(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073935
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】舗装管理支援システム
(51)【国際特許分類】
E01C 23/01 20060101AFI20230519BHJP
E01C 19/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
E01C23/01
E01C19/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199155
(22)【出願日】2021-12-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2021186378
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会での展示による発明の公開、展示日:令和3年10月6日~10月7日、展示会名・開催場所:「ハイウェイテクノフェア2021」東京国際展示場 西3・4ホール(東京都江東区有明3-11-1)、公開者:鹿島道路株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会での展示による発明の公開、展示日:令和3年11月4日~11月5日、集会名・開催場所:「第34回 日本道路会議」都市センターホール(東京都千代田区平川町2-4-1)、公開者:鹿島道路株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会での展示による発明の公開、展示日:令和3年11月25日~11月26日、展示会名・開催場所:「建設フェア 四国2021in徳島」アスティとくしま(徳島県徳島市山城町東浜傍示1-1)、公開者:鹿島道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000181354
【氏名又は名称】鹿島道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】下田 博文
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 武彦
(72)【発明者】
【氏名】桑田 直人
【テーマコード(参考)】
2D052
2D053
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052AB01
2D052BD11
2D052CA07
2D052CA09
2D053AA32
2D053AC01
2D053FA02
(57)【要約】
【課題】アスファルト舗装後における完成物の信頼性の向上と、品質の向上を図り、かつ、その記録管理を容易に、かつ正確にすることができる、舗装管理支援システムを提供する。
【解決手段】舗装管理支援システムであって、アスファルト舗装機械12がアスファルト合材を舗装している位置を、測位衛星13からの測位信号を使用して特定する位置特定手段15Aと、アスファルト舗装機械12でアスファルト合材を舗装する施工時の情報を取得する施工情報取得手段15Bと、位置特定手段15Aにより特定されたアスファルト合材を舗装している位置と施工情報取得手段15Bにより取得されたアスファルト舗装機械12の施工時の情報とを対応づけた施工履歴を表すイメージデータを生成するイメージデータ生成手段15Cと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装管理支援システムであって、
アスファルト舗装機械がアスファルト合材を舗装している位置を、測位衛星からの測位信号を使用して特定する位置特定手段と、
前記アスファルト舗装機械で前記アスファルト合材を舗装する施工時の情報を取得する施工情報取得手段と、
前記位置特定手段により特定された前記アスファルト合材を舗装している位置と前記施工情報取得手段により取得された前記アスファルト舗装機械の施工時の情報とを対応づけた施工履歴を表すイメージデータを生成するイメージデータ生成手段と、
を備える、
ことを特徴とする舗装管理支援システム。
【請求項2】
前記位置特定手段は、
前記アスファルト舗装機械に搭載され、前記測位衛星からの前記測位信号を受信する受信アンテナと、
前記アスファルト舗装機械に前記アスファルト合材を搬入する車両に搭載され、前記車両の荷台に積載している前記アスファルト合材の温度を非接触で検出する車両側温度計と、
前記アスファルト舗装機械に搭載され、前記アスファルト舗装機械で舗装した箇所の前記アスファルト合材の温度を非接触で検出する舗装機械側温度計と、
を備え、
前記イメージデータ生成手段は、前記車両側温度計が前記アスファルト合材の温度低下を検出したときの前記アスファルト舗装機械の位置情報に基づいて、前記車両が前記アスファルト舗装機械に受け渡した前記アスファルト合材の敷き均し範囲を特定する、ことを特徴とする請求項1に記載の舗装管理支援システム。
【請求項3】
前記アスファルト舗装機械は、前記車両一台毎に運ばれて来る前記アスファルト合材を、敷き均し、一次転圧、二次転圧、の順に舗装を施工し、
前記イメージデータ生成手段は、前記アスファルト舗装機械が舗装した舗装範囲内における前記敷き均し時の前記アスファルト合材の温度と、前記一次転圧時の前記アスファルト合材の温度と、前記二次転圧時の前記アスファルト合材の温度と、を含む前記イメージデータを生成する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の舗装管理支援システム。
【請求項4】
前記イメージデータ生成手段は、前記イメージデータにおいて前記車両一台毎のアスファルト合材の舗装範囲をグリッド状に複数個のピクセルに分割する、ことを特徴とする請求項3に記載の舗装管理支援システム。
【請求項5】
前記イメージデータ生成手段は、前記複数個に分割された前記ピクセルの中の少なくとも一つの前記ピクセルを代表のピクセルとし、前記代表のピクセルにおける前記位置と前記施工時の情報とを対応づけた前記イメージデータを生成する、ことを特徴とする請求項4に記載の舗装管理支援システム。
【請求項6】
前記アスファルト舗装機械は、前記車両一台毎に運ばれて来る前記アスファルト合材を、敷き均し、一次転圧、二次転圧、の順に舗装を施工し、
前記イメージデータ生成手段は、前記一次転圧時に前記アスファルト舗装機械が舗装範囲内を行き来した回数である前記一次転圧の回数と、前記二次転圧時に前記アスファルト舗装機械が舗装範囲内を行き来した回数である前記二次転圧の回数と、を含む前記イメージデータを生成する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の舗装管理支援システム。
【請求項7】
前記イメージデータ生成手段は、前記車両一台毎のアスファルト合材の舗装範囲をグリッド状に複数個のピクセルに分割する、ことを特徴とする請求項6に記載の舗装管理支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は舗装管理支援システムに関するものであり、より具体的には、アスファルト舗装機械によりアスファルト合材を舗装している位置と舗装施工時の情報とを対応づけた施工履歴を自動的に記録する管理を支援する舗装管理支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルト舗装の流れと施工時の記録管理は、一般に、例えば
図7にブロック図で示すような流れになっている。その各ブロック(A)から(H)では、次のような管理が行われている。
(1)製造・出荷時の管理:アスファルト合材の出荷時に、トラック(ダンプカー)に積み込んだアスファルト合材の温度の記録(A)。
(2)運搬・到着の管理:トラックがアスファルト合材を運び込んだ現場(位置)の記録(B)と、現場で待機していた時間の記録(C)と、アスファルト舗装機械(アスファルトフィニッシャ)に引き渡したとき、すなわちアスファルト合材をアスファルトフィニッシャに供給したときのアスファルト合材の時間と温度の記録(D)。
(3)敷き均しの管理:アスファルト舗装機械(アスファルトフィニッシャ)を使用してアスファルト合材を敷き均して舗装を行っている現場(位置)の記録と、その現場での敷き均し厚さの記録と、そのアスファルト合材の温度の記録(E)。
(4)一次転圧の管理:アスファルト舗装機械(ロードローラ)による一次転圧の位置と回数(同じ位置を往き来した回数)とそのときの転圧温度の記録(F)。
(5)二次転圧の管理:アスファルト舗装機械(タイヤローラ)による二次転圧の位置と回数(同じ位置を往き来した回数)とそのときの転圧温度の記録(G)。
(6)出来形・品質の管理:舗装後における出来形の記録と品質の記録(H)。
等が行われている。
【0003】
また、上記(1)から(6)の各管理の中、アスファルト合材などの温度の各計測や、出来形計測、品質確認などは、人力により個別に確認し、また人力によりその都度記録している。すなわち、アスファルト合材の温度計測のうち、トラック上のアスファルト合材の温度は、トラックの荷台に人が上って温度計で実際に計測し、現場で舗装したアスファルト合材の温度は、敷設した道路面上に人が上って温度計で実際に計測し、それぞれの計測値の記録を人力により記録している。さらに、出来形・品質の管理等は、人が巻き尺やレベルあるいはトータルステーション、地上型レーザースキャナーで出来形を計測する、または非破壊密度計で品質確認試験をする、等を行い、それらを個別に確認して、また人力で記録している。
【0004】
また、従来の施工管理は、人力により個別に確認をしているので、時間がかかる。さらに、誤入力や記入漏れが生じる虞がある。一般的には、広い施工面積の中の、数箇所での計測を行い、その計測値を全体の代表値として管理し、実測した箇所以外の品質は、想定として扱っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の舗装と施工の管理と、その記録は、人力により行われている。そのために、計測と記録に多大な時間を要するという問題があった。また、計測と記録に多大な時間を要するために、広い施工面積の中の、数箇所での計測値を全体の代表値として管理し、実測した箇所以外の品質は、想定として扱っている。また、誤記入や記入漏れ等が発生する場合もある。そのため、アスファルト舗装後の完成物に対して、品質管理の面での信頼性に問題点があった。
【0006】
そこで、アスファルト舗装後における完成物の信頼性の向上と、品質の向上を図り、かつ、その記録管理を容易に、かつ正確にすることができる、舗装管理支援システムを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、舗装管理支援システムであって、アスファルト舗装機械がアスファルト合材を舗装している位置を、測位衛星からの測位信号を使用して特定する位置特定手段と、前記アスファルト舗装機械で前記アスファルト合材を舗装する施工時の情報を取得する施工情報取得手段と、前記位置特定手段により特定された前記アスファルト合材を舗装している位置と前記施工情報取得手段により取得された前記アスファルト舗装機械の施工時の情報とを対応づけた施工履歴を表すイメージデータを生成するイメージデータ生成手段と、を備える、舗装管理支援システムを提供する。
【0008】
この構成によれば、アスファルト舗装機械でアスファルト合材を舗装している施工現場の位置の記録を、位置特定手段が、例えば、GPS、GNSS等の人工衛星を利用して現在位置を計測する衛星測位システム(別名:衛星航法システム:navigation satellite systems)における測位衛星からの測位信号を使用して特定することができる。また、位置特定手段により特定されたアスファルト合材を舗装している位置と施工情報取得手段により取得されたアスファルト舗装機械の施工時の情報とを対応づけた、施工履歴を表すイメージデータを、イメージデータ生成手段(例えば専用ソフトウエアなど)により、自動で記録することが可能になる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記位置特定手段は、前記アスファルト舗装機械に搭載され、前記測位衛星からの前記測位信号を受信する受信アンテナと、前記アスファルト舗装機械に前記アスファルト合材を搬入する車両に搭載され、前記車両の荷台に積載している前記アスファルト合材の温度を非接触で検出する車両側温度計と、前記アスファルト舗装機械に搭載され、前記アスファルト舗装機械で舗装した箇所の前記アスファルト合材の温度を非接触で検出する舗装機械側温度計と、を備え、前記イメージデータ生成手段は、前記車両側温度計が前記アスファルト合材の温度低下を検出したときの前記アスファルト舗装機械の位置情報に基づいて、前記車両が前記アスファルト舗装機械に受け渡した前記アスファルト合材の敷き均し範囲を特定する、舗装管理支援システムを提供する。
【0010】
この構成によれば、車両に搭載した車両側温度計で得られた温度低下の情報とアスファルト舗装機械の位置情報から、車両がアスファルト舗装機械に受け渡した位置と、アスファルト合材の敷き均しを開始した位置及び敷き均し範囲を容易に特定し、また敷き均し時のアスファルト合材の温度等を、人力によることなく自動で計測できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記アスファルト舗装機械は、前記車両一台毎に運ばれて来る前記アスファルト合材を、敷き均し、一次転圧、二次転圧、の順に舗装を施工し、前記イメージデータ生成手段は、前記アスファルト舗装機械が舗装した舗装範囲内における前記敷き均し時の前記アスファルト合材の温度と、前記一次転圧時の前記アスファルト合材の温度と、前記二次転圧時の前記アスファルト合材の温度と、を含む前記イメージデータを生成する、舗装管理支援システムを提供する。
【0012】
この構成によれば、アスファルト舗装機械が舗装した舗装範囲のアスファルト合材の敷き均し温度と、一次転圧温度、二次転圧温度と、一次転圧回数(舗装範囲の同じ位置を往き来した回数)、二次転圧回数(一次転圧と同様に、舗装範囲の同じ位置を往き来した回数)等を含む施工履歴を表すイメージデータを、人力によることなく自動的に残すことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成において、前記イメージデータ生成手段は、前記イメージデータにおいて前記車両一台毎のアスファルト合材の舗装範囲をグリッド状に複数個のピクセルに分割する、舗装管理支援システムを提供する。
【0014】
この構成によれば、車両一台毎に運び込まれ、そして敷設されたアスファルト合材の舗装範囲を、グリッド状に複数個のピクセルに分割し、その分割されたピクセル毎の、アスファルト合材の敷き均し温度と、転圧温度と、転圧回数と、を含む施工履歴を表すイメージデータを人力によることなく、イメージデータ生成手段により生成して自動的に残すことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成において、前記イメージデータ生成手段は、前記複数個に分割された前記ピクセルの中の少なくとも一つの前記ピクセルを代表のピクセルとし、前記代表のピクセルにおける前記位置と前記施工時の情報とを対応づけた前記イメージデータを生成する、舗装管理支援システムを提供する。
【0016】
この構成によれば、複数個に分割されたピクセルの中の代表のピクセルにおける位置と施工時の情報とを対応づけて、施工履歴を表すイメージデータを作成できる。これにより、毎回違う場所を比較することなく、常に同じピクセルにおける施工時の情報での比較が可能になり、正確な施工履歴が得られる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記アスファルト舗装機械は、前記車両一台毎に運ばれて来る前記アスファルト合材を、敷き均し、一次転圧、二次転圧、の順に舗装を施工し、前記イメージデータ生成手段は、前記一次転圧時に前記アスファルト舗装機械が舗装範囲内を行き来した回数である前記一次転圧の回数と、前記二次転圧時に前記アスファルト舗装機械が舗装範囲内を行き来した回数である前記二次転圧の回数と、を含む前記イメージデータを生成する、舗装管理支援システムを提供する。
【0018】
この構成によれば、アスファルト舗装機械が舗装した舗装範囲のアスファルト合材の敷き均し温度と、一次転圧の温度と一次転圧の回数、及び、二次転圧の温度と二次転圧の回数と、を含む施工履歴を表すイメージデータを記録として自動的に残すことができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成において、前記イメージデータ生成手段は、前記車両一台毎のアスファルト合材の舗装範囲をグリッド状に複数個のピクセルに分割する、ことを特徴とする請求項6に記載の舗装管理支援システム。
【0020】
この構成によれば、車両一台毎に運び込まれ、アスファルト舗装機械が舗装したアスファルト合材の舗装範囲を、グリッド状に複数個のピクセルに分割し、その分割されたピクセル毎の、アスファルト合材の敷き均し温度と、一次転圧の温度と一次転圧の回数、及び、二次転圧の温度と二次転圧の回数と、を含む施工履歴を表すイメージデータを記録として自動的に残すことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アスファルト舗装機械でアスファルト合材を舗装している施工現場の位置の記録を、位置特定手段が例えば、GPS、GNSS等の人工衛星を利用して現在位置を計測する衛星測位システムにおける測位衛星からの測位信号を使用して特定することができる。また、位置特定手段により特定されたアスファルト合材を舗装している位置と施工情報取得手段により取得されたアスファルト舗装機械の施工時の情報とを対応づけた、施工履歴を表すイメージデータを、イメージデータ生成手段(例えば、専用ソフトウエアなど)により、自動で記録することが可能になる。これにより、人力を省いて作業効率の向上が図れる。また、同時に、アスファルト舗装後における完成物の見直し等を容易に行うことができるので、信頼性の向上と、品質の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係る実施例として示す舗装管理支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】車両とアスファルト舗装機械の運行処理の一例を示すもので、(A)はアスファルト合材を、車両によりアスファルト舗装現場に搬送してアスファルトフィニッシャに受け渡すまでの、車両の時系列的な流れとアスファルト合材の温度変化を示す図、(B)はアスファルト合材の現場における敷き均し、転圧、出来形計測・品質の確認までの、作業の流れの一例を示す図である。
【
図3】アスファルト舗装現場でアスファルトフィニッシャが敷き均しを行った範囲をグリッド状に分割し、分割されたピクセル毎に測定されたアスファルト合材の敷き均し時の温度をそれぞれ色分けして表示した一例を示す図である。
【
図4】アスファルト舗装現場でロードローラが転圧を行った範囲をグリッド状に分割し、分割されたピクセル毎に測定された転圧時の温度を色分けして表示した一例を示す図である。
【
図5】アスファルト舗装現場でロードローラが転圧を行った範囲をグリッド状に分割し、分割されたピクセル毎に測定された転圧の回数を色分けして表示した一例を示す図である。
【
図6】デジタルデータを所定の管理項目別に帳票化したイメージデータの一例を示す図である。
【
図7】従来のアスファルト舗装時における施工記録の一例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、アスファルト舗装後における完成物の信頼性の向上と、品質の向上を図り、かつ、その記録管理を容易に、かつ正確にすることができる、舗装管理支援システムを提供するという目的を達成するための、舗装管理支援システムであって、アスファルト舗装機械がアスファルト合材を舗装している位置を、測位衛星からの測位信号を使用して特定する位置特定手段と、前記アスファルト舗装機械で前記アスファルト合材を舗装する施工時の情報を取得する施工情報取得手段と、前記位置特定手段により特定された前記アスファルト合材を舗装している位置と前記施工情報取得手段により取得された前記アスファルト舗装機械の施工時の情報とを対応づけた施工履歴を表すイメージデータを生成するイメージデータ生成手段と、を備える、構成にしたことにより実現した。
【実施例0024】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0025】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0026】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0027】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明のアスファルト舗装機械の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0028】
図1は本発明に係る舗装管理支援システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示す舗装管理支援システムは、アスファルト合材をアスファルト混合所であるプラントで受け取り、施工現場に運ぶ車両11と、車両11が運んで来たアスファルト合材を施工現場に舗装するアスファルト舗装機械12と、測位衛星13と、測位衛星13からの測位信号(位置信号)を受ける測位信号受信アンテナ14と、各種の情報を予め決められた手順で処理してアスファルト舗装機械12によりアスファルト合材を舗装している位置と舗装施工時の情報(例えば、施工時の時間、敷き均し厚さ、転圧回数の情報など)と、を対応づけた施工履歴を自動的に記録し、これらの施工履歴を表すイメージデータを生成する制御部15と、制御部15で処理されたデータを読み書き可能に記憶しておくデータ記憶装置16と、これらを互いに繋ぐ通信ネットワーク17と、キーボード及びディスプレイ、プリンター等を有する入出力端末装置21などで構成されている。なお、通信ネットワーク17は、インターネット網、電話回線、データ線等、互いにデジタル信号を送受信可能な通信ネットワークがある。ここで、測位衛星13は、例えば、GPS、GNSS等の人工衛星を利用して現在位置を計測する衛星測位システム(別名:衛星航法システム:navigation satellite systems)における測位衛星であり、測位衛星13からは、位置情報と時刻などが送られて来る。
【0029】
また、制御部15は、例えばコンピュータであり、位置特定手段15Aと施工情報取得手段15Bとイメージデータ生成手段15Cの一部はプログラム化された専用ソフト(アプリケーションソフトなど)として構成されている。制御部15における専用ソフトの一部は、アスファルト舗装機械12や入出力端末装置21に搭載される場合もあれば、クラウド上に統合して設ける場合もあり、その形態は問わない。
【0030】
制御部15における位置特定手段15Aは、測位信号受信アンテナ14が測位衛星13から受けた測位信号(位置信号)を使用して、アスファルト舗装機械12がアスファルト合材を舗装している位置を特定する。制御部15における施工情報取得手段15Bは、アスファルト舗装機械12でアスファルト合材を舗装する施工時の情報(例えば、アスファルト舗装機械12が施工した舗装範囲のアスファルト合材の敷き均し厚さ、敷き均し温度、一次転圧時の表面温度、一次転圧回数、二次転圧時の表面温度、二次転圧回数の情報など)を取得する。制御部15におけるイメージデータ生成手段15Cは、位置特定手段15Aにより特定されたアスファルト合材を舗装している位置と施工情報取得手段15Bにより取得されたアスファルト舗装機械12の施工時の情報とを対応づけた施工履歴を表すイメージデータを生成する。
【0031】
更に詳述すると、車両11は、例えばダンプトラック等であり、アスファルト合材をアスファルト混合所(プラント)で受け取り、受け取ったアスファルト合材を荷台に積載して施工現場に運ぶものである。車両11には、荷台に積載したアスファルト合材の温度を自動計測可能な、例えば赤外線放射温度計等でなる車両側温度計11Aが設置されている。
【0032】
車両側温度計11Aでの計測したアスファルト合材の温度測定の結果は、例えばスマートフォンやPC(パーソナルコンピュータ)等の通信ネットワーク17を使用して位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bに入力される。また、車両11の位置もアスファルト合材の温度情報と同様に、通信ネットワーク17を介して位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bに入力される。なお、車両11にも、測位信号受信アンテナ14及び位置特定手段15Aを設置し、測位衛星13からの測位信号を受けて車両11の位置情報を取得できるようにしてもよい。
【0033】
アスファルト舗装機械12は、車両11で運ばれて来たアスファルト合材を施工位置に敷き均すアスファルトフィニッシャ12Aと、アスファルトフィニッシャ12Aで敷き均された舗装範囲を往き来し、アスファルト合材を締め固めて一次転圧(初期転圧)を行うロードローラ12Bと、ロードローラ12Bで一次転圧を終えた後に、一次転圧の場合と同様に、一次転圧で踏み固められた舗装範囲の上を往き来して、二次転圧を行うタイヤローラ12C等を含む。なお、一次転圧及び二次転圧に振動ローラを用いることもある。したがって、以下の説明では、特にアスファルトフィニッシャ12A、ロードローラ12B、タイヤローラ12Cと区別をしなければならない場合を除いては、アスファルト舗装機械12として説明する。
【0034】
また、車両11でプラントから運ばれて来るアスファルト合材の温度(出荷温度)は、例えば目標温度が178±7℃で、到着温度は170±10℃である。さらに、一般的には、アスファルトフィニッシャ12Aでの敷き均し作業時の温度は165±10℃、ロードローラ12Bでの初期転圧作業時の温度は155±10℃、タイヤローラ12Cでの二次転圧温度は110±10℃である。
【0035】
また、アスファルトフィニッシャ12Aとロードローラ12Bとタイヤローラ12Cには、それぞれ位置特定手段15Aとして、アスファルトフィニッシャ12Aとロードローラ12Bとタイヤローラ12Cの各位置を特定する測位信号受信アンテナ14と、例えば赤外線放射温度計等でなる舗装機械側温度計19と、が設置されている。測位信号受信アンテナ14は、測位衛星13からの測位信号を受信して、アスファルトフィニッシャ12Aとロードローラ12Bとタイヤローラ12Cの現在の各位置をそれぞれ正確に把握するためのものである。
【0036】
舗装機械側温度計19は、アスファルトフィニッシャ12Aとロードローラ12Bとタイヤローラ12Cが、それぞれ施工を行っている現場の温度(舗装面の温度)を、各アスファルト舗装機械12上から非接触で計測し、その計測結果を位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bを介してイメージデータ生成手段15Cに出力する。
【0037】
イメージデータ生成手段15Cは、車両側温度計11Aからの温度情報と、アスファルト舗装機械12における位置特定手段15Aからの位置情報、及び、舗装機械側温度計19からの温度情報等、の各データをアスファルト舗装機械12の施工時の情報に対応づけて、施工履歴を表すイメージデータとして、所定の管理項目別(例えば、車両台番、時間、敷き均し初期の温度、最高温度、最低温度、平均温度、転圧温度、転圧回数など)に分けてデータを生成する。そして、イメージデータ生成手段15Cで生成されたイメージデータは、制御部15を介することにより、許可された誰もがパーソナルコンピュータ等の入出力端末装置21を使用して閲覧することができる。
【0038】
データ記憶装置16は、制御部15がイメージデータ化したデータを、読み書き可能に記憶しておく記憶手段である。データ記憶装置16の一部、及び、制御部15のプログラムの一部は、クラウド上に置かれる場合もある。
【0039】
次に、
図1に示す舗装管理支援システムの一動作例を説明する。なお、動作例では、制御部15におけるイメージデータ生成手段15Cは、予め用意される施工現場の地理・地形情報に、位置特定手段15Aによる位置情報がスタンプされて用意される。また、施工現場の地理・地形全体を例えば
図3~
図5に示すように、単位マス目(グリッド状)に複数個に分割し、分割した各箇所単位で施工データを管理し、所定の管理項目別にイメージデータ化する。なお、
図3中に示す符号22がx軸とy軸方向に等間隔で走るグリッド線、符号23はグリッド線22で囲まれて分割された一つの箇所(以下、「ピクセル23」という)である。本実施例では、各ピクセル23の大きさを、縦50cm、横50cmで分割している。しかし、この大きさは任意であってよい。
【0040】
図2は、車両11とアスファルト舗装機械12の運行の一例を示すもので、(A)はアスファルト合材を、プラントからアスファルト舗装現場に搬送してアスファルトフィニッシャ12Aに受け渡すまでの、車両11の時系列的な流れ(時間T)と車両側温度計11Aで計測される温度の一般的な変化を示す図で、(B)はアスファルト合材の現場での敷き均し、転圧、出来形計測・品質の確認までの流れの一例を示す図である。なお、
図2の(B)における横軸(x軸)は経過時間Tであり、縦軸(y軸)は車両側温度計11Aが表示する荷台に積載されたアスファルト合材の温度℃である。
【0041】
まず、車両11の荷台に積載されたアスファルト合材の温度の変化を、
図2を用いて車両11の行動に照らし合わせて説明する。車両11の荷台にアスファルト合材が積まれていない空のときは、車両側温度計11Aが測定した温度は低く、約20~30℃である。このことから、車両11の荷台には未だアスファルト合材が積み込まれていないことが分かる。そして、プラント(アスファルト混合所)で車両11の荷台にアスファルト合材が積み込まれると、車両側温度計11Aが測定する温度は、測定直前の20~30℃から約180℃へと急に上昇し(ステップST1:プラントにて材料の積込)、車両11の荷台にアスファルト合材が積み込まれた場所と時間とが分かる。
【0042】
そして、アスファルト合材を荷台に載せた車両11は、そのまま舗装現場に向かい、舗装現場で待機している間は、150℃程度を維持している(ステップST2:プラントから現場へ運搬と、ステップST3:現場内での待機)。
【0043】
次に、車両11がアスファルト合材をアスファルトフィニッシャ(敷き均し機械)12Aのホッパに受け渡すと、車両側温度計11Aの温度は急激に150℃程度から20~30℃まで低下(温度低下)する(ステップST4:アスファルト舗装機械へ材料の供給)。また、無積載状態となった車両11の荷台は、温度が約20~30℃に低下したまま、舗装現場からプラントへと戻る(ステップST5:プラントへ帰還)。なお、ステップST1からステップST4との間において、車両側温度計11Aで計測された温度変化は、そのときの時間と位置情報と共に通信ネットワーク17を介して制御部15の位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bにそれぞれ入力される。また、車両11は、必要により、同じ動作を繰り返す。
【0044】
一方、アスファルトフィニッシャ12A側では、車両11からホッパにアスファルト合材を受け取ると、アスファルトフィニッシャ12A上の舗装機械側温度計19の温度が、例えば直前までは約20~30℃であったのが約140℃まで急上昇し、このときの温度情報が制御部15の位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bに入力される。これにより、制御部15側における位置特定手段15Aは、アスファルトフィニッシャ12Aがアスファルト合材を受け取ったと認識し、例えばその車両11の台番と、車両11におけるアスファルト合材の出荷時の温度と、アスファルトフィニッシャ12Aが受け取った位置と、受け取った時間と、受け取り時の温度(到着温度)と、などを、施工情報取得手段15Bを介して制御部15のイメージデータ生成手段15Cに送る。
【0045】
次いで、現場では、アスファルト舗装機械12(アスファルトフィニッシャ12A)によるアスファルト合材の敷き均し作業が開始される。まず、アスファルトフィニッシャ12Aの現在の位置は、測位信号受信アンテナ14で得られた位置情報が制御部15に予め用意されて記録されている施工現場の地図(地理・地形情報)上にスタンプされる。また、ここでの制御部15は、車両1台のアスファルト合材で敷き均された舗装範囲を、グリッド(マス目)状に複数のピクセル23に分割し、また施工時の各種の情報を、その分割した複数のピクセル23毎に、それぞれ所定の管理項目に分けて管理する。
【0046】
車両11からアスファルト合材を受け取ったアスファルトフィニッシャ12Aは、その車両1台分のアスファルト合材を現場に敷き均すとともに、測位信号受信アンテナ14から得られるアスファルトフィニッシャ12Aの移動位置(舗装範囲)と、移動時にアスファルトフィニッシャ12Aが敷き均した施工面のアスファルト合材の温度を舗装機械側温度計19で分割されたピクセル23毎に読み取り、その分割されたピクセル23毎の温度と位置情報及び敷き均し厚さを、測定時の時間と共に位置特定手段15A及び施工情報取得手段を介して制御部15のイメージデータ生成手段15Cに出力する。
【0047】
一方、アスファルトフィニッシャ12Aからの信号を受けた制御部15のイメージデータ生成手段15C側では、アスファルトフィニッシャ12Aからのアスファルト合材を敷き均したピクセル23毎の位置と敷き均し厚み、その敷き均したときの時間と、そのときの施工面の温度とを、それぞれグリッド状に分割されたピクセル23毎に施工履歴を表すイメージデータを生成し、そのイメージデータを更に所定の管理項目別(例えば、車両台番、敷き均し初期の温度、最高温度、最低温度、平均温度など)のイメージに分けて保存する。
図3は、イメージデータ生成手段15Cが、敷き均し範囲(舗装範囲)内におけるピクセル23の施工履歴を、それぞれイメージデータ化して表しているヒートマップの一例である。
図3におけるヒートマップでは、複数に分割されたピクセル23毎に、舗装機械側温度計19で得られた舗装温度が、その舗装温度に応じて色分けされて保存されている。
【0048】
また、アスファルトフィニッシャ12Aが、最初の車両11(1番目の車両11)で運ばれて来たアスファルト合材の敷き均し作業が終わったら、2台目の車両11からのアスファルト合材を受け取り、2台目の車両11からのアスファルト合材の敷き均し作業がアスファルトフィニッシャ12Aにより行われる。そして、制御部15では、2台目の車両11で運ばれて来たアスファルト合材が、アスファルトフィニッシャ12Aで敷き均された位置と時間と温度などが位置特定手段15Aで計測され、これらの各情報が施工情報取得手段15Bにより、対応する分割された箇所の位置にそれぞれスタンプされる。なお、この場合、2台目の車両11からのアスファルト合材を受け取っても、アスファルト合材が受け渡された時点では、アスファルトフィニッシャ12A内には前の一台目の車両11から受けたアスファルト合材が残存している。その残量は、通常、受け渡しを受けた位置から約8メートル(これは、アスファルトフィニッシャ12Aによっても異なる)進行方向した時点でなくなる。よって、新たな舗装範囲の開始位置は、アスファルト合材の受け渡しを受けた位置からアスファルトフィニッシャ12Aが約8メール進行した時点を、2台目から受け渡されたアスファルト合材の新たな開始位置にする。以後、この管理が繰り返される。
【0049】
一方、アスファルトフィニッシャ12Aによる車両11の一台分のアスファルト合材の敷き均し作業、すなわち車両11の一台分のアスファルト合材の敷き均し範囲の作業が終了したら、次にアスファルトフィニッシャ12Aの敷き均し範囲(舗装範囲)の上をトレースする形で、ロードローラ12Bが行き来する初期転圧(一次転圧)の作業が行われる。ロードローラ12Bによる初期転圧は、アスファルト混合物の温度が116~140℃の時に行われる。ロードローラ12Bによる初期転圧作業時は、ロードローラ12Bに搭載されている測位信号受信アンテナ14から得られるロードローラ12Bの移動位置と、移動時にそれぞれの位置で転圧した施工面におけるアスファルト合材の表面温度を舗装機械側温度計19で各々読み取り、そのときの温度と位置情報と時間などの予め指定されたデータが、ロードローラ12Bから通信ネットワーク17を通して位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bを介してイメージデータ生成手段15Cに出力する。
【0050】
一方、制御部15側では、位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bからの情報を基に、イメージデータ生成手段15Cが、ロードローラ12Bが初期転圧を加えた位置と、その施工時の時間と、そのときの施工面における表面温度のイメージデータを、それぞれグリッド状に分割されたピクセル23毎に作成し、更に所定の管理項目別(例えば、一次転圧時の温度、最高温度、最低温度、平均温度など)に仕分けをして、アスファルトフィニッシャ12Aで得られたイメージデータに追加して、施工履歴を表すイメージデータとして保存する。また、同時に、一次転圧を加えた回数(グリッド線22で分割された同じピクセル23の上を一次転圧のために往き来した回数)をマップ化されたピクセル23から検出し、それをイメージデータ化して、所定の管理項目別に施工履歴を表すイメージデータとして記憶する。
図4は、ロードローラ12Bが一次転圧(初期転圧)を加えたときに、グリッド状に複数に分割されたピクセル23毎にデジタルデータを追加したヒートマップの一例を示すものである。
図4では、グリッド状に分割された各ピクセル23の上に、ロードローラ12Bの舗装機械側温度計19で得られた温度が、その一次転圧を加えたときの舗装温度に応じて色分けして保存した一例である。また、
図5は、制御部15のイメージデータ生成手段15Cが、グリッド状に複数に分割されたピクセル23毎にイメージデータを生成し、ロードローラ12Bにおける転圧回数を、対応するピクセル23にスタンプした一例であり、各ピクセル23には、ロードローラ12Bが往き来して転圧を加えた回数が、その回数に応じて色分けして保存した一例である。
【0051】
また、ロードローラ12Bによる車両一台分の初期転圧の作業が終了したら、次にロードローラ12Bが一次転圧を加えた舗装範囲の上をトレースする形で、タイヤローラ12Cが往き来するタイヤローラ12Cの二次転圧の作業が開始される。タイヤローラ12Cによる二次転圧は、タイヤローラ12Cに搭載されている測位信号受信アンテナ14から得られる移動位置と、タイヤローラ12Cの移動時に、タイヤローラ12Cの舗装機械側温度計19から得られる、二次転圧を加えた施工面の表面温度と、時間などの、予め指定されたデータが、タイヤローラ12Cから通信ネットワーク17を通して位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bを介してイメージデータ生成手段15Cに出力する。
【0052】
一方、制御部15側では、位置特定手段15A及び施工情報取得手段15Bからの情報を基に、イメージデータ生成手段15Cが、タイヤローラ12Cが二次転圧を加えた位置と、その施工時の時間と、そのときの施工面における表面温度のイメージデータを、それぞれグリッド状に複数に分割されたピクセル23毎に作成し、更にロードローラ12Bで記録された
図4で示すマップ上に、イメージデータを追加する形で、所定の管理項目別(例えば、二次転圧時の温度及び時間、二次転圧の回数など)に仕分けをして、施工履歴を表すイメージデータとして保存する。また、同時に、二次転圧を加えた回数(同じピクセル23の上を転圧のために往き来した回数及び時間)も、ロードローラ12Bで記録された
図5で示すマップ上に追加する形で、施工履歴を表すイメージデータとして保存する。
【0053】
また、二次転圧の作業が終了したら例えばレーザースキャナーを使用した出来形計測、及び非破壊密度計を使用した品質確認試験が行われ、このときの出来形計測の結果と品質確認試験結果のデータがイメージデータとして、それぞれ通信ネットワーク17を介して制御部15に出力され、制御部15で管理項目別に記憶・管理する。
【0054】
このように構成された舗装管理支援システムでは、アスファルト合材の出荷からアスファルト舗装(施工)時までの記録と、舗装後の出来形計測・品質の確認管理までを、制御部15で自動的に、位置特定手段15Aにより特定されたアスファルト合材を舗装している位置(舗装範囲)と施工情報取得手段15Bにより取得されたアスファルト舗装機械12の施工時の情報とを対応づけた施工履歴を表すイメージデータとして、帳票化してデータ記憶装置16に保管できる。そして、施工途中及び施工後に、その施工時の記録を見たい場合は、パソコン等を使用して制御部15を起動することにより、許可が得られている者で有れば誰でも必要とするときに、必要とする情報を簡単に見ることができる。すなわち、データの共有化が可能になる。
図6は、舗装管理支援システムで自動的に作成された、温度管理帳票の一例を示すものである。
【0055】
したがって、本実施例による舗装管理支援システムによれば、アスファルト舗装機械12でアスファルト合材を敷設している現場の位置の記録を、位置特定手段15Aが測位衛星13からの測位信号を使用して特定することができる。更に、制御部15により、特定された現場での施工記録を所定の管理項目別に分けてイメージデータ化し、そのイメージデータを帳票化して自動で記録することが可能になるので、人力を省いて作業効率の向上が図れる。また、同時に、アスファルト舗装後における完成物の見直し等を容易に行うことができるので、信頼性の向上と、品質の向上が期待できる。
【0056】
なお、上記実施例では、制御部15は、複数の車両一台ごとに運び込まれたアスファルト合材の舗装範囲を、グリッド状に複数のピクセル23に分割し、かつ、分割された複数のピクセル23全ての施工管理値をデータ化して保存する場合について説明した。しかし、分割された複数のピクセル23全ての施工管理値をデータ化せずに、複数のピクセル23の中の幾つかの代表のピクセル23を自動的に決定し、その決定された代表のピクセル23における施工管理値をデータ化して管理するようにしても良い。このように、複数に分割されたピクセル23の中の代表のピクセル23における施工管理値をデータ化して管理するようにした場合には、毎回違う場所を比較することなく、常に同じピクセル23における施工時の情報での比較が可能になり、正確な施工履歴が得られる。また、処理時間の短縮化と、簡素化された表示が可能になる。
【0057】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
前記イメージデータ生成手段は、前記イメージデータにおいて前記車両一台毎のアスファルト合材の舗装範囲をグリッド状に複数個のピクセルに分割する、ことを特徴とする請求項2に記載の舗装管理支援システム。
前記イメージデータ生成手段は、前記複数個に分割された前記ピクセルの中の少なくとも一つの前記ピクセルを代表のピクセルとし、前記代表のピクセルにおける前記位置と前記施工時の情報とを対応づけた前記イメージデータを生成する、ことを特徴とする請求項3に記載の舗装管理支援システム。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、舗装管理支援システムであって、アスファルト舗装機械がアスファルト合材を舗装している位置を、測位衛星からの測位信号を使用して特定する位置特定手段と、前記アスファルト舗装機械で前記アスファルト合材を舗装する施工時の情報を取得する施工情報取得手段と、前記位置特定手段により特定された前記アスファルト合材を舗装している位置と前記施工情報取得手段により取得された前記アスファルト舗装機械の施工時の情報とを対応づけた施工履歴を表すイメージデータを生成するイメージデータ生成手段と、を備え、前記位置特定手段は、前記アスファルト舗装機械に搭載され、前記測位衛星からの前記測位信号を受信する受信アンテナと、前記アスファルト舗装機械に前記アスファルト合材を搬入する車両に搭載され、前記車両の荷台に積載している前記アスファルト合材の温度を非接触で検出する車両側温度計と、前記アスファルト舗装機械に搭載され、前記アスファルト舗装機械で舗装した箇所の前記アスファルト合材の温度を非接触で検出する舗装機械側温度計と、を備え、前記イメージデータ生成手段は、前記車両側温度計が前記アスファルト合材の温度低下を検出したときの前記アスファルト舗装機械の位置情報に基づいて、前記車両が前記アスファルト舗装機械に受け渡した前記アスファルト合材の敷き均し範囲を特定する、舗装管理支援システムを提供する。