(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073877
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F25D 23/08 20060101AFI20230519BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
F25D23/08 D
F25D23/08 S
F25D23/00 305D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186614
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】穂高 淳
(72)【発明者】
【氏名】樋山 淳
(72)【発明者】
【氏名】千田 勇介
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102LB02
3L102LB08
3L102LB31
3L102MB17
3L102MB22
3L102MB27
(57)【要約】
【課題】板状断熱材の間隙と外部とを連通する構成を簡素化できる冷蔵庫およびその製造方法を提供する。
【解決手段】冷蔵庫10の断熱材17は、内箱16の外面の近傍に配設された側面板状断熱材22と、外箱15と内箱16との間に発泡充填された充填断熱材23と、を有する。側面板状断熱材22には溝部39が形成されている。冷媒パイプ38は、蛇行して形成されると共に、外箱15と側面板状断熱材22との間に配設される。溝部39は、縦方向に沿って伸びる縦溝部391と、横方向に沿って伸びる横溝部396と、側面板状断熱材22の端部まで伸びる連通溝部395と、を有する。連通パイプ30の内側端部は縦溝部391の中間部に配置され、連通パイプ30の外側端部は断熱箱体11の外部に配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に貯蔵室が形成される断熱箱体と、冷媒パイプと、連通パイプと、を備え、
前記断熱箱体は、前記断熱箱体の外面を形成する外箱と、前記外箱の内部に配設された内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、
前記断熱材は、前記内箱の外面の近傍に配設された板状断熱材と、前記外箱と前記内箱との間に発泡充填される充填断熱材と、を有し、
前記内箱に面する前記板状断熱材の側面であって、前記冷媒パイプが配設される部分には溝部が形成され、
前記冷媒パイプは、その一部が蛇行して形成されると共に、前記外箱と前記板状断熱材との間に配設され、
前記溝部は、縦方向に沿って伸びる縦溝部と、横方向に沿って伸びる横溝部と、前記板状断熱材の周縁部まで伸びる連通溝部と、を有し、
前記連通パイプの内側端部は前記縦溝部の中間部に配置され、前記連通パイプの外側端部は前記断熱箱体の外部に配置されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記縦溝部は、前方で上下方向に沿って伸びる前方縦溝部と、後方で上下方向に沿って伸びる後方縦溝部と、前記前方縦溝部と前記後方縦溝部との間で上下方向に沿って伸びる中間縦溝部と、を有し、
前記横溝部は、前記前方縦溝部と前記中間縦溝部とを繋ぐ前方横溝部と、前記中間縦溝部と前記後方縦溝部とを繋ぐ後方横溝部と、を有し、
前記連通溝部は、前記中間縦溝部と前記後方横溝部との接続箇所から、前記板状断熱材の周縁部まで伸び、
前記連通パイプの前記内側端部は、前記中間縦溝部の中間部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記前方縦溝部の側辺は、前記板状断熱材の前側辺から解放され、
前記後方縦溝部の側辺は、前記板状断熱材の後側辺から解放されることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記板状断熱材は、前側辺と、後側辺と、上側辺と、下側辺と、前記下側辺と前記後側辺とを繋ぐ傾斜側辺と、を有し、
前記連通溝部の外側端部は、前記傾斜側辺まで伸びることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
外箱と、内箱と、板状断熱材と、を準備する工程と、
前記内箱の内側面に、冷媒パイプ、連通パイプおよび前記板状断熱材を固定する工程と、
前記外箱と前記内箱と間に形成される空間に充填断熱材を充填する工程と、を具備し、
前記板状断熱材は、縦方向に沿って伸びる縦溝部と、横方向に沿って伸びる横溝部と、前記板状断熱材の周縁部まで伸びる連通溝部と、を有し、
前記固定する工程では、前記冷媒パイプを前記縦溝部および前記横溝部に配置し、前記連通パイプの内側端部を前記縦溝部の中間部に配置し、前記連通パイプの外側端部を前記外箱の外側に配置し、
前記充填する工程では、前記連通パイプの前記内側端部が配置された部分を除いて、前記縦溝部および前記横溝部に、前記充填断熱材を充填することを特徴とする冷蔵庫の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫およびその製造方法に関し、特に、断熱材として板状断熱材を備えた冷蔵庫およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷蔵庫では、断熱箱体の内部に貯蔵室を形成し、この貯蔵室の前方開口を断熱扉で開閉可能に閉鎖している。断熱箱体は、鋼板から成る外箱と、外箱の内側に配置される合成樹脂板から成る内箱と、外箱と内箱との間に充填された断熱材とから成る。
【0003】
冷蔵庫の断熱箱体に充填される断熱材としては、一般的に発泡ウレタンが採用される。しかしながら、冷蔵庫の更なる省エネルギ化に対処するためには、発泡ウレタンよりも断熱性が高い断熱材が好ましい。
【0004】
そこで、断熱箱体に内蔵される断熱材として板状断熱材、例えば、真空断熱材が採用される場合がある。真空断熱材はガラスウール等の繊維状無機材料を真空包装したものであり、発泡ウレタンの十数倍以上の断熱効果を有する。係る構成とすることで、真空断熱材により貯蔵室と外部とを良好に断熱でき、冷蔵庫の冷却運転に要するエネルギを低減することができる。係る冷蔵庫は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0005】
図12を参照して、真空断熱材が採用された冷蔵庫100の構成を説明する。
図12は冷蔵庫100を示す水平断面図である。
【0006】
冷蔵庫100は、外箱101および内箱102を有し、内箱102の内部に貯蔵室107が形成される。外箱101と内箱102との間には、断熱材として充填断熱材103および板状断熱材104が配置される。板状断熱材104は、外箱101の内面に貼着される。外箱101の内面には、冷媒が流通するパイプ106が配設される。
【0007】
板状断熱材104には溝部105が形成されている。溝部105は、板状断熱材104の幅方向外側面を窪ませた部位である。溝部105にパイプ106が配置されている。係る構成により、パイプ106の幅方向への突出量を抑制し、充填断熱材103を発泡する工程において、パイプ106に沿って外箱101が変形することを抑制できる。
【0008】
図13は、前述した板状断熱材104を示す側面図である。
図13を参照して、板状断熱材104を備えた冷蔵庫において、板状断熱材104に形成された溝部105と外部とを連通させるための構成が記載されている。係る構成は例えば、特許文献2に記載されている。
【0009】
具体的には、連通パイプ108の内側端部を溝部105に配置し、連通パイプ108の外側端部を板状断熱材104の外側に配置している。このようにすることで、連通パイプ108により、溝部105と外部とを連通させ、溝部105の圧力変動を抑制し、前述した外箱101の変形を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4111096号公報
【特許文献2】特許第5578266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述した冷蔵庫では、冷蔵庫の構成および製造方法の観点から改善の余地があった。
【0012】
具体的には、
図13を参照して、連通パイプ108の内側端部を溝部105に配置しているが、製造工程の発泡樹脂を充填する工程において、充填される樹脂により連通パイプ108の内側端部が閉塞されてしまう恐れがあった。
【0013】
かかる課題に対処するべく、連通パイプ108の内側端部に発泡樹脂が進入しないように、溝部105を堰き止めるための堰止部材を配置することも考えられる。しかしながら、係る堰止部材を採用することで、冷蔵庫の構成および製造工程が複雑になり、コストが高くなる課題が発生する。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、板状断熱材の間隙と外部とを連通する構成を簡素化できる冷蔵庫およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の冷蔵庫は、内部に貯蔵室が形成される断熱箱体と、冷媒パイプと、連通パイプと、を備え、前記断熱箱体は、前記断熱箱体の外面を形成する外箱と、前記外箱の内部に配設された内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、前記断熱材は、前記内箱の外面の近傍に配設された板状断熱材と、前記外箱と前記内箱との間に発泡充填される充填断熱材と、を有し、前記内箱に面する前記板状断熱材の側面であって、前記冷媒パイプが配設される部分には溝部が形成され、前記冷媒パイプは、その一部が蛇行して形成されると共に、前記外箱と前記板状断熱材との間に配設され、前記溝部は、縦方向に沿って伸びる縦溝部と、横方向に沿って伸びる横溝部と、前記板状断熱材の周縁部まで伸びる連通溝部と、を有し、前記連通パイプの内側端部は前記縦溝部の中間部に配置され、前記連通パイプの外側端部は前記断熱箱体の外部に配置されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、前記縦溝部は、前方で上下方向に沿って伸びる前方縦溝部と、後方で上下方向に沿って伸びる後方縦溝部と、前記前方縦溝部と前記後方縦溝部との間で上下方向に沿って伸びる中間縦溝部と、を有し、前記横溝部は、前記前方縦溝部と前記中間縦溝部とを繋ぐ前方横溝部と、前記中間縦溝部と前記後方縦溝部とを繋ぐ後方横溝部と、を有し、前記連通溝部は、前記中間縦溝部と前記後方横溝部との接続箇所から、前記板状断熱材の周縁部まで伸び、前記連通パイプの前記内側端部は、前記中間縦溝部の中間部に配置されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記前方縦溝部の側辺は、前記板状断熱材の前側辺から解放され、前記後方縦溝部の側辺は、前記板状断熱材の後側辺から解放されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、前記板状断熱材は、前側辺と、後側辺と、上側辺と、下側辺と、前記下側辺と前記後側辺とを繋ぐ傾斜側辺と、を有し、前記連通溝部の外側端部は、前記傾斜側辺まで伸びることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫の製造方法は、外箱と、内箱と、板状断熱材と、を準備する工程と、前記内箱の内側面に、冷媒パイプ、連通パイプおよび前記板状断熱材を固定する工程と、前記外箱と前記内箱と間に形成される空間に充填断熱材を充填する工程と、を具備し、前記板状断熱材は、縦方向に沿って伸びる縦溝部と、横方向に沿って伸びる横溝部と、前記板状断熱材の周縁部まで伸びる連通溝部と、を有し、前記固定する工程では、前記冷媒パイプを前記縦溝部および前記横溝部に配置し、前記連通パイプの内側端部を前記縦溝部の中間部に配置し、前記連通パイプの外側端部を前記外箱の外側に配置し、前記充填する工程では、前記連通パイプの前記内側端部が配置された部分を除いて、前記縦溝部および前記横溝部に、充填断熱材を充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の冷蔵庫は、内部に貯蔵室が形成される断熱箱体と、冷媒パイプと、連通パイプと、を備え、前記断熱箱体は、前記断熱箱体の外面を形成する外箱と、前記外箱の内部に配設された内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、前記断熱材は、前記内箱の外面の近傍に配設された板状断熱材と、前記外箱と前記内箱との間に発泡充填される充填断熱材と、を有し、前記内箱に面する前記板状断熱材の側面であって、前記冷媒パイプが配設される部分には溝部が形成され、前記冷媒パイプは、その一部が蛇行して形成されると共に、前記外箱と前記板状断熱材との間に配設され、前記溝部は、縦方向に沿って伸びる縦溝部と、横方向に沿って伸びる横溝部と、前記板状断熱材の周縁部まで伸びる連通溝部と、を有し、前記連通パイプの内側端部は前記縦溝部の中間部に配置され、前記連通パイプの外側端部は前記断熱箱体の外部に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、連通パイプの内側端部が縦溝部の中間部に配置されることで、縦溝部の中間部には充填断熱材が充填されないことにより、連通パイプの内側端部が充填断熱材で塞がれることがない。よって、冷蔵庫を製造する際の発泡充填工程において、連通パイプを、空気を抜く経路として用いることができる。また、製造された冷蔵庫においても、連通パイプを、縦溝部の空洞部分と外部とを連通させる経路として用いることができる。
【0021】
また、本発明の冷蔵庫では、前記縦溝部は、前方で上下方向に沿って伸びる前方縦溝部と、後方で上下方向に沿って伸びる後方縦溝部と、前記前方縦溝部と前記後方縦溝部との間で上下方向に沿って伸びる中間縦溝部と、を有し、前記横溝部は、前記前方縦溝部と前記中間縦溝部とを繋ぐ前方横溝部と、前記中間縦溝部と前記後方縦溝部とを繋ぐ後方横溝部と、を有し、前記連通溝部は、前記中間縦溝部と前記後方横溝部との接続箇所から、前記板状断熱材の周縁部まで伸び、前記連通パイプの前記内側端部は、前記中間縦溝部の中間部に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、連通パイプの内側端部を、中間縦溝部の中間部に配置することで、連通パイプの内側端部を、より確実に充填断熱材から遠ざけることができる。よって、連通パイプが充填断熱材により閉塞することをより確実に防止できる。
【0022】
また、本発明の冷蔵庫では、前記前方縦溝部の側辺は、前記板状断熱材の前側辺から解放され、前記後方縦溝部の側辺は、前記板状断熱材の後側辺から解放されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、前方縦溝部および後方縦溝部の側辺が解放されることにより、冷蔵庫製造時の発泡充填工程において、前方縦溝部および後方縦溝部に、充填断熱材を容易に充填することができる。
【0023】
また、本発明の冷蔵庫では、前記板状断熱材は、前側辺と、後側辺と、上側辺と、下側辺と、前記下側辺と前記後側辺とを繋ぐ傾斜側辺と、を有し、前記連通溝部の外側端部は、前記傾斜側辺まで伸びることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、連通溝部の外側端部が、傾斜側辺まで伸びることで、冷蔵庫製造時の発泡充填工程において、連通溝部に充填断熱材を容易に充填することができる。
【0024】
また、本発明の冷蔵庫の製造方法は、外箱と、内箱と、板状断熱材と、を準備する工程と、前記内箱の内側面に、冷媒パイプ、連通パイプおよび前記板状断熱材を固定する工程と、前記外箱と前記内箱と間に形成される空間に充填断熱材を充填する工程と、を具備し、前記板状断熱材は、縦方向に沿って伸びる縦溝部と、横方向に沿って伸びる横溝部と、前記板状断熱材の周縁部まで伸びる連通溝部と、を有し、前記固定する工程では、前記冷媒パイプを前記縦溝部および前記横溝部に配置し、前記連通パイプの内側端部を前記縦溝部の中間部に配置し、前記連通パイプの外側端部を前記外箱の外側に配置し、前記充填する工程では、前記連通パイプの前記内側端部が配置された部分を除いて、前記縦溝部および前記横溝部に、充填断熱材を充填することを特徴とする。本発明の冷蔵庫の製造方法によれば、連通パイプの内側端部を、縦溝部の中間部に配置することで、縦溝部の中間部に充填断熱材が充填されず、連通パイプの内側端部が充填断熱材で塞がれることがない。よって、連通パイプを、空気を抜く経路として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す側方断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外箱を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷媒パイプおよび側面板状断熱材を示す拡大斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外箱側面板、冷媒パイプおよび側面板状断熱材を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷媒パイプおよび側面板状断熱材を詳細に示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す斜視図である。
【
図10A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法の発泡充填工程を示す側面図である。
【
図10B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法の発泡充填工程を示す側面図である。
【
図10C】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法の発泡充填工程を示す側面図である。
【
図11A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法の発泡充填工程を示す側面図である。
【
図11B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法の発泡充填工程を示す側面図である。
【
図11C】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法の発泡充填工程を示す側面図である。
【
図12】背景技術に係る冷蔵庫を示す断面図である。
【
図13】背景技術に係る冷蔵庫を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10の幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0027】
図1は、冷蔵庫10を示す斜視図である。冷蔵庫10は、断熱箱体11の内部に、貯蔵室としての冷蔵室12および冷凍室13が形成される。冷蔵室12の前面開口は断熱扉34で閉鎖され、冷凍室13の前面開口は断熱扉35で閉鎖される。断熱扉34および断熱扉35は、例えば右方側の端部が、断熱箱体11に介して回転可能に接続された回転式の扉である。断熱扉34および断熱扉35としては、引出式の扉が採用されても良い。
【0028】
図2は、冷蔵庫10を示す側方断面図である。
図2に示すように、冷凍室13の後方には冷却室27が区画形成され、冷却室27には蒸発器26が配置される。また、断熱箱体11の最下部後方には機械室14が区画形成されており、機械室14には圧縮機29が配置される。蒸発器26および圧縮機29は、図示しない膨張手段および凝縮器と接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成している。ここで、冷凍サイクルを構成する各構成機器は、後述する冷媒パイプ38により相互に接続される。後述する冷媒パイプ38は、冷凍サイクルで用いられる冷媒が流通する。また、冷蔵室12と冷凍室13とは、断熱区画壁33により区画されている。断熱区画壁33は、断熱箱体11と同様の断熱構造を有している。
【0029】
冷却室27の上部には送風機28が配設されている。送風機28は、蒸発器26が冷却した冷却室27の内部の空気を、冷蔵室12および冷凍室13に送風する。冷蔵室12への風路には、ダンパ19が介装される。ここでは図示しない制御装置は、冷蔵室の庫内温度を検知し、ダンパ19の開閉を制御する。これにより、冷蔵室12への冷気の流量を調整し、冷蔵室12の庫内温度を一定に保つ。従って、冷蔵室12は冷蔵温度帯域に冷却され、冷凍室13は冷凍温度帯域に冷却される。また、冷蔵室12および冷凍室13を冷却した冷気は、冷却室27に帰還する。
図2では、冷気の流れを矢印で示している。蒸発器26の下方には、蒸発器26の着霜を熔融するための除霜ヒータ20が配設される。
【0030】
断熱箱体11は、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板から成る外箱15と、外箱15の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱16と、外箱15と内箱16との間に配設される断熱材17と、から構成される。
【0031】
断熱材17は、外箱15の内側面に接着される後面板状断熱材25と、外箱15と内箱16との間の空間に充填される充填断熱材23と、を有する。後面板状断熱材25は、ガラス等の繊維の集合体を袋に配置し、その袋の内部を真空状態にしたものである。充填断熱材23は、例えば発泡ウレタンが採用される。断熱効果が極めて大きい後面板状断熱材25を、断熱材17の一部に採用することで、冷蔵室12および冷凍室13と外部雰囲気とを良好に断熱でき、冷蔵庫10の消費電力を低減できる。ここで、後面板状断熱材25は、真空断熱材とも称される。
【0032】
図3は、冷蔵庫10の外箱15を示す斜視図である。外箱15は、厚みが0.5mm程度の薄い鋼板を曲折加工して成り、外箱後面板151(
図2参照)と、外箱後面板151の左右方向端部から前方に向かって伸びる外箱側面板152と、外箱後面板151の上方端部から前方に向かって伸びる外箱上面板153と、を有する。
【0033】
外箱側面板152の内側面には、側面板状断熱材22が貼着される。側面板状断熱材22は、外箱側面板152の下方後端部分を除いて、外箱側面板152の大部分を覆っている。このようにすることで、側面板状断熱材22の断熱作用により、外箱15の内部側に形成される各貯蔵室を効果的に保温することができる。側面板状断熱材22は、後述する接着材層31により、外箱側面板152の内側面に貼着される。側面板状断熱材22の構成は、前述した後面板状断熱材25と同様である。ここでは、左方側の外箱側面板152の幅方向内側面に貼着される側面板状断熱材22を、点線で示している。
【0034】
外箱上面板153の下側面には、上面板状断熱材24が貼着される。上面板状断熱材24の構成は、前述した後面板状断熱材25と同様である。
【0035】
外箱側面板152の内側面に沿って、冷媒パイプ38の一部が蛇行して配置される。ここでは、冷媒パイプ38の大部分は、側面板状断熱材22により隠れて見えない。冷媒パイプ38は、前述した圧縮機29により圧縮されることで高温となった高温冷媒が流通する。冷媒パイプ38は、クレストパイプとも称される。また、側面板状断熱材22の下方後側からは、連通パイプ30が導出している。連通パイプ30は、冷蔵庫10を製造する際の発泡工程において、側面板状断熱材22と外箱側面板152との間に存在する空気を外部に放出するための経路である。
【0036】
図4は、冷媒パイプ38、連通パイプ30および側面板状断熱材22の関連構成を示す拡大斜視図である。
【0037】
側面板状断熱材22の右側面を部分的に窪ませることで溝部39が形成されている。溝部39は、縦溝部391および連通溝部395を有している。縦溝部391は、冷媒パイプ38を配置するための溝部である。連通溝部395は、連通パイプ30を配置するための溝部である。
【0038】
冷媒パイプ38は、縦溝部391の端部から下方に向かって引き出されている。冷媒パイプ38は、前述したように、冷凍サイクルを構成する機器を相互に接続する。
【0039】
連通パイプ30は、連通溝部395の端部から下方に向かって引き出されている。具体的には、連通パイプ30の上方側の端部は、後述する中間縦溝部393の内部に配置される。一方、連通パイプ30の下方側の端部は、外部に導出している。これにより、連通パイプ30を介して、中間縦溝部393と外部とは連通する。よって、後述する発泡充填工程において、中間縦溝部393の内部に存在する空気を、連通パイプ30を経由して、外部に放出させることができる。
【0040】
図5は、外箱側面板152、冷媒パイプ38および側面板状断熱材22を幅方向に離して示す分解斜視図である。
【0041】
前述したように、外箱側面板152と側面板状断熱材22との間に、冷媒パイプ38および連通パイプ30が配置される。側面板状断熱材22は、接着材層31により、外箱側面板152に貼着される。接着材層31は、熱可塑性接着材であり、ホットメルト接着剤とも称される。
【0042】
また、冷媒パイプ38と連通パイプ30とは、一体化した構成部品として、側面板状断熱材22と外箱側面板152との間に配置される。
【0043】
図6は、側面板状断熱材22と冷媒パイプ38とを離して詳細に示す分解斜視図である。
【0044】
側面板状断熱材22は、上下方向に長手方向を有する略矩形状の板状部材である。具体的には、側面板状断熱材22は、周縁部として、前側辺221、後側辺222、上側辺223および下側辺224を有する。また、側面板状断熱材22と下側辺224との間には、傾斜側辺225が形成されている。傾斜側辺225は、後方に向かって上方に傾斜する。
【0045】
溝部39は、縦方向に沿って伸びる縦溝部391と、横方向に沿って伸びる横溝部396と、側面板状断熱材22の端部まで伸びる連通溝部395と、を有する。溝部39には、後述する冷媒パイプ38の蛇行部381が配置される。溝部39の深さは、蛇行部381の外形と略同等とされている。よって、蛇行部381を縦溝部391および横溝部396に配置することで、蛇行部381の幅方向外側への突出量を小さくすることができる。
【0046】
縦溝部391は、前方で上下方向に沿って伸びる前方縦溝部392と、後方で上下方向に沿って伸びる後方縦溝部394と、前方縦溝部392と後方縦溝部394との間で上下方向に沿って伸びる中間縦溝部393と、を有する。前方縦溝部392は、前側辺221に沿って形成されており、前方および上方に向かって解放されている溝状の部位である。後方縦溝部394は、後側辺222に沿って形成されており、後方および下方に向かって解放されている溝状の部位である。
【0047】
横溝部396は、前方横溝部397と、後方横溝部398と、を有する。前方横溝部397は、前方縦溝部392の下端部と、中間縦溝部393の下端部とを繋ぐ。後方縦溝部394は、中間縦溝部393の上端部と、後方縦溝部394の上端部とを繋ぐ。
【0048】
このように、溝部39は、蛇行して形成された連続する溝として、側面板状断熱材22の幅方向外側面である右側主面に形成される。溝部39が連続することにより、製造時の発泡充填工程において、溝部39にウレタン樹脂を充填することができる。
【0049】
連通溝部395は、中間縦溝部393の下端部と、後方縦溝部394の後端部との接続箇所から、側面板状断熱材22の傾斜側辺225まで伸びる。後方横溝部398には、後述する連通パイプ30の中間部が配置される。
【0050】
また、溝部39の各部位の幅は、冷蔵庫製造時の発泡充填工程において、後述する充填断熱材23が流動しやすい長さとなっている。具体的には、前方縦溝部392の幅をL10、中間縦溝部393の幅をL11、後方縦溝部394の幅をL12とした場合、L11を最も狭くしている。L11を最も狭くすることで、発泡充填工程において、中間縦溝部393の内部における、充填断熱材23の過度の進入が抑制される。これにより、連通パイプ30の内側端部が、充填断熱材23により閉塞されることを防止できる。
【0051】
また、前方縦溝部392の幅L10は、中間縦溝部393の幅L11、および、後方縦溝部394の幅L12よりも広くされている。このようにすることで、発泡充填工程において、充填断熱材23を容易に前方縦溝部392に充填し、更に、前方横溝部397等に充填断熱材23を積極的に充填することもできる。
【0052】
更に、後方縦溝部394の幅L12は、中間縦溝部393の幅L11よりも広くされている。このようにすることで、発泡充填工程において、後方縦溝部394に充填断熱材23を容易に充填できる。更に、後方縦溝部394を経由して、後方横溝部398および中間縦溝部393に、充填断熱材23を充填させることができる。
【0053】
冷媒パイプ38は、蛇行部381と、傾斜部388と、外部延在部387と、を有する。冷媒パイプ38は、鉄などの金属から成る鋼管である。
【0054】
蛇行部381は、冷媒パイプ38が蛇行して形成された部分であり、縦方向延在部384、横方向延在部385、縦方向延在部383、横方向延在部386および縦方向延在部382を有する。縦方向延在部384、縦方向延在部383および縦方向延在部382は、冷媒パイプ38が上下方向に沿って直線状に伸びる部位である。横方向延在部385および横方向延在部386は、前後方向に沿って冷媒パイプ38が直線状に伸びる部位である。蛇行部381を形成することで、前述した外箱側面板152と冷媒パイプ38とが接触する面積を大きくでき、冷媒パイプ38の内部を流通する冷媒と外箱側面板152とを積極的に熱交換でき、冷媒パイプ38の内部を流通する高温冷媒を効果的に冷却できる。
【0055】
外部延在部387は、冷凍サイクルを構成する機器と蛇行部381とを繋ぐ。
【0056】
傾斜部388は、蛇行部381の端部と外部延在部387とを繋ぐ部分であり、下方に向かって前方に傾斜している。傾斜部388を設けることで、連通パイプ30を冷媒パイプ38に対してより強固に固定することができる。
【0057】
連通パイプ30は、例えば合成樹脂等からなるパイプ状の部材である。連通パイプ30の上端部側は、蛇行部381の縦方向延在部383に対して略平行に延在し、連通パイプ30の下端側は、外部延在部387に対して略平行に延在する。連通パイプ30の中間部分は、上方に向かって前方に傾斜している。また、連通パイプ30の上端部は縦方向延在部383に固定され、連通パイプ30の下端側は外部延在部387に固定されている。連通パイプ30の、上端部近傍および下端部近傍は、上下方向に沿って略直線状に伸びている。
【0058】
係る構成の冷媒パイプ38の各部は、側面板状断熱材22の溝部39に配置される。具体的には、縦方向延在部384は前方縦溝部392に配置され、横方向延在部385は前方横溝部397に配置され、縦方向延在部383は中間縦溝部393に配置され、横方向延在部386は後方横溝部398に配置され、縦方向延在部382は後方縦溝部394に配置される。
【0059】
また、連通パイプ30の上側端部は中間縦溝部393の中間部に配置され、連通パイプ30の中間部は連通溝部395に配置され、連通パイプ30の下方端部は側面板状断熱材22から下方側に突出している。
【0060】
図7から
図11Cに基づいて、更に前述した各図も参照しつつ、前述した冷蔵庫10の製造方法を説明する。
図7は、準備される外箱15を示す斜視図である。
図8は、冷媒パイプ38が組み込まれた外箱15を示す斜視図である。
図9は側面板状断熱材22が固定された外箱15を示す斜視図である。
図10Aないし
図11Cは、充填断熱材23を発泡充填する工程を逐次的に示す側面図である。
【0061】
先ず、
図7の斜視図を参照して、外箱15を準備する。前述したように外箱15は、所定形状に曲折加工された金属板から成り、外箱上面板153および外箱側面板152を有する。また、
図2に示した内箱16等は別途に用意されている。更に、外箱側面板152の内側側面には、後の工程で側面板状断熱材22を固定するために、
図5に示した接着材層31が塗布される。
【0062】
次に、
図8を参照して、外箱側面板152に冷媒パイプ38を組み込む。外箱側面板152への冷媒パイプ38の固定は、例えば、冷媒パイプ38の複数箇所を接着テープなどにより接着することで行われる。前述したように、冷媒パイプ38は、連通パイプ30が固定された状態で準備されている。よって、冷媒パイプ38を外箱側面板152に設置する工程は、連通パイプ30を外箱側面板152に設置する工程を兼ねている。
【0063】
次に、
図9を参照して、側面板状断熱材22を外箱側面板152に貼着する。前述したように、外箱側面板152の内面には、
図5に示した接着材層31が塗布されている。よって、側面板状断熱材22を、外箱側面板152の幅方向内面の所定位置に取り付ければ、外箱側面板152を容易に固定することができる。また、
図6に示したように、側面板状断熱材22には、縦溝部391、横溝部396および連通溝部395が形成されている。よって、側面板状断熱材22を所定位置に貼り付けることによって、冷媒パイプ38の蛇行部381および連通パイプ30を、側面板状断熱材22の縦溝部391、横溝部396および連通溝部395に配置できる。
【0064】
上記工程が終了したら、外箱15に、
図2に示した内箱16および外箱後面板151を嵌め込み、充填断熱材23を充填する。係る発泡充填工程を、
図10Aないし
図11Cを参照して説明する。
【0065】
図10Aを参照して、外箱15は、後面を下方にして、作業面に載置されている。以下の説明において、上方および下方は、前述した前方および後方に対応している。
【0066】
図10Aを参照して、外箱15の上面を部分的に開口することで、注入口36が形成されている。注入口36には、注入ヘッド37の下端部分が挿入されている。注入ヘッド37からは、外箱15の内部に対して、液状の充填断熱材23が注入される。充填断熱材23としては、例えばウレタン樹脂が採用される。外箱15の内部に注入された充填断熱材23は、外箱15の下部に注ぎ込まれる。ここでは、充填断熱材23は液状であるため、充填断熱材23は、外箱15の下面近傍に一端貯留される。
【0067】
図10Bを参照して、注入された充填断熱材23は、化学反応を起こすことにより発泡を始める。発泡された充填断熱材23は、先ず、前方縦溝部392に充填される。この時、前方縦溝部392の下側辺は解放状態であるため、充填断熱材23は、前方縦溝部392に容易に進入できる。
【0068】
図10Cを参照して、発泡が更に進むと、充填断熱材23は、徐々に上方に向かって移動する。充填断熱材23の一部は、前方縦溝部392に充填された後に、前方横溝部397に進入する。充填断熱材23は、発泡しているフォーム状態であるため、前方横溝部397の内部に於いて上方に向かって移動することができる。
【0069】
図11Aを参照して、発泡が更に進行すると、充填断熱材23は、前方横溝部397に充填された後に、中間縦溝部393にも進入する。また、連通溝部395には、上方右方側からも後面板状断熱材25が充填される。更に、連通溝部395に流入した充填断熱材23の一部は、中間縦溝部393の右方部分にも流入する。この時、充填断熱材23の大部分は、発泡した状態を呈しているので、充填断熱材23は連通溝部395および中間縦溝部393にスムーズに進入できる。
【0070】
図11Bを参照して、発泡が更に進行すると、上側右方側から、充填断熱材23が後方縦溝部394に充填される。ここで、後方縦溝部394は、上辺が開放状態であるため、充填断熱材23は後方縦溝部394に容易に進入できる。
【0071】
後方縦溝部394に流入した充填断熱材23の一部は、左方側から中間縦溝部393に進入する。この時、中間縦溝部393に進入する充填断熱材23は、発泡しているフォーム状である。よって、中間縦溝部393の内部において充填断熱材23が進行する勢いは弱く、進入した充填断熱材23が、中間縦溝部393の右端側まで到達することはない。また、中間縦溝部393が、前方縦溝部392および後方縦溝部394と比較して細いことによっても、充填断熱材23が進行する勢いを弱くすることができる。
【0072】
図11Cに、充填断熱材23の発泡充填が終了して充填断熱材23が硬化した状態を示す。充填断熱材23は、前方縦溝部392、前方横溝部397、連通溝部395、後方横溝部398には、ほぼ全域に充填される。
【0073】
一方、中間縦溝部393に関しては、左方端部および右方端部には充填断熱材23は充填されているが、中央部近傍には充填断熱材23は充填されていない。よって、連通パイプ30の内側端部は、充填断熱材23により閉塞されてない。換言すると中間縦溝部393の中間部には、充填断熱材23が充填されていない非充填領域40が形成されている。このことから、中間縦溝部393の非充填領域40は、連通パイプ30を介して、外部と連通している。よって、冷蔵庫10の運転時に外部雰囲気の温度が変化しても、中間縦溝部393の非充填領域40が外部と連通していることから、非充填領域40の内部圧力が変化することがない。従って、非充填領域40を覆う部分の外箱側面板152が変形することを抑制でき、外箱15の外観性の低下を抑制できる。
【0074】
本実施形態によれば、以下に記載する主要な効果を奏することができる。
【0075】
図11Cを参照して、連通パイプ30の内側端部が中間縦溝部393の中間部に配置されることで、縦溝部391の中間部には充填断熱材23が充填されていないことにより、連通パイプ30の内側端部が充填断熱材23で塞がれることがない。よって、冷蔵庫10を製造する際の発泡充填工程において、連通パイプ30を、空気を抜く経路として用いることができる。また、製造された冷蔵庫10においても、連通パイプ30を、縦溝部391と外部とを連通させる経路として用いることができる。
【0076】
図6を参照して、前方縦溝部392および後方縦溝部394の側辺が解放されることにより、冷蔵庫製造時の発泡充填工程において、前方縦溝部392および後方縦溝部394に、充填断熱材23を容易に充填することができる。
【0077】
図6を参照して、連通溝部395の外側端部が、傾斜側辺225まで伸びることにより、冷蔵庫製造時の発泡充填工程において、連通溝部395に充填断熱材23を容易に充填することができる。
【0078】
図11Cを参照して、連通パイプ30の内側端部を、縦溝部391の中間部に配置することで、縦溝部391の中間部に充填断熱材23が充填されず、連通パイプ30の内側端部が充填断熱材23で塞がれることがない。よって、連通パイプ30を、空気を抜く経路として用いることができる。また、発泡充填における充填断熱材23の挙動を利用して、非充填領域40を形成するので、充填断熱材23の進行を阻むための部材を不要にして、発泡充填工程を行うことができる。
【0079】
詳述すると、本実施形態では、側面板状断熱材22に溝部39を形成することで、溝部39が、充填断熱材23が流通するための経路として機能する。また、中間縦溝部393の中間部に、充填断熱材23が充填されない非充填領域40を形成し、非充填領域40に連通パイプ30の内側端部を配置する。このようにすることで、連通パイプ30の内側端部が閉塞することを防止している。更に、連通パイプ30を介して非充填領域40を外部と連通させ、冷蔵庫10の使用状況下における非充填領域40の圧力変動を抑制し、外箱側面板152の外観性低下も抑制することができる。
【0080】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 機械室
15 外箱
151 外箱後面板
152 外箱側面板
153 外箱上面板
16 内箱
17 断熱材
19 ダンパ
20 除霜ヒータ
22 側面板状断熱材
221 前側辺
222 後側辺
223 上側辺
224 下側辺
225 傾斜側辺
23 充填断熱材
24 上面板状断熱材
25 後面板状断熱材
26 蒸発器
27 冷却室
28 送風機
29 圧縮機
30 連通パイプ
31 接着材層
33 断熱区画壁
34 断熱扉
35 断熱扉
36 注入口
37 注入ヘッド
38 冷媒パイプ
381 蛇行部
382 縦方向延在部
383 縦方向延在部
384 縦方向延在部
385 横方向延在部
386 横方向延在部
387 外部延在部
388 傾斜部
39 溝部
391 縦溝部
392 前方縦溝部
393 中間縦溝部
394 後方縦溝部
395 連通溝部
396 横溝部
397 前方横溝部
398 後方横溝部
40 非充填領域
100 冷蔵庫
101 外箱
102 内箱
103 充填断熱材
104 板状断熱材
105 溝部
106 パイプ
107 貯蔵室
108 連通パイプ