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特開2023-73848出荷後の製品の管理を支援するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073848
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】出荷後の製品の管理を支援するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0833 20230101AFI20230519BHJP
   G01S 19/48 20100101ALI20230519BHJP
【FI】
G06Q10/08 306
G01S19/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186566
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】苗村 万紀子
(72)【発明者】
【氏名】小檜山 智久
(72)【発明者】
【氏名】伊与泉 彰
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄介
【テーマコード(参考)】
5J062
5L049
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062CC07
5J062CC12
5J062FF01
5J062HH05
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】収集された位置データセットを基に出荷後の製品のユーザを管理者が正確に推定することを支援する製品管理支援システム、製品管理支援方法を提供する。
【解決手段】システムは、製品11と、それら製品11を管理する製品管理支援システム13と、製品管理支援システム13と通信する管理者端末12と、を含む。製品管理支援システム13は、インターフェース装置131、記憶装置132及びそれらに接続されたプロセッサ133を備え、管理者端末12からのリクエストに応答して処理を行いその処理の結果としての情報を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出荷された製品の第一の測位位置を表す第一の位置データセットを第一の頻度で受信し、前記製品の第二の測位位置を表す第二の位置データセットを第二の頻度で受信するシステム通信部と、
N個の第一の位置データセットに基づくn個の第一の位置をそれぞれ表すn個の第一の位置表示オブジェクトと、M個の第二の位置データセットに基づくm個の第二の位置をそれぞれ表すm個の第二の位置表示オブジェクトとの少なくとも一つを地図上に表示する表示制御部と
を備え、
前記第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、下記の(A)又は(B)であり、
(A)前記第一の測位位置は、衛星からの信号に基づくGNSS(Global Navigation Satellite System)位置測位である単独測位により測位された位置であり、前記第二の測位位置は、基地局との無線通信に基づく位置測位である基地局測位により測位された位置である、
(B)前記第一の測位位置と前記第二の測位位置はいずれも衛星からの信号に基づく位置測位により測位された位置であるが、前記第一の測位位置の位置測位の基になる衛星の数と前記第二の測位位置の位置測位の基になる衛星の数は異なっており、
前記n個の第一の位置表示オブジェクトと前記m個の第二の位置表示オブジェクトとの表示態様は異なっている、
製品管理支援システム。
【請求項2】
前記第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、(A)であり、
前記第二の頻度は、前記第一の頻度より小さく、
第一の位置は、単独測位位置と一つ以上の単独測位位置に基づき決定された位置とのいずれかであり、
第二の位置は、基地局測位位置と一つ以上の基地局測位位置に基づき決定された位置とのいずれかである、
請求項1に記載の製品管理支援システム。
【請求項3】
前記第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、(A)であり、
前記N個の第一の位置データセットは、単独測位に成功した第一の位置データセットのうち時刻が新しい上位N個の第一の位置データセットであり(Nは自然数)、
前記M個の第二の位置データセットは、前記N個の第一の位置データセットに対応した時刻範囲に時刻が属するM個の第二の位置データセットであり、Mは、N未満0以上の整数である、
請求項1に記載の製品管理支援システム。
【請求項4】
前記第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、(A)であり、
前記表示制御部が、
前記n個の第一の位置表示オブジェクトの各々について、当該第一の位置表示オブジェクトの表示態様を、当該第一の位置表示オブジェクトに関連した第一の位置データセットが表す単独測位位置の精度に応じた表示態様とする、
請求項1に記載の製品管理支援システム。
【請求項5】
単独測位位置の精度は、当該単独測位位置の測位の基になった衛星の数である、
請求項4に記載の製品管理支援システム。
【請求項6】
前記第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、(A)であり、
前記システム通信部は、前記製品から前記第一の頻度でパケットを受信し、
各パケットが、前記製品の稼働状況を表す稼働データセットと、単独測位位置を表す第一の位置データセットとを含む、
請求項1に記載の製品管理支援システム。
【請求項7】
前記第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、(A)であり、
前記システム通信部が、前記製品に第二の頻度で基地局測位のリクエストを送信し、当該リクエストに応答して第二の位置データセットを受信する、
請求項1に記載の製品管理支援システム。
【請求項8】
前記表示制御部が、
前記n個の第一の位置と前記m個の第二の位置との少なくとも一つを基に、範囲を決定し、
当該範囲を表す表示オブジェクトを、前記地図上に表示する、
請求項1に記載の製品管理支援システム。
【請求項9】
前記n個の第一の位置と前記m個の第二の位置との少なくとも一つを基に前記製品の高度とその精度とを推定し、前記製品の最適な運転制御のための制御情報を当該推定された高度及びその精度を基に決定する最適運転決定部を更に備え、
前記システム通信部が、当該決定された制御情報を前記製品に送信する、
請求項1に記載の製品管理支援システム。
【請求項10】
出荷された製品と、
当該製品を管理する製品管理支援システムと
を備え、
前記製品管理支援システムは、
前記製品の第一の測位位置を表す第一の位置データセットを第一の頻度で受信し、
前記製品の第二の測位位置を表す第二の位置データセットを第二の頻度で受信し、
N個の第一の位置データセットに基づくn個の第一の位置をそれぞれ表すn個の第一の位置表示オブジェクトと、M個の第二の位置データセットに基づくm個の第二の位置をそれぞれ表すm個の第二の位置表示オブジェクトとの少なくとも一つを地図上に表示し、
前記第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、下記の(A)又は(B)であり、
(A)前記第一の測位位置は、衛星からの信号に基づくGNSS(Global Navigation Satellite System)位置測位である単独測位により測位された位置であり、前記第二の測位位置は、基地局との無線通信に基づく位置測位である基地局測位により測位された位置である、
(B)前記第一の測位位置と前記第二の測位位置はいずれも衛星からの信号に基づく位置測位により測位された位置であるが、前記第一の測位位置の位置測位の基になる衛星の数と前記第二の測位位置の位置測位の基になる衛星の数は異なっており、
前記n個の第一の位置表示オブジェクトと前記m個の第二の位置表示オブジェクトとの表示態様は異なっている、
システム。
【請求項11】
コンピュータが、出荷された製品の第一の測位位置を表す第一の位置データセットを第一の頻度で受信し、
コンピュータが、前記製品の第二の測位位置を表す第二の位置データセットを第二の頻度で受信し、
コンピュータが、N個の第一の位置データセットに基づくn個の第一の位置をそれぞれ表すn個の第一の位置表示オブジェクトと、M個の第二の位置データセットに基づくm個の第二の位置をそれぞれ表すm個の第二の位置表示オブジェクトとの少なくとも一つを地図上に表示し、
前記第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、下記の(A)又は(B)であり、
(A)前記第一の測位位置は、衛星からの信号に基づくGNSS(Global Navigation Satellite System)位置測位である単独測位により測位された位置であり、前記第二の測位位置は、基地局との無線通信に基づく位置測位である基地局測位により測位された位置である、
(B)前記第一の測位位置と前記第二の測位位置はいずれも衛星からの信号に基づく位置測位により測位された位置であるが、前記第一の測位位置の位置測位の基になる衛星の数と前記第二の測位位置の位置測位の基になる衛星の数は異なっており、
前記n個の第一の位置表示オブジェクトと前記m個の第二の位置表示オブジェクトとの表示態様は異なっている、
製品管理支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、出荷後の製品の管理を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
出荷後の製品の管理のために、サーバシステムが製品から稼働データを収集することが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-121052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、出荷後の製品の管理のためには、当該製品のユーザ(例えば、所有者、貸与者又は借用者)に関する情報(例えば、ユーザ名)がサーバシステムに登録される。これにより、製品のユーザが特定され、特定されたユーザに対して適切なサービス(例えば、メンテナンスサービス)を提供することができる。
【0005】
しかし、出荷後の製品のユーザに関する情報が必ずしも積極的に登録されるとは限らない。
【0006】
また、製品の出荷先が必ずしも製品のユーザであるとは限られない。例えば、或るエンティティが製品出荷元から多くの製品を購入して在庫として管理し、当該エンティティが、様々な顧客に当該製品を販売することがあり得るし、或る顧客により使用された製品が中古品として別の者へ販売されることもあり得る。このようなケースでは、製品についてユーザに関する情報が登録された後に当該製品のユーザが変わっていることがあり得るし、製品の最終の販売先のユーザによって当該ユーザに関する情報がサーバシステムに登録されるとは限らない。
【0007】
このような理由から、適切な管理が困難な製品があり得る。
【0008】
この課題を解決する一つの方法として、位置を測位する機能が搭載されている製品から製品の位置を表す位置データセットをサーバシステムが収集し、サーバシステムが、位置データセットが表す製品位置を基に製品のユーザを推定する方法が考えられる。
【0009】
しかし、測位される位置の精度は必ずしも高くない。
【0010】
具体的には、例えば、位置測位として、単独測位と、基地局測位とがある。単独測位は、衛星(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星)からの信号に基づくGNSS(Global Navigation Satellite System)位置測位である。基地局測位は、基地局との無線通信に基づく位置測位である。単独測位の精度は高いが、衛星信号(衛星からの信号)を良好に受信できない環境(例えば、屋内や地下)では単独測位に失敗する(例えば、精度が低い又は位置測位ができない)可能性が高い。一方、製品が基地局の通信エリアに存在すれば基地局測位が可能であるが、基地局測位の精度は単独測位の精度よりも低い。なお、ここで言う「基地局」は、キャリア網における基地局であるが、そのような基地局に限らないでよい(例えば、基地局は、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントでもよい)。また、「基地局測位」は、例えば、A-GPS(Assisted-GPS)である。
【0011】
また、単独測位の精度は、単独測位の基になった衛星の数によっても異なる。これは、単独測位に限らず、衛星からの信号に基づく他種の位置測位についても同様である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
システムが、出荷された製品の第一の測位位置を表す第一の位置データセットを第一の頻度で受信し、当該製品の第二の測位位置を表す第二の位置データセットを第二の頻度で受信する。システムが、N個の第一の位置データセットに基づくn個の第一の位置をそれぞれ表すn個の第一の位置表示オブジェクトと、M個の第二の位置データセットに基づくm個の第二の位置をそれぞれ表すm個の第二の位置表示オブジェクトとの少なくとも一つを地図上に表示する。n個の第一の位置表示オブジェクトとm個の第二の位置表示オブジェクトとの表示態様は異なっている。第一の測位位置及び前記第二の測位位置は、下記の(A)又は(B)である。
(A)第一の測位位置は、衛星からの信号に基づくGNSS(Global Navigation Satellite System)位置測位である単独測位により測位された位置であり、第二の測位位置は、基地局との無線通信に基づく位置測位である基地局測位により測位された位置である。
(B)第一の測位位置と第二の測位位置はいずれも衛星からの信号に基づく位置測位により測位された位置であるが、第一の測位位置の位置測位の基になる衛星の数と第二の測位位置の位置測位の基になる衛星の数は異なっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収集された位置データセットを基に出荷後の製品のユーザを管理者が正確に推定することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るシステム全体の構成例を示す。
図2】製品及び製品管理支援システムの機能構成例を示す。
図3】単独測位データの構成例を示す。
図4】基地局測位データの構成例を示す。
図5】稼働データの構成例を示す。
図6】製品管理データの構成例を示す。
図7】出荷された製品11について行われる処理全体の流れの一例を示す。
図8】単独測位処理の流れの一例を示す。
図9】基地局測位処理の流れの一例を示す。
図10】稼働データセット送信処理の流れの一例を示す。
図11】製品管理支援処理の流れの一例を示す。
図12】製品位置画面の一例を示す。
図13】製品位置画面の別の一例を示す。
図14】運転最適化処理の流れの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0016】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVMe(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0018】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0019】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0020】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0021】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別する場合は、参照符号を使用することがある。
【0022】
また、以下の説明では、「データセット」とは、アプリケーションプログラムのようなプログラムから見た一つの論理的な電子データの塊であり、例えば、レコード、ファイル、キーバリューペア及びタプル等のうちのいずれでもよい。
【0023】
以下、本発明の一実施形態を説明する。以下の実施形態では、第一の測位位置は、衛星からの信号に基づくGNSS(Global Navigation Satellite System)位置測位である単独測位により測位された位置であり、第二の測位位置は、基地局との無線通信に基づく位置測位である基地局測位により測位された位置である。また、以下の実施形態では、衛星として、GPS衛星が採用されているが、位置測位に利用される衛星は、GPS衛星以外の衛星でもよい。
【0024】
図1は、実施形態に係るシステム全体の構成例を示す。
【0025】
それぞれ出荷された複数(又は一つ)の製品11と、それら製品11を管理する製品管理支援システム13と、製品管理支援システム13と通信する管理者端末12とがある。本実施形態では、製品11は、圧縮機のような産業機械でよいが、管理対象の製品11は、産業機械以外の装置(例えば、稼働に電源の投入が必要な装置)でもよいし、装置以外の製品でもよい。
【0026】
製品11は、運転対象111、電源112、GPSモジュール113、センサ群114、インターフェース装置115、記憶装置116及びそれらに接続されたプロセッサ117を備える。また、製品11は、インターフェース装置115に接続されたUI(User Interface)装置118を備える。運転対象111以外の要素112~118の少なくとも一部は、製品11に内蔵されていてもよいし、製品11に外付けされてもよい。例えば、要素112~118を備える一つ又は複数のモジュールが製品11に取り付けられてもよい。具体的には、例えば、製品11に、携帯通信端末が備えられていて、携帯通信端末が、GPSモジュール113としての機能や、UI装置118を備えていてもよい。
【0027】
運転対象111は、製品11の稼働のための運転がされる対象(例えば、モーターのような種々の機器を含む)である。運転対象111が、プロセッサ117の少なくとも一部を含んでもよい。
【0028】
電源112は、製品11における種々の電力を供給する。電源112は、商用電源に接続される電源回路でもよいし電池でもよい。
【0029】
GPSモジュール113は、GPS衛星150からのGPS信号を受信するモジュールである。
【0030】
センサ群114は、一つ又は複数のセンサである。各センサは、温度センサ、ロータリエンコーダ等の任意のセンサでよい。
【0031】
インターフェース装置115は、通信ネットワーク160を介した無線通信のためのインターフェースデバイスと、UI装置118に対するインターフェースデバイスとを含む。記憶装置116は、プロセッサ117に実行されるコンピュータプログラム、及び、プロセッサ117に参照又は更新されるデータを格納する。プロセッサ117は、記憶装置116に記憶されたコンピュータプログラムを実行する。
【0032】
UI装置118は、ユーザから何らかの入力を受け付けたりユーザに対して何らかの出力を提供したりする一つ又は複数の入出力デバイス(例えば、タッチパネル、ボタン、LED、マイク及びスピーカーのうちの少なくとも一つ)である。
【0033】
製品管理支援システム13は、インターフェース装置131、記憶装置132及びそれらに接続されたプロセッサ133を備える。インターフェース装置131は、通信ネットワーク160を介した通信のための装置である。記憶装置132は、プロセッサ133に実行されるコンピュータプログラム、及び、プロセッサ133に参照又は更新されるデータを格納する。プロセッサ133は、記憶装置132に記憶されたコンピュータプログラムを実行する。製品管理支援システム13は、本実施形態では、一つ以上の物理的な計算機で構成された物理的な計算機システムであるが、物理的な計算機システムに代えて、物理的な計算機システム(例えばクラウド基盤)に基づく論理的な計算機システム(例えば、クラウドコンピューティングサービス)でもよい。製品管理支援システム13は、管理者端末12に情報を表示する(管理者端末12に表示される情報を提供する)。また、製品管理支援システム13(サーバ)は、管理者端末12(クライアント)からのリクエストに応答して処理を行いその処理の結果としての情報を提供する。
【0034】
管理者端末12は、パーソナルコンピュータやスマートフォンのような情報処理端末である。管理者端末12は、製品管理支援システム13からの情報を表示したり、管理者14による操作に従いリクエストを製品管理支援システム13に送信したりする。
【0035】
図2は、製品11及び製品管理支援システム13の機能構成例を示す。
【0036】
通信ネットワーク160は、基地局(例えば、通信キャリアが提供する基地局と、無線LANのアクセスポイント)を末端とするネットワーク(例えば、携帯電話ネットワーク、又は、無線LAN)を含む。製品11は、通信ネットワーク160を通じて製品管理支援システム13と双方向(又は単方向)での通信が可能である。
【0037】
製品11は、単独測位部211、基地局測位部212、稼働状況検出部213、製品通信部214、UI制御部215及び運転制御部216を備える。これらの機能の少なくとも一部は、製品11に内蔵されてもよいし、製品11に外付けされた一つ又は複数のモジュールに備えられてもよい。また、製品11の記憶装置116に、単独測位データ221、基地局測位データ222及び稼働データ223が格納される。
【0038】
単独測位部211は、単独測位を行う。すなわち、単独測位部211は、GPS衛星150からのGPS信号に基づき、既知のGPS測位方法を利用して製品11の位置を測位する。単独測位部211は、当該測位された位置(単独測位位置)を表す位置データセットである第一の位置データセットを、単独測位データ221に格納する。単独測位データ221は、図3に例示するように、第一の位置データセット毎にレコードがあり、各レコードは、第一の位置データセットが有する情報を含む。例えば、各レコードは、時刻(単独測位がされた時刻)、値(単独測位位置を表す値(例えば、緯度、経度及び高度))、衛星数(単独測位の基になったGPS衛星の数)及びステータス(単独測位が成功か失敗か)といった情報を含む。なお、単独測位部211は、GPSモジュール113に実現されてもよいし、或いは、GPSモジュール113がGPSアンテナであって、プロセッサ117が、GPSアンテナに受信されたGPS信号を基に単独測位を行う単独測位部211として機能してもよい。単独測位は、製品管理支援システム13からのリクエストに応答して行われてもよいし、自発的に行われてもよい。
【0039】
基地局測位部212は、基地局測位を行う。すなわち、基地局測位部212は、基地局との無線通信に基づき位置を測位してよい。具体的には、例えば、基地局測位部212は、例えば通信キャリアのサーバから基地局通じて受信した衛星軌道データと、GPS衛星150からの時刻信号とを基に、位置を測位してよい。当該位置測位は、基地局からの信号の受信強度に基づいてよい。基地局測位部212は、このような基地局測位により測位された位置(基地局測位位置)を表す位置データセットである第二の位置データセットを、基地局測位データ222に格納する。基地局測位データ222は、図4に例示するように、第二の位置データセット毎にレコードを有し、各レコードは、第二の位置データセットが有する情報を含む。例えば、各レコードは、時刻(基地局測位がされた時刻)、値(基地局測位位置を表す値)、衛星数及びステータス(基地局測位が成功か失敗か)といった情報を含む。基地局測位の頻度は、単独測位の頻度よりも少ない(例えば、基地局測位は任意タイミングで行われ、基地局測位の実行間隔の平均値は、単独測位の実行間隔の平均値(例えば、単独測位の周期)よりも長い)。基地局測位は、製品管理支援システム13からのリクエストに応答して行われてもよいし、自発的に行われてもよい。なお、基地局測位は(少なくとも基地局測位位置を表す第二の位置データセットの製品管理支援システム13への送信は)、ユーザにより基地局測位の承認(許可)が一旦得られた後に行われてよい。また、単独測位と基地局測位とを比較した場合、基地局測位には多くの通信量が発生する。位置測位のために通信キャリアのサーバとの通信が必要なためである。
【0040】
稼働状況検出部213は、センサ群114におけるセンサからのデータセットである稼働データセットを稼働データ223に格納する。稼働データ223は、図5に例示するように、稼働データセット毎にレコードを有し、各レコードは、稼働データセットが有する情報を含む。例えば、各レコードは、時刻(センサにより測定がされた時刻)、値(センサにより測定された値)及び種別(センサにより取得された値の種別)といった情報を含む。
【0041】
製品通信部214は、第一の頻度(例えば第一の周期で)、単独測位部211からの第一の位置データセット(例えば、単独測位データ221から取得された第一の位置データセット)を製品管理支援システム13に送信する。また、製品通信部214は、第二の頻度(例えば第二の周期で)、基地局測位部212からの第二の位置データセット(例えば、基地局測位データ222から取得された第二の位置データセット)を製品管理支援システム13に送信する。第二の頻度は、第一の頻度より小さい。
【0042】
なお、製品通信部214は、第一の頻度で、パケットを製品管理支援システム13に送信する。パケットは、製品管理支援システム13からのリクエストに応答して送信されてもよいし、自発的に(製品管理支援システム13からのリクエスト無しに)送信されてもよい。パケットは、前回のパケット送信から今回のパケット送信までに稼働状況検出部213により取得された(つまりパケット送信周期において取得された)少なくとも一つの稼働データセット(例えば、稼働データ223から取得された稼働データセット)を含んだデータでよく、第一の頻度で製品管理支援システム13に収集されるデータでよい。パケットの空きに、パケット送信周期において取得された単独測位部211により取得された少なくとも一つの第一の位置データセット(例えば、単独測位データ221から取得された第一の位置データセット)が含まれる。パケット送信周期と単独測位周期は同じでなくてもよいが、本実施形態では、パケット送信周期と単独測位周期は同じである。
【0043】
また、製品通信部214から送信されるデータには、製品ID(製品11それ自体のID、又は、製品11の識別情報に相当する情報(例えば、製品の識別情報に1:1で対応する情報))が関連付けられる。製品管理支援システム13は、製品通信部214からのデータから製品IDを特定することができる。
【0044】
UI制御部215は、UI装置118を制御する。例えば、UI制御部215は、UI装置118の少なくとも一部としてのタッチパネルの表示を制御する。
【0045】
運転制御部216は、運転対象111の運転を制御する。
【0046】
製品管理支援システム13は、システム通信部231、表示制御部232及び最適運転決定部233を備える。また、製品管理支援システム13の記憶装置132に、製品管理データ241及び地図データ242が格納される。なお、地図データ242は、製品管理支援システム13の外部のサイトが提供する地図データでよい。
【0047】
システム通信部231は、通信ネットワーク160を介して製品11の製品通信部214との間でのデータの送受信を行う。例えば、システム通信部231は、製品通信部214からパケット(第一の位置データセットと稼働データセットを含んだパケット)及び第二の位置データセットを受信し、受信したデータセットを製品管理データ241に格納する。製品管理データ241は、図6に例示するように、パケット又は第二の位置データセット毎にレコードを有し、各レコードは、受信したパケット又は第二の位置データセットが有する情報を含む。例えば、各レコードは、製品ID(パケット又は第二の位置データセットから特定された製品ID)、時刻(パケット又は第二の位置データセットの受信時刻、又は、受信したパケット又は第二の位置データセットから特定された時刻)、単独測位情報(例えば、一つのパケットに含まれている一つ以上の第一の位置データセットがそれぞれ有する全て又は一部の情報(例えば、単独測位位置、ステータス及び衛星数))、基地局測位情報(例えば、第二の位置データセットが有する全て又は一部の情報(例えば、基地局測位位置及びステータス)、及び、稼働情報(例えば、一つのパケットに含まれている一つ以上の稼働データセットがそれぞれ有する全て又は一部の情報(例えば、測定値及び種別))といった情報を含む。
【0048】
表示制御部232は、N個の第一の位置データセットに基づくn個の第一の位置をそれぞれ表すn個の第一の位置表示オブジェクトと、M個の第二の位置データセットに基づくm個の第二の位置をそれぞれ表すm個の第二の位置表示オブジェクトとの少なくとも一つを地図上に表示する。地図の表示先は、本実施形態では管理者端末12であるが、管理者端末12以外の装置が表示先でもよい。例えば、製品管理支援システム13が情報処理端末(例えば、製品管理支援システム13と管理者端末12が一体)の場合、表示先は、当該情報処理端末が有する表示デバイスでもよい。表示される地図は、地図データ242に基づく。例えば、地図データ242に基づく地図の画像のうち、第一の位置に該当する位置に第一の位置表示オブジェクトが表示され、当該地図の画像のうち第二の位置に該当する位置に第二の位置表示オブジェクトが表示される。
【0049】
「第一の位置」は、単独測位位置と一つ以上の単独測位位置に基づき表示制御部232により決定された位置とのいずれかでよい。「第二の位置」は、基地局測位位置と一つ以上の基地局測位位置に基づき表示制御部232により決定された位置とのいずれかでよい。本実施形態では、N=nであり、第一の位置は、第一の位置データセットが表す単独測位位置でよく、また、M=mであり、第二の位置は、第二の位置データセットが表す基地局測位位置でよい。
【0050】
N、n、M及びmは、それぞれ0以上の整数である。N、n、M及びmのそれぞれの値は、表示対象に関する条件によって異なる。例えば、条件が、期間であって、表示対象の期間に属する時刻について測位に成功した位置を表す第一の位置データセットも第二の位置データセットも無い場合、N=n=0、且つ、M=m=0である。条件が、単独測位に成功した第一の位置データセットのうち単独測位時刻が新しい上位N個の第一の位置データセットである場合、N=n≧1であり、M個の第二の位置データセットは、当該N個の第一の位置データセットに対応した時刻範囲(表示対象の期間)に時刻が属するM個の第二の位置データセットであり、N>M≧0である。単独測位位置と基地局測位位置について表示対象の期間が同じ場合、典型的には、n>mである。基地局測位に比べて単独測位の周期は短く、故に、基地局測位位置に比べて単独測位位置が多いためである。
【0051】
最適運転決定部233は、製品11の最適な運転制御のための制御情報を決定する。当該決定された制御情報は、システム通信部231により当該製品11に送信される。製品11において、運転制御部216が、当該制御情報を基に、運転対象111を制御する。
【0052】
以下、本実施形態で行われる処理の例を説明する。
【0053】
図7は、出荷された製品11について行われる処理全体の流れの一例を示す。
【0054】
出荷された製品11は、当該製品11の使用位置において、当該製品11の電源112が投入される(S701)。結果、製品11の稼働が開始し(S702)、製品11と製品管理支援システム13との通信(例えば定期通信)が開始される。
【0055】
製品11のUI制御部215が、基地局測位を承認するか否かの問合せを、UI装置118を通じて出力(例えば表示又は音声出力)する(S703)。この問合せは、製品管理支援システム13のシステム通信部231から製品通信部214及びUI制御部215を通じてされてもよい。この問合せに対する回答は、ユーザにより入力される。
【0056】
S703の問合せに対する回答が承認の場合(S703:YES)、承認後処理がされる(S704)。承認後処理は、第一の周期での単独測位に加えて、第二の周期での基地局測位を含む。また、承認後処理は、承認がされたことの通知(及び当該製品の製品ID)を製品11から製品管理支援システム13に送信することを含む。この通知を受けた場合に、製品管理支援システム13のシステム通信部231が、第二の周期で基地局測位のリクエストを当該製品11に送信するようになる。製品管理データ241において、当該製品11に対応したレコードに、製品11の状況(電源投入されたか否か、基地局測位の承認がされたか否か)を表す情報が含まれてよく、その情報を基に、出荷された製品11の状況を製品管理支援システム13が把握してもよい。
【0057】
一方、S703の問合せに対する回答が否認の場合(S703:NO)、否認後処理がされる(S705)。否認後処理は、少なくとも第二の周期での基地局測位を含まない。
【0058】
以下、承認後処理において行われる処理を説明する。なお、S703~S705によれば、基地局測位の承認又は否認は、UI装置118を介して入力されるが、他種の方法で製品管理支援システム13に入力されてもよい(例えば、紙を利用した方法又はその他の方法で所定の契約がされ、その契約に従う設定が製品管理支援システム13に対してされてもよい)。
【0059】
図8は、製品11による単独測位処理の流れの一例を示す。
【0060】
単独測位部211は、直前回の単独測位から単独測位周期(所定の周期)が経過した場合(S801:YES)、単独測位を行い(S802)、第一の位置データセットを単独測位データ221に格納する(S803)。
【0061】
図9は、製品11による基地局測位処理の流れの一例を示す。
【0062】
単独測位は周期的に行われるが(単独測位は製品11の任意のタイミングで行われてもよい)、基地局測位は製品管理支援システム13の任意のタイミングで行われる(基地局測位は、単独測位の周期よりも長い周期で行われてもよいし、製品11の任意のタイミングで行われてもよい)。具体的には、製品管理支援システム13のシステム通信部231が任意のタイミングで基地局測位のリクエストを送信するようになっている。基地局測位部212は、製品通信部214を介して当該リクエストを受信した場合に(S901:YES)、基地局測位を行い(S902)、第二の位置データセットを基地局測位データ222に格納する(S903)。製品通信部214が、当該第二の位置データセットを製品管理支援システム13に送信する。製品管理支援システム13のシステム通信部231が、第二の位置データセットを受信し、製品管理データ241に格納する。
【0063】
図10は、製品11による稼働データセット送信処理の流れの一例を示す。
【0064】
図示しない処理流れにより、稼働データ223に稼働データセットが蓄積される。製品通信部214が、第一の周期での送信対象のパケットを直前回に送信してから第一の周期が経過した場合(S1001:YES)、パケットを生成し(S1002)、当該パケットを製品管理支援システム13に送信する(S1003)。当該パケットには、今回の第一の周期(直前回のパケット生成から今回のパケット生成まで)において取得された稼働データセット及び第一の位置データセットが含まれる。システム通信部231が、当該パケットを受信し、当該パケット内の稼働データセット及び第一の位置データセットを製品管理データ241に格納する。
【0065】
以上のように、稼働データセットは、例えば周期的に製品管理支援システム13に送信される。その周期は、単独測位の周期と同じでも異なっていてもよいが、本実施形態では、第一の位置データセットが稼働データセットと共に送信される。
【0066】
図11は、製品管理支援システム13による製品管理支援処理の流れの一例を示す。
【0067】
この処理は、例えば、製品位置画面の表示のリクエストを管理者端末12から表示制御部232が受けた場合に当該リクエストに応答して行われてよい。当該リクエストでは、表示に関する条件である表示条件(例えば、期間、地域又は製品ID)が指定されてよい。例えば、表示制御部232が、製品の一例としての圧縮機のID(例えば個体番号)を指定したリクエストを管理者端末12から受け、当該圧縮機について、S1101以降の処理を行うことができる。
【0068】
表示制御部232は、表示条件に該当するN個の第一の位置データセットを製品管理データ241から特定し、当該N個の第一の位置データセットに基づくn個の第一の位置を決定する(S1101)。
【0069】
表示制御部232は、表示条件に該当するM個の第二の位置データセットを製品管理データ241から特定し、当該M個の第一の位置データセットに基づくm個の第二の位置を決定する(S1102)。
【0070】
表示制御部232は、n個の第一の位置にそれぞれ対応したn個の第一の位置表示オブジェクトの各々の表示態様を決定し、且つ、m個の第二の位置にそれぞれ対応したm個の第二の位置表示オブジェクトの各々の表示態様を決定する。(S1103)。
【0071】
表示制御部232は、n個の第一の位置表示オブジェクトとm個の第二の位置表示オブジェクトを地図(地図画像)上に配置し、それらの位置表示オブジェクトが配置された地図を管理者端末12に表示する(S1104)。
【0072】
図12は、S1104の結果として管理者端末12に表示される製品位置画面の一例を示す。
【0073】
製品位置画面1200は、典型的にはGUI(Graphical User Interface)である。製品位置画面1200は、地図UI1210と、精度指標UI1203とを表示する。
【0074】
図UI1210は、地図データ242に基づく地図と、当該地図上に配置された第一の位置表示オブジェクト1201及び第二の位置表示オブジェクト1202とを有する。位置表示オブジェクト1201及び1202は、いずれも、地図における、当該位置表示オブジェクトに対応した位置(第一の位置又は第二の位置)に配置される。本実施形態では、第一の位置表示オブジェクト1201も第二の位置表示オブジェクト1202も図形である。
【0075】
位置が第一の位置であるか第二の位置であるかに応じて、当該位置に対応した位置表示オブジェクトの表示態様(例えば形状)が異なる。また、各第一の位置について、当該第一の位置の精度に応じて、第一の位置表示オブジェクト1201の表示態様(例えば色の濃さ)が異なる。第一の位置の精度の指標は、例えば単独測位の基になったGPS衛星の数である。
【0076】
精度指標UI1203は、位置の精度と、当該位置に対応した位置表示オブジェクトの表示態様との関係を表す。図12が示す例によれば、精度指標UI1203は、所定の方向(例えば水平方向)に延びた矩形のバーであり、衛星数が多い程に第一の位置表示オブジェクトの色が濃いことを表す。
【0077】
図12が示す例によれば、対象製品(例えば、管理者により指定された製品)について第一の位置及び第二の位置が表示されている。管理者14は、対象製品のユーザは現在「Aプレス」であると推定できる。色が濃い比較的多くの第一の位置表示オブジェクト1201が「Aプレス」の敷地に配置されており、且つ、第二の位置表示オブジェクト1202も「Aプレス」の敷地に配置されているためである。
【0078】
なお、位置表示オブジェクトは、図形に代えて又は加えて、図形以外の表示オブジェクト(例えば、テキスト)でもよい。また、位置表示オブジェクトの表示態様は、色の濃さに代えて又は加えて、色の濃さ以外の態様(例えば、色それ自体や透過率といった態様)でもよい。
【0079】
また、N及びnはそれぞれ0以上の整数でよい。例えば、管理者14が製品位置画面の表示をリクエストしてから過去一定期間内に対象製品について一度も単独測位に成功していない場合、N=n=0でよい。
【0080】
また、Nの値は、固定値でもよいし管理者14任意の値でもよい。例えば、管理者14が製品位置画面の表示をリクエストしたときの時刻に近い上位N個の第一の位置データセットに基づくn個の第一の位置が表示対象とされてよい。また、それらの第一の位置データセットはいずれも単独測位に成功の第一の位置データセットでよい。また、Mの値は、そのN個の第一の位置データセットに対応した時刻範囲に属する第二の位置データセットの数でよい。そのような第二の位置データセットが無い場合、M=0である。
【0081】
また、本実施形態では、N=nであるが、N≠nでもよい。例えば、一個の第一の位置データセットを基に複数個の第一の位置が表示制御部232により決定されてよいし、複数個の第一の位置データセットを基に一個の第一の位置が表示制御部232により決定されてよい。同様に、本実施形態では、M=mであるが、M≠mでもよい。例えば、一個の第二の位置データセットを基に複数個の第二の位置が表示制御部232により決定されてよいし、複数個の第二の位置データセットを基に一個の第二の位置が表示制御部232により決定されてよい。
【0082】
また、表示制御部232が、n個の第一の位置とm個の第二の位置との少なくとも一つを基に、範囲を決定し、図13に例示するように、当該範囲を表す表示オブジェクト1300を、地図上に表示してよい。具体的には、例えば、表示制御部232が、n個の第一の位置とm個の第二の位置との少なくとも一つを基に、基点位置を決定し、当該基点位置を基点とした範囲(例えば、当該基点位置を中心とした円)を決定してよい。決定された範囲は、n個の第一の位置(及び、各第一の位置の精度)と、m個の第二の位置とのうちの少なくとも一つから、対象製品が存在し得る最大限の範囲でよい。または、基点位置は、同じ一つの製品についての複数の測位位置とそれぞれの測位時に捕捉できた測位衛星の数や基地局との通信による補正の有無に基づく精度情報を用いて演算した重心として設定されてよく、表示制御部232が、円の半径を、当該基点位置から各測位位置までの平均に設定することができる。表示オブジェクト1300は、図形であるが、図形に代えて又は加えて、図形以外の表示オブジェクトでもよい。図13が示す例によれば、管理者14は、「Aプレス」、「B工業」又は「C製造」も対象製品のユーザである可能性があるが、対象製品のユーザは「Aプレス」である可能性が高いことを推定できる。
【0083】
表示制御部232が、前述の重心を暫定的にその製品の設置位置としてデータベースに記録し、当該重心が、製品の所在情報として活用されてもよい。
【0084】
図14は、製品管理支援システム13による運転最適化処理の流れの一例を示す。
【0085】
この処理は、最適な運転制御の内容(制御情報)が高度に依存する製品11に有用な処理である。
【0086】
具体的には、最適運転決定部233が、当該製品11のn個の第一の位置とm個の第二の位置とのうちの少なくとも一つを基に(例えば、N個の第一の位置データセットがそれぞれ表す単独測位位置の緯度及び軽度と当該単独測位位置の精度とを基に、及び/又は、M個の第二の位置データセットがそれぞれ表す基地局測位位置の緯度及び軽度と当該基地局測位位置の精度とを基に)、当該製品11の高度の精度を推定する(S1401)。例えば、最適運転決定部233は、当該製品11のn個の第一の位置とm個の第二の位置とのうちの少なくとも一つの位置が表す緯度及び経度を用いて地図データ242から高度を特定し、特定された高度と、当該少なくとも一つ位置が表す高度との差を基に、当該特定された高度の精度を推定する。
【0087】
最適運転決定部233が、製品11の最適な運転制御のための制御情報を、当該特定された高度と当該推定された精度とを基に決定する(S1402)。
【0088】
システム通信部231が、当該決定された制御情報を製品11に送信する(S1403)。製品11の製品通信部214が、当該制御情報を受信し、運転制御部216が、当該制御情報に従い運転対象111を制御する。
【0089】
以上の説明を、例えば下記のように総括することができる。なお、下記の総括は、上述の説明の補足や変形例の説明を含んでもよい。
【0090】
製品管理支援システム13は、システム通信部231と表示制御部232とを備える。システム通信部231は、出荷された製品11の第一の測位位置を表す第一の位置データセットを第一の頻度で受信し、当該製品11の第二の測位位置を表す第二の位置データセットを第二の頻度で受信する。表示制御部232は、N個の第一の位置データセットに基づくn個の第一の位置をそれぞれ表すn個の第一の位置表示オブジェクトと、M個の第二の位置データセットに基づくm個の第二の位置をそれぞれ表すm個の第二の位置表示オブジェクトとの少なくとも一つを地図上に表示する。n個の第一の位置表示オブジェクトとm個の第二の位置表示オブジェクトとの表示態様は異なっている。第一の測位位置及び第二の測位位置は、下記の(A)又は(B)である。
(A)第一の測位位置は、衛星からの信号に基づくGNSS(Global Navigation Satellite System)位置測位である単独測位により測位された位置であり、第二の測位位置は、基地局との無線通信に基づく位置測位である基地局測位により測位された位置である。
(B)第一の測位位置と第二の測位位置はいずれも衛星からの信号に基づく位置測位により測位された位置であるが、第一の測位位置の位置測位の基になる衛星の数と第二の測位位置の位置測位の基になる衛星の数は異なっている。
【0091】
これにより、収集された位置データセットを基に出荷後の製品11の現在位置を管理者14が正確に推定し、以って、地図における当該現在位置から製品11のユーザを正確に推定することを支援することができる。なお、第一の位置は、第一の測位位置と一つ以上の第一の測位位置に基づき決定された位置とのいずれかでよい。第二の位置は、第二の測位位置と一つ以上の第二の測位位置に基づき決定された位置とのいずれかでよい。
【0092】
第一の測位位置及び第二の測位位置が上記の(B)の場合、例えば次のことがいえる。すなわち、第一の測位位置及び第二の測位位置のそれぞれの位置測位の種類が同じでも異なっていても(例えばいずれの測位位置も単独測位位置であっても)、測位衛星数が多い位置を相対的に強調するように位置表示オブジェクトを表示することができる。
【0093】
第一の測位位置及び第二の測位位置が上記の(A)の場合、例えば次のことがいえる。すなわち、単独測位の精度は基地局測位の精度より高く、基地局測位は単独測位よりも多くの通信量が必要であり、少なくとも衛星信号を受信しにくい又はできない所定環境(例えば屋内)では単独測位は基地局測位よりも失敗し易い。比較的精度が高く通信量が少ない単独測位により測位された位置が第一の頻度(例えば比較的高頻度)で通知され、比較的精度が低く通信量が多いが所定環境では単独測位より測位に成功し易い基地局測位により測位された位置が第二の頻度(例えば比較的低頻度)で通知される。そして、単独測位位置を表す第一の位置データセットに基づく第一の位置の位置表示オブジェクトと、基地局測位位置を表す第二の位置データセットに基づく第二の位置の位置表示オブジェクトとの表示態様が異なる。これにより、通信量を削減しつつ出荷後の製品11の位置データを適切に収集することができる。
【0094】
N個の第一の位置データセットは、単独測位に成功した第一の位置データセットのうち単独測位時刻が新しい上位N個の第一の位置データセットでよい(Nは自然数)。M個の第二の位置データセットは、N個の第一の位置データセットに対応した時刻範囲に時刻が属するM個の第二の位置データセットでよく、Mは、N未満0以上の整数でよい。これにより、管理者14は効率的に製品11の現在(最新)のユーザを推定できる。
【0095】
表示制御部232が、n個の第一の位置表示オブジェクトの各々について、当該第一の位置表示オブジェクトの表示態様を、当該第一の位置表示オブジェクトに関連した第一の位置データセットが表す単独測位位置の精度に応じた表示態様としてよい。単独測位位置の精度は、当該単独測位位置の測位の基になった衛星の数でよい。これにより、管理者14にとって、製品11の現在位置の推定に優先すべき第一の位置の特定が容易である。
【0096】
システム通信部231は、製品11から第一の頻度で(例えば周期的に)パケットを受信してよい。各パケットが、当該製品11の稼働状況を表す稼働データセットと、単独測位位置を表す第一の位置データセットとを含んでよい。つまり、当該製品11の第一の位置データセットは、稼働データセットの収集のために送信されるパケットに含められてよい。これにより、通信量を増やすこと無しに第一の位置データセットを収集することができる。
【0097】
システム通信部231が、製品11に第二の頻度(任意タイミング)で基地局測位のリクエストを送信し、当該リクエストに応答して第二の位置データセットを受信してよい。これにより、単独測位より多くの通信量を必要とする基地局測位の頻度を製品管理支援システム13が調整することができる。
【0098】
表示制御部232が、n個の第一の位置とm個の第二の位置とを基に範囲を決定し、当該範囲を表す表示オブジェクトを地図上に表示してよい。これにより、管理者14にとって、製品11の現在のユーザである可能性のある者(例えば企業又は個人)を正確に推定し易い。
【0099】
製品管理支援システム13が、最適運転決定部233を備えてもよい。最適運転決定部233が、n個の第一の位置とm個の第二の位置との少なくとも一つを基に製品11の高度とその精度を推定し、当該製品11の最適な運転制御のための制御情報を当該推定された高度及びその精度を基に決定してよい。システム通信部231が、当該決定された制御情報を当該製品11に送信してよい。これにより、上述のn個の第一の位置とm個の第二の位置との少なくとも一つを利用して製品11の高度とその精度を推定しその高度及び精度を基に製品11を最適に運転することができる。
【0100】
以上、一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。本発明の一実施形態では、製品は、移転により移動し得る製品であってその所在を追跡することで製品管理及びアフターサービスの質を向上できる製品であって、かつ通常は設置型として一か所で固定して用いられる。このため、複数の異なる計測タイミングで異なる測位状態のデータを蓄積できることを利用し、屋根で覆われている等所在の確認が困難な位置に設置されていても精度よく設置場所を推定することができる。
【符号の説明】
【0101】
11:製品
13:製品管理支援システム
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