IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法 図1
  • 特開-電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法 図2
  • 特開-電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法 図3
  • 特開-電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法 図4
  • 特開-電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法 図5
  • 特開-電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法 図6
  • 特開-電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073693
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/20 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
G05D16/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186309
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅之
【テーマコード(参考)】
5H316
【Fターム(参考)】
5H316AA01
5H316BB05
5H316DD02
5H316DD03
5H316EE08
5H316FF01
(57)【要約】
【課題】ガスを通流するガス配管を開閉する電磁弁を当該電磁弁の二次側の圧力に基づいてフィードバック制御する際に、二次圧の乱れを良好に抑制しながらも、二次圧に追従する電磁弁の開閉制御の良好な応答性を保つ。
【解決手段】制御装置は、二次圧計測部にて計測された二次圧としての開閉制御指標が、所定の二次圧上限閾値を超えている場合に電磁弁を閉止状態とし、所定の二次圧下限値未満となる場合に電磁弁を開放状態とする電磁弁開閉制御を実行すると共に、電磁弁を閉止状態から開放状態へ切り替える切換時点としての第1切換時点又は開放状態から閉止状態へ切り替える切換時点としての第2切換時点の以降は、所定の開閉制御抑制期間に亘って、開閉制御指標を、切換時点の直前の二次圧又は現時点の直前の所定期間における二次圧の平均値のうち何れか一方として電磁弁の開閉を抑制する電磁弁開閉抑制制御を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを通流するガス通流配管を開閉する電磁弁の開閉状態を制御する制御装置を備えた電磁弁制御機構であって、
前記電磁弁の二次側の二次圧を計測する二次圧計測部を備え、
前記制御装置は、前記二次圧計測部にて計測された前記二次圧としての開閉制御指標が、所定の二次圧上限閾値を超えている場合に前記電磁弁を閉止状態とし、所定の二次圧下限値未満となる場合に前記電磁弁を開放状態とする電磁弁開閉制御を実行すると共に、
前記電磁弁を前記閉止状態から前記開放状態へ切り替える切換時点としての第1切換時点又は前記開放状態から前記閉止状態へ切り替える前記切換時点としての第2切換時点の以降は、所定の開閉制御抑制期間に亘って、前記開閉制御指標を、前記切換時点の直前の前記二次圧又は現時点の直前の所定期間における前記二次圧の平均値のうち何れか一方として前記電磁弁の開閉を抑制する電磁弁開閉抑制制御を実行する電磁弁制御機構。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記切換時点以降において、所定の単位時間における前記二次圧の最大値と最小値との差である振幅を導出し、当該振幅が所定の基準振幅未満となる時点を、前記開閉制御抑制期間の終了時点に設定する終了時点設定制御を実行する請求項1に記載の電磁弁制御機構。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記電磁弁の前記二次圧を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、前記切換時点以降において、所定の単位時間毎の前記二次圧の最大値及び最小値を外挿近似する指数関数を導出する第1指数関数導出処理と、
前記第1指数関数導出処理にて導出された前記指数関数の振幅が所定の基準振幅未満となる時点を、前記開閉制御抑制期間の終了時点に設定する終了時点設定制御とを実行する請求項1に記載の電磁弁制御機構。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記電磁弁の前記二次圧を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、前記切換時点以降において、所定の単位時間毎に前記二次圧を正弦曲線近似した正弦関数を導出する正弦関数導出処理と、
前記正弦関数導出処理にて導出された前記正弦関数の振幅が所定の基準振幅未満となる時点を、前記開閉制御抑制期間の終了時点に設定する終了時点設定制御とを実行する請求項1に記載の電磁弁制御機構。
【請求項5】
ガスを通流するガス通流配管を開閉する電磁弁の開閉状態を制御する電磁弁制御方法であって
前記電磁弁の二次側にて計測された二次圧としての開閉制御指標が、所定の二次圧上限閾値を超えている場合に前記電磁弁を閉止状態とし、所定の二次圧下限値未満となる場合に前記電磁弁を開放状態とする電磁弁開閉制御を実行すると共に、
前記電磁弁を前記閉止状態から前記開放状態へ切り替える切換時点としての第1切換時点又は前記開放状態から前記閉止状態へ切り替える前記切換時点としての第2切換時点の以降は、所定の開閉制御抑制期間に亘って、前記開閉制御指標を、前記切換時点の直前の前記二次圧と、現時点の直前の所定期間における前記二次圧の平均値のうち何れか一方として、前記電磁弁の開閉を抑制する電磁弁開閉抑制制御を実行する電磁弁制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを通流するガス通流配管を開閉する電磁弁の開閉状態を制御する制御装置を備えた電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料ガス(例えば、都市ガス13A)をガス使用機器が設けられる住戸等へ供給するガス通流配管には、ガス供給圧力を目標圧力に制御するべく、整圧装置としてのガバナが設けられている(特許文献1を参照)。
当該整圧装置では、例えば、ダイヤフラムが設けられる整圧室へ整圧装置の二次側の圧力である二次圧が伝達され、当該二次圧によるダイヤフラムの変位により、ガス通流配管に設けられダイヤフラムと連接される主弁体の開度が調整される形態で、二次側の圧力が調整可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-285665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、上述のガバナは、数千mN/hのガスが通流する中圧以上のガス通流配管にて用いられることが多いが、例えば、数十mN/hの比較的小流量のガスが通流するガス通流配管では、その二次側のガス圧が電磁弁により制御される場合がある。
この場合、例えば、二次圧が所定の二次圧下限閾値未満となった場合に、電磁弁を開放状態へ制御し、二次圧が所定の二次圧上限閾値を超えた場合に、電磁弁を閉止状態へ制御して、当該電磁弁の二次圧を所定の目標圧力に制御する。
【0005】
ところが、このような制御を行う場合、図2に示すように、電磁弁を所定時期tsで閉止状態から開放状態(又は開放状態から閉止状態)へ制御する場合、その後、所定の期間(図2ではtsからteまでの期間Tf)に亘って、電磁弁体がストロークする動作によって二次圧が乱れることになる。そして、当該乱れた二次圧に基づいて、電磁弁の開閉状態の制御を行うことにより、図3に示すように、上述の所定時期ts以降で、二次圧が大きく振動してしまう制御不良が発生する。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガスを通流するガス配管を開閉する電磁弁を当該電磁弁の二次側の圧力に基づいてフィードバック制御する際に、二次圧の乱れを良好に抑制しながらも、二次圧に追従する電磁弁の開閉制御の良好な応答性を保つことができる電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための電磁弁制御機構は、
ガスを通流するガス通流配管を開閉する電磁弁の開閉状態を制御する制御装置を備えた電磁弁制御機構であって、その特徴構成は、
前記電磁弁の二次側の二次圧を計測する二次圧計測部を備え、
前記制御装置は、前記二次圧計測部にて計測された前記二次圧としての開閉制御指標が、所定の二次圧上限閾値を超えている場合に前記電磁弁を閉止状態とし、所定の二次圧下限値未満となる場合に前記電磁弁を開放状態とする電磁弁開閉制御を実行すると共に、
前記電磁弁を前記閉止状態から前記開放状態へ切り替える切換時点としての第1切換時点又は前記開放状態から前記閉止状態へ切り替える前記切換時点としての第2切換時点の以降は、所定の開閉制御抑制期間に亘って、前記開閉制御指標を、前記切換時点の直前の前記二次圧又は現時点の直前の所定期間における前記二次圧の平均値のうち何れか一方として前記電磁弁の開閉を抑制する電磁弁開閉抑制制御を実行する点にある。
【0008】
上記目的を達成するための電磁弁制御方法は、
ガスを通流するガス通流配管を開閉する電磁弁の開閉状態を制御する電磁弁制御方法であって、その特徴構成は、
前記電磁弁の二次側にて計測された二次圧としての開閉制御指標が、所定の二次圧上限閾値を超えている場合に前記電磁弁を閉止状態とし、所定の二次圧下限値未満となる場合に前記電磁弁を開放状態とする電磁弁開閉制御を実行すると共に、
前記電磁弁を前記閉止状態から前記開放状態へ切り替える切換時点としての第1切換時点又は前記開放状態から前記閉止状態へ切り替える前記切換時点としての第2切換時点の以降は、所定の開閉制御抑制期間に亘って、前記開閉制御指標を、前記切換時点の直前の前記二次圧と、現時点の直前の所定期間における前記二次圧の平均値のうち何れか一方として、前記電磁弁の開閉を抑制する電磁弁開閉抑制制御を実行する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、まずもって、二次圧計測部にて計測された二次圧としての開閉制御指標が、所定の二次圧上限閾値を超えている場合に電磁弁を閉止状態とし、所定の二次圧下限値未満となる場合に電磁弁を開放状態とする電磁弁開閉制御を実行するから、二次圧を二次圧上限閾値と二次圧下限閾値との間に設定される二次圧目標値へ制御することができる。ただし、当該電磁弁開閉制御による二次圧の制御では、上述したように、二次圧の乱れが生じる。
そこで、上記特徴構成では、電磁弁を閉止状態から開放状態へ切り替える切換時点としての第1切換時点又は開放状態から閉止状態へ切り替える切換時点としての第2切換時点の以降は、所定の開閉制御抑制期間に亘って、開閉制御指標を、切換時点の直前の二次圧又は現時点の直前の所定期間における二次圧の平均値のうち何れか一方として電磁弁の開閉を抑制する電磁弁開閉抑制制御を実行する。これにより、電磁弁の開閉制御を実行した切換時点以降において二次圧の乱れが発生している場合であっても、切換時点以降の開閉制御抑制期間では、開閉制御指標を、乱れが生じている二次圧ではなく、切換時点の直前の二次圧又は現時点の直前の所定期間における二次圧の平均値のうち何れか一方とすることで、切換時点以降に制御不良が発生することを良好に防止できる。
また、上記特徴構成によれば、現時点の直前の所定期間における二次圧の一定期間毎の平均値や移動平均値を常に開閉制御指標として電磁弁を開閉制御する場合に比べ、開閉制御抑制期間以外においては、二次圧に追従する形で電磁弁開閉制御が実行されるから、二次圧の変化に対する電磁弁の開閉切り換えの応答性を高くすることができる。
以上より、ガスを通流するガス配管を開閉する電磁弁を当該電磁弁の二次側の圧力に基づいてフィードバック制御する際に、二次圧の乱れを良好に抑制しながらも、二次圧に追従する電磁弁の開閉制御の良好な応答性を保つことができる電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法を実現できる。
【0010】
電磁弁制御機構の更なる特徴構成は、
前記制御装置は、前記切換時点以降において、所定の単位時間における前記二次圧の最大値と最小値との差である振幅を導出し、隣接する前記単位時間において前の前記単位時間での振幅に対する後の前記単位時間での振幅の比である減衰割合を導出し、当該振幅が所定の基準振幅未満となる時点を、前記開閉制御抑制期間の終了時点に設定する終了時点設定制御を実行する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、まずもって、切換時点以降において、所定の単位時間における二次圧の最大値と最小値との差である振幅を導出し、当該振幅が所定の基準振幅未満となる時点を開閉制御抑制期間の終了時点に設定するから、導出された減衰割合により、電磁弁開閉制御により二次圧を制御した際に制御不良が発生しなくなる時点を、良好に予測できる。
【0012】
電磁弁制御機構の更なる特徴構成は、
前記制御装置は、
前記電磁弁の前記二次圧を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、前記切換時点以降において、所定の単位時間毎の前記二次圧の最大値及び最小値を外挿近似する指数関数を導出する第1指数関数導出処理と、
前記第1指数関数導出処理にて導出された前記指数関数の振幅が所定の基準振幅未満となる時点を、前記開閉制御抑制期間の終了時点に設定する終了時点設定制御とを実行する点にある。
【0013】
通常、電磁弁の二次圧を計測する場合、図5に示すように、正常な二次圧の値から大きく外れたスパイクノイズSnと呼ばれるノイズが発生する場合がある。
上記特徴構成によれば、第1指数関数導出処理により、電磁弁の二次圧を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、切換時点以降において、所定の単位時間の二次圧の最大値及び最小値を外挿近似する指数関数を導出するから、当該指数関数は、通常の二次圧の計測点数よりもはるかに少ない計測点数であるスパイクノイズの影響を十分に低減し、正常な二次圧の最大値及び最小値に沿った関数となる。
このように、第1指数関数導出処理にて導出された指数関数の振幅が所定の基準振幅未満となる時点を開閉制御抑制期間の終了時点に設定するから、開閉制御抑制期間の終了時点を導出する際に、スパイクノイズの影響を低減することができる。
【0014】
電磁弁制御機構の更なる特徴構成は、
前記制御装置は、
前記電磁弁の前記二次圧を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、前記切換時点以降において、所定の単位時間毎に前記二次圧を正弦曲線近似した正弦関数を導出する正弦関数導出処理と、
前記正弦関数導出処理にて導出された前記正弦関数の振幅が所定の基準振幅未満となる時点を、前記開閉制御抑制期間の終了時点に設定する終了時点設定制御とを実行する点にある。
【0015】
上述したように、通常、電磁弁の二次圧を計測する場合、図6に示すように、正常な二次圧の値から大きく外れたスパイクノイズSnと呼ばれるノイズが発生する場合がある。
上記特徴構成によれば、まずもって、正弦関数導出処理により、切換時点以降において、所定の単位時間毎に二次圧を正弦曲線近似した正弦関数を導出するから、当該正弦関数は、通常の二次圧の計測点数よりもはるかに少ない計測点数であるスパイクノイズの影響を十分に低減した形態で、正常な二次圧の振幅に沿った関数となる。
このように、正弦関数導出処理にて導出された正弦関数の振幅が所定の基準振幅未満となる時点を開閉制御抑制期間の終了時点に設定するから、開閉制御抑制期間の終了時点を導出する際に、スパイクノイズの影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る電磁弁制御機構に係る概略構成図である。
図2】電磁弁を閉止状態から開放状態へ移行した場合における二次圧の乱れを示すグラフ図である。
図3】乱れが生じている二次圧に基づいて電磁弁開閉制御を実施した場合に制御不良が生じている例を示すグラフ図である。
図4】実施形態に係る電磁弁開閉制御及び電磁弁開閉抑制制御の制御フロー図である。
図5】実施形態に係る電磁弁開閉制御及び電磁弁開閉抑制制御を説明するグラフ図である。
図6】別実施形態に係る電磁弁開閉制御及び電磁弁開閉抑制制御を説明するグラフ図である。
図7】別実施形態に係る電磁弁開閉制御及び電磁弁開閉抑制制御を説明するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る電磁弁制御機構100及び電磁弁制御方法は、ガスを通流するガス配管を開閉する電磁弁を当該電磁弁の二次側の圧力に基づいてフィードバック制御する際に、二次圧の乱れを良好に抑制しながらも、二次圧に追従する電磁弁の開閉制御の良好な応答性を保つことができるものに関する。
以下、図面に基づいて、電磁弁制御機構100及び電磁弁制御方法について説明する。
【0018】
当該実施形態に係る電磁弁制御機構100は、図1に示すように、ガス(例えば、都市ガス13A)を通流するガス通流配管Lを開閉する電磁弁Vと、電磁弁Vの二次側の二次圧を計測する圧力センサP(二次圧計測部の一例)と、当該圧力センサPにて測定された二次圧等に基づいて、当該電磁弁Vの開閉状態を制御する制御装置Cとを備えて構成されている。
【0019】
より詳細には、制御装置Cは、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されるものであり、圧力センサPにて計測された二次圧としての開閉制御指標が、所定の二次圧上限閾値(制御目標圧力(例えば、2.3kPa)より高い値)を超えている場合に電磁弁Vを閉止状態とし、所定の二次圧下限値(制御目標圧力(例えば、2.3kPa)より低い値)未満となる場合に電磁弁Vを開放状態とする電磁弁開閉制御と、電磁弁Vを閉止状態から開放状態へ切り替える切換時点としての第1切換時点又は開放状態から閉止状態へ切り替える切換時点としての第2切換時点の以降は、所定の開閉制御抑制期間に亘って、開閉制御指標を、切換時点の直前の二次圧として電磁弁Vの開閉を抑制する電磁弁開閉抑制制御とを含む電磁弁制御方法を実行する。
【0020】
ここで、開閉制御抑制期間の導出処理について説明を追加する。
制御装置Cは、図5に例示するように、電磁弁Vの二次圧を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、上述の切換時点ts以降において、所定の単位時間T(T、T、・・・T:例えば、0.1秒以上1.0秒以下の時間)毎の二次圧の最大値Pα及び最小値Pβを外挿近似する指数関数F1を導出する第1指数関数導出処理と、第1指数関数導出処理にて導出された指数関数F1の振幅ΔPが所定の基準振幅ΔPi(例えば、制御目標圧力を2.3kPaとした場合、0.02kPa)未満となる時点を、開閉制御抑制期間の終了時点teに設定する終了時点設定制御とを実行する。
即ち、制御装置Cは、開閉制御抑制期間の開始時点tsから、開閉制御抑制期間の開始時点tsにて電磁弁Vが閉止状態から開放状態となったことによる二次圧の乱れが十分に減衰したと考えられる開閉抑制期間の終了時点teまでは、乱れた二次圧に基づく電磁弁Vの開閉制御を抑制し、二次圧の制御不良を防止する。
因みに、図5に示す例では、制御装置Cは、開閉抑制期間においては、圧力センサPが二次圧上限閾値を超える場合又は二次圧下限閾値を下回る場合(図5でγで示す場合)の何れでも、電磁弁Vの開閉制御を行わず、現状の開閉状態が維持される。
【0021】
以下、図4の制御フロー図、及び図5のグラフ図に基づいて、電磁弁開閉制御及び電磁弁開閉抑制制御の詳細について説明を追加する。
制御装置Cは、電磁弁開閉制御を開始し、開閉制御指標として圧力センサPにて測定される二次圧を設定する(#01、#02)。
当該電磁弁開閉制御において、制御装置Cは、圧力センサPにて計測された二次圧としての開閉制御指標が、二次圧上限閾値を超えている場合(#03でYES)、電磁弁Vを閉止状態へ切り換え(#04)、二次圧下限値未満となる場合に電磁弁V(#03でYES)開放状態へ切り換え、圧力センサPにて計測された二次圧としての開閉制御指標が、二次圧上限閾値以下且つ二次圧下限閾値以上の場合(#03でNO)、電磁弁Vの現状の開閉状態を維持する。
制御装置Cは、#04にて電磁弁Vの開閉状態の切り換えが実行されると、当該切換時点tsに、電磁弁開閉抑制制御を開始し(#05)、開閉制御指標を電磁弁Vの開閉状態の切り換えが実行される直前の二次圧(固定値)に設定する(#06)。これにより、電磁弁開閉抑制制御が継続される間、開閉制御指標が固定されるため、電磁弁Vの現状の開閉状態が維持されることになる。
更に、制御装置Cは、単位時間T毎で圧力センサPにて計測される二次圧の最大値Pαを抽出し(#07)、抽出した二次圧の最大値及び最小値に基づいて第1指数関数導出処理を実行する(#08)。当該第1指数関数導出処理では、単位時間T毎で導出された二次圧の最大値の外挿近似により指数関数F1を導出する。これにより、現時点で取得される二次圧のデータ群よりも先の時点における単位時間T毎の二次圧の最大値が予測される。尚、このように指数関数F1による近似を行うことで、スパイクノイズSnの制御への影響を十分に低減できる。
制御装置Cは、図5に示すように、第1指数関数導出処理にて導出された指数関数F1の振幅ΔPが所定の基準振幅ΔPi未満となる時点を、電磁弁開閉抑制制御の終了時点teに設定し(#09)、設定された終了時点になると電磁弁開閉抑制制御を終了し、電磁弁開閉制御に戻る(#10)。
ここで、制御装置Cは、電磁弁開閉制御を終了する指令がない場合、即ち、外部から電磁弁開閉制御の終了する制御信号が入力されない場合(#11でYES),#02~#10までの制御を繰り返し、電磁弁開閉制御を終了する指令があった場合(#11でNO)、制御を終了する。
【0022】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、制御装置Cは、電磁弁開閉抑制制御では、切換時点から所定の開閉制御期間に亘って、開閉制御指標を切換時点の直前の二次圧とする例を示した。
他の制御例として、制御装置Cは、電磁弁開閉抑制制御では、切換時点から所定の開閉制御期間に亘って、開閉制御指標を、現時点の直前の所定期間(例えば、0.1秒以上1.0秒以下の時間)における二次圧の平均値(ここでは、移動平均値)とすることができる。
【0023】
(2)上記実施形態では、制御装置Cは、第1指数関数導出処理において、電磁弁Vの二次側の圧力を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、上述の切換時点以降において、所定の単位時間T毎の二次圧の最大値に外挿近似する指数関数を導出する例を示した。
他の例としては、制御装置Cは、第1指数関数導出処理において、電磁弁Vの二次側の圧力を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、上述の切換時点以降において、所定の単位時間T毎の二次圧の最小値に外挿近似する指数関数を導出しても構わない。
【0024】
(3)制御装置Cは、指数関数導出処理に先立って、所定の単位時間T(例えば、0.1秒以上1.0秒以下の時間)毎に、二次圧を正弦曲線近似しても構わない。
より詳細には、制御装置Cは、図6に示すように、電磁弁Vの二次圧を被説明変数とし時間を説明変数とした場合に、切換時点ts以降において、所定の単位時間T(T、T、・・・T:例えば、0.1秒以上1.0秒以下の時間)毎に二次圧を正弦曲線近似した正弦関数F2を導出する正弦関数導出処理と、当該正弦関数導出処理にて導出された正弦関数F2の振幅ΔPが所定の基準振幅ΔPi(例えば、制御目標圧力を2.3kPaとした場合、0.02kPa)となる時点を、開閉制御抑制期間の終了時点teに設定する終了時点設定制御とを実行するように構成しても構わない。
【0025】
(4)制御装置Cは、図7に示すように、所定の単位時間T(T、T、・・・T:例えば、0.1秒以上1.0秒以下の時間)における二次圧の最大値Pαと最小値Pβとの差である振幅ΔPを導出し、当該振幅ΔPが、所定の基準振幅ΔPi(例えば、制御目標圧力を2.3kPaとした場合、0.02kPa)未満となる時点を、開閉制御抑制期間の終了時点teに設定する終了時点設定制御を実行するように構成しても構わない。
【0026】
(5)上記実施形態では、制御対象のガスとして都市ガス13Aを例示したが、当該ガスに限らず、他のガスを対象とする場合であっても、良好にその制御を実行可能である。
【0027】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法は、ガスを通流するガス配管を開閉する電磁弁を当該電磁弁の二次側の圧力に基づいてフィードバック制御する際に、二次圧の乱れを良好に抑制しながらも、二次圧に追従する電磁弁の開閉制御の良好な応答性を保つことができる電磁弁制御機構、及び電磁弁制御方法として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
100 :電磁弁制御機構
C :制御装置
F1 :指数関数
F2 :指数関数
F3 :正弦関数
L :ガス通流配管
P :圧力センサ
Pα :最大値
Pβ :最小値
T :単位時間
V :電磁弁
te :終了時点
ts :切換時点
ΔP :振幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7