(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073953
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジンの排気ガス後処理システム、エンジン及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20230519BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20230519BHJP
F02D 19/06 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
F01N3/20 G
F01N3/20 B
F02M21/02 F
F02D19/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022124799
(22)【出願日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10 2021 129 852.0
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・シュトローブル
【テーマコード(参考)】
3G091
3G092
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA18
3G091AA21
3G091AB01
3G091BA28
3G091CA12
3G091CA13
3G091CA15
3G091HA36
3G091HA37
3G091HA42
3G091HB03
3G092AA02
3G092AB07
3G092AB12
3G092AC10
3G092DC15
3G092DF02
3G092FA20
3G092HD09Z
(57)【要約】
【課題】ガスエンジンまたは二元燃料エンジンの新たなタイプの排気ガス後処理システムを提供する。
【解決手段】排気ガス後処理システム(1)は、排気ガスを流すことができる触媒(3)と、触媒(3)の凹部(5)を通って延在している制御管(4)であって、触媒(3)に対して移動させることができ、排気ガスを流すことができる制御管(4)と、エンジンの少なくとも1つの作動条件及び/または排気ガス後処理システムの少なくとも1つの作動条件に応じて、制御管(4)を触媒(3)に対して移動させることができるアクチュエータ(6)と、を備え、制御管(4)の触媒(3)に対する第1の相対位置では、排気ガスは触媒(3)を流れることができるが、制御管(4)には流れないようにし、制御管(4)の触媒(3)に対する第2の相対位置では、排気ガスは制御管(4)を流れることができるが、触媒(3)には流れないようにされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジンの排気ガス後処理システム(1)であって、
排気ガスを流すことができる触媒(3)と、
該触媒(3)の凹部(5)を通って延在している制御管(4)であって、前記触媒(3)に対して移動させることができ、排気ガスを流すことができる制御管(4)と、
前記エンジンの少なくとも1つの作動条件及び/または前記排気ガス後処理システムの少なくとも1つの作動条件に応じて、前記制御管(4)を前記触媒(3)に対して移動させることができるアクチュエータ(6)と、
を備え、
前記制御管(4)の前記触媒(3)に対する第1の相対位置では、排気ガスは前記触媒(3)を流れることができるが、前記制御管(4)には流れないようにし、前記制御管(4)の前記触媒(3)に対する第2の相対位置では、排気ガスは前記制御管(4)を流れることができるが、前記触媒(3)には流れないようにされている、
排気ガス後処理システム。
【請求項2】
前記触媒(3)は環状触媒であり、該触媒(3)の径方向内側は、前記制御管(4)を受け入れる凹部(5)の領域において第1の触媒管(7)によって画定されており、前記触媒(3)の径方向外側は、第2の触媒管(8)及び/または圧力反応器(9)によって画定されており、第1の軸方向端部(10)において排気ガスの流れ入口側を備え、第2の軸方向端部(11)において排気ガスの流れ出口側を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の排気ガス後処理システム。
【請求項3】
前記制御管(4)は、第1の部分(4a)で第1の閉鎖体(13)を担持し、該閉鎖体(13)は、前記制御管(4)の前記第1の相対位置において、前記触媒(3)を通る排気ガスの流れを可能にし、前記制御管(4)の前記第2の相対位置において、前記触媒(3)を通る排気ガスの流れを阻害することを特徴とする、請求項1または2に記載の排気ガス後処理システム。
【請求項4】
前記制御管(4)は、第2の部分(4b)で第2の閉鎖体(14)を担持し、該閉鎖体(14)は、前記制御管(4)の前記第1の相対位置において、前記制御管(4)と前記触媒(3)との間の間隙(15)を密封することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム。
【請求項5】
前記制御管(4)は第3の部分(4c)で、前記制御管(4)の前記第1の相対位置において閉塞され、前記制御管(4)の前記第2の相対位置において開口される凹部を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム。
【請求項6】
再生剤のためのスプレー装置(17)を備えており、該スプレー装置を介して、前記触媒(3)に対する前記制御管(4)の前記第1の相対位置及び前記触媒(3)に対する前記制御管(4)の前記第2の相対位置において、前記再生剤を前記触媒(3)に導入することができる、請求項1~5のいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム。
【請求項7】
前記エンジンの少なくとも1つの作動条件及び/または前記排気ガス後処理システムの少なくとも1つの作動条件を検出するための少なくとも1つのセンサ(23、24、25)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム。
【請求項8】
前記エンジンの少なくとも1つの作動条件及び/または前記排気ガス後処理システムの少なくとも1つの作動条件に依存してアクチュエータ(6)を制御するための制御装置を含むこと特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム(1)を有するエンジン、すなわちガスエンジンまたは二元燃料エンジン。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム(1)の作動方法であって、
前記エンジン内でガス燃料が燃焼しているとき、前記制御管(4)は前記触媒(3)に対して前記第1の相対位置に移動しており、
前記エンジン内で液体燃料が燃焼しているとき、及び/またはエンジン故障が存在するとき、及び/またはエンジン始動時、及び/またはエンジン停止時、及び/または排気ガス過熱が存在するとき、及び/または前記触媒が再生されるとき、前記制御管(4)は前記触媒(3)に対して前記第2の相対位置に移動している、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジンまたは二元燃料エンジン(dual-fuel engine)として設計されたエンジンの排気ガス後処理システム(exhaust gas after-treatment system)に関する。更に、本発明は、ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジン、並びに排気ガス後処理システムまたはエンジンを作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば船舶の内燃機関として使用されるような大型エンジンは、ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとしてますます具体化されている。ガスエンジンでは、例えば天然ガスのようなガス燃料が燃焼される。二元燃料エンジンでは、例えば天然ガスのようなガス燃料をガス燃料作動モードで燃焼させ、例えばディーゼル燃料のような液体燃料を液体燃料作動モードで燃焼させることができる。
【0003】
このような大型エンジンの排気ガスは浄化されなければならない。この目的のために、エンジンは排気ガス後処理システムを備えている。ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジン、特に船舶の推進ユニットとして優先的に使用される大型エンジンのコンパクトな設計の排気ガス後処理システムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-074089号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2の017/0268402号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる要請に鑑み、本発明は、このような排気ガス後処理システムを備えたガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジンの新たなタイプの排気ガス後処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の排気ガス後処理システムにより解決される。
【0007】
本発明に係る排気ガス後処理システムは、排気ガスを流すことができる触媒を備えている。
【0008】
更に、本発明による排気ガス後処理システムは、触媒の凹部を通って延在している制御管(control tube)を備えており、この制御管は触媒に対して移動することができ、同様に排気ガス流すことが可能とされている。
【0009】
更に、本発明による排気ガス後処理システムは、エンジンの少なくとも1つの作動条件及び/または排気ガス後処理システムの少なくとも1つの作動条件に応じて、制御管を触媒に対して移動させることができるアクチュエータを備え、制御管の触媒に対する第1の相対位置では、排気ガスは触媒を流れることができるが、制御管には流れないようにし、制御管の触媒に対する第2の相対位置では、排気ガスは制御管を流れることができるが、触媒には流れないようにされている。
【0010】
本発明による排気ガス後処理システムにおいて、制御管は、触媒の凹部を貫通し、触媒に対して移動可能なように触媒に一体化されている。制御管の第1の相対位置では、制御管は触媒を通る排気ガスの流れを可能にし、制御管の第2の相対位置では、制御管は触媒を通る排気ガスの流れを阻害するが制御管自身を通る排気ガスの流れを可能にしている。このような排気ガス後処理システムは、設置スペースを殆ど必要としない。バイパス管、断熱材(insulations)、フラップ(flaps)、破裂板(rupture discs)、及びバイパス管の制御弁を省略することができる。
【0011】
好ましくは、触媒は環状触媒(ring catalyst)であり、この環状触媒の径方向内側は、制御管を受け入れる凹部の領域において第1の触媒管によって画定されており、環状触媒の径方向外側は、第2の触媒管及び/または圧力反応器によって画定されており、第1の軸方向端部において排気ガスの流れ入口側を備え、第2の軸方向端部において排気ガスの流れ出口側を備えている。このような触媒は、排気ガス後処理システムのコンパクトな設計を確実にするために特に好ましい。
【0012】
制御管は第1の部分で、制御管の第1の相対位置において触媒を通る流れを可能にし、制御管の第2の相対位置において触媒を通る流れを阻害する第1の閉鎖体(closure body)を担持することが好ましい。この構成も、排気ガス後処理システムのコンパクトな設計を提供するのに寄与している。
【0013】
制御管は第2の部分で、制御管の第1の相対位置において制御管と触媒との間の間隙を密封する第2の閉鎖体を担持することが好ましい。これにより、排気ガス後処理システムの設置スペースを小さくすることができるという利点がある。
【0014】
制御管は第3部分で、制御管の第1の相対位置において閉塞され、制御管の第2の相対位置において開口される凹部を含むことが好ましい。この構成も、排気ガス後処理システムの設置スペースを低減するのに寄与している。
【0015】
好ましくは、排気ガス後処理システムは、再生剤(regeneration agent)のためのスプレー装置を備えており、このスプレー装置を介して、触媒に対する制御管の第1の相対位置及び触媒に対する制御管の第2の相対位置において、再生剤を触媒に導入することができる。このスプレー装置により、排気ガス後処理システムの設計をコンパクトにしつつ、触媒に再生剤を導入することが可能である。
【0016】
排気ガス後処理システムは、エンジンの前記少なくとも1つの作動位置及び/または排気ガス後処理システムの前記少なくとも1つの作動条件を検出し、エンジンの前記少なくとも1つの作動条件及び/または排気ガス後処理システムの前記少なくとも1つの作動条件とは独立してアクチュエータを制御するために、少なくとも1つのセンサ及び制御ユニットを含むことが好ましい。これにより、排気ガス後処理システムを特に有利に作動させて、排気ガスを触媒に通すか、またはバイパス作動という意味で、触媒を通り越し、制御管を通じて排気ガスを通すことができる。これにより、排気ガス後処理システムは、排気ガス後処理システムの少なくとも1つの作動条件及び/またはエンジンの少なくとも1つの作動条件に応じて自動的に適合され、触媒モード(catalyst mode)または触媒バイパスモード(bypass mode for the catalyst)のいずれかで排気ガス後処理システムを作動することができる。
【0017】
本発明に係るエンジンは請求項9に規定されている。
【0018】
排気ガス後処理システムを作動させるための本発明に係る方法は、請求項10に規定されている。
【0019】
本発明の好ましい更なる発展は、従属項及び以下の詳細な説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による排気ガス後処理システムの第1の状態を示す図である。
【
図2】
図1の排気ガス後処理システムの第2の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
本発明は、ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジンの排気ガス後処理システム及び燃料供給システムを有するエンジンに関する。更に、本発明は、ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジン、並びに排気ガス後処理システム及びエンジンを作動させる方法に関する。
【0023】
図1及び
図2は、詳細には図示されていないガスエンジンまたは二元燃料エンジン、特に船舶の推進ユニットとして使用される大型エンジンの本発明による排気ガス後処理システム1の好ましい例示的実施形態を図式化して示している。
【0024】
図1及び
図2は、排気ガス後処理システム1の方向に図示されていないエンジンから導く排気ライン2を示す。
【0025】
排気ガス後処理システム1は触媒3を備えている。触媒3には排気ガスを流すことができる。
【0026】
また、排気ガス後処理システム1は、触媒3の凹部5内に延在している制御管4を備えている。制御管4は、触媒3に対して移動することができ、同様に排気ガスを流すことが可能とされている。制御管4は、触媒3の凹部5内に軸方向に移動可能に案内されている。
【0027】
また、排気ガス後処理システム1はアクチュエータ6を備えている。アクチュエータ6は、エンジンの少なくとも1つの作動条件及び/または排気ガス後処理システム1の少なくとも1つの作動条件に応じて、制御管4を触媒3に対して移動させることができる。
【0028】
触媒3に対する制御管4の第1の相対位置I(
図1参照)では、排気ガスは触媒3を流れることができるが、制御管4には流れることができない。
【0029】
触媒3に対する制御管4の第2の相対位置II(
図2参照)では、排気ガスは制御管4を流れることができるが、触媒3には流れることができない。
【0030】
触媒3は環状触媒である。触媒3は、制御管4を受け入れる凹部5の半径方向内側に第1の触媒管7によって区画されている。触媒3は、第2の触媒管8及び/または圧力反応器9によって半径方向外側に画定されている。
図1及び
図2において、圧力反応器9の部分9a、9bは、触媒3または第2の触媒管8の軸方向両側に続いている。
【0031】
触媒3は、互いに対向して位置する2つの軸方向端部を有する。触媒3の軸方向第1の端部10には、排気ガス用の触媒3の流入側が形成されている。対向する触媒3の第2の軸方向端部11には、排気ガス用の流出側が形成されている。
【0032】
特に
図1に示すように、制御管4が触媒3に対して第1の相対位置にある場合には、排気管2を介して排気ガス後処理システム1に流入する排気ガスAは、最初に圧力反応器9の部分9aに流入し、そこから第1の軸方向端部10に形成された流入側を介して触媒3に流入することができる。触媒3を通過した排気ガスAは、対向する第2の軸方向端部11に形成された流出側を介して触媒3から流出し、圧力反応器9の部分9bに流入し、この部分9bから更に排気管12の方向に流れて、排気ガス後処理システム1から排出される。
【0033】
制御管4は、第1の部分4a上に第1の閉鎖体13を備えている。制御管4の触媒3に対する第1の相対位置(
図1参照)では、この第1の閉鎖体13は、排気ガスAを触媒3に流すことを許容しており、従って第1の軸方向端部10に形成された触媒3の流入側を開放して排気ガスを流す。これに対して、制御管4の第2の相対位置(
図2参照)では、第1の閉鎖体13は排気ガスが触媒3を流れるのを阻止しており、従ってこの位置では、第1の閉鎖体13は排気ガスを流すために第1の軸方向端部10に形成された触媒3の流入側を閉鎖している。制御管4の第1の部分4aは、第1の閉鎖体13を径方向外側に担持し、触媒3に対して触媒3の第1の軸方向端部10に突出(project)している。従って制御管4の第1の部分4aは、触媒3の第1の軸方向端部10に制御管4から突出している。
【0034】
第2の部分4bにおいて、制御管4は第2の閉鎖体14を含む。この第2の閉鎖体14は、制御管4の触媒3に対する第1の相対位置において、制御管4と径方向内側に位置する触媒管7との間に形成された隙間15を密封している。これは、触媒3に対する制御管4の第2の相対位置(
図2参照)では必要とされない。
【0035】
第3の部分4cにおいて、制御管4は凹部16を有する。制御管4の触媒3に対する第1の相対位置(
図1参照)において、これらの凹部16は、特に内側の触媒管7及び第2の閉鎖体14を介して閉塞されている。対照的に、制御管4と触媒3との間の第2の相対位置(
図2参照)では、制御管4の第3の部分4cにおけるこれらの凹部16は開口している。
図2の状態、すなわち、特に制御管4が触媒3に対して第2の相対位置にあるとき、排気管2を介して圧力反応器9の部分9aに供給された排気ガスAは、制御管4に流入し、触媒3を通り越し、制御管4の凹部16を介して圧力反応器9の第2の部分9bに入り、排気管12を介して排気ガス後処理システム1から排出される。
【0036】
また、排気ガス後処理システム1は、再生剤の噴霧装置17を備えている。噴霧装置17は、触媒3の第1の軸方向端部10に形成された触媒3の流れ入口端部に隣接して配置され、噴霧装置17には、計量弁18から放出される反応剤(reaction agent)を供給することができる。
【0037】
噴霧装置17は、第1の軸方向端部10に形成された触媒3の流れ入口側に再生剤を均一に塗布することができる円形の噴霧管として形成されることが好ましい。
【0038】
本実施形態の排気ガス後処理システム1のアクチュエータ6は、圧力媒体によって作動するピストン19を備えており、このピストン19は圧力媒体シリンダ20内を移動可能に案内されている。第2の閉鎖体14に作動的に連結されたピストンロッド21は、前記ピストン19に作用する。
【0039】
圧力媒体シリンダ20には、圧力媒体リザーバ22からの圧力媒体が供給され、圧力媒体ピストン19、及び圧力媒体ピストン19を介して制御管4を触媒3に対して軸方向に移動させることができる。
【0040】
排気ガス後処理システム1は更に、エンジンの少なくとも1つの作動条件及び/または排気ガス後処理システムの少なくとも1つの作動条件を検出するための少なくとも1つのセンサを備えている。
【0041】
従って
図1は、排気管2に配されたセンサ23を示しており、このセンサ23は、例えばエンジンの失火を認識することに焦点が当てられている。この目的のために、センサ23は、例えば温度センサとして設計することができ、特に、燃料がエンジン内で燃焼され、次いで温度低下を認識したときに、エンジン内での失火を示唆することができる。
【0042】
また、
図1及び
図2は、触媒3から流出する排気ガスの排気ガス温度を検出するための温度センサ24を圧力反応器9の第2の部分9bの領域に示している。
【0043】
更に、
図1及び
図2に示す圧力センサ25は、オリフィスプレート26の上流側の第1の測定点と、オリフィスプレート26の下流側の第2の測定点とで、排気管12に作用している。
【0044】
更に、排気ガス後処理システム1は、制御管4を
図1に示す位置または
図2に示す位置のいずれかに移動させるために、エンジンの少なくとも1つの作動条件及び/または排気ガス後処理システムの少なくとも1つの作動条件の関数としてアクチュエータ6を制御することができる制御装置を備えている。
【0045】
従って、本発明の排気ガス後処理システムは、好ましくは環状触媒として形成される触媒3と、触媒3に一体化され、制御管4に対して軸方向に移動可能な制御管4と、アクチュエータ6とを備えている。
【0046】
好ましくは、排気ガス後処理システム1は、再生剤用のスプレー装置17と、少なくとも1つのセンサ23、24、25とを更に含む。
【0047】
制御管4は、触媒3内、すなわち内側の触媒管7内に移動可能に配置され、アクチュエータ6を介して軸方向に移動可能である。制御コンポーネントの絶対的な厳格さ(absolute tightness)は必要とされない。少ない設置スペースで効果的な排気ガス後処理を確保できる。
【0048】
触媒3は断面が環状に形成されており、制御管4が案内される凹部5を備えている。排気ガスは、触媒3を通り越し、制御管4を通じて伝達される。制御管4を介して導かれた排気ガスによって、排気ガスが制御管4を介して触媒3をまだ流れていない状態でも、触媒3を既に予熱することができる。
【0049】
特に、エンジン始動時にエンジンを始動させる場合には、排気ガス中に、ガス燃料の着火性残留ガスの高濃度部分が存在する。次いで、これら高濃度部分は、触媒3内で酸化反応することなく、触媒3を通り越し、制御管4を介して伝達され得る。
【0050】
制御管4は、アクチュエータ6によって軸方向に移動される。制御管4の動きは、例えば、排気ガス圧力及び/または排気ガス温度に依存し得る。温度及び圧力は、センサ24及び25を用いて測定することによって検出することができる。
【0051】
制御管4は閉鎖体13、14を担持している。触媒3に対する制御管4の相対位置に応じて、第1の閉鎖体13または第2の閉鎖体14のいずれかが実効する。
【0052】
閉鎖体13、14は円錐形の輪郭を有することが好ましい。閉鎖体13、14のこの円錐形の輪郭により、別個のシールを必要とすることなく、それぞれの閉鎖位置において効果的な密封を確実に行うことができる。
【0053】
排気ガス後処理システム1には、排気ライン2を介して排気ガスを供給することができる。浄化された排気ガスは、排気ライン12を介して排出することができる。更なるライン27を介して、触媒3の再生モードにおいて、再生剤を排気ガス後処理システム1から排出することができる。
【0054】
触媒3を再生するために、排気ガス後処理システム1は、スプレー装置17を備えており、このスプレー装置17の助けを借りて、再生剤を第1の軸方向端部10の領域、従って流れ入口側の領域において触媒3に適用することができる。特に、触媒3の再生は、触媒3に排気ガスが流入しない場合に行われる。これにより、極めて少量の再生剤で触媒3の効果的な再生を行うことができる。再生は、触媒3内で、低温で行うことができる。再生は、エンジンを停止させた状態または他の作動状態で実施することもできる。
【0055】
触媒3は、好ましくはメタン触媒である。エタノール、エタンまたは窒素が再生剤として適している。
【0056】
また、本発明は、上述した排気ガス後処理システム1を備えたエンジン及び排気ガス後処理システム1の作動方法に関する。
【0057】
特に、制御管4が
図1の第1の相対位置にあるときには、排気ガスは触媒3で浄化される。従って、制御管4は、ガス燃料がエンジン内で燃焼される触媒モードにおいて
図1のこの第1の位置をとる。すると、排気ガスAは触媒3を流れ、排気管12を介して排出される。温度センサ24により、排気ガス触媒3の下流側で例えば許容排気ガス温度を検出することができる。圧力センサ25により、触媒3の下流側で排気圧力を検出することができる。これに応じて、制御管4は
図1の相対位置から
図2の相対位置に移動することができ、
図2の相対位置は触媒バイパスモードに対応し、その間、排気ガスは触媒3を介して伝達されず、むしろ排気ガスは触媒3を通り越し、制御管4を通じて伝達される。
【0058】
二元燃料エンジンの制御管4は、特に液体燃料で作動される場合、すなわちディーゼル燃料がエンジン内で燃焼される場合に、
図2の相対位置をとる。ディーゼル燃料の排気ガスはメタン触媒を介しては伝達されない。更に、排気ガス後処理システム、すなわち同システムの制御管4は、エンジン始動時のエンジン始動時及び/またはエンジン停止時のエンジン停止時及び/または緊急作動時及び/またはエンジン故障時、例えば失火時及び/または排気ガス過熱時に、
図2の相対位置をとる。
【0059】
本発明は、排気ガス後処理システム1の最小設置スペース要件で、ガス燃料作動モードで作動されるガスエンジンまたは二元燃料エンジンの排気ガスの効果的な排気ガス浄化を可能にする。既存のエンジンには、本発明による排気ガス後処理システム1を容易に後付けすることができる。触媒3には、最小限の再生剤で、効果的な再生を行うことができる。
【外国語明細書】