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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073900
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】可倒式柵
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/04 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
E01F15/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186654
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉村 真一
(72)【発明者】
【氏名】上田 樹
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA06
2D101DA04
2D101EA02
2D101FA11
2D101FA23
2D101FB01
2D101HA03
2D101HA11
(57)【要約】
【課題】パネル部を容易に倒伏状態にできる可倒式柵を提供する。
【解決手段】各固定部の間に配置するパネル部を備え、各固定部の支持部へパネル部の接続部を軸部によって軸支させると共に、前記接続部を貫通する締結部材からなる規制部材によって前記軸部を軸とする前記パネル部の回転を規制する。締結部材からなる規制部材によって前記軸部を軸とする前記パネル部の回転を規制するので、前記締結部材の締結を解除して規制部材を取り外すことで、パネル部の回転の規制と解除を容易に行うことができ、パネル部を倒伏状態にする作業を容易に行うことができる。
【選択図】 図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に間隔をあけて複数設置される固定部と、該各固定部の間に配置されて各固定部に軸支されるパネル部とを備える可倒式柵であって、
前記各固定部は、設置面に固定される設置部と、該設置部から上方に延設される支持部とが形成され、
前記パネル部は前記各固定部の支持部へそれぞれ接続される接続部が形成され、該接続部が前記支持部へ軸部によって軸支されると共に、前記接続部を貫通する締結部材からなる規制部材によって前記軸部を軸とする前記パネル部の回転が規制されるように設けられていることを特徴とする可倒式柵。
【請求項2】
前記規制部材が雄ねじ部と該雄ねじ部より径方向へ大きな頭部を備え、該頭部が前記接続部の外面へ当接した状態で前記雄ねじ部が螺結されていることを特徴とする請求項1に記載の可倒式柵。
【請求項3】
前記固定部に当接部が設けられ、該当接部は回転する前記パネル部の前記接続部の外面が当接するように形成されると共に、前記接続部の外面が当接する部位が前記外面に対応する形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の可倒式柵。
【請求項4】
前記固定部に前記支持部が複数形成され、該各支持部にそれぞれ異なるパネル部の接続部が軸支されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の可倒式柵。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立設させた柵のパネル部を回転させて倒伏状態にすることができる可倒式柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川に沿って設置させる柵などは、大雨などによって増水した時に、水や流されてくる流木等の漂流物の接触によって損傷する場合があった。このような損傷を防止するために、パネル状部位を立設状態から倒伏状態へ変更できる柵の構成が検討され、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、河畔、池畔など水際周辺に沿って立設する防護フェンスにおいて、横棒、縦棒を組合わせて単位長さと高さよりなる長方形状に形成したフェンス本体1と、該フェンス本体1の両側端より突出する脚体11が回動不能に外嵌する上部連結棒2と、該上部連結棒2の下端が屈折自在に連結する下部連結棒3と、地中に埋設し前記上部連結棒2および下部連結棒3を一体的に昇降自在に内嵌する鞘管4とよりなり、鞘管4の上端近くへ係止孔41を穿孔すると共に、該係止孔41と同径の係止孔21および係止孔31を前記上部連結棒および下部連結棒にそれぞれ設け、該係止孔41と係止孔21、または係止孔41と係止孔31へ共通して挿通する係止ピン5は、一端がフェンス本体1とフレキブルに繋止し、他端では該係止ピン5と同径の頭部56を具えて軸線に対して回動自在なピン止め51を軸支したことを特徴とする屈折式防護フェンスの構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登実第3050193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される屈折式防護フェンスは、上部連結棒2と下部連結棒3の連結部分における屈曲によりフェンス本体1を倒伏させるように設けているが、倒伏させるときに上記の連結部分を鞘管4の内側から抜き出すようにフェンス本体1を持ち上げる必要があり、特にフェンス本体1の重量が大きい場合などは作業者の負荷が大きかった。
【0006】
本発明は、パネル部を容易に倒伏状態にできる可倒式柵を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る可倒式柵は、長手方向に間隔をあけて複数設置される固定部と、該各固定部の間に配置されて各固定部に軸支されるパネル部とを備える可倒式柵であって、
前記各固定部は、設置面に固定される設置部と、該設置部から上方に延設される支持部とが形成され、
前記パネル部は前記各固定部の支持部へそれぞれ接続される接続部が形成され、該接続部が前記支持部へ軸部によって軸支されると共に、前記接続部を貫通する締結部材からなる規制部材によって前記軸部を軸とする前記パネル部の回転が規制されるように設けられていることを特徴とするとするものである。
【0008】
本発明に係る可倒式柵によれば、長手方向に間隔をあけて複数設置させる固定部と、この各固定部の間に配置させて各固定部に軸支させるパネル部とを備えるので、固定部に対してパネル部を回転させて立設状態と倒伏状態とを切り替えることができる。
また、前記各固定部に、設置面へ固定する設置部と、この設置部から上方に延設する支持部とを形成し、
前記パネル部に前記各固定部の支持部へそれぞれ接続させる接続部を形成し、この接続部を前記支持部へ軸部によって軸支させるので、前記軸部を中心として前記接続部を回転させて、前記パネル部の立設状態と倒伏状態とを切り替えることができる。
また、締結部材からなる規制部材によって前記軸部を軸とする前記パネル部の回転を規制するので、前記締結部材の締結を解除して規制部材を取り外すことで、パネル部の回転の規制と解除を容易に行うことができ、パネル部を倒伏状態にする作業を容易に行うことができる。
また、前記規制部材を構成する締結部材を前記接続部へ貫通させて設けているので、可倒式柵の使用時において前記パネル部が外力を受けて前記接続部へ負荷がかかったときに、規制部材を貫通させるために形成した孔状等の部位の縁部分へ負荷がかかることで、接続部の外面など他の部位への負荷が低減される。
【0009】
また、前記規制部材に雄ねじ部とこの雄ねじ部より径方向へ大きな頭部を備えさせ、この頭部を前記接続部の外面へ当接させた状態で前記雄ねじ部を螺結させれば、規制部材を配置した部分において接続部と支持部との間に隙間が生じにくく、パネル部を固定部へ安定的に取り付けることができるので、好ましい。
【0010】
また、前記固定部に当接部を設け、この当接部を回転する前記パネル部の前記接続部の外面が当接するように形成すれば、前記当接部へ接続部を当接させてパネル部の回転を規制し、倒伏状態におけるパネル部の角度を一定の範囲に収めることができる、また、前記接続部の外面が当接する当接部の部位を前記外面に対応する形状に形成すれば、当接部へ当接することによる接続部の外面への負荷が分散され、接続部の外面に凹みなどの変形が生じにくくなされるので、好ましい。
【0011】
また、前記固定部に前記支持部を複数形成し、この各支持部にそれぞれ異なるパネル部の接続部を軸支させれば、一つの固定部に複数のパネル部を取り付けて、各パネル部を並設させることができるので、可倒式柵の設置が容易となり、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る可倒式柵によれば、パネル部を容易に倒伏状態にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る可倒式柵の実施の一形態を示す正面図である。
図2図1のパネル部を示す正面図である。
図3図1の固定部を示す正面図である。
図4図3の右側面図である。
図5図3の平面図である。
図6図3の左側面図である。
図7図3の背面図である。
図8図3の固定部へ図2のパネル部を取り付けた状態を示す正面図である。
図9図8のA-A断面図である。
図10図8の軸部付近を拡大して示す背面図である。
図11図8の規制部材付近を拡大して示す背面図である。
図12図1の固定部を示す正面図である。
図13図12の左側面図である。
図14図12の平面図である。
図15図12の固定部へ図2のパネル部を取り付けた状態を示す正面図である。
図16図15のA-A断面図である。
図17図15の軸部付近を拡大して示す背面図である。
図18図15の規制部材付近を拡大して示す背面図である。
図19図9のパネル部を倒伏させた状態を示す図である。
図20図16のパネル部を倒伏させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面において1は可倒式柵である。
図1に示す可倒式柵1は、間隔をあけて設置面Gに設置する固定部3、4と、各固定部3、4の間に配置するパネル部2とを備え、パネル部2はその両側の端部にそれぞれ配置する柱部21を各固定部3、4へ接続して設置している。
固定部3、4は、パネル部2の柱部21を1個支持する固定部3と、前記柱部21を2個支持可能な固定部4とを有しており、可倒式柵1の端に前記固定部3を配置して設置し、複数並設させるパネル部2の間に前記固定部4を配置して、それぞれ柱部21を接続させてパネル部2を支持し、可倒式柵1を形成している。
尚、図1における図中左右方向を長手方向とし、長手方向に対して垂直な図中上下方向を上下方向とし、長手方向と上下方向のそれぞれに対し垂直な方向を前後方向として、以降の説明を行う。
【0015】
図2図1のパネル部2を示す正面図である。
パネル部2は、丸形鋼管で形成した前記柱部21を長手方向両側の端部に配置しており、各柱部21に架け渡すようにビーム部26を設けている。
ビーム部26は断面略円形の長尺状に形成しており、長手方向の両端をそれぞれ前記各柱部21へ接続している。ビーム部26は上下方向に間隔をあけて2個配置しており、上方に配置したビーム部26を各柱部21の上部へ接続し、下方に配置したビーム部26を各柱部21の下部へ接続している。
各ビーム部26の間には格子部27を配置して設けている。
格子部27は断面略円形の長尺状に形成しており、上下方向の両端をそれぞれ前記各ビーム部26へ接続している。
格子部27は長手方向へ等間隔に12個配置しており、パネル部2を所謂縦格子パネルに形成している。
【0016】
図3図1の固定部3を示す正面図であり、図4図3の右側面図であり、図5図3の平面図であり、図6図3の左側面図であり、図7図3の背面図である。
固定部3は、下端に配置した矩形板状の設置部39と、設置部39の上面から上方へ突出する支柱部30を形成しており、設置部39の下面を設置面Gへ当接させて設置させるように設けている。
具体的には、図5に示すように、設置部39には上下方向へ貫通する円形の貫通孔39aを4個形成しており、この各貫通孔39aへ設置面Gに埋設固定したアンカーボルトBの雄ねじ部分をそれぞれ挿通させナットを螺結させることで、固定部3を設置面Gへ設置させるように設けている。
【0017】
前記支柱部30は、平板状の基板部30aと、その両側の縁から垂直方向へそれぞれ延設する平板状の側板部30bを備える断面略コの字形状の長尺体に形成している。
支柱部30は、前記基板部30aを前方側に配置し、前記各側板部30bをそれぞれ長手方向の両側に配置して、その下端を前記設置部39の上面へ溶接によって固定している。
支柱部30は、2個の側板部30bのうちの一方が前記パネル部2の柱部21を支持する支持部31として機能するように形成している。図3に示す前記支持部30においては、図中右側に配置した側板部30bを支持部31として機能するように設けている。
また、前記支持部30の基板部30aは、後述する倒伏状態となされたパネル部2の柱部21が当接する当接部32として機能するように設けている。当接部32となされる基板部30aは、その上の縁部分32aを柱部21の外面に対応する円弧状に窪む凹形状に形成している。
【0018】
図6に示すように、支持部31となされる側板部30bには、円形の貫通孔31a、31bを上下方向へ間隔をあけて1個ずつ形成している。前記貫通孔31aは側板部30bの上部に配置して形成し、前記貫通孔31bは貫通孔31aの真下に配置して形成している。
【0019】
支持部31となされる前記側板部30bに相対する他方の側板部30bは、図4に示すように、円形の貫通孔33a、33bと、挿通部34を形成している。貫通孔33aは前記貫通孔31aに対応する位置に配置して、貫通孔31aよりも大きな円形に形成しており、貫通孔33bは前記貫通孔31bに対応する位置に配置して、貫通孔31bよりも大きな円形に形成している。
前記挿通部34は略矩形の切り欠きであり、前記貫通孔33aと貫通孔33bの間に配置して、側板部30bの後方側の縁から前方へ向かうように形成している。即ち、前記挿通部34は、当接部32として機能する前記基板部30aが配置された前方とは逆側の後方へ開口する切り欠き状に形成している。
【0020】
図8図3の固定部3へ図2のパネル部2を取り付けた状態を示す正面図であり、図9図8のA-A断面図である。図8は、図1の可倒式柵1の固定部3付近を拡大した図である。図9や後述する図19においては、アンカーボルトBの図示を省略して、図面を簡略化している。
パネル部2は、前記柱部21の下部を固定部3の支持部31へ接続する接続部として機能するように設けている。具体的には、柱部21の下部には、軸部5を長手方向へ挿通可能な貫通孔(図示せず)を形成しており、柱部21と前記貫通孔31aに挿通させた軸部5によってパネル部2を支持部31へ取り付けている。
また、接続部となされる柱部21の下部には、規制部材6を長手方向へ挿通可能な貫通孔(図示せず)を形成しており、柱部21と前記貫通孔31bに挿通させた規制部材6によってパネル部2を支持部31へ取り付けている。
【0021】
図10図8の軸部5付近を拡大して示す背面図である。
軸部5は、雄ねじ部材51と雌ねじ部材52とスペーサー53を備えている。具体的には、前記雄ねじ部材51をねじ頭部51aと雄ねじ部51bを備える六角ボルトで形成し、前記雌ねじ部材52をナットで形成し、スペーサー53を前記雄ねじ部51bが内側へ挿通可能な円筒形状の金具で形成している。
前記雌ねじ部材52は、前記雄ねじ部51bへナットを2個螺結させた所謂ダブルナットとしている。
前記雄ねじ部材51のねじ頭部51aと、雌ねじ部材52は、それぞれ前記雄ねじ部51bよりも径方向へ大きく形成した軸部5の頭部5aとして機能する。
【0022】
前記軸部5は、パネル部2の柱部21にスペーサー53を挿通させており、スペーサー53の一方の端部を柱部21の外面近傍に配置し、他方の端部を支持部31となされる側板部30bの前記貫通孔31aの内側に配置している。
前記雄ねじ部材51は、雄ねじ部51bを前記スペーサー53の内側へ挿入して前記柱部21と支持部31へ挿通させており、支持部31から突出する雄ねじ部51bへ前記雌ねじ部材52を螺結させた軸部5によって、前記パネル部2を固定部3へ軸支している。
即ち、前記可倒式柵1は、軸部5を軸として、前記パネル部2を固定部3に対して回転可能に設けている。
更に、回転軸となされる雄ねじ部51bをスペーサー53の内側に配置するので、支持部31や柱部21と軸部5との間の摩擦が低減し、より小さな力でパネル部2を回転させることができるように設けている。
【0023】
前記固定部3の側板部30bの前記貫通孔33aは、前記ねじ頭部51aの径方向の大きさよりも大きな内径の円形に形成しており、前記ねじ頭部51aを内側に挿入可能に形成している。
雄ねじ部材51は、貫通孔33aの内側に収納させたねじ頭部51aを柱部21の外面へ当接させて取り付けている。
即ち、前記軸部5は、前記頭部5aとなされるねじ頭部51aと雌ねじ部材52において、雌ねじ部材52を前記支持部31へ当接させ、ねじ頭部51aを接続部となされるパネル部2の柱部21へ当接させて、雄ねじ部51bへ雌ねじ部材52を締結させている。このようにパネル部2を固定部3へ取り付けることで、柱部21と支持部31との間に隙間が生じにくくなされる。具体的には、長手方向において、パネル部2の柱部21と固定部3の各側板部30bとの間に隙間Sが生じる場合、図10に示すように、支持部31となされる側板部30b側ではなく、他方の側板部30bと柱部21との間に生じる。このように、締結状態となされた軸部5によって、前記柱部21と支持部31との間に隙間が生じにくく、がたつきなどが抑制されるので、パネル部2を固定部3へ安定的に取り付けることができる。
【0024】
図11図8の規制部材6付近を拡大して示す背面図である。
規制部材6は、雄ねじ部材61と雌ねじ部材62を備えている。
具体的には、前記雄ねじ部材61をねじ頭部61aと雄ねじ部61bを備える六角ボルトで形成し、前記雌ねじ部材52を所謂蝶ナットで形成している。
前記雄ねじ部材61の、ねじ頭部61aと雌ねじ部材62は、それぞれ前記雄ねじ部61bよりも径方向へ大きく形成した規制部材6の頭部6aとして機能する。
【0025】
前記規制部材6は、前記雄ねじ部61bを柱部21と支持部31の前記貫通孔31bへ挿通させ、支持部31から突出する雄ねじ部61bへ前記雌ねじ部材62を螺結させて、前記パネル部2を固定部3へ取り付けている。
前記可倒式柵1は、軸部5を軸とするパネル部2の回転を、前記規制部材6によって規制している。
【0026】
前記固定部3の側板部30bの前記貫通孔33bは、前記ねじ頭部61aの径方向の大きさよりも大きな内径の円形に形成しており、前記ねじ頭部61aを内側に挿入可能に形成している。
雄ねじ部材61は、貫通孔33bの内側に収納させたねじ頭部61aを柱部21の外面へ当接させて取り付けている。
即ち、前記規制部材6は、前記頭部6aとなされるねじ頭部61aと雌ねじ部材62において、雌ねじ部材62を前記支持部31へ当接させ、ねじ頭部61aを接続部となされるパネル部2の柱部21へ当接させて、雄ねじ部61bへ雌ねじ部材62を螺結させている。このようにパネル部2を固定部3へ取り付けることで、柱部21と支持部31との間に隙間が生じにくくなされる。具体的には、長手方向において、パネル部2の柱部21と固定部3の各側板部30bとの間に隙間Sが生じる場合、図11に示すように、支持部31となされる側板部30b側ではなく、他方の側板部30bと柱部21との間に生じる。このように、締結状態となされた規制部材6によって、前記柱部21と支持部31との間に隙間が生じにくく、がたつきなどが抑制されるので、パネル部2を固定部3へ安定的に取り付けることができる。
【0027】
図11に示すように、固定部3へ取り付けたパネル部2において、柱部21に接続するビーム部26は、側板部30bに形成した前記挿通部34の内側に挿通するように配置される。換言すると、前記挿通部34は、ビーム部26に対応する位置に形成している。
【0028】
図12図1の固定部4を示す正面図であり、図13図12の左側面図であり、図14図12の平面図である。
固定部4は、前記固定部3と同様に、下端に配置した矩形板状の設置部49と、設置部49の上面から上方へ突出する支柱部40を形成しており、設置部49の下面を設置面Gへ当接させ貫通孔49aに挿通させたアンカーボルトBを利用して設置させるように設けている。
支柱部40は、平板状の基板部40aと、その両側の縁から垂直方向へそれぞれ延設する平板状の側板部40bを備える断面コの字形状に形成している。
【0029】
支柱部40は、基板部40a及び各側板部40bの上端の縁部分にそれぞれ接続するように配置した矩形板状の上板部40cを設けている。上板部40cは、基板部40aや各側板部40bへ溶接によって固定している。
支柱部40には、各側板部40cから長手方向外側へ突出するように当接部42を形成している。当接部42は略矩形の金属板を前記基板部40aの前面へ当接させ溶接によって固定し形成している。また、各側板部40bから突出する当接部42の上縁部分42aを前記パネル部2の柱部21の外面に対応する円弧形状に窪む凹形状に形成している。
【0030】
図12~14に示す固定部4の支柱部40は、2個の側板部40bがそれぞれ前記パネル部2の柱部21を支持する支持部41として機能するように形成している。即ち、前記固定部4は、一つの支柱部40に2個のパネル部2を取り付けるように設けている。
固定部4の左側面図である図13に示すように、支持部41となされる側板部40bには、円形の貫通孔41a、41bを上下方向へ間隔をあけて1個ずつ形成している。前記貫通孔41aを側板部40bの上部に配置して形成し、前記貫通孔41bは貫通孔41aの真下に配置して形成している。前記各貫通孔41a、41bは、固定部3の支持部31に形成した前記各貫通孔31a、31bと同じ大きさと配置で形成している。また、図13に示す側板部40bに相対する他方の側板部40bにおいて、同じ大きさと配置で貫通孔41a、41bを形成している。
【0031】
図15図12の固定部4へ図2のパネル部2を取り付けた状態を示す正面図であり、図16図15のA-A断面図である。図15は、図1の可倒式柵1の固定部4付近を拡大した図である。
図15に示す各パネル部2は、柱部21と前記貫通孔41aに挿通させた軸部5と、柱部21と前記貫通孔41bに挿通させた規制部材6とによって固定部4の前記支持部41へそれぞれ取り付けている。
【0032】
図17図15の軸部5付近を拡大して示す背面図である。
図17は、図15の固定部4へ取り付けた2個の軸部5のうち、図中左側に配置した軸部5の付近を示している。
図15~17に示す軸部5は、図8~10に示す前記軸部5と同じであり、六角ボルトからなる雄ねじ部材51と、ダブルナットを構成する雌ねじ部材52と、円筒形状のスペーサー53を備えている。軸部5は、柱部21に挿通させたスペーサー53の一方の端部を柱部21の外面近傍に配置し、他方の端部を支持部41となされる側板部40bの前記貫通孔41aの内側に配置している。
前記雄ねじ部材51は、雄ねじ部51bを前記スペーサー53の内側へ挿入して前記柱部21と支持部41へ挿通させており、支持部41から突出する雄ねじ部51bへ前記雌ねじ部材52を螺結させている。前記軸部5によって、前記パネル部2を固定部4へ軸支している。
即ち、前記可倒式柵1は、軸部5を軸として、前記パネル部2を固定部4に対して回転可能に設けている。
【0033】
また、図17に示す軸部5は、頭部5aとなされるねじ頭部51aと雌ねじ部材52を、それぞれを接続部となされるパネル部2の柱部21と支持部41となされる側板部40bとへ当接させて、雄ねじ部51bへ雌ねじ部材52を締結させている。このようにパネル部2を固定部4へ取り付けることで、図10に示す前記軸部5によるパネル部2の取り付けと同様に、柱部21と支持部41との間に隙間が生じにくくなされ、がたつきなどが抑制されるので、パネル部2を固定部4へ安定的に取り付けることができる。
尚、図17においては、固定部4に2個形成した支持部41のうち、一方の支持部41へ柱部21を取り付けた構成を示しているが、他方の支持部41においても、同様の構成で柱部21を軸部5によって取り付け可能である。
【0034】
図18図15の規制部材6付近を拡大して示す背面図である。
図18に示す規制部材6は、図11に示す前記規制部材6と同じであり、六角ボルトからなる雄ねじ部材61と、蝶ナットからなる雌ねじ部材62を備えている。
規制部材6は、前記雄ねじ部材61の雄ねじ部61bを支持部41の前記貫通孔41bと柱部21へ挿通させ、柱部21から突出する雄ねじ部61bへ前記雌ねじ部材62を螺結させて、前記パネル部2を固定部4へ取り付けている。
固定部4へのパネル部2の取り付けにおいて、前記固定部3へ取り付けたパネル部2と同様に、軸部5を軸とするパネル部2の回転を前記規制部材6によって規制している。
【0035】
図18に示すように、固定部4へ取り付けた規制部材6は、前記頭部6aとなされるねじ頭部61aと雌ねじ部材62において、雌ねじ部材62を接続部となされるパネル部2の柱部21へ当接させ、ねじ頭部61aを前記支持部41へ当接させて、雄ねじ部61bへ雌ねじ部材62を螺結させている。
このように、前記規制部材6を用いてパネル部2を固定部3へ取り付けることで、前記固定部3とパネル部2との取り付けと同様に、柱部21と支持部41との間に隙間が生じにくくなされ、がたつきなどが抑制されるので、パネル部2を固定部4へ安定的に取り付けることができる。
尚、図18においては、固定部4に2個形成した支持部41のうち、一方の支持部41へ柱部21を取り付けた構成を示しているが、他方の支持部41においても、同様の構成で柱部21を規制部材6によって取り付け可能である。図1に示す可倒式柵1は、固定部4の各支持部41に、長手方向へ配置した2個のパネル部2の各柱部21を取り付けている。
【0036】
固定部3や固定部4へ取り付けたパネル部2は、規制部材6の雄ねじ部材61と雌ねじ部材62との締結を解除して各柱部21から取り外すことで、前記軸部5を軸とする回転が可能な状態となされる。
固定部3や固定部4に対して回転するパネル部2は、軸部5より上方に位置する部位が前方へ向かって傾くように移動して倒伏状態となされ、柱部21の外面が前記当接部32や当接部42へ当接するまで回転可能となされる。換言すると、倒伏する前記パネル部2の前方への傾きは、前記当接部32や当接部42への柱部21の当接によって規制される。
前記当接部32や当接部42は、前記パネル部2の柱部21が前記設置部39や設置部49の下面に沿う向きまで移動したときに各柱部21が当接するように設けている。即ち、前記可倒式柵1は、パネル部2が設置面Gに対して略水平に配置されるまで倒伏させることができるように設けている。
【0037】
図19図9のパネル部2を倒伏させた状態を示す図である。図19に示すパネル部2は、図9の規制部材6を柱部21と固定部3から取り外し、軸部5を軸としてパネル部2を回転させて、柱部21が固定部3の当接部32へ当接するまで倒伏させた状況を示している。
固定部3と柱部21へ取り付けた前記規制部材6は、雌ねじ部材62を蝶ナットで形成しているので、工具などを利用せずに作業者が手で回転させて、雌ねじ部材62と雄ねじ部材61との螺結や螺脱を行うことができる。即ち、パネル部2を倒伏状態にするための作業や、パネル部2を固定部3に対して回転不能な立設状態にするための作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、前記当接部32は、上の縁部分32aを柱部21の外面に対応する円弧状に窪む凹形状に形成することで、柱部21が当接部32へ当接したときに、前記縁部分32aの全体が柱部21へ接触するように設けている。このように当接部32を当接させることで、一部へ力が集中することによって柱部21の外面に傷などの損傷が生じることを抑制している。
【0039】
図20図16のパネル部2を倒伏させた状態を示す図である。
図20に示すパネル部2は、図16の規制部材6を柱部21と固定部4から取り外し、軸部5を軸としてパネル部2を回転させて、柱部21が固定部4の当接部42へ当接するまで倒伏させた状況を示している。
固定部3へ取り付けた前記規制部材6と同様に、固定部4へ取り付けた前記規制部材6は、蝶ナットで形成した雌ねじ部材62を作業者が手で回転させて螺結や螺脱を行うことで、パネル部2を倒伏状態にするための作業や、パネル部2を固定部4に対して回転不能な立設状態にするための作業を容易に行うことができる。
また、固定部4の各当接部42は、上の縁部分42aを柱部21の外面に対応する円弧状に窪む凹形状に形成しているので、前記当接部32と同様に、当接部42へ当接した柱部21の一部へ力が集中することによる外面の損傷等を抑制している。
【0040】
前記パネル部2は、柱部21における規制部材6の取り付け位置を軸部5の下方に配置している。このように構成することで、図19及び図20に示すようにパネル部2を倒伏させたときに、軸部5の上方に位置していたパネル部2の部位が前方へ向かうように傾き、前記規制部材6の取付位置を含む軸部5の下方に位置していたパネル部2の部位が逆側の後方へ向かうようになされる。このように倒伏する方向へ傾く部位の逆側に規制部材6を取り付けるように設けることで、パネル部2を倒伏状態としたときに倒伏方向と逆側に向かう部位が大きく設けられるので、パネル部2を回転させるための力を小さくすることができる。具体的には、パネル部2を倒伏させる作業においてパネル部2をゆっくり回転させて傾けるためにその上部を支える力や、倒伏したパネル部2を立設状態にもどす作業においてパネル部2の上部を持ち上げて回転させる力を小さくすることができるので、上記の各作業をより容易に行うことができる。
【0041】
前記可倒式柵1は、支持部41を2個備える前記固定部4を用いることで、複数のパネル部2を効果的に並設できる。具体的には、図1に示すように、隣り合う各パネル部2の間に前記固定部4を配置して設置することで、1個の固定部4で各パネル部2の柱部21をそれぞれ軸支して回転可能に取り付けることができる。特に、多数のパネル部2を長手方向へ並設させる場合において、支持部41を2個備える前記固定部4を利用することで、設置面Gへ設置させる固定部の個数を低減し、可倒式柵1の設置作業を容易にすることができる。
また、長手方向の端において、支持部31を1個備える前記固定部3を設置させることで、可倒式柵1の美観を高めることができる。
【0042】
尚、本発明に係る可倒式柵1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、図1に示す可倒式柵1は、長手方向に間隔をあけて前記固定部3と固定部4とを設置させ、各固定部3、4の間にパネル部2を取り付けた構成を示しているが、これに限るものではない。2個の固定部3を設置し、その間にパネル部2を1個取り付けて設置させてもよい。2個の固定部3の間にパネル部2を取り付ける場合は、各支柱部30の支持部31を、パネル部2の柱部21に対応する位置に配置できるように各固定部を形成する。
【0043】
また、前記可倒式柵1は、前記規制部材6に雄ねじ部材61と雌ねじ部材62とを備えさせているが、これに限るものではない。雄ねじ部材61を締結させる雌ねじを固定部3の支持部31や固定部4の支持部41に形成し、支持部31や支持部41の一部を規制部材6の雌ねじ部材62として機能させてもよい。
【0044】
また、前記規制部材6を雄ねじ部材や雌ねじ部材を備えない他の物品で形成してもよい。例えば、規制部材として所謂丸頭ピンなどのピン部材を用いても良い。具体的には、棒状の胴部と、この胴部より径方向の大きさが大きな頭部を備えるピン部材の前記胴部を、前記規制部材6の雄ねじ部61bと同様に、前記パネル部2と貫通孔31bや貫通孔41bへ挿通させて取り付け、規制部材として機能させてもよい。尚、ピン部材を規制部材として取り付ける場合、前記胴部の端部に径方向へ貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔へスナップピンや割りピン等を取り付けて、前記ピン部材が脱抜不能となされるように取り付けても良い。また、前記胴部の端部に周方向へ向かう溝部を形成し、この溝部へC型止め輪やE型止め輪等の所謂スナップリングを取り付けて、前記ピン部材が脱抜不能となされるように取り付けても良い。
また、規制部材としてワイヤーを用いてもよい。具体的には、前記規制部材6の雄ねじ部61bと同様に、前記パネル部2と貫通孔31bや貫通孔41bへ挿通させたワイヤーの両端をパネル部2の外側で接続してリング状に形成して取り付け、規制部材として機能させてもよい。
【0045】
また、パネル部2は、格子部27を備える縦格子パネルに形成しているが、これに限るものではなく、接続部となされる各柱部21の間に長手方向に向かうビーム状部位のみを備えるパネル体に形成してもよく、各柱部21の間に網状体や板状体などを配置したパネル体に形成してもよく、他のパネル体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 可倒式柵
2 パネル部
21 柱部
26 ビーム部
27 格子部
3 固定部
30 支柱部
30a 基板部
30b 側板部
30c 上板部
31 支持部
32 当接部
34 挿通部
39 設置部
4 固定部
40 支柱部
40a 基板部
40b 側板部
41 支持部
42 当接部
49 設置部
5 軸部
5a 頭部
51 雄ねじ部材
52 雌ねじ部材
53 スペーサー
6 規制部材
61 雄ねじ部材
62 雌ねじ部材
B アンカーボルト

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図15
図16
図17
図18
図19
図20