(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073821
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】在庫管理装置、在庫管理システム、在庫管理プログラム、及び在庫管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20230519BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186517
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100220582
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】真保 崇
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB63
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】対象商品を在庫として備蓄可能とする一方で、不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で市場に流通させる。
【解決手段】在庫管理装置1は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得部10と、在庫情報取得部10により取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する価格設定部11と、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、価格設定部11により設定された価格での在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付部12と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得部と、
前記在庫情報取得部により取得された前記在庫情報に基づいて前記在庫の価格を設定する価格設定部と、
前記在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、前記価格設定部により設定された前記価格での前記在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付部と、を備える、在庫管理装置。
【請求項2】
前記在庫情報は、前記在庫に係る前記対象商品の種類に関する種類情報を含む、請求項1に記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記在庫情報は、前記在庫保有ユーザにより前記在庫として保有されている前記対象商品の使用期限に関する使用期限情報を含む、請求項1又は2に記載の在庫管理装置。
【請求項4】
前記価格設定部は、前記在庫情報取得部により取得された前記使用期限情報に基づいて前記在庫の前記価格を設定する、請求項3に記載の在庫管理装置。
【請求項5】
前記在庫情報は、前記在庫保有ユーザにより前記在庫として保有されている前記対象商品の在庫量に関する在庫量情報を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の在庫管理装置。
【請求項6】
前記在庫情報取得部により取得された前記在庫量が予め設定された第1閾値以下であるか否かを判定し、前記在庫量が前記第1閾値以下であると判定した場合に前記在庫を補充させる在庫補充部を備える、請求項5に記載の在庫管理装置。
【請求項7】
予め設定された時間周期により前記在庫を補充させる在庫補充部を備える、請求項5に記載の在庫管理装置。
【請求項8】
前記在庫情報取得部により取得された前記在庫量が予め設定された範囲にあるか否かを判定し、前記在庫量が前記範囲にないと判定した場合に前記在庫保有ユーザに通知する通知部を備える、請求項5~7のいずれか一項に記載の在庫管理装置。
【請求項9】
前記価格設定部は、価格上昇処理及び価格下降処理の少なくともいずれかを実行可能であり、
前記価格上昇処理は、前記在庫情報取得部により取得された前記在庫量が予め設定された第2閾値以下であるか否かを判定し、前記在庫量が前記第2閾値以下であると判定した場合に前記在庫の前記価格を上昇させる処理であり、
前記価格下降処理は、前記在庫情報取得部により取得された前記在庫量が予め設定された第3閾値以上であるか否かを判定し、前記在庫量が前記第3閾値以上であると判定した場合に前記在庫の前記価格を下降させる処理である、請求項5~8のいずれか一項に記載の在庫管理装置。
【請求項10】
通常時における通常モード及び緊急時における緊急モードを少なくとも含む複数のモードからいずれかのモードを選択するモード選択部を備え、
前記購入希望受付部は、前記モード選択部により前記緊急モードが選択されている場合においては、複数の購入希望ユーザのうち、予め登録されていない非登録購入希望ユーザよりも予め登録されている登録購入希望ユーザからの前記購入希望を優先して受け付ける、請求項1~9のいずれか一項に記載の在庫管理装置。
【請求項11】
前記在庫情報は、前記在庫保有ユーザにより前記在庫として保有されている前記対象商品の在庫量に関する在庫量情報を含み、
前記在庫情報取得部により取得された前記在庫量が前記登録購入希望ユーザと合意した規定量以上であるか否かを判定し、前記在庫量が前記規定量以上であると判定した場合に前記在庫保有ユーザに報酬を付与する報酬付与部を備える、請求項10に記載の在庫管理装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の在庫管理装置と、
前記在庫保有ユーザにより前記在庫として保有されている前記対象商品に設けられる情報タグと、
前記情報タグから情報を読み取ることにより前記在庫情報を取得し、取得した前記在庫情報を前記在庫管理装置に送信する情報リーダと、を具備する、在庫管理システム。
【請求項13】
コンピュータを、
対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得部と、
前記在庫情報取得部により取得された前記在庫情報に基づいて前記在庫の価格を設定する価格設定部と、
前記在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、前記価格設定部により設定された前記価格での前記在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付部と、として機能させる、在庫管理プログラム。
【請求項14】
対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得ステップと、
前記在庫情報取得ステップにおいて取得された前記在庫情報に基づいて前記在庫の価格を設定する価格設定ステップと、
前記在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、前記価格設定ステップにおいて設定された前記価格での前記在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付ステップと、を備える、在庫管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、在庫管理装置、在庫管理システム、在庫管理プログラム、及び在庫管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
在庫を管理するための種々の技術が知られている。例えば特許文献1には、ユーザが在庫として保有する商品に設けられたIDタグからスキャナにより情報を取得することで、商品の在庫状況を確認する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、単に商品の在庫状況を確認することが可能となるだけである。しかしながら、ユーザにおいては、備蓄している商品の在庫状況を把握するのみならず、備蓄している商品の在庫を必要に応じて放出したいという要望がある。特に、商品を、より確実且つ有益な手段で放出することが望まれる。
【0005】
そこで、本開示に係る在庫管理装置、在庫管理システム、在庫管理プログラム、及び在庫管理方法は、対象商品を在庫として備蓄可能とする一方で、不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で市場に流通させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得部(10)と、在庫情報取得部(10)により取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する価格設定部(11)と、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、価格設定部(11)により設定された価格での在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付部(12)と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る在庫管理プログラム(P)は、コンピュータ(C)を、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得部(10)と、在庫情報取得部(10)により取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する価格設定部(11)と、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、価格設定部(11)により設定された価格での在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付部(12)と、として機能させる。
【0008】
本開示の一態様に係る在庫管理方法は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得ステップと、在庫情報取得ステップにおいて取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する価格設定ステップと、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、価格設定ステップにおいて設定された価格での在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付ステップと、を備える。
【0009】
これらの在庫管理装置(1)、在庫管理プログラム(P)、及び在庫管理方法の少なくともいずれかによれば、在庫保有ユーザは、対象商品を在庫として保有することにより、当該対象商品を備蓄可能であり、必要に応じて自ら使用することも可能である。また、在庫保有ユーザは、在庫管理装置(1)を利用することにより、在庫に設定された価格での購入を希望する購入希望ユーザに対して在庫を容易に販売することができる。したがって、在庫保有ユーザは、例えば不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で手離すことができる。一方、購入希望ユーザは、所望の対象商品を好適な価格で購入することができる。以上により、在庫管理装置(1)、在庫管理プログラム(P)、及び在庫管理方法の少なくともいずれかによれば、対象商品を在庫として備蓄可能とする一方で、不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で市場に流通させることができる。
【0010】
本開示の一態様に係る在庫管理システム(100)は、上述した構成を備える在庫管理装置(1)と、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品に設けられる情報タグ(T)と、情報タグ(T)から情報を読み取ることにより在庫情報を取得し、取得した在庫情報を在庫管理装置(1)に送信する情報リーダ(2)と、を具備する。
【0011】
この在庫管理システム(100)によれば、在庫管理装置(1)により奏される上述した作用及び効果に加えて、情報リーダ(2)を用いて、在庫保有ユーザにより保有されている在庫の情報を情報タグ(T)から容易に取得可能となる。したがって、在庫の管理のための手間を軽減することができるため、利便性が向上する。
【0012】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)では、在庫情報は、在庫に係る対象商品の種類に関する種類情報を含んでもよい。これによれば、在庫保有ユーザにより保有されている在庫を対象商品の種類ごとに管理することが可能となるため、利便性が向上する。
【0013】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)では、在庫情報は、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限に関する使用期限情報を含んでもよい。これによれば、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限を把握可能となるため、備蓄、使用、販売、又は購入を行う際の判断材料を得ることができる。
【0014】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)では、価格設定部(11)は、在庫情報取得部(10)により取得された使用期限情報に基づいて在庫の価格を設定してもよい。これによれば、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限に応じた価格で当該在庫を市場に流通させることが可能となる。
【0015】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)では、在庫情報は、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量に関する在庫量情報を含んでもよい。これによれば、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限を把握可能となるため、備蓄、使用、販売、又は購入を行う際の判断材料を得ることができる。
【0016】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)は、在庫情報取得部(10)により取得された在庫量が予め設定された第1閾値以下であるか否かを判定し、在庫量が第1閾値以下であると判定した場合に在庫を補充させる在庫補充部(13)を備えてもよい。これによれば、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量を監視し、補充が必要な程度まで在庫量が減少したタイミングで在庫を補充させることができる。よって、常に十分な量の在庫を在庫保有ユーザに保有させておくことが可能となる。
【0017】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)は、予め設定された時間周期により在庫を補充させる在庫補充部(13)を備えてもよい。これによれば、在庫保有ユーザにより保有されている対象商品の在庫を定期的に補充させることができる。よって、常に十分な量の在庫を在庫保有ユーザに保有させておくことが可能となる。
【0018】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)は、在庫情報取得部(10)により取得された在庫量が予め設定された範囲にあるか否かを判定し、在庫量が範囲にないと判定した場合に在庫保有ユーザに通知する通知部(14)を備えてもよい。これによれば、在庫保有ユーザにより保有されている対象商品の在庫量を監視し、在庫量が適正な範囲から外れた場合に在庫保有ユーザに知らせることができる。よって、常に十分な量の在庫を在庫保有ユーザに保有させておくことが可能となる。
【0019】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)では、価格設定部(11)は、価格上昇処理及び価格下降処理の少なくともいずれかを実行可能であり、価格上昇処理は、在庫情報取得部(10)により取得された在庫量が予め設定された第2閾値以下であるか否かを判定し、在庫量が第2閾値以下であると判定した場合に在庫の価格を上昇させる処理であり、価格下降処理は、在庫情報取得部(10)により取得された在庫量が予め設定された第3閾値以上であるか否かを判定し、在庫量が第3閾値以上であると判定した場合に在庫の価格を下降させる処理であってもよい。これによれば、対象商品の在庫量に応じたプライシング(価格の再設定)を行うことが可能となる。例えば、価格を上昇させるプライシングを行うこととすれば(価格上昇処理)、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量が比較的少ないときには、在庫の価格を比較的高く設定することで購入希望ユーザにより当該在庫を購入されにくくして備蓄量を維持することができる。また、逆に、価格を下降させるプライシングを行うこととすれば(価格下降処理)、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量が比較的多いときには、在庫の価格を比較的低く設定することで購入希望ユーザにより当該在庫を購入されやすくすることができる。よって、対象商品を在庫として備蓄可能とする一方で、不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で市場に流通させることができる。
【0020】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)は、通常時における通常モード及び緊急時における緊急モードを少なくとも含む複数のモードからいずれかのモードを選択するモード選択部(15)を備え、購入希望受付部(12)は、モード選択部(15)により緊急モードが選択されている場合においては、複数の購入希望ユーザのうち、予め登録されていない非登録購入希望ユーザよりも予め登録されている登録購入希望ユーザからの購入希望を優先して受け付けてもよい。これによれば、特定の状況下において、対象商品を登録購入希望ユーザの手元に多く集めることが可能となる。具体的な一例として、例えば災害発生時といった緊急時に、公益的な観点から対象商品を多く必要とする行政等のユーザが対象商品を優先的に入手可能となる。よって、緊急時における対象商品の流通をコントロールすることが可能となる。
【0021】
本開示の一態様に係る在庫管理装置(1)では、在庫情報は、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量に関する在庫量情報を含み、在庫情報取得部(10)により取得された在庫量が登録購入希望ユーザと合意した規定量以上であるか否かを判定し、在庫量が規定量以上であると判定した場合に在庫保有ユーザに報酬を付与する報酬付与部(16)を備えてもよい。これによれば、特定の状況下において対象商品を登録購入希望ユーザの手元に多く集めるために、在庫保有ユーザが通常時においても十分な量の在庫を保有する動機付けを行うことができる。よって、より確実に、緊急時における対象商品の流通をコントロールすることが可能となる。
【0022】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。
【発明の効果】
【0023】
このように、本開示に係る在庫管理装置、在庫管理システム、在庫管理プログラム、及び在庫管理方法は、対象商品を在庫として備蓄可能とする一方で、不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で市場に流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る在庫管理装置及び在庫管理システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、在庫管理装置が使用される態様の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、在庫管理装置及び各ユーザの間での情報及び対象商品の移動を説明するための図である。
【
図4】
図4は、在庫管理装置により実行される販売処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、在庫管理装置により実行される補充処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、在庫管理装置により実行される通知処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、在庫管理装置により実行される報酬付与処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、在庫管理プログラムのモジュール構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る在庫管理装置1及び在庫管理システム100を示すブロック図である。
図2は、在庫管理装置1が使用される態様の一例を示す図である。
図3は、在庫管理装置1及び各ユーザの間での情報及び対象商品の移動を説明するための図である。
図1~
図3に示されるように、在庫管理装置1(在庫管理システム100)は、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の備蓄及び市場への流通を在庫情報に基づいて管理する装置であり、いわゆる情報処理装置として構成されている。
【0027】
在庫管理装置1は、在庫保有ユーザが対象商品を備蓄可能とするとともに、必要に応じて当該在庫保有ユーザが当該対象商品を処分(使用又は販売等)可能とする。在庫管理装置1は、在庫保有ユーザが対象商品を販売しようとする場合には、好適な価格を設定して購入希望ユーザからの購入希望を受け付けることにより、当該対象商品の販売を促進する。在庫管理装置1は、在庫保有ユーザにより使用される端末(在庫保有ユーザ端末)、購入希望ユーザにより使用される端末(購入希望ユーザ端末)、及び後述する情報リーダ2と有線又は無線により通信可能に構成されている。
【0028】
「対象商品」とは、在庫保有ユーザにより在庫として保有される所定の種類の商品である。対象商品は、1種類のみの商品であってもよく、複数種類の商品であってもよい。また、対象商品は、食料品であってもよく、食料品以外の物品(非食料品)であってもよい。対象商品には、使用期限が設定されていてもよく、対象商品が食料品である場合には使用期限は消費期限であってもよい。具体的には、食料品である対象商品は、例えば保存食又は飲料水等の備蓄品であってもよい。一方、非食料品としての対象商品は、例えば消火器、乾電池又は発煙筒等の防災用品であってもよい。
【0029】
「在庫」とは、在庫保有ユーザが管理下に置いている対象商品であり、例えば在庫保有ユーザが容易にアクセス可能な場所に保管されている対象商品であってもよい。具体的には、在庫とは、在庫保有ユーザが管理する施設(例えば、倉庫)に保管されている対象商品であってもよい。在庫は、在庫保有ユーザにより備蓄されたままであってもよく、在庫保有ユーザにより処分(使用又は販売等)されてもよい。
【0030】
「在庫情報」とは、在庫保有ユーザにより保有されている対象商品の在庫の情報である。在庫情報は、種類情報、在庫量情報、及び使用期限情報の少なくともいずれかを含んでいてもよく、ここでは、在庫情報はこれら3つの情報を全て含んでいる。「種類情報」とは、在庫に係る対象商品の種類に関する情報である。「在庫量情報」とは、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量に関する情報であり、例えば在庫の個数(単体の個数、セット数、ケース数、箱数等)に関する情報であってもよく、在庫の量(体積、重量等)に関する情報であってもよい。「使用期限情報」とは、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限に関する情報である。
【0031】
「在庫保有ユーザ」とは、対象商品の在庫を保有しているユーザであり、企業等の組織であってもよく、個人であってもよい。なお、在庫保有ユーザとして、
図2では企業が例示されており、
図3では大企業及びスマートシティマネジメント会社が例示されている。
【0032】
「購入希望ユーザ」とは、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の購入を希望するユーザである。購入希望ユーザは、必ずしも実際に在庫の購入に至るとは限らず、購入を希望したものの購入に至らない場合もあり得る。例えば、購入希望ユーザが在庫の購入を希望した場合であっても、在庫管理装置1により購入が許可されない場合もあり得る。購入希望ユーザは、登録購入希望ユーザ及び非登録購入希望ユーザを含んでもよい。「登録購入希望ユーザ」とは、在庫管理装置1により所定の地位を有する購入希望ユーザとして予め登録された購入希望ユーザであり、例えば緊急時に優先的に在庫の購入が許可される購入希望ユーザであってもよい。一方、「非登録購入希望ユーザ」とは、在庫管理装置1により所定の地位を有する購入希望ユーザとして予め登録されていない購入希望ユーザであり、例えば緊急時に優先的に在庫の購入が許可されない購入希望ユーザであってもよい。
【0033】
在庫管理システム100は、在庫管理装置1、情報タグT、及び情報リーダ2を具備している。
【0034】
情報タグTは、後述する情報リーダ2により読み取られる情報を保持した物である。情報タグTは、対象商品の種類の情報及び当該対象商品の使用期限の情報を保持していてもよい。情報タグTは、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品に設けられている。具体的には、情報タグTは、個々の対象商品に設けられていてもよい。より具体的には、情報タグTは、その種類に適した態様であれば、個々の対象商品の表面に貼付されていてもよく、個々の対象商品の表面に印刷されていてもよく、個々の対象商品に紐等を用いて連結されていてもよい。あるいは、情報タグTは、対象商品を収容する容器等に設けられていてもよく、対象商品が載置されたパレット等に設けられていてもよい。
【0035】
情報タグTは、例えば、情報リーダ2により非接触で情報を読み取り可能な商品タグであってもよい。具体的には、情報タグTは、情報リーダ2により電波を用いて情報を読み取り可能な電子タグであってもよい。より具体的には、情報タグTは、ICチップを備えたRFID(Radio Frequency Identification)タグであってもよい。あるいは、情報タグTは、バーコード等の一次元コードであってもよく、QRコード(登録商標)等の二次元コードであってもよい。
【0036】
情報リーダ2は、情報タグTから情報を読み取ることにより在庫情報を取得する機器である。情報タグTがRFID等の電子タグである場合には、情報リーダ2は当該電子タグを読み取る機能を有する機器(リーダ)であってもよい。また、情報タグTがバーコード等の一次元コード又はQRコード(登録商標)等の二次元コードである場合には、情報リーダ2は当該コードを読み取る機能を有する機器(リーダ)であってもよい。情報リーダ2は、情報タグTから、対象商品の種類の情報及び当該対象商品の使用期限の情報を読み取ってもよい。また、情報リーダ2は、対象商品の入庫(新たに在庫として追加されること)及び出庫(在庫から放出されること)の際に各対象商品の情報タグTから情報を読み取ることによって、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量の情報を取得してもよい。情報リーダ2は、対象商品が保管されている倉庫等の内部を一括して(又は、複数回に分けて)走査することにより、在庫情報を取得してもよい。
【0037】
情報リーダ2は、上述したように情報タグTから情報を読み取ることにより、対象商品の在庫情報として種類情報、在庫量情報、及び使用期限情報を取得する。情報リーダ2は、取得した在庫情報を在庫管理装置1に送信する。
【0038】
在庫管理装置1の物理的な構成について説明する。在庫管理装置1は、物理的には、制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えるコンピュータC(サーバ)として構成されており、在庫保有ユーザ端末、購入希望ユーザ端末、及び情報リーダ2等と有線又は無線により通信可能である。制御演算装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコントローラとして構成されており、演算処理を実行するとともに記憶装置及び入出力装置の制御を行う。記憶装置は、例えば主記憶装置及び補助記憶装置を有している。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)により構成されている。また、補助記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)により構成されている。入出力装置は、例えば外部からデータを入力されて記憶装置に送信する入力装置、及び、例えば制御演算装置により演算されて記憶装置に記憶された演算結果を外部に出力する出力装置を有している。
【0039】
在庫管理装置1は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、RAMに読み込まれたプログラムをCPUにより実行することにより、所定の処理を実行する。ここでは、在庫管理装置1は、ROMに記憶されている在庫管理プログラムPをRAMに読み込み、RAMに読み込まれた在庫管理プログラムPをCPUにより実行することにより、後述する販売処理、補充処理、通知処理、及び報酬付与処理を実行する。なお、在庫管理装置1は、物理的に、上述した構成とは異なる構成を備えていてもよい。
【0040】
次に、在庫管理装置1の機能的な構成について説明する。在庫管理装置1は、機能的には、在庫情報取得部10、価格設定部11、購入希望受付部12、在庫補充部13、通知部14、モード選択部15、及び報酬付与部16を備えている。
【0041】
在庫情報取得部10は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する。なお、「在庫保有ユーザから在庫情報を取得する」とは、在庫保有ユーザにより管理又は操作等される各種端末から在庫情報を取得(受信)することであってもよい。ここでは、在庫情報取得部10は、在庫保有ユーザにより管理されている情報リーダ2から在庫情報を取得する。
【0042】
価格設定部11は、在庫情報取得部10により取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する。例えば、価格設定部11は、在庫情報に含まれる種類情報に基づいて在庫の価格を設定してもよい。また、価格設定部11は、在庫情報に含まれる使用期限情報に基づいて在庫の価格を設定してもよい。この場合、例えば、価格設定部11は、種類情報に基づいて設定される在庫の定価に対して、使用期限までの期間の長短に応じた値下げ又は値上げを行うことにより、在庫の価格を設定してもよい。具体的には、価格設定部11は、使用期限までの期間が短いほど値段が安くなるように在庫の価格を設定してもよい。また、価格設定部11は、在庫情報に含まれる在庫量情報に基づいて在庫の価格を設定してもよい。この場合、例えば、価格設定部11は、価格上昇処理及び価格下降処理の少なくともいずれかを実行可能であってもよい。ここで、価格上昇処理は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された第2閾値以下であるか否かを価格設定部11により判定し、在庫量が第2閾値以下であると判定した場合に在庫の価格を価格設定部11により上昇させる処理である。また、価格下降処理は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された第3閾値以上であるか否かを価格設定部11により判定し、在庫量が第3閾値以上であると判定した場合に在庫の価格を価格設定部11により下降させる処理である。第3閾値は、第2閾値よりも大きい値であってもよく、第2閾値と等しい値であってもよい。なお、「価格を上昇させる」とは値上げすることを意味し、「価格を下降させる」とは値下げすることを意味する。
【0043】
購入希望受付部12は、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから在庫の購入希望を受け付ける。具体的には、購入希望受付部12は、購入希望ユーザから、価格設定部11により設定された価格での在庫の購入希望を受け付ける。購入希望受付部12は、後述するモード選択部15により緊急モードが選択されている場合においては、複数の購入希望ユーザのうち、予め登録されていない非登録購入希望ユーザよりも予め登録されている登録購入希望ユーザからの購入希望を優先して受け付けてもよい。なお、「優先して受け付ける」とは、優先される購入希望ユーザ(登録購入希望ユーザ)からの購入希望と優先されない購入希望ユーザ(非登録購入希望ユーザ)からの購入希望とが重複した場合に、登録購入希望ユーザからの購入希望を受け付けるとともに非登録購入希望ユーザからの購入希望を受け付けないことを意味してもよい。なお、購入希望受付部12は、購入希望ユーザから登録購入希望ユーザに登録すべき旨の登録要求を受け付けると、当該購入希望ユーザを登録購入希望ユーザとして登録する。
【0044】
購入希望受付部12は、購入希望ユーザから在庫の購入希望を受け付けると、購入希望ユーザに対して課金の処理を行うとともに、対象商品の在庫から購入希望ユーザへの配送の処理を行う。課金の処理は、課金を行う業者への指示であってもよい。また、配送の処理は、配送を行う業者への指示であってもよい。
【0045】
在庫補充部13は、予め設定された補充条件が満たされた場合に、在庫保有ユーザにより保有されている対象商品の在庫を補充させる補充の処理を行う。補充の処理は、外部から対象商品を入庫する処理であり、例えば対象商品の製造者から対象商品を入庫する処理であってもよい。具体的には、補充の処理は、在庫保有ユーザに対する課金の処理、及び、対象商品の製造者から在庫保有ユーザへの配送の処理を含んでもよい。なお、「製造者」とは対象商品を製造する者であり、製造者として、
図3では食品メーカーが例示されている。
【0046】
「補充条件」とは、当該条件が満たされたことが在庫補充部13により補充の処理が行われる契機とされる条件である。例えば、補充条件は、在庫保有ユーザにより保有されている対象商品の在庫量が所定量(第1閾値)以下となることであってもよい。換言すると、在庫補充部13は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された第1閾値以下であるか否かを判定し、在庫量が第1閾値以下であると判定した場合に在庫を補充させてもよい。あるいは、補充条件は、在庫が前回補充されてから所定時間が経過したことであってもよい。つまり、在庫は、所定の時間周期で補充されてもよい。換言すると、在庫補充部13は、予め設定された時間周期により在庫を補充させてもよい。
【0047】
通知部14は、予め設定された通知条件が満たされた場合に、当該通知条件が満たされたことを在庫保有ユーザに通知する。ここでは、通知条件は、在庫量が所定量(第4閾値)よりも多いこと、又は、在庫量が所定量(第5閾値)よりも少ないことである。第5閾値は第4閾値よりも小さい値である。つまり、換言すると、通知部14は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された範囲(第4閾値以下且つ第5閾値以上)にあるか否かを判定し、在庫量が当該範囲にないと判定した場合に在庫保有ユーザに通知する。具体的には、通知部14は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が第4閾値以下であるか否かを判定するとともに在庫量が第5閾値以上であるか否かを判定し、在庫量が第4閾値以下でない場合、又は、在庫量が第5閾値以上でない場合に、在庫量が所定範囲内にないことを在庫保有ユーザに通知してもよい。通知部14は、例えば在庫保有ユーザ端末に対してメール等により通知を行ってもよい。
【0048】
モード選択部15は、通常モード及び緊急モードを少なくとも含む複数のモードからいずれかのモードを選択する。ここでは、モード選択部15は、通常モード及び緊急モードの2つのモードからいずれか一方のモードを選択する。「通常モード」とは、通常時におけるモードである。一方、「緊急モード」とは、緊急時におけるモードであり、例えば災害等が発生した際に選択されるべきモードであってもよい。モード選択部15は、管理者等から入力されたモード選択指令に基づいて、いずれのモードを選択するかを決定してもよい。あるいは、モード選択部15は、所定のアルゴリズムに基づいて、いずれのモードを選択するかを自動的に決定してもよい。
【0049】
報酬付与部16は、予め設定された報酬付与条件が満たされた場合に、在庫保有ユーザに報酬を付与する。ここでは、報酬付与条件は、登録購入希望ユーザと合意した規定量以上の在庫量を在庫保有ユーザが在庫として保有していること(あるいは、所定期間にわたり保有し続けていること)である。つまり、換言すると、報酬付与部16は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が登録購入希望ユーザと合意した規定量以上であるか否かを判定し、在庫量が規定量以上であると判定した場合に在庫保有ユーザに報酬を付与する。「報酬」とは、在庫保有ユーザにとって価値のあるものであればよく、金銭又は物品であってもよく、何らかの債権であってもよい。あるいは、報酬は、金銭価値を有さない名誉等であってもよい。報酬付与部16は、報酬の種類に応じて、例えば在庫保有ユーザ端末に対してメール又は郵送等により報酬を付与してもよい。
【0050】
ここで、
図2に例示される在庫管理装置1の具体的な態様について説明する。
図2に示される在庫管理装置1は、クラウド上において、バーチャル倉庫及びバーチャルマーケットプレイスを構成している。在庫管理装置1は、在庫保有ユーザたる企業A~企業Dのそれぞれにより管理される情報リーダ2と通信する。各企業により管理される情報リーダ2は、各企業の倉庫にある在庫に設けられた情報タグTを所定のタイミングで走査することにより、各企業の在庫情報を在庫管理装置1に送信する。在庫管理装置1は、情報リーダ2から各企業の在庫情報を受信すると、各企業と紐づけられたバーチャル倉庫に当該企業の在庫情報を記憶する。
【0051】
在庫管理装置1は、各企業からの指令に応じて、バーチャル倉庫から指定された量の対象商品をバーチャルマーケットプレイスに仮想的に移動させる。つまり、在庫管理装置1は、各企業からの指令に応じて、対象商品の在庫量のうち、バーチャル倉庫に仮想的に格納されている量と、バーチャルマーケットプレイスに仮想的に格納されている量と、の配分を変更する。
【0052】
在庫管理装置1は、バーチャルマーケットプレイスに格納されている在庫を、当該在庫に設定された価格により購入希望ユーザに販売する。すなわち、例えばバーチャルマーケットプレイスを閲覧した購入希望ユーザから在庫の購入希望を受信すると、在庫管理装置1は、販売可能である場合には当該在庫を当該在庫に設定された価格により購入希望ユーザに販売する。このように、在庫管理装置1は、購入希望ユーザとの間での注文及び取引の処理も行い得る。なお、
図2においては、購入希望ユーザとして、一般家庭、店舗、病院、学校、中小企業、及び地方自治体が例示されている。
【0053】
続いて、
図3に例示される情報及び対象商品の移動について説明する。
図3においては、在庫管理装置1に関係する情報の移動が破線矢印で示され、在庫管理装置1に関する対象商品の移動が実線矢印で示されている。在庫管理装置1は、在庫保有ユーザたる大企業又はスマートシティマネジメント会社から在庫情報を取得する。また、在庫管理装置1は、購入希望ユーザたる一般家庭、店舗、病院、学校、中小企業、又は地方自治体から在庫の購入希望を受け付ける。その後、購入希望ユーザに関して課金の処理が行われると、在庫保有ユーザから購入希望ユーザへの対象商品の配送の処理が行われる。なお、
図3においては、地方自治体が登録購入希望ユーザである場合に、災害時(緊急時)に優先的に対象商品を購入して被災地に対象商品を支援物資として配送する場合についても併せて示されている。
【0054】
在庫管理装置1は、在庫保有ユーザに関して補充条件が満たされた場合に、在庫保有ユーザの在庫を補充させる。
図3においては、在庫管理装置1は、対象商品たる食品を製造する食品メーカーから在庫保有ユーザに対象商品を配送させる。
【0055】
[販売処理]
在庫管理装置1により実行される販売処理について説明する。
図4は、在庫管理装置1により実行される販売処理を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS10において、在庫管理装置1の購入希望受付部12は、購入希望ユーザから登録購入希望ユーザに登録すべき旨の登録要求を受け付けると、当該購入希望ユーザを登録購入希望ユーザとして登録する。その後、販売処理はステップS12に移行する。
【0057】
ステップS12において、在庫管理装置1の在庫情報取得部10は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する(在庫情報取得ステップ)。具体的には、在庫情報取得部10は、在庫保有ユーザにより使用される情報リーダ2から在庫情報として種類情報、在庫量情報、及び使用期限情報を受信することにより、当該在庫情報を取得する。その後、販売処理はステップS14に移行する。
【0058】
ステップS14において、在庫管理装置1の価格設定部11は、在庫情報取得部10により取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する(価格設定ステップ)。ここでは、価格設定部11は、在庫情報に含まれる種類情報に基づいて在庫の定価を設定し、在庫情報に含まれる使用期限情報及び在庫量情報に基づいて値下げ又は値上げを行うことにより、在庫の価格を設定する。その後、販売処理はステップS16に移行する。
【0059】
ステップS16において、在庫管理装置1のモード選択部15は、通常モード及び緊急モードの2つのモードからいずれか一方のモードを選択する。例えば、モード選択部15は、管理者等から入力されたモード選択指令に基づいて、いずれのモードを選択するかを決定する。その後、販売処理はステップS18に移行する。
【0060】
ステップS18において、在庫管理装置1の購入希望受付部12は、例えば購入希望ユーザから在庫の購入希望を受信したことを契機として、モード選択部15により緊急モードが選択されているか否かを判定する。緊急モードが選択されていると判定された場合(ステップS18:YES)、販売処理はステップS20に移行する。一方、緊急モードが選択されていると判定されない場合(ステップS18:NO)、販売処理はステップS22に移行する。
【0061】
ステップS20において、在庫管理装置1の購入希望受付部12は、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから在庫の購入希望を受け付ける(購入希望受付ステップ)。このとき、購入希望受付部12は、複数の購入希望ユーザのうち、予め登録されていない非登録購入希望ユーザよりも予め登録されている登録購入希望ユーザからの購入希望を優先して受け付ける。その後、購入希望受付部12は、購入希望ユーザに対して課金の処理を行うとともに、対象商品の在庫から購入希望ユーザへの配送の処理を行う。以上により、販売処理は終了する。
【0062】
ステップS22において、在庫管理装置1の購入希望受付部12は、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから在庫の購入希望を受け付ける(購入希望受付ステップ)。このとき、購入希望受付部12は、複数の購入希望ユーザからの購入希望を、非登録購入希望ユーザであるか登録購入希望ユーザであるかにかかわらず平等に受け付ける。その後、購入希望受付部12は、購入希望ユーザに対して課金の処理を行うとともに、対象商品の在庫から購入希望ユーザへの配送の処理を行う。以上により、販売処理は終了する。
【0063】
[補充処理]
在庫管理装置1により実行される補充処理について説明する。
図5は、在庫管理装置1により実行される補充処理を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS30において、在庫管理装置1の在庫情報取得部10は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する。具体的には、在庫情報取得部10は、在庫保有ユーザにより使用される情報リーダ2から在庫情報として種類情報及び在庫量情報を受信することにより、当該在庫情報を取得する。その後、販売処理はステップS32に移行する。
【0065】
ステップS32において、在庫管理装置1の在庫補充部13は、予め設定された補充条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、在庫補充部13は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された第1閾値以下であるか否かを判定する。補充条件が満たされたと判定された場合(ステップS32:YES)、補充処理はステップS34に移行する。一方、補充条件が満たされたと判定されない場合(ステップS32:NO)、今回の補充処理は終了し、予め設定されたタイミングで新たな補充処理がステップS30から再開する。
【0066】
ステップS34において、在庫管理装置1の在庫補充部13は、在庫保有ユーザにより保有されている対象商品の在庫を補充させる補充の処理を行う。具体的には、在庫補充部13は、補充の処理として、在庫保有ユーザに対する課金の処理、及び、対象商品の製造者から在庫保有ユーザへの配送の処理を行う。以上により、補充処理は終了する。
【0067】
[通知処理]
在庫管理装置1により実行される通知処理について説明する。
図6は、在庫管理装置1により実行される通知処理を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS40において、在庫管理装置1の在庫情報取得部10は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する。具体的には、在庫情報取得部10は、在庫保有ユーザにより使用される情報リーダ2から在庫情報として種類情報及び在庫量情報を受信することにより、当該在庫情報を取得する。その後、販売処理はステップS42に移行する。
【0069】
ステップS42において、在庫管理装置1の通知部14は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された範囲(第4閾値以下且つ第5閾値以上)にあるか否かを判定する。在庫量が予め設定された範囲内にあると判定された場合(ステップS42:YES)、今回の通知処理は終了し、予め設定されたタイミングで新たな通知処理がステップS40から再開する。一方、在庫量が予め設定された範囲内にあると判定されない場合(ステップS42:NO)、通知処理はステップS44に移行する。
【0070】
ステップS44において、在庫管理装置1の通知部14は、在庫量が所定範囲内にないことを在庫保有ユーザに通知する。具体的には、通知部14は、在庫量が所定範囲内にないことを在庫保有ユーザ端末に対してメール等により通知を行う。以上により、通知処理は終了する。
【0071】
[報酬付与処理]
在庫管理装置1により実行される報酬付与処理について説明する。
図7は、在庫管理装置1により実行される報酬付与処理を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS50において、在庫管理装置1の報酬付与部16は、報酬付与条件として在庫保有ユーザが在庫として保有しているべき規定量を設定する。具体的には、報酬付与部16は、登録購入希望ユーザと合意した在庫量を規定量として設定する。その後、報酬付与処理はステップS52に移行する。
【0073】
ステップS52において、在庫管理装置1の在庫情報取得部10は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する。具体的には、在庫情報取得部10は、在庫保有ユーザにより使用される情報リーダ2から在庫情報として種類情報及び在庫量情報を受信することにより、当該在庫情報を取得する。その後、販売処理はステップS54に移行する。
【0074】
ステップS54において、在庫管理装置1の報酬付与部16は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が登録購入希望ユーザと合意した規定量以上であるか否かを判定する。在庫量が登録購入希望ユーザと合意した規定量以上であると判定された場合(ステップS54:YES)、報酬付与処理はステップS56に移行する。一方、在庫量が登録購入希望ユーザと合意した規定量以上であると判定されない場合(ステップS54:NO)、報酬付与処理は終了する。
【0075】
ステップS56において、在庫管理装置1の報酬付与部16は、在庫保有ユーザに報酬を付与する。具体的には、報酬付与部16は、金銭又は物品等といった在庫保有ユーザにとって価値のあるものを在庫保有ユーザに報酬として付与する。報酬付与部16は、報酬の種類に応じて、例えば在庫保有ユーザ端末に対してメール又は郵送等により報酬を付与する。以上により、報酬付与処理は終了する。
【0076】
[在庫管理プログラム]
コンピュータCを在庫管理装置1として機能させるための在庫管理プログラムPについて説明する。
図8は、在庫管理プログラムPのモジュール構成を示すブロック図である。
図8に示される在庫管理プログラムPは、メインモジュールMM、在庫情報取得モジュールM10、価格設定モジュールM11、購入希望受付モジュールM12、在庫補充モジュールM13、通知モジュールM14、モード選択モジュールM15、及び報酬付与モジュールM16を備えている。
【0077】
メインモジュールMMは、コンピュータCを統括的に制御する部分である。在庫情報取得モジュールM10、価格設定モジュールM11、購入希望受付モジュールM12、在庫補充モジュールM13、通知モジュールM14、モード選択モジュールM15、及び報酬付与モジュールM16のそれぞれを実行させることにより実現される機能は、在庫情報取得部10、価格設定部11、購入希望受付部12、在庫補充部13、通知部14、モード選択部15、及び報酬付与部16のそれぞれの機能と同様である。なお、在庫管理プログラムPは、メインモジュールMM、在庫情報取得モジュールM10、価格設定モジュールM11、及び購入希望受付モジュールM12以外の少なくともいずれかのモジュールを備えていなくてもよい。
【0078】
[作用及び効果]
以上説明したように、在庫管理装置1は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得部10と、在庫情報取得部10により取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する価格設定部11と、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、価格設定部11により設定された価格での在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付部12と、を備えている。
【0079】
在庫管理プログラムPは、コンピュータCを、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得部10と、在庫情報取得部10により取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する価格設定部11と、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、価格設定部11により設定された価格での在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付部12と、として機能させる。
【0080】
在庫管理方法は、在庫管理装置1のコンピュータCにより実行される方法である。在庫管理方法は、対象商品の在庫を保有している在庫保有ユーザから当該在庫の情報である在庫情報を取得する在庫情報取得ステップと、在庫情報取得ステップにおいて取得された在庫情報に基づいて在庫の価格を設定する価格設定ステップと、在庫の購入を希望する購入希望ユーザから、価格設定ステップにおいて設定された価格での在庫の購入希望を受け付ける購入希望受付ステップと、を備えている。
【0081】
これらの在庫管理装置1、在庫管理プログラムP、及び在庫管理方法の少なくともいずれかによれば、在庫保有ユーザは、対象商品を在庫として保有することにより、当該対象商品を備蓄可能であり、必要に応じて自ら使用することも可能である。また、在庫保有ユーザは、在庫管理装置1を利用することにより、在庫に設定された価格での購入を希望する購入希望ユーザに対して在庫を容易に販売することができる。したがって、在庫保有ユーザは、例えば不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で手離すことができる。一方、購入希望ユーザは、所望の対象商品を好適な価格で購入することができる。以上により、在庫管理装置1、在庫管理プログラムP、及び在庫管理方法の少なくともいずれかによれば、対象商品を在庫として備蓄可能とする一方で、不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で市場に流通させることができる。
【0082】
在庫管理システム100は、在庫管理装置1と、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品に設けられる情報タグTと、情報タグTから情報を読み取ることにより在庫情報を取得し、取得した在庫情報を在庫管理装置1に送信する情報リーダ2と、を具備している。
【0083】
この在庫管理システム100によれば、在庫管理装置1により奏される上述した作用及び効果に加えて、情報リーダ2を用いて、在庫保有ユーザにより保有されている在庫の情報を情報タグTから容易に取得可能となる。したがって、在庫の管理のための手間を軽減することができるため、利便性が向上する。
【0084】
在庫管理装置1では、在庫情報は、在庫に係る対象商品の種類に関する種類情報を含んでいる。これによれば、在庫保有ユーザにより保有されている在庫を対象商品の種類ごとに管理することが可能となるため、利便性が向上する。
【0085】
在庫管理装置1では、在庫情報は、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限に関する使用期限情報を含んでいる。これによれば、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限を把握可能となるため、備蓄、使用、販売、又は購入を行う際の判断材料を得ることができる。
【0086】
在庫管理装置1では、価格設定部11は、在庫情報取得部10により取得された使用期限情報に基づいて在庫の価格を設定する。これによれば、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限に応じた価格で当該在庫を市場に流通させることが可能となる。
【0087】
在庫管理装置1では、在庫情報は、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量に関する在庫量情報を含んでいる。これによれば、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の使用期限を把握可能となるため、備蓄、使用、販売、又は購入を行う際の判断材料を得ることができる。
【0088】
在庫管理装置1は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された第1閾値以下であるか否かを判定し、在庫量が第1閾値以下であると判定した場合に在庫を補充させる在庫補充部13を備えている。これによれば、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量を監視し、補充が必要な程度まで在庫量が減少したタイミングで在庫を補充させることができる。よって、常に十分な量の在庫を在庫保有ユーザに保有させておくことが可能となる。
【0089】
在庫管理装置1は、予め設定された時間周期により在庫を補充させる在庫補充部13を備えている。これによれば、在庫保有ユーザにより保有されている対象商品の在庫を定期的に補充させることができる。よって、常に十分な量の在庫を在庫保有ユーザに保有させておくことが可能となる。
【0090】
在庫管理装置1は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された範囲にあるか否かを判定し、在庫量が範囲にないと判定した場合に在庫保有ユーザに通知する通知部14を備えている。これによれば、在庫保有ユーザにより保有されている対象商品の在庫量を監視し、在庫量が適正な範囲から外れた場合に在庫保有ユーザに知らせることができる。よって、常に十分な量の在庫を在庫保有ユーザに保有させておくことが可能となる。
【0091】
在庫管理装置1では、価格設定部11は、価格上昇処理及び価格下降処理の少なくともいずれかを実行可能であり、価格上昇処理は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された第2閾値以下であるか否かを判定し、在庫量が第2閾値以下であると判定した場合に在庫の価格を上昇させる処理であり、価格下降処理は、在庫情報取得部10により取得された在庫量が予め設定された第3閾値以上であるか否かを判定し、在庫量が第3閾値以上であると判定した場合に在庫の価格を下降させる処理である。これによれば、対象商品の在庫量に応じたプライシング(価格の再設定)を行うことが可能となる。例えば、価格を上昇させるプライシングを行うこととすれば(価格上昇処理)、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量が比較的少ないときには、在庫の価格を比較的高く設定することで購入希望ユーザにより当該在庫を購入されにくくして備蓄量を維持することができる。また、逆に、価格を下降させるプライシングを行うこととすれば(価格下降処理)、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量が比較的多いときには、在庫の価格を比較的低く設定することで購入希望ユーザにより当該在庫を購入されやすくすることができる。よって、対象商品を在庫として備蓄可能とする一方で、不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で市場に流通させることができる。
【0092】
在庫管理装置1は、通常時における通常モード及び緊急時における緊急モードを少なくとも含む複数のモードからいずれかのモードを選択するモード選択部15を備え、購入希望受付部12は、モード選択部15により緊急モードが選択されている場合においては、複数の購入希望ユーザのうち、予め登録されていない非登録購入希望ユーザよりも予め登録されている登録購入希望ユーザからの購入希望を優先して受け付ける。これによれば、特定の状況下において、対象商品を登録購入希望ユーザの手元に多く集めることが可能となる。具体的な一例として、例えば災害発生時といった緊急時に、公益的な観点から対象商品を多く必要とする行政等のユーザが対象商品を優先的に入手可能となる。よって、緊急時における対象商品の流通をコントロールすることが可能となる。
【0093】
在庫管理装置1では、在庫情報は、在庫保有ユーザにより在庫として保有されている対象商品の在庫量に関する在庫量情報を含み、在庫情報取得部10により取得された在庫量が登録購入希望ユーザと合意した規定量以上であるか否かを判定し、在庫量が規定量以上であると判定した場合に在庫保有ユーザに報酬を付与する報酬付与部16を備えている。これによれば、特定の状況下において対象商品を登録購入希望ユーザの手元に多く集めるために、在庫保有ユーザが通常時においても十分な量の在庫を保有する動機付けを行うことができる。よって、より確実に、緊急時における対象商品の流通をコントロールすることが可能となる。
【0094】
[変形形態]
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。
【0095】
例えば、上述した実施形態において説明した在庫管理装置1の各機能のうちの少なくともいずれかは、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を利用して実現されてもよい。これによれば、対象商品を在庫として備蓄可能とする一方で、不要になった在庫をより確実且つ有益な手段で市場に流通させるという在庫管理装置1の効果をより効率良く実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0096】
1 在庫管理装置
2 情報リーダ
10 在庫情報取得部
11 価格設定部
12 購入希望受付部
13 在庫補充部
14 通知部
15 モード選択部
16 報酬付与部
100 在庫管理システム
C コンピュータ
P 在庫管理プログラム
T 情報タグ