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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007385
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】モータ制御装置及び産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20230111BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H02P29/00
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054148
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2021109276
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】今井 誠也
【テーマコード(参考)】
3C707
5H501
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS15
3C707CT04
3C707HS27
3C707HT02
3C707KS21
3C707KV01
3C707LV24
3C707LW04
3C707NS12
5H501AA22
5H501DD01
5H501GG01
5H501JJ04
5H501JJ23
5H501JJ26
5H501LL07
5H501LL35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オブザーバの外乱トルクオブザーバ部の特性と速度オブザーバ部の特性とを互いに独立させて個別に調整することができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置41は、位置検出値に基づいて得られた速度に対して第1外乱トルクゲインを乗じる第1外乱トルクゲイン処理部73と、位置検出値に基づいて得られた加速度に対して第2外乱トルクゲインを乗じる第2外乱トルクゲイン処理部75と、位置検出値に基づいて得られた速度に対して第1速度ゲインを乗じる第1速度ゲイン処理部79と、位置検出値に基づいて得られた加速度に対して第2速度ゲインを乗じる第2速度ゲイン処理部82と、外乱トルクゲイン処理部73及び75からの出力に対してローパスフィルタ処理を施す外乱トルクフィルタ処理部77と、速度ゲイン処理部79及び82からの出力に対してローパスフィルタ処理を施す速度フィルタ処理部84とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転位置を検出する回転位置検出器による位置検出値に基づいて得られた数値にゲインを乗じた後、ローパスフィルタ処理を施して外乱トルクを求めるオブザーバを備えるモータ制御装置であって、
前記オブザーバが、前記位置検出値に基づいて得られた数値に対して外乱トルクゲインを乗じる外乱トルクゲイン処理部と、前記位置検出値に基づいて得られた数値に対して速度ゲインを乗じる速度ゲイン処理部と、前記外乱トルクゲイン処理部からの出力に対してローパスフィルタ処理を施す外乱トルクフィルタ処理部と、前記速度ゲイン処理部からの出力に対してローパスフィルタ処理を施す速度フィルタ処理部とを備える、
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置であって、
前記オブザーバが、前記位置検出値に基づいて速度を算出する速度算出処理部と、前記位置検出値に基づいて加速度を算出する加速度算出処理部とを備え、
前記外乱トルクゲイン処理部が、前記速度に前記外乱トルクゲインたる第1外乱トルクゲインを乗じる第1外乱トルクゲイン処理部と、前記加速度に前記外乱トルクゲインたる第2外乱トルクゲインを乗じる第2外乱トルクゲイン処理部とを備え、
前記外乱トルクフィルタ処理部が、前記第1外乱トルクゲイン処理部からの出力と、前記第2外乱トルクゲイン処理部からの出力との加算値に対してローパスフィルタ処理を施し、
前記速度ゲイン処理部が、前記速度に前記速度ゲインたる第1速度ゲインを乗じる第1速度ゲイン処理部と、前記加速度に前記速度ゲインたる第2速度ゲインを乗じる第2速度ゲイン処理部と、制御値の1回微分値に第3速度ゲインを乗じる第3速度ゲイン処理部とを備え、
前記制御値が、上位装置から発信されてくる位置指令値と前記位置検出値との差分からオブザーバ出力値を減じた値であり、
前記速度フィルタ処理部が、前記第1速度ゲイン処理部からの出力と、前記第2速度ゲイン処理部からの出力と、前記第3速度ゲイン処理部からの出力との加算値に対してローパスフィルタ処理を施す、
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ制御装置であって、
前記速度フィルタ処理部の伝達関数に含まれる外乱応答特性を調整するためのパラメータが、前記第1速度ゲイン処理部の伝達関数、前記第2速度ゲイン処理部の伝達関数、及び前記第3速度ゲイン処理部の伝達関数の何れにも含まれず、
前記外乱トルクフィルタ処理部の伝達関数に含まれる外乱応答特性を調整するためのパラメータが、前記第1外乱トルクゲイン処理部の伝達関数、及び前記第2外乱トルクゲイン処理部の伝達関数の何れにも含まれない、
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のモータ制御装置であって、
モータ、及びモータの設置設備の粘性摩擦項を、イナーシャで割り算した値をPで表し、アンプの固定ゲインとモータのトルク定数とを含む固定値をKで表し、モータプラントの伝達関数を「P(s)=K/s+P×s」で表し(sはラプラス演算子)で表し、ゲインの高値化に伴って位置指令応答特性を向上させ得る性質を有する2つのパラメータのそれぞれをω1、ω2で表し、ω1とω2とを乗算した値をm0で表し、ω1とω2とを加算した値をm1で表した場合に、位置指令応答特性が、「m0/s+m1×s+m0」という特性になる
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項5】
モータ、及び前記モータの駆動を制御するモータ制御装置を備える産業用ロボットであって、
前記モータ制御装置が、請求項1乃至4の何れか1項に記載のモータ制御装置である、
ことを特徴とする産業用ロボット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動を制御するモータ制御装置、並びに、モータ及びモータ制御装置を備える産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの回転位置を検出する回転位置検出器による位置検出値に基づいて得られた数値にゲインを乗じた後、ローパスフィルタ処理を施して外乱トルクを求めるモータ制御装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のモータ制御装置は、オブザーバを備える。オブザーバは、角位置出力信号検出装置と、ゲイン処理部たるH(Z)と、フィルタ処理部たるq-1(Z)とを備える。角位置出力信号検出装置による検出結果は、H(Z)によってゲインを乗じられた後、q-1(z)に入力される。また、位置指令信号発生装置からの出力信号には、オブザーバの外乱補償機能によって外乱η(k)が加えられた後、制御入力信号値u(k)として、q-1(z)に入力される。かかる構成では、角位置出力信号検出装置からの出力値と、制御入力信号値u(k)からの処理値とを1つのローパスフィルタ処理によってオブザーバ出力を得ており、この出力値は、振動などの外乱に起因する速度誤差や外乱トルクを反映する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-270079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のモータ制御装置においては、オブザーバはモータ制御装置の外乱トルクオブザーバと速度オブザーバとを兼ねて1つのローパスフィルタ(q-1(Z))で処理されていることから外乱トルクオブザーバ部の特性と速度オブザーバ部の特性とを互いに完全に独立させて個別に調整することが困難であることが、本発明者の研究によって判明した。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オブザーバの外乱トルクオブザーバ部の特性と速度オブザーバ部の特性とを互いに完全に独立させて個別に調整することができるモータ制御装置及び産業用ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、モータの回転位置を検出する回転位置検出器による位置検出値に基づいて得られた数値にゲインを乗じた後、ローパスフィルタ処理を施して外乱トルクを求めるオブザーバを備えるモータ制御装置であって、前記オブザーバが、前記位置検出値に基づいて得られた数値に対して外乱トルクゲインを乗じる外乱トルクゲイン処理部と、前記位置検出値に基づいて得られた数値に対して速度ゲインを乗じる速度ゲイン処理部と、前記外乱トルクゲイン処理部からの出力に対してローパスフィルタ処理を施す外乱トルクフィルタ処理部と、前記速度ゲイン処理部からの出力に対してローパスフィルタ処理を施す速度フィルタ処理部とを備える、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モータ制御装置の外乱トルクオブザーバ部の特性と速度オブザーバ部の特性を互いに完全に独立させて調整することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る産業用ロボットを示す斜視図である。
図2】同産業用ロボットを示す平面図である。
図3】同産業用ロボットのモータ制御装置によって実施される各種の演算処理を電気回路に見立てて示すブロック図である。
図4】同モータ制御装置によって実施される各種の演算処理を電気回路に見立てて示すブロック図である。
図5】第1従来例に係るモータ制御装置によって実施される各種の演算処理を電気回路に見立てて示すブロック図である。
図6】第2従来例に係るモータ制御装置の電気回路を示すブロック図である。
図7】変形例に係るモータ制御装置の電気回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を愛参照しながら、本発明の実施形態に係るロボットコントローラ及び産業用ロボットの一実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造、並びに、各構造における縮尺及び数、などを異ならせる場合がある。
【0011】
図1は、実施形態に係る産業用ロボット1を示す斜視図である。図2は、産業用ロボット1を示す平面図である。産業用ロボット1は、ガラス基板を搬送するためのロボットであり、アーム2、架台3、及び昇降部4を備える。昇降部4は、架台3に保持され、不図示の昇降モータの駆動によって上下方向(図1の矢印方向)に昇降する。アーム2は、ガラス基板を載せる手部2A、前腕部2B、及び上腕部2Cを備え、昇降部4によって保持される。
【0012】
上腕部2Cにおける昇降部4との接続部である肩関節2Dは、第1モータ22Aの駆動によって水平方向に沿って回動することが可能である。具体的には、第1モータ22Aの回転駆動力が第1ベルト2Eを介して肩関節2Dに伝達されることで、肩関節2Dが水平方向に回動する。また、上腕部2Cと前腕部2Bとの接続部である肘関節2Fは、第2モータ22Bの駆動によって水平方向に沿って回動することが可能である。具体的には、第2モータ22Bの回転駆動力が第2ベルト2Gを介して肘関節2Fに伝達されることで、肘関節2Fが水平方向に回動する。また、前腕部2Bと手部2Aとの接続部である手首関節は、第2モータ22Bの駆動力をベルトを介して受けることで、水平方向に沿って回動することが可能である。
【0013】
図1における昇降部4は、昇降モータ(後述の図3の22C)の正転、逆転により、図中矢印方向に昇降することが可能である。
【0014】
図3は、モータ制御装置41によって実施される各種の演算処理を電気回路に見立てて示すブロック図である。同図では、各種の演算処理を電気回路として示されているが、実際には、電気回路ではなく、演算処理として実行される。後述の図4図5も同様である。
【0015】
産業用ロボット1は、ロボット制御部40を備える。また、産業用ロボット1は、モータ制御装置41及び第1モータ22Aの組み合わせと、モータ制御装置41及び第2モータ22Bの組み合わせと、モータ制御装置41及び昇降モータ22Cの組み合わせとを備える。同図のおいては、前述の3つの組み合わせのうち、何れか1つを示している。
【0016】
モータ制御装置41は、第1加算器42、第2加算器44、変換部45、第3加算器46、オブザーバ55等を備える。
【0017】
ロボット制御部40は、モータの回転位置を指令するための位置指令値をモータ制御装置41に出力する。モータ(22A~C)は、ロータリーエンコーダ等からなる回転位置検出器を備える。駆動中のモータの回転位置は、回転位置検出器によって検出され、位置検出値としてモータ制御装置41に出力される。この位置検出値は、オブザーバ55に入力されるとともに、第1加算器42に入力される。第1加算器42は、ロボット制御部40から送られてくる位置指令値に対して位置検出値を減算し、結果を位置誤差として出力する。
【0018】
前述の位置誤差は、第2加算器44に入力される。第2加算器44には、オブザーバ55から出力されるオブザーバ出力値も入力される。第2加算器44は、位置誤差からオブザーバ出力値を減算した値である制御値を出力する。制御値は、トルク変換処理部としての変換部45と、オブザーバ55とに入力される。
【0019】
変換部45は、制御値をトルク指令値に変換する。このトルク指令値は、モータ(22A、22B、又は22C)に入力される。モータは、トルク指令値に応じたトルクで回転駆動する。
【0020】
図5は、第1従来例に係るモータ制御装置41によって実施される各種の演算処理を電気回路に見立てて示すブロック図である。この第1従来例に係るモータ制御装置41は、本出願人によって開発されたものである。
【0021】
同図において、変換部45に用いられる伝達関数は、「G=m0/r0」という式で表される。この式において、r0は、モータに電力を供給するアンプの固定ゲインとモータのトルク定数とを含む固定値を、モータとモータの設置設備のイナーシャJで割った値の推定値である。また、m0は、ω1とω2とを乗算した値(m0=ω1×ω2)である。また、ω1、ω2はそれぞれ、パラメータで設定可能な位置指令応答特性のカットオフ周波数〔rad/s〕である。ω1、ω2は、ゲインの高値化に伴って位置指令応答特性を向上させ得る性質を有するが、ゲインが高くなり過ぎるとモータやその周囲部分に振動が発生してしまう。
【0022】
オブザーバ55は、符号反転処理部56、第5加算器57、第6加算器58、第7加算器59、第1ゲイン処理部60、第2ゲイン処理部65、フィルタ処理部64、第3ゲイン処理部63、第1ラプラス演算項61、第2ラプラス演算項62、第3ラプラス演算項66等を備える。
【0023】
第2加算器44から出力される制御値は、オブザーバ55の符号反転処理部56によってその符号をマイナスの符号に反転された後、第5加算器57に入力される。また、第2加算器44から出力される制御値は、第2ラプラス演算項62によって1回微分処理された後、第3ゲイン処理部63を経由した後に第5加算器57に入力される。
【0024】
モータ(22A、22B、22C)の回転位置検出器から出力される位置検出値は、オブザーバ55の第1ラプラス演算項61によって1回微分されて速度に変換されるとともに、第3ラプラス演算項66によって2回微分されて加速度に変換される。第1ゲイン処理部60及び第2ゲイン処理部65は、外乱トルクオブザーバ値に関連する数値と、速度オブザーバ値に関連する数値とを求めるための処理工程である。
【0025】
前述の処理工程について詳述する。モータに対する指令と、その指令を受けたモータによる挙動との関係は、モータプラントの伝達関数P(s)によって表される。その伝達関数P(s)の詳細は、
「P(s)=K/(s+P×s)
という式で表される。この式におけるsは、ラプラス演算子である。Kは、アンプの固定ゲインとモータのトルク定数とを含む固定値を、モータ、及びモータの設置設備の粘性摩擦項Dを、イナーシャJで割った値であり、これは推定値ではなくて真値である。Pは、モータ、及びモータの設置設備の粘性摩擦項Dを、イナーシャJで割った値であり、これは、推定値ではなくて真値である。
【0026】
第1ゲイン処理部60の伝達関数は、「m1/m0」という式で表される。この式におけるm1は、ω1とω2とを加算した値(m1=ω1+ω2)である。第2ゲイン処理部65の伝達関数は、「{(q2-q1+1-p1)×(k1)+1}/m0」という式で表される。q1、q2は、モータを適切に制御するために任意に設定される値であり、それぞれが後述のωqvを含む。k1は、「m1-p1)/q2」という式で表される。p1は、モータ、及びモータの設置設備の粘性に関わる項Dを、モータ、及びモータの設置設備のイナーシャ項Jで割った値の推定値である。第3ゲイン処理部63の伝達関数は、「(m1-p1)/q2」という式で表される。
【0027】
フィルタ処理部64の伝達関数は、「ωq/(s+ωq)」という式で表される。この式におけるωqは、外乱応答特性を変化させるパラメータであり、外乱成分を除去する性質を有する。外乱応答特性は、モータに対する外乱をどれだけ精度よく検出して抑圧できるのかを示す特性である。ωqは、ゲインの高値化に伴って外乱抑圧性能を向上させ得る性質を有するが、ゲインが高くなり過ぎるとモータやその周囲部分に振動が発生してしまう。
【0028】
第1ゲイン処理部60からの出力と、第2ゲイン処理部65からの出力とは、第7加算器59によって加算される。また、符号反転処理部56からの出力と、第3ゲイン処理部63からの出力とは、第5加算器57によって加算される。更に、第5加算器57からの出力と、第7加算器59からの出力とは、第6加算器58によって加算された後、フィルタ処理部64に入力される。フィルタ処理部64は、入力に対してローパスフィルタ処理を施す。
【0029】
かかる構成においては、速度オブザーバ部の特性と、外乱トルクオブザーバ部の特性との両方を、適切なものに調整することができず、一方を適切なものに調整しようとすると、他方を不適切なものにしてしまうという課題があった。
【0030】
図4は、実施形態に係るモータ制御装置41によって実施される各種の演算処理を電気回路に見立てて示すブロック図である。同図において、オブザーバ55は、外乱トルクオブザーバ部92、及び速度オブザーバ部94を備える。
【0031】
外乱トルクオブザーバ部92は、外乱トルク算出処理部91と、外乱トルクフィルタ処理部77とを備える。外乱トルク算出処理部91は、符号反転処理部56、第5加算器71、第6加算器72、第1外乱トルクゲイン処理部73、第2外乱トルクゲイン処理部75、第1ラプラス演算項74、第3ラプラス演算項76等を備える。第1外乱トルクゲイン処理部73、及び第2外乱トルクゲイン処理部75の組み合わせは、外乱トルクゲイン処理部として機能する。
【0032】
符号反転処理部56は、第2加算器44を経由した制御値の符号をマイナスに反転させて第5加算器71に出力する。位置検出値は、速度算出処理部としての第1ラプラス演算項74によって速度に変換された後、第1外乱トルクゲイン処理部73によって第1外乱トルクゲインが乗じられる。また、位置検出値は、加速度算出処理部としての第3ラプラス演算項76によって加速度に変換された後、第2外乱トルクゲイン処理部75によって第2外乱トルクゲインが乗じられる。第1外乱トルクゲイン処理部73からの出力と、第2外乱トルクゲイン処理部75からの出力とは、第6加算器72によって加算された後、第5加算器71に入力される。外乱トルクフィルタ処理部77、速度フィルタ処理部84は何れも、入力に対してローパスフィルタ処理を施すものである。
【0033】
第1外乱トルクゲイン処理部73の伝達関数は、「p1/m0」という式で表される。第2外乱トルクゲイン処理部75は、「1/m0」という式で表される。外乱トルクフィルタ処理部77は、「ωqt/(s+ωqt)」という式で表される。ωqtは、外乱応答特性における、トルクに影響を受ける特性と、速度に影響を受ける特性とのうち、前者の特性を調整するためのパラメータである。
【0034】
第1速度ゲイン処理部79の伝達関数は、「(m1-p1)/m0」という式で表される。第2速度ゲイン処理部82は、{(q2-q1+1-p1)×KV}/m0」という式で表される。KVは、「(m1-p1)/q2」という式で表され、これは、第3速度ゲイン処理部87の伝達関数と同じである。速度フィルタ処理部84の伝達関数は、「ωqv/(s+ωqv)」という式で表される。ωqvは、外乱応答特性における、トルクに影響を受ける特性と、速度に影響を受ける特性とのうち、後者の特性を調整するためのパラメータである。
【0035】
速度オブザーバ部94は、速度算出処理部93と、速度フィルタ処理部84とを備える。速度算出処理部93は、第2ラプラス演算項81、第4ラプラス演算項83、第5ラプラス演算項86、第1速度ゲイン処理部79、第2速度ゲイン処理部82、第3速度ゲイン処理部87、第7加算器78等を備える。
【0036】
第2加算器44から出力される制御値は、第5ラプラス演算項86によって1回微分値に変換された後、第3速度ゲイン処理部87によって第3速度ゲインが乗じられる。
【0037】
位置検出値は、速度算出処理部としての第2ラプラス演算項81によって速度に変換された後、第1速度ゲイン処理部79によって第1速度ゲインが乗じられる。
【0038】
位置検出値は、加速度算出処理部としての第4ラプラス演算項83によって加速度に変換された後、第2速度ゲイン処理部82によって第2速度ゲインが乗じられる。
【0039】
第7加算器78は、第1速度ゲイン処理部79からの出力と、第2速度ゲイン処理部82からの出力と、第3速度ゲイン処理部87からの出力との加算値を、後述の速度フィルタ処理部84に出力する。
【0040】
外乱トルクフィルタ処理部77は、第5加算器71からの出力にローパスフィルタ処理を施す。
【0041】
第8加算器85は、外乱トルクフィルタ処理部77からの出力と、速度フィルタ処理部84からの出力との加算値を、オブザーバ値として第2加算器44に出力する。
【0042】
加算器71からの出力は、外乱トルクオブザーバーからの出力に相当する。その出力を、伝達関数にωqtというパラメータを含む外乱トルクフィルタ処理部77に通すことで、外乱トルクオブザーバ部を速度オブザーバ部から独立させて機能させることが可能である。
【0043】
第1速度ゲイン処理部79からの出力は、速度オブザーバからの出力に相当する。その出力を、伝達関数にωqvというパラメータを含む速度フィルタ処理部84に通すことで、速度オブザーバ部を外乱トルクオブザーバ部から独立させて機能させる調整することが可能である。
【0044】
つまり、実施形態に係るモータ制御装置41によれば、速度算出処理部の出力値に乗算するように速度フィルタ処理部があり、外乱トルク算出処理部の出力値に乗算するように外乱トルクフィルタ処理部を設置したことにより、速度オブザーバ部の特性と外乱トルクオブザーバ部の特性を個別に調整することが可能なので、それぞれを適切なものに調整することができる。また、従来の制御器の特徴である、制御器の位置指令応答特性と外乱応答特性をそれぞれ適切なものに調整する事ができる機能も失うことなく実装することができる。
【0045】
以下、外乱応答特性と位置指令応答特性とをそれぞれ適切なものに調整することができる理由について、より詳しく説明する。図4に示される外乱トルクフィルタ処理部77のωqtと、速度フィルタ処理部84のωqvは、互いに同様な性質をもつパラメータである。そこで、以下、ωqtとωqvとを、それぞれ区別せずにωqとして表す(但し、必要に応じて区別して表すこともある)。
【0046】
ωqという表記を採用した場合、外乱トルクフィルタ処理部77、速度フィルタ処理部84のそれぞれの伝達関数は、
「Q(s)=ωq/(s+ωq)」という式で表される。
【0047】
また、変換部45の伝達関数は、「G=m0/r0」という式で表される。
また、既述のように、各モータ(22A、22B、22C)のモータプラントの伝達関数は、「P(s)=K/s+Ps」という式で表される。
【0048】
以下、第1外乱トルクゲイン処理部73の伝達関数と第1ラプラス演算項74の伝達関数とを掛け合わせたものと、第1速度ゲイン処理部の伝達関数79と第2ラプラス演算項81の伝達関数とを掛け合わせたものとの加算結果をH1(s)と表す。すると、
「H1(s)=s×m1/m0」という式が得られる。
【0049】
また、第2外乱トルクゲイン処理部75の伝達関数と第3ラプラス演算項76の伝達関数とを掛け合わせたものと、第2速度ゲイン処理部82の伝達関数と第4ラプラス演算項83の伝達関数とを掛け合わせたものとの加算結果をH0(s)と表す。すると、
「H0(s)=s{(q2-q1+1-p1)×KV+1}/m0」という式が得られる。
【0050】
また、第5ラプラス演算項86の伝達関数と第3速度ゲイン処理部87の伝達関数とを掛け合わせたものと、符号反転処理部56の伝達関数との加算結果をK(s)で表す。すると、
「K(s)={s(m1-p1)/q2}-1という式が得られる。
【0051】
また、既述のH0(s)とH1(s)との加算結果をH(s)で表す。すると、
「H(s)=s{(q2-q1+1-p1)×k1+1}+s×m1」という式が得られる。
【0052】
また、加算器44から変換部45に流れる信号をAで表す。また、位置指令値をx、位置検出値をf(x)でそれぞれ表す。すると、
「A=x-f(x)-{(A×K(s)+f(x)×H(s))}×Q(s)」という式が得られる。
更に、
「f(x)=A×G×P(s)という式が得られる。
【0053】
Aを消去できるように、前述の2つの式を1つにまとめると、
「f(x)/(G×P(s))=f(x)-{(K(s)×f(x))/(G×P(s))+f(x)×H(s)×Q(s)}」という式が得られる。
【0054】
この式を、左辺をf(x)/xにするように変形すると、
「f(x)/x=(G×P(s))/(1+G×P(s)+Q(s)×K(s)+G×P(s)×Q(s)×H(s))」という式が得られる。
【0055】
この式を、各パラメータで表す式に変形すると、次の数1で示される式が得られる。
【数1】
【0056】
計算容易化のために、この式におけるm0及びm1を除く他のパラメータに所定の値を代入する。具体的には、p1、P、K、r0、ωq,q2のそれぞれを、1とする。また、q1を0とする。すると、約分できる箇所が発生するので約分すると、次の数2で表される式が得られる。
【数2】
【0057】
この式において、分数を含む項を発生させないように各項を約分すると、次の数3で示される式が得られる。
【数3】
【0058】
更に、この式を、次の数4で示されるように約分する。
【数4】
【0059】
約分後の式を整理すると、次の数5で示される式が得られる。
【数5】
【0060】
この式における最右辺の式(m0/s×m1×s+m0)に着目してみる。つまり、図4で示されるブロック図における位置指令応答特性は、「m0/s×m1×s+m0)」という式で表されることに着目してみる。この位置指令応答特性を所望の特性にするために、上述のω1、ω2のそれぞれの値を調整しても、外乱応答特性には何ら影響を及ぼすことがない。「m0/s×m1×s+m0)」という式は、ωq(ωqv、ωqt)という外乱応答特性に影響を与えるパラメータを含んでいないからである。一方、外乱応答特性を所望の特性にするために、ωqv、ωqtのそれぞれの値を調整しても、位置指令応答特性には何ら影響を及ぼすことがない。「m0/s×m1×s+m0)」という式は、ωqv、ωqtというパラメータを含んでいないからである。よって、実施形態に係るモータ制御装置によれば、位置指令応答特性と外乱応答特性とを、それぞれ完全に独立させて個別に調整することができる。
【0061】
なお、外乱トルクフィルタ処理部77の伝達関数を2次関数で表し、且つ速度フィルタ処理部84の伝達関数を2次関数で表した例について説明したが、それぞれの伝達関数を1次関数で表してもよい。図6は、フィルタ処理部64の伝達関数を1次関数で表したモータ制御装置41の従来例(第2従来例)の電気回路を示すブロック図である。第2従来例に係るモータ制御装置41の構成は、以下に特筆しない限り、図5に示される第1従来例に係るモータ制御装置41の構成と同様である。
【0062】
第2従来例に係るモータ制御装置41は、第1従来例とは異なり、第2ラプラス演算項62、第3ゲイン処理部63、及び第5加算器57を備えていない。フィルタ処理部64の伝達関数は、「ωq/(s+ωq)」という1次関数で表される。また、第2ゲイン処理部65の伝達関数は、「(m1-p1+q2)/(m0×q2)」という式で表される。
【0063】
図7は、実施形態に係るモータ制御装置41の一部の構成を他の構成に変形した変形例に係るモータ制御装置41の電気回路を示すブロック図である。変形例に係るモータ制御装置41は、以下に特筆しない限り、図4に示される実施形態に係るモータ制御装置41と同様である。
【0064】
変形例に係るモータ制御装置41は、実施形態とは異なり、第5ラプラス演算項86、及び第3速度ゲイン処理部87を備えていない。外乱トルクフィルタ処理部77の伝達関数は、「ωqt/(s+ωqt)」という1次関数で表される。速度フィルタ処理部84の伝達関数は、「ωqv/(s+ωqv)」という1次関数で表される。第2速度ゲイン処理部82の伝達関数は、(m1-p1)/(m0×q2)」という式で表される。
【0065】
図7で示されるブロック図においても、図4で示されるブロック図と同様にして、「f(x)」として、位置指令応答特性を示す式を求めると、同様に、その式は、ωq(ωqv、ωqt)というパラメータを含まないものになる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態、及び変形例について説明したが、本発明は、実施形態、及び変形例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。実施形態、及び変形例のそれぞれは、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0067】
本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
〔第1態様〕
第1態様は、モータ(例えば22A、22B、22C)の回転位置を検出する回転位置検出器による位置検出値に基づいて得られた数値にゲインを乗じた後、ローパスフィルタ処理を施して外乱トルクを求めるオブザーバ(例えばオブザーバ55)を備えるモータ制御装置であって、前記位置検出値に基づいて得られた数値に対して外乱トルクゲインを乗じる外乱トルクゲイン処理部(例えば第1外乱トルクゲイン処理部73及び第2外乱トルクゲイン処理部75の組み合わせ)と、前記位置検出値に基づいて得られた数値に対して速度ゲインを乗じる速度ゲイン処理部(例えば第1速度ゲイン処理部79、第2速度ゲイン処理部82、及び第3速度ゲイン処理部87の組み合わせ)と、前記外乱トルクゲイン処理部からの出力に対してローパスフィルタ処理を施す外乱トルクフィルタ処理部(例えば外乱トルクフィルタ処理部77)と、前記速度ゲイン処理部からの出力に対してローパスフィルタ処理を施す速度フィルタ処理部(例えば速度フィルタ処理部84)とを備える、ことを特徴とするものである。
【0068】
第1態様においては、外乱トルクゲイン処理部からの出力を外乱トルクフィルタ処理部に通すことに、加えて、速度ゲイン処理部からの出力を速度フィルタ処理部に通すことで、外乱トルクオブザーバ部の特性と速度オブザーバ部の特性とをそれぞれ適切なものに調整することが可能である。よって、第1態様によれば、トルクオブザーバ部の特性と速度オブザーバ部の特性とを、互いに完全に独立させて個別に調整することができる。
【0069】
〔第2態様〕
第2態様は、第1態様のモータ制御装置であって、前記オブザーバが、前記位置検出値に基づいて速度を算出する速度算出処理部(例えば第1ラプラス演算項74、及び第2ラプラス演算項81)と、前記位置検出値に基づいて加速度を算出する加速度算出処理部(例えば第3ラプラス演算項76、及び第4ラプラス演算項)とを備え、前記外乱トルクゲイン処理部が、前記速度に前記外乱トルクゲインたる第1外乱トルクゲインを乗じる第1外乱トルクゲイン処理部(例えば第1外乱トルクゲイン処理部73)と、前記加速度に前記外乱トルクゲインたる第2外乱トルクゲインを乗じる第2外乱トルクゲイン処理部(例えば第2外乱トルクゲイン処理部75)とを備え、前記外乱トルクフィルタ処理部が、前記第1外乱トルクゲイン処理部からの出力と、前記第2外乱トルクゲイン処理部からの出力との加算値に対してローパスフィルタ処理を施し、前記速度ゲイン処理部が、前記速度に前記速度ゲインたる第1速度ゲインを乗じる第1速度ゲイン処理部(例えば第1速度ゲイン処理部79)と、前記加速度に前記速度ゲインたる第2速度ゲインを乗じる第2速度ゲイン処理部(例えば第2速度ゲイン処理部82)と、制御値の1回微分値に第3速度ゲインを乗じる第3速度ゲイン処理部(例えば第3速度ゲイン処理部87)とを備え、前記制御値が、上位装置(例えばロボット制御部40)から発信されてくる位置指令値と前記位置検出値との差分(例えば位置誤差)からオブザーバ出力値を減じた値であり、前記速度フィルタ処理部が、前記第1速度ゲイン処理部からの出力と、前記第2速度ゲイン処理部からの出力と、前記第3速度ゲイン処理部からの出力との加算値に対してローパスフィルタ処理を施す、ことを特徴とするものである。
【0070】
第2態様によれば、第1外乱トルクゲイン処理部と第2外乱トルクゲイン処理部との組み合わせにより、制御値と外乱トルクとの加算値に相当する値を算出し、且つ第1速度ゲイン処理部と第2速度ゲイン処理部と第3速度ゲイン処理部との組み合わせにより、応答速度に相当する値を算出することができる。
【0071】
〔第3態様〕
第3態様は、第2態様のモータ制御装置であって、前記速度フィルタ処理部の伝達関数に含まれる外乱応答特性を調整するためのパラメータ(例えばωqv)が、前記第1速度ゲイン処理部の伝達関数、前記第2速度ゲイン処理部の伝達関数、及び前記第3速度ゲイン処理部の伝達関数の何れにも含まれず、前記外乱トルクフィルタ処理部の伝達関数に含まれる外乱応答特性を調整するためのパラメータ(例えばωqt)が、前記第1外乱トルクゲイン処理部の伝達関数、及び前記第2外乱トルクゲイン処理部の伝達関数の何れにも含まれない、ことを特徴とするものである。
【0072】
第3態様によれば、外乱応答特性を適切に設定しつつ、外乱トルクオブザーバ特性を適切に設定し、且つ、位置指令応答特性を適切に設定しつつ、速度オブザーバ特性を適切に設定することができる。
【0073】
〔第4態様〕
第4態様は、第3態様のモータ制御装置であって、モータ、及びモータの設置設備の粘性摩擦項を、イナーシャで割り算した値をPで表し、アンプの固定ゲインとモータのトルク定数とを含む固定値をKで表し、モータプラントの伝達関数を「P(s)=K/s+P×s」で表し(sはラプラス演算子)で表し、ゲインの高値化に伴って位置指令応答特性を向上させ得る性質を有する2つのパラメータのそれぞれをω1、ω2で表し、ω1とω2とを乗算した値をm0で表し、ω1とω2とを加算した値をm1で表した場合に、位置指令応答特性が、「m0/s+m1×s+m0」という特性になることを特徴とするものである。
【0074】
第4態様によれば、「m0/s+m1×s+m0」という位置指令応答特性が、ωqv、ωqtというパラメータを含まないことで、外乱応答特性と位置指令応答特性とをそれぞれ適切なものに調整し得る状態を生起せしめることができる。
【0075】
〔第5態様〕
第5態様は、モータ、及び前記モータの駆動を制御するモータ制御装置を備える産業用ロボット(例えば産業用ロボット1)であって、前記モータ制御装置が、第1態様~第4態様の何れかのモータ制御装置である、ことを特徴とするものである。
【0076】
第5態様によれば、モータ制御装置の外乱応答特性を微調整することができる。
【符号の説明】
【0077】
1・・・産業用ロボット、 22A・・・第1モータ(モータ)、 22B・・・第2モータ(モータ)、 22C・・・第3モータ(モータ)、 41・・・モータ制御装置、 55・・・オブザーバ、 73・・・第1外乱トルクゲイン処理部、 74・・・第1ラプラス演算項(速度算出処理部)、 75・・・第2外乱トルクゲイン処理部、 76・・・第3ラプラス演算項(加速度算出処理部)、 77・・・外乱トルクフィルタ処理部、 79・・・第1速度ゲイン処理部、 81・・・第2ラプラス演算項(速度算出処理部)、 82・・・第2速度ゲイン処理部、 83・・・第4ラプラス演算項(加速度算出処理部)、 84・・・速度フィルタ処理部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7