IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユニオンの特許一覧

<>
  • 特開-ドアハンドル構造体 図1
  • 特開-ドアハンドル構造体 図2
  • 特開-ドアハンドル構造体 図3
  • 特開-ドアハンドル構造体 図4
  • 特開-ドアハンドル構造体 図5
  • 特開-ドアハンドル構造体 図6
  • 特開-ドアハンドル構造体 図7
  • 特開-ドアハンドル構造体 図8
  • 特開-ドアハンドル構造体 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073788
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】ドアハンドル構造体
(51)【国際特許分類】
   E05B 1/00 20060101AFI20230519BHJP
   E05B 3/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
E05B1/00 311H
E05B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186468
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】田河 寿一
(57)【要約】
【課題】非操作時において、外部から見える部品の点数を小さくできるとともに、ハンドルがドアの表面から突出する突出高さを小さく抑えた場合にもドアを容易に引き開けることができ、操作性を犠牲とすることなく、デザイン性の向上を容易とできるドアハンドル構造体を提供する。
【解決手段】
ドアハンドル構造体は、台座10と、取っ手30と、接合部材40を具備する。台座10は、板状であり、ドア1に固定される。取っ手30は、表面板部31、及び長板状の周板部32を有する。接合部材40は、通常状態と傾斜状態との間を傾動可能に、取っ手30を台座10と接合する。通常状態とは、表面板部31がドア1の表面1aと略平行となる状態である。傾斜状態とは、表面板部31がドア1の表面1aに対し所定角度だけ傾斜し、表面板部31の傾動先端31cと台座10との間に指を入れる隙間が形成される状態である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに固定される板状の台座と、
前記台座を覆うように前記ドアの表面から所定距離を置いて配置される表面板部、及び前記台座を囲うように前記表面板部の周縁部から前記ドアの方向に立設される長板状の周板部を有する取っ手と、
前記表面板部と前記台座との間に配置される接合部材であって、前記表面板部が前記ドアの前記表面と略平行となる通常状態と、前記表面板部が前記ドアの前記表面に対し所定角度だけ傾斜し、前記表面板部の傾動先端と前記台座との間に指を入れる隙間が形成される傾斜状態との間を傾動可能に、前記取っ手を前記台座と接合する接合部材
とを具備する、ドアハンドル構造体。
【請求項2】
前記台座に回転可能に支持される回転体を更に具備し、
前記接合部材は、前記回転体を介し、前記取っ手を傾動可能に前記台座と接合するとともに、前記回転体を回転駆動可能に、前記取っ手を前記回転体と接合する
請求項1に記載のドアハンドル構造体。
【請求項3】
前記取っ手を前記通常状態に付勢する付勢手段を更に具備する、請求項1又は請求項2に記載のドアハンドル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアハンドル構造体、特に、防火扉、又はパイプシャフトや電気設備室の扉のように、不特定多数の人ではなく、特定の人によって使用される扉に好適に使用できるドアハンドル構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防火扉のドアハンドル構造体として、特許文献1には、ケースハンドルから形成されるドアハンドル構造体が記載されている。特許文献1に記載のドアハンドル構造体は、半円状の取っ手と、ハンドルケースとを具備している。取っ手は、ラッチボルトの操作のために回転可能であるとともに、ドアの表面と平行な回動軸周りに回動可能となっており、非操作時には、ハンドルケースの中に全体が収容される状態に回動され、扉を開けるとき、ドアの表面に対し垂直に立った状態に回動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-169907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のドアハンドル構造体においては、取っ手、取っ手を回転可能且つ回動可能に支持する支持機構、及び取っ手を収容するハンドルケースの少なくとも3つの機構が外部から視認可能であり、機能的ではあるものの、シンプルなデザイン性を追求する上では、外部から見える部品点数の多さと、支持機構の複雑な構造とが障害となり得る。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、非操作時において、外部から見える部品の点数を少なくできるとともに、取っ手がドアの表面から突出する突出高さを小さく抑えた場合にもドアを容易に引き開けることができ、操作性を犠牲とすることなく、デザイン性の向上を容易とできるドアハンドル構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示するドアハンドル構造体は、台座と、取っ手と、接合部材とを具備する。前記台座は、板状であり、ドアに固定される。前記取っ手は、表面板部、及び長板状の周板部を有する。前記表面板部は、前記台座を覆うように前記ドアの表面から所定距離を置いて配置される。前記周板部は、前記台座を囲うように前記表面板部の周縁部から前記ドアの方向に立設される。前記接合部材は、前記表面板部と前記台座との間に配置され、通常状態と傾斜状態との間を傾動可能に、前記取っ手を前記台座と接合する。前記通常状態とは、前記表面板部が前記ドアの前記表面と略平行となる状態である。前記傾斜状態とは、前記表面板部が前記ドアの前記表面に対し所定角度だけ傾斜し、前記表面板部の傾動先端と前記台座との間に指を入れる隙間が形成される状態である。
【0007】
本願に開示するドアハンドル構造体は、回転体を更に具備する。前記回転体は、前記台座に回転可能に支持される。前記接合部材は、前記回転体を介し、前記取っ手を傾動可能に前記台座と接合するとともに、前記回転体を回転駆動可能に、前記取っ手を前記回転体と接合する。
【0008】
本願に開示するドアハンドル構造体は、付勢手段を更に具備する。前記付勢手段は、前記取っ手を前記通常状態に付勢する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るドアハンドル構造体によれば、非操作時において、外部から見える部品の点数を少なくできるとともに、取っ手がドアの表面から突出する突出高さを小さく抑えた場合にもドアを容易に引き開けることができ、操作性を犠牲とすることなく、デザイン性の向上を容易とできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るドアハンドル構造体を示す外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るドアハンドル構造体を示す分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るドアハンドル構造体を示す断面図である。
図4】(a)実施形態の台座を示す正面図である。(b)図4(a)のA-A線断面図である。
図5】(a)実施形態の回転体を示す正面図である。(b)実施形態の回転体を示す平面図である。(c)実施形態の回転体を示す側面図である。
図6】(a)実施形態の取っ手を示す背面図である。(b)実施形態の取っ手を示す側面図である。(c)図6(a)のB-B線断面図である。
図7】(a)実施形態の接合部材を示す正面図である。(b)図7(a)のC-C線断面図である。(c)実施形態の接合部材を示す側面図である。
図8】(a)本発明の実施形態に係るドアハンドル構造体を示す正面図である。(b)図8(a)のD-D線断面図である。(c)取っ手の傾斜状態における図8(a)のD-D線断面図である。
図9】(a)他の実施形態の取っ手を示す背面図である。(b)他の実施形態の取っ手を示す側面図である。(c)図9(a)のE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るドアハンドルを図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0012】
〈実施形態〉
以下に、図1図3を参照して、本発明の実施形態に係るドアハンドル構造体を説明する。図1は、実施形態に係るドアハンドル構造体を示す外観斜視図である。図2は、実施形態に係るドアハンドル構造体を示す分解斜視図である。図3は、実施形態に係るドアハンドル構造体を示す断面図である。
【0013】
図1から図3に示すように、実施形態に係るドアハンドル構造体は、開き戸であるドア1の両面に設置される、一対の台座10と、一対の回転体20と、一対の取っ手30と、一対の接合部材40とを具備する。実施形態のドアハンドル構造体は、防火扉、又はパイプシャフトや電気設備室の扉等に好適に設置できるように、一対の取っ手30は、扁平形状とされる。また、一対の取っ手30は、ドア1を引き開ける際にドア1の表面1aに対し所定角度だけ傾斜した傾斜状態となるように傾動可能となっており、実施形態においては一対の取っ手30の下側に、指先を入れる隙間LGが形成される。
【0014】
また、実施形態のドアハンドル構造体は、角芯50と、少なくとも1つの連結軸である一対の連結軸60とを更に具備する。角芯50は、ドア1の両側に設置される取っ手30を連結する。一対の連結軸60は、六角パイプ状であり、両端に雌ネジ61をそれぞれ有し、ドア1の両側に配される一対の台座10を互いに連結し、各台座10をドア1に固定する。
【0015】
以下、図4を参照して、実施形態の台座を説明する。図4(a)は、実施形態の台座を示す正面図である。図4(b)は、図4(a)のA-A線断面図である。
【0016】
実施形態の台座10は、円形板状であり、ドア1の表面1aと接するようにして、あるいは、ドア1に固定される図示しない錠装置のケースと接するようにして、ドア1に固定される。また、実施形態においては、台座10は、台座10を厚み方向に貫通する、センター孔11、一対の連結ビス挿通孔12、及び透孔13を有する。
【0017】
センター孔11は、円形であり、回転体20が取付けられる。一対の連結ビス挿通孔12は、図2に示す連結ビス12aが一対の台座10におけるドア1と反対側の面から挿通される。連結ビス12aは、軸状の留具であり、一対の連結ビス挿通孔12を介し、一対の台座10におけるドア1と反対側の面から連結軸60の雌ネジ61と螺合し、連結軸60の両端に一対の台座10を連結する。透孔13は、図4に示すように、台座10の外周に沿って円弧状に延びる長孔である。後で詳しく説明するように、透孔13の周壁部は、係止ビス13aと係合される被係合部であり、ドアハンドル構造体の防犯性を高めるために一対の台座10に形成される。
【0018】
次に、図5を参照して、実施形態の回転体を説明する。図5(a)は、実施形態の回転体を示す正面図である。図5(b)は、実施形態の回転体を示す平面図である。図5(c)は、実施形態の回転体を示す側面図である。
【0019】
実施形態の回転体20は、円柱形状の軸部21と、軸部21の一端に設けられる頭部22とを有し、角芯50を介しラッチボルト2を進退駆動可能にラッチボルト2と連結される。また、回転体20は、台座10のセンター孔11において、台座10に正逆回転可能に支持される。
【0020】
回転体20の軸部21は、嵌合孔21aと、外周溝部21bとを有し、台座10のセンター孔11に挿通される。図2図3に示すように、軸部21には、リング23と、スペーサ24とが外装される。リング23は、回転体20の頭部22と、スペーサ24、及び台座10との間に介装される。スペーサ24は、樹脂製の筒状体であり、一端にフランジ部24aを有しており、台座10のセンター孔11に軸部21を軸支するための軸受として機能する。
【0021】
嵌合孔21aは、図5に示すように、軸部21における頭部22と反対側の端面である先端面に開口しており、角芯50と嵌合される。角芯50が嵌合孔21aと嵌合されることによって、回転体20は、角芯50と一体的に回転する。
【0022】
外周溝部21bは、軸部21の先端面と近い位置において軸部21の外周面を周方向に一周するように設けられている。外周溝部21bには、図2図3に示すC形止め輪25が嵌合され、C形止め輪25によって、スペーサ24とリング23とが軸部21に保持される。
【0023】
回転体20の頭部22は、軸部21よりも大径の円形板状であり、外周部に一対の嵌合溝部22aを有する。一対の嵌合溝部22aは、頭部22の径方向内方に底を向け、頭部22の径方向外方に開口を向けるようにして、軸部21の中心軸を間に挟み対向配置され、軸部21の中心軸から等距離の位置において互いに平行に、軸部21の中心軸(回転軸心I0)と直交する方向に延びるように形成される。
【0024】
次に、図6を参照して、実施形態の取っ手を説明する。図6(a)は、実施形態の取っ手を示す背面図である。図6(b)は、実施形態の取っ手を示す側面図である。図6(c)は、図6(a)のB-B線断面図である。実施形態の取っ手30は、表面板部31、及び長板状の周板部32を有し、回転駆動可能に回転体20と連結される。
【0025】
表面板部31は、台座10を覆うようにドア1の表面1aから所定距離を置いて配置される。実施形態においては、表面板部31は、略正方形であり、ドア1の表面1aと直交する方向において台座10の全体と重なるように配設される。
【0026】
周板部32は、取っ手30を回転する際に指によって力が加えられる部分であり、台座10を囲うように表面板部31の周縁部からドア1の方向に立設される。実施形態においては、周板部32は、図3に示すように、ドア1の方の端部である先端部が、台座10の外周面における一部分と対向するようにして、台座10を囲っている。
【0027】
また、図6に示すように、実施形態においては、取っ手30は、一対の連結凸部31a、一対の接合ビス孔31b、一対の側方切欠部32a、下方切欠部32b、区画壁部33、及び一対の位置決め突起34を有する。
【0028】
一対の連結凸部31aは、円筒状であり、取っ手30における上下方向の中央より上方において、表面板部31におけるドア1に向かう側の面である背面からドア1に向かって突設される。一対の連結凸部31aは、後述の一対の凸部遊嵌孔43と遊嵌され、取っ手30を傾動可能に接合部材40と連結する。
【0029】
取っ手30における上下方向の中央より上方において取っ手30が傾動可能に接合部材40と連結されることによって、取っ手30の下端の方が上端よりも可動域が大きい。従って、実施形態においては、表面板部31の下端が傾動先端31cとなっている。
【0030】
一対の接合ビス孔31bは、一対の連結凸部31aにおける突出方向の先端面に形成される。一対の接合ビス孔31bには、図2に示す接合ビス43aが螺合される。
【0031】
一対の側方切欠部32aは、取っ手30が、図6(b)に仮想線によって示す傾斜状態となったときに、周板部32が後述の固定ビス孔42と重ならないように、周板部32を例えば半円状に切欠くようにして、取っ手30の両側部に形成される。
【0032】
下方切欠部32bは、取っ手30を傾斜状態としたとき、指先を表面板部31の背面側に入れ易いように、周板部32を例えば方形状に切欠くようにして、取っ手30の下部に形成される。表面板部31の下端が傾動先端31cとされることによって、指先を入れるための下方切欠部32bを取っ手30の下部に形成することができ、ドアハンドル構造体の内部構造を外部から見え難くでき、デザイン性の向上を容易とできる。
【0033】
区画壁部33は、表面板部31の背面に立設され、表面板部31の背面側において接合部材40が配置されるスペースを区画する。
【0034】
一対の位置決め突起34は、取っ手30における上下方向の中央より下方において、表面板部31の背面からドア1に向かって突設される。一対の位置決め突起34は、位置決め手段であり、実施形態においては、突出方向の先端に向かって径が小さくなる円錐形状を有する。そして、一対の位置決め突起34は、表面板部31の傾動先端31c寄りの位置において接合部材40と当接することによって、取っ手30が、非操作時に、回転体20の回転軸心I0周りの回転方向に傾かないように位置決めする。
【0035】
次に、図7図8を参照して、実施形態の接合部材を説明する。図7(a)は、実施形態の接合部材を示す正面図である。図7(b)は、図7(a)のC-C線断面図である。図7(c)は、実施形態の接合部材を示す側面図である。図8(a)は、実施形態に係るドアハンドル構造体を示す正面図である。図8(b)は、図8(a)のD-D線断面図である。図8(c)は、取っ手の傾斜状態における図8(a)のD-D線断面図である。
【0036】
接合部材40は、図7に示すように、板状であり、円形板の内側部分を切欠き、馬蹄形状としたような全体形状を有しており、平行に延びる一対の腕部40aと、一対の腕部40aを基端側で連結する中間部40bとを有している。また、接合部材40は、取っ手30の表面板部31と、台座10との間に配置され、回転体20の回転軸心I0に沿った方向において台座10と隣接しており、通常状態と傾斜状態との間を傾動可能に、回転体20を介し、取っ手30を台座10と接合する。更に、接合部材40は、回転体20を回転駆動可能に、取っ手30を回転体20と接合する。
【0037】
通常状態とは、図3に実線によって示すように、表面板部31がドア1の表面1aと略平行となる取っ手30の状態である。略平行とは、表面板部31がドア1の表面1aに対し傾いていないように人の目に見える状態であり、特に限定されないが、目安として、ドア1の表面1aに対する表面板部31の傾きが、例えば10度より小さいような状態である。
【0038】
傾斜状態とは、図3に仮想線によって示されているように、表面板部31がドア1の表面1aに対し所定角度だけ傾斜し、表面板部31の傾動先端31cと台座10との間に指を入れる隙間LGが形成される状態である。ただし、所定角度は、表面板部31の傾動先端と台座10との間に少なくとも指先を入れることができるとともに、取っ手30を手前に引っ張るように力を掛け易い角度であればよく、特に限定されないが、目安として、好ましくは、10度以上、30度以下、より好ましくは、10度以上、20度以下である。
【0039】
また、図7に示すように、接合部材40は、外周面40d、一対の嵌合突部41、一対の固定ビス孔42、一対の凸部遊嵌孔43、一対のバネ収納凹部44、係止ビス孔45、及び一対の覆い部46を有する。接合部材40の外周面40dは、取っ手30が通常状態であるときに、取っ手30の周板部31と対向する対向面である。
【0040】
一対の嵌合突部41は、一対の腕部40aの長手方向に沿って延びるように、一対の腕部40aが互いに対向している各対向面に形成される突条であり、回転体20の一対の嵌合溝部22aとスライド式に嵌合される。一対の嵌合突部41が一対の嵌合溝部22aとスライド式に嵌合されることによって、接合部材40は、回転体20を回転駆動可能に、回転体20と連結されるとともに、回転体20の回転軸心I0と交差する方向にスライド可能に回転体20に取付けられる。なお、一対の嵌合突部41が一対の嵌合溝部22aとスライド式に嵌合されるとき、接合部材40がスライドされる方向は、実施形態においては回転体20の回転軸心I0と直交する方向であり、図8(a)の上から下に向かう方向である。
【0041】
一対の固定ビス孔42は、図2に示す固定ビス42aが挿通可能な挿通孔であり、外周面40dに一端開口を有し、一対の腕部40aの各対向面に他端開口を有する。また、一対の固定ビス孔42の他端開口において、一対の嵌合突部41はそれぞれ分断されている。
【0042】
また、一対の固定ビス孔42は、実施形態においては、固定ビス42aと螺合される雌ネジ孔であり、直交線42bに沿って各腕部40aを貫通している。直交線42bは、仮想円40cの中心軸と直交し、且つ一対の腕部40aの長手方向に対し垂直な方向に延びる直線である。仮想円40cは、接合部材40を馬蹄形状とするように切欠いた切欠部分を補完し、接合部材40の外周を完全な円形と見做した場合の仮想形状である。
【0043】
固定ビス42aは、実施形態においては、くぼみ先六角止めネジから形成される軸状の固定部材であり、固定ビス孔42の一端開口を介し、緩めたり締めたりする操作が可能であり、接合部材40を回転体20に対し固定する。そして、外周面40dにおける固定ビス孔42の一端開口は、図6(b)に示すように、取っ手30が通常状態であるとき周板部32によって覆われ、当該一端開口を介し固定ビス42aを操作できない操作不可能状態となり、取っ手30が傾斜状態であるとき周板部32によって覆われず、固定ビス42aを操作できる操作可能状態となる。
【0044】
図7に示すように、一対の凸部遊嵌孔43は、接合部材40における上下方向の中央より上方において、接合部材40におけるドア1と反対側の面(正面)に開口する円形の孔であり、取っ手30の一対の連結凸部31aと対応する位置に設けられる。また、一対のバネ収納凹部44は、一対の凸部遊嵌孔43と連通するように同軸心に設けられる円柱形状の凹部であり、接合部材40におけるドア1に向かう側の面(背面)に開口している。
【0045】
図8に示すように、一対の凸部遊嵌孔43には、取っ手30を傾動可能とするように、取っ手30の一対の連結凸部31aが遊嵌され、一対の連結凸部31aは、一対の凸部遊嵌孔43を介し一対のバネ収納凹部44の内部に突出され、円錐コイルバネ等のバネ44aが外装される。接合ビス43aが、一対の接合ビス孔31bと螺合され、リング状のバネ押え43bが、一対の連結凸部31aの先端に固定され、一対の連結凸部31aは、一対の凸部遊嵌孔43から抜け落ちなくなり、取っ手30が、台座10及び回転体20に対し所定角度だけ傾動可能に接合部材40と連結される。また、バネ44aは、バネ押え43bと一対のバネ収納凹部44の底部との間に圧縮された状態で配置され、取っ手30を通常状態に付勢する付勢手段として機能する。
【0046】
図7に示すように、係止ビス孔45は、接合部材10におけるドア1に向かう側の面に形成され、回転体20の回転軸心I0に沿った方向において台座10の透孔13と重なっており、透孔13を介し、係止部材である係止ビス13aが螺合され、装着される装着部である。係止ビス13aは、実施形態においては、市販のナベビス等から形成されており、係止ビス孔45と螺合される雄ネジ部、及び頭部とを有し、係止ビス孔45に螺合されている状態において、頭部が透孔13の内部に突出している。係止ビス13aの頭部は、一対の台座10の一方における被係合部と係合する係合部である。
【0047】
覆い部46は、一対の台座10におけるドア1と反対側の面において、留具としての連結ビス12aを覆う。図7に示すように、実施形態において、覆い部46は、接合部材10における一対の腕部40aのうち連結ビス12aと対向する部分である。覆い部46が、一対の台座10におけるドア1と反対側の面において連結ビス12aを覆っていることによって、接合部材10を回転体20から取外さない限り、連結ビス12aをネジ回し等で緩めることができず、台座10を連結軸60から取外すことができない。
【0048】
以下、図2を参照して、実施形態に係るドアハンドル構造体の設置手順を説明する。ドアハンドル構造体の設置は、概ね下記の順番どおりに行われるが、第1手順から第3手順は順不同であり、第7手順は、第8手順より前であればよく、第9手順は、第10手順より前であればよい。また、ドアハンドル構造体の取外しは、設置手順と逆の順番で行うことができる。
【0049】
第1手順:連結ビス12aによって、部屋の外部側に設置される台座10を一対の連結軸60の各一端と連結する。
【0050】
第2手順:回転体20の軸部21にリング23を嵌め、部屋の外部側に設置される台座10のセンター孔11に軸部21を通し、軸部21の先端からスペーサ24を嵌め、外周溝部21bにC形止め輪25を嵌めるようにして、部屋の外部側に設置される回転体20を部屋の外部側に設置される台座10に取付ける。
【0051】
第3手順:部屋の外部側に設置される接合部材40の凸部遊嵌孔43に取っ手30の連結凸部31aを遊嵌し、バネ収納凹部44の内部においてバネ44aを連結凸部31aに外装し、バネ押え43bによってバネ44aを圧縮した状態で、接合ビス43aを接合ビス孔31bと螺合し、部屋の外部側に設置される取っ手30を部屋の外部側に設置される接合部材40と傾動可能に連結する。
【0052】
第4手順:嵌合突部41が嵌合溝部22aと嵌合するように、図2の上方向からスライド式に接合部材40を回転体20に取付け、取っ手30を傾斜状態に保持しながら、固定ビス42aによって接合部材40を回転体20に固定するようにして、部屋の外部側に設置される接合部材40を部屋の外部側に設置される回転体20に取付ける。
【0053】
第5手順:部屋の外部側に設置される接合部材40において、台座10の透孔13を介し接合部材40の係止ビス孔45に係止ビス13aを螺合し、係止ビス13aの頭部が透孔13の内部に突出された状態とする。
【0054】
第6手順:上記の第1手順から第5手順によって組立てた組立体を部屋の外部側からドア1に装着するとともに、部屋の外部側に設置される回転体20の嵌合孔21aに角芯50を嵌合する。
【0055】
第7手順:上記第2手順と同様の手順で、部屋の内部側に設置される回転体20を部屋の内部側に設置される台座10に取付ける。
【0056】
第8手順:連結ビス12aによって、部屋の内部側から、部屋の内部側に設置される台座10を一対の連結軸60の各他端と連結する。
【0057】
第9手順:上記第3手順と同様の手順で、部屋の内部側に設置される取っ手30を部屋の内部側に設置される接合部材40と連結する。
【0058】
第10手順:上記第4手順と同様の手順で、部屋の内部側に設置される接合部材40を部屋の内部側に設置される回転体20に取付け、実施形態のドアハンドル構造体のドア1への取付けが完了する。
【0059】
以上、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、取っ手30が、表面板部31、及び周板部32を有し、表面板部31が、台座10を覆うようにドア1の表面1aから所定距離を置いて配置され、周板部32が、台座10を囲うように表面板部31の周縁部からドア1の方向に立設され、表面板部31と台座10との間に配置される接合部材40が、通常状態と傾斜状態との間を傾動可能に、取っ手30を台座10と接合する。
【0060】
従って、非操作時において実質的に取っ手30のみが見えるようにドアハンドル構造体をドア1に設置でき、外部から見える部品の点数を小さくできる。また、取っ手30が傾動し、取っ手30の例えば下側に少なくとも指先を入れる隙間LGが形成されることによって、取っ手30がドア1の表面1aから突出する突出高さを小さく抑えた場合にもドア1を容易に引き開けることができ、操作性を犠牲とすることなく、デザイン性の向上を容易とできる。
【0061】
例えば、実施形態に係るドアハンドル構造体の試作品においては、非操作時に取っ手30がドア1の表面1aから突出する最大の突出高さは、1.0cmから1.2cmの範囲であり、一般的なケースハンドルと大きな差がない最大の突出高さに突出高さが抑えられており、デザイン性の向上を更に容易とできる。
【0062】
また、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、接合部材40が、回転体20を介し、取っ手30を傾動可能に台座10と接合するとともに、回転体20を回転駆動可能に、取っ手30を回転体20と接合している。従って、ドア1を引き開ける操作だけではなく、ラッチボルト2を操作するための回転操作が可能であり、一般的なケースハンドルと大きな差がない最大の突出高さに取っ手30の突出高さを抑えた場合にも、例えば取っ手30を傾斜状態とすることによって、取っ手30の回転操作の際にも力を掛け易くでき、操作性を犠牲とすることなく、デザイン性の向上を容易とできる。
【0063】
更に、上記実施形態のように表面板部31の形状を方形としたり、多角形としたりすることによって、取っ手30を傾斜状態としなくとも、取っ手30の周板部32に力を掛け易くでき、更に操作性を犠牲とすることなく、デザイン性の向上を容易とできる。
【0064】
また、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、バネ44aが、通常状態に取っ手30を付勢している。従って、取っ手30が、単に重力によって通常状態に保持されるだけではなく、バネ44aの弾性力によって通常状態に保持されるので、取っ手30を金属から形成したとき、ドア1の開け閉めの際等に取っ手30が振動し、他部材との衝突によってカチャカチャといった異音が発生することを防止でき、聴覚的に外観上の高級感が損なわれることを防止でき、デザイン性の向上を更に容易とできる。
【0065】
また、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、固定ビス孔42が、接合部材40の外周面40dに一端開口を有し、接合部材40の外周面40dが、取っ手30の周板部32と対向している。そして、取っ手30が通常状態であるとき、固定ビス孔42の一端開口が周板部32によって少なくとも一部分が覆われ、固定ビス孔42を操作できない操作不可能状態となる。また、取っ手30が傾斜状態であるとき固定ビス孔42の一端開口が周板部32によって覆われず、固定ビス孔42が、固定ビス42aを操作できる操作可能状態となる。
【0066】
以上のとおり、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、取っ手30が通常状態であるとき固定ビス孔42の一端開口が周板部32によって覆われ、ドアハンドルの非操作時においては、固定ビス孔42が外部から見え難くなり、外観の向上が容易となり、デザイン性の向上を更に容易とできる。また、固定ビス42aの存在も認知し難くなり、通常状態のままでは固定ビス42aを緩めるように操作できず、防犯性を向上できる。
【0067】
反対に、取っ手30が傾斜状態であるときには、固定ビス孔42の一端開口が周板部32によって覆われず、固定ビス孔42が、固定ビス42aを操作できる操作可能状態となる。従って、ドア1を開くための通常のハンドル操作をすることによって、固定ビス42aを緩めたり締めたりする操作が可能な操作可能状態となり、ドアハンドル構造体の取付け、及び取外しを容易とできる。
【0068】
なお、ドア1を開くための通常のハンドル操作をすることによって、固定ビス42aを緩めたり締めたりする操作が可能な操作可能状態とする他の方法としては、取っ手30における一対の側方切欠部32bの位置を上か下にずらし、一対の側方切欠部32bの切欠深さをより大きくすることが考えられる。
【0069】
一対の側方切欠部32bの位置を上か下にずらし、一対の側方切欠部32bの切欠深さをより大きくすれば、例えば取っ手30を右回転したときに、一方の側方切欠部32bと一方の固定ビス孔42の一端開口とが重なり、一方の固定ビス42aが操作できる状態となり、取っ手30を左回転したときに、他方の側方切欠部32bと他方の固定ビス孔42の一端開口とが重なり他方の固定ビス42aが操作できる状態となり、両方の固定ビス42aを緩めたり締めたりできる。
【0070】
しかしながら、ラッチボルトを有するドアハンドル構造体の錠機構は、非操作時の状態から取っ手を一方向にしか回転できない構造であることが多く、非操作時の状態から取っ手を一方向にしか回転できない構造であれば、一対の側方切欠部32bの位置を上か下にずらす方法によっては、一対の固定ビス42aの両方を操作可能とはできない。
【0071】
実施形態のドアハンドル構造体によれば、取っ手30が傾斜状態であるときに、一対の固定ビス孔42の一端開口が両方とも周板部32によって覆われず、一対の固定ビス孔42が、両方とも固定ビス42aを操作できる操作可能状態となる。従って、非操作時の状態から取っ手30を一方向にしか回転できない錠機構であっても、一対の固定ビス42aの両方を緩めたり締めたりでき、錠装置の適用機種を広げることができる。
【0072】
なお、一方の側方切欠部32bを上にずらし、他方を下にずらすことも考えられるが、左右非対称となるためデザイン的に好ましくなく、実施形態のドアハンドル構造体の方が更にデザイン性の向上を容易とできる。
【0073】
また、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、台座10が透孔13を有し、板状の接合部材40が、ドア1に向かう側の面に係止ビス孔45を有し、例えば部屋の外部側に設置される接合部材40の係止ビス孔45に係止ビス13aが螺合され、係止ビス13aの頭部が透孔13の内部に突出した状態で台座10がドア1に固定される。また、台座10をドア1に固定するための連結ビス12aの頭部は、図8(a)に示すように、接合部材40と重なっており、接合部材40を回転体20から取外さない限り、連結ビス12aをネジ回し等で緩めるように操作できず、部屋の外部側からは、台座10をドア1から取外すことはできず、ドアハンドル構造体を分解できない。
【0074】
回転体20から接合部材40を取外すためには、実施形態においては、固定ビス42aを緩めた後、回転体20の回転軸心I0と交差する方向に接合部材40をスライドする必要がある。接合部材40は、台座10の表面と接触するように配設されており、台座10の表面に沿って接合部材40が回転体20の回転軸心I0と交差する方向にスライドするとき、透孔13の内部に突出している係止ビス13aの頭部が、透孔13の周壁面と係合し、接合部材40のスライドが阻止される。その結果、接合部材40を回転体20から取外すことができず、連結ビス12aをネジ回し等で緩めるような操作ができず、ドアハンドル構造体を分解できない。従って、実施形態のドアハンドル構造体によれば、防犯性を向上できる。
【0075】
一方、例えば部屋の内部側においては、接合部材40に係止ビス13aを装着しないことによって、固定ビス42aを緩めると、接合部材40を台座10の表面に沿って回転体20の軸方向と交差する方向にスライドでき、ドアハンドル構造体を容易に分解できる。従って、部屋の外部側と内部側とに、全く同じ台座10、回転体20、取っ手30、接合部材40等の部品を使用しても、例えば部屋の外部側に、市販のナベビス等から形成される1本の係止ビス13aを装着するだけで、部屋の外部側からはドアハンドル構造体を分解できなくなり、製造すべきドアハンドル構造体の部品点数を増加させずに防犯性を向上でき、製造コストの増大を招くことなく、防犯性を向上できる。
【0076】
また、実施形態のドアハンドル構造体によれば、少なくとも1つの連結軸60が、一対の台座10を互いに連結し、ドア1に固定する。従って、連結軸60の長さを変えることによって、様々な厚みのドアにドアハンドル構造体を設置できる。
【0077】
以上のとおり、軸状の留具である連結ビス12aが、一対の台座10におけるドア1と反対側の面から一対の台座10を連結軸60の両端に連結し、一対の接合部材40が、回転体20の回転軸心I0に沿った方向において台座10と隣接し、回転体20の回転軸心I0と交差する方向にスライド可能に回転体20に取付けられ、覆い部46が、一対の台座10におけるドア1と反対側の面において連結ビス12aを覆う。
【0078】
そして、一対の接合部材40におけるドア1に向かう側の面に、係止ビス孔45があり、例えば部屋の外部側の接合部材40において、係止部材である係止ビス13aが、係止ビス孔45に装着され、部屋の外部側に配された台座10の被係合部と係合し、接合部材40をスライド不可能に係止する。
【0079】
従って、例えば部屋の外部側においては、固定ビス42aを緩めても、接合部材40を回転体20から取外すことができず、連結ビス12aをネジ回し等で緩めることができず、台座10を一対の連結軸60から取外すことができず、取っ手30をドア1から取外すことができず、錠を無効化することが容易とはならず、防犯性を向上させることができる。また、台座10、回転体20、取っ手30、及び接合部材40に、部屋の内部側と外部側とで全く同じ部品を使用し、例えば部屋の外部側においてのみ係止ビス13aを係止ビス孔45に装着することによって、上記のとおり、接合部材40を回転体20から取外せないようにすることができ、同じ機能を有する1つの部品を部屋の内部側と外部側とで2種類製造する必要がなく、製造すべき部品点数の増大を避けながら、防犯性を向上させることができる。
【0080】
また、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、一対の台座10の被係合部が、透孔13の周壁部から形成され、係止ビス孔45が、回転体20の回転軸心I0に沿った方向において透孔13と重なっており、係止ビス13aが、透孔13を介し、一対の台座10の一方における係止ビス孔45に装着される。従って、透孔13の周壁部によって、係止部材としての係止ビス13aが外部から見えないように囲われることとなり、例えば部屋の外部側においては係止ビス13aを取外すことがより困難となり、防犯性を更に向上させることができる。
【0081】
また、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、係止部材の装着部としての係止ビス孔45が、雌ネジから形成され、係止部材としての係止ビス13aが、係止ビス孔45と螺合される雄ネジ部、及び台座10の被係合部と係合する係合部としての頭部を有する。従って、例えば市販のナベビスを係止ビス13aとして使用でき、更に製造すべき部品点数の増大を避けながら、防犯性を向上させることができる。
【0082】
また、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、非操作時には取っ手30だけが外部から実質的に唯一見えるように設計できる。そして、取っ手30の全体がドア1の表面1aに対し傾動されることによって、ドア1を開くように操作できることから、可動部分と固定部分との境界線がドアハンドル構造体の外部に表れないように設計できる。例えば、表面板部31の上半分を固定部分とし、下半分を可動部分とするとき、表面板部31には可動部分と固定部分との境界線ができてしまうのに対し、実施形態のドアハンドル構造体によれば、表面板部31を一体の板材から形成でき、ドアハンドル構造体を極めてシンプルなデザインとすることができ、更にデザイン性の向上を容易とできる。
【0083】
また、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアハンドル構造体によれば、位置決め手段である位置決め突起34が、表面板部31におけるドア1に向かう側の面からドア1に向かって突設され、図8(a)に示すように、取っ手30の通常状態において位置決め突起34が接合部材40と当接し、取っ手30を通常状態における定位置に位置決めする。従って、取っ手30の形状が実施形態のような正方形状であり、取っ手30の回転方向における傾きが人に認識されるような場合に、取っ手30が回転方向において傾かないように位置決めでき、更にデザイン性の向上を容易とできる。また、位置決め突起34の形状を突出方向の先端に向かって径が小さくなる円錐形状とすることによって、取っ手30の回転方向における傾きをより確実に解消でき、更にデザイン性の向上を容易とできる。
【0084】
次に、図9を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。図9(a)は、他の実施形態の取っ手を示す背面図である。図9(b)は、他の実施形態の取っ手を示す側面図である。図9(c)は、図9(a)のE-E線断面図である。
【0085】
上記した実施形態においては、取っ手30における表面板部31の形状が略正方形状であったのに対し、本実施形態の取っ手30Aにおける表面板部31Aの形状は略円形である。また、上記した実施形態の取っ手30が、接合部材40の収容スペースを区画する区画壁部33を有していたのに対し、本実施形態の取っ手30Aは、区画壁部を有しておらず、周板部32Aによって囲まれた全てのスペースが、接合部材40の収容スペースとなっている。それ以外の構成は、本実施形態は、上記した実施形態と同様である。
【0086】
以上、図9を参照して説明したように、表面板部の形状は、正方形状に限らず、図9に示すような円形としたり、菱形、長方形、星形、三角形、五角形、六角形等の多角形形状としたりすることができ、様々なデザインとすることができる。また、表面板部に例えば円形の区画壁部を形成することによって、接合部材40の形状を円形に統一しても、様々な表面板部の形状に対応することができる。従って、取っ手の形状ごとに異なる接合部材40を製造する必要がなく、製造コストを抑えながら、様々な形状の取っ手を採用でき、更に容易にデザイン性を向上できる。
【0087】
以上、図面(図1図9)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…ドア
1a…表面
10…台座
20…回転体
30…取っ手
31…表面板部
31c…傾動先端
32…周板部
40…接合部材
40d…外周面(対向面)
44a…バネ(付勢手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9