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特開2023-73917保守計画装置、保守計画方法及び保守計画プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073917
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】保守計画装置、保守計画方法及び保守計画プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20230519BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186692
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 由美
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】保守効率を向上させる保守計画装置、保守計画方法及び保守計画プログラムを提供する。
【解決手段】情報収集部11は、複数の自動取引装置40のそれぞれに内蔵された複数の交換部品の状態を示す状態情報を収集する。使用回数算出部12は、情報収集部11により収集された状態情報を基に使用回数を求める。交換部品判定部13は、使用回数算出部12により算出された使用回数を基に交換対象とする交換部品を特定する。装置抽出部14は、交換部品判定部13により交換対象とされた交換部品の情報を基に巡回する自動取引装置40を抽出する。巡回順決定部15は、装置抽出部14により抽出された自動取引装置40の巡回順を決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動取引装置のそれぞれに内蔵された複数の交換部品の状態を示す状態情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部により収集された前記状態情報を基に、使用回数を求める使用回数算出部と、
前記使用回数算出部により算出された前記使用回数を基に交換対象とする前記交換部品を特定する交換部品判定部と、
前記交換部品判定部により交換対象とされた交換部品の情報を基に、巡回する前記自動取引装置を抽出する装置抽出部と、
前記装置抽出部により抽出された前記自動取引装置の巡回順を決定する巡回順決定部と
を備えたことを特徴とする保守計画装置。
【請求項2】
前記自動取引装置は、各前記交換部品のいずれかもしくは複数を含む複数の作業ユニットを搭載し、
前記情報収集部は、前記作業ユニットのそれぞれに設けられたセンサーによる処理対象物の通過の検知情報を取得し、
前記使用回数算出部は、前記検知情報を基に各前記作業ユニットが行った取引回数を算出し、算出した前記取引回数を基に前記作業ユニット毎に含まれる各前記交換部品の使用回数を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の保守計画装置。
【請求項3】
前記交換部品判定部は、前記交換部品毎に前記使用回数を基に一月後の使用回数が所定の寿命回数を超えるか否かを判定し、前記一月後の使用回数が前記所定の寿命回数を超える前記交換部品を前記交換対象とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の保守計画装置。
【請求項4】
前記装置抽出部は、内蔵された前記交換部品のうち前記交換対象として抽出された前記交換部品の数が閾値以上の前記自動取引装置を抽出することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の保守計画装置。
【請求項5】
前記巡回順決定部は、前記装置抽出部により抽出された前記自動取引装置について、所定の出発地点から始めて、移動元から最短距離の前記自動取引装置を次の巡回先として選択していくことで前記巡回順を決定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の保守計画装置。
【請求項6】
複数の自動取引装置のそれぞれに内蔵された複数の交換部品の状態を示す状態情報を収集し、
収集した前記状態情報を基に、使用回数を求め、
算出した前記使用回数を基に交換対象とする前記交換部品を特定し、
交換対象とした交換部品の情報を基に、巡回する前記自動取引装置を抽出し、
抽出した前記自動取引装置の巡回順を決定する
ことを特徴とする保守計画方法。
【請求項7】
複数の自動取引装置のそれぞれに内蔵された複数の交換部品の状態を示す状態情報を収集し、
収集した前記状態情報を基に、使用回数を求め、
算出した前記使用回数を基に交換対象とする前記交換部品を特定し、
交換対象とした交換部品の情報を基に、巡回する前記自動取引装置を抽出し、
抽出した前記自動取引装置の巡回順を決定する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする保守計画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守計画装置、保守計画方法及び保守計画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関の店舗やコンビニエンスストアの店舗等には、入金や出金等の各種取引を自動で行うATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)等の自動取引装置が設置されている。自動取引装置は、例えば紙幣の入出金に関する処理を行う紙幣入出金機構や、硬貨の入出金に関する処理を行う硬貨入出金機構及び通帳を取り扱う通帳処理機機構などを有する。このような様々な機構を内蔵する自動取引装置には、多数の部品が搭載されており、安定稼働させるためには各部品の状態を把握して交換などを行う保守が重要となる。例えば、自動取引装置の中の約500個の部品が、保守による交換の対象となる。
【0003】
一般的に、Automatic Teller Machine(ATM)などの自動取引装置の保守作業は、自動取引装置の製造元や保守作業を委託された企業の作業員が行う。従来、保守作業は、自動取引装置が配置された場所に作業員が定期的に赴き、自動取引装置の内部ユニットの状態を目視確認することで劣化した部品を特定して部品交換を行うといった手順で行われてきた。
【0004】
なお、装置の保守に関する技術として以下のような技術が提案されている。例えば、自動取引装置の交換部品毎の寿命情報などを含む予防保守ログを収集し、交換時期を判定して、アラームを保守員に送ることで保守作業を行わせる技術がある。また、装置内の交換可能部品の稼働状態を蓄積稼働情報として蓄積し、交換可能部品の所定期間の稼働状態を表す期間稼働情報を記憶し、期間稼働情報、稼働情報及び寿命情報とに基づいて交換時期を算出して通知する技術がある。また、無線基地局の内部機器の状態を監視データとして中央監視局に送信し、中央監視局が受信した監視データに基づいて各無線基地局のサービス必要度を算出し、サービス必要度の高い無線基地局ほど早く巡回するような巡回経路を決定する技術がある。他にも、異なる位置に設置された機器毎の故障発生の程度を予測し、予測結果に基づいて訪問する機器を決定して、訪問する機器の位置に基づいてコストを算出し、算出したコストに基づいて複数のサービスマンの訪問計画を作成する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-154526号公報
【特許文献2】特開2003-36320号公報
【特許文献3】特開2002-142244号公報
【特許文献4】特開2016-218728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の保守作業では定期的に決まった順番及び時期に各自動取引装置を点検しているため、装置の使用頻度が考慮された効率的な交換を行うことが困難である。例えば、まだ使える状態である部品であっても、次の点検までに期間がある場合に交換が行われる場合がある。また、各自動取引装置の巡回ルートは事前に決められていることが多く、保守交換のために自動取引装置を効率的な順番で回ることは困難である。これらのことから、従来の保守作業では、保守効率を向上させることは困難であった。
【0007】
また、予防保守ログを収集し交換時期を判定する技術では、保守交換のための適切なルートを選択することは難しく、保守効率を向上させることは困難である。また、交換可能部品の稼働状態を蓄積して寿命情報などに基づいて交換時期を算出する技術でも、保守交換のための適切なルートを選択することは難しく、保守効率を向上させることは困難である。また、無線基地局の内部機器の状態に基づいて算出されたサービス必要度にしたがって巡回経路を決定する技術では、自動取引装置の交換部品の寿命を確度良く予測することは難しく、保守効率を向上させることは困難である。また、機器毎の故障発生の程度の予測に基づいて決定した訪問する機器の位置からコストを算出し、算出したコストに基づいて訪問計画を作成する技術でも、自動取引装置の交換部品の寿命を確度良く予測することは難しく、保守効率を向上させることは困難である。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、保守効率を向上させる保守計画装置、保守計画方法及び保守計画プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する保守計画装置、保守計画方法及び保守計画プログラムの一つの態様において、情報収集部は、複数の自動取引装置のそれぞれに内蔵された複数の交換部品の状態を示す状態情報を収集する。使用回数算出部は、前記情報収集部により収集された前記状態情報を基に、使用回数を求める。交換部品判定部は、前記使用回数算出部により算出された前記使用回数を基に交換対象とする前記交換部品を特定する。装置抽出部は、前記交換部品判定部により交換対象とされた交換部品の情報を基に、巡回する前記自動取引装置を抽出する。巡回順決定部は、前記装置抽出部により抽出された前記自動取引装置の巡回順を決定する。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、本発明は、保守効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、自動取引装置の保守計画システムの概略構成図である。
図2図2は、保守計画装置のブロック図である。
図3図3は、判定テーブルの一例を示す図である。
図4図4は、巡回順の決定方法の一例を説明するための図である。
図5図5は、実施例に係る保守計画システムによる保守計画作成処理のフローチャートである。
図6図6は、保守計画装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する保守計画装置、保守計画方法及び保守計画プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する保守計画装置、保守計画方法及び保守計画プログラムが限定されるものではない。
【実施例0013】
図1は、自動取引装置の保守計画システムの概略構成図である。保守計画システム1は、保守計画装置10、ルート提供装置20及び作業員端末30を有する。また、保守計画システム1は、保守の対象とする自動取引装置40を有する。ここで、図1では、3台の自動取引装置40を記載したが、この数に特に制限はない。
【0014】
自動取引装置40は、同じ場所に複数台配置されても良いし、異なる場所に配置されてもよい。自動取引装置40は、顧客との取引において現金の預け払いや記帳などを行う。顧客との取引には、例えば、現金の引き出し、現金の預け入れ、通帳記入及び残高照会などがある。自動取引装置40は、上述した各種取引を行うために、カードユニット、レシートユニット、通帳ユニット、紙幣ユニット及び硬貨ユニットといった複数の作業ユニットを有する。
【0015】
カードユニットは、カードの取り込み、データの読み出し及びカードの返却といったカードに関する処理を実行する。レシートユニットは、レシートの発行などを行う。通帳ユニットは、挿入口シャッタ、磁気ヘッド及び印字ヘッドといった各種機構を有する。そして、通帳ユニットは、通帳の取り込み、データの読み出し、記帳及び通帳の返却といった通帳に関する処理を実行する。紙幣ユニットは、投入口ローラー、搬送路ローラー及び収納部ローラーといった各種機構を有する。そして、紙幣ユニットは、紙幣投入口の操作、紙幣の取得、紙幣の搬送、紙幣の格納及び紙幣の払い出しといった紙幣に関する処理を実行する。硬貨ユニットは、硬貨投入口の操作、硬貨の取得、硬貨の格納及び硬貨の払い出しといった硬貨に関する処理を実行する。
【0016】
また、本実施例に係る自動取引装置40に搭載された各作業ユニットには、それぞれセンサーが取り付けられる。センサーは、各作業ユニットにおいて、カード、レシート、通帳、紙幣又は硬貨といったそれぞれの作業ユニットでの処理対象となる物体の通過を検知する。
【0017】
保守計画装置10は、ネットワークを介して各自動取引装置40に接続される。保守計画装置10は、例えば、自動取引装置40の製造元などの保守を担当する会社に配置される。保守計画装置10は、自動取引装置40の動作情報を取得して部品を交換する保守対象の自動取引装置40を抽出する。さらに、保守計画装置10は、抽出した自動取引装置40の巡回順を決定して、部品を交換する保守対象の自動取引装置40の位置情報及び巡回順の情報をルート提供装置20へ送信する。また、保守計画装置10は、部品を交換する保守対象の自動取引装置40毎の交換部品の情報などを含む各自動取引装置40の情報を作業員端末30へ送信する。
【0018】
ルート提供装置20は、例えば、保守を担当する会社とは別の外部のサーバを利用することができる。ルート提供装置20は、住所に対応する緯度経度の情報及び地図情報を有する。ルート提供装置20は、交換部品の交換を行う点検対象装置である自動取引装置40の住所及び巡回順が登録された巡回順リストを保守計画装置10から受信する。次に、ルート提供装置20は、各自動取引装置40の住所及び巡回順の情報から各自動取引装置40を巡回順に沿って移動する地図上の巡回ルートを生成する。そして、ルート提供装置20は、生成した地図上の巡回ルートの情報を作業員端末30へ送信する。
【0019】
作業員端末30は、保守作業を行う作業員の端末装置である。作業員端末30は、部品を交換する点検対象装置である自動取引装置40のそれぞれの情報を保守計画装置10から受信する。また、作業員端末30は、点検対象装置である自動取引装置40の地図上の巡回ルートの情報をルート提供装置20から受信する。そして、作業員端末30は、点検対象装置である自動取引装置40のそれぞれの情報及び地図上の巡回ルートをモニタなどに表示させて作業員に通知する。
【0020】
図2は、保守計画装置のブロック図である。次に、図2を参照して、保守計画装置10による保守計画作成処理について詳細に説明する。保守計画装置10は、図2に示すように、情報収集部11、使用回数算出部12、交換部品判定部13、装置抽出部14、巡回順決定部15、送信部16及び記憶部17を有する。
【0021】
情報収集部11は、各自動取引装置40の作業ユニット毎に設けられた各センサーの検知情報を収集する。この収集する情報は自動取引装置40に内蔵された交換部品の使用度合いを把握できる情報であれば他の情報でもよく、例えば取得可能であれば、情報収集部11は、各交換部品の一定期間毎の動作回数の情報などを取得してもよい。そして、情報収集部11は、自動取引装置40毎の収集した情報を使用回数算出部12へ出力する。
【0022】
記憶部17は、自動取引装置40に配置された各交換部品の各取引に対する動作情報及び劣化判定情報を保持する。図3は、判定テーブルの一例を示す図である。例えば、記憶部17は、図3に示すような動作の有無の判定及び劣化判定に用いる判定テーブル101を有する。判定テーブル101には、各作業ユニットのそれぞれに含まれる交換部品毎に各取引が行われたときの動作の有無が登録される。また、判定テーブル101には、交換部品毎の寿命回数及び1取引当たりの動作数が登録される。ここで、図3では、カードユニット、レシートユニット及び硬貨ユニットについては搭載された交換部品が登録されておらず、それらは作業ユニット毎の交換を想定しているが、交換部品の単位はこれに限らない。例えば、カードユニットが複数の交換部品を搭載しても良いし、紙幣ユニットがより多いもしくはより少ない交換部品を搭載してもよい。
【0023】
使用回数算出部12は、自動取引装置40毎の各センサーからの検知情報の入力を情報収集部11から受ける。次に、使用回数算出部12は、1か月に1回など定期的に、記憶部17に格納された判定テーブル101の情報を参照して、各種センサーからの検知情報を用いて自動取引装置40に搭載された交換部品毎の使用回数を算出する。
【0024】
本実施例では、使用回数算出部12は、各作業ユニットに設けられたセンサーが処理対象の物体の通過を検知した場合に、対応する作業ユニットが動作する取引が1回行われたと判定する。そして、使用回数算出部12は、作業ユニット毎に前回の交換からその時点までの累積の取引回数を記憶する。
【0025】
次に、使用回数算出部12は、作業ユニット毎の累積の取引回数に判定テーブル101に登録された交換部品毎の1取引当たりの動作数を乗算して、交換部品毎の使用回数を算出する。ここでは、判定テーブル101において搭載された交換部品が登録されていないカードユニット、レシートユニット及び硬貨ユニットについて、使用回数算出部12は、作業ユニット全体を交換部品として取り扱い、作業ユニット毎の使用回数を算出する。
【0026】
また、使用回数算出部12は、各作業ユニットの累積の取引回数を各作業ユニットの前回の交換からその時点までの経過月数で除算して、作業ユニット毎の月あたりの取引回数の平均を算出する。そして、使用回数算出部12は、作業ユニット毎の月あたりの取引回数の平均に判定テーブル101に登録された交換部品毎の1取引当たりの動作数を乗算して、交換部品毎の月あたりの平均使用回数を算出する。その後、使用回数算出部12は、交換部品毎の使用回数及び月あたりの平均使用回数を交換部品判定部13へ出力する。
【0027】
ここで、本実施例では、各作業ユニットが動作する際に、判定テーブル101に登録された全ての交換部品が動作することが判定テーブル101に示されているため、各作業ユニットが行った取引回数を各交換部品が行った取引回数として計算するが、取引回数の算出方法はこれに限らない。例えば、取引及び利用者の選択によっては動作しない交換部品が存在する場合、使用回数算出部12は、各作業ユニットの取引の種類及び利用者の選択の情報を取得して、その取引の種類において動作する交換部品を特定して使用回数の算出を行ってもよい。
【0028】
交換部品判定部13は、交換部品毎の使用回数及び月あたりの平均使用回数の入力を使用回数算出部12から受ける。次に、交換部品判定部13は、記憶部17に格納された判定テーブル101から各交換部品の寿命回数を取得する。そして、交換部品判定部13は、各交換部品の平均使用回数を寿命回数から減算した値と、使用回数とを比較する。そして、使用回数が各交換部品の平均使用回数を寿命回数から減算した値以上の場合、交換部品判定部13は、その交換部品の交換の実施を決定する。すなわち、交換部品判定部13は、このままの頻度で使用した場合、1か月後に寿命回数を超える交換部品を交換対象部品とする。ただし、この交換対象の判定基準は他の基準を用いてもよく、例えば、交換部品判定部13は、使用回数が寿命回数の8~10割に達した交換部品を交換対象部品と判定してもよい。その後、交換部品判定部13は、自動取引装置40毎の交換対象部品の情報を装置抽出部14へ出力する。
【0029】
装置抽出部14は、自動取引装置40毎の交換対象部品の情報の入力を交換部品判定部13から受ける。次に、装置抽出部14は、自動取引装置40毎に交換対象部品の数を算出する。そして、装置抽出部14は、搭載された交換対象部品の数が予め決められた閾値を超えた自動取引装置40を点検対象装置として抽出する。そして、装置抽出部14は、点検対象装置として抽出した自動取引装置40の情報を巡回順決定部15へ出力する。
【0030】
巡回順決定部15は、点検対象装置として抽出された自動取引装置40の情報の入力を装置抽出部14から受ける。ここで、巡回順決定部15は、管理する自動取引装置40のそれぞれの位置情報を予め有する。また、巡回順決定部15は、保守作業を行う保守員が配置された保守員拠点の位置を予め有する。そして、巡回順決定部15は、抽出された自動取引装置40の位置情報を用いて保守員拠点からの点検対象装置として抽出された各自動取引装置40の巡回順を決定して、巡回順を示す巡回順リストを生成する。その後、巡回順決定部15は、点検対象装置である自動取引装置40の巡回順リストを送信部16へ出力する。
【0031】
図4は、巡回順の決定方法の一例を説明するための図である。ここでは、管理する自動取引装置40が配置された施設111~115が存在し、各施設111~115のいずれかに配置された自動取引装置41~44が点検対象装置として抽出された場合で説明する。巡回順決定部15は、管理する自動取引装置40のそれぞれの位置情報としてそれぞれの自動取引装置40が設置された施設の住所を予め有する。そこで、巡回順決定部15は、抽出された自動取引装置40が配置された施設のそれぞれの住所を取得する。例えば、巡回順決定部15は、自動取引装置41が設置された施設111の住所、自動取引装置42が設置された施設112の住所、自動取引装置43が設置された施設113の住所及び自動取引装置44が設置された施設115の住所を取得する。
【0032】
次に、巡回順決定部15は、それぞれの住所から抽出された各自動取引装置40の緯度及び経度を算出する。そして、巡回順決定部15は、保守員拠点から順に緯度経度の差が最小の自動取引装置40を次の巡回先として選択することを繰り替えして順番に点検対象装置である自動取引装置40を並べて点検対象装置である自動取引装置40の巡回順リストを生成する。この場合、巡回順決定部15は、緯度経度の差が小さいということは近隣の自動取引装置40と考えることができ、近い自動取引装置40を順に並べることで最短ルートの算出が可能との想定の下に巡回順リストの生成を行う。ここでは、巡回順決定部15は、保守員拠点の次に施設111を選択し、次に施設112を選択し、次に施設113を選択し、次に施設115を選択して巡回順リストを生成する。すなわち、巡回順決定部15は、この場合の巡回順として図4の矢印で示されるように巡回順を決定する。さらに、巡回順決定部15は、巡回順リストに登録された各自動取引装置40の住所も巡回順リストに登録する。
【0033】
送信部16は、巡回順リストの入力を巡回順決定部15から受ける。そして、送信部16は、巡回順リストをルート提供装置20へ出力する。
【0034】
図5は、実施例に係る保守計画システムによる保守計画作成処理のフローチャートである。次に、図5を参照して、実施例に係る保守計画システム1による保守計画作成処理の流れについて説明する。
【0035】
情報収集部11は、各自動取引装置40の作業ユニット毎に設けられた各センサーの検知情報を収集する(ステップS1)。そして、情報収集部11は、自動取引装置40毎の収集した情報を使用回数算出部12へ出力する。
【0036】
使用回数算出部12は、自動取引装置40毎の各センサーからの検知情報の入力を情報収集部11から受ける。次に、使用回数算出部12は、記憶部17に格納された判定テーブル101の情報を参照して、各種センサーからの検知情報を用いて自動取引装置40に搭載された交換部品毎の使用回数及び月あたりの平均使用回数を算出する(ステップS2)。そして、使用回数算出部12は、各交換部品の使用回数及び月あたりの平均使用回数を交換部品判定部13へ出力する。
【0037】
交換部品判定部13は、交換部品毎の使用回数及び月あたりの平均使用回数の入力を使用回数算出部12から受ける。次に、交換部品判定部13は、記憶部17に格納された判定テーブル101から各交換部品の寿命回数を取得する。そして、交換部品判定部13は、各交換部品の平均使用回数を寿命回数から減算した値と使用回数とを比較して、使用回数が各交換部品の平均使用回数を寿命回数から減算した値以上の場合、その交換部品を交換対象部品として特定する(ステップS3)。その後、交換部品判定部13は、自動取引装置40毎の交換対象部品の情報を装置抽出部14へ出力する。
【0038】
装置抽出部14は、自動取引装置40毎の交換対象部品の情報の入力を交換部品判定部13から受ける。次に、装置抽出部14は、自動取引装置40毎に交換対象部品の数を算出して、搭載された交換対象部品の数が予め決められた閾値を超えた自動取引装置40を点検対象装置として抽出する(ステップS4)。その後、装置抽出部14は、点検対象装置として抽出した自動取引装置40の情報を巡回順決定部15へ出力する。
【0039】
巡回順決定部15は、点検対象装置として抽出された自動取引装置40の情報の入力を装置抽出部14から受ける。そして、巡回順決定部15は、抽出された自動取引装置40の位置情報を用いて保守員拠点からの点検対象装置として抽出された各自動取引装置40の巡回順を決定して、巡回順を示す巡回順リストを生成する(ステップS5)。その後、巡回順決定部15は、点検対象装置である自動取引装置40の巡回順リストを送信部16へ出力する。
【0040】
ルート提供装置20は、巡回順リストを保守計画装置10から受信する。次に、ルート提供装置20は、点検対象装置である各自動取引装置40の住所及び巡回順の情報から地図上の巡回ルートを生成する(ステップS6)。その後、ルート提供装置20は、生成した地図上の巡回ルートの情報を作業員端末30へ送信する。
【0041】
作業員端末30は、点検対象装置である自動取引装置40の巡回ルートの情報をルート提供装置20から受信する。そして、作業員端末30は、巡回ルートをモニタなどに表示させる(ステップS7)。その後、作業員は、提供された巡回ルートにしたがって自動取引装置40を巡回し点検及び交換部品の交換を含む保守作業を行う。
【0042】
以上に説明したように、本実施例に係る保守計画装置は、自動取引装置から交換部品に関する情報を収集して各交換部品の交換の要否を予測し、交換部品の要否及びその交換部品を内蔵した自動取引装置の設置場所から保守計画を作成する。これにより、定期的に決まった順番及び時期に各自動取引装置を点検する場合に比べて、交換部品の使用頻度を考慮した効率的な交換を行うことができる。また、一定の基準を満たす各自動取引装置を点検対象装置として適切な巡回ルートを決定することで、保守作業のための自動取引装置を効率的に巡回することが可能となる。これらのことから、本実施例に係る保守計画装置は、管理対象である自動取引装置の保守効率を向上させることが可能となる。
【0043】
(ハードウェア構成)
図6は、保守計画装置のハードウェア構成図である。保守計画装置10は、例えば、図6に示すように、プロセッサ91、メモリ92、ハードディスク93及びネットワークインタフェース94を有する。プロセッサ91は、バスを介してメモリ92、ハードディスク93及びネットワークインタフェース94に接続される。
【0044】
ネットワークインタフェース94は、保守計画装置10と外部装置との通信のためのインタフェースである。ネットワークインタフェース94は、例えば、プロセッサ91と自動取引装置40、ルート提供装置20及び作業員端末30との間の通信を中継する。ネットワークインタフェース94は、図2に例示した送信部16の機能を実現する。
【0045】
ハードディスク93は、補助記憶装置である。ハードディスク93は、例えば、図2に例示した記憶部17の機能を実現する。また、ハードディスク93は、図2に例示した、情報収集部11、使用回数算出部12、交換部品判定部13、装置抽出部14及び巡回順決定部15の機能を実現するプログラムを含む各種プログラムを格納する。
【0046】
メモリ92は、主記憶装置である。メモリ92としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)を使用することができる。
【0047】
プロセッサ91は、ハードディスク93に格納された各種プログラムを読み出してメモリ92に展開して実行する。これにより、プロセッサ91は、図2に例示した、情報収集部11、使用回数算出部12、交換部品判定部13、装置抽出部14及び巡回順決定部15の機能を実現する。
【符号の説明】
【0048】
1 保守計画システム
10 保守計画装置
11 情報収集部
12 使用回数算出部
13 交換部品判定部
14 装置抽出部
15 巡回順決定部
16 送信部
17 記憶部
20 ルート提供装置
30 作業員端末
40 自動取引装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6