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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073845
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】平行二線ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20230519BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20230519BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20230519BHJP
   B60L 50/53 20190101ALN20230519BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/12
B60M7/00 X
B60L50/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186559
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】井戸垣 拓実
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA11
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減することができる平行二線ユニットを提供する。
【解決手段】本開示に係る平行二線ユニット1は、受電装置(コイル53)に非接触で給電するための平行二線ユニット1において、マット21と、互いに平行に延びる2本の導電体311で構成された平行二線路31とを備え、該平行二線路31は、前記マット21の一面に平行になるようにして、前記マット21の内部に埋設されていることを特徴とする。平行二線路31を別体のカバーで覆わずとも平行二線路31を保護することができるので、カバーを廃止して部品点数を削減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電装置に非接触で給電するための平行二線ユニットにおいて、
マットと、
互いに平行に延びる2本の導電体で構成された平行二線路と
を備え、
該平行二線路は、前記マットの一面に平行になるようにして、前記マットの内部に埋設されていることを特徴とする平行二線ユニット。
【請求項2】
2本の前記導電体の一端部同士は、2本の前記導電体夫々に連続する導電体により前記マットの内部にて接続されており、
前記マットの外縁には、2本の前記導電体夫々の他端部に電気的に接続するためのコネクタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平行二線ユニット。
【請求項3】
前記平行二線路が埋設されている前記マットはロール状に巻き取り可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平行二線ユニット。
【請求項4】
2本の前記導電体は直線状、弧状、又はL字状の部分を有することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の平行二線ユニット。
【請求項5】
複数の前記平行二線路を備え、
前記マットの外部にて複数の前記平行二線路が互いに並列に又は直列に接続されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の平行二線ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平行二線ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、AGV(Automated Guided Vehicle)又は電気自動車等の移動体に非接触で給電する非接触給電システムが提案されている。特許文献1に記載の非接触給電システムは、送電側の平行二線ユニットと受電側の受電装置とを備える。平行二線ユニットは移動体の走行経路に敷設されており、受電装置は移動体に搭載されている。平行二線ユニットが備える平行二線路は、互いに平行に延びる2本の導電体で構成されており、平行二線路には高周波電流が供給される。平行二線路と受電装置が備えるコイルとが互いに磁気的に結合することにより、コイルに高周波電流が非接触で供給される。
【0003】
平行二線ユニットはガイドプレートを備える。ガイドプレートの一面には互いに平行な2本の溝状のキャビティが設けられており、2本の導電体は2本のキャビティに収容されている。この結果、2本の導電体同士の間隔を一定に保つことができるので、給電効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-087970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の平行二線ユニットは、ガイドプレートとは別体のカバーを備える。カバーがガイドプレートごと平行二線路を上側から覆うので、平行二線路を保護することができる。しかしながら、部品点数の削減の観点から、カバーの廃止が望まれている。
【0006】
本開示の目的は、部品点数を削減することができる平行二線ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る平行二線ユニットは、受電装置に非接触で給電するための平行二線ユニットにおいて、マットと、互いに平行に延びる2本の導電体で構成された平行二線路とを備え、該平行二線路は、前記マットの一面に平行になるようにして、前記マットの内部に埋設されていることを特徴とする。
【0008】
本開示にあっては、平行二線路がマットの一面に平行になるようにしてマットの内部に埋設されている。
故に、平行二線路を構成する2本の導電体同士の間隔を一定に保つことができる。また、マットの他面を下向きにして床面又は地面にマットを敷いた場合、マットの一面上を走行する移動体と平行二線路との距離を一定に保つことができる。以上の結果、給電効率を向上させることができる。更に、平行二線路を別体のカバーで覆わずとも平行二線路を保護することができるので、カバーを廃止して部品点数を削減することができる。
【0009】
本開示に係る平行二線ユニットは、2本の前記導電体の一端部同士は、2本の前記導電体夫々に連続する導電体により前記マットの内部にて接続されており、前記マットの外縁には、2本の前記導電体夫々の他端部に電気的に接続するためのコネクタが設けられていることを特徴とする。
【0010】
本開示にあっては、2本の導電体夫々に連続する導電体が、2本の導電体の一端部同士をマットの内部にて接続している。故に、例えば1本のケーブルの一端側/他端側を2本の導電体の一方/他方として用い、当該ケーブルの中途を、2本の導電体の一端部同士を接続する接続線として用いることにより、平行二線路を容易に構成することができる。
2本の導電体夫々の他端部に電気的に接続するためのコネクタはマットの外縁に設けられている。故に、マットの一面上を走行する移動体の車輪が凸状のコネクタに当接したり凹状のコネクタに落ち込んだりして移動体が振動するという不都合を防止することができる。
【0011】
本開示に係る平行二線ユニットは、前記平行二線路が埋設されている前記マットはロール状に巻き取り可能であることを特徴とする。
【0012】
本開示にあっては、マットが内部の平行二線路ごとロール状に巻き取り可能である。故に、非使用時の平行二線ユニットを運搬又は収容する際に便利である。
【0013】
本開示に係る平行二線ユニットは、2本の前記導電体は直線状、弧状、又はL字状の部分を有することを特徴とする。
【0014】
本開示にあっては、移動体の直線経路に、直線状の部分を有する平行二線路が埋設されたマットを敷くことができる。また、移動体の曲線経路に、弧状の部分を有する平行二線路が埋設されたマットを敷くことができる。更に、例えば互いに交差する方向に延びる直線経路同士を結ぶコーナー経路に、弧状又はL字状の部分を有する平行二線路が埋設されたマットを敷くことができる。以上の結果、走行経路の形状を問わずに平行二線ユニットを利用した非接触給電を行なうことができる。
【0015】
本開示に係る平行二線ユニットは、複数の前記平行二線路を備え、前記マットの外部にて複数の前記平行二線路が互いに並列に又は直列に接続されることを特徴とする。
【0016】
本開示にあっては、複数の平行二線路を備え、平行二線路同士はマットの外部にて並列に又は直列に接続されるので、必要な仕様に応じて並列接続と直列接続とを選択的に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の平行二線ユニットによれば、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態1に係る平行二線ユニットの模式的な平面図である。
図2図1におけるII-II線による断面図である。
図3図1におけるIII-III線による断面図である。
図4】マットを巻き取った状態の断面図である。
図5】実施の形態2に係る複数の平行二線ユニットの模式的な平面図である。
図6】実施の形態3に係る平行二線ユニットの模式的な平面図である。
図7】平行二線路同士の接続を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について説明する。
【0020】
実施の形態 1.
図1は実施の形態1に係る平行二線ユニットの模式的な平面図である。
図2図1におけるII-II線による断面図である。
図中1は平行二線ユニットであり、平行二線ユニット1は、マット21及び平行二線路31を備える。
マット21は絶縁性を有し、例えば合成ゴム製又は合成樹脂製である。また、マット21は耐熱性及び耐久性を有し、平行二線路31並びに各後述する接続線32及び給電線33の発熱に耐えると共に、後述する移動体6の走行に耐える。
【0021】
マット21は帯板状をなし、長手方向にロール状に巻き取り可能な柔軟性を有する。以下では、マット21の長手方向を前後方向といい、短手方向を左右方向という。
マット21の一面は平坦であり、摩擦係数が小さい。マット21の他面には細かな凹凸が設けられており、摩擦係数が大きい。マット21は、摩擦係数が大きい面を下向きにして、床面4に敷かれる。マット21の上面と下面とは互いに平行である。
【0022】
図3図1におけるIII-III線による断面図である。
図1図3に示すように、平行二線路31は、互いに平行に延びる2本の導電体311で構成されている。2本の導電体311はマット21によって互いに絶縁されている。各導電体311は前後方向に直線状に延び、マット21の上面に平行になるようにしてマット21の内部に埋設されている。例えば導電体311は平編銅線であり、一面がマット21の上面に平行になるように配される。導電体311は平編銅線に限定されないが、マット21の厚さを抑えるためには平編線であることが望ましい。
マット21の上面には、平行二線路31の埋設位置が表示されており、目視で平行二線路31の埋設位置を確認できることが望ましい。
【0023】
図1に示すように、2本の導電体311の前後方向の一端部同士(図1に向かって左端部同士)は接続線32(導電体)により接続されている。接続線32は左右方向に直線状に延び、マット21の上面に平行になるようにしてマット21の内部に埋設されている。接続線32の一端部は一方の接続線32に連続しており、接続線32の他端部は他方の接続線32に連続している。本実施の形態の接続線32は導電体311と同じ平編銅線で構成されている。
【0024】
各導電体311の他端部(図1に向かって右端部)は給電線33の一端部に接続されている。給電線33は左右方向に直線状に延び、マット21の上面に平行になるようにしてマット21の内部に埋設されている。本実施の形態の給電線33は導電体311と同じ平編銅線で構成されている。
平行二線路31、接続線32、及び2本の給電線33は、1本の平編銅線を折り曲げることによって構成されている。なお、平行二線路31、接続線32、及び2本の給電線33は、別体の平編銅線が互いに接続されることによって構成されてもよい。
【0025】
図1及び図3に示すように、マット21の外縁にオス型のコネクタ34が設けられている。コネクタ34は、マット21の左端面から左向きに(又は右端面から右向きに)突出している。コネクタ34は2つの接続ピン341を内蔵している。2つの接続ピン341は2本の導電体311に一対一対応である。接続ピン341には給電線33の他端部が接続されている。
【0026】
図1に示すように、コネクタ34には、送電ユニット51が備える図示しないメス型のコネクタが着脱可能に接続される。送電ユニット51は電源部511を備える。電源部511は、例えば図示しない商用電源から供給された電流を高周波電流に変換し、コネクタ34及び給電線33を介して平行二線路31に供給する。
送電ユニット51は、平行二線路31と共に共振回路を構成するキャパシタ(不図示)を備える。送電ユニット51がキャパシタを備えていない場合、接続線32に替えてキャパシタが2本の導電体311に接続されていてもよいが、マット21の厚さを抑えるためには送電ユニット51がキャパシタを備えることが望ましい。
【0027】
図2及び図3に示すように、マット21の底面部には磁性体層22が埋設されていることが望ましい。磁性体層22は、平行二線路31、接続線32、及び2本の給電線33を下側から非接触に覆っており、例えばフェライトシートである。なお、磁性体層22はフェライトシートに限定されず、マット21に埋設される構成に限定されない。例えば、磁性体層22はフェライトの粉末をマット21の下面に塗布することによって形成されてもよい。
マット21に磁性体層22が設けられていない場合、平行二線ユニット1とは別体の磁性体層22をマット21と床面4との間に設ける(例えばフェライトシートを床面4に敷いた上にマット21を敷く)ことが望ましい。
【0028】
図1及び図2に示すように、マット21の前端部及び後端部夫々にスロープ部材23が隣り合っている。スロープ部材23は側面視直角三角形状をなすマットである。スロープ部材23は、直角三角形の斜辺に対応する斜面23aが上向きになり、直角三角形の長辺に対応する一面23bが下向きになり、直角三角形の短辺に対応する他面がマット21の前端面(又は後端面)に接触するようにして、床面4に載置される。斜面23aは床面4とマット21の上面とを結ぶ。マット21の上面と同様に、斜面23aの摩擦係数は小さい。マット21の下面と同様に、一面23bの摩擦係数は大きい。
【0029】
平行二線ユニット1は、移動体6に非接触で給電する非接触給電システムを構成している。本実施の形態の非接触給電システムは、平行二線ユニット1、送電ユニット51、受電ユニット52、及びコイル53を備える。
移動体6は、4つの車輪61、バッテリ62、及びモータ63を備えるAGVである。4つの車輪61の内、2つは前輪であり、残る2つは後輪である。バッテリ62はモータ63に給電する。給電されたモータ63は駆動輪を駆動する。例えば前輪が操舵輪として用いられ、後輪が駆動輪として用いられることにより、移動体6は所定の走行経路に沿って走行する。
【0030】
平行二線ユニット1は、マット21の長手方向が移動体6の走行経路に沿うようにして、移動体6の走行経路の中途に敷設される。走行経路に沿って走行する移動体6は、床面4から一方のスロープ部材23の斜面23aに案内されてマット21の上面に昇る。更に、移動体6は一方のスロープ部材23から他方のスロープ部材23に向けてマット21の上面を走行し、マット21の上面から他方のスロープ部材23の斜面23aに案内されて床面4に降りる。
【0031】
隣り合うマット21とスロープ部材23とを密着させることにより、これらの境界部分を乗り越える際の移動体6の振動を防止することができる。マット21とスロープ部材23とを密着させるために、例えばマット21の前後両端面及び各スロープ部材23の前述した他面に、嵌脱可能に互いに嵌め合わされる凹凸が設けられる。
【0032】
マット21の上面及びスロープ部材23の斜面23a夫々の摩擦係数は小さいので、これらの上を走行する移動体6の振動を防止することができる。マット21の下面及びスロープ部材23の一面23b夫々の摩擦係数は大きいので、床面4との摩擦により、これらの位置ずれを抑制することができる。一方、マット21及びスロープ部材23は何れも完全に床面4に固定されているわけではないので、走行経路の変更時にこれらを容易に再配置することができる。なお、マット21の下面又はスロープ部材23の一面23bに、凹凸が設けられるのではなく、別体の滑り止め部材が貼り付けられてもよい。
【0033】
平行二線路31を構成する2本の導電体311の離隔距離は、移動体6の車輪61同士の左右方向の離隔距離と同程度である。
受電ユニット52及びコイル53は受電装置を構成し、移動体6に搭載されている。受電ユニット52は、コイル53と共に共振回路を構成する不図示のキャパシタを備える。受電側の共振回路の共振周波数と送電側の共振回路の共振周波数とは互いに等しい。コイル53は移動体6の車体の下面に配されている。左右の車輪61が2本の導電体311の真上に位置する場合、コイル53の左右両側部が2本の導電体311の真上に位置する。
【0034】
平行二線路31には送電ユニット51から高周波電流が供給される。移動体6がマット21の上面に位置している場合、平行二線路31とコイル53とが互いに磁気的に結合することによってコイル53に高周波電流が非接触で供給される。このような非接触給電は移動体6がマット21の上面を走行していても実行可能である。受電ユニット52は、コイル53が非接触で受電した高周波電流を所定の電圧の直流電流に変換してバッテリ62を充電する。
【0035】
以上のような平行二線ユニット1によれば、平行二線路31がマット21の内部に埋設されているので、平行二線路31を構成する2本の導電体311の左右の間隔を一定に保つことができる。また、マット21の上面を走行する移動体6のコイル53と平行二線路31との距離を一定に保つことができる。以上の結果、給電効率を向上させることができる。更に、平行二線路31を別体のカバーで覆わずとも平行二線路31を保護することができるので、カバーを廃止して部品点数を削減することができる。
【0036】
磁性体層22が平行二線路31を下側から覆っているので、平行二線路31を中心に生じた磁界が磁性体層22よりも下側に広がることを抑制することができる。故に、給電効率を更に向上させることができる。また、床面4に替えて地面に平行二線ユニット1が敷設された場合に、地中に金属物が埋まっていたとしても、平行二線路31からコイル53への給電が地中の金属物の悪影響を受けたり地中の金属物に悪影響を及ぼしたりする虞はない。なお、例えばアルミニウム製のシートで構成された図示しない遮蔽層が磁性体層22を下側から覆ってもよい。この場合、平行二線路31を中心に生じた磁界が磁性体層22よりも下側に広がることを防止することができる。
【0037】
2本の導電体311夫々の他端部に電気的に接続するためのコネクタ34はマット21の外縁(具体的には端面)に設けられている。故に、マット21の上面を走行する移動体6の車輪61がコネクタ34に当接して移動体6が振動するという不都合を防止することができる。
【0038】
ところで、磁性体層22、平行二線路31、接続線32、及び給電線33は、マット21の長手方向にロール状に巻き取り可能な柔軟性を有する。つまり、マット21は内蔵している部材ごとロール状に巻き取り可能である。故に、非使用時の平行二線ユニット1を運搬又は収容する際に便利である。
【0039】
図4はマット21を巻き取った状態の断面図である。
平行二線ユニット1は、コネクタ34に送電ユニット51が接続されていない状態で運搬又は収容される。平行二線ユニット1をコンパクトに運搬又は収容するために、作業者はマット21を巻き取る。
マット21にスロープ部材23が一体に設けられている場合には、スロープ部材23もロール状に巻き取り可能な柔軟性を有することが望ましい。
【0040】
なお、2本の導電体311の離隔距離は車輪61同士の左右方向の離隔距離よりも長くても短くてもよい。経験上、2本の導電体311の離隔距離が長い方が平行二線路31の周囲に生じる磁界が大きくなり、平行二線路31からの送電距離が長くなることが分かっている。故に、2本の導電体311の離隔距離を長くすれば、コイル53の床面4又はマット21の上面からの高さを上げることができる。即ちコイル53の配置の自由度を向上させることができる。
【0041】
平行二線ユニット1は床面4に固定されてもよい。平行二線ユニット1が床面4に固定される場合、マット21、磁性体層22、平行二線路31、接続線32、及び給電線33は、ロール状に巻き取り可能な柔軟性を有する必要がない。
マット21の上面が下面に対して傾斜していてもよい。この場合、前後方向に移動する移動体6を上下方向にも移動させることができる。
移動体6はAGVに限定されず、例えば電気自動車でもよい。
移動体6の走行経路の全長にわたって平行二線ユニット1が敷設されてもよい。この場合、移動体6のコイル53に常に給電することができるので、移動体6のバッテリ62の省略又は小型化を図ることができる。
【0042】
次に、実施の形態2,3を説明する。実施の形態2,3の平行二線ユニット1は、一部を除いて実施の形態1の平行二線ユニット1の構成と略同様の構成を有するので、実施の形態1の作用効果と略同様の作用効果を奏する。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0043】
実施の形態 2.
図5は実施の形態2に係る複数の平行二線ユニット1の模式的な平面図である。図5におけるコネクタ34の図示は省略してある。
【0044】
実施の形態1の平行二線ユニット1において、平行二線路31を構成する導電体311は直線状をなす。図5Aには、直線状の導電体311で構成された直線状の平行二線路31を備える平行二線ユニット1と、L字状の導電体311で構成されたL字状の平行二線路31を備える平行二線ユニット1との組み合わせが示されている。L字状の導電体311は、前後方向に直線状に延びる部分と左右方向に延びる部分とを一体に有する。
一方、図5Bには、直線状の導電体311で構成された直線状の平行二線路31を備える平行二線ユニット1と、弧状(更に詳細には四半円弧状)の導電体311で構成された弧状の平行二線路31を備える平行二線ユニット1との組み合わせが示されている。
【0045】
以上のような平行二線ユニット1によれば、移動体6の直線経路に、直線状の平行二線路31が埋設されたマット21を敷くことができる。また、移動体6の曲線経路に、弧状の平行二線路31が埋設されたマット21を敷くことができる。更に、例えば互いに直交する方向に延びる直線経路同士を結ぶコーナー経路に、弧状又はL字状の平行二線路31が埋設されたマット21を敷くことができる。以上の結果、走行経路の形状を問わずに平行二線ユニット1を利用した非接触給電を行なうことができる。
なお、導電体311の形状は直線状、L字状、及び弧状に限定されず、V字状又はU字状等でもよい。
【0046】
互いに隣り合う複数の平行二線ユニット1を走行経路の全長にわたって敷設することにより、移動体6のコイル53に常に給電することができるので、移動体6のバッテリ62の省略又は小型化を図ることができる。
マット21の上面には平行二線路31の埋設位置又は形状が表示されており、目視で平行二線路31の埋設位置又は形状を確認できることが望ましい。
平行二線路31の形状は平行二線路31の端面に表示されてもよい。この場合、マット21をロール状に巻き取った状態でも、異なる種類の平行二線ユニット1同士を目視にて容易に識別することができる。
【0047】
隣り合う平行二線ユニット1同士の位置ずれ又は離隔等を防止するために、例えば各平行二線ユニット1のマット21がジョイントマットとして構成されている。マット21の四辺部の内、少なくとも走行経路の上流側に配される一辺部及び下流側に配される他辺部には、凹凸が互いに対応するジョイント部が設けられている。ジョイント部の凹状部分及び凸状部分夫々の形状は、半小判型、台形、又は卵形等である。一の平行二線ユニット1のマット21に設けられた下流側のジョイント部に、他の平行二線ユニット1のマット21に設けられた上流側のジョイント部を係合させることにより、隣り合うマット21同士を密着させて互いに固定することができる。隣り合うマット21同士の密着により、これらの境界部分を乗り越える際の移動体6の振動を防止することができる。
【0048】
実施の形態 3.
図6は実施の形態3に係る平行二線ユニット1の模式的な平面図である。
実施の形態1の平行二線ユニット1は1つの平行二線路31を備える。本実施の形態の平行二線ユニット1は2つの平行二線路31を備える。
4本の導電体311は互いに平行である。一方の平行二線路31を構成している2本の導電体311は、他方の平行二線路31を構成している2本の導電体311の間に配されている。
コネクタ34は4本の導電体311に対応する4つの接続ピン341を内蔵している。
【0049】
以下では、各平行二線路31を構成している2本の導電体311の内、一方を第1の導電体311といい、他方を第2の導電体311という。外側の平行二線路31の第1(第2)の導電体311は、内側の平行二線路31の第1(第2)の導電体311の外側に隣り合っている。
【0050】
図7は平行二線路31同士の接続を説明する模式図である。
図7Aに示す送電ユニット51も図7Bに示す送電ユニット51も平行二線ユニット1が備えるコネクタ34に着脱可能に接続されている(図6参照)。送電ユニット51の電源部511には2つの接続端子512,513が設けられている。接続端子512,513の一方は接地側端子であり、他方は電圧側端子である。
【0051】
図7Aに示す送電ユニット51においては、電源部511の接続端子512に、外側の平行二線路31の第1の導電体311が給電線33及び接続ピン341を介して接続されている。電源部511の接続端子513には、内側の平行二線路31の第2の導電体311が給電線33及び接続ピン341を介して接続されている。外側の平行二線路31の第2の導電体311及び内側の平行二線路31の第1の導電体311夫々は、給電線33及び接続ピン341を介し、送電ユニット51の内部にて電気的に接続されている。つまり、図7Aに示す2つの平行二線路31は、互いに直列に接続されている。
【0052】
図7Bに示す送電ユニット51においては、電源部511の接続端子512に、外側の平行二線路31の第1の導電体311及び内側の平行二線路31の第1の導電体311夫々が給電線33及び接続ピン341を介して接続されている。電源部511の接続端子513には、外側の平行二線路31の第2の導電体311及び内側の平行二線路31の第2の導電体311夫々が給電線33及び接続ピン341を介して接続されている。つまり、図7Bに示す2つの平行二線路31は、互いに並列に接続されている。
【0053】
構成が共通化された2つの平行二線ユニット1の内、一方に図7Aに示す送電ユニット51を接続し、他方に図7Bに示す送電ユニット51を接続する。すると、一方の平行二線ユニット1が備える2つの平行二線路31を直列に接続することができ、他方の平行二線ユニット1が備える2つの平行二線路31を並列に接続することができる。
図7Aに示す送電ユニット51と図7Bに示す送電ユニット51との交換により、同一の平行二線ユニット1が備える2つの平行二線路31を直列に接続したり並列に接続したりすることができる。
【0054】
本実施の形態において、平行二線ユニット1が備える平行二線路31の個数はN個(NはN≧2の自然数)であればよい。平行二線ユニット1が3つの平行二線路31を備える場合、図6に示す平行二線ユニット1における内側の平行二線路31の更に内側(又は外側の平行二線路31の更に外側)に3つ目の平行二線路31が配される。マット21の内部に3組6本の導電体311が存在するので、コネクタ34は6つの接続ピン341を内蔵する。なお、各平行二線路31の形状は直線状に限定されず、L字状又は弧状等でもい。
【0055】
互いに直列に接続されているN個の平行二線路31は、N回巻きのコイルのように振る舞う。故に、平行二線路31を中心に生じる磁界を強めることができ、N個の平行二線路31とコイル53との磁気的な結合を向上させることができる。従って、コイル53への送電効率を向上させることができると共に、平行二線路31からの送電距離を伸ばすことができる。
【0056】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 平行二線ユニット; 21 マット; 31 平行二線路; 311 導電体; 32 接続線(導電体); 34 コネクタ; 52 受電ユニット(受電装置); 53 コイル(受電装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7