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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073675
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/095 20060101AFI20230519BHJP
   A61J 15/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A61M25/095
A61J15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186279
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519274769
【氏名又は名称】株式会社MET
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】上村 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】間藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】玉田 親造
(72)【発明者】
【氏名】江浦 史生
【テーマコード(参考)】
4C047
4C267
【Fターム(参考)】
4C047AA21
4C047CC04
4C047CC27
4C267AA02
4C267BB48
4C267CC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象体の所望位置へのカテーテル等の管の到達をより容易に確認すること。
【解決手段】チューブと、前記チューブに配置された発光部と、前記発光部からの光の出射と非出射を切り替えるドライバと、前記対象体を撮像するカメラと、前記ドライバの動作を制御するとともに、前記カメラから得られる画像を用いて表示用画像を生成するコントローラと、前記表示用画像を表示するディスプレイと、を含み、前記コントローラは、前記発光部からの光の出射時に対応して前記カメラから得られる第1画像と前記発光部からの光の非出射時に対応して前記カメラから得られる第2画像との差分に基づいて前記発光部からの光に対応する光位置画像を生成し、前記カメラから得られる前記対象体の外観画像に対して前記光位置画像を視認可能な色にして重ね合わせることにより前記表示用画像を生成する、撮像装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端側を対象体の内部又は外表面に配置して用いられるチューブと、
前記チューブに少なくとも1つ配置された発光部と、
前記発光部と接続されており、前記発光部からの光の出射と非出射を切り替えるドライバと、
前記対象体を撮像するカメラと、
前記カメラ及び前記ドライバの各々と接続されており、前記ドライバの動作を制御するとともに、前記カメラから得られる画像を用いて表示用画像を生成するコントローラと、
前記コントローラと接続されており、前記表示用画像を表示するディスプレイと、
を含み、
前記コントローラは、前記発光部からの光の出射時に対応して前記カメラから得られる第1画像と前記発光部からの光の非出射時に対応して前記カメラから得られる第2画像との差分に基づいて前記発光部からの光に対応する光位置画像を生成し、前記カメラから得られる前記対象体の外観画像に対して前記光位置画像を視認可能な色にして重ね合わせることにより前記表示用画像を生成する、
撮像装置。
【請求項2】
少なくとも一端側を対象体の内部又は外表面に配置して用いられるチューブと、
前記チューブに挿入されるスタイレットと、
前記スタイレットに少なくとも1つ配置された発光部と、
前記発光部と接続されており、前記発光部からの光の出射と非出射を切り替えるドライバと、
前記対象体を撮像するカメラと、
前記カメラ及び前記ドライバの各々と接続されており、前記ドライバの動作を制御するとともに、前記カメラから得られる画像を用いて表示用画像を生成するコントローラと、
前記コントローラと接続されており、前記表示用画像を表示するディスプレイと、
を含み、
前記コントローラは、前記発光部からの光の出射時に対応して前記カメラから得られる第1画像と前記発光部からの光の非出射時に対応して前記カメラから得られる第2画像との差分に基づいて前記発光部からの光に対応する光位置画像を生成し、前記カメラから得られる前記対象体の外観画像に対して前記光位置画像を視認可能な色にして重ね合わせることにより前記表示用画像を生成する、
撮像装置。
【請求項3】
少なくとも一端側を対象体の内部又は外表面に配置して用いられるチューブと、
前記チューブに挿入されるスタイレットと、
前期チューブ及び前記スタイレットに少なくとも1つ配置された発光部と、
前記発光部と接続されており、前記発光部からの光の出射と非出射を切り替えるドライバと、
前記対象体を撮像するカメラと、
前記カメラ及び前記ドライバの各々と接続されており、前記ドライバの動作を制御するとともに、前記カメラから得られる画像を用いて表示用画像を生成するコントローラと、
前記コントローラと接続されており、前記表示用画像を表示するディスプレイと、
を含み、
前記コントローラは、前記発光部からの光の出射時に対応して前記カメラから得られる第1画像と前記発光部からの光の非出射時に対応して前記カメラから得られる第2画像との差分に基づいて前記発光部からの光に対応する光位置画像を生成し、前記カメラから得られる前記対象体の外観画像に対して前記光位置画像を視認可能な色にして重ね合わせることにより前記表示用画像を生成する、
撮像装置。
【請求項4】
前記カメラは、複数の画素部を備え、
前記複数の画素部は、各々、光電変換素子、第1電荷蓄積部及び第2電荷蓄積部、並びに、前記光電変換素子により生成される電荷を前記第1電荷蓄積部又は前記第2電荷蓄積部へ振り分けて蓄積させる電荷振分回路を備えており、
前記電荷振分回路は、前記発光部からの光の出射に対応して前記光電変換素子により生成される電荷を前記第1電荷蓄積部に蓄積させ、前記発光部からの光の非出射に対応して前記光電変換素子により生成される電荷を前記第2電荷蓄積部に蓄積させるものであり、
前記コントローラは、前記複数の画素部の各々の前記第1電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて前記第1画像を得るとともに、前記複数の画素部の各々の前記第2電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて前記第2画像を得る、
請求項1~3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ドライバは、前記発光部からの光の出射と非出射を所定の変調周波数に応じて切り替えており、
前記電荷振分回路は、前記ドライバによる前記変調周波数に応じた切り替えに対応して前記第1電荷蓄積部又は前記第2電荷蓄積部への電荷の振り分けを行っており、
前記コントローラは、前記電荷振分回路による電荷の振り分けが複数回行われた後に、前記第1電荷蓄積部の電荷に基づいて前記第1画像を得るとともに前記第2電荷蓄積部の電荷に基づいて前記第2画像を得る、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記電荷振分回路は、前記発光部からの光が出射から非出射に切り替わった後に一定期間が経過するまでは前記光電変換素子により生成される電荷を前記前記第1電荷蓄積部へ振り分け、当該一定期間の経過後に、前記光電変換素子により生成される電荷を前記第2電荷蓄積部に振り分ける、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記変調周波数は、1kHz以上100MHz以下の範囲で設定される、
請求項5又は6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記発光部は、前記ドライバと信号線を介して接続された発光素子である、
請求項1~7の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記対象体は、人体であり、
前記発光部から出射する光は、前記人体を透過可能な波長の光である、
請求項1~8の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記チューブは、少なくとも前記一端側が前記人体の内部に配置されるカテーテルである、
請求項9に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2018/207753号公報(特許文献1)には、体内に挿入されるチューブと、チューブの先端側に設けられ、チューブの位置確認のための光を放出する発光部と、チューブに沿って当該チューブに設けられ、発光部へ電力を供給する電源ラインと、チューブの後端側に設けられ、チューブに設けた電源ラインと当該電源ラインに外部から電力を供給する外部機器とを接続するためのコネクタ部と、を備えるカテーテル装置が記載されている。このカテーテル装置では、体内に挿入されたチューブの先端が体内の所望位置(例えば、胃)まで到達すると発光部から放出された光が人体を透過して受光され、その光量に応じた信号が予め設定された値を超えた場合に、チューブの先端が胃まで到達した旨が制御部のディスプレイに表示される。また、チューブ(カテーテル)には、先端のみではなく、チューブの体内へ入る中間部分にも発光部を設けることが国際公開第2020/136936号公報(特許文献2)に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/207753号公報
【特許文献2】国際公開第2020/136936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、対象体の所望位置へのカテーテル等の管の到達をより容易に確認できる技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一態様の撮像装置は、(a)少なくとも一端側を対象体の内部又は外表面に配置して用いられるチューブと、(b)前記チューブに配置された発光部と、(c)前記発光部と接続されており、前記発光部からの光の出射と非出射を切り替えるドライバと、(d)前記対象体を撮像するカメラと、(e)前記カメラ及び前記ドライバの各々と接続されており、前記ドライバの動作を制御するとともに、前記カメラから得られる画像を用いて表示用画像を生成するコントローラと、(f)前記コントローラと接続されており、前記表示用画像を表示するディスプレイと、を含み、(g)前記コントローラは、前記発光部からの光の出射時に対応して前記カメラから得られる第1画像と前記発光部からの光の非出射時に対応して前記カメラから得られる第2画像との差分に基づいて前記発光部からの光に対応する光位置画像を生成し、前記カメラから得られる前記対象体の外観画像に対して前記光位置画像を視認可能な色にして重ね合わせることにより前記表示用画像を生成する、撮像装置である。
【0006】
上記構成によれば、対象体の所望位置へのカテーテル等の管の到達をより容易に確認することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態の撮像装置の概略構成を説明するための図である。
図2図2は、撮像装置1によって撮像されてディスプレイ24に表示される画像の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、撮像装置1の情報処理に係る構成を説明するためのブロック図である。
図4図4(A)は、カメラ20の構成を概略的に示す図である。図4(B)は、各画素部40を実現する回路構成例を示す図である。
図5図5(A)は、電荷振りわけの様子を示すポテンシャル図である。図5(B)は、第1電荷蓄積部46aの電荷(A+C)により得られる画像と第2電荷蓄積部46bの電荷(B)により得られる画像との差分をとる処理を模式的に示す図である。
図6図6は、撮像装置1の動作の全体像を示すタイムチャートである。
図7図7は、図6に示すカメラによる撮像に関わる期間T1における動作を示すタイムチャートである。
図8図8は、図7に示すカメラによる撮像に関わる期間T2における動作を示すタイムチャートである。
図9図9は、撮像装置1の全体動作を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態の撮像装置の概略構成を説明するための図である。本実施形態の撮像装置1は、人体100の内部に挿入されたカテーテル10の先端が所望位置(図示の例では、胃の位置)に到達したことをディスプレイ24に表示される画像によって容易に確認できるようにするためのものである。
【0009】
カテーテル10は、人体へ悪影響を及ぼさない素材からなり可撓性を有する長細い中空の管(チューブ)であり、人体100の内部に所望の物質(例えば、栄養剤、薬剤など)を送り混むために用いられる。
【0010】
LED(Light Emitting Diode)12は、カテーテル10の一端側に配置されており、人体100を透過可能な波長の光を発する。本実施形態では、例えば波長850nm程度の赤外光を発する赤外LEDが用いられる。また、本実施形態では、LED12はカテーテル10の一端側に配置されているが、カテーテル10にスタイレットを挿入する場合、カテーテル10に挿入するスタイレットの先端にLED12を配置することもできる。さらに、LED12は、カテーテル10及び/又はカテーテル10に挿入するスタイレットの一端側の先端のみではなく、人体100内の内部又は外表面に配置されるカテーテル10及び/又はカテーテル10に挿入するスタイレットの一端側の先端及び/又は中間位置に複数離間して配置する態様とすることもできる。この場合、複数のLED12は、同一又は異なる波長の光源とすることも可能である。
【0011】
配線ケーブル(信号線)14は、カテーテル10の内部を通して配置されており、LED12とドライバ16とを電気的に接続する。この配線ケーブル14は、ドライバ16からLED12へ駆動電圧を供給するためのものである。
【0012】
ドライバ(光源制御回路)16は、制御装置(コントローラ)18に制御されて動作し、LED12へ駆動電圧を供給することにより、LED12の点灯と消灯(すなわち、光の出射と非出射)を切り替える。
【0013】
制御装置18は、LED12から放出されて人体100を透過した光を撮影するとともに人体100の外観を撮影し、その様子を表示するための表示用画像を生成する。この撮像装置18は、人体100並びにLED12からの光を撮影するためのカメラ(撮像素子)20と、このカメラ20の受光面側に配置されたレンズ22を備える。
【0014】
ディスプレイ24は、制御装置18と接続されており、制御装置18によって生成される表示用画像を表示する。ディスプレイ24としては、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、ブラウン管ディスプレイなど公知の種々のディスプレイを用いることができる。
【0015】
図2は、撮像装置1によって撮像されてディスプレイ24に表示される画像の一例を模式的に示す図である。例えば、時刻t1、t3では周囲の環境光(ストロボ光等の外部照明を含む)によって人体100が照明されて撮像された人体画像(外観画像)102が撮像装置1のディスプレイ24に表示される。また、例えば時刻t2では、人体100を透過したLED12からの光が抽出され、その光に対応した光位置画像104が人体画像102に重ねて表示される。光位置画像104は、ディスプレイ24で表示可能であり人間が視認可能な適宜の色の画像である。このような画像が表示されることで、カテーテル10の一端側の先端に配置されているLED12が人体100のどの位置に存在するか容易に確認することができる。また、LED12をカテーテル10の一端側の先端及び/又は中間位置に複数離間して配置した態様においては、カテーテル10の一端側の先端及び/又は中間位置が人体100のどの位置に存在するか容易に確認することができる。
【0016】
図3は、撮像装置1の情報処理に係る構成を説明するためのブロック図である。撮像装置1は、上記したLED12、配線ケーブル14、ドライバ16、制御装置18、カメラ20、ディスプレイ24を備える。制御装置18は、カメラ20により撮像された画像に対して所定の画像処理を行う画像処理プロセッサ26と、この画像処理プロセッサ26によって画像処理が行われて得られた画像(表示用画像)をディスプレイ24に表示させる制御を行うとともにドライバ16の動作制御を行う情報処理プロセッサ28を含んで構成されている。画像処理プロセッサ26及び情報処理プロセッサ28による動作(情報処理)の詳細については後述する。
【0017】
図4(A)は、カメラ20の構成を概略的に示す図である。図示のようにカメラ20は、規則的に配列された複数の画素部40を備える。各画素部40は、入射光を電荷に変換する光電変換素子であるフォトダイオード42と、フォトダイオード42によって生成される電荷を振り分ける電荷振分回路44と、電荷振分回路44によって振り分けられた電荷を蓄積する第1電荷蓄積部46a及び第2電荷蓄積部46bを備える。
【0018】
図4(B)は、各画素部40を実現する回路構成例を示す図である。第1電荷蓄積部46aと第2電荷蓄積部46bの各々は、例えば容量素子であり、それぞれがフォトダイオード42に対して並列接続されている。フォトダイオード42のアノードと、第1電荷蓄積部46a及び第2電荷蓄積部46bの各々の一端は、基準電位端子(GND端子)に接続されている。
【0019】
電荷振分回路44は、4つの電界効果トランジスタ51、52、53、54と、これらの電界効果トランジスタ51~54のゲート(制御端子)に制御電圧を与えるゲート制御回路55を含んで構成されている。電界効果トランジスタ51は、ソース/ドレインの一方が第1電荷蓄積部46aの他端と接続されており、ソース/ドレインの他方がフォトダイオード42のカソードと接続されている。電界効果トランジスタ52は、ソース/ドレインの一方が第2電荷蓄積部46bの他端と接続されており、ソース/ドレインの他方がフォトダイオード42のカソードと接続されている。電界効果トランジスタ53は、ソース/ドレインの一方が第1電荷蓄積部46aの他端と接続されており、ソース/ドレインの他方が電源Vddと接続されている。電界効果トランジスタ54は、ソース/ドレインの一方が第2電荷蓄積部46bの他端と接続されており、ソース/ドレインの他方が電源Vddと接続されている。
【0020】
情報処理プロセッサ28による動作制御を受けたゲート制御回路55により、電界効果トランジスタ51がオン(導通状態)、他の電界効果トランジスタ52~54がオフ(非道通状態)に制御された場合、フォトダイオード42が受光することで発生した電荷は第1電荷蓄積部46aに蓄積される。また、ゲート制御回路55により、電界効果トランジスタ52がオン(導通状態)、他の電界効果トランジスタ51、53、54がオフ(非道通状態)に制御された場合、フォトダイオード42が受光することで発生した電荷は第2電荷蓄積部46b蓄積される。また、電界効果トランジスタ53がオン、他の電界効果トランジスタ51、52、54がオフに制御された場合、第1電荷蓄積部46aの電荷がリセットされる。同様に、電界効果トランジスタ54がオン、他の電界効果トランジスタ51、52、53がオフに制御された場合、第2電荷蓄積部46bの電荷がリセットされる。
【0021】
電界効果トランジスタ51、52を交互にオンとすることで、第1電荷蓄積部46aと第2電荷蓄積部46bに対して交互に電荷を振り分けて蓄積させることができる。この電荷振りわけの様子を図5(A)にポテンシャル図で示す。例えば、電界効果トランジスタ51がオンとなるタイミングに対応してLED12を点灯(発光)させ、電界効果トランジスタ52がオンとなるタイミングでLED12を消灯させたとすると、LED12の点灯によって生じた分の電荷は第1電荷蓄積部46aに蓄積され、第2電荷蓄積部46bには蓄積されない。図5(A)ではこのLED12の点灯に対応する電荷を「C」と表記し、自然光あるいは照明光が人体100に反射して生じる光に対応する電荷のうち第1電荷蓄積部46aに蓄積される電荷を「A」、第2電荷蓄積部46bに蓄積される電荷を「B」と表記する。通常、電荷Aと電荷Bはほぼ等しくなるので、図5(B)に模式的に示すように、第1電荷蓄積部46aの電荷(A+C)により得られる画像と第2電荷蓄積部46bの電荷(B)により得られる画像との差分をとることでLED12からの光に起因する光位置画像104を生成することができる。
【0022】
図6は、撮像装置1の動作の全体像を示すタイムチャートである。本実施形態の撮像装置1は、一例として200msの時間を1サイクルとして撮像を行う。この1サイクルのうち、先の50msの間でカメラ20による撮像に関わる動作、具体的には露光、ストロボ発光、LED発光、カメラからの電荷読み出しが実行される。また、1サイクルのうち、後の150msの間では省電力化のためにカメラ20が動作を休止し、その間に制御装置18において、カメラ20から読み出された電荷を用いた信号処理が実行されて表示用画像が生成される。この生成された表示用画像は、次のサイクルと重複するタイミングで200msの間、ディスプレイ24に表示される。表示用画像には、人体画像102と光位置画像104とを重ね合わせた画像である「発光画像」と、人体画像102を含み光位置画像104は含まない画像である「通常画像」がある。本実施形態では、1000ms(1s)毎に1つの発光画像と4つの通常画像が200ms間隔で順に繰り返しディスプレイ24に表示される。
【0023】
図7は、図6に示すカメラによる撮像に関わる期間T1における動作を示すタイムチャートである。ここでは発光画像の生成に係る動作のタイムチャートが示されている。撮像装置1は、情報処理プロセッサ28によってドライバ16を制御してLED12を発光させ、カメラ20を露光させる動作を行う。本実施形態ではこの動作が所定回数(一例として4回)だけ実行される。各回でのLED12の発光前にはカメラ20の各画素部40に含まれる第1電荷蓄積部46a及び第2電荷蓄積部46bの電荷のリセットが実行され、その後にカメラ20のシャッターが開けられて各画素部40の露光が実行される。また、LED12の発光後にはカメラ20のシャッターが閉じられるとともに第1電荷蓄積部46a及び第2電荷蓄積部46bのそれぞれに蓄積された電荷の読み出しが行われる。LED12の発光時間は、一例として図示のように5.0msであり、この間にLED12は間欠的に発光する(すなわち、点灯と消灯を交互に繰り返す)。また、電荷の読み出しに要する時間は、一例として2.56msである。
【0024】
上記の4回の撮像動作によって得られた第1電荷蓄積部46a及び第2電荷蓄積部46bの各々の電荷に基づいて画像処理プロセッサ26により差分画像が生成される。ここでいう「差分画像」とは、上記した光位置画像104に対応する画像である。本実施形態では、第1電荷蓄積部46aの電荷に基づく画像と第2電荷蓄積部46bの電荷に基づく画像の差分を取ったものが差分画像であり、この差分画像に対して更にノイズ除去や差分強調などの画像処理や人間の可視範囲の色調を表すデータに変換するなどの処理を行うことで光位置画像104が得られる。なお、原理上は差分画像を色調変換したものをそのまま光位置画像104として用いてもよい。
【0025】
また、上記の4回の撮像動作の後には、カメラ20の図示しないストロボが用いられ、このストロボが発光していない期間(1)においてカメラ20を露光させずに第1電荷蓄積部46a及び第2電荷蓄積部46bのそれぞれに蓄積された電荷と、ストロボが発光した期間(2)においてカメラ20を露光させて第1電荷蓄積部46a及び第2電荷蓄積部46bのそれぞれに蓄積された電荷を用いて、画像処理プロセッサ26によりこれらの差分を取ることで、通常画像が生成される。ここでもカメラ20の露光前にはリセットが実行され、その後カメラ20のシャッターが開けられて露光が実行され、その後シャッターを閉じた後に電荷の読み出しが実行される。そして、画像処理プロセッサ26により通常画像に光位置画像を重ね合わせることで発光画像が生成される。なお、上記のように差分を取ることでオフセット成分を除去したより鮮明な通常画像を得ることができるが、このような処理を省略し、ストロボの発光した期間(2)に対応する電荷を用いて通常画像を生成してもよい。
【0026】
なお、図6に示した「通常画像」の生成についても上記と同様に行われる。例えば、LED12の発光やそれに基づく差分画像の生成は実行されず、図7に示す場合と同様に期間T1内の42msが経過したあたりから上記と同様に通常画像が生成される。
【0027】
図8は、図7に示すカメラによる撮像に関わる期間T2における動作を示すタイムチャートである。ここでは発光画像の生成に係る動作の詳細なタイムチャートが示されている。ここで、期間T2は、上記した期間T1のうちの一部である0.55ms分の期間を示したものである。期間T1内ではここに示す動作が繰り返される。
【0028】
図示のように、LED12は、0.02msの間点灯した後に0.08msの間消灯するという動作を繰り返すようにドライバ16によって制御される。カメラ露光(発光側)は、第1電荷蓄積部46aに電荷が振り分けられて蓄積される期間を表し、カメラ露光(消灯側)は、第2電荷蓄積部46bに電荷が振り分けられて蓄積される期間を表している。図示のように、これらの期間は0.05ms毎に交互に繰り返している。LED12の発光タイミングは第1電荷蓄積部46aに電荷が蓄積される期間に対応付けられている。ここで、LED12は、第1電荷蓄積部46aに電荷が蓄積される期間のうち、先の0.02msの期間に対応して発光し、後の0.03msの期間では消灯するように制御されている。別言すれば、LED12が点灯(光出射)から消灯(光非出射)に切り替わった後にも一定期間が経過するためは引き続き第1電荷蓄積部46aに電荷が振り分けられ、一定期間経過後に第2電荷蓄積部46bに電荷が振り分けられる。これは、フォトダイオード42における光電変換に要する時間を考慮したものであり、具体的にはLED12の発光により生じた電荷が第2電荷蓄積部46bに振り分けられないようにするためである。
【0029】
上記のような動作が5.0msの期間内で繰り返された後、電荷の読み出しが開始される(上記した図7参照)。すなわち、第1電荷蓄積部46aへの電荷蓄積動作(露光動作)と第2電荷蓄積部46bへの電荷蓄積動作(露光動作)は、5.0msの期間内において0.1ms毎に1回ずつ繰り返し行われる。そして、このような動作によって得られた電荷が読み出され、それに基づいて1つの差分画像が生成される。詳細には、第1電荷蓄積部46aの電荷に基づいて得られる画像と、第2電荷蓄積部46bの電荷に基づいて得られる画像との差分を求めることで1つの差分画像が得られる。そして、この差分画像を用いて光位置画像104が得られる。
【0030】
第1電荷蓄積部46aと第2電荷蓄積部46bへの電荷の振り分けが短期間(本実施形態では5.0msの間)に多数回行われることで、第1電荷蓄積部46aへ蓄積される外部光による電荷と第2電荷蓄積部46bへ蓄積される外部光による電荷がそれぞれ平均化され、両者の差異を少なくすることができる。また、LED12を第1電荷蓄積部46aへの電荷の振り分け期間に対応して点灯させ、第2電荷蓄積部46bへの電荷振り分け期間に対応して消灯させるようにしているので、LED12の点灯による電荷は原理的には第1電荷蓄積部46aのみに蓄積される。従って、第1電荷蓄積部46aと第2電荷蓄積部46bの各々の電荷に基づいて生成される差分画像において、外部光やモーションアーチファクト(モーションアーチファクトとは、被験者の体動により画像がぼけること)によるノイズの影響を大幅に削減することができる。例えば、照明のフリッカやカーテンの揺れ等による外光の揺らぎ、また、手ブレ、被写体ブレ等による動作に伴う光の揺らぎを大幅に削減することができる。
【0031】
図9は、撮像装置1の全体動作を概略的に示した図である。図中の上段に示すように、カメラ20への入射光は、LED12の光以外の大部分が外部光(自然光や照明光)からなり、その光強度は変動し得る。ここで、図示のa群光とは、LED12の発光時にカメラ20の各画素部40におけるフォトダイオード42が受光する光である。このa群光による電荷は、各画素部40の第1電荷蓄積部46aに蓄積される。また、図示のb群光とは、LED12の非発光時にカメラ20の各画素部40におけるフォトダイオード42が受光する光である。このb群光による電荷は、各画素部40の第2電荷蓄積部46bに蓄積される。
【0032】
図中の2段目に示すように、カメラ20の受光状態は、電荷の振り分けを行う期間Aを1回、電荷の振り分けを行わない期間Bを4回で1サイクルを構成しており、このサイクルを繰り返す。図中の3段目に示すように、LED12は、ドライバ16の制御により期間Aにおいて所定の変調周波数に応じて点消灯する。この変調周波数は、例えば1kHz~100MHz程度の範囲内で設定することが可能であり、本実施形態では10kHzに設定されている。
【0033】
図中の3段目に示すように、期間Aにおいてa群光によって第1電荷蓄積部46aに蓄積された電荷を用いて画像処理プロセッサ26により1つの画像が生成される。これを図中ではΣ(a)画像と表している。また、期間Aにおいてb群光によって第2電荷蓄積部46bに蓄積された電荷を用いて画像処理プロセッサ26により1つの画像が生成される。これを図中ではΣ(b)画像と表している。これらのΣ(a)画像とΣ(b)画像の差分(Σ(b)画像-Σ(a)画像)を求め、適宜画像処理を行うことで、上記した光位置画像104が得られる。また、この光位置画像104と人体画像102を重ね合わせることで発光画像が得られ、情報処理プロセッサ28によってディスプレイ24に表示される。
【0034】
他方、各期間Bにおいて、電荷の振り分けをせず、LED12を消灯で維持した状態で第1電荷蓄積部46a及び第2電荷蓄積部46bに蓄積された電荷を用いて画像処理プロセッサ26により通常画像が生成され、情報処理プロセッサ28によってディスプレイ24に表示される。上記したように、1つの発光画像と4つの通常画像が200ms間隔で順に繰り返しディスプレイ24に表示される。これにより、ディスプレイ24を視認するユーザからは、LED12の光が人体に重なって点滅するような表示として感得され得る。このような表示により、LED12の位置、換言すればカテーテル10の先端の位置を容易に把握できる。また、LED12をカテーテル10の一端側の先端及び/又は中間位置に複数離間して配置した態様においては、カテーテル10の一端側の先端及び/又は中間位置を容易に把握できる。なお、1つの発光画像と4つの通常画像の切り替え周期によっては実質的に発光画像が常に表示された状態に感得され得る。
【0035】
以上のような実施形態によれば、体内の所望位置へのカテーテルの到達をより容易に確認することが可能になる。例えば、蠕動運動や逆流、収縮運動等によってカテーテル10に配置されているLED12の位置が当初の位置から変化したことを、ディスプレイ24を通して確認できる。よって、意図しない位置へのカテーテルの誤挿入を防止することができる。
【0036】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば。発光部の一例としてLEDを挙げていたがこれ以外の発光素子(例えば、レーザ素子)を用いて発光部を構成してもよい。さらに、光ファイバなどの導光手段を用いて発光素子等からの光をカテーテルの一端まで導光することにより発光部を構成してもよい。また、発光部から出射する光の波長は、対象体を透過可能であれば上記した赤外光の波長に限定されず、用途によっては紫外光の波長であってもよいし可視光の波長であってもよい。また、カメラ20は、発光部から出射する複数の光の波長を検出できるように波長フィルタを複数備えることもできる。また、カメラ20を離間して複数台設置することもできる。
【0037】
また、上記した実施形態では光電変換素子の一例としてフォトダイオードを挙げていたがこれに限定されない。例えば、アバランシェフォトダイオード、CCDセンサ、CMOSセンサなどを光電変換素子として用いてもよい。
【0038】
また、上記した実施形態では対象体の一例として人体を挙げ、人体内部に発光部を配置する場合について説明していたが、例えば、体内の腹腔、皮下、頭蓋内、胸腔内を含む組織、口から肛門までの管内、脳血管を含む血管内、尿管および膀胱などにも本開示は適用可能である。また、発光部を配置する位置は人体の外表面など人体近傍の位置であってもよい。また、対象体は人体以外のものであってもよい。また、対象体を人体以外のものとする場合であれば、その用途に応じた素材や形状のチューブを用いればよく、必ずしもカテーテル(人体に最適化されたもの)を用いなくてよい。
【0039】
また、上記した実施形態ではプロセッサの一例として画像処理プロセッサと情報処理プロセッサを分離して説明していたが、画像処理と情報処理を併せ持ったプロセッサであってもよい。また、画像処理プロセッサと情報処理プロセッサの全ての機能または一部の機能をカメラ側にもつものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10:カテーテル(チューブ)、12:LED(発光部)、14:配線ケーブル(信号線)、16:ドライバ(光源制御回路)、18:制御装置(コントローラ)、20:カメラ(撮像素子)、22:レンズ、24:ディスプレイ、26:画像処理プロセッサ、28:情報処理プロセッサ、40:画素部、42:フォトダイオード、44:電荷振分回路、46a:第1電荷蓄積部、46b:第2電荷蓄積部、100:人体、102:人体画像(外観画像)、104:光位置画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9