(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073695
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】半波長アンテナ装置及びそれを用いる低背型アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/32 20060101AFI20230519BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20230519BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20230519BHJP
H01Q 9/40 20060101ALI20230519BHJP
H01Q 19/26 20060101ALI20230519BHJP
H01Q 21/30 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H01Q9/32
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
H01Q9/40
H01Q19/26
H01Q21/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186311
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】飯野 慎治
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J020AA00
5J020BC08
5J020CA01
5J020DA03
5J020DA04
5J021AA02
5J021AA13
5J021AB02
5J021AB09
5J021HA10
5J021JA03
5J046AA04
5J046AA12
5J046AB06
5J046MA09
5J047AA04
5J047AA12
5J047AB06
5J047EB00
(57)【要約】
【課題】小型で指向性を調整可能な半波長アンテナ装置を提供する。
【解決手段】車両用の半波長アンテナ装置は、導電板10と、半波長エレメント20と、無給電素子30とからなる。導電板10は、給電部11とグラウンド12とを有する。半波長エレメント20は、導電板10上に立設され給電部11に接続されると共にグラウンド12とは絶縁される。無給電素子30は、半波長エレメント20に電磁結合するように半波長エレメント20に平行に近接配置されると共にグラウンド12とは絶縁される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の半波長アンテナ装置であって、該半波長アンテナ装置は、
給電部とグラウンドとを有する導電板と、
前記導電板上に立設され給電部に接続されると共にグラウンドとは絶縁される、半波長エレメントと、
前記半波長エレメントに電磁結合するように半波長エレメントに平行に近接配置されると共にグラウンドとは絶縁される、無給電素子と、
を具備することを特徴とする半波長アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半波長アンテナ装置において、前記半波長エレメントは、板状エレメントであり、インピーダンス整合用に、給電部への給電線路の両側にスリットが設けられることを特徴とする半波長アンテナ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半波長アンテナ装置であって、さらに、誘電体基板を有し、
前記半波長エレメントと無給電素子とは、誘電体基板の表裏面にそれぞれ配置される、
ことを特徴とする半波長アンテナ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の半波長アンテナ装置を用いる車両用の低背型アンテナ装置であって、該低背型アンテナ装置は、
車両に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレートに対して高さ方向に間隔を設けて配置され、第1周波数帯用のアンテナとして機能する第1周波数帯用エレメントと、
前記ベースプレートに嵌合し第1周波数帯用エレメントを内側に収容するアンテナカバーと、
を具備し、
半波長アンテナ装置の少なくとも半波長エレメント及び無給電素子が、上面視で第1周波数帯用エレメントに覆われる位置に配置される、
ことを特徴とする低背型アンテナ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の低背型アンテナ装置であって、さらに、
前記ベースプレート上に配置され、給電端子を有する回路基板と、
前記第1周波数帯用エレメントと給電端子との間に接続されるコイルであって、第1周波数帯用エレメントとコイルの直列回路により第2周波数帯用の共振アンテナとして機能するように調整される、コイルと、
を具備し、
前記コイルは、その軸方向がベースプレートに平行且つ第1周波数帯用エレメントの長手方向に平行となるように配置される、
ことを特徴とする低背型アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半波長アンテナ装置及びそれを用いる低背型アンテナ装置に関し、特に、指向性を調整可能な半波長アンテナ装置及び該半波長アンテナ装置を用いる低背型アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両には種々のアンテナ装置が搭載されるが、そのようなアンテナ装置として、例えばAM放送及びFM放送が受信可能なAM/FMラジオ用アンテナがある。AM/FMラジオ用アンテナとしては、一般的にロッドアンテナが使用される。ロッドアンテナは、螺線形状の導体からなるエレメント(ヘリカルエレメント)をカバーで被覆したエレメント部とエレメント部を取り付けるためのベースプレートからなる。
【0003】
このロッドアンテナは、車体に取り付けた際に、エレメント部が車体から大きく突出するため、車両の美観やデザインを損ね、車庫入れや洗車時に破損するおそれがあり、また車外に露出して取り付けられるためエレメント部が盗難に遭うおそれもある。
【0004】
このような問題から、アンテナ装置全体の高さをロッドアンテナより低くすると共に、エレメントをアンテナケースに収容して車外への露出から守り、アンテナ装着後の車両全体のデザインを考慮してアンテナケースをフカヒレ形状(シャークフィン形状)で構成した低背型アンテナ装置が提案されている。このような低背型のアンテナ装置は、法規制等との兼ね合いから、高さが70mm以下で、長手方向の長さが200mm前後であるものが多い。
【0005】
しかしながら、このようなアンテナ装置には、70mm以下の低姿勢とすることによるアンテナの導体損失(エレメント長の短縮)の影響で放射効率が低下しやすくなり、感度劣化の原因となるという問題がある。さらに、近来では車両にはTELアンテナやGPSアンテナ、車車間・路車間通信用のV2Xアンテナ等、種々のアンテナを車載する複合アンテナ装置とする必要がある。したがって、低背型アンテナ装置の狭い空間の中に如何にこれらの複数のアンテナを収容するかが課題となっていた。そして、狭い空間の中に収容する際、組み合わせるアンテナによって、アンテナの指向性を調整する必要があった。
【0006】
例えば、特許文献1では、局面又は屈曲面状のパッチ素子を有するパッチアンテナの指向性を調整したアンテナ装置が開示されている。具体的には、特許文献1の装置は、パッチ素子を曲面又は屈曲面状とした構成により、天頂方向の指向性を調整するものである。
【0007】
また、特許文献2では、アンテナ素子の指向性を調整したアンテナ装置が開示されている。具体的には、特許文献2の装置は、ダイポールアンテナやモノポールアンテナとして機能するアンテナ素子に平行に、グラウンドと無給電素子とを配置した構成により、無給電素子を反射器として用いて指向性を調整するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-068124号公報
【特許文献2】国際公開番号2018/198349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1は、パッチアンテナの指向性を調整するものであり、直線偏波アンテナの指向性を調整するものではなかった。また、特許文献2は、1/4波長用の板状アンテナ素子の指向性を調整するものであった。
【0010】
また、複数のアンテナを収容する複合アンテナ装置の場合、反射器や放射器として他のアンテナを用いることも可能である。この場合には、各アンテナ間の距離は1/4波長分離す必要があった。しかしながら、低背型アンテナ装置の狭い空間の中では、各アンテナ間の距離を離すのが難しかった。
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑み、小型で指向性を調整可能な半波長アンテナ装置を提供しようとするものである。また、そのような半波長アンテナ装置を用いた低背型アンテナ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による半波長アンテナ装置は、給電部とグラウンドとを有する導電板と、導電板上に立設され給電部に接続されると共にグラウンドとは絶縁される、半波長エレメントと、半波長エレメントに電磁結合するように半波長エレメントに平行に近接配置されると共にグラウンドとは絶縁される、無給電素子と、を具備するものである。
【0013】
ここで、半波長エレメントは、板状エレメントであり、インピーダンス整合用に、給電部への給電線路の両側にスリットが設けられるものであっても良い。
【0014】
さらに、誘電体基板を有し、半波長エレメントと無給電素子とは、誘電体基板の表裏面にそれぞれ配置されるものであっても良い。
【0015】
また、本発明の半波長アンテナ装置を用いる車両用の低背型アンテナ装置は、車両に固定されるベースプレートと、ベースプレートに対して高さ方向に間隔を設けて配置され、第1周波数帯用のアンテナとして機能する第1周波数帯用エレメントと、ベースプレートに嵌合し第1周波数帯用エレメントを内側に収容するアンテナカバーと、を具備し、半波長アンテナ装置の少なくとも半波長エレメント及び無給電素子が、上面視で第1周波数帯用エレメントに覆われる位置に配置される、ものであっても良い。
【0016】
さらに、ベースプレート上に配置され、給電端子を有する回路基板と、第1周波数帯用エレメントと給電端子との間に接続されるコイルであって、第1周波数帯用エレメントとコイルの直列回路により第2周波数帯用の共振アンテナとして機能するように調整される、コイルと、を具備し、コイルは、その軸方向がベースプレートに平行且つ第1周波数帯用エレメントの長手方向に平行となるように配置されるものであっても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明の半波長アンテナ装置及び低背型アンテナ装置には、小型で指向性を調整可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の半波長アンテナ装置を説明するための概略側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の半波長アンテナ装置の具体例を説明するための概略斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の半波長アンテナ装置の指向性パターンである。
【
図4】
図4は、比較例として無給電素子をグラウンドに接続した場合の指向性パターンである。
【
図5】
図5は、本発明の半波長アンテナ装置の他の具体例を説明するための概略斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の半波長アンテナ装置のさらに他の具体例を説明するための概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の半波長アンテナ装置を用いた低背型アンテナ装置を説明するための概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の半波長アンテナ装置を説明するための概略側面図である。図示の通り、本発明の半波長アンテナ装置は、導電板10と、半波長エレメント20と、無給電素子30とからなる。そして、同軸ケーブル1を用いて給電される。
【0020】
導電板10は、給電部11と、グラウンド12とを有するものである。導電板10は、例えばプリント基板で提供されれば良い。即ち、プリント基板のベタアース部分がグラウンド12となり、グラウンド12から絶縁された部分が給電部11となる。同軸ケーブル1の内部導体が給電部11に接続され、外部導体がグラウンド12に接続されれば良い。なお、導電板10は、プリント基板で提供される必要は必ずしもなく、例えば板状導電体に貫通孔を開けて給電部11が設けられるように構成されるものであれば良い。
【0021】
半波長エレメント20は、導電板10上に立設されるものである。半波長エレメント20は、給電部11に接続されると共に、グラウンド12とは絶縁されるものである。図示例では導電板10上に直角に半波長エレメント20が設置される例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、半波長エレメント20に対して導電板10が地板となるように配置されるものであれば、多少の傾きは許容される。また、図示例では、半波長エレメント20は棒状エレメントで構成される例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、板状エレメントで構成されるものであっても良い。
【0022】
ここで、半波長エレメント20とは、エレメント長を対応周波数帯の波長の1/2としたモノポールアンテナである。具体的には、半波長エレメント20のエレメント長は、例えばV2X用のエレメントであれば、5.9GHz帯の波長の1/2の長さを有するものであれば良い。なお、半波長エレメント20のエレメント長は、短縮率等に応じて適宜調整されれば良い。
【0023】
そして、無給電素子30は、半波長エレメント20に電磁結合するように、半波長エレメント20に平行に近接配置されるものである。無給電素子30は、グラウンド12とは絶縁されている。即ち、無給電素子30は、グラウンド12にも給電部11にも接続されないものである。無給電素子30は、半波長エレメント20になるべく広い範囲で電磁結合するように、半波長エレメント20と同等かそれよりも大きいものが好ましい。本発明の半波長アンテナ装置は、この無給電素子30の配置位置や長さや幅、半波長エレメント20との距離によって、アンテナの指向性を調整することが可能となる。具体的に一例を挙げれば、無給電素子30は、例えば1/20波長程度の距離を設けて半波長エレメント20に平行に近接配置されれば良い。また、無給電素子30は、グラウンド12からは例えば1mm程度上側に持ち上げて離して配置されれば良い。
【0024】
このように構成された本発明の半波長アンテナ装置は、半波長エレメント20が導電板10に立設されているためモノポールアンテナのような振る舞いもしつつ、半波長エレメント20に無給電素子30が電磁結合するため、マイクロストリップアンテナのような振る舞いもする。
【0025】
本発明の半波長アンテナ装置は、このように無給電素子30により指向性を調整できるようになる。具体的には、半波長エレメント20の指向性を、無給電素子30が設けられる側とは反対方向に向けることが可能となる。即ち、無給電素子30は半波長エレメント20に対して反射器のような振る舞いをする。しかしながら、反射器は本来1/4波長以上離す必要があるため、無給電素子30は反射器とは違う振る舞いをしている。
【0026】
このように、本発明の半波長アンテナ装置は、半波長エレメント20と無給電素子30とが近接配置されるため、小型のアンテナ装置とすることが可能となる。そして、無給電素子30により、小型でありながら指向性を調整可能なアンテナ装置となっている。
【0027】
図2は、本発明の半波長アンテナ装置の具体例を説明するための概略斜視図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、この例では、半波長エレメント20が板状エレメントで構成されている。板状の半波長エレメント20は、例えば、板金加工により板金を切り出して形成されれば良い。また、無給電素子30も導電板状体で構成されている。板状の無給電素子30も同様に、例えば板金加工により板金を切り出して形成されれば良い。このように構成されることにより、無給電素子30が半波長エレメント20に、より強く電磁結合可能となるため、より広い範囲で指向性を調整可能となる。
【0028】
図3は、本発明の半波長アンテナ装置の指向性パターンであり、
図3(a)が垂直方向の指向性を、
図3(b)が水平方向の指向性である。無給電素子がない場合には無指向性となる。しかしながら、本発明の半波長アンテナ装置の場合には、図示の通り、無給電素子30が設けられる側とは反対方向に指向性が向いていることが分かる。このように、本発明の半波長アンテナ装置では、近接配置される無給電素子30を用いることで、半波長エレメント20の指向性を調整することが可能となる。
【0029】
なお、無給電素子30をグラウンド12に接続した場合には、
図4に示されるような指向性となる。
図4は、比較例として無給電素子をグラウンドに接続した場合の指向性パターンであり、
図4(a)が垂直方向の指向性を、
図4(b)が水平方向の指向性である。図示の通り、無給電素子30をグラウンド12に接続した場合には、本発明の半波長アンテナ装置と比べて無指向性に近づく。したがって、無給電素子30は、グラウンド12には接続せず、グラウンド12からは絶縁されることが好ましい。このように、本発明では、無給電素子30をグラウンド12に接続する必要がないため、無給電素子30の配置の自由度も高い。
【0030】
図5は、本発明の半波長アンテナ装置の他の具体例を説明するための概略斜視図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、半波長エレメント20が板状エレメントで構成される点は
図2と同様である。この例では、半波長エレメント20の、給電部11への給電線路の両側にスリット21が形成されている。スリット21は、インピーダンス整合用に用いられる。即ち、スリット21の深さを調整することで、板状エレメントのエレメント長を変えず給電線路の長さを変え、例えば50Ωにインピーダンス整合させることが可能となる。このように板状エレメントにスリット21を設けることで、例えば整合回路を別途設ける必要がなくなる。
【0031】
また、図示例では、半波長エレメント20と無給電素子30との間に、基台40が配置されている。基台40は、絶縁体からなるものであれば良い。基台40を導電板10に立設固定し、基台40の表裏面にそれぞれ半波長エレメント20と無給電素子30を配置すれば良い。半波長エレメント20や無給電素子30には、適宜係止穴22を設け、基台40には係止穴22に係止する係止爪41を設けることで、組付けも容易となる。また、基台40を誘電体で構成すれば、エレメント長を短くすることが可能となり、より小型化が可能となる。
【0032】
図6は、本発明の半波長アンテナ装置のさらに他の具体例を説明するための概略図であり、
図6(a)が前面図であり、
図6(b)が後面図である。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、この例では、基台40が誘電体基板で構成されている。そして、半波長エレメント20と無給電素子30とは、誘電体基板からなる基台40の表裏面にそれぞれ配置されている。図示例では、基台40は例えば両面に金属薄膜を有する両面プリント基板からなる例を示した。両面プリント基板の金属薄膜を、本発明の半波長アンテナ装置の半波長エレメント20及び無給電素子30になるように、適宜パターンニング形成している。このように、板金加工ではなく、プリント基板のパターンニング形成により提供されても良い。
【0033】
上述のように構成される本発明の半波長アンテナ装置は、小型で指向性を調整可能であるため、車両用の低背型アンテナ装置に適用しても良い。即ち、高さが70mm以下といったシャークフィン形状の低背型アンテナ装置のような、内部空間が狭いものに適用する際にも、本発明の半波長アンテナ装置であれば容易に収容でき、さらに所望の指向性を有するように調整が可能である。
【0034】
図7は、本発明の半波長アンテナ装置を用いた低背型アンテナ装置を説明するための概略側面図である。なお、低背型アンテナ装置の内部を説明するために、一部断面図とした。図示の通り、本発明の半波長アンテナ装置を適用する低背型アンテナ装置は、ベースプレート50と、第1周波数帯用エレメント60と、アンテナカバー70とを具備するものである。
【0035】
ベースプレート50は、車両に固定されるものである。ベースプレート50は、具体的には、例えば樹脂等の絶縁体で形成される所謂樹脂ベースであっても良いし、金属等の導電体で形成される所謂金属ベースであっても良い。また、ベースプレート50は、樹脂と金属のコンポジットベースであっても良い。ベースプレート50には、例えばねじボス51が設けられている。車両のルーフ等に設けられた孔にねじボス51が挿入され、例えば車両室内からナットを用いてルーフ等を挟み込むようにしてベースプレート50がルーフに固定される。ねじボス51には、例えば車両内部とアンテナ装置とを接続する電源ケーブルや同軸ケーブル等が挿通される。また、ベースプレート50は、後述のアンテナカバー70により覆われるように構成されている。
【0036】
第1周波数帯用エレメント60は、第1周波数帯用のアンテナとして機能するものである。例えば、第1周波数帯用エレメント60は、所謂容量装荷アンテナエレメントであれば良い。具体的には、第1周波数帯とはAM周波数帯であれば良い。AM周波数帯では、第1周波数帯用エレメント60は容量アンテナとして機能する。また、第1周波数帯用エレメント60のエレメント長が所望の周波数帯に対応する長さを有するものであっても良い。例えばDTV周波数帯であれば良い。DTV周波数帯では、第1周波数帯用エレメント60は共振アンテナとして機能する。第1周波数帯用エレメント60は、ベースプレート50に対して高さ方向に間隔を設けて配置されるものである。
図7に示される例では、図面上、左側が車両進行方向であり、第1周波数帯用エレメント60は、その長手方向が車両進行方向を向いている。
【0037】
アンテナカバー70は、ベースプレート50に嵌合し、第1周波数帯用エレメント60を内側に収容するものである。図示例では、アンテナカバー70は、低背型アンテナ装置の外形を画定するものである。なお、本発明の低背型アンテナ装置はこれに限定されず、例えば、アンテナカバー70がインナーカバーとアウターカバーとからなるものであっても良い。即ち、2重カバーであっても良い。この場合、インナーカバーが第1周波数帯用エレメント60を内側に収容するものであり、アウターカバーが外形を画定するものとなる。
【0038】
そして、本発明の半波長アンテナ装置が、上面視で第1周波数帯用エレメント60に覆われる位置に配置されている。具体的には、ベースプレート50上に設けられたボスに導電板10が固定されている。そして、半波長エレメント20や無給電素子30が、第1周波数帯用エレメント60の下側で覆われるように配置されている。なお、導電板10は必ずしも第1周波数帯用エレメント60に完全に覆われる必要はなく、少なくとも半波長エレメント20及び無給電素子30が第1周波数帯用エレメント60に覆われる位置に配置されれば良い。また、導電板10は、図示例のようにベースプレート50とは別に設けられなくても良く、ベースプレート50が金属ベースであれば、ベースプレート50を導電板10として用いても良い。
【0039】
通常、低背型アンテナ装置の車両進行方向の後方にアンテナエレメントが配置されると、車両進行方向の前方への放射は、第1周波数帯用エレメント60等の影響を受けてしまう。しかしながら、本発明の半波長アンテナ装置では、指向性を調整可能であり、車両進行方向の後方に指向性が向くように調整している。具体的には、無給電素子30を車両進行方向の前方側に配置し、半波長エレメント20を車両進行方向の後方側に配置している。これにより、半波長エレメント20の指向性は車両進行方向の後方に向く。そして、低背型アンテナ装置の狭い空間の中で周辺金属や誘電体の影響があっても、無給電素子30の幅や高さ、半波長エレメント20までの距離等の調整により、指向性を補正するような調整も可能である。したがって、第1周波数帯用エレメント60を避けて半波長アンテナ装置を配置する必要がないため、低背型アンテナ装置のアンテナカバー内の狭い空間の中での配置の自由度も高い。
【0040】
ここで、
図7に示される本発明の半波長アンテナ装置を用いた低背型アンテナ装置では、回路基板80と、コイル90とを有する例を示した。このように複合アンテナとすることも可能である。回路基板80は、ベースプレート50上に配置され、給電端子81を有するものである。回路基板80には、適宜アンプ回路やフィルタ回路等が設けられ、信号を受信可能に構成されている。そして、コイル90は、第1周波数帯用エレメント60と給電端子81との間に接続されるものである。第1周波数帯用エレメント60とコイル90の直列回路により第2周波数帯用の共振アンテナとして機能するように調整されている。具体的には、第2周波数帯とはFM周波数帯であれば良い。例えば、FM周波数帯で第1周波数帯用エレメント60とコイル90の直列回路が共振アンテナとして機能するように、コイル90のインダクタが適宜選択される。
【0041】
そして、図示の通り、コイル90は、その軸方向がベースプレート50に平行且つ第1周波数帯用エレメント60の長手方向に平行となるように配置されている。このように配置されることで、例えば車種によりコイル90の長さ(巻き数)が変わった場合であっても、コイル90が横向きに配置されているため、横方向へ長さが変わるのみであり、回路基板80からの距離が変わることはない。したがって、コイル90の長さを調整しても低背型アンテナ装置のアンテナ受信特性の変化も少ないものとなる。
【0042】
なお、本発明の半波長アンテナ装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 同軸ケーブル
10 導電板
11 給電部
12 グラウンド
20 半波長エレメント
21 スリット
22 係止穴
30 無給電素子
40 基台
41 係止爪
50 ベースプレート
51 ボス
60 第1周波数帯用エレメント
70 アンテナカバー
80 回路基板
81 給電端子
90 コイル