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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073750
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20230519BHJP
   D06F 58/22 20060101ALI20230519BHJP
   D06F 25/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
D06F58/02 K
D06F58/02 Q
D06F58/22
D06F58/02 F
D06F25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186405
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浅野 謙進
(72)【発明者】
【氏名】住吉 宏介
(72)【発明者】
【氏名】黒田 隆
(72)【発明者】
【氏名】上野 真司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
(72)【発明者】
【氏名】吉川 政志
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA05
3B165AB22
3B165AB30
3B165AB33
3B165AE07
3B165BA38
3B165BA55
3B165BA73
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA05
3B165CA06
3B165CA15
3B165CA17
3B165CA24
3B165CB01
3B165CB55
3B165CB59
3B165CC02
3B165CD05
3B165CD15
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3B165DW02
3B165DW05
3B165EW01
3B165EW02
3B165EW03
3B165EW04
3B165EW05
3B165GA02
3B165GA12
3B165GA25
3B165JM01
3B165JM02
3B165JM03
3B166AA02
3B166AA05
3B166AB22
3B166AB30
3B166AB33
3B166AE07
3B166BA38
3B166BA55
3B166BA73
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA04
3B166CA05
3B166CA06
3B166CA15
3B166CA17
3B166CA24
3B166CB01
3B166CB13
3B166CC02
3B166CD05
3B166CD15
3B166DA03
3B166DB03
3B166DB18
3B166DE04
3B166DE06
3B166EA03
3B166EA12
3B166EB03
3B166EB14
3B166EB17
3B166EC02
3B166EC13
3B166EC22
3B166EC40
3B166ED01
3B166ED02
3B166EE01
3B166GA02
3B166GA12
3B166GA22
3B166GA45
3B166HA16
3B166HA32
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】風路フィルタ裏側から送風機に至る風路で発生したリント塊を排出することで、風路フィルタの目詰まりを防止できるとともに、風路フィルタの下部からの排水を防止することで、冷却水の巻き上がりを抑制できる洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】
洗濯物を収容し、洗い、すすぎ、脱水の各工程時に回転するドラム11と、ドラム11を囲い、水を溜める外槽10と、外槽10内の水を排水する排水路70と、ドラム11と外槽10に風を供給する送風機32と、外槽10と送風機を接続する風路39と、外槽10と風路39の間に設けられ、風路39の吸込口に向かうリントを捕集する風路フィルタ36と、一端が前記風路39に接続され、他端が排水路70に接続されたリント排出水路9と、を備え、風路フィルタ36は、リント排出水路風路側接続部9a位置よりも高い位置のみに設けられていることを特徴とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容し、洗い、すすぎ、脱水の各工程時に回転するドラムと、
該ドラムを囲い、水を溜める外槽と、
前記外槽内の水を排水する排水路と、
前記ドラムと前記外槽に風を供給する送風機と、
前記外槽と前記送風機を接続する風路と、
前記外槽と前記風路の間に設けられ、前記風路の吸込口に向かうリントを捕集する風路フィルタと、
一端が前記風路に接続され、他端が前記排水路に接続されたリント排出水路と、を備え、
前記風路フィルタは、前記リント排出水路の風路側接続部位置よりも高い位置のみに設けられていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記風路の下端から前記風路フィルタの下端には、排水防止用壁面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記風路の下端から前記風路フィルタの下端には、排水防止用傾斜部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記排水路は、前記外槽の外側に設けられた内部排出水路を有し、前記リント排出水路の前記他端が前記内部排出水路に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記排水路は、排水ホースを有し、前記リント排出水路の前記他端が前記排水ホースに接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
前記外槽は、リント排出水路排水路側接続部を有し、前記リント排出水路の前記他端が前記リント排出水路排水路側接続部に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項7】
前記風路は、前記ドラムに向かって窪んだ凹部を有し、前記凹部に前記リント排出水路の一方の端部が接続され、
前記ドラムおよび前記リント排出水路の側断面を見た時に、前記リント排出水路の最背面が前記風路の最背面よりも内側に収容されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯乾燥機として、送風機の上流側の風路フィルタに付着した異物を、水流を利用して除去するものが知られている。例えば、特許文献1の請求項1には「水槽と、前記水槽内に回転可能に配される回転ドラムと、前記回転ドラム内より導かれる空気を除湿する除湿部と、前記除湿部にて除湿された空気を加熱する加熱部と、前記回転ドラム内の空気を前記除湿部へと導くとともに前記加熱部にて加熱された空気を前記回転ドラム内へと吹き込む送風部と、前記回転ドラムと前記送風部との間であって乾燥工程時に前記送風部によって発生する空気流の上流側である吸込口側の経路に設けられるとともに洗い工程またはすすぎ工程時に前記水槽内に供給される洗濯水に浸かるように配されるフィルタ手段とを備えた乾燥洗濯機において、前記回転ドラムの回転駆動に基づいて前記洗濯水に水流を発生させて前記フィルタ手段に付着した異物を除去するクリーニング手段と、洗い工程またはすすぎ工程において前記回転ドラムの回転速度を変化させる回転ドラム回転制御手段とを備えていることを特徴とする乾燥洗濯機。」の記載がある。
【0003】
また、特許文献1では、同文献の図5に示されるように、洗い工程時やすすぎ工程時に洗濯水に浸かる水槽の背面下部にフィルタを配置することで、乾燥工程時の循環空気に含まれる、フィルタの網目の粗さ(同文献の段落0060では、1mm~3mm)よりも大きい綿埃や糸くずなどの異物(以下「リント」と称する)を捕集し、フィルタ下流の送風機やヒータへの異物侵入を防止している。
【0004】
このように、特許文献1の洗濯乾燥機では、乾燥工程時にフィルタ表側に付着したリントを、以後の洗い工程やすすぎ工程中に回転ドラムを回転させた際の水流でフィルタ表側から除去した後、水槽の最下部に開口する排水口から排出するので、フィルタ表側の目詰まりを解消して乾燥工程時の循環空気の風量低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3863167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般的に、乾燥工程時の循環空気に含まれるリントは、フィルタの網目より小さい数十~数百μm程度のものが多いため、循環空気中のリントの多くはフィルタを通過し、フィルタから送風機に至る風路内に侵入する。風路内に侵入した微細なリントは、乾燥工程時に除湿のために風路内に供給される冷却水、或いは、洗い工程時やすすぎ工程時に水槽に供給される水を吸収して、周辺のリントと合体しリント塊となってフィルタ裏側に堆積する。フィルタ裏側に堆積した網目より大きいリント塊は、特許文献1のクリーニングでは、フィルタ表側に逆流することがないため、乾燥工程を繰り返すとフィルタ裏側へのリント付着が次第に増え、フィルタ裏側の目詰まりが徐々に進展する。
【0007】
このように、特許文献1の洗濯乾燥機では、経時的にフィルタ裏側の目詰まりが進展するため、乾燥工程時の循環空気の風量が低下して衣類等の乾燥不足が発生したり、風路内の排水不良が発生したりする場合があった。
【0008】
また、乾燥工程にて衣類から発生したリントは、フィルタに蓄積し、フィルタからの吸気量が低下する。フィルタ面の下部から冷却水を排水することにより、フィルタ下部にリントが付着しない箇所ができ、そこに空気の吸込みが集中し、吸込み空気速度が上昇する。その結果、冷却水をファンユニットへ巻き上げる現象が発生し、衣類の乾燥不良に至る場合があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、風路フィルタ裏側から送風機に至る風路で発生したリント塊を排出することで、風路フィルタの目詰まりを防止できるとともに、冷却水の巻き上がりの発生を抑制し、正常に乾燥運転を実施できる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、洗濯物を収容し、洗い、すすぎ、脱水の各工程時に回転するドラムと、該ドラムを囲い、水を溜める外槽と、外槽内の水を排水する排水路と、ドラムと外槽に風を供給する送風機と、外槽と送風機を接続する風路と、外槽と風路の間に設けられ、風路の吸込口に向かうリントを捕集する風路フィルタと一端が風路に接続され、他端が排水路に接続されたリント排出水路と、を備え、風路フィルタは、リント排出水路の風路側接続部位置よりも高い位置のみに設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲に記載される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、風路フィルタ裏側から送風機に至る風路で発生したリント塊を排出することで、風路フィルタの目詰まりを防止できるとともに、冷却水の巻き上がりの発生を抑制し、正常に乾燥運転を実施できる洗濯乾燥機を提供できる。
【0013】
上記した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のドラム式洗濯機の第1の例を示す外観斜視図
図2】本発明のドラム式洗濯機の第1の例の内部構造を側方から見た断面図
図3】本発明のドラム式洗濯機の第1の例の内部構造を側方から見た断面図
図4】本発明のドラム式洗濯機の第1の例を背面から見た断面図
図5】本発明のドラム式洗濯機の第2の例の内部構造を側方から見た断面図
図6】本発明のドラム式洗濯機の第2の例を背面から見た断面図
図7】本発明のドラム式洗濯機の第3の例の内部構造を側方から見た断面図
図8】本発明のドラム式洗濯機の第2の例を正面から見た断面図
図9】本発明のドラム式洗濯機の第3の例を正面から見た断面図
図10】本発明のドラム式洗濯機の第3の例において循環風路にドラム内側に向かって窪んだ凹部を有していない場合の内部構造を側方から見た断面図
図11】本発明のドラム式洗濯機の第3の例において排水防止用壁面を排水防止用傾斜に変更した場合の内部構造を側方から見た断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0016】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【0017】
図1は本発明のドラム式洗濯機の第1の例を示す外観斜視図であり、図2は本発明のドラム式洗濯機の第1の例の内部構造を側方から見た断面図である。図1および図2を用いて、ドラム式洗濯機100の構成と動作の概略を説明する。
【0018】
まず、説明に供する各方向を定義する。本実施例では、ドラム式洗濯機100を使用者の視点から見た時の水平方向が左右方向、高さ方向が上下方向、奥行き方向が前後方向とする。
【0019】
図1において、ドラム式洗濯機100の外側を構成する筐体1は、両側面と背面とが一体の鋼板で形成され上方から見た形状がU字状の筐体本体1bと、筐体本体1bの下方に配置されたアンダープレート(図示せず)と、筐体本体1bの前面を覆う前面カバー1a(図示せず)と、上部に配置された上面カバー1cとで構成されている。また、筐体1の前面には、開閉可能なドア2が配置されている。
【0020】
ドア2は、前面カバーに設けたヒンジで開閉可能に支持されている。ドア2は、ドア開放取っ手2aを引くことで、ロック機構が外れて前側に向かって開き、ドア2を前面カバーに押し付けることでロックされて閉じる。
【0021】
前面カバー1aは、外槽10(図2)の開口部と同中心に、衣類を出し入れするための円形の開口部(図示せず)を有しており、ドア2にはこの開口部を覆う窓3が設けられている。
【0022】
ドア2には、操作スイッチ等を配置した操作部(図示せず)が備えられている。操作部は、ガラスタッチパネル方式となっており、筐体1の内部に備えられている制御ユニット20(図2)に電気的に接続している。
【0023】
ドラム式洗濯機100の筐体1の内部には、水を溜める外槽10が備えられている。外槽10は、洗濯物を収容するためのドラム11を内挿する。外槽10は、ばね(図示せず)を介して筐体1から吊るされており、外槽10の重心位置を左右から吊り下げる。外槽10の下部は、筐体1に固定された防振部材12で支持されている。
【0024】
外槽10の後方には、ドラム11と接続された回転軸4を備え、この回転軸4にはプーリー5が接続されている。プーリー5には、ベルト6を介してモータ13が接続されている。そして、モータ13は、ベルト6、プーリー5、回転軸4を介してドラム11を回転駆動している。
【0025】
制御ユニット20は、モータ13の回転数を制御する。
【0026】
また、制御ユニット20はドラム式洗濯機100に備えられた振動センサ(図示せず)のセンサ値の取得を行う。脱水工程時に、ドラムに投入した衣類のアンバランスによって、振動センサが検知した外槽10の振動振幅が予め設定された閾値を超えると、脱水工程を一時停止して、ドラム11を正転、逆転させ、衣類のアンバランスを修正した上で脱水工程のやり直しを行う。モータ13が駆動すると、ドラム11は正転、逆転の両方向に回転駆動される。
【0027】
ドラム11の内周面には、ドラム内の洗濯水を外槽10に排水するための複数個の脱水孔11aと、ドラム11の周方向に間隔をおいて配置され、ドラム内に投入された衣類を持ち上げるための複数個のバッフル14が備えられている。バッフル14はドラム11の前後方向に延びるように設置している。
【0028】
外槽10の開口部と筐体1の投入口は、前後方向に伸縮しやすいベローズ15により接続される。ベローズ15は、環状の弾性部材で成形され、ドア2を閉めることでドラム11を水封する。また、筐体1の投入口、外槽10の開口部、ドラム11の開口部は連通しており、ドア2を開くことでドラム11内への衣類の出し入れが可能となる。
【0029】
次に、図3よび図4を用いて、本発明の実施例に係る洗濯乾燥機について説明する。
【0030】
図3は本発明のドラム式洗濯機の第1の例の内部構造を側方から見た断面図であり、図4は本発明のドラム式洗濯機の第1の例を背面から見た断面図である。図3に示すように、本発明の洗濯乾燥機では、筐体1、ドア2、外槽10、ドラム11、送風装置(送風機32、ヒータ33、吹出口34、循環風路39、風路ホース35)、風路フィルタ36、排水路(内部排水路70、水路フィルタ42、排水ホース41)、排水ポンプ40を備えている。
【0031】
破線で示す矢印は、乾燥時の風の流れである。送風装置は、乾燥工程時に図中の破線矢印で示す循環風を発生させ、洗濯物を乾燥する。送風機32から吹き出した風は、下流のヒータ33で温められた後、吹出口34を通って、ドラム11に供給される。ドラム11に供給された風は、ドラム11に収容された湿った洗濯物を加熱して水分を奪った後、ドラム11の外周孔を通ってドラム11と外槽10の隙間の空間に流出し、さらに、メッシュフィルタである風路フィルタ36を通過して循環風路39に至る。
【0032】
実線で示す矢印は、乾燥時の冷却水の流れである。循環風路39に流入した風は、洗濯物から水分を奪うことで湿度が高まっているため、循環風路39の上部からは、図中の実線矢印で示す冷却水を供給し、高湿度の風を冷却することで水蒸気を結露させ、風を除湿する。そして、除湿後の乾燥した風は、風路ホース35を通って、送風機32に戻る。このようにして、送風装置は、ドラム11内の湿った洗濯物に高温の乾燥風を供給し、洗濯物の乾燥を促進する。
【0033】
内部排水路70は、外槽10の底面開口と連通し、外槽10から排水するための経路であり、内部排水路70を流れる排水中のリントを捕集する水路フィルタ42と、排水が通過する排水ホース41からなる。なお、水路フィルタ42で捕集されたリントは、使用者が適宜清掃する。
【0034】
排水ポンプ40は、水路フィルタ42の下流側に設けられており、内部排水路70を介して排水させる。
【0035】
洗い工程時やすすぎ工程時に、ドラム11内の洗濯物同士が擦れあう機械力や、乾燥工程時に、ドラム11に供給される風による機械力等により、洗濯物の繊維が剥離しリントが発生する。発生したリントは、乾燥工程の初期には湿った状態で重いため浮遊しないが、乾燥が進展するにつれ軽くなり浮遊し始める。浮遊したリントのうち、風路フィルタ36の網目より大きいリントは、風路フィルタ36で捕集され、以後の洗い工程やすすぎ工程の終了後に内部排水路70に排出される。
【0036】
一方、乾燥工程時に浮遊したリントのうち、風路フィルタ36の網目より小さいリントは、風路フィルタ36を通過し循環風路39に侵入する。このため、洗濯乾燥機100の使用期間が長くなれば、「発明が解決しようとする課題」欄で説明したと同等の理由で、風路フィルタ36の裏側に、リント塊が堆積する。
【0037】
本発明の洗濯乾燥機1は、循環風路39の下部と内部排水路70を繋ぐリント排出水路9を設けた。リント排出水路9は、リント排出水路風路側接続部9aを介してドラム11の循環風路39に接続されている。また、リント排出水路排水路側接続部9bを介して内部排水路70に接続されている。
【0038】
ドラム11の循環風路39は、ドラム11の内側に向かって窪んだ凹部39aを有しており、この凹部39aにリント排出水路風路側接続部9aが設けられている。このような構成とすることで、洗濯機の側断面を見た時に、リント排出水路9が循環風路奥行限度線31を超えてドラム11よりも外側に突出することが無くなる。すなわち、ドラム11およびリント排出水路9の側断面を見た時に、リント排出水路9の最背面が循環風路39の最背面よりも内側に収容されている構成となる。このような構成とすることで、奥行きに余裕が無いスペースに洗濯機が設置される場合においても、リント排出水路9を設けることができる。これによって、洗濯機の本体寸法に影響を与えることなく、リント排出水路9を有する洗濯機を提供することができる。
【0039】
上記構成の本実施例の洗濯乾燥機において、風路フィルタ36のメッシュの網目粗さを例えば数百μmとした場合、乾燥工程時には、数十μm程度の大きさのリントが風路フィルタ36を通過して循環風路39に侵入する。循環風路39の内部では、比較例で説明したと同等の作用によりリント塊が発生するが、発生初期のリント塊は十分に小さいため、乾燥工程時であれば冷却水とともに、また、洗い工程やすすぎ工程の終了後の排水時であれば外槽10からの排水に伴い、リント排出水路9を通って内部排水路70に排出される。この時、リント排出水路風路側接続部9aは、ドラム11の高速回転により攪拌された水流の到達する最大高さよりも低い位置にあることが望ましい。これによれば、冷却水のみによるリント排出作用に加え、洗浄に用いられる水による排出作用が働き、より確実なリント排出が可能となる。
【0040】
なお、リント排出水路9の直径は数mm程度であっても良いが、ある程度成長したリント塊であっても排出できるように、リント排出水路9を直径6~10mm程度に設計するのが望ましい。また、リント排出水路9経由で排出したリントを水路フィルタ42で捕集できるように、リント排出水路9の下端に設けたリント排出水路排水路側接続部9bを水路フィルタ42の上流側に接続することが望ましいが、リント排出水路排水路側接続部9bを水路フィルタ42の下流側に接続し、リント塊を下水路等に直接流すようにしても良い。
【0041】
上述したように、ドラム11の循環風路39は、ドラム11の内側に向かって窪んだ凹部を有しており、この凹部にリント排出水路風路側接続部9aが設けられていることによって、リント排出水路9はR形状をなす。これによって、リントを、リント排出水路9に引っかかることなく、内部排水路70へ排出することができる。
【0042】
図5は本発明のドラム式洗濯機の第2の例の内部構造を側方から見た断面図であり、図6は本発明のドラム式洗濯機の第2の例を背面から見た断面図である。図5および図6に示した洗濯機が図3および図4に示した洗濯機と異なる点は、リント排出水路9のリント排出水路排水路側接続部9bが、内部排水路70では無く、外槽10に設けられている点である。このような構成によっても、本発明の効果をえることができる。
【0043】
以上、説明したように、本発明によれば、風路フィルタ裏側から送風機に至る風路で発生したリント塊を排出することで、風路フィルタの目詰まりを防止できる洗濯乾燥機を提供できることが示された。
【0044】
図7は本発明のドラム式洗濯機の第3の例の内部構造を側方から見た断面図である。図8は本発明のドラム式洗濯機の第2の例を正面から見た断面図であり、図9は本発明のドラム式洗濯機の第3の例を正面から見た断面図である。図7および図9に示した洗濯機が図5および図6に示した洗濯機と異なる点は、風路フィルタ36の下端をリント排出水路風路側接続部9aよりも高い位置に設定し、風路39の下端から風路フィルタ36下端までの領域に排水防止用の壁面43を設けている点である。
【0045】
第1、第2の例の構成では、冷却水の排水がリント排出水路9だけでなく、風路フィルタ36の下部からも行われる。そのため、乾燥工程中に発生したリントが風路フィルタ36表面に蓄積していくが、風路フィルタ36の下部には冷却水の排水の影響でリントが蓄積しない。風路フィルタ36へのリント蓄積により吸気量が減少していくと、循環空気の吸込みは、冷却水の排出によりリントが蓄積していない風路フィルタ36の下部に集中し、風路フィルタ36の下部を通過する吸込み空気の風速が向上する。その結果、冷却水のファンユニット(図示せず)への巻き上がりが発生し、ファンユニットの吹出口から巻き上がった水を衣類に吹き付け、乾燥不良に至る場合がある。
【0046】
一方、第3の例では第1、第2の例での風路フィルタ36をリント排出水路風路側接続部9aよりも高い位置で上下に分割し、上部を風路フィルタ36のままとし、下部を排水防止用の壁面43で塞ぐ構成としている。ここで排水防止用の壁面43は、風路フィルタ外枠45で構成してもよいし、板材等の別部材で構成してもよい。さらに、外槽と同一の構成としても良い。排水防止用の壁面43を設けることで、冷却水の排水経路をリント排出水路9に限定している。風路フィルタ36側からの排水がなくなることで、風路フィルタ36に一様にリントが付着し、風路フィルタ36全体から一様に吸気を行う。そのため、風路フィルタ36の下部を通過する吸込み空気の風速が向上する現象が発生せず、冷却水の巻き上がりに至らない。このような構成とすることで、風路フィルタ36裏側から送風機32に至る風路で発生したリント塊を排出し、風路フィルタ36の目詰まりを防止できるとともに、冷却水の巻き上がりの発生を抑制し、正常に乾燥運転を実施することが可能となる。
【0047】
なお、冷却水の排水経路をリント排出水路9に限定する構成は、図7で説明したような排水防止用の壁面43によるものではなくとも、例えば、図11に示す排水防止用傾斜部材44による構成としてもよい。該排水防止用傾斜部材44は、風路フィルタ36またはリント排出水路9の一部で構成しても良いし、別の部材であっても良い。
【0048】
また、図10に示すようにドラム11の循環風路39が、ドラム11の内側に向かって窪んだ凹部を有していない構成としてもよい。
【0049】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…筐体、1b…筐体本体、1c…上面カバー、2…ドア、2a…ドア開放取っ手、3…開口部、9…リント排出水路、9a…リント排出水路風路側接続部、9b…リント排出水路排水路側接続部、10…外槽、11…ドラム、31…循環風路奥行限度線、32…送風機、33…ヒータ、34…吹出口、35…風路ホース、36…風路フィルタ、37…乾燥時の風の流れ、38…乾燥時の冷却水の流れ、39…循環風路、39a…凹部、40…排水ポンプ、41…排水ホース、42…水路フィルタ、43…排水防止用壁面、44…排水防止用傾斜部材、45…風路フィルタ外枠、70…内部排水路、100…洗濯機。
図1
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図7
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図10
図11