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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073792
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】保持具およびハーネス保持構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/32 20060101AFI20230519BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230519BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20230519BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20230519BHJP
   F16B 2/24 20060101ALI20230519BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20230519BHJP
【FI】
H02G3/32
H02G3/30
F16B7/04 302B
F16B2/22 D
F16B2/22 E
F16B2/24 D
B60R16/02 620S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186476
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】東山 正弘
(72)【発明者】
【氏名】早川 和範
【テーマコード(参考)】
3J022
3J039
5G363
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA33
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022ED24
3J022FA01
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB08
3J022FB12
3J022HA02
3J022HA05
3J022HB02
3J022HB06
3J039AA05
3J039BB01
3J039FA01
3J039MA01
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】第1長尺状体の本数や径の違いに柔軟に対応して第2長尺状体を配置すること。
【解決手段】第1長尺状体110を把持する把持部2と、第1長尺状体110に沿って配置する第2長尺状体120を保持する保持部4とが備えられ、把持部2は、第1長尺状体110の外周を挟み込む一対の把持片21と、把持片21同士に対して挟み込み方向の弾性力を作用する弾性部22とが設けられた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1長尺状体を把持する把持部と、
前記第1長尺状体に沿って配置する第2長尺状体を保持する保持部とが備えられ、
前記把持部は、
前記第1長尺状体の外周を挟み込む一対の把持片と、
前記把持片同士に対して挟み込み方向の弾性力を作用する弾性部とが設けられた
保持具。
【請求項2】
前記弾性部によって前記挟み込み方向の弾性力が作用した前記把持片同士を開く開操作をする操作部が設けられた
請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記操作部には、前記把持片同士を前記挟み込み方向と反対方向へ操作することで前記開操作が行われる一対の操作片が設けられ、
前記把持片と前記操作片とが一体形成された把持操作部材を一対備え、
前記把持部と前記操作部との間に、一対の前記把持操作部材を互いに回動可能に当接させる支点部が設けられた
請求項2に記載の保持具。
【請求項4】
前記把持部で前記第1長尺状体を把持する把持状態において、前記操作片同士の近接を規制する規制部が設けられた
請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記規制部は、一対の前記操作片が互いに離間する方向の弾性力を作用させる離間弾性部で構成された
請求項4に記載の保持具。
【請求項6】
前記離間弾性部は、
一対の前記操作片のうち一方の前記操作片に対して枢動可能に設けられるとともに、
他方の前記操作片に対して掛け渡される構成である
請求項5に記載の保持具。
【請求項7】
前記規制部は、一対の前記操作片の間に配置して前記操作部同士の近接を規制する近接規制体で構成された
請求項4に記載の保持具。
【請求項8】
前記操作部に、一対の前記操作片同士の近接状態に応じて前記近接規制体の位置を規制する位置規制部が設けられた
請求項7に記載の保持具。
【請求項9】
前記規制部に、前記保持部が設けられた
請求項4乃至請求項8のうちいずれかに記載の保持具。
【請求項10】
前記操作部に、前記保持部が設けられた
請求項2乃至請求項9のうちいずれかに記載の保持具。
【請求項11】
前記把持部に、前記保持部が設けられた
請求項1乃至請求項10のうちいずれかに記載の保持具。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のうちいずれかに記載の保持具と、
ワイヤーハーネスで構成された第1長尺状体及び第2長尺状体とが備えられ、
前記第1長尺状体の外周が前記把持部で把持されるともとに、
前記第1長尺状体に沿って配置する前記第2長尺状体が前記保持部で保持された
ハーネス保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネス等の長尺状体を保持する保持具に関し、詳しくは、第1長尺状体に沿って第2長尺状体を配置する際に用いられる保持具、および該保持具を備えたハーネス保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に例示されるように、例えば、複数の電線間の曲げ特性(最大曲率半径)の違いや管理のし易さを考慮してワイヤーハーネスを構成する電線のうち、第2長尺状体(特定の電線)を第1長尺状体(他の電線)に対して所定間隔を隔てて配索するための技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、ワイヤーハーネスを内部に挿通する樋形状のプロテクタ本体と、プロテクタ本体内の通路を幅方向に区画する隔壁とを備えたワイヤーハーネス用のプロテクタが開示されている。
【0004】
特許文献1のプロテクタは、隔壁によって区画された一方の通路に、ワイヤーハーネスの電線群のうち、特定電線を配線し、他方通路に、特定電線以外の他の電線を配線することで、特定の電線を他の電線に沿って配置できるものである。
【0005】
しかしながら、第1長尺状体に沿って第2長尺状体を配置する箇所や仕向け先の仕様、規格等に応じて第1長尺状体の径(太さ)や本数が異なることが多く、また、第1長尺状体に沿って第2長尺状体を元々配置していない場合も含めて、第1長尺状体に沿って第2長尺状体を事後的に追加して配置する必要性が生じることがある。
【0006】
例えば、第1長尺状体が大径である場合や本数が多い場合には、プロテクタ本体内に第1長尺状体を挿通できないという不具合が生じる。一方、このような不具合を見越して第1長尺状体に対してプロテクタ本体を過剰に大きく形成した場合には、第1長尺状体を挿通した状態においてプロテクタ本体内に無駄な空間が生じるという課題を有する。
【0007】
このため、特許文献1の構成においては、第2長尺状体の配置箇所における第1長尺状体の径(太さ)や本数に対応すべく様々な形態のプロテクタを用意する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-90505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、第1長尺状体の本数や径の違いに柔軟に対応して第2長尺状体を配置することができる保持具およびハーネス保持構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の保持具は、第1長尺状体を把持する把持部と、前記第1長尺状体に沿って配置する第2長尺状体を保持する保持部とが備えられ、前記把持部は、前記第1長尺状体の外周を挟み込む一対の把持片と、前記把持片同士に対して挟み込み方向の弾性力を作用する弾性部とが設けられたことを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、保持具によって第1長尺状体を把持する箇所に応じて、第1長尺状体の本数や径(太さ)が異なる場合においても、第1長尺状体を、弾性部による弾性力が作用する一対の把持片で挟み込むことができる。
【0012】
このように、前記第1長尺状体を前記把持部によって、容易に、かつしっかりと把持することで、前記保持部によって保持された前記第2長尺状体を、前記第1長尺状体に沿って配置することができる。
【0013】
従って、前記第1長尺状体に沿って前記第2長尺状体を配置する場合において、前記第2長尺状体の配置箇所における、前記第1長尺状体の本数や径に適合する様々な形態の保持具を用意せずとも、前記第1長尺状体の本数や径の違いに柔軟に対応して前記第2長尺状体を配置することができる。
【0014】
この発明の態様として、前記弾性部によって前記挟み込み方向の弾性力が作用した前記把持片同士を開く操作(すなわち、開操作)をする操作部が設けられてもよい。
【0015】
前記構成によれば、前記操作部によって、前記弾性部の弾性力に抗して前記把持片同士を開く方向に容易に操作できるため、一対の前記把持片によって前記第1長尺状体を容易に把持することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記操作部には、前記把持片同士を前記挟み込み方向と反対方向へ操作することで前記開操作が行われる一対の操作片が設けられ、前記把持片と前記操作片とが一体形成された把持操作部材を一対備え、前記把持部と前記操作部との間に、一対の前記把持操作部材を互いに回動可能に当接させる支点部が設けられてもよい。
【0017】
前記構成によれば、前記弾性部による把持方向の弾性力により、把持部によって第1長尺状体をしっかりと把持することができる。
【0018】
その一方で、操作部によって、一対の前記把持操作部における前記把持片同士を前記弾性部の弾性力に抗して開く際に、把持部を作用点とし、操作部を力点とし、支点部を支点とするテコの原理を活かして、さらに容易に開操作ができる。すなわち、小さな把持力で把持片同士を大きく開くことができる。
従って、一対の把持片によって前記第1長尺状体を容易に把持する操作を行うことができる。
【0019】
また、この発明の態様として、前記把持部で前記第1長尺状体を把持する把持状態において、前記操作片同士の近接を規制する規制部が設けられてもよい。
【0020】
前記構成によれば、前記把持部で前記第1長尺状体を把持する把持状態において、例えば、一対の前記把持操作部に外力等が作用する等により、前記弾性部の弾性力に抗して前記把持片同士が、互いに開く方向に意に反して変位しないように規制部によって、前記操作部同士の近接を規制することができる。
【0021】
従って、規制部によって、前記操作部同士の近接を規制することで、例えば、当該保持具が前記第1長尺状体に対して不用意に脱落したり、当該保持具の前記第1長尺状体への取り付け位置が不用意に変化したりすることがなく、前記把持部による前記第1長尺状体の把持状態を維持することができる。
【0022】
また、この発明の態様として、前記規制部は、一対の前記操作片が互いに離間する方向の弾性力を作用させる離間弾性部で構成されてもよい。
【0023】
前記構成によれば、前記把持部で前記第1長尺状体を把持する把持状態において、離間弾性部によって一対の前記操作部に互いに離間する方向の弾性力を作用させることができる。従って、離間弾性部の弾性力を活かして前記操作部同士の近接を規制することができるとともに、一対の操作部の間において当該離間弾性部自体が脱落することなくしっかりと装着できる。
【0024】
また、離間弾性部は、前記第1長尺状体の径に応じて変動する一対の操作部同士の間隔に追従するように弾性変形することで、様々な径の前記第1長尺状体に対応して一対の操作部の間に介在させることができる。
【0025】
さらにまた、前記構成によれば、前記離間弾性部は、一対の前記操作部を互いに離間させる方向の弾性力を作用させることができる。このため、当該弾性力を、前記把持部で前記第1長尺状体を把持する把持状態において、第1長尺状体を一対の把持片で挟み込む方向の弾性力としても作用させることができる。
【0026】
従って、前記把持部で前記第1長尺状体を把持する把持状態において、弾性部と離間弾性部とは、夫々の弾性力により協働して一対の把持片によって第1長尺状体をしっかりと把持することができる。
【0027】
また、この発明の態様として、前記離間弾性部は、一対の前記操作片のうち一方の前記操作片に対して枢動可能に設けられるとともに、他方の前記操作片に対して掛け渡されてもよい。
【0028】
前記構成によれば、前記離間弾性部は、一対の前記操作部の一方に対して枢動可能であるため、前記第1長尺状体を把持部によって把持したり、前記第2長尺状体を保持部によって保持したりする際に、該離間弾性部を前記操作部同士の近接を規制しない位置へと枢動させておくことで前記離間弾性部が邪魔になることがない。
【0029】
一方、前記離間弾性部を、前記近接を規制しない位置から規制する位置へと枢動させることで、該離間弾性部によって前記操作部同士の近接を容易に規制することができる。
【0030】
また、前記離間弾性部は、一対の前記操作部の一方に対して枢動可能に設けられることで、前記操作部に対して分離することがないため、紛失のおそれがなく部品管理等も容易となる。
【0031】
また、この発明の態様として、前記規制部は、一対の前記操作片の間に配置して前記操作部同士の近接を規制する近接規制体で構成してもよい。
【0032】
前記構成によれば、前記把持部で前記第1長尺状体を把持する把持状態において、前記弾性部の弾性力に抗して前記把持片同士が、互いに開く方向に意に反して変位しないように規制部によって、前記操作部同士の近接を物理的に規制することができる。
【0033】
また、この発明の態様として、前記操作部に、一対の前記操作片同士の近接状態に応じて前記近接規制体の位置を規制する位置規制部が設けられてもよい。
【0034】
前記構成によれば、前記把持部によって把持する前記第1長尺状体の径に応じて一対の前記操作片同士の間隔が変動しても、前記近接規制体の位置を位置規制部によって規制することができる。
【0035】
これにより、一対の前記操作片の間に装着した前記近接規制体が、該一対の操作片の間から意に反して脱落したり位置ずれしたりすることを位置規制部によって防ぐことができる。
【0036】
また、この発明の態様として、前記規制部に、前記保持部が設けられてもよい。
【0037】
前記構成によれば、保持部は、前記第1長尺状体を把持する把持部側とは別体である規制部に設けることができる。このため、作業者は、前記第1長尺状体を把持部によって把持する作業と、第2長尺状体を保持部によって保持する作業とを、それぞれ異なる場所で行うことができる。
【0038】
よって、2つの作業(前記第1長尺状体の把持作業と第2長尺状体の保持作業)を容易に行うことができる。
【0039】
また、前記第1長尺状体を把持する把持部の側に備えた一対の操作片の間に、第2長尺状体が保持部によって保持された規制部を装着することで、第2長尺状体を前記第1長尺状体に沿って配置する作業と、前記操作片同士の近接を規制する作業とを同時に行うことができる。
【0040】
また、前記構成によれば、把持部や操作部に保持部を設ける必要がないため、操作部を操作しながら第1長尺状体を把持部によって把持する際に、保持部が邪魔になることなく前記第1長尺状体を容易に把持することができる。
また、この発明の態様として、前記操作部に、前記保持部が設けられてもよい。
【0041】
例えば、前記保持部を把持部に設けるよりも第1長尺状体と第2長尺状体との間隔をより大きく確保することができるため、第2長尺状体を、第1長尺状体に対して互いの間隔を確保した状態で配置することができる。
【0042】
さらに、作業者が前記開操作を行う操作部に、保持部を設けることで、作業者が保持具に対してアクセスし易い位置に保持部を設けることができる。従って、作用者は、第1長尺状体に対して第2長尺状体を後付けする場合においても、保持部に対して第2長尺状体を容易に取り付けることができる。
【0043】
また、この発明の態様として、前記把持部に、前記保持部が設けられてもよい。
【0044】
前記構成によれば、第1長尺状体を把持する前記把持部に、保持部が設けられた構成とすることができるため、一対の前記把持片によって把持される第1長尺状体と、保持部によって保持される第2長尺状体とを互いに近接させてコンパクトに配置することができる。
【0045】
また、この発明のハーネス保持構造は、上述した保持具と、ワイヤーハーネスで構成された第1長尺状体及び第2長尺状体とが備えられ、前記第1長尺状体の外周が前記把持部で把持されるともとに、前記第1長尺状体に沿って配置する前記第2長尺状体が前記保持部で保持されたことを特徴とする。
【0046】
前記構成によれば、前記第1長尺状体に沿って第2長尺状体を配置する場合において、第2長尺状体の配置箇所における、第1長尺状体の本数や径に適合する様々な形態の保持具を用意せずとも、第1長尺状体の本数や径の違いに柔軟に対応して第2長尺状体を配置することができる。
【発明の効果】
【0047】
前記構成によれば、前記第1長尺状体の本数や径の違いに柔軟に対応して第2長尺状体を配置することができる保持具、および該保持具を備えたハーネス保持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本実施形態のハーネス保持構造の一部を示す外観斜視図
図2】(a)は本実施形態の保持具を示す外観斜視図、(b)は本実施形態の保持具を示す分解斜視図
図3】(a)は図1中のA-A線矢視断面図、(b)は図3(a)に示すメインハーネスよりも径大なメインハーネスを把持する場合を示す図3(a)対応図
図4】(a)は変形例1のハーネス保持構造における図3(a)対応図、(b)は図4(a)の平面図、(c)は図4(a)中のB-B線矢視端面図、(d)は図4(a)中のC-C線矢視端面図、(e)は図4(a)中の要部拡大図
図5】(a)は変形例1の保持具を示す正面図、(b)は同平面図
図6】変形例1の規制部材を示す正面図、(b)は同平面図、(c)は同左側面図、(d)は同底面図
図7】(a)はサブハーネスを規制部によって保持する様子を示す断面図、(b)はサブハーネスを規制部によって保持した様子を示す断面図、(c)は規制部を操作部に装着前の様子を示す断面図、(d)は規制部を操作部に装着途中の様子を示す断面図、(e)は図7(d)中の要部拡大図
図8】(a)は図4(a)に示すメインハーネスよりも径大なメインハーネスを把持する場合を示す図4(a)の要部対応図、(b)は図8(a)中のD-D線矢視端面図、(c)は図8(a)に示すメインハーネスよりも径大なメインハーネスを把持する場合を示す図8(a)対応図、(d)は図8(c)中のE-E線矢視端面図
図9】(a)は変形例2の保持具の正面図、(b)は同平面図
図10】(a)は変形例2のハーネス保持構造における図3(a)の要部対応図、(b)は図10(a)に示すメインハーネスよりも径大なメインハーネスを把持する場合を示す図10(a)対応図、(c)は図10(b)に示すメインハーネスよりも径大なメインハーネスを把持する場合を示す図10(a)対応図
図11】(a)は変形例3の保持具を示す正面図、(b)同平面図
図12】(a)は変形例3のハーネス保持構造における図3(a)の要部対応図、(b)は図12(a)の保持具の平面図、(c)は図12(a)に示すメインハーネスよりも径大なメインハーネスを把持する場合を示す図12(a)対応図、(d)は図12(c)の保持具の平面図
図13】(a)は変形例3の保持具によってメインハーネスを把持する直前の様子を、(b)は変形例3の保持具によってメインハーネスを把持した様子を、夫々断面により示す図3(a)対応図、(c)は図13(b)の保持具の平面図
図14】(a)は一方の繋止アームで一対の操作片間を繋いだ状態を示す図3(a)の要部対応図、(b)は図14(a)の保持具の平面図、(c)はサブハーネスを一方の繋止アームに設置した状態を示す図14(a)対応図、(d)は図14(c)の保持具の平面図、(e)はサブハーネスを一対の繋止アームで保持した状態を示す図14(a)対応図、(f)は図14(e)の保持具の平面図
【発明を実施するための形態】
【0049】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1に示すように、本実施形態のハーネス保持構造1は、ワイヤーハーネス100と、該ワイヤーハーネス100を構成する電線101を保持する保持具10とで構成されている。
ワイヤーハーネス100は、自動車等の車両に搭載され、例えば、バッテリー(電源)(図示省略)と各種電気部品(図示省略)とを繋ぐように車体における所定の配索経路に沿って配索され、複数の電線101を備えている。
【0050】
電線101は、アルミニウム、銅、またはこれらの合金等から成る導電部材の周囲に樹脂等の絶縁部材で被覆して形成されている。
【0051】
ここで、ワイヤーハーネス100は、接続先の仕様や車体の仕様・仕向けに応じて、その接続態様を変更することがある。そこで、ワイヤーハーネス100は、電線101群から成るメインハーネス110と、メインハーネス110より細径となるように電線101群から成るサブハーネス120とを有する構成としている。さらに、ワイヤーハーネス100は、その配索経路において所定箇所ごとに車体に取り付けられたメインハーネス110に沿う状態で該メインハーネス110に対してサブハーネス120が取り付けられた構成としている。これにより、ワイヤーハーネス100は、対応するサブハーネス120をメインハーネス110に沿って配置することができ、接続先や車体の仕様・仕向けに応じて、接続態様を変更できる。
【0052】
本実施形態の保持具10は、図1に示すように、ワイヤーハーネス100の配索経路の途中部位において備えており、図1図2(a)(b)に示すように、メインハーネス110を把持する把持部2と、把持部2を操作する操作部3と、サブハーネス120をメインハーネス110に沿うように保持する保持部4とが設けられている。
ここで、図中、矢印Xは保持具10の幅方向(左右方向)に設定し、同様に矢印Yは厚み方向、矢印Zは上下方向を示すものとする。なお、図1に示すように、厚み方向(矢印Y)は、ワイヤーハーネス100における、保持具10が装着されている箇所における配索方向と一致する方向を示している。
【0053】
また、本実施形態のハーネス保持構造1に備えた保持具10は、ワイヤーハーネス100の配索方向に沿って所定間隔を隔てて備えており、夫々が互いに同一形状で形成されている。但し、複数の保持具10は、夫々を、例えば、ワイヤーハーネス100の取付け箇所、メインハーネス110やサブハーネス120の径或いは用途に応じて異なる形状やサイズで構成してもよく、また、ワイヤーハーネス100において1つだけ備えてもよい。
【0054】
把持部2は、メインハーネス110の外周を挟み込む一対の把持片21と、弾性部としての円弧状線バネ22とが設けられている。また、操作部3には、円弧状線バネ22による前記挟み込み方向の弾性力に抗して把持片21同士を前記挟み込み方向と反対方向(つまり互いに近接する方向)へ操作する一対の操作片31を備えている。
【0055】
換言すると、把持片21と操作片31とは、左右各側において合成樹脂製の把持操作部材5の一部として一体に形成されている。
なお、一対の把持操作部材5は合成樹脂に限らず、例えば、木、鋼等の他の材質であってもよい。
【0056】
具体的に、把持操作部材5は、上部に把持片21が、下部に操作片31が夫々上下方向に延在するように配設され、把持片21の上端と操作片31の下端とが一体に連結された形態となるように延びる長尺部材であり、互いに略左右対称形状となるように一対を備えている。
【0057】
また、本実施形態の保持具10は、上下方向の略中間部、すなわち把持部2と操作部3との間の部位に、一対の把持操作部材5を互いに回動可能に当接させる支点部6が設けられている。
【0058】
具体的に、図2(a)(b)に示すように、一対の把持操作部材5の夫々における、上下方向の略中間部には、対向する他方の把持操作部材5に向けてフランジ状に突出する突状回動部61と、該突状回動部61に当接可能に突状回動部61の突出方向と反対側へ退避する回動受け部62とが形成されている。
【0059】
突状回動部61と回動受け部62とは、保持具10の厚み方向において互い違いとなる位置関係で配設されている。これにより、突状回動部61と回動受け部62とは、一対の把持操作部材5を幅方向において対向させた状態で、図2(b)に示す状態から図2(a)に示す状態となるように、互いに相対回動可能に当接する。
【0060】
これにより、本実施形態の保持具10には、突状回動部61と回動受け部62とによって、一対の把持操作部材5の夫々の上下方向の中間部を互いに回動可能に当接させる支点部6(枢支部)が構成される。
【0061】
なお、一対の把持操作部材5の夫々の突状回動部61は、支点部6の厚み方向において互いに隣接する。このため、突状回動部61と回動受け部62とが当接した状態において、互いに隣接する突状回動部61は、厚み方向において互いに係合(当接)する。これにより、一対の把持操作部材5は、互いに厚み方向に位置ずれしないように規制される。
【0062】
把持片21は、把持操作部材5の上下方向の略中間部から保持具10の下端に至るまで下方に延びており、一対の把持片21を幅方向において互いに対向させた状態において、夫々の把持片21の上下方向の中間部が幅方向の外側へ張り出すように円弧状に形成されている。
【0063】
弾性部は、一対の把持片21の夫々に対してメインハーネス110の挟み込み方向(一対の把持片21を互いに近接させる方向)へ弾性力を作用させる弾性部材(付勢部材)であり、本実施形態においては、上述したように、正面視円弧状に延びる円弧状線バネ22が採用されている。円弧状線バネ22は、例えば、ステンレス、バネ鋼などの線材で形成されている。
【0064】
図2(a)、図3(a)(b)に示すように、円弧状線バネ22は、支点部6に対して上方の位置において正面視で該支点部6を取り囲むように配置され、その状態で一端が一対の把持片21のうち一方の把持片21の上部(基部)に係合されるとともに、他端が他方の把持片21の上部(基部)に係合される。
【0065】
これにより、円弧状線バネ22は、上述したように、一対の把持片21の夫々に対してメインハーネス110の挟み込み方向へ弾性力を作用させることが可能に一対の把持片21に装着される。
【0066】
なお、図2(a)(b)に示すように、一対の把持片21の夫々の円弧状線バネ22の上部の外面には、円弧状線バネ22の夫々に対応する端部が差し込まれた状態で係合する係合穴23が形成されている。また、円弧状線バネ22は、上述したように、支点部6に対して上方の位置に配置されるが、一対の操作片31を跨ぐように配置される。このため、一対の操作片31には、一対の操作片31を跨ぐように配置した円弧状線バネ22と干渉しないように円弧状線バネ22の通過部位およびその周辺に貫通穴32が形成されている。
【0067】
操作片31は、把持操作部材5の上下方向の略中間部から保持具10の上端に至るまで上方に直線状に延びており、一対の操作片31を幅方向において互いに対向させた状態において、夫々が上方程幅方向に互いに離間するように正面視で傾斜して延びている。
【0068】
これにより、本実施形態の保持具10は、一対の操作片31を、人手(例えば、人差し指と親指)により摘まみ操作されることで、円弧状線バネ22による前記挟み込み方向の弾性力に抗して支点部6を支点として一対の把持片21を開く開操作が可能に構成されている。
【0069】
また、本実施形態の保持部4は、一対の把持片21のうち、一方の把持片21の先端側部位に備え、サブハーネス120を保持可能に互いに対向する一対のクリップ片41を備えている。
【0070】
一対のクリップ片41は、一方の把持片21の先端側部位の幅方向(矢印X)の外面から突設されており、互いに対向する各対向面は、サブハーネス120の外周面を挟み込み易いように該サブハーネス120の外周形状に対応して円弧状に形成されている。これにより、一対のクリップ片41の間には、サブハーネス120を保持可能なサブハーネス保持空間が構成されている。
【0071】
さらに、一対のクリップ片41における夫々の先端部の間には、サブハーネス保持空間と外側空間とを連通する隙間41aが形成されている。
【0072】
そして、一対のクリップ片41の先端部は、隙間41aを通じてサブハーネス保持空間までサブハーネス120を差し込み可能に該隙間41aが拡径するように撓み変形可能に形成されている。これにより、一対のクリップ片41は、サブハーネス保持空間にサブハーネス120を差し込んだ状態においては、自身の弾性力(復元力)を利用してサブハーネス120を保持可能としている。
【0073】
上述した実施形態の保持具10は、円弧状線バネ22の弾性力が一対の把持片21の挟み込み方向に作用しているため、一対の把持片21によってメインハーネス110が把持されていない状態においては、図2(a)に示すように、一対の把持操作部材5(一対の把持片21)の下端部同士が互いに当接した状態に維持される。
【0074】
この状態から保持具10は、一対の操作片31を開操作することで一対の把持片21の各下端部同士の間に隙間21a(図3(c)参照)が形成されるため、該隙間21aを通じてメインハーネス110を一対の把持片21の間の空間に差し込むことで、該空間にメインハーネス110を配置することができる。
【0075】
さらに、一対の操作片31による開操作、すなわち、摘まみを解除することで、円弧状線バネ22の弾性力により一対の把持片21が閉じるとともに、円弧状線バネ22による前記挟み込み方向の弾性力が作用した状態で一対の把持片21によってメインハーネス110を把持することができる。
その後、保持部4を構成する一対のクリップ片41によってサブハーネス120を保持させることでサブハーネス120をメインハーネス110に沿って配置することができる。
【0076】
また、本実施形態の保持具10は、例えば、所定の外径を有するメインハーネス110(以下、「第1メインハーネス110」とも称する)(図3(a)参照)の外径より大径である所定の外径を有するメインハーネス110m(以下、「第2メインハーネス110m」とも称する)(図3(b)参照)を把持する場合においても、一対の操作片31を第2メインハーネス110mの径に応じた開度で開操作が可能であるとともに、弾性力を作用させた状態で把持することができる。
【0077】
上述した本実施形態の保持具10は、図1図2(a)(b)、図3(a)(b)に示すように、メインハーネス110(第1長尺状体)を把持する把持部2と、メインハーネス110に沿って配置するサブハーネス120(第2長尺状体)を保持する保持部4とが備えられ、把持部2は、メインハーネス110の外周を挟み込む一対の把持片21と、把持片21同士に対して挟み込み方向の弾性力を作用する弾性部としての円弧状線バネ22とが設けられたことを特徴とする。
【0078】
前記構成によれば、一対の把持片21は、メインハーネス110の径や本数に応じた開度で円弧状線バネ22の弾性力に抗して開くことで、様々な径や本数のメインハーネス110に対してもしっかりと把持することができる。
【0079】
よって、保持具10によってメインハーネス110を把持する箇所に応じて、メインハーネス110の本数や径(太さ)が異なる場合においても、メインハーネス110を、円弧状線バネ22による弾性力が作用する一対の把持片21で挟み込むことができる。
【0080】
そして、メインハーネス110を把持部2によって容易に、かつしっかりと把持することができるため、保持部4によって保持されたサブハーネス120を、メインハーネス110に沿って配置することができる。
【0081】
従って、メインハーネス110に沿ってサブハーネス120を配置する場合において、サブハーネス120の配置箇所における、メインハーネス110の本数や径に適合して把持可能な様々な形態の保持具10を用意せずとも、メインハーネス110の本数や径の違いに柔軟に対応してサブハーネス120を配置することができる。
【0082】
例えば、車両の仕様に応じたオプション電装品を車両に搭載する場合においては、一般に車体に固定したメインハーネス110にサブハーネス120を後付けする必要がある。上述した本実施形態の保持具10は、このような場合においてもメインハーネス110に対してサブハーネス120を容易にかつしっかりと取り付けることができる。また、上述した本実施形態の保持具10は、オプション電装品を車両に搭載することを見越してサブハーネス120を後配線できるようにメインハーネス110に予め取り付けておく必要がないため、余剰な保持具を必要とせず、コンパクトにすることができる。
【0083】
また、本実施形態の保持具10は、上述したように、円弧状線バネ22による弾性力が作用する一対の把持片21によってメインハーネス110を保持することができるため、メインハーネス110に沿ってサブハーネス120を後付けするに際して粘着テープを用いる場合のように、メインハーネス110と共にサブハーネス120の外周に粘着テープを巻き回したり、さらに、結束バンドのように、メインハーネス110に対してバンドを締め付けるとともに、その余長部分を切断する等の手間を必要としない。よって、本実施形態の保持具10は、メインハーネス110に対してサブハーネス120を後付けする場合においても、スムーズに取り付けることができ、また、保持具10の径の大きさに関わらず柔軟に対応することができる。
【0084】
この発明の態様として、同図に示すように、円弧状線バネ22によって前記挟み込み方向の弾性力が作用した把持片21同士を開く開操作をする操作部3が設けられたものである。
【0085】
前記構成によれば、操作部3によって、円弧状線バネ22の弾性力に抗して把持片21同士を開く方向に容易に操作できるため、一対の把持片21によってメインハーネス110を容易に把持することができる。
【0086】
この発明の態様として、同図に示すように、把持部2には、把持片21同士を前記挟み込み方向と反対方向へ操作することで前記開操作が行われる一対の操作片31を備え、把持片21と操作片31とが一体形成された把持操作部材5を一対備え、把持部2と操作部3との間に、一対の把持操作部材5を互いに回動可能に当接させる支点部6が設けられたものである。
【0087】
前記構成によれば、円弧状線バネ22の弾性力を利用して把持部2によってメインハーネス110の外周をしっかりと把持することができる一方で、操作部3によって、一対の把持操作部材5における把持片21同士を開操作する際に、把持部2を作用点とし、操作部3を力点とし、支点部6を支点とするテコの原理を活かして、把持片21同士を小さな操作力で容易に開くことができる。
【0088】
従って、一対の把持片21によってメインハーネス110を把持する操作を容易に行うことができる。
【0089】
この発明の態様として、同図に示すように、把持部2に保持部4が設けられた構成とすることで、一対の把持片21によって把持されるメインハーネス110と、保持部4によって保持されるサブハーネス120とを互いに近接させてコンパクトに配置することができる。
【0090】
また、本発明の保持部は、操作部3による把持部2の開閉操作、把持部2によるメインハーネス110の把持、保持部4によるサブハーネス120の保持に支障を来さない範囲であれば、本実施形態の保持部4のように、一方の把持片21の先端側部位に備えた構成に限定せず、所望の箇所に、所望の個数、大きさ、保持形態で設けることができる。
本発明の保持部は、例えば、操作部3に設ける場合には、図3(a)中に一点鎖線にて示す保持部4’のように、操作片31における、円弧状線バネ22に対して基部側に設けてもよく、或いは、図3(a)中に仮想線にて示す保持部4’’のように、先端部側に設けてもよい。
【0091】
このように、保持部4を、操作部3に設けることで、把持部2によってメインハーネス110を把持するとともに保持部4によってサブハーネス120を保持した状態において、把持部2に設ける場合と比してメインハーネス110とサブハーネス120との間隔を空けて配置し易くなる。
【0092】
従って、メインハーネス110とサブハーネス120との曲げ特性(最大曲率半径)の間に大きな開きがある場合においても、メインハーネス110とサブハーネス120とを夫々の曲げ特性に応じて配置し易くなる。
【0093】
また、本実施形態の保持具10においては、一対の操作片31が互いに近接する方向に操作することで、一対の把持片21の開操作を可能とする、所謂洗濯バサミ型で構成したが、この構成に限定せず、図示省略するが一対の操作片31を互いに離間する方向に操作することで、一対の把持片21の開操作を可能とする、所謂鋏型で構成してもよい。
【0094】
続いて、上述した実施形態の保持具10の変形例として、規制部を備えた保持具10A,10B,10Cについて説明する。但し、上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0095】
(変形例1)
図4(a)、図5(a)(b)、図6(a)(b)(c)(d)に示すように、変形例1の保持具10A(図4(a)参照)は、保持具本体10A’(図5(a)(b)参照)と、一対の操作片31の間に介在するように配置して一対の操作片31同士の近接を規制する規制部としての近接規制体7(図6参照)とを備えている。
【0096】
また、図5(a)(b)に示すように、変形例1の保持具本体10A’には、弾性部として、実施形態の保持具10のように円弧状線バネ22として円弧状線バネ22(図1参照)を備えておらず、上述したように、トーションバネ22Aを備えている。
【0097】
トーションバネ22Aは、線材をコイル状に巻き回して成るコイル部121と、該コイル部121の両端から直線状に延びる一対のアーム部122とで構成されている。
【0098】
コイル部121は、支点部6の回転中心と同軸になるように支点部6の内部空間6s(図5(a)(b)参照)に収容され、図5(a)に示すように、一対のアーム部122のうち、一方のアーム部122は、支点部6から中空状に構成した一対の操作片31のうち、一方の操作片31の内部空間31sへと延在するとともに、他方のアーム部122は、支点部6から他方の操作片31の内部空間31sへと延在する。なお、支点部6の内部空間6sと一対の操作片31の各内部空間31sとは、互いに連通している。
【0099】
一対のアーム部122は、左右夫々において操作片31の内部空間31sの延在方向の基部側に配置され、先端部が操作片31の内部空間31sにおける幅方向外側の内壁31saに当接している。
【0100】
これにより、トーションバネ22Aは、一対の操作片31同士が互いに離間する方向、すなわち、一対の把持片21同士が互いに近接する方向の弾性力が作用するように構成している。
【0101】
なお、図4(c)(d)、図7(c)(d)(e)、図87(b)(d)は、一対の操作片31の内部構造の図示を省略している。
【0102】
また、図4(a)に示すように、近接規制体7は、一対の操作片31の間に介在した状態において、例えば、該一対の操作片31を把持する等により作用する力によって不用意に変形しない程度の剛性(硬さ)を有する硬質材料で形成されている。本実施形態の近接規制体7は、熱可塑性樹脂で形成されているが、上述した剛性(硬さ)を有していれば、他の樹脂材料、金属、木材等の他の材料で形成してもよい。
【0103】
図6(a)(b)(c)(d)に示すように、近接規制体7は、近接規制体本体部71と厚み方向位置規制リブ72とで一体に形成されている。図4(a)(b)(c)(d)に示すように、近接規制体7は、一対の操作片31の間に介在可能な大きさに形成されるとともに、把持片21の厚みと同じ厚み(厚み方向(矢印Y)の長さ)に形成されている(図4(b)(c)(d)参照)。
【0104】
近接規制体7は、図6(a)(b)(c)(d)に示すように、幅方向に直線状に延びる上部73と、該上部73から下方へ突出する下方突出部74とで一体に形成されている。さらに、近接規制体7は、上部73が下方突出部74よりも幅方向の両外側(左右各側)へと突出する一対の外側突出部731を有しており、全体が正面視T字形状に形成されている(図6(a)参照)。
【0105】
図6(a)(c)(d)に示すように、本実施形態における厚み方向位置規制リブ72は、厚み方向の両側において、正面視右側の外側突出部731と下方突出部74とのコーナー部において、これら外側突出部731と下方突出部74とを繋ぐように形成されるとともに、正面視左側の外側突出部731と下方突出部74とのコーナー部において、これら外側突出部731と下方突出部74とを繋ぐように形成されている。
【0106】
図6(a)(d)に示すように、近接規制体7は、正面視中心位置に、サブハーネス120を挿通可能な貫通穴75Hが厚み方向に貫通形成されている。貫通穴75Hは、サブハーネス120と同径又は若干小径に形成されている。これにより、貫通穴75Hに挿通状態のサブハーネス120は、外周面が貫通穴75Hの内周面75に当接することで保持される。すなわち、貫通穴75Hの内周面75は、サブハーネス120の外周面を保持する保持部として形成されている。
【0107】
また、同図に示すように、近接規制体7の貫通穴75Hよりも下部には、該貫通穴75Hの下縁から近接規制体7の下端に至るまで上下方向に直線状に延びるスリット75aが形成されている。スリット75aは、貫通穴75Hの径よりも幅小に形成された切欠き状の溝である。そのスリット75aを通じて貫通穴75Hと、近接規制体7の下方空間とは連通する。すなわち、近接規制体7の貫通穴75Hよりも下部は、スリット75aを隔てて幅方向の各側に分断されている。
【0108】
そして、近接規制体7は、貫通穴75Hよりも下部における、スリット75aを隔てた各側が、サブハーネス120の径よりも幅方向に互いに離間するように撓み変形可能に形成されている(図7(a)中の仮想線で示した符号7参照)。
【0109】
これにより、近接規制体7は、スリット75aが幅方向へ拡大するため、該スリット75aを通じてサブハーネス120を下方から挿通することができる(図7(a)(b)参照)。これにより、サブハーネス120に対して側方から差し込んだ状態で保持部としての貫通穴75Hの内周面75によってサブハーネス120を保持することができる(図7(b)参照)。
【0110】
また、図4(e)、図5(a)(b)に示すように、一対の操作片31の夫々の幅方向の内面131(以下「内面131」と略記する)には、位置規制段部33が形成されている。
【0111】
ここで、図5(a)に示すように、一対の操作片31は、何れも上方程幅方向外側へ傾斜する直線状に形成されている。これに伴って、位置規制段部33は、一対の操作片31の夫々の内面131に沿って階段状に形成されている。
【0112】
位置規制段部33は、一対の操作片31の夫々の内面131に沿って配設された複数(当例では4つ)の段部33a,33b,33b,33dによって形成されている。複数の段部33a,33b,33b,33dは、夫々が略同一の大きさで形成されている。
【0113】
具体的に、4つの段部33a,33b,33b,33dは、例えば、図4(e)に示すように、何れも操作片31の内面131から略上方向に延びる縦面部34と、縦面部34の上端から略幅方向に沿って操作片31の内面131まで略水平方向に延びる横面部35とで一体に形成されている。
【0114】
ここで、4つの段部33a,33b,33b,33dを、操作片31の内面131の下部から上方に沿って順に基端段部33a、第1段部33b、第2段部33c、第3段部33dに設定する。図5(a)に示すように、第1~第3の段部33b,33c,33dは、この順に縦面部34の傾斜角度が緩くなるように、詳しくは、夫々の鉛直方向に対する縦面部34のなす角(αb、αc、αd)が大きくなるように形成されている(αb<αc<αd)。
【0115】
また、図4(a)(b)(c)(d)(e)、図5(a)に示すように、4つの段部33a,33b,33b,33dのうち、第1~第3の段部33b,33c,33dは、何れも縦面部34の上部に、幅方向の中央に向けて突出する係合突片36が形成されている。
【0116】
係合突片36は、幅方向(突出方向)に弾性変形(圧縮または復元)可能に舌片状に形成されている(図7(d)(e)参照)。
【0117】
また、第1~第3の段部33b,33c,33dは、何れも係合突片36を除く縦面部34の上下方向の長さが、近接規制体7の上部73の上下方向の長さと同じ、又は上下方向の長さよりも若干長くなるように形成されている。これにより、図4(e)に示すように、近接規制体7は、幅方向において対向する所定の一対の段部33(図4(e)においては第1段部33b)間に介在させた状態において、上部73の外側突出部731の外面が段部33の縦面部34に当接する。さらに、近接規制体7は、係合突片36と、一つ下側の段部(所定の段部が第1段部33bの場合は基端段部33a)の横面部35とによって、上下方向に挟み込まれるようにして設置される。
【0118】
ここで、変形例1の保持具10Aは、上述した実施形態の保持具10と同様に、把持部2によって把持するメインハーネス110の外径が大きくなるに従って一対の操作片31の間隔が小さくなる。但し、図4(a)に示すように、変形例1の保持具10Aは、所定の外径を有するメインハーネス110(以下、「第1メインハーネス110」とも称する)を把持する把持状態において、基端段部33aと第1段部33bが、共に縦面部34が鉛直方向と一致する方向に延びるように形成されている。さらに、左右の第1段部33bの各縦面部34同士の幅方向の間隔と、近接規制体7の上部73の幅方向の長さとが同じになるように形成されている。
【0119】
これにより、変形例1の保持具10Aは、把持部2によって第1メインハーネス110を把持する把持状態において、近接規制体7を一対の操作片31の間に介在させると、夫々の第1段部33bに対して近接規制体7の上部73が幅方向に突っ張る。
【0120】
具体的には、図4(a)(b)(c)に示すように、把持部2によって第1メインハーネス110を把持する把持状態において、近接規制体7は、左右両側において、外側突出部731の外面が、操作片31に有する第1段部33bの縦面部34に面接触状態で当接する。
【0121】
これにより、一対の操作片31がそれ以上、互いに近接することを規制することで(図4(a)参照)、一対の把持片21が意に反して開いて第1メインハーネス110の把持が解除されないように規制することができる。
【0122】
また、図8(a)に示すように、変形例1の保持具10Aは、第1メインハーネス110の外径より大径である所定の外径を有するメインハーネス110m(以下、「第2メインハーネス110m」とも称する)を把持する把持状態において、第2段部33cは、縦面部34が鉛直方向と一致する方向に延びる。さらに、左右の第2段部33cの各縦面部34同士の幅方向の間隔と、近接規制体7の上部73の幅方向の長さとが同じになるように形成されている。
【0123】
これにより、図8(a)(b)に示すように、変形例1の保持具10Aは、把持部2によって第2メインハーネス110mを把持する把持状態において、近接規制体7を一対の操作片31の間に介在させると、左右各側の第2段部33cに対して近接規制体7の上部73が幅方向に突っ張る。
【0124】
具体的には、把持部2によって第2メインハーネス110mを把持する把持状態において、近接規制体7は、左右両側において、外側突出部731の幅方向の外面が、操作片31に有する第2段部33cの縦面部34に面接触状態で当接する。
【0125】
これにより、一対の操作片31がそれ以上、互いに近接することを規制することで(図8(a)(b)参照)、一対の把持片21が意に反して開いて第2メインハーネス110mの把持が解除されないように規制することができる。
【0126】
また、図8(c)に示すように、変形例1の保持具10Aは、第2メインハーネス110mの外径より大径である所定の外径を有するメインハーネス110l(以下、「第3メインハーネス110l」とも称する)を把持する把持状態において、第3段部33dは、縦面部34が鉛直方向と一致する方向に延びる。さらに、左右の第3段部33dの各縦面部34同士の幅方向の間隔と、近接規制体7の上部73の幅方向の長さとが同じになるように形成されている。
【0127】
これにより、図8(c)(d)に示すように、変形例1の保持具10Aは、把持部2によって第3メインハーネス110lを把持する把持状態において、近接規制体7を一対の操作片31の間に介在させると、左右各側の第3段部33dに対して近接規制体7の上部73が幅方向に突っ張る。
【0128】
具体的には、把持部2によって第3メインハーネス110lを把持する把持状態において、近接規制体7は、左右両側において、外側突出部731の幅方向の外面が、操作片31に有する第3段部33dの縦面部34に面接触状態で当接する。
【0129】
これにより、一対の操作片31がそれ以上、互いに近接することを規制することで(図8(c)(d)参照)、一対の把持片21が意に反して開いて第3メインハーネス110lの把持が解除されないように規制することができる。
【0130】
また、図5(b)に示すように、位置規制段部33は、操作片31の内面131に対して厚み方向に小さく、かつ厚み方向の中央部に設けられている。一方、図6(c)(d)に示すように、近接規制体7に設けた厚み方向位置規制リブ72は、近接規制体7の幅方向の両外側に形成されている。
【0131】
このため、上述したように、左右各側の位置規制段部33のうち、何れかの段部(33b,33c又は33d)に対して幅方向に突っ張るように近接規制体7を一対の操作片31の間に介在させた状態において、厚み方向位置規制リブ72は、例えば、図4(a)(b)(d)(e)に示すように、位置規制段部33の一部と厚み方向に隣接する。これにより、厚み方向位置規制リブ72と位置規制段部33とが、厚み方向において互いに係合(当接)することで、近接規制体7は、一対の操作片31の間に介在した状態で、該一対の操作片31に対して厚み方向に位置ずれしないように規制される。
【0132】
この発明の態様として、図4(a)(b)(c)(d)、図5(a)(b)、図8(a)(b)(c)(d)に示すように、把持部2でメインハーネス110を把持する把持状態において、操作片31同士の近接を規制する近接規制体7(規制部)(図6(a)(b)(c)(d)参照)が設けられた構成とすることで、例えば、外力が作用する等により、トーションバネ22Aの弾性力に抗して一対の操作片31同士が、互いに近接する方向(、すなわち一対の把持片21が開く方向)に意に反して変位しないように近接規制体7によって、一対の操作片31同士の近接を規制することができる。
【0133】
従って、例えば、保持具10Aがメインハーネス110に対して不用意に脱落したり、保持具10Aのメインハーネス110に対する取り付け位置が、ワイヤーハーネス100の配索方向(Y方向)において不用意に変化したりすることがなく、保持具10Aにおける把持部2による、メインハーネス110の強固な把持状態を維持することができる。
【0134】
この発明の態様として、図4(a)(b)、図6(a)(b)(c)(d)、図8(a)(b)(c)(d)に示すように、規制部は、一対の操作片31の間に配置(介在)して該一対の操作片31同士の近接を規制する硬質な近接規制体7で構成されたものである。
【0135】
前記構成によれば、把持部2でメインハーネス110を把持する把持状態において、トーションバネ22Aの弾性力に抗して把持片21同士が互いに開く方向に意に反して変位しないように、近接規制体7によって操作片31同士の近接を物理的に規制することができる。
【0136】
この発明の態様として、図4(a)(b)(c)(d)、図5(a)(b)、図8(a)(b)(c)(d)に示すように、操作部3に、一対の操作片31同士の近接状態に応じて近接規制体7の位置を規制する位置規制段部33(位置規制部)が設けられた構成とすることで、操作部3に装着した近接規制体7を、位置規制段部33によって位置規制することができる。
【0137】
前記構成によれば、把持部2がメインハーネス110を把持する把持状態において、位置規制段部33は、一対の操作片31同士の近接状態に応じて近接規制体7の位置を段階的に規制するため、一対の操作片31同士の近接状態に関わらず、一対の把持片21が意に反して開かないように規制(位置決め)することができる。
従って、把持部2が把持するメインハーネス110の径に関わらず、把持部2によりメインハーネス110をしっかりと把持することがでる。
【0138】
この発明の態様として、図4(a)(b)(c)(d)、図6(a)、図7(a)(b)(c)(d)、図8(a)(b)(c)(d)に示すように、近接規制体7に、保持部4が設けられた構成とすることで、メインハーネス110の把持部2による把持作業とサブハーネス120の保持部4による保持作業を容易に行うことができる。
【0139】
具体的には、保持部4は、メインハーネス110を把持する把持部2側とは別体である近接規制体7に設けられている。このため、作業者は、メインハーネス110を把持部2によって把持する作業と、サブハーネス120を保持部によって保持する作業とを、それぞれ別々の場所で行うことができる。
【0140】
よって、2つの作業(メインハーネス110の把持作業とサブハーネス120の保持作業)を容易に行うことができる。
【0141】
さらに、メインハーネス110を把持する把持部2の側に備えた一対の操作片31の間に、サブハーネス120が保持部4によって保持される近接規制体7を装着することで、サブハーネス120をメインハーネス110に沿って配置する作業と、前記操作片同士の近接を規制する作業とを同時に行うことができる。
【0142】
また、近接規制体7が一対の操作片31の間に配置された状態において、近接規制体7の保持部4によって保持されるサブハーネス120は、幅方向の両側に有する操作片31によって外力に対して保護される。
従って、サブハーネス120を保持部4によって安定して保持することができる。
【0143】
また、前記構成によれば、把持部2や操作部3に保持部4を設ける必要がなく、また、近接規制体7は、把持部2によってメインハーネス110を把持した後で、一対の操作片31の間に配置できる。このため、把持部2によってメインハーネス110を把持する際に、保持部4が邪魔になることなく、操作部3を操作しながら把持部2によってメインハーネス110を容易に把持することができる。
【0144】
(変形例2)
図9(a)(b)に示すように、変形例2の保持具10Bは、変形例1の保持具10Aに備えた近接規制体7とは異なる規制部を備えた構成としている。
【0145】
変形例2の保持具10Bは、保持具本体10B’と、一対の操作片31に、互いが離間する方向の弾性力を作用させる長尺な規制部としての離間弾性バンド11とを備えている。
【0146】
離間弾性バンド11は、合成樹脂等により厚み方向(矢印Y)と一致するバンド幅方向を有するバンド状(帯状)の部材で形成されている。
【0147】
離間弾性バンド11は、保持具10Bの正面視で撓み変形可能な可撓性を有するとともに、少なくとも一対の操作片31の間において掛け渡し可能な長さを有している。離間弾性バンド11は、延在方向の一端が、一対の操作片31のうち一方の操作片31の上端(先端)に対して、厚み方向(矢印Y)に延びる軸12を介して枢動可能に設けられる。これにより、離間弾性バンド11は、一方の操作片31の先端から舌片状に延出している。
【0148】
一方、他方の操作片31の内面131における上部(先端側)には、複数(当例では3つ)の係合爪13(13a,13b,13c)が他方の操作片31の延在方向に沿って配設されている。当例において3つの係合爪13は、他方の操作片31の基部側から先端側の順に第1係合爪13a、第2係合爪13b、第3係合爪13cに設定する。
【0149】
そして、離間弾性バンド11は、他方の操作片31側に設けた複数の係合爪13のうち、何れの係合爪13に対しても取り外し可能に係合される長さを有するとともに、延在方向の他端に突状(鋭角状)の被係合突片14が形成されている。
【0150】
ここで、図10(a)(b)(c)に示すように、把持部2によってメインハーネス110を把持する把持状態において、上述したように、メインハーネス110の外径が大きくなるに従って一対の操作片31の間隔が小さくなる。このため、変形例2の保持具10Bは、一対の操作片31の間隔に応じて離間弾性バンド11の被係合突片14が、3つの係合爪13のうち、何れかの係合爪13に係合するように構成されている。
【0151】
離間弾性バンド11は、被係合突片14が何れの係合爪13に係合した状態においても、正面視で延在方向の途中部が下方へ迂回するように略U字形状に撓み変形した形状で一対の操作片31の間に掛け渡される。これにより、離間弾性バンド11は、一対の操作片31の間において撓み変形した際に作用する幅方向外側への弾性力(復元力)を利用して一対の操作片31が近接しないように規制することができる。
【0152】
すなわち、変形例2の保持具10Bは、把持部2によって把持するメインハーネス110の外径に対応して複数段階(当例では3段階)において一対の操作片31同士の近接を規制する構成としている。
【0153】
具体的には、図10(a)に示すように、離間弾性バンド11は、所定の外径を有するメインハーネス110(以下、「第1メインハーネス110」とも称する)を把持部2によって把持する把持状態において、被係合突片14が第1係合爪13aに係合された状態となるように一対の操作片31の間において掛け渡される。
【0154】
また、図10(b)に示すように、離間弾性バンド11は、第1メインハーネス110の外径より大径である所定の外径を有するメインハーネス110m(以下、「第2メインハーネス110m」とも称する)を把持部2によって把持する把持状態において、被係合突片14が第2係合爪13bに係合された状態となるように一対の操作片31の間において掛け渡される。
【0155】
また、図10(c)に示すように、離間弾性バンド11は、第2メインハーネス110mの外径より大径である所定の外径を有するメインハーネス110l(以下、「第3メインハーネス110l」とも称する)を把持部2によって把持する把持状態において、被係合突片14が第3係合爪13cに係合された状態となるように一対の操作片31の間において掛け渡される。
【0156】
何れの場合も、上述したように、離間弾性バンド11は、一対の操作片31の間において、撓み変形することで幅方向外側への弾性力が作用するため、一対の操作片31が近接しないように規制することができる。
【0157】
この発明の態様として、図10(a)(b)(c)に示すように、規制部は、一対の操作片31が互いに離間する方向の弾性力を作用させる離間弾性バンド11で構成されたものである。
【0158】
前記構成によれば、把持部2でメインハーネス110を把持する把持状態において、離間弾性バンド11によって、一対の操作片31が互いに離間する方向の弾性力を作用させることができるため、離間弾性バンド11の弾性力を活かして操作片31同士の近接を規制することができる。
【0159】
従って、離間弾性バンド11は、一対の操作片31の間に弾性力を作用させた状態で介在できるため、一対の操作片31の間隔に対して離間弾性バンド11の長さ(掛け渡し長さ)が若干大きい場合であっても一対の操作片31の間にしっかりと掛け渡すことができる。
【0160】
また、前記構成によれば、離間弾性バンド11は、一対の操作片31を互いに離間させる方向の弾性力を作用させることができる。このため、その弾性力を、把持部2でメインハーネス110を把持する把持状態において、一対の把持片21によってメインハーネス110を挟み込む方向の弾性力としても作用させることができる。
【0161】
従って、把持部2でメインハーネス110を把持する把持状態において、トーションバネ22Aと離間弾性バンド11とは、夫々の弾性力により互いに協働して一対の把持片21によってメインハーネス110をしっかりと把持することができる。
【0162】
この発明の態様として、図9(a)(b)、図10(a)(b)(c)に示すように、離間弾性バンド11は、一対の操作片31のうち一方の操作片31に対して枢動可能に設けられるとともに、他方の操作片31に対して掛け渡される構成である。
【0163】
これにより、例えば、メインハーネス110を把持部2によって把持したり、サブハーネス120を保持部4によって保持したりする際に、離間弾性バンド11を、図9(a)(b)に示すように、操作片31同士の近接を規制しない位置へと枢動させておくことで該離間弾性バンド11が邪魔になることがなく、上述した把持部2によるメインハーネス110の把持動作、および保持部4によるサブハーネス120の保持動作を容易に行うことができる。
【0164】
一方、離間弾性バンド11を、近接を規制しない位置(図9(a)(b)参照)から規制する位置(図10(a)(b)(c)参照)へと枢動させるだけで、該離間弾性バンド11によって操作片31同士の近接を容易に規制することができる。
【0165】
また、離間弾性バンド11は、上述したように、一対の操作片31の一方に対して枢動可能に設けられることで、保持具本体10B’に対して分離するなどして紛失するおそれがなく部品管理等も容易となる。
【0166】
なお、変形例2の保持具10Bは、図9(a)に示すように、保持部4が、把持部2に設けられた構成としたが、本発明の保持具は、これに限らず、保持部4が、例えば、操作部3、或いは離間弾性部としての離間弾性バンド11に設けられた構成としてもよい。
【0167】
(変形例3)
図11(a)(b)に示すように、変形例3の保持具10Cは、変形例1の近接規制体7や変形例2の離間弾性バンド11とは異なる規制部を備えた構成としている。
【0168】
変形例3の保持具10Cは、保持具本体10C’と、規制部としての一対の繋止アーム17(17a,17b)とを備えている。
一対の繋止アーム17は、共に一対の操作片31の間において、一対の操作片31の夫々に対して繋止可能な長さを有する長尺状部材であり、通常の使用形態において撓み変形(弾性変形)しない剛性を有して形成されている。
【0169】
一対の繋止アーム17は、共に延在方向の一端が、一方の操作片31の先端(上端)に厚み方向と平行に延びる軸16を介して枢着されている。
具体的には、図11(b)に示すように、一対の繋止アーム17のうち、一方の繋止アーム17aは、操作片31の厚み方向の一方の端面に枢着されるとともに、他方の繋止アーム17bは、操作片31の厚み方向の他方の端面に枢着されている。
【0170】
一対の繋止アーム17は、夫々の延在方向の他方側部位に、他方の操作片31の先端側(後述する係合ピン19a,19b(図11(b)参照))と係合する係合凹部18(18a,18b,18c,18d,18e)が設けられている。係合凹部18は、図12(a)に示すように、繋止アーム17(17a,17b)を略水平に配置した状態において該繋止アーム17の下縁辺から上方へ凹むように形成されている。係合凹部18は、繋止アーム17の延在方向に沿って複数(当例では5つ)配設されている。当例において一対の繋止アーム17の夫々に設けた係合凹部18は、基部側から先端側へこの順に第1係合凹部18a、第2係合凹部18b、第3係合凹部18c、第4係合凹部18d、第5係合凹部18eに設定する。
【0171】
一方、図11(a)(b)、図12(a)(b)(c)(d)に示すように、他方の操作片31の先端には、繋止アーム17に形成された、何れかの係合凹部18と係合する係合ピン19(19a,19b)が設けられている。具体的に、図11(b)に示すように、係合ピン19は、他方の操作片31の先端の厚み方向の一方の端面から厚み方向の一方へ突出する一方側係合ピン19aと、厚み方向の他方の端面から厚み方向の他方へ突出する他方側係合ピン19bとを備えている。
【0172】
ここで、上述したように、一対の把持片21によって把持するメインハーネス110の径に応じて一対の操作片31の間隔が変動する。
このため、変形例3の保持具10Cは、一対の操作片31の間隔に応じて、一対の繋止アーム17の夫々に設けられた5つの係合凹部18のうち、何れかの係合凹部18が、操作片31の係合ピン19に係合するように構成されている。
【0173】
具体的には、一対の繋止アーム17のうち、一方の繋止アーム17aの先端に設けた何れかの係合凹部18と、他方の操作片31の先端に設けた一方側係合ピン19aとが係合するとともに、一対の繋止アーム17のうち、他方の繋止アーム17bの先端に設けた何れかの係合凹部18と、他方の操作片31の先端に設けた他方側係合ピン19bとが係合する。
【0174】
例えば、図12(a)(b)に示すように、所定の外径を有するメインハーネス110(以下、「第1メインハーネス110」とも称する)を把持部2によって把持する把持状態において、一対の繋止アーム17は、夫々の第5係合凹部18eが係合ピン19に係合された状態となるように一対の操作片31の間において掛け渡される。
【0175】
また、図12(c)(d)に示すように、繋止アーム17は、第1メインハーネス110の外径より大径である所定の外径を有するメインハーネス110m(以下、「第2メインハーネス110m」とも称する)を把持部2によって把持する把持状態において、係合ピン19が第2係合凹部18bに係合された状態となるように一対の操作片31の間において掛け渡される。
【0176】
このように、一対の繋止アーム17は、メインハーネス110の径に関わらず、適切な係合凹部18(詳しくは一対の把持片21に対して繋止アーム17を極力水平な姿勢で繋止可能な係合凹部18)を選択して係合ピン19に係合することで略水平な姿勢で一対の操作片31の間に掛け渡される。すなわち、一対の繋止アーム17は、一対の操作片31の間において幅方向に突っ張るように配置されるため、一対の操作片31が近接しないように安定して規制することができる。
【0177】
また、図11(a)、図12(a)(b)(c)(d)に示すように、一対の繋止アーム17の延在方向の中央部には、サブハーネス120を保持する保持部25(25u,25d)が設けられている。保持部25は、一対の繋止アーム17によって一対の操作片31同士を繋止した状態でメインハーネス110に沿って延びるサブハーネス120を上下各側から挟み込むようにして保持する。
【0178】
具体的に、保持部25は、一対の繋止アーム17のうち、一方の繋止アーム17aの延在方向の中央部に設けたサブハーネス支持部25dと、他方の繋止アーム17bの延在方向の中央部に設けたサブハーネス抑え部25uとで構成される。
【0179】
サブハーネス支持部25dは、一方の繋止アーム17aの延在方向の中央部を厚み方向(矢印Y)に通過するサブハーネス120を下側から支持可能に上縁辺が下方へ弧状に凹むように湾曲形成されている。
【0180】
サブハーネス抑え部25uは、他方の繋止アーム17bの延在方向の中央部を厚み方向(矢印Y)に通過するサブハーネス120を上側から抑え込み可能に下縁辺が上方へ弧状に凹むように湾曲形成されている。
【0181】
一対の把持片21を一対の繋止アーム17の夫々によって繋止した状態において、サブハーネス支持部25dとサブハーネス抑え部25uとの間には、サブハーネス120を配置可能な空間が構成される。換言すると、一対の把持片21を一対の繋止アーム17の夫々によって繋止した状態において、サブハーネス支持部25dの上縁辺とサブハーネス抑え部25uの下縁辺とは、サブハーネス120の径と同じ又は若干小さな上下方向の間隔を隔てて上下方向各側に配置されている。
【0182】
そして、サブハーネス抑え部25uとサブハーネス支持部25dとは、これらの間に構成される空間を通過するように配置されたサブハーネス120を、サブハーネス抑え部25uの下縁辺とサブハーネス支持部25dの上縁辺とによって上下各側から挟み込むようにして保持する。
【0183】
続いて、メインハーネス110(第1メインハーネス110)を把持部2によって把持するとともに、サブハーネス120を保持部25によって保持する手順について図13(a)(b)(c)、図14(a)(b)(c)(d)(e)(f)を用いて説明する。
まず、図13(a)に示すように、一対の操作片31を繋止アーム17によって繋止していない状態、すなわち、一対の操作片31が互いに近接しないように繋止アーム17によって規制されない状態とする。
【0184】
その状態で、一対の操作片31を互いに近接させる方向へ操作させ、トーションバネ22Aの弾性力に抗してメインハーネス110を把持可能な開度まで一対の把持片21を開く。
【0185】
その状態で、一対の把持片21の各下端部同士の間の隙間21a(図3(c)参照)を通じてメインハーネス110を一対の把持片21の間の空間にメインハーネス110を配置し、一対の操作片31の摘まみを解除することで、図13(b)(c)に示すように、メインハーネス110を一対の把持片21によって把持することができる。
【0186】
続いて図14(a)(b)に示すように、上述した手順と同様の手順で一方の繋止アーム17aの先端に設けた係合凹部18(当例では第5係合凹部18e)と、他方の操作片31の先端に設けた一方側係合ピン19aとを係合させる。これにより、一方の繋止アーム17aを略水平な姿勢で一対の操作片31の間に掛け渡され、一対の操作片31が互いに近接しないように一方の繋止アーム17aによって仮規制することができる。同時に、一方の繋止アーム17aを、延在方向の中央部に設けたサブハーネス支持部25dにおける凹状の上縁が、上方を臨むように設置することができる。
【0187】
さらに、図14(c)(d)に示すように、一方の繋止アーム17aに設けたサブハーネス支持部25dにサブハーネス120を配置する。これにより、凹状のサブハーネス支持部25dに配置されたサブハーネス120は、幅方向に安定した状態で該サブハーネス支持部25dによって下側から支持(仮保持)される。
【0188】
さらに、図14(e)(f)に示すように、上述した手順と同様の手順で他方の繋止アーム17bの先端に設けた係合凹部18(当例では第5係合凹部18e)と、他方の操作片31の先端に設けた他方側係合ピン19bとを係合させる。これにより、他方の繋止アーム17bについても略水平な姿勢で一対の操作片31の間に掛け渡され、一対の操作片31が互いに近接しないように一対の繋止アーム17によって規制(本規制)することができる。
【0189】
同時に、他方の繋止アーム17bを、延在方向の中央部に設けたサブハーネス抑え部25uによって、サブハーネス120を上方から抑えることができる。これにより、上述したように、サブハーネス120をサブハーネス抑え部25uとサブハーネス支持部25dとによって挟み込むようにして保持することができる。
上述した手順により、保持具10Cを用いてサブハーネス120をメインハーネス110に沿って配置した状態で固定することができる。
【0190】
上述したように、保持部25は、サブハーネス支持部25dによってサブハーネス120を下側から安定して支持し、その状態からサブハーネス抑え部25uによって上方から抑え込むという2段階の手順を経てサブハーネス120を適切に(しっかりと)保持することができる。
【0191】
さらに、メインハーネス110を把持部2で把持した状態に規制する際に行う、係合凹部18と係合ピン19とを係合させるという動作と、サブハーネス120を保持部25で保持する際に行う、サブハーネス抑え部25uとサブハーネス支持部25dとでサブハーネス120を上下両側から挟み込む動作とは、一対の操作片31を繋止アーム17で繋止するという同じ動作によって行うことができる。
従って、保持具10Cを用いてメインハーネス110を把持部2によって把持するとともに、サブハーネス120を保持部25によって保持することを容易に行うことができる。
【0192】
この発明は、上述した実施形態の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば、本発明の保持具は、アンカー部などの車体取付け部を備え、車体へ取り付け可能としてもよい。
【0193】
また、本実施形態においては、ワイヤーハーネス100は、1本のメインハーネス110に対して1本のサブハーネス120を備えているが、本発明のワイヤーハーネスは、これに限らず、接続先、車体の仕様・仕向け或いは配索箇所によっては、例えば、メインハーネス110とサブハーネス120とを夫々複数本備えた構成としてもよい。さらにまた、メインハーネス110とサブハーネス120は、何れも本実施形態のように、複数の電線101群から成る構成に限らず、少なくとも1本の電線101を備えた構成としてもよい。
【0194】
さらにまた、本発明は、第1長尺状体としてメインハーネス110の代わりに幹線を適用するとともに、第2長尺状体としてサブハーネス120の代わりに幹線110から必要に応じて分岐して成る枝線を採用してもよい。
【0195】
また、本発明に備えた弾性部は、例えば、金属、樹脂、ゴム等の弾性変形(撓み変形)可能な部材で形成されていれば特に限定しない。前記弾性部がバネである場合は、例えば、線ばね、板ばねのいずれであってもよい。
なお、線ばねには、例えば、変形例1~3の保持具10A,10B,10Cに適用したトーションバネ22Aのような捩りコイルばね、例えば、本実施形態の保持具10に適用した円弧状線バネ22のような線細工ばね、その他にも圧縮コイルばね、および引っ張りコイルばねが含まれる。
【0196】
例えば、上述した実施形態の保持具10は、弾性部として円弧状線バネ22の代わりにトーションバネ22A等の他のバネを適用してもよい。同様に、変形例1~3の保持具10C,10B,10Cは、弾性部としてトーションバネ22Aの代わりに円弧状線バネ22等の他のバネを適用してもよい。
【0197】
また、本発明の保持具は、弾性部を、把持部2や保持部25に対して別部材で備えるに限らず、例えば、クリップのように、把持部2や保持部25自体が弾性機能を有するように形成する等、把持部2と保持部25とのうち、少なくとも一方に弾性機能を付与して形成してもよい。
【0198】
本発明の保持部は、例えば、クリップ、結束バンド、塑性変形可能な針金等の長尺部材、ボルト等の締結部材で締結する等、サブハーネス120を保持可能な構成であれば、特に限定しない。
【符号の説明】
【0199】
1…ハーネス保持構造
2…把持部
3…操作部
4…保持部
5…把持操作部材
6…支点部
7…近接規制体(規制部)
10,10A,10B,10C…保持具
11…離間弾性バンド(規制部)
17…繋止アーム(規制部)
21…一対の把持片
22…円弧状線バネ、(弾性部)
22A…トーションバネ(弾性部)
25(25u,25d)…保持部
31…一対の操作片
33…位置規制段部(位置規制部)
75…貫通穴の内周面(保持部)
110…メインハーネス(第1長尺状体)
120…サブハーネス(第2長尺状体)

図1
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