大きい面となっており、シワ加工時に加工用ロール200との滑りを防止する。加工用ロール200は、ロール面の温度がシート材5の軟化温度(透湿防水シートである場合110℃)となっており、押圧されたシート材5を加熱しながら、送り出す。このとき、シート材5は、押圧ブレード202と加工用ロール200のロール面との隙間を無理に送り出されることで、塑性変形して収斂しシワが形成される。例えば、シート材5は、長尺方向において100mmの長さが38mm以上45mm以下の長さとなるようにシワ加工が施される。また、シート材5に施すシワの大きさは適宜変更することができる。よって、シワ加工機20は、送り出されながら軟化したシート材5にシワを形成し、シワが施されたシート材5を支持機40に送り出す。
【0024】
ステップ104(S104)において、支持機40は、シワ加工が施されたシート材5を下方から支持しながら冷却する。具体的には、支持板400は、シワ加工されたシート材5のシート面の下方面を支持板400の天面400Aに接触させて支持することにより、施されたシワがシート5の自重で伸びないようシート材5を支持する。さらに、支持板400は、シート材5に接触させて、加工用ロール200により加えられた熱を冷ますことにより、熱膨張状態を収縮させシート材5に施されたシワを安定させる。
【0025】
ステップ106(S106)において、巻き取り機30は、冷却されたシート材5を巻き取る。具体的には、巻取駆動ロール300は、加工用ロール200の回転速度よりも遅い回転速度で回転し、巻取ロール302にシート材5を巻き取らせる。巻取ロール302は、シート材5に施したシワが潰れないような押圧力で巻取駆動ロール300に対して押圧された状態で、シート材5を巻き取る。巻取ロール302は、押圧する力を極限まで抑えた状態で巻取駆動ロール300に押圧されることで、透湿防水シートのような弾性のあるシート材を効率的に巻き取ることができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態におけるシワ加工システム1によれば、支持板400により、加熱された状態でシワ加工を施されたシート材5を冷却しながら下方から支持することにより、冷却することでシート材5のシワを安定させることができるため、シワを潰すことなく巻き取ることができる。さらに、下方から支持することでシート材5の重さで施したシワが伸びないように搬送することができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【0027】
次に、上記実施例における変形例を説明する。なお、変形例では、上記実施例と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[変形例]
上記実施例では、支持用ロール402のロール外径が直径15cm、ガイドロール50Bのロール外径が直径10cmとした普通サイズのロールであったが、これに限定するものではない。例えば、ロール内部に冷却水循環用の流路を設けた場合は、支持用ロール402及びガイドロール50Bは、ロール外径が直径30cm以上60cm以下、詳細にはロール外径が直径50cmとしてもよい。これにより、ロール面の接触面積が大きくなり、かつ、設けた流路内に冷却水を流すことでより効率的にシート材5を冷却することができる。このように、シワを施した直後のシート材5の熱を効率的に冷却し、シワを安定させて巻き取ることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 シワ加工システム
5 シート材
10 繰り出し機
20 シワ加工機
200 加工用ロール
202 押圧ブレード
210 ドクターブレード
30 巻き取り機
300 巻取駆動ロール
302 巻取ロール
40 支持機
400 支持材
402 支持用ロール
50 ガイドロール