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特開2023-74000重複する電極対を有する平面カテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074000
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】重複する電極対を有する平面カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022182365
(22)【出願日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】63/279,747
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/974,179
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エメリウス・バン・ニーキルク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・オビエド・ブイトラゴ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・エフ・サラザール
(72)【発明者】
【氏名】シュバユ・バス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK18
4C160KK38
4C160KK54
4C160KK63
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】患者の心臓内でより操作可能であり、より高い密度の電極を有する短縮された長さのエンドエフェクタを提供すること。
【解決手段】電極を備えるループ部材を有するエンドエフェクタは、カテーテルベースのシステムにて、電気信号を測定または提供するために使用できる。エンドエフェクタは、ループ部材が表面に対して偏向されたときに平面状の表面に接するように拘束されずに拡張されるとときに非同一平面上にある3つのループ部材、ループ部材をエンドエフェクタの遠位頂点に接合する機械的リンク部を含むことができる。エンドエフェクタは、長手方向に隣接する電極間の長手方向の間隙長の約2倍の横方向に隣接する電極間の横方向の間隙長さを有し得る。いくつかの構成では、横方向の間隙距離にほぼ等しい間隙距離を有する長手方向電極双極子対は、他方の全ての電極を長手方向にバイパスすることによって提供され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
長手方向軸を画定する近位部分および遠位部分を備える管状部材であって、前記管状部材は、前記近位部分で操作されて患者の心臓に前記遠位部分を位置決めするように構成され、前記遠位部分は、前記長手方向軸の周りに配設された断面を有し、前記断面は、前記長手方向軸に沿って延在する第1の直交平面および第2の直交平面と交差し、前記遠位部分の前記断面が、前記第1の直交平面および前記第2の直交平面と交差し、前記長手方向軸に沿って延在する第1の開口部を含む、管状部材と、
前記第1の開口部の周りに周方向に配設された6つのアパーチャであって、前記アパーチャの各々が、スパインを受容するように構成されている、6つのアパーチャと、
前記遠位部分に結合されたエンドエフェクタであって、第1のループ部材、第2のループ部材、および第3のループ部材を含み、各前記ループ部材は、2つのスパインと前記2つのスパインを接続するコネクタとを含み、前記第1のループ部材、前記第2のループ部材、および前記第3のループ部材は、前記第1のループ部材、前記第2のループ部材、および前記第3のループ部材のそれぞれの各コネクタが遠位頂点で重なるように構成され、前記エンドエフェクタは、折り畳まれた構成で脈管系を通して送達され、展開構成で前記ループ部材のそれぞれが平面を画定するように前記心臓内で前記展開構成に拡張するように構成されている、エンドエフェクタと、を含む、装置。
【請求項2】
前記第1のループ部材の前記2つのスパインが、前記遠位部分の前記断面の非隣接アパーチャに取り付けられ、前記第2のループ部材の前記2つのスパインが、直接隣接するアパーチャに取り付けられ、前記第3のループ部材の前記2つのスパインが、前記第1のループ部材および前記第3のループ部材が前記第2のループ部材と交差しないように、前記断面の非隣接アパーチャに取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のループ部材および前記第3のループ部材が、外側ループを備え、前記第2のループ部材が、内側ループを備え、前記外側ループが前記長手方向軸に沿って互いに交差し、前記長手方向軸に沿って前記内側ループと交差しない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
4つのアパーチャが、前記第2の直交平面の片側に配設され、3つのアパーチャが、前記第1の直交平面の一方の側に配設され、3つのアパーチャが、前記第1の直交平面の他方の側に配設されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のループ部材が、前記第2の直交平面の一方の側にある、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
各ループ部材の前記2つのスパインが、前記長手方向軸に沿って延在し、前記2つのスパインの各々が、その上に配設された少なくとも第1の電極、第2の電極、および第3の電極を含む複数の電極を備え、
前記複数の電極の各電極が、前記2つのスパインのそれぞれのスパイン上の直接隣接する電極から第1の間隙長だけ離間され、
前記2つのスパインのそれぞれのスパインの前記第1の電極および前記第3の電極が、第1の双極子を形成し、
第1のスパインの各それぞれの電極が、第2のスパインの対応する電極から、前記第1の間隙長の約2倍である第2の間隙長だけ離間されており、
前記第1のスパインの各電極が、前記第2のスパインの前記対応する電極と第2の双極子を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記展開構成において、前記第1のループ部材、前記第2のループ部材、および前記第3のループ部材の前記2つのスパインの各スパインが互いにほぼ平行であり、前記複数の電極が電極グリッドを画定するように位置付けられるように、各スパインが構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のスパインの各それぞれの電極が、前記第1のスパインに沿って直線的に離間され、それぞれの重複電極対を形成する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
直接隣接する電極の間の前記第1の間隙長が、前記直接隣接する電極の各々の中心から測定される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
各スパインが、それぞれが前記第1の間隙長からそれぞれの電極の長さを差し引いたものに等しい長さを有する複数のスパインセグメントを備え、各スパイン部材が、8つの電極を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記8つの電極の各々が、約100μm~約750μm(約100ミクロン~約750ミクロン)の電極長を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の間隙長が、約1ミリメートル、約1.2ミリメートル、および約2.4ミリメートルから選択される長さを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の電極が、前記エンドエフェクタが前記展開構成にあるときに、前記心臓から電位を受信するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の電極が、前記エンドエフェクタが前記展開構成にあるときに心臓組織をアブレーションするように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項15】
遠位端および近位端を有するエンドエフェクタであって、前記遠位端が、折り畳まれた構成で脈管系を通して送達され、前記心臓内で展開構成に拡張するように構成され、前記エンドエフェクタは、長手方向軸に平行な複数の等距離に離間したスパイン部材上に配設された複数の電極を備え、前記複数の電極が、グリッドに配置され、
前記複数の等距離に離間したスパイン部材が、前記グリッドの列を形成し、各それぞれの列内で、前記複数の電極が、直接隣接する電極から第1の間隙長だけ離間され、
前記複数の電極が、前記複数のスパイン部材を横切る前記グリッドの行を形成し、各それぞれの行内で、前記複数の電極が、直接隣接する電極から、前記第1の間隙長の約2倍である第2の間隙長だけ離間されている、エンドエフェクタ。
【請求項16】
前記展開構成において、前記複数のスパイン部材が互いにほぼ平行でほぼ平面状であり、前記複数の電極が前記グリッド内に位置付けられて、電極アレイを画定するように、前記複数のスパイン部材が構成されている、請求項15に記載のエンドエフェクタ。
【請求項17】
前記複数の電極が、前記複数のスパイン部材の各スパイン部材上に、第1の電極、第2の電極、第3の電極を含むように構成され、
第1のスパイン部材の前記第1の電極および前記第1のスパイン部材の前記第3の電極は、第1の双極子を形成し、
前記第1のスパイン部材の各電極が、前記第1のスパイン部材に直接横方向に隣接して位置付けられた第2のスパイン部材の対応する電極と複数の第2の双極子を形成する、請求項15に記載のエンドエフェクタ。
【請求項18】
前記複数の電極の各電極が、約100μm~約750μm(約100ミクロン~約750ミクロン)の電極長を有する、請求項15に記載のエンドエフェクタ。
【請求項19】
前記複数の電極の各電極が、約500μm(約500ミクロン)の電極長を有する、請求項15に記載のエンドエフェクタ。
【請求項20】
前記第1の間隙長が、約1ミリメートル、約1.2ミリメートル、および約2.4ミリメートルから選択される長さである、請求項15に記載のエンドエフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
心房細動などの心不整脈は、心組織の領域から隣接組織に電気信号が異常に伝導する場合に発生し、これにより、正常な心周期が乱されて非同期的リズムを引き起こす。望ましくない信号源が心房または心室の組織に位置することがある。望ましくない信号が、心臓組織を通って他の箇所に伝わり、不整脈を引き起こすか、または不整脈を継続させる場合がある。
【0002】
不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に妨害すること、およびそのような信号の伝導路を妨害することがある。更に最近では、心内膜の電気特性と心容積をマッピングし、エネルギーの印加により心組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を中断または修正することが可能であると判明している。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0003】
マッピングの後にアブレーションを行うこの2工程の処置においては、通常、1つ以上の電気センサを備えるカテーテルを心臓の中に進入させ、多数の点でデータを取得することによって、心臓内の各点における電気活動が感知および測定される。次いで、これらのデータを利用し、アブレーションが実施される標的エリアが選択される。
【0004】
マッピング解像度を高めるために、マッピングカテーテルについては、1平方センチメートルのオーダーの領域内にて、組織の電気的活動を感知する電極を複数用いることによって、高密度の信号マップを提供することが望ましい。心房または心室(例えば、心室の心尖部)内でのマッピングについては、カテーテルがより短い時間内により多くのデータ信号を収集することが望ましい。また、このようなカテーテルは、様々な組織表面、例えば、平らな、湾曲した、凹凸のある、または非平面の表面組織に適合可能であり、患者の脈管系を通って非侵襲的に前進および後退するために折り畳み可能であることが所望される。また、患者の心臓内の増加した電極密度および改善された操縦性を有するカテーテルを生成することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、患者の心臓内でより操作可能であり、より高い密度の電極を有する短縮された長さのエンドエフェクタを提供することが有利であり得る。また、直線方向に沿って全ての他方の電極をバイパスすることにより、等距離に離間した双極子を含み得る短縮された長さのエンドエフェクタを提供することが有利であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載される様々な実施形態は、電気生理学的用途のためのカテーテルにより、心房または心室を含む心臓内の組織表面の高密度マッピングおよび/またはアブレーションを可能にする。カテーテルは、管状部材およびエンドエフェクタを含み得る。管状部材は、近位部分および長手方向軸を画定する遠位部分を含み得る。管状部材は、遠位部分を患者の心臓に位置付けるように近位部分で操作されるように構成され得る。遠位部分は、長手方向軸の周りに配設された断面を有し、断面は、長手方向軸に沿って延在する第1および第2の直交平面と交差し得る。遠位部分の断面は、第1の直交平面および第2の直交平面と交差し、長手方向軸に沿って延在する第1の開口部と、第1の開口部の周りに円周方向に配設された6つのアパーチャと、を含み得る。6つのアパーチャの各々は、スパインを受容するように構成され得る。エンドエフェクタは、遠位部分に連結され得る。エンドエフェクタは、第1のループ部材、第2のループ部材、および第3のループ部材を含み得る。ループ部材の各々は、2つのスパインと、2つのスパインを接続するコネクタと、を含み得る。第1のループ部材、第2のループ部材、および第3のループ部材は、第1のループ部材、第2のループ部材、および第3のループ部材の各コネクタが遠位頂点で重複するように構成され得る。エンドエフェクタは、折り畳まれた構成で脈管系を通して送達され、展開構成においてループ部材がほぼ平面であるように、心臓内で展開構成に拡張するように構成され得る。
【0007】
別の実施形態では、電気生理学用途のための使用のためのエンドエフェクタが開示される。エンドエフェクタは、遠位端および近位端を備え得る。遠位端は、折り畳まれた構成で脈管系を通して送達され、心臓内で展開構成に拡張するように構成され得る。エンドエフェクタは、長手方向軸に平行な複数の等距離に離間したスパイン部材上に配設された複数の電極を含み得る。複数の電極は、グリッド内に配置され得る。複数の等距離に離間したスパイン部材は、グリッドの列を形成することができ、各それぞれの列内で、複数の電極が、直接隣接する電極から第1の間隙長だけ離間され得る。複数の電極は、複数のスパイン部材を横切るグリッドの行を形成することができ、各それぞれの行内に、複数の電極が、直接隣接する電極から、第1の間隙長の約2倍である第2の間隙長だけ離間され得る。
【0008】
別の実施形態では、心臓内の組織表面の高密度マッピングおよび/またはアブレーションのためのカテーテルの使用方法が開示される。方法例は、特定の順序で示されていない、以下の工程のうちの1つ以上を含んでもよい。この方法は、遠位部分から遠位に延在するエンドエフェクタの細長いシャフトの遠位部分をカテーテルを通して心臓に移動させることを含み得る。細長いシャフトは、長手方向軸を画定し得、エンドエフェクタは、長手方向軸に平行な複数の等距離に離間したスパイン部材上に配設された複数の電極を含み得る。複数の電極は、グリッド内に配置され得、複数の電極は、グリッドの行を形成し得る。この方法は、細長いシャフトの近位部分を操作することにより、エンドエフェクタをカテーテルの遠位端から移動させことを含み得る。この方法は、細長いシャフトの近位部分の操作によって、エンドエフェクタによって運ばれた複数の電極を心臓組織に接触させることを含み得る。この方法は、少なくとも1つのスパイン部材上に配設された1つ以上の第1の電極双極子を起動することを含み得る。1つ以上の第1の電極双極子は、2つの電極の間に位置付けられた少なくとも第3の電極を有する2つの電極を含み得る。この方法は、複数の電極が、心臓組織と接触している間、1つ以上の第1の電極双極子からの電位を受信することを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、方法は、エンドエフェクタを長手方向軸に対してある角度で偏向させて、1つ以上の第1の電極双極子および1つ以上の第2の電極双極子を心臓組織に接触させることと、グリッドのそれぞれの行に沿って長手方向軸に直交するように配設された1つ以上の第2の電極双極子を起動し、複数の電極が心血管組織と接触している間に、1つ以上の第2の電極双極子を介して心血管組織から電位を受信することと、を更に含むことができる。
【0010】
前述の実施形態のいずれにおいても、以下の特徴を、実施形態と互いに異なる順序で組み合わせることができる。各ループ部材の2つのスパインは、長手方向軸に沿って延在し得、スパインの各々は、その上に配設された少なくとも第1の電極、第2の電極、および第3の電極を有する複数の電極を含み得る。各電極は、第1の間隙長によって、それぞれのスパイン部材上の直接隣接する電極から離間され得る。それぞれのスパイン部材の第1の電極およびそれぞれのスパイン部材の第3の電極は、第1の双極子を形成し得る。第1のスパインの各それぞれの電極は、第1の間隙長の約2倍である第2の間隙長によって第2のスパインの対応する電極から離間され得る。第1のスパインの各電極は、第2のスパインの対応する電極と第2の双極子を形成し得る。第1のループ部材の2つのスパインは、遠位部分の断面の非隣接アパーチャに取り付けられ得る。第2のループ部材の2つのスパインは、直接隣接するアパーチャに取り付けられ得、第3のループ部材の2つのスパインは、第1のループ部材および第3のループ部材が第2のループ部材と交差しないように、断面の非隣接アパーチャに取り付けられ得る。第1のループ部材および第3のループ部材は、外側ループと見なされ得、第2のループ部材は、外側ループが長手方向軸に沿って互いに交差し、長手方向軸に沿って内側ループと交差しないように、内側ループと見なされ得る。4つのアパーチャは、第2の直交平面の片側に配設されてもよく、3つのアパーチャは、第1の直交平面の第1の側に配設され、3つのアパーチャは、第1の直交平面の第2の側に配設されている。第2のループ部材は、第2の直交平面の一方の側に位置付けられ得る。第1のループ部材は、第1の平面上にあり得、第2のループ部材は、第2の平面上にあり得、第3のループ部材は、第3の平面上にあり得、第1、第2、および第3の平面は互いに交差する。展開構成において、各スパインが互いにほぼ平行であり、複数の電極が電極グリッドを画定するように配置される長さである各スパインが構成され得る。第1のスパインの各それぞれの電極は、第1のスパイン部材に沿って直線的に離間され、それぞれの重複電極対を形成し得る。第1の間隙長は、直接隣接する電極の各々の中心から測定された直接隣接する電極間にあってもよい。各スパインは、それぞれが第1の間隙長から電極の長さを差し引いたものに等しい長さを有する複数のスパインセグメントを含み得る。各スパイン部材は、8つの電極を含み得る。電極の各々は、約100ミクロン~約750ミクロンの電極長を有し得る。第1の間隙長は、約1ミリメートル、約1.2ミリメートル、および約2.4ミリメートルから選択される長さを含み得る。複数の電極は、エンドエフェクタが展開構成にあるときに心臓から電位を受信するように構成され得る。複数の電極は、エンドエフェクタが展開構成にあるときに心臓組織をアブレーションするように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の態様に係る、カテーテルの遠位部分にあるエンドエフェクタと、カテーテルの近位部分にある近位ハンドルとを有するカテーテルの図である。
図1B】本発明の態様に係る、図1Aに示す装置の変形例の直交側面図である。
図1C】本発明の態様に係る、図1Aに示す装置の変形例の直交側面図である。
図2A】本発明の態様に係る、エンドエフェクタのループ部材の配向を示す図である。
図2B】本発明の態様に係る、エンドエフェクタのループ部材の配向を示す図である。
図2C】本発明の態様に係る、エンドエフェクタのループ部材の配向を示す図である。
図2D】本発明の態様に係る、エンドエフェクタのループ部材の配向を示す図である。
図3】本発明の態様による、エンドエフェクタの側面図である。
図4】当技術分野で知られているような標準的な長さのエンドエフェクタの図である。
図5】本発明の態様による短縮された長さのエンドエフェクタ、および対応する電極グリッドの図である。
図6A】本発明の態様に係る、平面表面に押し付けられたエンドエフェクタの図である。
図6B】本発明の態様に係る、平面表面に押し付けられたエンドエフェクタの図である。
図7A】本発明の態様による、それぞれ、各ループ部材を接続する機械的リンク部を有するエンドエフェクタ、およびループ部材の内側管腔を有するエンドエフェクタの電極間隔の図である。
図7B】本発明の態様による、それぞれ、各ループ部材を接続する機械的リンク部を有するエンドエフェクタ、およびループ部材の内側管腔を有するエンドエフェクタの電極間隔の図である。
図7C】本発明の態様による、それぞれ、各ループ部材を接続する機械的リンク部を有するエンドエフェクタ、およびループ部材の内側管腔を有するエンドエフェクタの電極間隔の図である。
図8】本発明の態様による、装置を利用した心血管治療の図である。
図9】本発明の態様による、装置を利用して患者を治療する例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態および利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様または同等の態様が可能である。したがって、図面および説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものと見なされるべきである。
【0013】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正例および変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0014】
本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲に対する「約」または「およそ」という用語は、構成要素の一部または集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」または「およそ」は、記載された値の±10%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指してもよい。
【0015】
本明細書で使用する場合、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」および「被験体」という用語は、任意のヒト被験体または動物被験体を指し、上述のシステムまたは方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における対象の本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。
【0016】
本明細書で使用する場合、「管状」および「管」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、またはその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、管状構造または管状システムは、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、管状システムは、本発明の範囲から逸脱することなく、テーパ状または湾曲した外面を有し得る。
【0017】
図1Aは、細長いシャフト9、遠位電極アセンブリまたはエンドエフェクタ100、および偏向制御ハンドル16を有する例示的な装置10を示す。図1Bおよび図1Cは、図1Aに示す装置10の変形例の直交側面図である。装置10は、本明細書に示される新規な態様を含む一方で、いくつかの設計変形形態を有することができる。装置10は、単に例として提示されており、制限を意図したものではない。
【0018】
細長いシャフト9は、細長いカテーテル本体の形状にある近位部分12と、中間偏向部分14と、遠位部分14Aと、を有する。偏向制御ハンドル16は、カテーテル本体12の近位端に取り付けられている。シャフトの遠位部分14Aは、コネクタ管46を介してエンドエフェクタ100に連結される。細長いシャフト9は、脈管系を通過するように寸法決めされるか、他の方法で構成された管状カテーテル本体を形成する。エンドエフェクタ100は、図2Aに示すように、複数のループ部材1、ループ部材2、ループ部材3を有し、複数のループ部材1、ループ部材2、ループ部材3は、共通の遠位頂点5で重複し、当該遠位頂点5にて機械的リンク部50によって締結されている。カテーテル本体12は、任意の好適な構造であり得、任意の好適な材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル本体は、ポリウレタンまたはPEBAXで作製された外壁を含み得る。外壁は、ステンレス鋼などの埋め込まれた編組メッシュを含むことによって、カテーテル本体12のねじり剛性が高められ得るため、制御ハンドル16が回転すると、カテーテル10の中間セクション14がこれに応じて回転することとなる。カテーテル本体の外径は、好ましくは約8フレンチ以下、より好ましくは約7フレンチである。外壁の厚さは、カテーテル本体12内の中央管腔が任意の所望のワイヤ、ケーブル、および/または管を収容し得るように十分に薄くてもよい。
【0019】
デバイスが拘束されて位置合わせされていないとき、近位部分12、中間セクション14、遠位部分14A、およびエンドエフェクタ100は、図1Aに示されるように、長手方向軸L-Lに沿って一般に整列される。中間セクション14は、遠位部分14Aおよびエンドエフェクタ100を長手方向軸L-Lから偏向させるように曲がるように構成することができる。
【0020】
細長いシャフト9、すなわちエンドエフェクタ以外の、身体内に挿入することができる装置10の部分の便利な長さは、必要に応じて変化し得る。好ましくは、有用な長さは、約110cm~約120cmの範囲である。中間セクション14の長さは、有用な長さの比較的より小さい部分であり、好ましくは約3.5cm~約10cm、より好ましくは約5cm~約6.5cmの範囲である。
【0021】
カテーテル本体近位部分12は、米国特許第9,820,664号の図2Aおよび図2Bに示され説明されるように中間セクション14に取り付けることができ、これは、優先権出願米国第63/279,747号の付録においてコピーを参照して本明細書に組み込まれる。所望される場合、スペーサ(図示せず)を、カテーテル本体12内の、補強管の遠位端(設けられている場合)と中間セクション14の近位端との間に配置してもよい。このスペーサにより、カテーテル本体12と中間セクション14との間の連結部で可撓性についての移行部を提供することができ、これによりこの連結部が、折り畳まれたりまたはよじれたりすることなく滑らかに曲がることが可能になる。そのようなスペーサを有するカテーテルは、米国特許第5,964,757号に記載されており、その開示は、優先権出願米国第63/279,747号の付録に提供されるコピーを参照して本明細書に組み込まれる。
【0022】
図1Aに示すように、シャフト9の遠位部分14Aは、中間セクションが遠位部分14Aを含むように、中間セクション14と実質的に接してもよい。この場合、遠位部分は、1つ以上の(任意の)環状電極38Rが位置付けられていることにより中間セクション14と区別される。したがって、本明細書で言及するように、シャフト9の遠位部分14Aは、中間セクション14の遠位部分に対応していてもよい。
【0023】
図1Aに示すように、シャフト9の遠位部分14Aは、コネクタ管46によりエンドエフェクタ100に連結されている。コネクタ管46は、カテーテル本体の中間部分14を通じた電気的接続を提供するための、ループ部材1、ループ部材2、ループ部材3の接続のためのインサートを含む。コネクタ管46は、接着剤などによってカテーテルの遠位部分14Aに取り付けることができる。コネクタ管46は、電磁位置センサ、引張りワイヤアンカー、環状電極38D、環状電極38Pなどの様々な構成要素を収容するような形状であってよい。コネクタ管46は、リング電極38R、リング電極38D、およびリング電極38Pに接続するように構成されたリード線を含む様々な構成要素を収容するために構成された中央管腔を含んでいてもよい。コネクタ管46は、スパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、スパイン3Bに担持された電極37に接続するように構成されたリードワイヤを更に収容し得る。コネクタ管46の内側管腔は、電磁位置センサ用のケーブルを更に収容し得る。電磁位置感知技術は、米国特許第5,391,199号、同第5443489号、同第5558091号、同第6172499号、同第6,590,963号、同第6,788,967号に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願米国第63/279,747号の付録に添付されている。磁気位置センサは、米国特許第7,536,218号、同第7756567号、同第7848787号、同第7,869,865号および同第8,456,182号に記載されているACLとして知られるハイブリッド磁気およびインピーダンス位置感知技術において、インピーダンス感知電極38Rと共に利用することができ、これらは参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願米国第63/279,747号の付録に添付されている。
【0024】
エンドエフェクタ100は、ガイドシースまたはカテーテル(図示せず)内に収まるように、折り畳まれる(長手方向軸L-Lに向かって圧縮する)ことができる。シャフト9を遠位側に押すことによって、エンドエフェクタ100をガイドシースを通って遠位側に移動させることができる。エンドエフェクタ100は、シャフト9および/または制御ハンドル16の操作により、ガイドシースの遠位端から出るように移動させることができる。この目的のために好適なガイドシースの一例は、Biosense Webster,Inc.(Irvine、California、USA)より市販されているPreface Braided Guiding Sheathである。
【0025】
エンドエフェクタ100は、第1のループ部材1、第2のループ部材2、および第3のループ部材3を有する。各ループ部材1、ループ部材2、ループ部材3は、2つのスパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、スパイン3Bと、それぞれのループ部材1、ループ部材2、ループ部材3の2つのスパインを接続するコネクタ1C、コネクタ2C、コネクタ3Cを有する。第1のループ部材1のスパイン1A、スパイン1Bは、第1のコネクタ1Cによって接続され、第2のループ部材2のスパイン2A、スパイン2Bは、第2のコネクタ2Cによって接続され、第3のループ部材3のスパイン3A、スパイン3Bは、第3のコネクタ3Cによって接続されている。
【0026】
エンドエフェクタ100が、図1に示されるように、非拘束構成に拡張されている場合には、各ループ部材1、ループ部材2、ループ部材3に関して、それぞれのスパインの対中の、スパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、スパイン3Bは、それぞれの長さの大部分に沿って実質的に互いに平行であり得る。好ましくは、エンドエフェクタ100が非拘束構成にあるとき、エンドエフェクタの全てのスパインは、それらスパインのそれぞれの長さの大部分に沿って互いに平行である。全てのスパインが平行である場合であっても、本明細書の他の箇所、例えば、図2A図2Dに関連してより詳細に記載されるように、全てのスパインが必ずしも同一平面上にあるわけではない。
【0027】
各スパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、またはスパイン3Bは、約5~50mmの範囲、好ましくは約10~35mmの範囲、より好ましくは約28mmの長さを有してもよい。各スパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、スパイン3Bの平行な部分は、約1mm~約20mmの範囲、好ましくは約2~10mmの範囲、より好ましくは約4mmの距離だけ互いに離間してもよい。好ましくは、各スパイン1A、スパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、スパイン3Bは、スパイン部材毎に少なくとも8個の電極を担持している。エンドエフェクタは、好ましくは、図示されるように6つのスパインを含む。6つのスパインが8個の電極を有する場合、エンドエフェクタ100は48個の電極を含む。
【0028】
シャフト9の遠位部分14Aの近くには、遠位電極38Dおよび近位電極38Pが配置されている。電極38Dおよび電極38Pは、一緒になって(例えば、一方の電極の一部分をマスキングし、他方の電極の異なる部分をマスキングすることによって)基準電極(組織と接触していない電極)を画定するように構成されていてよい。米国特許第5,944,022号、同第5,983,126号、および同第6,445,864号に記載されているように、1つ以上のインピーダンス感知電極38Rを、インピーダンス位置感知技術による位置感知を可能にするように構成することができ、これらは参照により組み込まれ、優先権出願米国第63/279,747号の付録に添付される。
【0029】
図2A図2Dは、短縮されたエンドエフェクタのループ部材の配向を示す図である。図2Bおよび図2Cは、図2Aに示すエンドエフェクタ100の断面図である。図2Dは、図2Aに示すエンドエフェクタ100の遠位端から近位側を見たときのエンドエフェクタ100の図である。図2Aに示すように、各ループ部材1、ループ部材2、ループ部材3は、装置10の細長いシャフト9の遠位部分14Aに取り付けられた近位端セグメント1D、近位端セグメント2D、近位端セグメント3D、近位端セグメント1E、近位端セグメント2E、近位端セグメント3Eをそれぞれ含む。3つのループ部材1、ループ部材2、ループ部材3は、長手方向軸L-Lに沿って共通の遠位頂点5で重複する。図示されるように、各ループ部材1、ループ部材2、ループ部材3は、2つのスパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、スパイン3B、およびそれぞれのループ部材1、ループ部材2、ループ部材3の2つのスパインを接続するコネクタ1C、コネクタ2C、コネクタ3Cを有する。各スパインセグメント1A、スパインセグメント1B、スパインセグメント2A、スパインセグメント2B、スパインセグメント3A、およびスパインセグメント3Bは、その上に1つ以上の電極37を配設している。示されるように、各スパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、スパイン3Bは、スパインあたり少なくとも8つの電極を担持する。エンドエフェクタは、好ましくは、図示されるように6つのスパインを含む。それぞれのスパイン上の各電極37は、第1の電極37の中心から直接隣接する第2の電極37の中心まで測定されるように、Lg1の距離だけ、隣接するスパインから分離され得る(図5を参照)。いくつかの実施形態によれば、各直接隣接する電極間の距離は、約1mm~約2.4mm、好ましくは約1.2mmであり得る。各電極37は、約100ミクロン~約750ミクロン、好ましくは約500ミクロンであり得る電極幅Lを有し得る。エンドエフェクタ100のループ2は、エンドエフェクタ100の基部から遠位頂点5まで測定される長さLM1を有し得る。ループ1およびループ3は、エンドエフェクタ100の基部から遠位頂点5まで測定される長さLM2を有し得る。図示されるように、長さLM2は、長さLM1よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態によれば、LM1は約17mm~約24mmであってもよく、LM2は約18mm~約25mmであってもよい。各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bは、電極37が心血管組織と接触しているときに、矩形電極グリッドの行を形成してもよい。任意の所与のスパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bに沿って、電極37は、直接隣接する電極37間に長手方向電極対37Aを形成し得る。直接隣接するスパイン(例えば、1A&2A、2A&3A、3A&1B、1B&2B、2B&3B)の間に、第1のスパイン上の電極37と、第2のスパイン上の対応する電極37とが、横方向電極対37Bを形成し得る。上述のように、長手方向電極対37Aは、距離Lg1によって分離された直接隣接する電極37からなり得る。横方向電極対37Bは、距離Lg2だけ分離された横方向に隣接する電極37からなり得る。いくつかの実施形態によれば、エンドエフェクタは、長手方向電極対37A間の距離Lg1の約2倍である横方向電極対37B間の距離Lg2を特徴とし得る。
【0030】
図2Bは、コネクタ管46を通る断面図を示す。コネクタ46は、長手方向軸L-Lと一致する中心を有する管状インサート200を含み、直交平面P4および直交平面P5は、インサート200内に4つの四分円を画定するように長手方向軸と整列している。平行基準面P5は、以下の図3に示すエンドエフェクタ100とほぼ平行である。直交基準面P4は、平行な基準面P5にほぼ直交しており、直交軸O-Oにほぼ平行である。インサート200のアパーチャ202、アパーチャ204、アパーチャ206、アパーチャ208、アパーチャ210、アパーチャ212は、それぞれの端セグメント2D、端セグメント2E、端セグメント3E、端セグメント1E、端セグメント3D、端セグメント1Dの挿入のためにサイズ決めされ、位置決めされ、そうでなければ構成される。アパーチャ202、アパーチャ204、アパーチャ206、アパーチャ208、アパーチャ210、アパーチャ212は、中央開口部214の周りに円周方向に配設され得る。中央開口部214は、引っ張りワイヤ、電線、および/またはエンドエフェクタ100からの他の構成要素の挿入のために、直交平面P4と直交平面P5との交点に配設される。いくつかの実施形態によれば、中央開口部214は、患者の脈管系または心臓に灌漑を提供するための灌漑ポートを収容し得る。アパーチャ202、アパーチャ204、アパーチャ206、アパーチャ208、アパーチャ210、アパーチャ212および中央開口部214を横断する構成要素は、例示のための図2Bには図示されていない。
【0031】
アパーチャ202、アパーチャ204、アパーチャ206、アパーチャ208、アパーチャ210およびアパーチャ212のこの配置により、ループ部材1、ループ部材2およびループ部材3は、図2Cの(近位端から見た)断面図に示す非同一平面的な非拘束配置で配列され、これにより、ループ3は、直交平面P4と交差する平面P3(スパイン3Aおよびスパイン3Bとコネクタ3Cによって境界が定められる平面)を画定し、ループ1は、直交平面P4および直交平面P5の両方と交差する平面P1(スパイン1Aおよびスパイン1Bとコネクタ1Cによって境界が定められる平面)を有し、ループ2は、直交平面P4と交差し直交平面P5と実質的に平行である平面P2(スパイン2Aおよびスパイン2Bとコネクタ2Cによって境界が定められる平面)を有する。図2Dは、エンドエフェクタの遠位端を近位方向に見たときの図である。具体的には、ループ1(スパイン1A、スパイン1Bおよびコネクタ1Cによって画定される)は、スパイン1A、スパイン1Bおよびループ1と接するかまたはそれらを通って延在する平面P1を画定するように配列されており、一方で、ループ2のスパイン2A、スパイン2Bおよびコネクタ2Cは、平面P1と交差する平面P2を画定するように配列されている。ループ3のスパイン3A、スパイン3Bおよびコネクタ3Cは、平面P1およびP2の両方と交差する平面P3を画定するように配列されている。それぞれのループ1、ループ2およびループ3によって画定される平面P1、平面P2、および平面P3は、ループ1、ループ2およびループ3が、接しないように、または共通の平面がこれらのループを通過するように配列されないように、構成される。したがって、平面P1、平面P2および平面P3は平行ではなく、互いに交差する。なお、長手方向軸L-Lは、第2の平面P2と接してもよい。代替的な実施形態では、長手方向軸L-Lは、平面P1、平面P2および平面P3によって境界が定まる領域の間に配設されてもよい。
【0032】
図2A図2Dは、エンドエフェクタにおけるループ部材1、ループ部材2、ループ部材3の非同一平面配置の一例である。図示されたエンドエフェクタ100のような外観のエンドエフェクタを提供可能な、ループ部材の多数の可能な配置非同一平面的な配置が多数考えられる。
【0033】
図3は、エンドエフェクタ100の側面図である。3つのループ部材1、ループ部材2、ループ部材3は、長手方向軸L-Lに沿って共通の遠位頂点5で重複する。エンドエフェクタ100は、図3に示されるように非拘束構成にある。エンドエフェクタが拘束解除されているとき、ループ部材1、ループ部材2、ループ部材3は互いに同一平面上にない。また、図3には、長手方向軸L-Lに直交するとともに、エンドエフェクタ100にほぼ直交する直交軸O-Oが示されている。
【0034】
図4は、本発明の態様による、標準長エンドエフェクタの図である。図2に示す短縮されたエンドエフェクタと比較して、標準的な長さのエンドエフェクタは、エンドエフェクタ100の隣接するスパイン間の間隔によって画定されるような異なる幾何学的形状を有する。例えば、任意の所与のスパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bに沿った長手方向電極対37Aは、間隙長Lg1を有し、2つの隣接するスパイン間の横方向電極対37Bは、間隙長Lg2を有する。短縮されたエンドエフェクタ100は、長手方向間隙長Lg1の約2倍である横方向間隙長Lg2を示すことができるが、標準的な長さのエンドエフェクタは、長手方向の間隙長Lg1にほぼ等しい横方向の間隙長さLg2を示し得る。短縮されたエンドエフェクタ設計の利点は、電極密度の増加、心臓および脈管系内のエンドエフェクタの操縦性の改善、エンドエフェクタ100が展開構成にある間に組織への改善された適合性、およびよりコンパクトな心臓解剖学的構造を有する患者内の使用可能性の改善を含み得る。
【0035】
図5は、短縮された長さのエンドエフェクタ100の図である。図5に示すように、スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、およびスパイン3B上に配設された電極37は、電極グリッドを画定し得る。例えば、行I、行II、行III、行IV、行V、および行VIは、電極グリッドの行を画定し、数字1、数字2、数字3、数字4、数字5、数字6、数字7、数字8は、電極グリッドの列を画定する。示されるように、電極グリッドは、48個の電極37を含む。電極グリッドは、実質的に長方形または正方形の形状であってもよく、それによって、直交方向(例えば、行I-VIのうちの1つに沿って伝播する第1の電気信号および列1~8のうちの1つに沿って伝播する第2の電気信号)に伝播する電気信号を可能にすることにより、エンドエフェクタ100が提供する(長方形または正方形)グリッドにより、高解像度で測定される。図2に関して論じたように、短縮されたエンドエフェクタは、長手方向距離Lg1の約2倍である横方向間隙距離Lg2を示し得る。それにもかかわらず、短縮されたエンドエフェクタは、長手方向に全ての他方の電極をバイパスすることによって等距離の電極間隔を提供して、長手方向(例えば、行I-VIに沿って)および横方向(例えば、列1-8に沿って)の両方で等距離に離間した電極双極子を提供することができる。例えば、任意の所与の行I、行II、行III、行IV、行V、および行VIに沿って、横方向間隙距離Lg2と同等の間隙距離を有する多数の長手方向電極双極子対37Aが存在する(例えば、対1~3、対2~4、対3~5、対4~6、対5~7、および/または対6~8は、任意の所与の行I-VIに沿って)。上述のように横方向電極双極子対を提供することにより、短縮されたエンドエフェクタ100は、横方向および長手方向の両方で等距離に離間した電極双極子対を示し、心臓および周囲の脈管系を撮像するためにエンドエフェクタをよりコンパクトで操縦しやすくする。近接配置された電極双極子37により、心房細動の治療を試みる際に非常に重要である、遠距離場の心房信号に対する近距離場の肺静脈電位の検出の精度を向上できる。より具体的には、ほぼ肺静脈電位は非常に小さな信号であるが、心房信号は典型的にははるかに大きい。したがって、医師は、測定された電位が小さい、近い電位(例えば、肺静脈から)またはより大きい、しかしより遠い電位(例えば、心房から)に起因するかどうかを決定する際に困難に遭遇し得る。短縮されたエンドエフェクタ100によって可能にされた近接配置した電極双極子は、動作医師が、近信号または遠信号を測定するかどうかをより正確に判定することを可能にする。したがって、近接配置される電極を提供することによって、肺動脈電位を有する心筋組織の場所を、正確に標的とすることが可能であるため、医師は、特定の組織に治療を施すことが可能になる。更には、近接配置される電極により、医師は、測定された電気信号によって、心門/複数の心門の解剖学的場所を判定することが可能になる。
【0036】
図6Aおよび図6Bは、平面表面に押し付けられたエンドエフェクタの図である。図示の例では、ループ部材1、ループ部材2、ループ部材3は、デバイスのシャフト9の操作を介して平面Sに押し付けられ得る。より具体的には、エンドエフェクタ100が患者内に位置付けられるとき、カテーテル本体12および制御ハンドル16の操作によって、エンドエフェクタ100を、心臓および/または血管の内壁などの患者体内の空洞の壁内における表面に当てて位置付けることができる。エンドエフェクタ100を平面表面Sに当てて位置付けると、各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bのそれぞれの長さの大部分は、平面表面に接し、かつ平面表面に対して揃えられ得る。更に、エンドエフェクタ100を平面表面Sに当てて位置付けると、各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bのそれぞれの長さの大部分は、他のスパインのそれぞれの長さの大部分と揃えられ得る。スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bが表面に接し、かつ揃えられるためには、表面Sが平面である必要は必ずしもない。エンドエフェクタ100は、例えば、湾曲表面に適合可能とされてもよい。
【0037】
図6Bに示すように、各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bの大部分が表面Sに押し付けられると、接続セグメント1C、接続セグメント2C、接続セグメント3Cを、リンク部50において遠位頂点5にて表面Sの上に積み重ねることができる。リンク部50によって、表面Sに最も近い第1の接続セグメント1Cを表面Sから離すことができる。第1の接続セグメント1Cの上に積み重なった第2の接続セグメント3Cは、リンク部50および第1の接続セグメント1Cによって表面Sから離され得る。第3の接続セグメント2Cは、リンク部50並びに第1の接続セグメント1Cおよび第2の接続セグメント3Cによって表面Sから離され得る。したがって、各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bの大部分が平面表面に押し付けられているとき、各接続セグメント1C、接続セグメント2C、接続セグメント3Cの少なくとも一部分は、平面表面Sから離され得る。あるいは、リンク部50は、第1の接続セグメントが平面表面Sに実質的に接するように、第1の接続セグメント1Cに挿入されてもよい。この場合、第2の接続セグメント3Cおよび第3の接続セグメント2Cのみが、遠位頂点5において平面表面Sから離される。
【0038】
ループ部材1、ループ部材2、ループ部材3の近位セグメント1D、近位セグメント2D、近位セグメント3D、近位セグメント1E、近位セグメント2E、近位セグメント3Eは、近位セグメントのそれぞれの少なくとも一部分が表面Sから離れる方へ湾曲するように曲げられてもよい。
【0039】
各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bの大部分を表面Sに押し付けると、各スパインの電極37の少なくとも一部を表面Sと接触させることができる。いくつかの実施例では、各スパインの全ての電極37が表面Sと接触することができる。
【0040】
各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bの大部分が表面Sに押し付けられると、各ループ部材の各それぞれの長さの大部分が表面Sに接するようになり得る。ここで、各ループ部材のそれぞれの長さには、それぞれのループ部材のスパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3B、コネクタ1C、コネクタ2C、コネクタ3C、および近位セグメント1D、近位セグメント2D、近位セグメント3D、近位セグメント1E、近位セグメント2E、近位セグメント3E(コネクタ管46の遠位側)の長さが含まれている。
【0041】
図7Aは、短縮されたエンドエフェクタにおける電極の間隔および寸法を示す図である。電極37は、近接配置された双極子電極37の1つ以上の対を含んでいてよく、双極子電極37は、組織から心電図信号を拾うように構成されている。本実施例では、隣接する長手方向対の電極37は、それらの間に、約1mm~200ミクロン、好ましくは約200ミクロン以下の分離間隔間隙距離Lg1を有する。各電極37は、電極面積Aeおよび電極長Lを有する。電極長さは、約2mm~約0.5mmであってよい。各電極37は、好ましくは、1mm~0.5mmの長さを有する。図示した電極37は円筒状であるため、電極面積は電極の円周(C)と長さ(L)の積として計算される。スパインは、直径Dを有する。図2Aおよび図5を参照して説明したように、いくつかの実施形態によれば、横方向に離間した電極対37Bは、間隙距離Lg2を有し得る。いくつかの実施形態では、横方向間隙距離Lg2は、長手方向間隙距離Lg1の約2倍であり得る。
【0042】
加えて、または代替的に、電極37は、それぞれのループ1、ループ2、ループ3を完全に取り囲む必要はない。この場合、電極37は、電極面積(Ae)が電極長さ(L)と幅(W)の積となるような、直線的なまたは弧状の、幅(W)の長方形状(弧状の長方形の場合は、幅は弧の長さ)を有してもよい。電極対の構成が直線的な形状、長方形状、または円筒形状以外の形状である実施例では、変換係数CFを使用し、一対の電極のうちのいずれか一方の既知の面積に基づいて、電極間の適切な間隙距離を決定してもよい。変換係数CFは、電極の平面面積と同じルート次元単位の逆数を単位として、約2~0.1の範囲であってもよい。1つの電極の平面面積が約0.08平方mmである一実施例では、両電極を通って延在する長手方向軸に沿った最小間隙距離Lg1は、変換係数CF(同じ面積のルート次元単位またはmmの逆数)を適用することにより、約100ミクロンの間隙距離Lg1となるものと決定することができる。1つの電極の面積が0.24平方mmである別の実施例では、変換係数CF(同じルート寸法単位またはmm-1の逆数)は1.25mm-1以下であり得、約300ミクロンから約24ミクロンまでの最小間隙距離Lg1の範囲を与える。電極の形状にかかわらず、好ましい変換係数CFは、約0.8(単位は電極面積と同じルート次元単位の逆数)である。
【0043】
図7Bは、機械的リンク部50を含む短縮されたエンドエフェクタ100の別の図である。本実施例では、近接配置された双極微小電極37の少なくとも1つの対が、各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3B上に設けられている。より具体的には、各スパイン1A、スパイン2A、スパイン3A、スパイン1B、スパイン2B、スパイン3Bは、4対の隣接双極微小電極37を担持しており、これはスパイン当たり8個の微小電極37に対応する。この数は、所望に応じて変更されてよい。図5に関して論じたように、いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ100は、長手方向に他の全ての電極をバイパスして、長手方向(例えば、図5の行I-VIに沿って)および横方向(例えば、図5の列1-8に沿って)の両方で等距離に離間した電極双極子を提供する電極双極子を提供し得る。また、図5は、コネクタ1C、コネクタ2C、コネクタ3Cを単一の接続点で連結する機械的リンク部50を示す。機械的リンク部50は、共通の遠位頂点5におけるループ1、ループ2、ループ3間の空間的に固定された配置を維持する機能を果たす。
【0044】
図7Cは、内側ループ部材管腔の図である。図7Cに示すように、内側ループ部材管腔は、支持フレーム81を取り囲む内側ハウジング94および外側ハウジング90を含み得る。図示された内側ループ部材管腔は、本明細書の教示に従って本明細書に図示および他の方法で開示されるループ部材1、ループ部材2、ループ部材3に使用することができる。外側ハウジング90は、ポリマー管(例えば、熱可塑性ポリウレタン)を含んでいてよく、このポリマー管は、支持フレーム81およびエンドエフェクタ電極37への電気的接続を提供するワイヤ40を収容するように寸法決めされた、単一の管腔を有していてよい。また、外側ハウジング90の管腔は、内部を通る灌注管腔を有する灌注管96を収容するように寸法決めされていてよい。この構成では、導体を損傷させないように、支持フレームの縁部を隔離するため、支持フレームはスリーブによって取り囲まれている。内側ハウジング94は、支持フレーム81を近接して取り囲むように成形、寸法決め、および他の方法で構成されていてよい。内側ハウジング94は、ポリマー材料、例えば、リフロー処理中に適用されるシュリンクスリーブを含んでいてもよい。ワイヤ40および灌注管96はどちらもループ部材のスパインより先に延在していなくてもよいことから、ループ部材のコネクタセグメントを外側ハウジング90で被覆する必要はない。外側ハウジング90内で、内側ハウジング94は、外側ハウジング90に結合されていてよい。内側ハウジング94と外側ハウジング90とが結合することにより、流体の漏れを抑制することができる。内側ハウジング94と外側ハウジング90とが結合することにより、エンドエフェクタ100がその非拘束構成から変形させられるときに、外側ハウジング90の形状が支持フレーム81の形状に追従しやすくなり、外側ハウジング90内での支持フレーム81のずれを防ぐことができる。
【0045】
図8は、装置10(カテーテルアセンブリとも呼ばれる)を利用し得る心臓電気生理学(EP)マッピングカテーテルシステムの、例示的な医療処置および関連する構成要素の図である。医師PHが、患者PAの心臓H内またはその付近でEPマッピングを実行するため、エンドエフェクタ100(図8には示されていない)を患者PA内に配設し、装置のハンドル16を把持しているのが図示されている。装置10は、ケーブル130を介して、誘導駆動システム110と連結されている。装置10は任意選択的に、流体導管140を介して流体源142とも連結され得る。一組の磁場発生器120が、患者PAの下に配置され、別のケーブル122を介して誘導駆動システム110と連結されている。磁場発生器120を設けるかどうかもまた、任意である。
【0046】
誘導駆動システム110は、コンソール112と、ディスプレイ118とを含み得る。コンソール112は、第1のドライバモジュール114と、第2のドライバモジュール116とを含み得る。第1のドライバモジュール114は、ケーブル130を介して装置と連結することができる。一部の変形形態では、第1のドライバモジュール114は、エンドエフェクタ100の電極37を介して取得されたEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール112は、そのようなEPマッピング信号を処理してEPマッピングを行うプロセッサ(図示せず)を含み得る。これに加えて、またはこれに代えて、第1のドライバモジュール114は、エンドエフェクタ100の電極37にRF電力を供給して組織をアブレーションするように動作可能であり得る。一部の変形例では、第1のドライバモジュール114はまた、エンドエフェクタ100内の位置センサから位置表示信号を受信するようにも動作可能である。このような変形例では、コンソール112のプロセッサはまた、位置センサからの位置表示信号を処理して患者PA内のエンドエフェクタ100の位置を判定するようにも動作可能である。
【0047】
誘導駆動システム110は、駆動システム110に本明細書に記載される機能を実行させるための命令、および/または同様の装置の使用に関連して既知である命令を有する非一過性コンピュータ可読媒体を更に含むことができる。一部の例では、非一過性コンピュータ可読メモリは、(例えば、第1のドライバモジュール114のプロセッサおよび/またはコンソール112のプロセッサと通信することによって)第1のドライバモジュール114と通信することができる。非一過性コンピュータ可読媒体は、第1のドライバモジュール114によって実行されたときに、第1のドライバモジュール114にスパイン電極37からのEPマッピング信号と、遠位電極38D、近位電極38P、または両方の組み合わせのうちの1つからの基準信号とを受信させる命令をその上に含めることができる。
【0048】
第2のドライバモジュール116は、ケーブル122を介して磁場発生器120に連結されている。第2のドライバモジュール116は、磁場発生器120を起動させて、患者PAの心臓Hの周囲に交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器120は、心臓Hを含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでもよい。
【0049】
装置10の一部の変形例は、患者PA内のエンドエフェクタ100の位置および向きを示す信号を生成するように動作可能な位置センサを、エンドエフェクタ100付近またはその内部に含む。各位置センサは、磁場発生器120によって発生された交流電磁場の存在に応答して電気信号を発生させるように構成された、1つのワイヤコイルまたは複数のワイヤコイル(例えば、3つの直交コイル)を含んでもよい。エンドエフェクタ100に関連付けられたリアルタイム位置データを生成するために使用可能な他の構成要素および技術として、無線三角測量、音響トラッキング、光学トラッキング、慣性トラッキングなどを挙げることができる。単なる例として、位置感知は、参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願米国第63/279,747号の付録に添付されている、米国特許第9,480,416号の教示の少なくともいくつかに従って提供され得る。あるいは、装置10は、エンドエフェクタ100の近くにある位置センサを欠いていてもよい。
【0050】
ディスプレイ118は、コンソール112のプロセッサと連結され、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、手術前または手術中に取得された一組の画像(例えば、CTスキャンまたはMRIスキャン、3Dマップなど)に基づき得る。ディスプレイ118を通して提供される患者の解剖学的構造の図はまた、エンドエフェクタ100の近くの位置センサからの信号に基づいて動的に変化してもよい。
【0051】
コンソール112のプロセッサはまた、例えば、発光点、十字線、エンドエフェクタ100の視覚的表示、または視覚的表示の何らかの他の形態を重ね合わせることによって、患者の解剖学的構造の画像上のエンドエフェクタ100の現在位置を重ね合わせるようにディスプレイ118を駆動してもよい。
【0052】
流体源142は、生理食塩水または何らかの他の好適な灌注流体を含む袋を含むことができる。導管140は、ポンプ144と更に連結された可撓性管を含み得るが、そのポンプ144は、流体源142から装置10の灌注管15に流体を選択的に運ぶように動作可能なものである。図5に構成されたような基準電極38Dおよび/または38Pを含むなどの、一部の変形形態では、導管140、流体源142、およびポンプ144は完全に省略される。
【0053】
図9は、本発明の態様による、装置を利用して患者を治療する例示的な方法のフロー図である。ステップ905では、方法は、細長いシャフトの遠位部分(例えば、図1の細長いシャフト)と、遠位部分から遠位に延在するエンドエフェクタ(例えば、エンドエフェクタ100)とを、カテーテル(例えば、カテーテル10)および心臓内に移動させることを含み得る。細長いシャフトは、長手方向軸(例えば、長手方向軸L-L)を画定することができ、エンドエフェクタは、長手方向軸(例えば、スパイン1A、スパイン1B、スパイン2A、スパイン2B、スパイン3A、スパイン3B)に平行な複数の等距離に離間したスパイン部材上に配設された複数の電極(例えば、電極37)を含み得る。複数の電極は、グリッドの行を形成する複数の電極を有するグリッド(例えば、図5に示すように)に配置され得る。
【0054】
ステップ910では、方法は、細長いシャフトの近位部分(例えば、図1に示されるような制御ハンドル16)の操作を介して、カテーテルの遠位端からエンドエフェクタを移動させることを含み得る。ステップ915において、方法は、細長いシャフトの近位部分の操作を介して、エンドエフェクタ(例えば、エンドエフェクタ100)によって運ばれる複数の電極(例えば、電極37)を心臓組織に接触させることを含み得る。ステップ920では、方法は、少なくとも1つのスパイン部材上に配設された1つ以上の第1の電極双極子(例えば、電極双極子37A)を起動することを含み得る。第1の電極双極子は、2つの電極間に位置付けられた少なくとも第3の電極を有する2つの電極からなり得る。図5に関して論じたように、所与のスパイン上の他の全ての電極をスキップする双極子構成は、短縮されたエンドエフェクタ100を、短縮されたエンドエフェクタ100の横方向の間隙距離Lg2とほぼ等しい長手方向の間隙距離Lg1を提供することを可能にする。
【0055】
任意のステップ925では、方法は、グリッドのそれぞれの行に沿って長手方向軸に直交して配設された第1のスパイン部材および第2の電極双極子(例えば、横方向双極子37B)上に配設された第1の電極双極子を起動することを含み得る。
【0056】
ステップ930では、方法は、複数の電極が心臓組織と接触している間、1つ以上の第1の電極双極子(例えば、長手方向双極子37A)を介した電位を受信することを含み得る。任意のステップ935において、方法は、複数の電極が、心臓組織と接触している間、1つ以上の第2の電極双極子(例えば、横方向双極子37B)を介した電位を受信することを含み得る。
【0057】
本明細書に含まれる説明は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に説明されるように、本発明は、別個の図に例解される構成要素の代替的な組み合わせ、代替的な材料、代替的な構成要素の幾何学的形状、および代替的な構成要素の配置を含む、システム構成要素の多くの変形および変更を企図する。本開示の教示に係る当業者にとって明らかな変更および変形は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
長手方向軸を画定する近位部分および遠位部分を備える管状部材であって、前記管状部材は、前記近位部分で操作されて患者の心臓に前記遠位部分を位置決めするように構成され、前記遠位部分は、前記長手方向軸の周りに配設された断面を有し、前記断面は、前記長手方向軸に沿って延在する第1の直交平面および第2の直交平面と交差し、前記遠位部分の前記断面が、前記第1の直交平面および前記第2の直交平面と交差し、前記長手方向軸に沿って延在する第1の開口部を含む、管状部材と、
前記第1の開口部の周りに周方向に配設された6つのアパーチャであって、前記アパーチャの各々が、スパインを受容するように構成されている、6つのアパーチャと、
前記遠位部分に結合されたエンドエフェクタであって、第1のループ部材、第2のループ部材、および第3のループ部材を含み、各前記ループ部材は、2つのスパインと前記2つのスパインを接続するコネクタとを含み、前記第1のループ部材、前記第2のループ部材、および前記第3のループ部材は、前記第1のループ部材、前記第2のループ部材、および前記第3のループ部材のそれぞれの各コネクタが遠位頂点で重なるように構成され、前記エンドエフェクタは、折り畳まれた構成で脈管系を通して送達され、展開構成で前記ループ部材のそれぞれが平面を画定するように前記心臓内で前記展開構成に拡張するように構成されている、エンドエフェクタと、を含む、装置。
(2) 前記第1のループ部材の前記2つのスパインが、前記遠位部分の前記断面の非隣接アパーチャに取り付けられ、前記第2のループ部材の前記2つのスパインが、直接隣接するアパーチャに取り付けられ、前記第3のループ部材の前記2つのスパインが、前記第1のループ部材および前記第3のループ部材が前記第2のループ部材と交差しないように、前記断面の非隣接アパーチャに取り付けられている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1のループ部材および前記第3のループ部材が、外側ループを備え、前記第2のループ部材が、内側ループを備え、前記外側ループが前記長手方向軸に沿って互いに交差し、前記長手方向軸に沿って前記内側ループと交差しない、実施態様1に記載の装置。
(4) 4つのアパーチャが、前記第2の直交平面の片側に配設され、3つのアパーチャが、前記第1の直交平面の一方の側に配設され、3つのアパーチャが、前記第1の直交平面の他方の側に配設されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記第2のループ部材が、前記第2の直交平面の一方の側にある、実施態様1に記載の装置。
【0059】
(6) 各ループ部材の前記2つのスパインが、前記長手方向軸に沿って延在し、前記2つのスパインの各々が、その上に配設された少なくとも第1の電極、第2の電極、および第3の電極を含む複数の電極を備え、
前記複数の電極の各電極が、前記2つのスパインのそれぞれのスパイン上の直接隣接する電極から第1の間隙長だけ離間され、
前記2つのスパインのそれぞれのスパインの前記第1の電極および前記第3の電極が、第1の双極子(first bipole)を形成し、
第1のスパインの各それぞれの電極が、第2のスパインの対応する電極から、前記第1の間隙長の約2倍である第2の間隙長だけ離間されており、
前記第1のスパインの各電極が、前記第2のスパインの前記対応する電極と第2の双極子を形成する、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記展開構成において、前記第1のループ部材、前記第2のループ部材、および前記第3のループ部材の前記2つのスパインの各スパインが互いにほぼ平行であり、前記複数の電極が電極グリッドを画定するように位置付けられるように、各スパインが構成されている、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記第1のスパインの各それぞれの電極が、前記第1のスパインに沿って直線的に離間され、それぞれの重複電極対を形成する、実施態様6に記載の装置。
(9) 直接隣接する電極の間の前記第1の間隙長が、前記直接隣接する電極の各々の中心から測定される、実施態様6に記載の装置。
(10) 各スパインが、それぞれが前記第1の間隙長からそれぞれの電極の長さを差し引いたものに等しい長さを有する複数のスパインセグメントを備え、各スパイン部材が、8つの電極を含む、実施態様9に記載の装置。
【0060】
(11) 前記8つの電極の各々が、約100μm~約750μm(約100ミクロン~約750ミクロン)の電極長を有する、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記第1の間隙長が、約1ミリメートル、約1.2ミリメートル、および約2.4ミリメートルから選択される長さを含む、実施態様6に記載の装置。
(13) 前記複数の電極が、前記エンドエフェクタが前記展開構成にあるときに、前記心臓から電位を受信するように構成されている、実施態様6に記載の装置。
(14) 前記複数の電極が、前記エンドエフェクタが前記展開構成にあるときに心臓組織をアブレーションするように構成されている、実施態様6に記載の装置。
(15) 遠位端および近位端を有するエンドエフェクタであって、前記遠位端が、折り畳まれた構成で脈管系を通して送達され、前記心臓内で展開構成に拡張するように構成され、前記エンドエフェクタは、長手方向軸に平行な複数の等距離に離間したスパイン部材上に配設された複数の電極を備え、前記複数の電極が、グリッドに配置され、
前記複数の等距離に離間したスパイン部材が、前記グリッドの列を形成し、各それぞれの列内で、前記複数の電極が、直接隣接する電極から第1の間隙長だけ離間され、
前記複数の電極が、前記複数のスパイン部材を横切る前記グリッドの行を形成し、各それぞれの行内で、前記複数の電極が、直接隣接する電極から、前記第1の間隙長の約2倍である第2の間隙長だけ離間されている、エンドエフェクタ。
【0061】
(16) 前記展開構成において、前記複数のスパイン部材が互いにほぼ平行でほぼ平面状であり、前記複数の電極が前記グリッド内に位置付けられて、電極アレイを画定するように、前記複数のスパイン部材が構成されている、実施態様15に記載のエンドエフェクタ。
(17) 前記複数の電極が、前記複数のスパイン部材の各スパイン部材上に、第1の電極、第2の電極、第3の電極を含むように構成され、
第1のスパイン部材の前記第1の電極および前記第1のスパイン部材の前記第3の電極は、第1の双極子を形成し、
前記第1のスパイン部材の各電極が、前記第1のスパイン部材に直接横方向に隣接して位置付けられた第2のスパイン部材の対応する電極と複数の第2の双極子を形成する、実施態様15に記載のエンドエフェクタ。
(18) 前記複数の電極の各電極が、約100μm~約750μm(約100ミクロン~約750ミクロン)の電極長を有する、実施態様15に記載のエンドエフェクタ。
(19) 前記複数の電極の各電極が、約500μm(約500ミクロン)の電極長を有する、実施態様15に記載のエンドエフェクタ。
(20) 前記第1の間隙長が、約1ミリメートル、約1.2ミリメートル、および約2.4ミリメートルから選択される長さである、実施態様15に記載のエンドエフェクタ。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【外国語明細書】