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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000740
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】電動式作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101732
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 信洋
(72)【発明者】
【氏名】田宮 和紀
(72)【発明者】
【氏名】坂口 暢也
(57)【要約】
【課題】受電装置と機械本体側の通電ケーブルとの接続作業を効率化する。
【解決手段】一端部が外部電源200側に接続された電源ケーブル100を介して通電される油圧ショベル1であって、後部にカウンタウエイト12、カウンタウエイトの前方に電動モータ20、及び、電動モータへ電力を供給する通電ケーブル40を有する機械本体11と、電源ケーブルの他端部が接続される受電装置60と、カウンタウエイトの上部に固定され、受電装置から延びる配線61及び機械本体から延びる通電ケーブル40を接続する接続部52を収容する接続ボックス50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部が外部電源側に接続された電源ケーブルを介して通電される電動式作業機械であって、
後部にカウンタウエイト、前記カウンタウエイトの前方に電動モータ、及び、前記電動モータへ電力を供給する通電ケーブルを有する機械本体と、
前記電源ケーブルの他端部が接続される受電装置と、
前記カウンタウエイトの上部に固定され、前記受電装置から延びる配線及び前記機械本体から延びる前記通電ケーブルを接続する接続部を収容する接続ボックスと、を備えることを特徴とする電動式作業機械。
【請求項2】
前記機械本体は、前記電動モータの上方を開閉可能に覆う電動モータカバーを備え、
前記受電装置及び前記接続ボックスは、前記電動モータカバーと車体前後方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項3】
前記機械本体は、前記カウンタウエイトの前方に、前記電動モータと左右方向に並ぶ油圧ポンプ及び前記油圧ポンプの上方を覆う油圧ポンプカバーを備え、
車体前後方向において、前記油圧ポンプカバー、前記接続ボックス、前記受電装置の順に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動式作業機械。
【請求項4】
前記接続ボックスは、前記カウンタウエイトから前記油圧ポンプカバーへ向かって延び、前記通電ケーブルを前記接続ボックス内へ引き込むための通電ケーブル引込口が設けられ、前記接続ボックスのうち少なくとも前記通電ケーブル引込口が、上方を前記油圧ポンプカバーに覆われていることを特徴とする請求項3に記載の電動式作業機械。
【請求項5】
前記接続ボックスの前側端部は、前記油圧ポンプカバーの下方、かつ、前記油圧ポンプよりも後方に位置していることを特徴とする請求項4に記載の電動式作業機械。
【請求項6】
前記接続ボックスは、前記受電装置と上下方向に重ならない位置に上方に開口する開閉可能な開口部を有し、前記開口部から前記接続部を露出可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電動式作業機械。
【請求項7】
一端部が外部電源側に接続された電源ケーブルを介して通電される電動式作業機械であって、
電動モータ、及び、前記電動モータへ電力を供給する通電ケーブルを有する機械本体と、
前記電源ケーブルの他端部が接続される受電装置と、
前記受電装置から延びる配線及び前記機械本体から延びる前記通電ケーブルを接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、前記受電装置の外部に配置されることを特徴とする電動式作業機械。
【請求項8】
前記接続部を収容する接続ボックスを備え、
前記接続ボックスは、前記受電装置と上下方向に重ならない位置に上方に開口する開閉可能な開口部を有し、前記開口部から前記接続部を露出可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電動式作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の作業機械は、クローラ式の下部走行体と、下部走行体の上部に旋回可能に設けられた機械本体を備え、機械本体に設けられた作業アタッチメントを操作して作業を行う。このような作業機械には、機械本体に動力源として電動モータを搭載する電動式作業機械がある。
【0003】
一般に、電動式作業機械は、電源ケーブルの一端部を外部電源側に接続するとともに他端部を機械本体側に接続することで通電される。従来の電動式作業機械には、例えば、特許文献1のように、電源ケーブルを機械本体へ繋ぐ受電装置としてスリップリングが機械本体の上部に設けられ、機械本体の旋回によって電源ケーブルが電動式作業機械へ絡まないように構成されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-54365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電動式作業機械は、電動モータへ電力を供給する通電ケーブルとスリップリングとが接続される接続部が、受電装置内の上部に配置されている。そのため、通電ケーブルは機械本体から受電装置内へ引き込まれ、受電装置の内部において接続作業が行われる。このような従来の電動式作業機械において、接続部は作業者からアクセスし難い位置にあるため、通電ケーブルの受電装置への接続作業は工数が多く、大変煩雑な作業である。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、受電装置と機械本体側の通電ケーブルとの接続作業を効率化することが可能な電動式作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、受電装置と通電ケーブルとの接続部を受電装置から離し、アクセスしやすい位置に設けた。
【0008】
具体的には、第1の発明では、一端部が外部電源側に接続された電源ケーブルを介して通電される電動式作業機械であって、後部にカウンタウエイト、カウンタウエイトの前方に電動モータ、及び、電動モータへ電力を供給する通電ケーブルを有する機械本体と、電源ケーブルの他端部が接続される受電装置と、カウンタウエイトの上部に固定され、受電装置から延びる配線及び機械本体から延びる通電ケーブルを接続する接続部を収容する接続ボックスと、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によると、受電装置から延びる配線と機械本体から延びる通電ケーブルとを接続する接続部は、カウンタウエイトの上部に設けられた接続ボックス内に収容されることで、受電装置から離れた位置、かつ、作業者がアクセスしやすい位置に配置されるため、作業者は受電装置内で煩雑な接続作業を行う必要がなくなり、接続作業が効率化することができる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、機械本体は、電動モータの上方を開閉可能に覆う電動モータカバーを備え、受電装置及び接続ボックスは、電動モータカバーと車体前後方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成によると、受電装置及び接続ボックスが、電動モータカバーの開閉の邪魔にならない位置に配置されるため、電動モータカバーを開いて行われる電動モータ及びその周辺機器のメンテナンス時に作業の妨げにならない。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、機械本体は、カウンタウエイトの前方に、電動モータと左右方向に並ぶ油圧ポンプ及び油圧ポンプの上方を開閉可能に覆う油圧ポンプカバーを備え、車体前後方向において、油圧ポンプカバー、接続ボックス、受電装置の順に配置されることを特徴とする。
【0013】
油圧ポンプカバー、接続ボックス、受電装置の順に前後方向に配置することにより、受電装置から接続ボックスへ引き込む配線及び接続ボックスから油圧ポンプカバー内へ引き込む通電ケーブルを、容易に敷設することが可能となる。
【0014】
第4の発明では、第3の発明において、接続ボックスは、カウンタウエイトから油圧ポンプカバーへ向かって延び、通電ケーブルを前記接続ボックス内へ引き込むための通電ケーブル引込口が設けられ、接続ボックスのうち少なくとも通電ケーブル引込口が、上方を前記油圧ポンプカバーに覆われていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によると、接続ボックスが、前方の油圧ポンプ側へ延びるように構成することで、接続ボックスが機械本体の後方へ突出するのを防ぐ。また、接続ボックスを油圧ポンプ側へ延ばし、少なくとも通電ケーブル引込口が油圧ポンプカバーに覆われる構成とすることで、通電ケーブルに細かな防水処理を施す必要がなくなり、接続ボックスのみをシールすれば防水できるので、簡易な構成で保護可能となるため、防水性と組立性とを向上できる。
【0016】
第5の発明では、第4の発明において、接続ボックスの前側端部は、油圧ポンプカバーの下方、かつ、油圧ポンプよりも後方に位置していることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によると、接続ボックス内への水の浸入を防ぐとともに、接続ボックスを油圧ポンプのメンテナンス作業を妨げることのない位置に配置することが可能となる。
【0018】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、接続ボックスは、受電装置と上下方向に重ならない位置に上方に開口する開閉可能な開口部を有し、開口部から接続部を露出可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記の構成によると、接続ボックスに設けられた開口部から、作業者が容易に接続部を視認可能となるため、通電ケーブルの接続作業がより容易となり、作業を効率化できる。また、開口部は開閉可能なので、通常は閉塞しておくことで接続部を保護することができる。
【0020】
第7の発明では、一端部が外部電源側に接続された電源ケーブルを介して通電される電動式作業機械であって、電動モータ、及び、前記電動モータへ電力を供給する通電ケーブルを有する機械本体と、前記電源ケーブルの他端部が接続される受電装置と、前記受電装置から延びる配線及び前記機械本体から延びる前記通電ケーブルを接続する接続部と、を備え、前記接続部は、前記受電装置の外部に配置されることを特徴とする。
【0021】
上記の構成によると、受電装置から延びる配線と機械本体から延びる通電ケーブルとを接続する接続部は、受電装置の外部に配置されることで、受電装置から離れた位置、かつ、作業者がアクセスしやすい位置にあるため、作業者は受電装置内で煩雑な接続作業を行う必要がなくなり、接続作業が効率化することができる。
【0022】
第8の発明では、前記接続部を収容する接続ボックスを備え、前記接続ボックスは、前記受電装置と上下方向に重ならない位置に上方に開口する開閉可能な開口部を有し、前記開口部から前記接続部を露出可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
上記の構成によると、接続ボックスによって接続部を保護することが可能であり、接続ボックスに設けられた開口部から、作業者が容易に接続部を視認可能となるため、通電ケーブルの接続作業が容易となり、作業を効率化できる。開口部は開閉可能なので、通常は閉塞しておくことで接続部を保護することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、受電装置と機械本体側のケーブルとの接続作業の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る電動式作業機械の全体構成を示す概略側面図である。
図2】機械本体の部分平面図である。
図3】油圧ポンプカバーを省略した状態で示す機械本体の部分平面図である。
図4】油圧ポンプを省略した状態で示す機械室の部分斜視図である。
図5】受電装置及び接続ボックスの縦断面図である。
図6】受電装置及び接続ボックスの配置を示す部分斜視図である。
図7】他の実施形態に係る機械本体を示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
説明の便宜のため、いくつかの図面には、電動式作業機械の走行方向を車体前後方向、電動式作業機械に搭乗する作業者から見た左右を車体左右方向、電動式作業機械の上下方向を上下方向として矢印で示してある。特に言及しない限り、これら矢印で示す方向に従って説明する。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電動式作業機械は、例えば、電動式の油圧ショベル1であり、クローラ式の下部走行体10と、下部走行体10上に旋回自在に搭載された機械本体11とを備え、電源ケーブル100の一端部を外部電源200側に接続するとともに他端部を機械本体11側に接続し、電源ケーブル100を介して通電されることにより作動する。
【0029】
機械本体11は、後部にカウンタウエイト12、カウンタウエイト12の前方に機械室13、機械室13の前方にキャブ14、キャブ14に隣接して取り付けられた上下方向に揺動可能なブーム15及びブーム15の先端側にアーム16を介して取り付けられた作業アタッチメント17を備える。
【0030】
図2に示すように、機械室13は上部をカバーで覆われており、機械室13の内部には、油圧ショベル1の動力源である電動モータ20と、電動モータ20と左右方向に並ぶ油圧ポンプ30が収容されている。電動モータ20の上方は、開閉可能な電動モータカバー21に覆われている。電動モータカバー21は、後側端部に回動支点を有し、前側端部を上方に引き上げて開放することにより、機械室13の内部に収容された電動モータ20及びその周辺機器をメンテナンスすることが可能となる。また、油圧ポンプ30の上方は、開閉可能な油圧ポンプカバー31に覆われており、油圧ポンプカバー31を開放して、機械室13の内部に収容された油圧ポンプ30及びその周辺機器をメンテナンスすることが可能である。
【0031】
図3に示すように、油圧ポンプカバー31を開放すると、電動モータ20や制御盤(図示省略)に電力を供給する通電ケーブル40、油圧ポンプ30及び後述する接続ボックス50の一部が露出する。接続ボックス50の前側端部は、油圧ポンプカバー31の下方、かつ、油圧ポンプ30よりも後方に位置するように構成することで、油圧ポンプ30のメンテナス性を低下させることなく接続ボックス50内を保護できる。
【0032】
通電ケーブル40は、機械室13内において、電動モータ20側から電動モータ20と油圧ポンプ30との間の上方へ引き出されている。油圧ポンプ30側の機械室13内は、図4に示すように、機械室13内部の油圧ポンプ30上方に、油圧ポンプ30を電動モータの高温部に対して遮蔽する平板状の防火板32が、車体前後方向に架設されている。また、機械室13内部には、防火板32よりも電動モータ20側の油圧ポンプ30上方に、車体前後方向に延びる棒状の梁部材41が架設されている。
【0033】
通電ケーブル40は、複数のケーブル40aを束ねて形成されており、梁部材41に這わせながら車体前方から後方へガイドされている。通電ケーブル40は、束ねられていた複数のケーブル40aが後端部で分かれており、各ケーブル40aはそれぞれ接続ボックス50内に引き込まれている。
【0034】
受電装置60から延びる配線61及び機械本体11から延びる通電ケーブル40を接続する接続部52は、接続ボックス50に収容されることにより、受電装置60の外部に配置される。具体的には、図5に示すように、接続ボックス50は、車体前後方向に延びる箱型の部材であり、その内部空間に、受電装置60から延びる配線61及び機械本体11から延びる通電ケーブル40を接続する接続部52が収容されている。接続ボックス50は、後部がカウンタウエイト12の上部に固定され、カウンタウエイト12から油圧ポンプカバー31へ向かって前方に延びている。
【0035】
接続ボックス50は、底板部50aと、底板部50aから立設する周壁部50bとを有し、上部を覆う天板部50cには、車体前後方向に間隔をあけて2つの開口部が設けられている。
【0036】
天板部50cに設けられた開口部のうち、後側の開口部は、接続ボックス50の上方に受電装置60を連結するために設けられた連結用開口部51である。連結用開口部51の上部に筒状の連結部材70がネジ止めされ、連結部材70を介して接続ボックス50の上方に受電装置60が連結されている。受電装置60から延びる配線61は、連結部材70及び連結用開口部51を通って接続ボックス50内へ引き出され、底板部50aの前側に固定された接続部52に接続される。
【0037】
受電装置60が接続ボックス50の後部上方に連結されることにより、車体前後方向において、油圧ポンプカバー31、接続ボックス50、受電装置60はこの順に配置されている。このように配置されることで、受電装置60から接続ボックス50へ引き込む配線61及び接続ボックス50から油圧ポンプカバー31内へ引き込む通電ケーブル40を、車体前後方向の直線上に敷設することが可能となるため、敷設作業が容易となる。
【0038】
接続ボックス50は、連結用開口部51の下方において、底板部50aの下部には矩形平板状の固定部材12aが取り付けられ、接続ボックス50は固定部材12aを介してカウンタウエイト12の上面にネジ止めされている。
【0039】
天板部50cに設けられた開口部のうち、前側の開口部は、受電装置60と上下方向に重ならない位置に上方に開口する接続用開口部53である。また、接続用開口部53及び連結用開口部51は、段違いに設けられており、接続用開口部53は、連結用開口部51が設けられた位置よりも下方に設けられている。接続用開口部53は、蓋部54によって開閉可能である。接続用開口部53は、接続部52と上下方向に重なるように設けられているため、接続用開口部53を開放すると、接続用開口部53から接続部52を露出させることができるため、接続作業時にはこの蓋部54を開放して容易に作業を行うことが可能であり、作業時以外は閉塞しておくことで接続部52を保護することができる。
【0040】
接続ボックス50の前側端部において、周壁部50bには前方に向けて開口する通電ケーブル引込口55が設けられている。通電ケーブル引込口55は、通電ケーブル40を機械本体11から接続ボックス50内へ引き込むために設けられている。接続ボックス50のうち少なくとも通電ケーブル引込口55が、上方を油圧ポンプカバー31に覆われていることが望ましい。
【0041】
図6に示すように、接続ボックス50が油圧ポンプカバー31の後方に配置されることにより、受電装置60及び接続ボックス50は、電動モータカバー21と車体前後方向に重ならない位置に配置されている。そして、本実施形態において、接続ボックス50は、通電ケーブル引込口55が設けられている前側端部から接続用開口部53までが油圧ポンプカバー31に覆われている。
【0042】
受電装置60は、図5に示すように、下端部が連結部材70に固定されて上下方向に延びる中空状の固定軸62と、この固定軸62の外周に回転自在に設けられたケース63とを有している。ケース63は、連結部材70を挿通させ連結部材70の外周を回転自在に設けられた底板部63aと、底板部63a上に立設して固定軸62の外周を囲む筒状部63bと、筒状部63bの上方を覆う天板部63cとからなる。天板部63cには、電源ケーブル100へ繋がる中継ケーブル100aが挿通され、中継ケーブル100aはケース63内に引き込まれている。
【0043】
受電装置60のケース63内において、固定軸62の外周には、複数の導電リング64が軸方向に所定の間隔をあけて設けられている。各導電リング64の外周側には、導電リング64と接触するように対向してブラシ65が設けられている。ブラシ65には、電源ケーブル100へ繋がる中継ケーブル100aが接続され、導電リング64には、配線61が接続される。配線61は固定軸62内へ挿通され、連結部材70を介して接続ボックス50内へと引き込まれる。
【0044】
このような構成により、外部電源200から供給された電力は、電源ケーブル100及び中継ケーブル100aを介してブラシ65へ流れ、ブラシ65から導電リング64へ伝って配線61へ流れ、接続ボックス50内において接続部52を介して配線61から通電ケーブル40へ流れ、最終的に通電ケーブル40から機械本体11内部に搭載された電動モータ20や制御盤(図示省略)へ供給される。
【0045】
(作用効果)
以上のように構成した本実施形態では、受電装置60から延びる配線61と機械本体11から延びる通電ケーブル40とを接続する接続部52は、カウンタウエイト12の上部に設けられた接続ボックス50内に収容されることで、受電装置60の外部に配置され、受電装置60から離れた位置、かつ、作業者がアクセスしやすい位置に配置されるため、作業者は受電装置60内で煩雑な接続作業を行う必要がなくなり、接続作業が効率化できる。また、受電装置60及び接続ボックス50は、電動モータ20、油圧ポンプ30及びその周辺機器のメンテナンス時に作業の妨げにならない位置に配置することができる。さらに、接続ボックス50の一部が油圧ポンプカバー31に覆われるように構成することで、接続ボックス50内部を簡易な構成で保護することが可能となる。
【0046】
(他の実施形態)
図7は、本発明の他の実施形態に係る電動式作業機械の機械本体後部を示し、受電装置及び配線ボックスの構成が異なる点で上記実施形態と異なる。なお、以下の実施形態では、上記実施形態と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0047】
図7に示す実施形態では、受電装置60A及び接続ボックス50Aは、受電装置60Aと接続ボックス50Aとが、左右方向に並んで配置されている点で上記実施形態と異なる。接続ボックス50Aは、左右方向に延び、全体がカウンタウエイト12上に位置するように、カウンタウエイト12上部に固定されている。受電装置60Aは、接続ボックス50Aと左右方向に並んで、全体がカウンタウエイト12上に位置するように接続ボックス50Aの上部に連結されている。なお受電装置60Aは、接続ボックス50Aの上部ではなく、カウンタウエイト12の上部に固定され、接続ボックス50Aと左右方向において連結されていてもよい。
【0048】
このような構成においても、接続部52は、受電装置60Aから離れた位置、かつ、作業者がアクセスしやすい位置に配置されるため、配線作業を効率化することが可能である。また、上記実施形態とは異なり、接続ボックス50Aを、左右方向に延ばし、全体をカウンタウエイト12上に配置したことで、機械本体11の後方へ接続ボックス50Aが突出するのを防ぐとともに、前方の油圧ポンプカバー31及び電動モータカバー21への干渉も防ぐことが可能となる。接続ボックス50Aは、油圧ポンプカバー31に覆われることなく、接続部52を覆う蓋部54がカウンタウエイト12上に露出するような構成にできるため、接続部52へのアクセスがより容易となり、簡易な構成で作業性の向上を図ることが可能となる。
【0049】
また、上記実施形態では、大型の油圧ショベルを例に挙げているが、これには限定されず、更に他の実施形態として、例えば、小旋回型の電動式作業機械にも適用することができる。小旋回型の電動式作業機械には、機械室の外周を覆うように円弧状に形成されたカウンタウエイトが搭載されることがあるが、このような円弧状のカウンタウエイト上にも受電装置及び接続ボックスを配置することが可能であり、カウンタウエイトの形状に関わらず、本発明を適用することができる。
【0050】
上記実施形態では、受電装置及び接続ボックスはカウンタウエイト上に配置されているが、受電装置及び接続ボックスが配置される位置はこれに限定されず、例えば、カウンタウエイト上を除いた機械本体上面の他の位置に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 油圧ショベル(電動式作業機)
10 下部走行体
11 機械本体
12 カウンタウエイト
20 電動モータ
21 電動モータカバー
30 油圧ポンプ
31 油圧ポンプカバー
40 通電ケーブル
41 梁部材
50 接続ボックス
52 接続部
53 接続用開口部
54 蓋部
55 通電ケーブル引込口
60 受電装置
61 配線
100 電源ケーブル
200 外部電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7