(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073660
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】センサスイッチ付き操舵装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/027 20060101AFI20230519BHJP
B62D 1/08 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B60R16/027 T
B62D1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186251
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 芳
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB13
(57)【要約】
【課題】
運転中においてもハンドルから手を離すことなく容易に種々の操作を可能なセンサスイッチ付き操舵装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、乗り物の操舵を行うためのセンサスイッチ付き操舵装置1であって、ハンドル2と、ハンドル2の平面視にて中心領域に端部を向けた軸7と、ハンドル2の内周面と軸7との間を連結する1以上のスポーク3と、乗り物に搭載される所定の装置を制御可能なセンサスイッチ5と、を備え、センサスイッチ5は、操作者がハンドル2に正対した際にハンドル2の背面側であって、かつ操作者がハンドル2とスポーク3との連結部4を把持した状態で操作者の親指以外の指が届く範囲に配置されるセンサスイッチ付き操舵装置1に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の操舵を行うためのセンサスイッチ付き操舵装置であって、
ハンドルと、
前記ハンドルの平面視にて中心領域に端部を向けた軸と、
前記ハンドルの内周面と前記軸との間を連結する1以上のスポークと、
前記乗り物に搭載される所定の装置を制御可能なセンサスイッチと、
を備え、
前記センサスイッチは、操作者が前記ハンドルに正対した際に前記ハンドルの背面側であって、かつ前記操作者が前記ハンドルと前記スポークとの連結部を把持した状態で前記操作者の親指以外の指が届く範囲に配置されることを特徴とするセンサスイッチ付き操舵装置。
【請求項2】
前記センサスイッチは、前記スポークの背面に配置されることを特徴とする請求項1に記載のセンサスイッチ付き操舵装置。
【請求項3】
前記センサスイッチは、
前記スポークの背面のうち、前記操作者が前記連結部を把持した状態で前記操作者の右手の親指以外の指が届く範囲に配置される第1センサスイッチと、
前記スポークの背面のうち、前記操作者が前記連結部を把持した状態で前記操作者の左手の親指以外の指が届く範囲に配置される第2センサスイッチと、
を少なくとも備えることを特徴とする請求項2に記載のセンサスイッチ付き操舵装置。
【請求項4】
前記第1センサスイッチと前記第2センサスイッチとは、互いに異なる前記所定の装置、若しくは同一の前記所定の装置の動作のうち互いに異なる動作を制御可能とすることを特徴とする請求項3に記載のセンサスイッチ付き操舵装置。
【請求項5】
前記センサスイッチは、操作者により操作面になされたタッチ操作を検出するタッチパッドであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサスイッチ付き操舵装置。
【請求項6】
前記所定の装置は、オーディオ装置、ナビゲーション装置、エアーコンディショナー装置および電話装置のうち少なくとも1つの装置であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサスイッチ付き操舵装置。
【請求項7】
前記センサスイッチは、前記オーディオ装置の音量調節、前記ナビゲーション装置の画面切替、前記エアーコンディショナー装置の温度調節、および前記電話装置の通話のうち少なくとも1つを制御可能であることを特徴とする請求項6に記載のセンサスイッチ付き操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサスイッチ付き操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転中に操作頻度の高い車載装置のスイッチ類を備えた操舵装置(いわゆる、ステアリングホイール)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなスイッチ類としては、例えば、オーディオ装置のON/OFFや音量調節等を制御するスイッチ、ナビゲーション装置の地図表示スケールや画面切替等を制御するスイッチ、エアーコンディショナー装置の温度調節等を制御するスイッチ、携帯電話(自動車電話)のハンズフリー通話の開始/終了等を制御するスイッチ、オートマチック車の変速段選択スイッチ等が知られている。このような従来から公知の操舵装置は、ハンドルの表側(すなわち、運転者側)にスイッチが配設されるため、運転者が親指以外の指でハンドルを把持しながら親指でスイッチを操作することができ、当該スイッチの操作性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来から公知の操舵装置は、その表側にスイッチが配設されるため、人間の手の構造上、親指以外の指による操作が困難であることから、親指にばかり負担をかけるという問題があった。また、親指による操作範囲は限られているため、スイッチの配置や形状等の設計の自由度が制約されたり、運転者が意図せずにスイッチに触れてしまう虞があった。また、ハンドルの表側にスイッチが配設されるため、運転者が運転中にスイッチを視認することにより、操舵に支障をきたす虞があった。上記課題は、自動車のステアリングホイールのみならず、例えば、自動二輪車、航空機、船舶、鉄道車両等の他の乗り物の操舵装置、自動車等の走行或いは航空機の飛行等をシミュレーションするシミュレーション装置における操舵装置等にも通じる課題である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、運転中においてもハンドルから手を離すことなく容易に種々の操作を可能なセンサスイッチ付き操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置は、乗り物の操舵を行うためのセンサスイッチ付き操舵装置であって、ハンドルと、前記ハンドルの平面視にて中心領域に端部を向けた軸と、前記ハンドルの内周面と前記軸との間を連結する1以上のスポークと、前記乗り物に搭載される所定の装置を制御可能なセンサスイッチと、を備え、前記センサスイッチは、操作者が前記ハンドルに正対した際に前記ハンドルの背面側であって、かつ前記操作者が前記ハンドルと前記スポークとの連結部を把持した状態で前記操作者の親指以外の指が届く範囲に配置される。
(2)別の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置では、好ましくは、前記センサスイッチは、前記スポークの背面に配置されても良い。
(3)別の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置では、好ましくは、前記センサスイッチは、前記スポークの背面のうち、前記操作者が前記連結部を把持した状態で前記操作者の右手の親指以外の指が届く範囲に配置される第1センサスイッチと、前記スポークの背面のうち、前記操作者が前記連結部を把持した状態で前記操作者の左手の親指以外の指が届く範囲に配置される第2センサスイッチと、を少なくとも備えても良い。
(4)別の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置では、好ましくは、前記第1センサスイッチと前記第2センサスイッチとは、互いに異なる前記所定の装置、若しくは同一の前記所定の装置の動作のうち互いに異なる動作を制御可能としても良い。
(5)別の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置では、好ましくは、前記センサスイッチは、操作者により操作面になされたタッチ操作を検出するタッチパッドであっても良い。
(6)別の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置では、好ましくは、前記所定の装置は、オーディオ装置、ナビゲーション装置、エアーコンディショナー装置および電話装置のうち少なくとも1つの装置であっても良い。
(7)別の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置では、好ましくは、前記センサスイッチは、前記オーディオ装置の音量調節、前記ナビゲーション装置の画面切替、前記エアーコンディショナー装置の温度調節、および前記電話装置の通話のうち少なくとも1つを制御可能であっても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転中においてもハンドルから手を離すことなく容易に種々の操作を可能なセンサスイッチ付き操舵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置の正面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置の右側面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置の背面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置のセンサスイッチ非操作時の状態を説明するための図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置のセンサスイッチ操作時の状態を説明するための図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置のセンサスイッチを操作入力手段として車載装置を制御する制御装置の概略構成を示すブロック図の一例を示す。
【
図7】
図7は、制御装置の動作を説明するための図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置の変形例の背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置の正面図を示す。
図2は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置の右側面図を示す。
図3は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置の背面図を示す。
図4は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置のセンサスイッチ非操作時の状態を説明するための図を示す。
図5は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置のセンサスイッチ操作時の状態を説明するための図を示す。
【0011】
図1~5に示されるセンサスイッチ付き操舵装置1の正面図、右側面図および背面図は、自動車の車両が直進するときのセンサスイッチ付き操舵装置1の操作状態(姿勢)を示す。以下、この操作状態(姿勢)を中立状態と称する。
図1では、紙面上下方向を中立状態におけるセンサスイッチ付き操舵装置1の上下方向とし、紙面左右方向を中立状態におけるセンサスイッチ付き操舵装置1の左右方向とする。また、
図1では、紙面正面方向を中立状態におけるセンサスイッチ付き操舵装置1の正面方向とし、紙面背面方向を中立状態におけるセンサスイッチ付き操舵装置1の背面方向とする。
図3では、
図1と前後左右方向が逆になる。また、
図2,4,5では、軸方向Aに垂直な方向を中立状態におけるセンサスイッチ付き操舵装置1の上下方向とし、軸方向Aを中立状態におけるセンサスイッチ付き操舵装置1の前後方向(正面方向および背面方向)とする。また、
図2,4,5では、紙面正面方向を中立状態におけるセンサスイッチ付き操舵装置1の右方向(右側)とし、紙面背面方向を中立状態におけるセンサスイッチ付き操舵装置1の左方向(左側)とする。
【0012】
この実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置1(以下、単に「操舵装置1」とも称する。)は、自動車の車両に備えられるステアリングホイールである。操舵装置1は、ハンドル2と、ハンドル2の平面視にて中心領域に端部を向けた軸7と、ハンドル2の内周面と軸7との間を連結する1以上のスポーク3と、車載装置(本発明の所定の装置の一例)を制御可能なセンサスイッチ5と、を備える。センサスイッチ5は、操作者がハンドル2に正対した際にハンドル2の背面側であって、かつ操作者がハンドル2とスポーク3との連結部4を把持した状態で操作者の親指以外の指が届く範囲に配置される。操作者は、運転者、運転手、ドライバー等とも称される。なお、操舵装置1は、自動車のステアリングホイールに制約されず、乗り物の操舵を行うための操舵装置であれば、例えば、自動二輪車、航空機、船舶、鉄道車両等の他の乗り物の操舵装置、自動車等の走行或いは航空機の飛行等をシミュレーションするシミュレーション装置における操舵装置であっても良い。
【0013】
操舵装置1は、好ましくは、ハンドル2と、軸7と、軸7に接続されるボス8と、スポーク3と、センサスイッチ5と、ロアカバー6と、を備える。ハンドル2は、ボス8とスポーク3とにより結合されている。ハンドル2は、操舵装置1の運転操作時に操作者により把持される部材であり、車両の操縦に使用される。ハンドルは、リムと読み替えても良い。この実施形態において、ハンドル2は、円環状である。ただし、ハンドル2は、円環状に制約されず、例えば、楕円状、矩形枠状等の環状形状であっても良いし、環の一部が欠落した形状等の環状以外の形状であっても良い。スポーク3は、ハンドル2と軸7との間を連結し、軸7が中立状態で略水平になるように設定されている。この実施形態において、操舵装置1は、ボス8からハンドル2に向かって左右方向および下方向に延びる3本のスポーク3を備える。この実施形態において、操舵装置1は、中立状態においてハンドル2の左部と連結する左スポーク3Lと、ハンドル2の右部と連結する右スポーク3Rと、ハンドル2の下部と連結する下スポーク3Bと、を備える。また、この実施形態では、ハンドル2と左スポーク3Lとの連結部を左連結部4L、ハンドル2と右スポーク3Rとの連結部を右連結部4R、およびハンドル2と下スポーク3Bとの連結部を下連結部4Bとそれぞれ称する。なお、スポーク3の数は、3本に制約されず、少なくとも1本以上あればよい。また、スポーク3は、少なくともハンドル2の内周面と軸7との間を連結可能であれば、その延在方向は特に制約されない。ロアカバー6は、操舵装置1の中央部分を背面側から覆うカバーであって、ボス8およびスポーク3の一部を覆っている(
図3を参照)。
【0014】
センサスイッチ5は、好ましくは、操作者により操作面になされたタッチ操作を検出するタッチパッドである。タッチパッドは、例えば、電磁気的に接続された電子機器の操作を行うことが可能である。タッチパッドは、例えば、導電性を有するペンや指等の操作により、電子機器の表示部に表示されたカーソルの移動や選択、表示されたアイコンの選択、決定、ドラッグ、ドロップ等の指示を行うことができるように構成されている。この実施形態において、センサスイッチ5は、操作者の指の操作により車載装置に対して所定の指示を行うことが可能なタッチパッドである。センサスイッチ5は、好ましくは、車載装置として、オーディオ装置、ナビゲーション装置、エアーコンディショナー装置および電話装置のうち少なくとも1つの装置に対して所定の指示を行う。より具体的には、センサスイッチ5は、オーディオ装置の音量調節、ナビゲーション装置の画面切替、エアーコンディショナー装置の温度調節、および電話装置の通話のうち少なくとも1つを制御可能なタッチパッドであることが好ましい。センサスイッチ5による車載装置の制御については、詳細を後述する。なお、センサスイッチ5により制御可能な装置は、操舵装置1を備える乗り物に搭載されている装置であれば上述の装置に制約されず、例えば、トランスミッション装置等であっても良い。また、センサスイッチ5による制御は、上述の操作の制御に制約されず、例えば、ナビゲーション装置の地図表示スケールの大きさ調整、オーディオ装置の受信表示局選択、電話装置の電話番号リスト選択、トランスミッション装置の段数変更等であっても良い。
【0015】
センサスイッチ5は、より好ましくは、抵抗膜方式、赤外線方式、SAW(Surface Acoustic Wave)方式、静電容量方式等のタッチパッドである。この実施形態では、センサスイッチ5は、矩形状の操作面を有する静電容量方式のタッチパッドである。ただし、センサスイッチ5の操作面の形状は、特に制約されず、用途や設置場所等に応じて適宜設計されることが好ましい。
【0016】
センサスイッチ5は、好ましくは、操作者がハンドル2に正対した際におけるスポーク3の背面であって、かつ操作者がハンドル2とスポーク3との連結部4を把持した状態で操作者の親指以外の指が届く範囲に配置される。この実施形態において、センサスイッチ5は、右スポーク3Rの背面であって、かつ操作者が右連結部4Rを把持した状態で操作者の親指以外の指が届く範囲に配置される(
図5を参照)。この実施形態では、操作者は、センサスイッチ5の非操作時において、右手10でハンドル2の右連結部4Rを把持し、かつ左手(不図示)で左連結部4Lを把持して運転操作を行う(
図4を参照)。また、操作者は、センサスイッチ5の操作時において、右手10の人差し指12および中指13以外の指にて右連結部4Rを把持した状態で、人差し指12および中指13を伸ばしてセンサスイッチ5の操作面に接触することにより、センサスイッチ5の操作を行う(
図5を参照)。このようにセンサスイッチ5を右スポーク3Rの背面に配置することにより、例えば、操作者が右利きの場合、操作者は、運転中においてもハンドル2から手を離さず、かつ操作面を視認することなく親指以外の指で容易にセンサスイッチ5を操作することができる。なお、センサスイッチ5は、少なくともハンドル2の背面側であって、かつ操作者が連結部4を把持した状態で操作者の親指以外の指が届く範囲に配置されていれば、右スポーク3Rの背面以外の場所に配置されていても良い。例えば、操作者が左利きの場合、センサスイッチ5は、左スポーク3Lの背面であって、かつ操作者が左連結部4Lを把持した状態で操作者の親指以外の指が届く範囲に配置されることが好ましい。この場合、左利きの操作者は、運転中においてもハンドル2から手を離さず、かつ操作面を視認することなく親指以外の指で容易にセンサスイッチ5を操作することができる。また、センサスイッチ5は、下スポーク3Bの背面であって、かつ操作者が下連結部4Bを把持した状態で操作者の親指以外の指が届く範囲に配置されていても良いし、ハンドル2の背面に配置されていても良い。また、操作者は、センサスイッチ5の操作時において、操作者が人差し指12および中指13を伸ばしてセンサスイッチ5の操作面に接触して操作を行うことに制約されず、人差し指12、中指13、薬指および小指のうち1本以上の指を操作面に接触して操作を行えば良い。
【0017】
次に、センサスイッチ5による車載装置の制御について説明する。この実施形態では、車載装置として、オーディオ装置を例に挙げて説明する。ただし、センサスイッチ5により制御される装置は、オーディオ装置に制約されず、例えば、ナビゲーション装置、エアーコンディショナー装置、電話装置等であっても良い。
【0018】
図6は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置のセンサスイッチを操作入力手段として車載装置を制御する制御装置の概略構成を示すブロック図の一例を示す。
【0019】
制御装置30は、操舵装置1に備えられるセンサスイッチ5を操作入力手段として車載装置の一例であるオーディオ装置40を制御する装置である。制御装置30は、好ましくは、センサスイッチ5を制御するセンサ制御部32と、オーディオ装置40を制御するオーディオ制御部34と、を備える。また、制御装置30には、センサスイッチ5と、オーディオ装置40と、が接続されている。制御装置30は、好ましくは、マイクロコンピュータと記憶装置とから構成され、センサスイッチ5からの入力に基づいてオーディオ装置40を制御する制御プログラム(不図示)を備えている。より具体的には、制御装置30は、センサ制御部32がセンサスイッチ5に対する操作入力を受け付けると、オーディオ制御部34がオーディオ装置40を制御し、例えば、オーディオ装置40から出力される音量を調整する。
【0020】
センサ制御部32は、センサスイッチ5の操作面の静電容量変化に基づいて、操作面に対する指の接触および/または移動を検出する。オーディオ制御部34は、センサ制御部32により検出された指の接触および/または移動に基づき、オーディオ装置40の音量を大きくまたは小さくする。
【0021】
センサスイッチ5の操作に基づく制御装置30の動作の具体例について、オーディオ装置40の表示画面50の内容に従って説明する。
【0022】
【0023】
図7に示す例は、センサスイッチ5の操作入力に基づいてオーディオ装置40の音量を調整する動作例である。オーディオ装置40の表示画面50には、音量が音量バー52および数値にて表示される。まず、操作者は、センサスイッチ5の非操作時の把持状態(
図4を参照)から、右手10の人差し指12および中指13を伸ばしてセンサスイッチ5の操作面に接触させ、センサスイッチ5の操作時の把持状態とする(
図7のbの左図を参照)。次に、操作者は、センサスイッチ5の操作時の把持状態から人差し指12および中指13を操作面に接触させながら上方向へスライドする(
図7のaの左図を参照)。このとき、制御装置30は、センサ制御部32がセンサスイッチ5の操作面の静電容量変化に基づく指の上方向へのスライド操作を検出すると、当該スライド操作に基づいて、オーディオ制御部34によりオーディオ装置40の音量を大きくする。この結果、オーディオ装置40の表示画面50には、上方向へのスライド操作前の音量「15」に代えて、音量「25」を示す音量バー52および数値が表示される(
図7のaおよびbの右図を参照)。一方、操作者は、センサスイッチ5の操作時の把持状態(
図7のbの左図を参照)から人差し指12および中指13を操作面に接触させながら下方向へスライドする(
図7のcの左図を参照)。このとき、制御装置30は、センサ制御部32がセンサスイッチ5の操作面の静電容量変化に基づく指の下方向へのスライド操作を検出すると、当該スライド操作に基づいて、オーディオ制御部34によりオーディオ装置40の音量を小さくする。この結果、オーディオ装置40の表示画面50には、下方向へのスライド操作前の音量「15」に代えて、音量「05」を示す音量バー52および数値が表示される(
図7のbおよびcの右図を参照)。このように構成されることにより、操作者は、運転中においてもハンドル2から手を離さず、かつ操作面を視認することなく直感的な指の操作により、容易にオーディオ装置40の動作を制御することができる。
【0024】
図7に示す例では、指の上方向または下方向へのスライド操作によりオーディオ装置40の音量を調整していたが、センサスイッチ5の操作に基づく制御はこれに制約されず、例えば、センサスイッチ5の操作に基づいて、オーディオ装置40の受信表示局選択、曲の再生および/または停止等の動作を制御しても良い。また、センサスイッチ5の操作は、指の上方向または下方向へのスライド操作に制約されず、例えば、他の方向へのスライド操作であっても良いし、操作面へのシングルタップやダブルタップ等であっても良い。
【0025】
<その他の実施形態>
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0026】
例えば、先述の実施形態では、操舵装置1のセンサスイッチ5を操作入力手段として自動車に搭載される所定の装置(車載装置)を制御する一例として、オーディオ装置40の音量調節を例に挙げて説明したが、本発明はこれに制約されない。例えば、センサスイッチ5を操作入力手段として、オーディオ装置40の音量調節制御に代えて、ナビゲーション装置の地図表示スケールの大きさ調整、電話装置の電話番号リスト選択、トランスミッション装置の段数変更等を制御装置30が制御する構成としても良い。この場合、制御装置30は、オーディオ装置40に代えて、ナビゲーション装置、電話装置およびトランスミッション装置のうち制御対象の装置と接続され、かつオーディオ制御部34に代えて、当該制御対象の装置を制御する制御部を備えていることが好ましい(
図6を参照)。また、この場合におけるセンサスイッチ5の操作は、特に制約されず、例えば、指の各種方向へのスライド操作、操作面へのシングルタップやダブルタップ等であっても良い。このように構成することにより、先述の実施形態と同様に、操作者は、運転中においてもハンドル2から手を離さず、かつ操作面を視認することなく直感的な指の操作により、容易にナビゲーション装置、電話装置またはトランスミッション装置等の動作を制御することができる。また、上述の実施形態によれば、操舵装置1が自動車や、自動二輪、船舶、飛行機、鉄道車両等の他の乗り物の場合には、運転者が視線を外すことなく安全な操舵を実現できる。
【0027】
また、操舵装置1のセンサスイッチ5を操作入力手段として、複数の装置を制御しても良い。例えば、制御装置30は、センサスイッチ5を操作入力手段として、オーディオ装置40の音量調節、ナビゲーション装置の地図表示スケールの大きさ調整、オーディオ装置の受信表示局選択、電話装置の電話番号リスト選択、トランスミッション装置の段数変更のうち2以上の動作の制御を行う構成としても良い。この場合、制御装置30は、オーディオ装置40、ナビゲーション装置、電話装置およびトランスミッション装置のうち制御対象の複数の装置と接続され、かつ当該制御対象の複数の装置をそれぞれ制御する制御部を備えていることが好ましい(
図6を参照)。
【0028】
また、センサスイッチ5は、操作者の指の動きを検知可能なセンサスイッチであれば、タッチパッドに制約されず、例えば、ホイールパッド、トラックボール等であっても良い。
【0029】
また、操舵装置1は、複数のセンサスイッチ5を備えていても良い。この場合、操舵装置1において、複数のセンサスイッチ5の配置場所は、操作者が連結部4を把持した状態で操作者の親指以外の指が届く範囲であれば特に制約されないが、例えば、右スポーク3Rの背面に加えて、左スポーク3Lの背面および/または下スポーク3Bの背面に配置されていても良い。
【0030】
図8は、本発明の実施形態に係るセンサスイッチ付き操舵装置の変形例の背面図を示す。
【0031】
変形例において、センサスイッチ付き操舵装置1aは、2つのセンサスイッチ(第1センサスイッチ5Rおよび第2センサスイッチ5L)を備える点で先述の実施形態のセンサスイッチ付き操舵装置1と異なる。なお、この変形例において、第1センサスイッチ5Rおよび第2センサスイッチ5L以外の構成は、先述の実施形態に係る操舵装置1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0032】
第1センサスイッチ5Rは、好ましくは、右スポーク3Rの背面のうち、操作者が右連結部4Rを把持した状態で操作者の右手の親指以外の指が届く範囲に配置される。第2センサスイッチ5Lは、好ましくは、左スポーク3Lの背面のうち、操作者が左連結部4Lを把持した状態で操作者の左手の親指以外の指が届く範囲に配置される。第1センサスイッチ5Rと第2センサスイッチ5Lとは、互いに異なる装置(車載装置)を制御可能とすることが好ましい。例えば、変形例において、第1センサスイッチ5Rは、操作者の指の操作によりオーディオ装置40の音量調節を制御可能なタッチパッドであり、第2センサスイッチ5Lは、操作者の指の操作によりエアーコンディショナー装置の温度調節を制御可能なタッチパッドである。なお、第1センサスイッチ5Rおよび第2センサスイッチ5Lにより制御可能な装置は、互いに異なる装置であれば特に制約されず、例えば、ナビゲーション装置、エアーコンディショナー装置、電話装置等であっても良い。また、第1センサスイッチ5Rと第2センサスイッチ5Lとは、同一の装置を制御可能であっても良い。この場合、第1センサスイッチ5Rと第2センサスイッチ5Lとは、同一の装置の動作のうち互いに異なる動作を制御可能であることが好ましい。例えば、第1センサスイッチ5Rは、オーディオ装置40の音量調節を制御可能であり、第2センサスイッチ5Lは、オーディオ装置40の受信表示局選択を制御可能であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係るセンサスイッチ付き操舵装置は、例えば、自動車、自動二輪車、航空機、船舶、鉄道等の各種乗り物、自動車等の走行或いは航空機の飛行等をシミュレーションするシミュレーション装置等の操舵部分に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・センサスイッチ付き操舵装置、2・・・ハンドル、3・・・スポーク、3B・・・下スポーク、3L・・・左スポーク、3R・・・右スポーク、4・・・連結部、4B・・・下連結部、4L・・・左連結部、4R・・・右連結部、5・・・センサスイッチ、5R・・・第1センサスイッチ、5L・・・第2センサスイッチ、7・・・軸、40・・・オーディオ装置(所定の装置の一例)。