(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074024
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】墜落制止用ハーネス
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
A62B35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186720
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000223687
【氏名又は名称】藤井電工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 政彦
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA06
2E184LA23
(57)【要約】
【課題】装着性や可動性に優れた墜落制止用ハーネスを提供することにある。
【解決手段】前側ベルト14と、後側ベルト12bと、腰部周辺に設けられ横長の挿通孔22dを有する連結具22とを備え、前側ベルトが挿通孔に所定の角度で挿通され、挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返されてなり、後側ベルトが挿通孔に前側ベルトの折り返し角度と同じ角度で挿通され、挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返されてなり、前側ベルトの折り返し部分の端部が後側ベルトに接続され、後側ベルトの折り返し部分の端部が前側ベルトに接続されることで、前側ベルト及び後側ベルトがそれぞれ連結具に連結された腰部ベルト交差部におけるベルト連結構造を有し、ベルト連結構造は、前側ベルトと後側ベルトが挿通孔を起点として長手方向に連動してスライド可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側ベルトと、後側ベルトと、腰部周辺に設けられ横長の挿通孔を有する連結具とを備え、
前記前側ベルトが前記挿通孔に所定の角度で挿通され、前記挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返されてなり、
前記後側ベルトが前記挿通孔に前記前側ベルトの折り返し角度と同じ角度で挿通され、前記挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返されてなり、
前記前側ベルトの折り返し部分の端部が前記後側ベルトに接続され、前記後側ベルトの折り返し部分の端部が前記前側ベルトに接続されることで、前記前側ベルト及び前記後側ベルトがそれぞれ前記連結具に連結された腰部ベルト交差部におけるベルト連結構造を有し、
前記ベルト連結構造は、前記前側ベルトと前記後側ベルトが前記挿通孔を起点として長手方向に連動してスライド可能に構成されている
ことを特徴とする墜落制止用ハーネス。
【請求項2】
前記前側ベルトが胸部側に延在する肩ベルト又は脇ベルトであり、前記後側ベルトが背部側に延在する肩ベルトである
請求項1に記載の墜落制止用ハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業時に作業者が身体に装着し、墜落の防止を図る墜落制止用ハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
高所での作業現場では、作業者が万一落下したときにその墜落を阻止するため、作業者には墜落制止用器具を装着して作業を行うことが義務付けられている。このうちハーネス型墜落制止用器具は主としてハーネスとランヤードとから構成されている。作業者はランヤードの一端に具備されたフック等を親綱や堅固な構造物等に掛止し、他端を自分の身体に装着したハーネスと接続することにより万一足を踏み外した場合等の墜落を防止している。
【0003】
ハーネスは肩から背中にかけてのベルト形状の違いにより、X型とY型の2種類に分類される。X型のハーネスは装着状態を背部側から見ると、一対の肩ベルトが背中のほぼ中央位置で交差されており、肩ベルトがX字形状を形成している。Y型のハーネスは装着状態を背部側から見ると、一対の肩ベルトが背中のほぼ中央位置で重ねあわされて臀部まで延びており、肩ベルトがY字形状を形成している。
【0004】
X型のハーネスでは、胸部側の前肩ベルトと背部側の後肩ベルトがそれぞれ斜め下方に延在して腰部周辺において交差する構造を採用したものが知られている。この腰部ベルト交差部として、それぞれ左右の腰部の近傍で形成された交差部において前面側の肩ベルトと背面側の肩ベルトが縫合された構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、腰部ベルト交差部において、一方のベルトに挿通部を設け、この挿通部に他方のベルトを挿通させた構造も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-61237号公報
【特許文献2】特開2020-28386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2に開示された腰部ベルト交差構造では、装着者が移動や作業で行う動作のうち、特に屈む、しゃがむなどの動作を行った場合には、身体の後側に位置するベルトが突っ張って、その動作を阻害するおそれがあった。
本発明の目的は、装着性や可動性に優れた墜落制止用ハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の墜落制止用ハーネスは、前側ベルトと、後側ベルトと、腰部周辺に設けられ横長の挿通孔を有する連結具とを備え、前記前側ベルトが前記挿通孔に所定の角度で挿通され、前記挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返されてなり、前記後側ベルトが前記挿通孔に前記前側ベルトの折り返し角度と同じ角度で挿通され、前記挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返されてなり、前記前側ベルトの折り返し部分の端部が前記後側ベルトに接続され、前記後側ベルトの折り返し部分の端部が前記前側ベルトに接続されることで、前記前側ベルト及び前記後側ベルトがそれぞれ前記連結具に連結された腰部ベルト交差部におけるベルト連結構造を有し、前記ベルト連結構造は、前記前側ベルトと前記後側ベルトが前記挿通孔を起点として長手方向に連動してスライド可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の墜落制止用ハーネスでは、前記前側ベルトが胸部側に延在する肩ベルト又は脇ベルトであり、前記後側ベルトが背部側に延在する肩ベルトであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る墜落制止用ハーネスでは、前側ベルトが腰部周辺に設けられた連結具の横長の挿通孔に所定の角度で挿通され、挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返され、後側ベルトが挿通孔に前側ベルトの折り返し角度と同じ角度で挿通され、挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返されている。そして、前側ベルトの折り返し部分の端部が後側ベルトに接続され、後側ベルトの折り返し部分の端部が前側ベルトに接続されることで、前側ベルト及び後側ベルトがそれぞれ連結具に連結された腰部ベルト交差部におけるベルト連結構造を有する。そして、ベルト連結構造は、前側ベルトと後側ベルトが挿通孔を起点として長手方向に連動してスライド可能に構成されている。上記構造により、装着性や可動性に優れた墜落制止用ハーネスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の墜落制止用ハーネスを示す図である。
【
図3】ベルト連結構造の作製過程において、2本のベルトを重ねた状態で挿通孔に通した状態を示す図である。
【
図4】ベルト連結構造の作製過程において、2本のベルトを挿通孔の長辺を起点として上下に開き、交差させた状態を示す図である。
【
図5】ベルト連結構造の作製過程において、2本のベルトを挿通孔の長辺でそれぞれ折り返して位置決めし仮固定した状態を示す図である。
【
図6】ベルト連結構造の作製過程において、2本のベルトそれぞれの端部位置で縫製した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態の墜落制止用ハーネスを示す図である。
図1に示すように、本実施形態の墜落制止用ハーネス10は、一対の肩ベルト12と、一対の脇ベルト14と、一対の腿ベルト16と、胸ベルト18と、胸部金具20と、連結具としての腰部金具22と、尻当てベルト24と、固定板26と、背部D環28とを備えている。
図1に示すハーネスでは胸ベルト18の連結を解除しており、胸D環は連結していない状態である。
なお、本実施形態において、ハーネス装着状態の胸部側を前面側、背部側を後面側という場合がある。
【0011】
それぞれの肩ベルト12は上方で折り返されている。この折り返しにより、肩ベルト12には前肩ベルト部12a及び後側ベルトとしての後肩ベルト部12bが形成されている。前肩ベルト部12aは前面側において下方に向かって延び、胸部周辺で胸部金具20に連結されている。後肩ベルト部12bは背面において、一方の後肩ベルト部12bと他方の後肩ベルト部12bとが交差して背部交差部30が形成されている。背部交差部30が形成された後肩ベルト部12bは腰部周辺で連結具としての腰部金具22に連結されている。
【0012】
図2は腰部ベルト交差部の部分拡大図である。
図2に示すように、本実施形態では、腰部金具22は上プレート22aと下プレート22bと軸部22cとを備えている。
上プレート22aと下プレート22bは板状部材により形成されている。
上プレート22aには挿通孔としての上部挿通孔22dと下プレート22cと接続するための軸孔22eが設けられている。上部挿通孔22dは、重ね合わせたベルトが挿通可能な程度の幅及び長さを有する長孔に形成されており、上プレート22aの上方に横長に設けられている。軸孔22eは上プレート22aの下方に設けられている。
下プレート22bには上プレート22aと接続するための軸孔22fと、腿ベルト16が挿通される下部第一挿通孔22g及び下部第二挿通孔22hがそれぞれ設けられている。下部第一挿通孔22g及び下部第二挿通孔22hは、腿ベルト16が挿通可能な程度の幅及び長さを有する長孔に形成されており、下部腰部金具22bの下方に逆ハの字型に設けられている。軸孔22fは下プレート22bの上方に設けられている。
腰部金具22は、上プレート22aと下プレート22bとを軸孔22e、22fが連通するように重ね、軸孔22e、22fに軸部22cが通されて連結された構造であり、下プレート22bは上プレート22aに対して回動可能に接続されている。
【0013】
上記後肩ベルト部12bは腰部周辺で上プレート22aに設けられた上部挿通孔22dに挿通されている。前側ベルトとしての脇ベルト14は一端が胸部金具20に連結されて下方に延びており、他端が腰部周辺で上プレート22aに設けられた上部挿通孔22dに挿通されている。即ち、上記後肩ベルト部12bと脇ベルト14はそれぞれ上部挿通孔22dに挿通されている。
上部挿通孔22dに挿通された後肩ベルト部12bは上部挿通孔22dの長辺を起点としてV字状に折り返されている。また、上部挿通孔22dに挿通された脇ベルト14は、上部挿通孔22dの長辺を起点としてV字状に折り返されている。
そして、脇ベルト14の折り返し部分の端部は、後肩ベルト部12bに接続され、後肩ベルト部12bの折り返し部分の端部は、脇ベルト部14に接続されている。ベルト折り返し位置から各ベルトの連結位置までの間には、所定の隙間が生じるように、その間隔を調整しておく。この隙間によりベルト連結構造の可動域が確保される。具体的には、各ベルトが長手方向に20~30mmスライド可能な程度に間隔を調整することが好ましい。このような接続構造では、脇ベルト14と後肩ベルト部12bが上部挿通孔22dを起点として長手方向に連動してスライド可能に構成されている。
【0014】
図1に戻って、胸ベルト18は、第一胸ベルト部18aと、第二胸ベルト部18bと、バックル18cとを備えている。第一胸ベルト部18aは一方の胸部金具20に連結されている。第二胸ベルト部18bは他方の胸部金具20に連結されている。このバックル18cは、バックル本体18dと、タングプレート18eと、を備えている。この胸ベルト18では、バックル本体18dは第一胸ベルト部18aの端部に連結されている。タングプレート18eは第二胸ベルト部18bの端部に連結されている。このバックル本体18dにタングプレート18eが挿入されて連結され、バックル本体18dからタングプレート18eが引き抜かれて連結解除可能にされている。このバックル18cによって、第一胸ベルト部18aと第二胸ベルト部18bとは、連結及び連結解除可能にされている。
【0015】
腿ベルト16は、第一腿ベルト部16aと、第二腿ベルト部16bと、バックル16cとを備えている。第一腿ベルト部16aの一端及び第二腿ベルト部16bの一端はそれぞれ腰部金具22の下部腰部金具に連結されており、第一腿ベルト部16aは前面側へ、第二腿ベルト部16bは後面側へと延びている。第一腿ベルト部16aは下部第一挿通孔に、第二腿ベルト部16bは下部第二挿通孔にそれぞれ挿通されている。
バックル16cはバックル本体16d及びタングプレート16eから構成されている。バックル本体16dは第一腿ベルト部16aの他端、タングプレート16eは第二腿ベルト部16bの他端にそれぞれ連結されている。このバックル本体16dにタングプレート16eが挿入されて連結され、バックル本体16dからタングプレート16eが引き抜かれて連結解除可能にされている。このバックル16cによって、第一腿ベルト部16aと第二腿ベルト部16bとは連結及び連結解除可能にされている。
【0016】
尻当てベルト24はその両端がそれぞれの腿ベルト16の第二腿ベルト部16bに接続され、一対の腿ベルト16を連結するように構成されている。
固定板26は背部交差部30に配置されている。この固定板26に一対の後肩ベルト12bが互いに交差して通されている。この固定板26は一対の後肩ベルト部12bに取り付けられている。
背部D環28は背部交差部30で固定板26と一対の後肩ベルト部12bとに取り付けられている。この背部D環28は基部28a及び湾曲部28bを備えている。基部28aは略直線状に延びている。湾曲部28bは基部28aの一端部から他端部まで基部28aから離れる向きに凸状に湾曲して延びている。この湾曲部28bは滑らかな曲線で湾曲している。この基部28aは交差する一対の後肩ベルト部12bと固定板26とに挟まれて取り付けられている。
【0017】
以下、本実施形態の墜落制止用ハーネスの腰部ベルト交差部におけるベルト連結構造の作製過程を説明する。
図3~
図6は、ベルト連結構造の作製過程を説明するための図である。なお、簡略化のため、腰部金具は上プレート22aのみを表している。また、
図3~
図6では腰部ベルト交差部を横向きに示しており、腰部金具(上プレート22a)の左側が上半身側、右側が下半身側の配置となる。
図3は、2本のベルトを重ねた状態で上部挿通孔に通した状態を示す図である。
2本のベルトB1,B2には、所定位置にそれぞれ位置決めのためのマーキングを施しておく。マーキングは折り返し位置M1と重ね合わせ位置M2の2カ所に施しておくことが好ましい。このマーキングM1,M2は、ベルト連結構造の可動域を確保するため、ベルト折り返し位置から各ベルトの連結位置までの間に所定の隙間が生じるように、その間隔を調整しておくことが好ましい。具体的には、ベルト連結構造を作製したとき、各ベルトが長手方向に20~30mmスライド可能な程度に調整することが好ましい。また、ベルトの端から折り返し位置M1までの距離と、折り返し位置M1から重ね合わせ位置M2までの距離が等距離となる位置に設けておく。
図3に示すように、2本のベルトB1,B2を重ね合わせ、上プレート22aの上部挿通孔22dに挿通する。挿通したベルトは端同士を重ねておく。また挿通したベルトは、折り返し位置M1のマーキングが上部挿通孔22dの長辺に重なるように位置決めしておく。
【0018】
図4は、2本のベルトを上部挿通孔の長辺を起点として上下に開き、交差させた状態を示す図である。
次に、
図4に示すように、上部挿通孔22dに挿通したベルトを図中の矢印に示す方向へそれぞれスライドさせる。スライドさせたベルトB1,B2は、折り返し位置M1のマーキングを中心として互いに交差したX字状に配置されている。
【0019】
図5は、2本のベルトを上部挿通孔の長辺でそれぞれ折り返して位置決めし仮固定した状態を示す図である。
続いて、
図5に示すように、ベルトB1,B2の上部挿通孔22dに挿通した部分B3,B4を上部挿通孔22dの長辺を起点として折り返す。ベルトB3,B4は折り返し位置M1のマーキングで折り返されている。この折り返しにより、2本のベルトが互い違いに折りたたまれ、折り返した他方のベルト端部B4は一方のベルトB1に重ね合わされ、折り返した一方のベルト端部B3は他方のベルトB2に重ね合わされる。
重ね合わされたベルトは、重ね合わせ位置M2のマーキングに揃えて位置決めした後、位置決めしたベルトを仮固定する。仮固定の方法としては、ピン止め、クリップ止め、溶着、仮縫いなどが挙げられる。仮固定されたベルトはV字状に配置されている。
【0020】
図6は、2本のベルトそれぞれの端部位置で縫製した状態を示す図である。
そして、
図6に示すように、仮固定した位置で、重ね合わせた一方のベルトB1と他方のベルト端部B4、他方のベルトB2と一方のベルト端部B3をそれぞれ連結する。各ベルトの連結は、好ましくは、縫着により行う。また、化学接着剤による接着や、金属端子による圧着、熱等による溶着などの手法があり得る。
上記各工程を経ることにより、
図2に示すようなベルト連結構造を作製できる。
【0021】
<本実施形態の作用効果>
このような本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の墜落制止用ハーネスは、腰部ベルト交差部におけるベルト連結構造が、腰部金具22と、脇ベルト14及び肩ベルト12の後肩ベルト部12bの2本のベルトのみで構成されている。このように、ベルト連結構造を構成する部品点数が少ないので軽量である。
また、脇ベルト14と後肩ベルト部12bが上部挿通孔22dを起点として長手方向に連動してスライド可能に構成されている。この構成では、屈む、しゃがむなどの動作を行った場合、脇ベルト14が縮む方向に、後肩ベルト部12bが延びる方向にそれぞれ連動してスライドするので、身体の後側に位置するベルトが突っ張って、その動作を阻害することが抑制される。このように、装着性や可動性に優れたハーネスを提供できる。また、ベルトがスライド可能に構成されているので、腰部ベルト交差部に対して荷重がかかってもベルトがスライドすることで荷重が分散する。そのため、上記ベルト連結構造は縫製箇所に荷重が集中し難く、またベルトの偏りも起こりにくいので、高い強度を有する。
更に、ベルト連結構造は、脇ベルト14の折り返し部分の端部が後肩ベルト部12bに接続され、後肩ベルト部12bの折り返し部分の端部が脇ベルト14に接続されることで、脇ベルト14及び後肩ベルト部12bがそれぞれ腰部金具22に連結されている。上記のような連結構造を採用することで、腰部ベルト交差部に対して様々な方向から荷重がかかっても、ベルトや縫製部に対して不自然な荷重が掛かりにくい。結果として、強度が高く、安全性に優れる。
【0022】
<変形例>
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれるものとする。
上記実施形態では、脇ベルト14を備え、この脇ベルト14を腰部金具22に連結した構成としたが、これに限定されない。例えば、前肩ベルト部を脇ベルトの長さにまで長尺化し、脇ベルトに代えて、この長尺化した前肩ベルト部を腰部金具に接続した構成としてもよい。
【0023】
また、上記実施形態では、上プレート22aと後肩ベルト部12bと脇ベルト14とでベルト連結構造を形成したが、これに限定されない。例えば、下プレート22bと第一腿ベルト部16aと第二腿ベルト部16bとでベルト連結構造を形成してもよい。更に、上プレート22a側と下プレート22b側の双方にベルト連結構造を設ける構成としてもよい。
下プレート22b側にベルト連結構造を形成する場合としては、下部第一挿通孔22g及び下部第二挿通孔22hに代えて、下プレート22bの下方に重ね合わせたベルトが挿通可能な程度の幅及び長さを有する長孔の挿通孔を横長に設ける。
そして、この横長の挿通孔に第一腿ベルト部16aと第二腿ベルト部16bとをそれぞれ挿通し、横長の挿通孔の長辺を起点としてV字状に折り返し、第一腿ベルト部16aの折り返し部分の端部を第二腿ベルト部16bに接続し、第二腿ベルト部16bの折り返し部分の端部を第一腿ベルト部16aに接続すればよい。
【0024】
更に、上記実施形態では、腰部金具22を上プレート22a及び下プレート22bとで構成したが、これに限定されない。腰部金具が上プレートと下プレートが一体化された1枚の板状部材により構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明された墜落制止用ハーネスは、高所作業に用いられるハーネスに広く適用されうる。
【符号の説明】
【0026】
10 墜落制止用ハーネス
12 肩ベルト
12a 前肩ベルト部
12b 後肩ベルト部(後側ベルト)
14 脇ベルト(前側ベルト)
22 腰部金具(連結具)
22d 上部挿通孔(挿通孔)