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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073875
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20230519BHJP
   F25D 23/08 20060101ALI20230519BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
F25D23/06 W
F25D23/08 Y
F25D19/00 532A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186612
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】穂高 淳
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102LE01
3L102MB07
3L102MB27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】板状断熱材を内蔵した場合でも外観が低下することを防止できる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫10の断熱箱体は、外箱と、内箱と、外箱と内箱との間に配置された断熱材17と、を有する。断熱材17は、接着材層30を介して外箱の内側面に接着される側面板状断熱材22と、外箱と内箱との間の空間に充填される充填断熱材23と、を有する。冷凍サイクルは、冷却用冷媒が流通すると共に、外箱の内側面に沿って配設される冷媒パイプ38を有する。充填断熱材23、側面板状断熱材22、横方向延在部382、横方向延在部382および外箱の、何れかの間に、スペーサ36を配置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱箱体と、
前記断熱箱体の内部に形成される貯蔵室と、
前記貯蔵室を冷却する冷凍サイクルと、を具備し、
前記断熱箱体は、外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、
前記断熱材は、接着材層を介して前記外箱の内側面に接着される板状断熱材と、前記外箱と前記内箱との間の空間に充填される充填断熱材と、を有し、
前記冷凍サイクルは、冷却用冷媒が流通すると共に、前記外箱に沿って配設される冷媒パイプを有し、
前記充填断熱材、前記板状断熱材、前記冷媒パイプおよび前記外箱の、何れかの間に、スペーサを配置することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記スペーサは、前記板状断熱材と前記充填断熱材との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記スペーサは、前記板状断熱材と前記外箱との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記スペーサは、前記冷媒パイプと前記外箱との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記板状断熱材の周辺部は、前記接着材層を介して、前記外箱の内側面に接着され、
前記板状断熱材の前記周辺部に囲まれる部分と、前記外箱の内側面との間には、前記スペーサが配置されることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷媒パイプは、横方向に沿って伸びる横方向延在部を有し、
前記スペーサは、前記横方向延在部が配置される領域に配置されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、断熱材として板状断熱材を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷蔵庫では、断熱箱体の内部に貯蔵室を形成し、この貯蔵室の前方開口を断熱扉で開閉可能に閉鎖している。断熱箱体は、鋼板から成る外箱と、外箱の内側に配置される合成樹脂板から成る内箱と、外箱と内箱との間に充填された断熱材とから成る。
【0003】
冷蔵庫の断熱箱体に充填される断熱材としては、一般的に発泡ウレタンが採用される。しかしながら、冷蔵庫の更なる省エネルギ化に対処するためには発泡ウレタンよりも断熱性が高い断熱材が好ましい。
【0004】
そこで、断熱箱体に内蔵される断熱材として板状断熱材、例えば、真空断熱材が採用される場合がある。真空断熱材はガラスウール等の繊維状無機材料を真空包装したものであり、発泡ウレタンの十数倍以上の断熱効果を有する。係る構成とすることで、真空断熱材により貯蔵室と外部とを良好に断熱でき、冷蔵庫の冷却運転に要するエネルギを低減することができる。
【0005】
図10を参照して、真空断熱材が採用された冷蔵庫100の構成を説明する。図10Aは冷蔵庫100を示す水平断面図であり、図10Bおよび図10Cは拡大断面図である。
【0006】
図10Aを参照して、冷蔵庫100は、外箱101および内箱102を有し、内箱102の内部に貯蔵室107が形成される。外箱101と内箱102との間には、断熱材として発泡断熱材103および板状断熱材104が配置される。板状断熱材104は、外箱101の内面に貼着される。外箱101の内面には、冷媒が流通するパイプ106が配設される。
【0007】
図10Bを参照して、板状断熱材104の左方側主面には接着層105が形成される。接着層105により板状断熱材104は外箱101に貼着される。このようにすることで、冷蔵庫100の製造工程において、外箱101の所定位置に板状断熱材104を固定することができる。よって、工場の内部で外箱101を輸送する段階において、板状断熱材104が外箱101から離脱することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4111096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した冷蔵庫では、冷蔵庫の外観を保護する観点から改善の余地があった。
【0010】
具体的には、図10Cを参照して、冷蔵庫100の製造からある程度の時間が経過すると、発泡断熱材103は収縮する。特に、冷蔵庫100が低温雰囲気下で保管された場合、発泡断熱材103の収縮量は大きくなる。このように成ると、発泡断熱材103の収縮に追従して、板状断熱材104、接着層105および外箱101が変形する。さらに、板状断熱材104と外箱101との間に、パイプ106が存在することにより、外箱101がパイプ106の形状に即して変形してしまう。これにより、外箱101の表面に、パイプ106の形状が、あばら骨の如く浮かび上がってしまい、冷蔵庫100の外観が低下して不良品となってしまう課題があった。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、板状断熱材を内蔵した場合でも外観が低下することを防止できる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の冷蔵庫は、断熱箱体と、前記断熱箱体の内部に形成される貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する冷凍サイクルと、を具備し、前記断熱箱体は、外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、前記断熱材は、接着材層を介して前記外箱の内側面に接着される板状断熱材と、前記外箱と前記内箱との間の空間に充填される充填断熱材と、を有し、前記冷凍サイクルは、冷却用冷媒が流通すると共に、前記外箱に沿って配設される冷媒パイプを有し、前記充填断熱材、前記板状断熱材、前記冷媒パイプおよび前記外箱の、何れかの間に、スペーサを配置することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、前記スペーサは、前記板状断熱材と前記充填断熱材との間に配置されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、前記スペーサは、前記板状断熱材と前記外箱との間に配置されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、前記スペーサは、前記冷媒パイプと前記外箱との間に配置されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、前記板状断熱材の周辺部は、前記接着材層を介して、前記外箱の内側面に接着され、前記板状断熱材の前記周辺部に囲まれる部分と、前記外箱の内側面との間には、前記スペーサが配置されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記冷媒パイプは、横方向に沿って伸びる横方向延在部を有し、前記スペーサは、前記横方向延在部が配置される領域に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の冷蔵庫は、断熱箱体と、前記断熱箱体の内部に形成される貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する冷凍サイクルと、を具備し、前記断熱箱体は、外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、前記断熱材は、接着材層を介して前記外箱の内側面に接着される板状断熱材と、前記外箱と前記内箱との間の空間に充填される充填断熱材と、を有し、前記冷凍サイクルは、冷却用冷媒が流通すると共に、前記外箱に沿って配設される冷媒パイプを有し、前記充填断熱材、前記板状断熱材、前記冷媒パイプおよび前記外箱の、何れかの間に、スペーサを配置することを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、スペーサを配置することにより、冷蔵庫を製造した後に充填断熱材が収縮しても、その収縮により外箱が大きくは変形しない。よって、冷媒パイプの形状に沿って外箱が変形することを抑止し、冷蔵庫の外観が低下することを抑止できる。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫では、前記スペーサは、前記板状断熱材と前記充填断熱材との間に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、スペーサにより、板状断熱材と充填断熱材とが分離可能になるので、充填断熱材が収縮しても、その収縮の影響が外箱の側面および冷媒パイプに及ぶことを抑止できる。
【0020】
また、本発明の冷蔵庫では、前記スペーサは、前記板状断熱材と前記外箱との間に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、スペーサにより、板状断熱材と外箱の内側面とが分離可能になるので、充填断熱材が収縮しても、その収縮の影響が外箱の側面および冷媒パイプに及ぶことを抑止できる。
【0021】
また、本発明の冷蔵庫では、前記スペーサは、前記冷媒パイプと前記外箱との間に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、スペーサにより、冷媒パイプと外箱の内側面とが分離可能になるので、充填断熱材が収縮しても、その収縮の影響が外箱の側面および冷媒パイプに及ぶことを抑止できる。
【0022】
また、本発明の冷蔵庫では、前記板状断熱材の周辺部は、前記接着材層を介して、前記外箱の内側面に接着され、前記板状断熱材の前記周辺部に囲まれる部分と、前記外箱の内側面との間には、前記スペーサが配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、板状断熱材の周辺部が、接着材層を介して外箱の内側面に接着されることで、板状断熱材を強固に外箱に接着できる。よって、製造工程の外箱を搬送する際に、板状断熱材が外箱から離脱することを防止できる。
【0023】
また、本発明の冷蔵庫では、前記冷媒パイプは、横方向に沿って伸びる横方向延在部を有し、前記スペーサは、前記横方向延在部が配置される領域に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、冷媒パイプの横方向延在部が配置される箇所で、外箱が冷媒パイプに沿って変形すれば、外観が顕著に低下する。ここでは、そのような箇所における外箱の変形を、スペーサを配設することで抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す側方断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外箱を示す斜視図である。
図4A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外箱の構成を示す分解斜視図である。
図4B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外箱の構成を示す分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す拡大された側方断面図である。
図6A】本発明の他形態に係る冷蔵庫の外箱の構成を示す分解斜視図である。
図6B】本発明の他形態に係る冷蔵庫の外箱の構成を示す側面図である。
図7】本発明の他形態に係る冷蔵庫を示す拡大された側方断面図である。
図8A】本発明の更なる他形態に係る冷蔵庫の外箱の構成を示す分解斜視図である。
図8B】本発明の更なる他形態に係る冷蔵庫の外箱の構成を示す側面図である。
図9】本発明の更なる他形態に係る冷蔵庫を示す拡大された側方断面図である。
図10A】背景技術に係る冷蔵庫を示す上方断面図である。
図10B】背景技術に係る冷蔵庫を示す拡大された上方断面図である。
図10C】背景技術に係る冷蔵庫を示す拡大された上方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10の幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1は、冷蔵庫10を示す斜視図である。冷蔵庫10は、断熱箱体11の内部に貯蔵室としての冷蔵室12および冷凍室13が形成される。冷蔵室12の前面開口は断熱扉34で閉鎖され、冷凍室13の前面開口は断熱扉35で閉鎖される。断熱扉34および断熱扉35は、例えば右方側の端部が断熱箱体11に介して回転可能に接続された回転式の扉である。断熱扉34および断熱扉35としては、引出式の扉が採用されても良い。
【0027】
図2は、冷蔵庫10を示す側方断面図である。図2に示すように、冷凍室13の後方には冷却室27が区画形成されており、冷却室27には蒸発器26が収納される。また、断熱箱体11の最下部後方には機械室14が区画形成されており、機械室14には圧縮機29が収納される。蒸発器26および圧縮機29は、図示しない膨張手段および凝縮器と接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成している。ここで、冷凍サイクルを構成する各構成機器は、後述する冷媒パイプ38により相互に接続される。冷媒パイプ38は、冷凍サイクルで用いられる冷媒が流通する。また、冷蔵室12と冷凍室13とは、断熱区画壁33により区画されている。断熱区画壁33は、断熱箱体11と同様の断熱構造を有している。
【0028】
冷却室27の上部には送風機28が配設されており、蒸発器26が冷却した冷却室27の内部の空気を送風機28が冷蔵室12および冷凍室13に送風する。冷蔵室12への風路には、ダンパ19が設けられる。ここでは図示しない制御装置は、図示しない冷蔵室の庫内温度センサーを検知し、ダンパ19の開閉を制御する。これにより、冷蔵室12への冷気の流量を調整し、冷蔵室12の庫内温度を一定に保つ。従って、冷蔵室12は冷蔵温度帯域に冷却され、冷凍室13は冷凍温度帯域に冷却される。また、冷蔵室12および冷凍室13を冷却した冷気は、冷却室27に帰還する。図2では、冷気の流れを矢印で示している。また、蒸発器26の下方には、蒸発器26の着霜を熔融するための除霜ヒータ20が配設される。
【0029】
断熱箱体11は、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板から成る外箱15と、外箱15の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱16と、外箱15と内箱16との間に配設された断熱材17と、から構成される。
【0030】
断熱材17は、後述する接着材層30を介して外箱15の内側面に接着される断熱材17と、外箱15と内箱16との間の空間に充填される充填断熱材23と、を有する。後面板状断熱材25は、ガラス等の繊維の集合体を袋に収納し、その袋の内部を真空状態にしたものである。充填断熱材23は、例えば発泡ウレタンが採用される。断熱効果が極めて大きい後面板状断熱材25を、断熱材17の一部に採用することで、冷蔵室12および冷凍室13と外部雰囲気とを良好に断熱でき、冷蔵庫10の消費電力を低減できる。ここで、後面板状断熱材25は、真空断熱材とも称される。
【0031】
図3は、冷蔵庫10の外箱15を示す斜視図である。外箱15は、厚みが0.5mm程度の薄い鋼板を曲折加工して成り、外箱後面板151(図2参照)と、外箱後面板151の左右方向端部から前方に向かって伸びる外箱側面板152と、外箱後面板151の上方端部から前方に向かって伸びる外箱上面板153と、を有する。
【0032】
外箱側面板152の内側面には、側面板状断熱材22が貼着される。側面板状断熱材22は、外箱側面板152の下方後端部分を除いて、外箱側面板152の大部分を覆っている。このようにすることで、側面板状断熱材22の断熱作用により、外箱15の内部側に形成される貯蔵室を効果的に保温することができる。側面板状断熱材22は、後述する接着材層30により、外箱側面板152の内側面に貼着される。側面板状断熱材22の構成は、前述した後面板状断熱材25と同様である。
【0033】
外箱上面板153の下側面には、上面板状断熱材24が貼着される。上面板状断熱材24の構成は、前述した後面板状断熱材25と同様である。
【0034】
外箱側面板152の内側面に沿って、冷媒パイプ38が蛇行形成される。ここでは、冷媒パイプ38の大部分は、側面板状断熱材22により隠れて見えない。冷媒パイプ38は、前述した圧縮機29により圧縮されることで高温となった冷媒が流通する。冷媒パイプ38は、クレストパイプとも称される。
【0035】
図4Aは、冷蔵庫10の外箱15の構成を示す分解斜視図である。図4Bは、冷蔵庫10の外箱15の構成を示す分解斜視図である。
【0036】
冷媒パイプ38は、外箱15の一部である外箱側面板152の内側面に沿って配設される。冷媒パイプ38は、縦方向延在部381と、横方向延在部382と、を有する。縦方向延在部381は、上下方向に沿って略垂直に伸びている。横方向延在部382は、前後方向に沿って略水平に伸びている。
【0037】
本実施形態の冷蔵庫10は、前述した外箱側面板152の変形を緩和するために、スペーサ36を有する。スペーサ36は、側面板状断熱材22の左側に配置される。即ち、スペーサ36は、側面板状断熱材22と、前述した充填断熱材23との間に配置される。ここでは、側面板状断熱材22の左側面の大分部がスペーサ36により覆われる。また、ここでは図示しないが、スペーサ36の外縁部が、接着テープ等により側面板状断熱材22に接着される。スペーサ36としては、シート状の材料を全般的に採用でき、例えば、PE(ポリエチレン)シート等の合成樹脂膜や紙等を採用できる。また、側面板状断熱材22の右側面の略全域は、ここでは図示しない接着材層30を介して、外箱側面板152に接着される。スペーサ36により、側面板状断熱材22と充填断熱材23との接着性を弱め、充填断熱材23の収縮により外箱側面板152が局所的に変形することが抑制される。
【0038】
図4Bを参照して、側面板状断熱材22の右側面を窪ませることで、溝部31が形成される。溝部31の形状は、冷媒パイプ38に対応している。よって、側面板状断熱材22を外箱側面板152に貼着すると、冷媒パイプ38が溝部31に収納される。係る構成によっても、冷媒パイプ38の形状に追従して、外箱側面板152が部分的に変形することを抑制できる。ここで、側面板状断熱材22の右側面は、溝部31が形成されない平坦面とすることもできる。
【0039】
図5は、冷蔵庫10を示す拡大された側方断面図である。ここでは、幅方向内側である右側から、充填断熱材23、スペーサ36、側面板状断熱材22、接着材層30、横方向延在部382、および外箱側面板152が示される。ここで、冷媒パイプ38の一部である横方向延在部382が配設される部分においては、側面板状断熱材22と充填断熱材23との間に、スペーサ36が配置される。
【0040】
スペーサ36が介在することで、側面板状断熱材22と充填断熱材23とは密着していない。このことから、冷蔵庫10の製造工程において、充填断熱材23の発泡充填が終了した後に、充填断熱材23が大きく収縮した場合であっても、側面板状断熱材22、接着材層30および外箱側面板152が大きく変形することはない。よって、横方向延在部382の形状に即して外箱側面板152が変形することが抑制される。接着材層30は、加熱により溶融する熱可塑性樹脂から成り、ホットメルト接着剤とも称される。
【0041】
ここで、横方向に伸びる横方向延在部382の形状に追従して外箱側面板152が変形すれば、ユーザが感じる美感性に悪影響を与えやすい。よって、係る部分に、スペーサ36を配置することで、横方向延在部382の形状に即して外箱側面板152が変形することを抑制し、美感性の低下を効果的に抑制できる。
【0042】
図6Aは、他の形態に係る冷蔵庫10の外箱15の構成を示す分解斜視図である。図6Bは、冷蔵庫10の外箱15の構成を示す側面図である。
【0043】
図6Aを参照して、ここでは、側面板状断熱材22と外箱側面板152との間に、スペーサ36が配置される。即ち、左方側から、側面板状断熱材22、スペーサ36、冷媒パイプ38および外箱側面板152の順番で配置される。
【0044】
図6Bに示すように、スペーサ36は、側面板状断熱材22の外縁よりも内側に配置される。このようにすることで、側面板状断熱材22の周辺部を、ここでは図示しない接着材層30を介して、外箱側面板152に強固に貼着できる。よって、製造工程の途中段階において、外箱側面板152から側面板状断熱材22が離脱することを抑制できる。また、スペーサ36は、横方向延在部382が配置される領域を覆うように配置される。ここでは、全ての横方向延在部382を、スペーサ36により覆うこともできる。
【0045】
このようにすることで、視覚的に目立ちやすい横方向延在部382が、外部に浮かび出ることを抑制できる。また、2つのスペーサ36が側面板状断熱材22と外箱側面板152との間に配設される。このようにすることで、横方向延在部382が配置される部分のみをスペーサ36で覆い、他の領域では、側面板状断熱材22を外箱側面板152に強固に貼着できる。
【0046】
図7は、他形態に係る冷蔵庫10を示す拡大された側方断面図である。ここでは、幅方向内側である右方側から、充填断熱材23、側面板状断熱材22、接着材層30、スペーサ36、横方向延在部382および外箱側面板152が配置される。スペーサ36が接着材層30と外箱側面板152との間に配設されることで、側面板状断熱材22と外箱側面板152とが密着しない。これによって、充填断熱材23が充填後に収縮した場合であっても、側面板状断熱材22は大きな変形量を示すが、外箱側面板152の変形量は小さい。よって、横方向延在部382の形状に沿って、外箱側面板152が変形することが抑制される。
【0047】
図8Aは、更なる他形態に係る冷蔵庫10の外箱15の構成を示す分解斜視図である。図8Bは、他形態に係る冷蔵庫10の外箱15の構成を示す側面図である。
【0048】
図8Aを参照して、ここでは、冷媒パイプ38と外箱側面板152との間に、スペーサ36が配置される。その他の構成は、図7Aに示したものと同様である。また、スペーサ36は、冷媒パイプ38を外箱側面板152に設置する前に、外箱側面板152の内面に貼着される。
【0049】
図8Bを参照して、冷媒パイプ38は、横方向延在部382が配設される部分を覆うように形成される。スペーサ36は、ユーザの視線に対応する部分のみに配置することも出来る。このようにすることで、外箱側面板152の変形が目立つ部分のみにおいて、冷媒パイプ38が外観に与える悪影響を小さくできる。
【0050】
図9は、他形態に係る冷蔵庫10を示す拡大された側方断面図である。ここでは、幅方向内側である右方側から、充填断熱材23、側面板状断熱材22、接着材層30、横方向延在部382、スペーサ36および外箱側面板152が配置される。外箱側面板152と側面板状断熱材22との間に、スペーサ36が介在することで、横方向延在部382が配置される箇所において、外箱側面板152と側面板状断熱材22とが密着しない。
【0051】
よって、充填断熱材23が充填後に収縮した場合、側面板状断熱材22およびスペーサ36は、当該収縮に応じて変形するものの、外箱側面板152は大きくは変形しない。よって、横方向延在部382の形状が外部に浮き出ることが防止される。
【0052】
本実施形態によれば、以下に記載する主要な効果を奏することができる。
【0053】
本発明によれば、例えば、図5を参照して、スペーサ36を配置することにより、冷蔵庫10を製造した後に充填断熱材23が収縮しても、その収縮により外箱側面板152が変形しない。よって、冷媒パイプ38の形状に沿って外箱15が変形することを抑止し、冷蔵庫10の外観が低下することを抑止できる。また、側面板状断熱材22自体の形状に大きな変更を加えず、冷媒パイプ38による外箱側面板152の変形を抑制できるため、側面板状断熱材22の断熱性は損なわれず、冷蔵庫10の消費電力量にも悪影響を与えない。
【0054】
更に、図5を参照して、スペーサ36により、断熱材17と外箱側面板152とが分離可能になるので、充填断熱材23が収縮しても、その収縮の影響が外箱15の側面および冷媒パイプ38に及ぶことを抑止できる。
【0055】
図7を参照して、横方向延在部382よりも幅方向内側に配置されたスペーサ36により、側面板状断熱材22と外箱15の内側面とが分離可能になるので、充填断熱材23が収縮しても、その収縮の影響が外箱15の側面および冷媒パイプ38に及ぶことを抑止できる。
【0056】
図9を参照して、横方向延在部382よりも幅方向外側に配置されたスペーサ36により、横方向延在部382と外箱15の内側面とが分離可能になるので、充填断熱材23が収縮しても、その収縮の影響が外箱15の側面および冷媒パイプ38に及ぶことを抑止できる。
【0057】
図6Bを参照して、側面板状断熱材22の周辺部が、接着材層30を介して外箱15の内側面に接着されることで、側面板状断熱材22を強固に外箱15に接着できる。よって、製造工程の外箱15を搬送する際に、側面板状断熱材22が外箱15から離脱することを防止できる。
【0058】
図6Bを参照して、冷媒パイプ38の横方向延在部382が配置される箇所で、外箱15が冷媒パイプ38に沿って変形すれば、外観が顕著に低下する。ここでは、そのような箇所における外箱15の変形を、スペーサ36を配設することで抑制することができる。
【0059】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 機械室
15 外箱
151 外箱後面板
152 外箱側面板
153 外箱上面板
16 内箱
17 断熱材
19 ダンパ
20 除霜ヒータ
22 側面板状断熱材
23 充填断熱材
24 上面板状断熱材
25 後面板状断熱材
26 蒸発器
27 冷却室
28 送風機
29 圧縮機
30 接着材層
31 溝部
33 断熱区画壁
34 断熱扉
35 断熱扉
36 スペーサ
38 冷媒パイプ
381 縦方向延在部
382 横方向延在部
100 冷蔵庫
101 外箱
102 内箱
103 発泡断熱材
104 板状断熱材
105 接着層
106 パイプ
107 貯蔵室

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C