IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローバルアーク株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-止水装置 図1
  • 特開-止水装置 図2
  • 特開-止水装置 図3
  • 特開-止水装置 図4
  • 特開-止水装置 図5
  • 特開-止水装置 図6
  • 特開-止水装置 図7
  • 特開-止水装置 図8
  • 特開-止水装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073931
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230519BHJP
   E06B 7/23 20060101ALI20230519BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/23 Z
E04H9/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186712
(22)【出願日】2021-11-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】599139062
【氏名又は名称】グローバルアーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195051
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 海幹
(72)【発明者】
【氏名】南原 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】南原 進吾
(72)【発明者】
【氏名】南原 雅明
(72)【発明者】
【氏名】石橋 一馬
(72)【発明者】
【氏名】大塚 昌彦
【テーマコード(参考)】
2E036
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB01
2E036EB02
2E036GA02
2E036HA02
2E036HB38
2E036HC02
2E036HC03
2E036HC06
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】既存の建物や床面を施工することなく建物の出入口をシンプルな構造で精度よく容易に止水可能とする止水装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る止水装置1は、止水板2と、押圧上半部16と押圧下半部54と付勢部68とで構成した押圧具15と、からなり、止水板2は、止水本体部3と、ストッパ部6と、床面止水部11と、壁面止水部12と、を備え、押圧上半部16は、操作片17と、止水板押圧ノブ26と、壁面押圧部29と、を有し、押圧下半部54は、押圧係合部55と、押圧舌片59と、を有し、付勢部68は、引張バネ68からなり、押圧上半部16と押圧下半部54は、押圧係合部55の上部と操作片17の下部に形成した連結部63で枢止連結し、止水板押圧ノブ26の先端部が押圧舌片59と当接するよう形成することで、止水板押圧ノブ26の回動操作により押圧舌片59を押圧自在に構成したことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口した建物の出入口の幅方向に位置する外側壁と内側壁からなる左右の壁面角部に設置する止水装置であって、
止水板と、押圧上半部と押圧下半部と付勢部とで構成した押圧具と、からなり、
前記止水板は、前記建物内への進水を止水する止水面を正面に有する矩形板状の止水本体部と、前記止水本体部の上端左右近傍に各々形成したストッパ部と、前記止水本体部の下底面で床面と水密に当接する弾性体からなる床面止水部と、前記止水面の裏面の左右側で前記外側壁と水密に当接する弾性体からなる壁面止水部と、を備え、
前記押圧上半部は、操作片と、前記操作片の中途部に形成した回動操作自在の止水板押圧ノブと、前記壁面角部の前記内側壁を押圧自在とするために前記操作片の上部に形成した壁面押圧部と、を有し、
前記押圧下半部は、前記ストッパ部と着脱自在に略係合する押圧係合部と、前記押圧係合部の上部から後方に傾斜し前記操作片の下方に配置される押圧舌片と、を有し、
前記付勢部は、前記操作片と前記押圧舌片に張架した引張バネからなり、
前記押圧上半部と前記押圧下半部は、前記押圧係合部の上部と前記操作片の下部に形成した連結部で枢止連結し、
前記止水板押圧ノブの先端部が前記押圧舌片と当接するよう形成することで、前記止水板押圧ノブの回動操作により前記押圧舌片を押圧自在に構成したことを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記壁面押圧部は、回動操作自在の壁面押圧ノブと、前記壁面押圧ノブの回動操作に応じて前記内側壁に向けて進退自在に形成した壁面当接部と、からなることを特徴とする請求項1に記載の止水装置。
【請求項3】
前記押圧係合部は、前記ストッパ部と水平方向に嵌合し前記ストッパ部に形成した凸部で当接停止することで前記ストッパ部を外嵌することを特徴とする請求項1又は2に記載の止水装置。
【請求項4】
前記押圧舌片は、上端部を前記操作片に向けて折曲した規制片を形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の止水装置。
【請求項5】
前記ストッパ部は、前記止水本体部の前記止水面と前記裏面に突設し水平方向の一方の端部を下方に延伸して前記凸部を形成すると共に、前記押圧係合部は、下方開放の側面視略コ字状で下端部を内側に折曲した係合片を形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水害の際に建物の出入口を容易に止水可能な止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大雨による洪水や高潮、津波等の災害時においては建物の開口部である出入口が浸水すると建物内に水が浸入し、居住空間であればその場での生活が不可能となり、店舗や倉庫であれば陳列商品や在庫が水浸しとなり多大な被害を受けることになる。
【0003】
また、近年では気候変動による短時間での集中豪雨が地域を問わず多発する傾向にあり、特に地下空間を有する建物においては、家具や商品等の物理的な被害に留まらず、人命に関わる事態にも発展しやすい為、水害への防災対策は急務の課題となっている。
【0004】
また、これまで、建物内への浸水対策に係る技術は種々考案されており、例えば、災害時に着脱式の止水板を出入口に設置することで対処する技術も多数考案されている。
【0005】
このような止水板を用いることで大掛かりな工事を出入口に施さなくても浸水対策が可能となるが、使用時に止水板で出入口を水密に保つためには止水板を出入口の所定箇所に向けて付勢させる必要があり、出入口を構成する支柱や壁面、床面等に少なからず専用の工事を施す必要があった。
【0006】
そのような中、建物の出入口に特別な工事を施す必要がない防水板に係る技術が、例えば、特許文献1に開示されており、本技術は、該防水板の左右両端部内側面と底面とに水密ゴムを固着する一方、防水板上端部の左右両端には一対の防水板固定手段を備えて成り、該防水板固定手段は、防水板の長さ方向にスライド自在に備えた位置決め用のスライド部材と、該スライド部材に揺動自在に連結され前記出入口両側の門柱等のコーナー部壁面に沿って当接可能なように略L字形状に折曲形成した支持金具と、該支持金具の各折曲面をそれぞれが当接する前記コーナー部の各壁面に向けて押圧して圧着させる第一及び第二の押圧具とからなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-246668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
確かに特許文献1に記載の技術によれば、建物の出入口の左右側壁や支柱、床面等に溝付支柱や底板等を配設しなくても防水板を設置できる点で汎用性に優れている。しかしながら、本技術に係る防水板は、出入口の多様な開口幅に追従できるようにした構成も相まって実使用において少なくとも以下のような問題点を有している。
【0009】
本技術に係る防水板は、押圧具支持片に形成した第二の押圧具を締め付け操作してリンク材を押圧すると、それに伴い防水板が前方下向きに押圧されるだけでなく、リンク材と回動自在に軸着したガイド金具にも可及的に下方への力が働くため、ガイド金具に連設した支持金具にも同様に下方への負荷が直に付与されてしまう。
【0010】
これにより支持金具が移動してしまうと第一の押圧具により壁面を押圧する押圧力が低下し防水板による水密性も低下してしまう。また、第二の押圧具の締め付け操作により支持金具が直ぐに移動しなかったとしても、増水時に防水板に打ち寄せる水の衝撃によって支持金具は容易に移動し防水板による水密性が低下してしまう。
【0011】
また、第二の押圧具の締め付け力が強すぎてもリンク材がガイド金具を可及的に上方へ移動させる力が働くため、ガイド金具に連設した支持金具にも同様に上方への負荷が直に付与されてしまうため、結果として第一の押圧具により支持金具が壁面を押圧する押圧力が低下し防水板による水密性も低下してしまう。
【0012】
このように、本技術に係る防水板は、リンク材に対して第二の押圧具の締め付け操作を慎重に行わなければリンク材と回動自在に軸着したガイド金具と連設する支持金具の壁面への押圧力の低下を招いてしまう。
【0013】
また、本技術に係る防水板は、増水時に防水板に打ち寄せる水の衝撃によってリンク材に対する第二の押圧具の締め付けが緩んで締め付け力が低下してしまうと回復できずに結果として第一の押圧具により支持金具が壁面を押圧する押圧力が低下し防水板による水密性も低下してしまう。
【0014】
更に、出入口の多様な開口幅に追従できるように構成したスライド部材は、左右何れか一方の第一の押圧具を壁面に当接し押圧した後、他方の第一の押圧具を壁面に当接し押圧する際に壁面を押圧する押圧力が強すぎると、操作レバー(ボルト)で防水板と固定されたスライド部材と防水板との締結力を低下させる方向に負荷が生じるため第一の押圧具や操作レバーによる締め付け操作を慎重に行わなければ防水板による水密性が低下してしまう。
【0015】
また、スライド部材は、防水板の上端面で操作レバーにより鉛直方向に螺着して締結させる構造のため、増水時に防水板に打ち寄せる水平方向の水の衝撃に対して脆弱であり、スライド部材と防水板との締結力を低下させやすい。
【0016】
しかも、防水板とスライド部材は、第一・第二の押圧具等からなる防水板固定手段により揺動自在に連結しているため、未使用時の保管の際に非常に煩雑になってしまうという問題も有している。
【0017】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、既存の建物や床面を施工することなく建物の出入口をシンプルな構造で精度よく容易に止水可能とする止水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以上のような目的を達成するために、本発明は以下の技術を提供する。
【0019】
請求項1に係る発明では、開口した建物の出入口の幅方向に位置する外側壁と内側壁からなる左右の壁面角部に設置する止水装置であって、止水板と、押圧上半部と押圧下半部と付勢部とで構成した押圧具と、からなり、前記止水板は、前記建物内への進水を止水する止水面を正面に有する矩形板状の止水本体部と、前記止水本体部の上端左右近傍に各々形成したストッパ部と、前記止水本体部の下底面で床面と水密に当接する弾性体からなる床面止水部と、前記止水面の裏面の左右側で前記外側壁と水密に当接する弾性体からなる壁面止水部と、を備え、前記押圧上半部は、操作片と、前記操作片の中途部に形成した回動操作自在の止水板押圧ノブと、前記壁面角部の前記内側壁を押圧自在とするために前記操作片の上部に形成した壁面押圧部と、を有し、前記押圧下半部は、前記ストッパ部と着脱自在に略係合する押圧係合部と、前記押圧係合部の上部から後方に傾斜し前記操作片の下方に配置される押圧舌片と、を有し、前記付勢部は、前記操作片と前記押圧舌片に張架した引張バネからなり、前記押圧上半部と前記押圧下半部は、前記押圧係合部の上部と前記操作片の下部に形成した連結部で枢止連結し、前記止水板押圧ノブの先端部が前記押圧舌片と当接するよう形成することで、前記止水板押圧ノブの回動操作により前記押圧舌片を押圧自在に構成したことを特徴とする止水装置を提供せんとする。
【0020】
請求項2に係る発明では、前記壁面押圧部は、回動操作自在の壁面押圧ノブと、前記壁面押圧ノブの回動操作に応じて前記内側壁に向けて進退自在に形成した壁面当接部と、からなることを特徴とする請求項1に記載の止水装置を提供せんとする。
【0021】
請求項3に係る発明では、前記押圧係合部は、前記ストッパ部と水平方向に嵌合し前記ストッパ部に形成した凸部で当接停止することで前記ストッパ部を外嵌することを特徴とする請求項1又は2に記載の止水装置を提供せんとする。
【0022】
請求項4に係る発明では、前記押圧舌片は、上端部を前記操作片に向けて折曲した規制片を形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の止水装置を提供せんとする。
【0023】
請求項5に係る発明では、前記ストッパ部は、前記止水本体部の前記止水面と前記裏面に突設し水平方向の一方の端部を下方に延伸して前記凸部を形成すると共に、前記押圧係合部は、下方開放の側面視略コ字状で下端部を内側に折曲した係合片を形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の止水装置を提供せんとする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の発明によれば、開口した建物の出入口の幅方向に位置する外側壁と内側壁からなる左右の壁面角部に設置する止水装置であって、止水板と、押圧上半部と押圧下半部と付勢部とで構成した押圧具と、からなり、止水板は、建物内への進水を止水する止水面を正面に有する矩形板状の止水本体部と、止水本体部の上端左右近傍に各々形成したストッパ部と、止水本体部の下底面で床面と水密に当接する弾性体からなる床面止水部と、止水面の裏面の左右側で外側壁と水密に当接する弾性体からなる壁面止水部と、を備え、押圧上半部は、操作片と、操作片の中途部に形成した回動操作自在の止水板押圧ノブと、壁面角部の内側壁を押圧自在とするために操作片の上部に形成した壁面押圧部と、を有し、押圧下半部は、ストッパ部と着脱自在に略係合する押圧係合部と、押圧係合部の上部から後方に傾斜し操作片の下方に配置される押圧舌片と、を有し、付勢部は、操作片と押圧舌片に張架した引張バネからなり、押圧上半部と押圧下半部は、押圧係合部の上部と操作片の下部に形成した連結部で枢止連結し、止水板押圧ノブの先端部が押圧舌片と当接するよう形成することで、止水板押圧ノブの回動操作により押圧舌片を押圧自在に構成したことより、止水板押圧ノブを回動操作しても可及的に壁面押圧部に負荷を与えることがなく止水板を安定的に下方に押圧できるので、壁面押圧部により壁面を押圧する押圧力の低下を防止でき、止水板による水密性を維持することができる。
【0025】
また、操作片と押圧舌片との間に引張バネを張架していることで止水板押圧ノブの先端部を安定的に押圧舌片に付勢させながら当接させることができるので、止水板押圧ノブの緩みを防止でき、しかも、増水時に止水板に打ち寄せる水の衝撃によって一時的に止水板押圧ノブの先端部と押圧舌片とが当接しなかったとしても可及的に回復して止水板による水密性を維持することができる。
【0026】
また、壁面押圧部により壁面を押圧してもストッパ部と押圧係合部との係合に影響しないので出入口に対して止水装置を容易に設置することができる。
【0027】
更に、止水板に対して押圧具を容易に着脱できるので作業性が良く、しかも、止水装置の未使用時の保管が煩雑にならない。
【0028】
請求項2記載の発明によれば、壁面押圧部は、回動操作自在の壁面押圧ノブと、壁面押圧ノブの回動操作に応じて内側壁に向けて進退自在に形成した壁面当接部と、からなることより、簡単な操作で壁面当接部を内側壁に押圧固定することができる。
【0029】
請求項3記載の発明によれば、押圧係合部は、ストッパ部と水平方向に嵌合しストッパ部に形成した凸部で当接停止することでストッパ部を外嵌することより、止水板に対して押圧具を容易に着脱できるので作業性が良く、しかも、増水時に止水板に打ち寄せる水の衝撃によって係合が緩む心配がなく止水板による水密性を維持することができる。
【0030】
請求項4記載の発明によれば、押圧舌片は、上端部を操作片に向けて折曲した規制片を形成したことより、付勢部を形成する引張バネの配設を容易にするだけでなく、規制片が操作片と当接する位置は止水板押圧ノブの先端部が押圧舌片と当接しない位置となり、同時に止水板を下方に押圧していない位置であることも容易に把握できるので、この位置で出入口に止水板と押圧具を配置した後、止水板押圧ノブを締付ける方向に回動操作すれば止水板を下方に押圧できることを直感的に理解することができる。
【0031】
請求項5記載の発明によれば、ストッパ部は、止水本体部の止水面と裏面に突設し水平方向の一方の端部を下方に延伸して凸部を形成すると共に、押圧係合部は、下方開放の側面視略コ字状で下端部を内側に折曲した係合片を形成したことより、シンプルな構造で押圧係合部を容易に止水板と略係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態に係る止水装置を出入口に設置した説明図である。
図2】本実施形態に係る止水装置を設置した出入口の増水時の説明図である。
図3】本実施形態に係る止水装置と建物の出入口を示す説明図である。
図4】(a)は止水板と押圧具を係合した様子を示す説明図で、(b)は止水装置を出入口に当接載置した様子を示す説明図である。
図5】(a)は壁面押圧ノブと止水板押圧ノブを回動操作する様子を示す説明図で、(b)は(a)により押圧して設置された様子を示す説明図である。
図6】本実施形態に係る止水装置の裏面側を示す斜視図である。
図7】押圧具の簡易分解斜視図とストッパ部の斜視図である。
図8】(a)は出入口に当接載置した止水装置の簡易断面図で、(b)は(a)の後に押圧して設置する様子を示す簡易断面図である。
図9】(a)は壁面角部の近傍に壁面押圧部を位置させた様子を示す説明図で、(b)は壁面押圧部により壁面を押圧する様子示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態に係る止水装置の要旨は、開口した建物の出入口の幅方向に位置する外側壁と内側壁からなる左右の壁面角部に設置する止水装置であって、止水板と、押圧上半部と押圧下半部と付勢部とで構成した押圧具と、からなり、止水板は、建物内への進水を止水する止水面を正面に有する矩形板状の止水本体部と、止水本体部の上端左右近傍に各々形成したストッパ部と、止水本体部の下底面で床面と水密に当接する弾性体からなる床面止水部と、止水面の裏面の左右側で外側壁と水密に当接する弾性体からなる壁面止水部と、を備え、押圧上半部は、操作片と、操作片の中途部に形成した回動操作自在の止水板押圧ノブと、壁面角部の内側壁を押圧自在とするために操作片の上部に形成した壁面押圧部と、を有し、押圧下半部は、ストッパ部と着脱自在に略係合する押圧係合部と、押圧係合部の上部から後方に傾斜し操作片の下方に配置される押圧舌片と、を有し、付勢部は、操作片と押圧舌片に張架した引張バネからなり、押圧上半部と押圧下半部は、押圧係合部の上部と操作片の下部に形成した連結部で枢止連結し、止水板押圧ノブの先端部が押圧舌片と当接するよう形成することで、止水板押圧ノブの回動操作により押圧舌片を押圧自在に構成したことを特徴とする。すなわち、既存の建物や床面を施工することなく建物の出入口をシンプルな構造で精度よく容易に止水可能とする止水装置の提供を図ろうとするものである。
【0034】
ここで、壁面角部Wとは、開口した建物Tの出入口Dの幅方向に位置する外側壁w1と内側壁w2からなる角部であり、出入口Dは、自動ドアや観音開きドア、シャッター等の開閉装置を有するものや、単なる開口のみであっても、建物内外を人や車両等が出入り可能な出入口は全て本発明に係る止水装置1の対象となる。
【0035】
以下、本発明に係る止水装置1の実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
【0036】
本発明の実施形態に係る止水装置1は、図1図3図6図7図8(a)に示すように、開口した建物Tの出入口Dの幅方向に位置する外側壁w1と内側壁w2からなる左右の壁面角部Wに設置する止水装置1であって、止水板2と、押圧上半部16と押圧下半部54と付勢部68とで構成した押圧具15と、からなり、止水板2は、建物T内への進水m(方向S)を止水する止水面4を正面に有する矩形板状の止水本体部3と、止水本体部3の上端左右近傍に各々形成したストッパ部6と、止水本体部3の下底面で床面Fと水密に当接する弾性体からなる床面止水部11と、止水面4の裏面5の左右側で外側壁w1と水密に当接する弾性体からなる壁面止水部12と、を備え、押圧上半部16は、操作片17と、操作片17の中途部に形成した回動操作自在の止水板押圧ノブ26と、壁面角部Wの内側壁w2を押圧自在とするために操作片17の上部に形成した壁面押圧部29と、を有し、押圧下半部54は、ストッパ部6と着脱自在に略係合する押圧係合部55と、押圧係合部55の上部から後方に傾斜し操作片17の下方に配置される押圧舌片59と、を有し、付勢部68は、操作片17と押圧舌片59に張架した引張バネ68からなり、押圧上半部16と押圧下半部54は、押圧係合部55の上部と操作片17の下部に形成した連結部63で枢止連結し、止水板押圧ノブ26の先端部が押圧舌片59と当接するよう形成することで、止水板押圧ノブ26の回動操作により押圧舌片59を押圧自在に構成している。
【0037】
また、壁面押圧部29は、回動操作自在の壁面押圧ノブ30と、壁面押圧ノブ30の回動操作に応じて内側壁w2に向けて進退自在に形成した壁面当接部37とで構成している。
【0038】
また、押圧係合部55は、ストッパ部6と水平方向に嵌合しストッパ部6に形成した凸部9で当接停止することでストッパ部6を外嵌している。
【0039】
更に、押圧舌片59は、上端部を操作片17に向けて折曲した規制片60を形成している。
【0040】
しかも、ストッパ部6は、止水本体部3の止水面4と裏面5に突設し水平方向の一方の端部を下方に延伸して凸部9を形成すると共に、押圧係合部55は、下方開放の側面視略コ字状で下端部を内側に折曲した係合片56を形成している。
【0041】
このように構成した止水装置1は、図1に示すように建物Tの出入口Dに設置することで図2に示すように建物Tの外が増水した場合でも建物T内への水mの進入を防止することができる。
【0042】
より具体的には、図3に示す止水板2に一対の押圧具15を図4(a)に示すように係合し、図4(b)に示すように止水板2の裏面5を出入口Dの幅方向に略均等となる位置に当接載置すると共に押圧具15の壁面当接部37を左右の壁面角部Wに当接させる。
【0043】
そして、図5(a)に示すように、左右の壁面押圧ノブ30を回動操作して壁面当接部37を内側壁w2に押圧固定し、次いで、左右の止水板押圧ノブ26を回動操作して止水板2を下方に押圧し、図5(b)に示すように止水装置1を出入口Dに設置する。
【0044】
なお、止水板2の下底面と裏面5には、図6に示すように弾性体からなる床面止水部11と壁面止水部12が配設されている。
【0045】
以下、本実施形態に係る止水装置1の各部の構成について詳述する。
【0046】
まず、止水板2は、図3図6に示すように、止水面4を正面に有する矩形板状の止水本体部3と、止水本体部3の上端左右近傍に各々形成したストッパ部6と、止水本体部3の下底面で床面Fと水密に当接する弾性体からなる床面止水部11と、止水面4の裏面5の左右側で外側壁w1と水密に当接する弾性体からなる壁面止水部12とで構成している。
【0047】
ストッパ部6は、図7に示すように、下方開放で側面視コ字状に形成した対向する二辺の水平方向の一方の端部を下方に延伸して凸部(図示せず)を形成したベース具7と、ベース具7の対向する二辺の外側面に重設した略矩形板状で水平方向の一方の端部を下方に延伸して同様の凸部9を形成した係合具8とで構成している。
【0048】
また、ベース具7の対向する二辺と係合具8には水平方向に隣接して連通する図示しない二つのボルト孔を各々穿設し、止水本体部3の上端左右近傍において止水本体部3の上端にベース具7を嵌合し係合具8を重置してボルト10により止水本体部3と螺着固定している。
【0049】
このようにストッパ部6を止水本体部3に固定することで、ストッパ部6のベース具7の対向する二辺と係合具8が止水面4と裏面5から各々突出するように形成している。
【0050】
また、図6に示すように、床面止水部11は、帯状に形成したウレタン等の弾性体からなり、床面Fと水密に当接するよう止水板2の下底面に配設し、壁面止水部12は、帯状に形成したウレタン等の弾性体からなり、外側壁w1と水密に当接するよう止水板2の裏面5の左右側に配設している。
【0051】
押圧具15は、図6図7図8(a)に示すように、押圧上半部16と押圧下半部54と付勢部68とで構成し、押圧上半部16は、操作片17と、操作片17の中途部に形成した回動操作自在の止水板押圧ノブ26と、壁面角部Wを押圧自在とするために操作片17の上部に形成した壁面押圧部29とで構成している。
【0052】
操作片17は、金属製の略矩形板状の部材の左右端縁を後方に略直角に折曲した対向する二辺からなる補強片18と、下端縁を後方に略直角に折曲した挟持防止片19と、止水板押圧ノブ26を挿通するために操作片17の正面略中途部に穿設した中央挿通孔20と、後述する付勢部68の一端を係合するために隣接して上下に穿設した第一中央係合孔22と、後述する壁面押圧部29を構成する壁面押圧ノブ30を水平方向に挿通自在とするために補強片18の上端縁に穿設した上挿通孔23と、後述する押圧下半部54を構成する押圧係合部55の軸受孔64と枢止連結するために補強片18の下端縁に穿設した下挿通孔25とで構成している。
【0053】
なお、押圧係合部55の軸受孔64と操作片17の下挿通孔25と連結軸65とで連結部63を構成している。
【0054】
中央挿通孔20の内壁には、図8(a)、(b)に示すように連通する第一ナット21を操作片17の内壁に溶接固定することで、止水板押圧ノブ26に螺設されたボルト機能により第一ナット21に螺入された止水板押圧ノブ26の回動操作とそれに伴う押圧舌片59に対する押圧力の可変操作を自在としている。
【0055】
また、上挿通孔23の一方には、図9(a)、(b)に示すように連通する第二ナット24を補強片18の内壁に溶接固定することで、壁面押圧ノブ30に螺設されたボルト機能により第二ナット24に螺入された壁面押圧ノブ30の回動操作とそれに伴う壁面当接部37の進退操作を自在としている。
【0056】
止水板押圧ノブ26は、図6図7に示すように、一方の端部に回動操作用の第一把持部27を形成したボルト状の軸心を有する部材からなり、止水板押圧ノブ26の先端部が押圧舌片59と当接するよう形成し、止水板押圧ノブ26の回動操作により押圧舌片59を押圧自在に構成している。
【0057】
壁面押圧部29は、壁面押圧ノブ30と壁面当接部37とで構成しており、壁面押圧ノブ30は、一方の端部に回動操作用の第二把持部31を形成したボルト状の軸心を有すると共に他方の端部には、壁面当接部37を壁面角部Wに当接自在とするための回動押圧部32を形成している。
【0058】
回動押圧部32は、中央に第一雌ネジ孔33を螺刻すると共に十字方向に均等に四つの負荷軽減孔34を穿設した円盤状で、壁面押圧ノブ30の他方の端部を第一雌ネジ孔33に螺入しつつナット35により回動押圧部32が固定するよう締結している。
【0059】
壁面当接部37は、金属製の板材を略直角に折曲して形成した略直角三角形状の内壁押圧片39と略矩形状の外壁押圧片51とからなる角部押圧部38と、内壁押圧片39の内側に重置した第一緩衝材43と第二緩衝材46と第三緩衝材47の三枚の板材からなる押圧緩衝部42と押圧緩衝部42の最外の第三緩衝材47に貼着した内壁当接緩衝部50と、外壁押圧片51の内側に貼着した外壁当接緩衝部52と、で構成している。
【0060】
内壁押圧片39は、図9(a)に示すように、略中央部において回動押圧部32の直径よりも小さい円形の抜け止め孔40を穿設すると共に、図示しないボルト孔を四箇所穿設している。
【0061】
押圧緩衝部42は、図7に示すように、内壁押圧片39と略同形の略直角三角形状に形成し、第一・第二緩衝材43,46には、略中央部において回動押圧部32の直径よりも若干大きい円形の回動用孔44を穿設すると共に、上述の内壁押圧片39に穿設した四つのボルト孔と連通するボルト孔45を同様に穿設している。
【0062】
なお、第一・第二緩衝材43,46の合計の厚みは、回動押圧部32の厚みよりも厚くなるよう形成している。
【0063】
また、第三緩衝材47には、略中央部において壁面押圧ノブ30の他方の端部が負荷なく挿通する程度の遊び孔48を穿設すると共に、上述の内壁押圧片39と第一・第二緩衝材43,46に穿設した各四つのボルト孔45と連通する第二雌ネジ孔49を螺刻し、第三緩衝材47の表面にウレタン等の樹脂製のシート材からなる内壁当接緩衝部50を貼着している。
【0064】
また、このような構成の壁面当接部37は、図示しない四つのボルトを内壁押圧片39のボルト孔に外側から挿入しつつ押圧緩衝部42の各ボルト孔45に挿通し、第三緩衝材47の第二雌ネジ孔49により締結し一体となる。
【0065】
従って、図9(a)、(b)に示すように、壁面押圧ノブ30を回動操作すると壁面押圧ノブ30と一体に固定された回動押圧部32が内壁押圧片39と押圧緩衝部42との間で負荷なく回動しつつ壁面当接部37を壁面に向けて進出させ壁面w2を押圧することができる。
【0066】
次に、押圧下半部54は、図6図7に示すように、ストッパ部6と着脱自在に略係合する押圧係合部55と、押圧係合部55の上部から後方に傾斜し操作片17の下方に配置される押圧舌片59と、押圧係合部55の上部に形成し押圧上半部16と枢止連結する連結部63とで構成している。
【0067】
押圧係合部55は、金属製の板材を下方開放の側面視略コ字状に折曲し下端部を更に内側に折曲した一対の係合片56を形成している。
【0068】
一対の係合片56は、共に左右端縁の同方向の一方を切欠した係合切欠部57を形成しており、係合切欠部57の切欠長さはストッパ部6の凸部9の幅員と略同長さに形成し、係合切欠部57が凸部9と当接すると押圧係合部55がストッパ部6全体を外嵌した状態となるよう構成している。
【0069】
また、係合片56の幅員はベース具7と係合具8を重ねた厚みよりも若干だけ幅狭に形成し、係合片56の内壁から上方のコ字状の内壁までの距離は係合具8の幅員よりも若干だけ幅広に形成している。
【0070】
また、押圧係合部55のコ字状の対向する二辺間の幅員は止水板2の止水面4と裏面5から各々突出したストッパ部6の係合具8間の距離よりも若干だけ幅広に形成している。
【0071】
このように押圧係合部55を形成することで、ストッパ部6に対して押圧係合部55を水平方向に滑らせながら嵌合でき、ストッパ部6に形成した凸部9に係合片56の係合切欠部57が当接することで押圧係合部55がストッパ部6を外嵌する形で停止する。
【0072】
また、押圧係合部55の上部に形成した連結部63と押圧舌片59は、金属製の板材の前後端を下方に略直角に折曲して押圧係合部55を前後から挟持するように押圧係合部55の上部に溶接した金属部材58を基部とし、連結部63は、金属部材58の左右中途部を略直角上方に折曲して形成している。
【0073】
また、連結部63は、水平方向に連通する軸受孔64を各々穿設すると共に、操作片17に穿設した下挿通孔25が軸受孔64の外側から連通するように配置して連結軸65を軸通し、押圧上半部16と押圧下半部54とが枢止連結するよう構成している。
【0074】
また、連結部63の後方、すなわち、押圧係合部55の上面後端には、連結部63の高さまで立設し更に後方に傾斜させた金属製の板材からなる押圧舌片59を金属部材58と連結部63の後側端に溶接により接合している。
【0075】
押圧舌片59は、上端部を略直角に折曲した規制片60を形成すると共に、付勢部68の他端を係合するために第二中央係合孔61を隣接して上下に穿設している。
【0076】
また、操作片17に穿設した二つの第一中央係合孔22の間隙に付勢部68をなす引張バネ68の一端を係合し、押圧舌片59に穿設した二つの第二中央係合孔61の間隙に付勢部68をなす引張バネ68の他端を係合することで張架し、押圧上半部16と押圧下半部54とが互いに引き合うように構成している。
【0077】
このように構成された本実施形態に係る止水装置1の使用方法等を詳述すると、まず、図3に示す止水板2のストッパ部6に対して押圧下半部54が下方となる状態で一対の押圧具15の押圧係合部55を各々外側から嵌入することで係合切欠部57と凸部9が当接して図4(a)に示すように止水板2に対して押圧具15が位置決めされる。
【0078】
次に、図4(b)、図8(a)に示すように、止水板2の裏面5に形成した壁面止水部12を出入口Dの幅方向に略均等となる壁面に当接すると共に、止水板2の下底面に形成した床面止水部11を床面Fに当接載置し、図9(a)に示すように、押圧具15の壁面当接部37を左右の壁面角部W近傍に位置させる。
【0079】
そして、図5(a)、図9(b)に示すように、左右の壁面押圧ノブ30を回動操作して壁面当接部37を内側壁w2に押圧固定し、次いで、図8(b)に示すように、左右の止水板押圧ノブ26を回動操作することで止水板押圧ノブ26の先端が押圧舌片59を押圧し、この押圧力は押圧係合部55を介して止水板2を下方側と壁面側に移動させながら押圧し、図5(b)に示すように止水装置1が水密に出入口Dに設置される。
【0080】
なお、止水板押圧ノブ26の回動操作によって壁面当接部37が動かないように、壁面当接部37を構成する外壁押圧片51は予め外側壁w1にしっかりと当接させておくことが望ましい。
【0081】
以上、説明したように本実施形態に係る止水装置1は構成しており、開口した建物Tの出入口Dの幅方向に位置する外側壁w1と内側壁w2からなる左右の壁面角部Wに設置する止水装置1であって、止水板2と、押圧上半部16と押圧下半部54と付勢部68とで構成した押圧具15と、からなり、止水板2は、建物T内への進水mを止水する止水面4を正面に有する矩形板状の止水本体部3と、止水本体部3の上端左右近傍に各々形成したストッパ部6と、止水本体部3の下底面で床面Fと水密に当接する弾性体からなる床面止水部11と、止水面4の裏面5の左右側で外側壁w1と水密に当接する弾性体からなる壁面止水部12と、を備え、押圧上半部16は、操作片17と、操作片17の中途部に形成した回動操作自在の止水板押圧ノブ26と、壁面角部Wの内側壁w2を押圧自在とするために操作片17の上部に形成した壁面押圧部29と、を有し、押圧下半部54は、ストッパ部6と着脱自在に略係合する押圧係合部55と、押圧係合部55の上部から後方に傾斜し操作片17の下方に配置される押圧舌片59と、を有し、付勢部68は、操作片17と押圧舌片59に張架した引張バネ68からなり、押圧上半部16と押圧下半部54は、押圧係合部55の上部と操作片17の下部に形成した連結部63で枢止連結し、止水板押圧ノブ26の先端部が押圧舌片59と当接するよう形成することで、止水板押圧ノブ26の回動操作により押圧舌片59を押圧自在に構成したことより、止水板押圧ノブ26を回動操作しても可及的に壁面押圧部29に負荷を与えることがなく止水板2を安定的に下方に押圧できるので、壁面押圧部29により壁面を押圧する押圧力の低下を防止でき、止水板2による水密性を維持することができる。
【0082】
また、操作片17と押圧舌片59との間に引張バネ68を張架していることで止水板押圧ノブ26の先端部を安定的に押圧舌片59に付勢させながら当接させることができるので、止水板押圧ノブ26の緩みを防止でき、しかも、増水時に止水板2に打ち寄せる水mの衝撃によって一時的に止水板押圧ノブ26の先端部と押圧舌片59とが当接しなかったとしても可及的に回復して止水板2による水密性を維持することができる。
【0083】
また、壁面押圧部29により壁面を押圧してもストッパ部6と押圧係合部55との係合に影響しないので出入口Dに対して止水装置1を容易に設置することができる。
【0084】
更に、止水板2に対して押圧具15を容易に着脱できるので作業性が良く、しかも、止水装置1の未使用時の保管が煩雑にならない。
【0085】
また、壁面押圧部29は、回動操作自在の壁面押圧ノブ30と、壁面押圧ノブ30の回動操作に応じて内側壁w2に向けて進退自在に形成した壁面当接部37と、からなることより、簡単な操作で壁面当接部37を内側壁w2に押圧固定することができる。
【0086】
また、押圧係合部55は、ストッパ部6と水平方向に嵌合しストッパ部6に形成した凸部9で当接停止することでストッパ部6を外嵌することより、止水板2に対して押圧具15を容易に着脱できるので作業性が良く、しかも、増水時に止水板2に打ち寄せる水mの衝撃によって係合が緩む心配がなく止水板2による水密性を維持することができる。
【0087】
更に、押圧舌片59は、上端部を操作片17に向けて折曲した規制片60を形成したことより、付勢部68を形成する引張バネ68の配設を容易にするだけでなく、規制片60が操作片17と当接する位置は止水板押圧ノブ26の先端部が押圧舌片59と当接しない位置となり、同時に止水板2を下方に押圧していない位置であることも容易に把握できるので、この位置で出入口Dに止水板2と押圧具15を配置した後、止水板押圧ノブ26を締付ける方向に回動操作すれば止水板2を下方に押圧できることを直感的に理解することができる。
【0088】
しかも、ストッパ部6は、止水本体部3の止水面4と裏面5に突設し水平方向の一方の端部を下方に延伸して凸部9を形成すると共に、押圧係合部55は、下方開放の側面視略コ字状で下端部を内側に折曲した係合片56を形成したことより、シンプルな構造で押圧係合部55を容易に止水板2と略係合させることができる。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
D 出入口
F 床面
m 水(進水)
S 進水方向
T 建物
W 壁面角部
w1 外側壁
w2 内側壁
1 止水装置
2 止水板
3 止水本体部
4 止水面
5 裏面
6 ストッパ部
9 凸部
11 床面止水部
12 壁面止水部
15 押圧具
16 押圧上半部
17 操作片
26 止水板押圧ノブ
29 壁面押圧部
30 壁面押圧ノブ
37 壁面当接部
54 押圧下半部
55 押圧係合部
56 係合片
59 押圧舌片
60 規制片
63 連結部
68 付勢部(引張バネ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
前記ストッパ部は、前記止水本体部の前記止水面と前記裏面に突設し水平方向の一方の端部を下方に延伸して前記凸部を形成すると共に、前記押圧係合部は、下方開放の側面視略コ字状で下端部を内側に折曲した係合片を形成したことを特徴とする請求項に記載の止水装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
請求項5に係る発明では、前記ストッパ部は、前記止水本体部の前記止水面と前記裏面に突設し水平方向の一方の端部を下方に延伸して前記凸部を形成すると共に、前記押圧係合部は、下方開放の側面視略コ字状で下端部を内側に折曲した係合片を形成したことを特徴とする請求項に記載の止水装置を提供せんとする。