(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073652
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】パーソナルネックライン診断具
(51)【国際特許分類】
A41H 43/00 20060101AFI20230519BHJP
A41H 31/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A41H43/00 D
A41H31/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186236
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】515276945
【氏名又は名称】林 由恵
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】林 由恵
(57)【要約】
【課題】被診断者における好適なパーソナルネックラインを熟練度によらず個別に容易に診断できる診断具を提供する。
【解決手段】被診断者にあてがって被診断者に好適なネックラインNLを診断する診断具であって、平面状で上端縁を有し、前記上端縁の左右方向略中央部に、上側に開口した凹部3aを有する本体部1と、前記本体部1の前記凹部3aの左右両側から上方に延出する帯状の一対の肩掛け部2a,2bとを有し、前記凹部3aの内周縁および前記一対の肩掛け部2a,2bの内側縁21a,21bが連続してネックラインNLを構成する。そして、前記ネックラインNLが被診断者の首元を挟むようにあてがわれて、上下方向への移動および前記一対の肩掛け部2a,2bの前記凹部3aを中心とする開度調整の少なくとも一方が行われて被診断者の好適なネックラインNLが診断される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被診断者にあてがって被診断者に好適なネックラインを診断する診断具であって、
平面状で上端縁を有し、前記上端縁の左右方向略中央部に、上側に開口した凹部を有する本体部と、
前記本体部の前記凹部の左右両側から上方に延出する帯状の一対の肩掛け部と、
を有し、
前記凹部の内周縁および前記一対の肩掛け部の内側縁が連続してネックラインを構成し、
前記ネックラインが被診断者の首元を挟むようにあてがわれて、上下方向への移動および前記一対の肩掛け部の前記凹部を中心とする開度調整の少なくとも一方が行われて被診断者の好適なネックラインが診断されることを特徴とするパーソナルネックライン診断具。
【請求項2】
前記凹部の形状がV字形状、U字形状、ボート底形状、四角形状のいずれかである請求項1記載のパーソナルネックライン診断具。
【請求項3】
前記本体部の左右の側縁と前記一対の肩掛け部の外側縁とが連続している請求項1又は2記載のパーソナルネックライン診断具。
【請求項4】
前記本体部の左右方向の長さが30cm以上50cm以下の範囲であり、前記本体部の上下方向の長さが30cm以上50cm以下の範囲である請求項1~3のいずれかに記載のパーソナルネックライン診断具。
【請求項5】
前記一対の肩掛け部の上下方向の長さが15cm以上35cm以下の範囲である請求項1~4のいずれかに記載のパーソナルネックライン診断具。
【請求項6】
表裏両面使用可能で、表面側と裏面側の色相が異なる請求項1~5のいずれかに記載のパーソナルネックライン診断具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーソナルネックライン診断具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の個人の価値観の多様化に伴って、衣料品に関しても流行を追うだけでなく、個々人の特徴に合った装いが求められるようになってきた。そこで、「パーソナルスタイリスト」、「骨格診断アドバイザー」、「パーソナルカラーアドバイザー」といった、個々人に似合うデザインや色を提案する専門的職業と資格が生まれてきている。
【0003】
また近年は、オンラインショップやカタログなどによる衣服の購入が飛躍的に増加している。そして、オンラインショップなどで衣服を購入する前に前記専門的なアドバイザーに好適なデザインを診断してもらう人も増加している。
【0004】
しかしながら、これらの専門的なアドバイザーは、一般に、自らの経験を基に目視または体に触れて被診断者の特徴を診断するところ、すべてのアドバイザーが十分な経験や知識、能力を有しているとは限らず、アドバイザーの熟練度によって診断結果に差が出ることは起こり得る。
【0005】
そこで、例えば、被診断者の顔画像情報や骨格情報に基づいて被診断者に似合うファッションタイプを診断するシステムが提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-108287号公報
【特許文献2】特許第6604644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ネックライン(襟元の形)は衣服のデザインの一つであり、顔周りや上半身の印象に大きな影響を与える。人は初対面の際は、顔と上半身でその人の印象を決めることが多いといわれている。すなわち、ネックラインは人の印象を大きく左右するので、衣服選びの重要なポイントの一つである。
【0008】
前記提案のような診断システムでは、顔画像情報や骨格情報に基づいて好適なファッションタイプが提案される。例えば、骨格タイプが、鎖骨の骨が太く、肩が四角いナチュラルタイプの者の場合は、骨感や肩のしっかりした様子が目立たないネックラインが似合うと診断される。また、上重心で、首が短め、胸板が厚く、肩周りに筋肉の厚みがあるストレートタイプの者の場合は、上に偏っている重心を下げ、首の短さを強調しないネックラインが似合うと診断される。
【0009】
しかしながら、このような骨格タイプに基づくネックラインの診断では、データベースに記憶されている情報に基づいて骨格タイプが決定され、決定された骨格タイプから好適なネックラインタイプが画一的に導き出されるところ、本発明者のこれまでの知見によれば、被診断者の好適なネックラインは、骨の太さ、鎖骨の見え方(目立つ,目立たない)、骨格の厚み、筋肉や脂肪の厚み・付いている位置など種々の要素の影響を受け、骨格タイプに基づく画一的な診断では似合わないとされるようなネックラインタイプであってもネックラインの切れ込みの深さや開度を調整すると似合うようになることが散見された。
【0010】
そこで本発明の目的は、被診断者に対して好適なパーソナルネックラインを熟練度によらず個別に容易に診断できる診断具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成する本発明に係るパーソナルネックライン診断具(以下、単に「診断具」と記すことがある。)は、被診断者にあてがって被診断者に好適なネックラインを診断する診断具であって、平面状で上端縁を有し、前記上端縁の左右方向略中央部に、上側に開口した凹部を有する本体部と、前記本体部の前記凹部の左右側から上方に延出する帯状の一対の肩掛け部とを有し、前記凹部の内周縁および前記一対の肩掛け部の内側縁が連続してネックラインを構成し、前記ネックラインが被診断者の首元を挟むようにあてがわれて、上下方向への移動および前記一対の肩掛け部の前記凹部を中心とする開度調整の少なくとも一方が行われて被診断者の好適なネックラインが診断されることを特徴とする。
【0012】
前記構成の診断具において、前記凹部の形状がV字形状、U字形状、ボート底形状、四角形状のいずれかであるのが好ましい。
【0013】
前記構成の診断具において、前記本体部の左右の側縁と前記一対の肩掛け部の外側縁とが連続していているのが好ましい。
【0014】
前記構成の診断具において、前記本体部の左右方向の長さが30cm以上50cm以下の範囲であり、前記本体部の上下方向の長さが30cm以上50cm以下の範囲であるのが好ましい。
【0015】
前記構成の診断具において、前記一対の肩掛け部の上下方向の長さが15cm以上35cm以下の範囲であるのが好ましい。
【0016】
前記構成の診断具において、表裏両面使用可能で、表面側と裏面側の色相が異なるのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の診断具によれば、被診断者における好適なパーソナルネックラインを熟練度によらず個別に容易に診断できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る診断具の第1実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図1の診断具を用いて好適なネックラインの上下方向深さを診断する場合の説明図である。
【
図3】
図1の診断具を用いて好適なネックラインの開度を診断する場合の説明図である。
【
図4】本発明に係る診断具の第2実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る診断具について図に基づいて説明するが本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。また、本明細書における「左右方向」および「上下方向」は、特に断りがない限り、各図に示す左右方向および上下方向を意味するものとする。また「内側」および「外側」は診断具の中心線Oを基準としたときの内側および外側を意味するものとする。
【0020】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る診断具の一実施形態を示す正面図を示す。診断具T1は、平面状で布などでよい材料から構成される。診断具T1は中心線Oを中心として左右対称であって、略5角形状(凹部3aがなかった場合を破線で示す。)の本体部1と、本体部1の上端縁の左右から上方に延出する帯状の一対の肩掛け部2a,2bとを有する。
【0021】
(本体部1)
本体部1の上端縁は、診断具T1を被診断者にあてがうときの基準肩ライン41a,41bとなる。基準肩ライン41a,41bは、中心線O上を頂点とする二等辺三角形の2つの斜辺をなし、中心線Oに垂直な線に対する基準肩ライン41a,41bの傾斜角度θ2は、通常、10度~20度の範囲である。
【0022】
本体部1は、上端縁の左右方向中央部に、上側に開口したV字形状の凹部3aを有する。凹部3aの開口幅W2、深さDおよび開度θ1に限定はなく、後述する一対の肩掛け部2a,2bの長さL2等を考慮して適宜決定すればよい。なお、凹部3aの開口幅W2は、左右の基準肩ライン41a,41bの内側端間の長さを意味し、凹部3aの深さDは基準肩ライン41a,41bの内側端から凹部3aの下端までの中心線Oの方向の長さを意味する。
【0023】
本体部1の左右方向(中心線Oに垂直な方向)の最大長さW1は、被診断者の胴部分をおおよそ覆う長さであるのが好ましく、通常、30cm以上50cm以下の範囲であるのが好ましい。また本体部1の上下方向(中心線Oの方向)の長さ(基準肩ライン41a,41bの内側端から本体部1の下端までの長さ)L1についても被診断者の胴部分をおおよそ覆う長さであるのが好ましく、通常、30cm以上50cm以下の範囲であるのが好ましい。
【0024】
本体部1の材質としては、布帛や樹脂フィルム、樹脂シート、板状体など従来公知の材質が使用できるが、診断具T1は被診断者の身体に沿うようにあてがわれるのがネックライン診断において好ましいことから、本体部1の材質としては布帛などの柔軟性を有するものが好適である。
【0025】
(肩掛け部2a,2b)
一対の肩掛け部2a,2bは帯状で、肩掛け部2a,2bの内側縁21a,21bが凹部3aの内周縁3aと連続するように凹部3aの左右両側から上方に延出する。より詳細には、一対の肩掛け部2a,2bの内側縁21a,21bは直線状で、V字形状の凹部3aの内周縁の両端部に各々接続して、一対の肩掛け部2a,2bの内側縁21a,21bと凹部3aの内周縁とは連続しV字形状のネックラインNLを構成する。また、一対の肩掛け部2a,2bの外側縁22a,22bは、本体部1の外側縁11a,11bの上端部に接続して連続している。
【0026】
肩掛け部2a,2bの幅(基準肩ライン41a,41bの方向の長さ)W3は、基準肩ライン41a,41bの長さと同じであるのが好ましい。また肩掛け部2a,2bの上下方向長さ(基準肩ライン41a,41bの方向に垂直な方向の長さ)L2に特に限定はないが、凹部3aの下端が被診断者のへそに位置する程度まで診断具T1を下方に移動させた場合であっても肩掛け部2a,2bが被診断者の肩に掛かっている状態であるのが好ましく、通常、肩掛け部2a,2bの上下方向長さは15cm以上35cm以下の範囲が好ましい。
【0027】
肩掛け部2a,2bは本体部1と別体として作製し、本体部1に縫製など従来公知の手段によって接続してもよいし、本体部1と一体に作製しても構わない。また、肩掛け部2a,2bの材質としては、本体部1と同様に、布帛などの柔軟性を有するものが好適である。
【0028】
(ネックライン診断手順)
以上説明した診断具を用いた診断例を以下説明する。
図2(a)に示すように、被診断者の首元をネックラインNLが挟むように診断具T1が被診断者にあてがわれる。このとき、診断具T1の基準肩ライン41a,41bが被診断者の肩ラインに略一致するように診断具T1の上下方向の位置決めがなされる。このときの診断具T1の位置を基準位置とする。
次に
図2(b)に示すように、診断具T1を基準位置よりも上方に移動した上方位置でネックラインNLが被診断者に合っているかを診る。次いで
図2(c)に示すように、診断具T1を基準位置よりも下方に移動した下方位置でネックラインNLが被診断者に合っているかを診る。なお、診断具T1の初期位置は基準位置に限定されるものではなく、診断具T1の初期位置を基準位置よりも上方位置または下方位置として、下方または上方に診断具T1を順次移動させて診断を行っても構わない。このような手順によって被診断者に好適なネックラインNLの上下方向深さが把握される。
【0029】
次いで、被診断者の好適なネックラインNL(凹部3a)の開度が診断される。具体的には、
図3(a)に示すように、基準位置あるいは好適と判断されたネックラインNLの上下方向深さの位置で、ネックラインNL(凹部3a)の開度θ
1を大きくあるいは小さくしてみて被診断者に好適なネックラインNLの開度が診断される。なお、
図3では、上下方向位置が基準位置のネックラインNLにおいて開度を変化させている。
【0030】
なお、ネックラインNLの好適な開度を把握した後、ネックラインNLの好適な上下方向深さを把握するようにしても構わない。あるいはまた、ネックラインNLの上下方向深さと開度とを任意に変化させてネックラインNLの好適な上下方向深さと開度とを把握するようにしても構わない。
【0031】
(第2実施形態)
図4に、本発明に係る診断具T2の第2実施形態を示す。
図4に示す診断具T2は、本体部1に形成された凹部3bの形状がU字形状である点が第1実施形態で示した診断具T2と異なる点であり、その他の構成は第1実施形態の診断具T1と同じであるので、診断具T1と同じ構成および同じ部分には同一の符号を付し、ここではその説明を略する。
【0032】
図4に示す診断具T2においても、U字形状の凹部3bの内周縁と一対の肩掛け部2a,2bの内側縁21a,21bとが連続してネックラインNLが構成される。そして、第1実施形態の診断具T1と同様に、被診断者の首元をネックラインNLが挟むように診断具T2が被診断者にあてがわれ、診断具T2が上下方向に移動および凹部3bの中心とする一対の肩掛け部2a,2bの開度調整が行われて被診断者の好適なネックラインNLの診断がなされる。
【0033】
(その他)
以上説明した実施形態の診断具T1,T2では凹部の形状はV字形状およびU字形状であったが、本発明における凹部はこれらの形状に限定されるものではなく、ボート形状や四角形状など従来公知の形状とすることができる。
【0034】
また、本発明の診断具は表裏両面使用可能で、表面側と裏面側の色相が異なるようにしてもよい。例えば、診断具の表面側をオレンジ色、裏面側をピンク色とすれば、被診断者の好適なネックラインNLを診断する際に、同時に被診断者の好適なパーソナルカラーを診断することにも利用できるようになる。その他、本発明の効果を阻害しない範囲で本発明に係る診断具は種々の変形・付加がなされてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の診断具によれば、被診断者における好適なパーソナルネックラインを熟練度によらず個別に容易に診断できる。
【符号の説明】
【0036】
1 本体部
2a,2b 肩掛け部
3a,3b 凹部
11a 左側縁
11b 右側縁
21a,21b 内側縁
22a,22b 外側縁
31a,31b 内周縁
T 診断具
NL ネックライン