(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073704
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】ゴム組成物、トレッド及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08L 7/00 20060101AFI20230519BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230519BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20230519BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
C08L7/00
C08K3/013
C08L23/04
C08L45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186326
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 奈保子
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA01W
4J002AA01X
4J002AA01Y
4J002AC01W
4J002AC02W
4J002AC03W
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4J002EX017
4J002EX037
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4J002EX087
4J002FD016
4J002FD158
4J002FD207
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】ゴム組成物を製造時の作業性に優れ、ウェットグリップ性能及び転がり性能の優れた、タイヤ用ゴム組成物、トレッド及びタイヤを提供することを課題とする。
【解決手段】イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、SP値が7.95~8.45(cal/cm3)1/2で、かつ、40℃におけるJISK2283で測定する動粘度が40,000mm2/s以下である液状ポリマーと、SP値が8.0~9.6(cal/cm3)1/2である樹脂と、充填剤とを含む、タイヤ用ゴム組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、
SP値が7.95~8.45(cal/cm3)1/2で、かつ、40℃におけるJISK2283で測定する動粘度が40,000mm2/s以下である液状ポリマーと、
SP値が8.0~9.6(cal/cm3)1/2である樹脂と、
充填剤とを含む、タイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記樹脂が、前記樹脂を構成する成分として、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位を65質量%より多く含む、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記樹脂が、C5系樹脂、水添C5系樹脂、C5-C9系樹脂、水添C5-C9系樹脂、シクロペンテン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、ジシクロペンテン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びテルペン樹脂から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記液状ポリマーが、前記液状ポリマーを構成する成分として、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位を質量比で80%より多く含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記液状ポリマーが、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
前記液状ポリマーと前記樹脂との質量比(液状ポリマー/樹脂)が0.5~5である、請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
前記ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量が5~100質量%である請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項8】
前記充填剤が、シリカ及びカーボンブラックを含む請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項9】
前記充填剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して、30~120質量部である請求項1~8のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いたトレッド部材。
【請求項11】
請求項10に記載のトレッド部材を用いたタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、トレッド及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の安全性を向上させる観点から、乾燥路面のみならず、湿潤路面、氷雪路面等の様々な路面上でのタイヤの制動性や駆動性を向上させるために、種々の検討がなされている。
例えば、乾燥路面や湿潤路面での制動性能を向上させるため、天然ゴムを70質量%以上含むゴム成分100質量部に対し、C5系樹脂、C5-C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を5~50質量部、並びにシリカを含む充填剤を20~120質量部配合してなるゴム組成物が開示されている(特許文献1)。
また、ウェットグリップ性能を向上させるために、ジエン系重合体を含有するゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した、連続相と1相以上の非連続相を有し、充填剤及び液上ポリマーが該連続相に局在しているトレッド用ゴム組成物が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/079703号
【特許文献2】特開2019-1845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のゴム組成物は、湿潤路面等に対するウェットグリップ性能を向上しようとすると、転がり抵抗が悪化し車両の燃費が低下する傾向があり、ウェットグリップ性能と転がり抵抗とのバランスの向上が求められていた。
また、特許文献2のトレッド用ゴム組成物は、ゴム組成物を製造する際の液状ポリマーの作業性が低く、生産性に欠ける問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑み、ゴム組成物を製造時の作業性に優れ、ウェットグリップ性能及び転がり性能の優れた、タイヤ用ゴム組成物、トレッド及びタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
<1>イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、SP値が7.95~8.45(cal/cm3)1/2で、かつ、40℃におけるJISK2283で測定する動粘度が40,000mm2/s以下である液状ポリマーと、SP値が8.0~9.6(cal/cm3)1/2である樹脂と、充填剤とを含む、タイヤ用ゴム組成物。
【0006】
<2>前記樹脂が、前記樹脂を構成する成分として、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位を65質量%より多く含む、<1>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0007】
<3>前記樹脂が、C5系樹脂、水添C5系樹脂、C5-C9系樹脂、水添C5-C9系樹脂、シクロペンテン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、ジシクロペンテン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びテルペン樹脂から選択される少なくとも1種を含む、<1>又は<2>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0008】
<4>前記液状ポリマーが、前記液状ポリマーを構成する成分として、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位を質量比で80%より多く含む、<1>~<3>のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0009】
<5>前記液状ポリマーが、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位からなる、<1>~<4>のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0010】
<6>前記液状ポリマーと前記樹脂との質量比(液状ポリマー/樹脂)が0.5~5である、<1>~<5>のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0011】
<7>前記ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量が5~100質量%である<1>~<6>のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0012】
<8>前記充填剤が、シリカ及びカーボンブラックを含む<1>~<7>のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0013】
<9>前記充填剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して、30~120質量部である<1>~<8>のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0014】
<10><1>~<9>のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いたトレッド部材。
【0015】
<11><10>に記載のトレッド部材を用いたタイヤ。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゴム組成物を製造時の作業性に優れ、ウェットグリップ性能及び転がり性能の優れた、タイヤ用ゴム組成物、トレッド及びタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[タイヤ用ゴム組成物]
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、SP値が7.95~8.45(cal/cm3)1/2で、かつ、40℃におけるJISK2283で測定する動粘度が40,000mm2/s以下である液状ポリマーと、SP値が8.0~9.6(cal/cm3)1/2である樹脂と、充填剤とを含むことを特徴とする、タイヤ用ゴム組成物である。
【0018】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、SP値が7.95~8.45(cal/cm3)1/2で、かつ、40℃におけるJISK2283で測定する動粘度が40,000mm2/s以下である液状ポリマーと、SP値が8.0~9.6(cal/cm3)1/2である樹脂とを組み合わせて用いることにより、転がり抵抗性能を同等以上に向上させつつ、更にウェットグリップ性能を向上させることができる。
これは、タイヤ用ゴム組成物に、前記SP値を有する樹脂を配合する場合、前記SP値を有する液状ポリマーを用いることで、前記液状ポリマーが樹脂を効果的に相溶することができるため、樹脂の非相溶成分による転がり抵抗の悪化につながる不要なロスの発生を防ぎ、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能とをバランスよく向上させることができると考えられる。
また、液状ポリマーの40℃におけるJIS K2283で測定する動粘度が40,000mm2/s以下であることによって、タイヤ用ゴム組成物を製造する際の作業性を向上させることができ、また、本発明のタイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤは、操縦安定性が向上する。
【0019】
尚、本発明において、SP値(溶解性パラメーター)はFedors法によって算出される。
また、本発明において、液状ポリマーの40℃における粘度は、JIS K2283に準拠して40℃で測定される。
【0020】
<ゴム成分>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分として、少なくともイソプレン系ゴムを含む。イソプレン系ゴムを含むことにより、タイヤ用ゴム組成物の機械的強度を高めることができるため、耐摩耗性、引き裂き強度等が高く、タイヤの転がり抵抗性能に優れる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム(BIR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム(SIR)、スチレン-ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム(SBIR)等、及びこれらの変性ゴムが挙げられる。イソプレン系ゴムは1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、イソプレン系ゴムは、タイヤの転がり抵抗性能を向上させる観点から天然ゴム及びポリイソプレンゴムから選択される1種以上が好ましく、天然ゴムがより好ましい。
【0021】
ゴム成分としては、更に、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等のその他のジエン系ゴム及びこれらの変性ゴムが含まれているこが好ましく、スチレン-ブタジエンゴムが含まれていることが好ましい。その他のジエン系ゴム及びこれらの変性ゴムを更に含むことにより、タイヤ用ゴム組成物のウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能を向上しやすくできる。
【0022】
本発明において、ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、5~100質量%が好ましく、15~80質量%がより好ましく、25~60質量%が更に好ましい。
ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量が上記範囲であることで、タイヤ用ゴム組成物のウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能をバランスよく向上しやすくできる。
【0023】
<液状ポリマー>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、SP値が7.95~8.45(cal/cm3)1/2で、かつ、40℃におけるJISK2283で測定する動粘度が40,000mm2/s以下である液状ポリマーを含有する。
【0024】
本発明において、液状ポリマーのSP値が7.95~8.45(cal/cm3)1/2であることにより、後述の樹脂を効率的に相溶することができるため、樹脂の非相溶成分による転がり抵抗の悪化につながる不要なロスの発生を抑制でき、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能とをバランスよく向上させることができる。
液状ポリマーのSP値は、樹脂を効率よく相溶させ、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能とをバランスよく向上させる観点から、7.95~8.45(cal/cm3)1/2が好ましく、7.95~8.35(cal/cm3)1/2がより好ましく、7.95~8.15(cal/cm3)1/2が更に好ましい。
【0025】
本発明において、液状ポリマーの40℃における動粘度が40,000mm2/s以下であることによって、タイヤ用ゴム組成物を製造時の作業性を十分確保することができる。なお、液状ポリマーの40℃における動粘度が40,000mm2/sを超えると、作業性が確保できず、製造効率が著しく低下する傾向がある。液状ポリマーの40℃における動粘度は、タイヤ用ゴム組成物を製造時の作業性を向上させる観点から、39,000mm2/s以下が好ましく、38,000mm2/s以下がより好ましい。
また、本発明において、液状ポリマーの40℃における動粘度の下限としては、20,000mm2/s以上が好ましく、30,000mm2/s以上がより好ましく、35,000mm2/s以上が更に好ましい。液状ポリマーの40℃における動粘度が20,000mm2/s以上であることにより、液状ポリマーがゴム表面へのブリードアウトし、ゴムのべた付き等を防止しやすくできる。
【0026】
液状ポリマーとしては、液状ポリマーを構成する成分として、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位を質量比で80質量%より多く含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、100%含むこと、すなわち脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位からなることが更に好ましい。
液状ポリマーが、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位を含むことにより、液状ポリマーのSP値及び40℃における動粘度を上記範囲に満たしやすくなり、タイヤ用ゴム組成物のウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能をバランスよく向上しやすくできる。
【0027】
上記のような液状ポリマーとしては、例えば、液状エチレン-α-オレフィンオリゴマー、液状ポリブタジエン、液状ブタジエン-スチレンコポリマー等から選ばれる1種以上が好ましく、液状エチレン-α-オレフィンオリゴマーがより好ましい。
液状エチレン-α-オレフィンオリゴマーとしては、液状エチレン-プロピレンオリゴマーが更にこのましい。
液状ポリマーは、市販品を用いてもよく、例えば、ルーカントLX400(40℃動粘度:37,500mm2/s、三井化学株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、液状ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3~25質量部が好ましく、5~20質量部がより好ましく、8~15質量部が更に好ましい。
液状ポリマーの含有量が3質量部以上であることにより、液状ポリマーによって樹脂を効率的に相溶することができるため、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能をバランスよく向上しやすくできる。また、液状ポリマーの含有量が25質量部以下であることにより、タイヤ用ゴム組成物製造時の作業性を向上しやすくでき、また、タイヤとした時のゴム弾性率の低下を抑制し、制動性能が低下することを抑制しやすくできる。
【0029】
<樹脂>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、SP値が8.0~9.6(cal/cm3)1/2である樹脂を含む。
タイヤ用ゴム組成物に前記樹脂を配合することにより、ガラス転移温度を高くすることできるため、0℃における正接損失(0℃tanδ)が向上し、ウェットグリップ性能を向上させることができる。特に、樹脂のSP値が8.0~9.6(cal/cm3)1/2であることにより、ゴム成分との相溶性が向上し、また、上記液状ポリマーにより更に相溶性が向上することから、より効果的にウェットグリップ性能を向上させることができる。
樹脂のSP値は、ウェットグリップ性能をより向上しやすくする観点から、8.0~9.6(cal/cm3)1/2が好ましく、8.1~9.6(cal/cm3)1/2がより好ましく、8.15~9.6(cal/cm3)1/2が更に好ましい。
【0030】
本発明において樹脂は、樹脂を構成する成分として、脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位を65質量%より多く含むことが好ましく、75質量%以上含むことがより好ましく、85質量%以上含むことが更に好ましい。
樹脂が環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位を65質量%より多く含むことにより、樹脂のSP値を上記範囲に満たしやすくなり、タイヤ用ゴム組成物のウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能をバランスよく向上しやすくできる。
なお、上記「脂環式炭化水素骨格又は脂肪族炭化水素骨格を有する構成単位」の含有量は、例えば樹脂を熱分解装置等で熱分解した後、検出器に水素イオン化検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフィー(GC)等により分析することができる。
【0031】
また、本発明において、上記のような樹脂として、C5系樹脂、水添C5系樹脂、C5-C9系樹脂、水添C5-C9系樹脂、シクロペンテン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、ジシクロペンテン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びテルペン樹脂から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、C5系樹脂、水添C5系樹脂、C5-C9系樹脂及び水添C5-C9系樹脂から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、C5系樹脂を含むことが更に好ましい。
【0032】
本発明においてC5系樹脂とは、C5系合成石油樹脂を指し、例えばAlCl3やBF3等のフリーデルクラフツ型触媒を用い、C5留分を重合して得られる固体重合体を指す。具体的には、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3-ペンタジエン及び1-ペンテンなどを主成分とする共重合体、2-ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3-ペンタジエンを主体とする重合体などが例示される。また、「水添C5系樹脂」は、上記C5系樹脂を還元水素化して得られる樹脂を指す。
尚、樹脂としてC5系樹脂を用いれば、ウェットグリップ性能を更に向上しやすくできる。
【0033】
本発明においてC5-C9系樹脂とは、C5-C9系合成石油樹脂を指し、例えばAlCl3やBF3等のフリーデルクラフツ型触媒を用い、C5-C11留分を重合して得られる固体重合体を指す。C5-C9系樹脂としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。本発明においては、このC5-C9系樹脂として、C9以上の成分の少ない樹脂が、ゴム成分との相溶性の観点から好ましい。ここで、C9以上の成分が少ないとは、樹脂全量中のC9以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることをいうものとする。また、「水添C5-C9系樹脂」は、上記C5-C9系樹脂を還元水素化して得られる樹脂を指す。
なお、樹脂としてC5-C9系樹脂を用いれば、作業性を更に向上しやすくできる。
ここで、C5-C9系樹脂としての重合体の重合に用いられるC5-C11留分には、C5留分及びC9留分以外の留分が含まれるものとする。
【0034】
本発明においてジシクロペンタジエン樹脂は、例えばAlCl3やBF3等のフリーデルクラフツ型触媒を用いジシクロペンタジエンを重合して得られる樹脂を指す。ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、クイントン1920(日本ゼオン製)、クイントン1105(日本ゼオン社製)、マルカレッツM-890A(丸善石油化学製)、などが挙げられる。
尚、樹脂としてC5系樹脂を用いれば、ウェットグリップ性能を更に向上しやすくできる。
【0035】
本発明においてテルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油、或いはこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体状の樹脂であり、β-ピネン樹脂、α-ピネン樹脂などがある。また、テルペン-芳香族化合物系樹脂としては、代表例としてテルペン-フェノール樹脂を挙げることができる。このテルペン-フェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、或いは更にホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α-ピネンやリモネンなどのモノテルペン炭化水素が好ましく、α-ピネンを含むものがより好ましく、特にα-ピネンが好ましい。本発明においては、フェノール成分の比率の少ないテルペン-フェノール樹脂が好適である。ここで、「フェノール成分の比率が少ない」とは、樹脂全量中のフェノール成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを指すものとする。
尚、樹脂としてテルペン-芳香族化合物系樹脂、特にテルペン-フェノール樹脂を用いれば、作業性を更に向上しやすくできる。
【0036】
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3~25質量部が好ましく、5~20質量部がより好ましく、8~15質量部が更に好ましい。
樹脂の含有量が3質量部以上であることにより、液状ポリマーによって樹脂を効率的に相溶することができるため、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能をバランスよく向上しやすくできる。また、液状ポリマーの含有量が25質量部以下であることにより、タイヤ用ゴム組成物中のゴム成分の含有量を確保できるため、機械的強度を高めることができるため、耐摩耗性、引き裂き強度等を向上しやすくできる。
【0037】
本発明において、液状ポリマーと樹脂との質量比(液状ポリマー/樹脂)は、0.5~5が好ましく、0.6~2.5がより好ましく、0.7~1.7が更に好ましい。
質量比(液状ポリマー/樹脂)が0.5以上であることにより、液状ポリマーによって樹脂を効率的に相溶することができるため、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能をバランスよく向上しやすくできる。
また、質量比(液状ポリマー/樹脂)が5以下であることによって、タイヤ用ゴム組成物製造時の作業性を向上しやすくでき、また、タイヤとした時のゴム弾性率の低下を抑制し、制動性能が低下することを抑制しやすくできる。
【0038】
本発明において、液状ポリマーと樹脂とのSP値の差の絶対値(|[液状ポリマーのSP値]-[樹脂のSP値]|)は、2.0(cal/cm3)1/2以下が好ましく、1.5(cal/cm3)1/2以下がより好ましく、0.5(cal/cm3)1/2以下が更に好ましい。
SP値の差の絶対値(|[液状ポリマーのSP値]-[樹脂のSP値]|)が1.5(cal/cm3)1/2以下であることで、液状ポリマーによって樹脂を効率的に相溶することができるため、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能をバランスよく向上しやすくできる。
【0039】
<充填剤>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、充填剤を含む。
タイヤ用ゴム組成物が充填剤を含むことにより、タイヤ用ゴム組成物の柔軟性を損なることなく、補強効果を奏することができる。
【0040】
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、充填剤としては、特に限定はされないが、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、シリカ及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、シリカ及びカーボンブラックを含むことが更に好ましい。
【0041】
(シリカ)
本発明において、充填剤としてシリカを配合することにより、タイヤ用ゴム組成物の機械的強度を向上し、ウェットグリップ性をより向上しやすくできる。
シリカは、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
シリカは、窒素吸着比表面積(BET法)が130m2/g以上330m2/g未満であることが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(BET法)が130m2/g以上であることで、タイヤを十分に補強することができ、転がり抵抗をより低くすることができる。また、シリカの窒素吸着比表面積(BET法)が330m2/g未満であることで、タイヤの弾性率を過度に高めず、ウェットグリップ性に優れる。
転がり抵抗をより低くし、タイヤの耐摩耗性、引き裂き強度等を向上する観点から、シリカの窒素吸着比表面積(BET法)は、180m2/g以上であることがより好ましく、190m2/g以上であることが更に好ましい。また、ウェットグリップ性をより向上する観点から、シリカの窒素吸着比表面積(BET法)は、300m2/g以下であることがより好ましく、280m2/g以下であることがより好ましく、270m2/g以下であることが更に好ましい。
【0042】
タイヤ用ゴム組成物中のシリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、30~120質量部であることが好ましく、35~100質量部であることがより好ましく、40~80質量部であることが更に好ましい。
タイヤ用ゴム組成物中のシリカの含有量が30質量部以上であることにより、タイヤ用ゴム組成物の機械的強度を向上し、ウェットグリップ性をより向上しやすくできる。また、シリカの含有量が120質量部以下であることにより、転がり抵抗性能を向上易くできる。
また、充填剤中のシリカの含有量は、タイヤの機械的強度を向上し、転がり抵抗性能をより向上する観点から、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
【0043】
(カーボンブラック)
充填剤は、更にカーボンブラックを含むことが好ましい。特に、カーボンブラックは、充填剤としてシリカと共に含有することが好ましく、シリカの含有量が80質量%以上である範囲である時に含まれることがより好ましい。
カーボンブラックを添加することにより、タイヤ用ゴム組成物を補強して、耐摩耗性を向上しやすくできる。
カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらカーボンブラックは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0044】
タイヤ用ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、0.5~20質量部であることが好ましく、1~15質量部であることがより好ましく、2~10質量部であることが更に好ましい。
タイヤ用ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量が0.5質量部以上であることで、タイヤ用ゴム組成物の耐摩耗性を向上しやすくできる。また、のカーボンブラックの含有量が20質量部以下であることで、タイヤ用ゴム組成物の低ロス性を維持しやすくできる。
【0045】
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30~120質量部であることが好ましく、35~100質量部であることがより好ましく、40~80質量部であることが更に好ましい。
タイヤ用ゴム組成物中の充填剤の含有量が30質量部以上であることにより、タイヤ用ゴム組成物の機械的強度を向上し、ウェットグリップ性をより向上しやすくできる。また、充填材の含有量が120質量部以下であることにより、転がり抵抗性能を向上易くできる。
【0046】
(シランカップリング剤)
本発明のタイヤ用ゴム組成物においては、配合するシリカの補強性を更に向上させる目的で、シランカップリング剤を配合してもよい。
シランカップリング剤としては、例えばビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N、N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N、N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N、N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、好ましいシランカップリング剤の含有量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカ100質量部に対して、2~25質量質量部であることが好ましく、4~20質量部であることがより好ましく、6~15質量部であることが更に好ましい。シランカップリング剤の含有量が2質量%以上であれば、シランカップリング剤の硬化を十分に発揮することができ、また、25質量%以下であれば、ゴム成分のゲル化を引き起こすことを抑制しやすくできる。
【0047】
<その他の成分>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記のゴム成分、液状ポリマー、樹脂、及び充填剤)の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して、通常の配合量の範囲内で配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0048】
[タイヤ用ゴム組成物の製造方法]
本発明のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述のゴム成分、液状ポリマー、樹脂及び充填剤に、必要に応じて適宜選択した各種成分を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより未加硫のゴム組成物を製造することができる。
【0049】
[トレッド部材]
本発明のトレッド部材は、上述の本発明のタイヤ用ゴム組成物を用いたトレッド部材である。上述の通り、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム組成物を製造時の作業性に優れ、ウェットグリップ性能及び転がり性能の優れることから、本発明のトレッド部材は、車両用のタイヤのトレッド部として好適である。
尚、上記のトレッド部材は、上述の本発明のタイヤ用ゴム組成物を用いて通常の方法で製造できる。
すなわち、上述の本発明のタイヤ用ゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド形状に合わせて押出加工することで、未加硫のトレッド部材を形成できる。この未加硫のトレッド部材を他のタイヤ部材と共にタイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫のタイヤを加硫機中で加熱加圧して加硫することにより、後述の本発明のタイヤを得ることができる。
【0050】
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前述のトレッド部材を用いたタイヤである。上述の通り、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム組成物を製造時の作業性に優れ、ウェットグリップ性能及び転がり性能の優れることから、本発明のタイヤは、車両用のタイヤとして好適である。
尚、上記のタイヤは、上述の本発明のトレッド部材を用いて通常の方法で製造できる。
すなわち、上述の本発明のタイヤ用ゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド形状に合わせて押出加工し、他のタイヤ部材と共にタイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫のタイヤを加硫機中で加熱加圧して加硫することにより、本発明のタイヤを得ることができる。
【実施例0051】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0052】
<タイヤ用ゴム組成物の調製>
表1~3に示す配合に基づき、バンバリーミキサーを用いて混練を行い、実施例及び比較例のタイヤ用ゴム組成物を得た。
【0053】
表1~3中の各実施例及び比較例で用いた材料の詳細は、以下の通りである。尚、表1~3中の各材料の数値は、配合量を示し、単位は「質量部」である。
(ゴム成分)
NR:天然ゴム、「RSS#3」
SBR:スチレン-ブタジエンゴム、JSR株式会社製、「SBR#1500」
(液状ポリマー)
液状エチレン-α-オレフィンオリゴマー:三井化学株式会社製、「ルーカント」(SP値:8.09(cal/cm3)1/2、40℃動粘度:37,500mm2/s)
(樹脂)
C5系樹脂:日本ゼオン株式会社製、「Quintone M100」(SP値:8.22 (cal/cm3)1/2)
C5-C9系樹脂:ENEOS株式会社製、「T-REZ RD104」(SP値:9.59
C9系樹脂:ENEOS株式会社製、「Neopolymer 140」(SP値:10.42(cal/cm3)1/2)
(オイル)
:ENEOS株式会社製、「スーパーオイルY22」
(充填剤)
CB:カーボンブラック、東海カーボン社製、「シースト7HM」
シリカ:東ソーシリカ株式会社製、「Nipsil AQ」
(シランカップリング剤)
:エボニックデグッサ社製、「Si75」
(その他)
ワックス:日本精蝋株式会社製、「オゾエース0701」
6C:老化防止剤、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、「ノクラック 6C」
DM:加硫促進剤、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業社製、「サンセラー DM」
NS:加硫促進剤、N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラー NS」
DPS:加硫促進剤、1,3-ジフェニルグアニジン、三新化学工業社製、商品名「サンセラー D」
【0054】
<評価>
実施例及び比較例のゴム組成物を160℃で15分間加硫し、加硫ゴムを得た。得られた加硫ゴムから試験片を得て、下記の評価に供した。
1.ウェットグリップ性能
実施例及び比較例のタイヤ用ゴム組成物に対し、粘弾性測定器(TAインスツルメンツ社製、ARESレオメーター)を用い、動的歪:0.1%、周波数15Hz、測定温度0℃の条件下で、0℃における損失正接(0℃tanδ)を測定した。
得られた0℃tanδについて、対照例の数値を100とし、各実施例及び比較例の結果を指数として評価した。指数は、大きいほど抵抗値が大きく、ウェットグリップ性能が高いことを示し、98以上であると十分なウェットグリップ性能を有することを示す。
なお、表1では比較例1を対照例とし、表2では比較例4を対照例とし、表3では比較例6を対照例とした。
2.転がり抵抗性能
実施例及び比較例のタイヤ用ゴム組成物に対し、上記粘弾性測定器を用い、動的歪:1%、周波数15Hz、測定温度50℃の条件下で、50℃における損失正接(50℃tanδ)を測定した。
得られた50℃tanδの逆数について、対照例の数値を100とし、各実施例及び比較例の結果を指数として評価した。指数は、大きいほど抵抗値が小さく、転がり抵抗性能が高いことを示し、100以上であると十分な転がり抵抗性能を有することを示す。
なお、表1では比較例1を対照例とし、表2では比較例4を対照例とし、表3では比較例6を対照例とした。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
表1~3の結果より、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム組成物を製造時の作業性に優れ、ウェットグリップ性能及び転がり性能の優れた、タイヤ用ゴム組成物であることが分かる。
本発明によれば、ゴム組成物を製造時の作業性に優れ、ウェットグリップ性能及び転がり性能の優れた、タイヤ用ゴム組成物、トレッド及びタイヤを提供するができる。よって、本発明は、主にタイヤ性産業等において利用可能である。