(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074026
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】振動子による液中ロボット
(51)【国際特許分類】
B63H 1/32 20060101AFI20230522BHJP
B63H 21/17 20060101ALI20230522BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20230522BHJP
B06B 1/08 20060101ALI20230522BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20230522BHJP
【FI】
B63H1/32
B63H21/17
B63C11/00 Z
B06B1/08 Z
H01L41/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186723
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】504193837
【氏名又は名称】国立大学法人室蘭工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 実
(72)【発明者】
【氏名】銭 源
(72)【発明者】
【氏名】孔 徳卿
(72)【発明者】
【氏名】青柳 学
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107CC02
5D107CC12
(57)【要約】
【課題】本発明では、振動子と液体の境界面の微小振動を推進力とする液中ロボットが3次元的に移動できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の液中ロボットは、本体と振動子を備え、前記本体の表面に複数の前記振動子が設置され、前記振動子と液体の境界面の微小振動を推進力とすることで、3次元的に移動することができる。具体的に前記本体の形状としては、多面体形状をとるもの、カプセル形状をとるものがある。多面体には球面体も含まれる。カプセル形状の場合は一端部と他端部の表面に前記振動子が設置される。また本体の少なくとも一つの面に複数の振動子が行列状に設置されてもよい。また本体に設置された複数の振動子の少なくとも2つの振動子に同じまたは異なった駆動電力を供給することで3次元移動を可能にする操舵方法を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と振動子を備え、
前記本体の表面に複数の前記振動子が設置され、
前記振動子と液体の境界面の微小振動を推進力とし、
3次元的に移動することができる液中ロボット。
【請求項2】
前記本体は多面体の形状を有し、前記多面体の複数の面に前記振動子が設置されている、請求項1に記載の液中ロボット。
【請求項3】
前記多面体は球面体である、請求項2に記載の液中ロボット。
【請求項4】
前記本体は、前記振動子が行列状に複数設置される面(以下、「振動子行列面」という。)を少なくとも一つ有する、請求項1または2のいずれか一つに記載の液中ロボット。
【請求項5】
前記本体は、前記振動子行列面を互いに平行に向かい合わせた構成を有する、請求項4に記載の液中ロボット。
【請求項6】
前記本体はカプセル形状を有し、一端部または他端部の表面に前記振動子が設置されている、請求項1に記載の液中ロボット。
【請求項7】
前記一端部の表面に前記振動子が2つ設置され(以下、「第1振動子ペア」という。)、かつ前記他端部の表面に前記振動子が2つ設置され(以下、「第2振動子ペアという。」、前記第1振動子ペアの各振動子の中心を結ぶ線と前記第2振動子ペアの各振動子の中心を結ぶ線が互いに直交するように配置されている、請求項6に記載の液中ロボット。
【請求項8】
前記振動子の厚さが薄いことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の液中ロボット。
【請求項9】
前記振動子は高周波電源によって駆動され、
複数の前記振動子の少なくとも2つの振動子に駆動電力を与えることで3次元的に移動を行う、請求項1~8のいずれか一つに記載の液中ロボットの操舵方法。
【請求項10】
前記駆動電力のうち、少なくとも1つは異なる駆動電力である、請求項9に記載の液中ロボットの操舵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子による液中ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波振動する弾性表面波が伝搬する振動子と液体の境界面の微小振動を液中推進装置の推進力発生源とすることは従来知られている。
図1は、推進力発生の基本原理を示す概念図である。液中に置かれた圧電素子や超音波素子など振動子(Vibrator)を励振し、振動子と液体の境界面で微小振動を発生する。その際に境界面には直流的な力が生じ,液中に生じる駆動力(Driving Force)の反作用を推進力(Propulsion Force)として利用する。駆動力は振動・波動伝搬の非線形現象により生じる直流的な力であり、固体中を伝搬するnmかμmオーダーの微小振幅が推進力の源である。
【0003】
例えば特許文献1には、本体を液体表面または液体中に配置し、液体に接するように高周波振動アクチュエータを前記本体に取り付け、当該高周波振動アクチュエータの表面と液体との界面の微小振動から推進力を得て移動する液中推進装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが特許文献1では、平板状の高周波振動アクチュエータを本体に取り付けた構成で3次元的な移動が想定されておらず、一方向の移動が可能な構成が開示されているのみである。
そこで、本発明では、振動子と液体の境界面の微小振動を推進力とする液中ロボットが3次元的に移動できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の振動子による液中ロボットの一つは、 本体と振動子を備え、前記本体の表面に複数の前記振動子が設置され、前記振動子と液体の境界面の微小振動を推進力として、3次元的に移動することができる液中ロボットを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、振動子と液体の境界面の微小振動を推進力とする液中ロボットが3次元的に移動できる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施をするための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、推進力発生の基本原理を示す概念図である。
【
図2】
図2は、一方向に移動可能な自走式液中ロボット100の一例の断面図である。
【
図3】
図3は、自走式液中ロボット100の一例の実物図である。
【
図4】
図4は、自走式液中ロボット100の駆動電力に対する速度と推進力を計測したグラフである。
【
図5】
図5は、多面体タイプの液中ロボットの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、液中ボールロボット307の構造を示す図である。
【
図7】
図7は、液中ボールロボット307の駆動電力に対する速度を計測したグラフである。
【
図8】
図8は、液中ボールロボット307の移動軌跡を示す図である。
【
図9】
図9は、行列タイプの液中ロボットの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態2をジェットタイプに適用した液中ロボットの一例を示した図である。
【
図11】
図11は、カプセルタイプの液中ロボットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0010】
本開示において、振動子は圧電素子や超音波素子など所定の駆動周波数および駆動電力で微小振動を起こすものであれば、材質、形状、大きさ、配置は用途に応じて様々な形態のものが含まれる。例えば形状は円形に限られず、四角形、三角形、楕円形など任意の形状をとることができ、さらにそれらの形状の組み合わせた形状でもよい。
【0011】
本開示において、「本体」は、振動子が液体と接するように一体的に設置される物体であって、振動子とともに液中を移動する物体を意味し、樹脂、木製、発砲スチロール、金属など用途に応じて好適の材質が用いられる。
【0012】
本開示において、「設置」とは振動子が本体と一体的に移動できるように取り付けられることを意味し、貼付、埋め込み、嵌合、挟持など、本体表面や振動子の形状、材質に応じて好適の手段を採用できる。そして振動子を本体の表面に設置するというときは、設置の手段に応じて必要な加工が本体の表面になされることも含む。
【0013】
本開示において、駆動電源から振動子への給電方法は特に限定されないが、断りのない限り導線により給電される。
【0014】
まず、一方向にのみ移動可能な液中ロボットの構成について説明する。
図2は、一方向に移動可能な自走式液中ロボット100の一例の断面図である。本体は、先頭部101がドーム形状、側部102が円筒形状をしておりアクリル樹脂で構成される。そして側部の端付近の開口に円板状振動子を設置して塞ぎ、中空状の内部には空気が充満している。振動子の一方の面は液体(水)に接しており、高周波電源により駆動されると液体と振動子の境界面に作用する音響放射圧を推進力として取り出すことが可能となる。
【0015】
図3は、自走式液中ロボット100の一例の実物図である。自走式液中ロボット100は、側部102の円筒形状の外周直径が14mmで、側部102の端から先頭部101のドーム形状頂点までの長さが18mmである。振動子は直径9mm、厚さ1mmのPZT円板振動子を用い、2.065MHzの駆動周波数で駆動した。
【0016】
図4は、自走式液中ロボット100の駆動電力に対する速度と推進力を計測したグラフである。22.7Wの駆動電力で無負荷移動速度(負荷のない状態の(最大)速度)172mm/s、0速度推進力(ロボットを固定した状態の(最大)推進力)11.6mNを得た。図示されているように駆動電力により速度、推進力共に制御できる。また振動子の厚さは薄い方がより低電力で所定の推進力を得ることができ効率性能がいいことが見出された。例えば約10倍(10mm)の厚さの振動子と比較して推進効率が向上することが確認された。
【0017】
以下に本発明の実施形態について説明する。特に断りのない限り、以下の実施形態でも上述した自走式液中ロボット100で用いられる振動子と同様の振動子を用いることができる。
【0018】
[実施形態1]
<多面体タイプ>
実施形態1において、液中ロボットは多面体からなる本体の複数の表面に振動子が設置された構成をとる。
図5は、多面体タイプの液中ロボットの一例を示す図である。本実施形態において、多面体は四面体から球面体まで任意の面数の多面体が含まれる。(a)は四面体の各表面に振動体201~204が設置された構成を示し(204は不図示)、(b)は球面体の上下左右前後の六ヶ所の表面で振動子301~306が設置された構成を示す(306は不図示)。振動子は多面体の全ての面に設置することもできるが、一部の面を選択して設置してもよい。
【0019】
<実施例>
本実施形態において、本体が球面体で構成された液中ボールロボット307の実験を行った。
図6は、液中ボールロボット307の構造を示す図である。ここに方向を表すのにxyz軸座標を用い、左右をx軸方向、前後をy軸方向、上下をz軸方向とする。(a)はxz平面における断面図であり、(b)は実物図である。左右前後の四ヵ所の表面にそれぞれ振動子302、303、301、306を設置し、z軸の上方から導線を通じて高周波駆動を行った。本体である球面体の直径は50mmであり、真鍮柱(Brass Column)が重りとして入っている。振動子(Transducer)301~303、306は直径9mm、厚さ1mmのPZT円板振動子をO-Ringで挟持して設置した。
【0020】
図7は、液中ボールロボット307の駆動電力に対する速度を計測したグラフである。一つの振動子で駆動する速度と、振動子の面の法線方向が互いに90°をなす二つの振動子で駆動する速度が表されており、同じ駆動電力では一つの振動子が速い速度で進むことが分かる。
【0021】
図8は、液中ボールロボット307の移動軌跡を示す図である。(a)は液中ボールロボット307のxy平面における断面の模式図であり、(b)は振動子301、302を駆動した場合のxy平面内の移動軌跡を表した図である。
振動子301、302をともに駆動電圧36.2V
pp、駆動周波数2.07MHzで駆動した場合の移動軌跡がOAで表されており、振動子301または302のいずれか一つの振動子で動く方向(y軸方向またはx軸方向)に対して45度傾く方向に動くことが確認された。これは互いに90°をなす方向に働く同程度の推進力が合成された結果と考えられる。
【0022】
<作用・効果>
本実施形態に係る液中ロボットによれば、ヒレやスクリューといった可動部が不要で、多面体上に複数の振動子を設置することにより、各振動子による異なる推進方向の合成された3次元的な液中移動が可能になる。また振動子ごとに与える駆動電力を異ならせることで振動振幅が変化し、各面の推進力に差を設け移動方向の変更が可能になる。更に駆動電力を経時的に変化させることで回転やカーブなどの複雑な操舵も可能になる。
また効率性能に加え本体への設置のし易さからも振動子の厚さは薄い方が望ましい。
【0023】
[実施形態2]
<行列タイプ>
実施形態2は、液体に接し推進力を受ける本体の面に振動子が行列状に複数設置される(以下、「行列タイプ」という。)点で、実施形態1と異なる。以下、振動子が行列状に複数設置される本体の面を「振動子行列面」という。
図9は、行列タイプの液中ロボットの一例を示す図である。本体は、先頭部401が四角錐形状、側部402が直方体形状をしており、底面が正方形形状を有し振動子行列面403を構成している。ここに方向を表すのにxyz軸座標を用い、先頭部401の頂点と振動子行列面403の中心を結ぶ方向をz軸方向、振動子行列面403はxy平面に平行とする。(a)は液中ロボットをx軸方向からみた側面図を示し、(b)は振動子が振動子行列面403に設置されている構成を示す。
【0024】
図9(b)において3×3の配置が例示されている。行列の配置は等間隔にN×Nで設置してもよく、N×Mのように異ならせてもよい。ここにN、Mは任意の整数である。また間隔も行方向と列方向で等間隔に設置することも異ならせることもできる。さらに各行または各列を適宜ずらした配置にしてもよい。
【0025】
<作用・効果>
図9(b)で示された3×3の振動子411~413,421~423、431~433の中から駆動する振動子を選択することでz軸方向以外の3次元的な移動が可能になる。例えば、振動子412または432を選択すればy軸の周りの回転トルクが生じ、振動子421または423を選択すればx軸の周りの回転トルクが生ずる。また振動子411または433を選択すればx軸の周りの回転とy軸の周りの回転が合成された回転トルクが生じるなど、振動子を適宜組み合わせることで各々の振動子による推進力が合成された複雑な操舵が可能となる。さらに振動子にかける駆動電力を異ならせることで一層複雑で微妙な方向調整が可能となる。
【0026】
<ジェットタイプへの適用例>
振動子の設置された2個の本体の表面を向かい合わせて液中で高周波駆動すると、当該表面に挟まれた空間内の液体に流れ(ジェット)が生じて推進力が得られることが特許文献1に開示されている(以下、このように推進力を得るタイプを「ジェットタイプ」という。)。
図10は、実施形態2における振動子行列面をジェットタイプに適用した液中ロボットの一例を示した図である。ここに方向を表すのにxyz軸座標を用いる。(a)はyz平面における断面図を示し、(b)はxy平面における断面図を示す。本体は、中身が吹き抜け中空の直方体でxy平面における断面形状は外周および内周が正方形形状を有している。z軸方向の各端部の外周形状は推進する際に液中から受ける抵抗を低減するように、内部から各端部の向きに流線形の形状を有している。
【0027】
振動子は本体内周の各面に511と512,521と522,531と532,541と542と2つづつ設置される。また互いに平行の位置関係にある表面に向かい合わせで設置されている511と521、512と522、531と541、532と542との間でジェットによる推進力が生じる(532、542は不図示)。
【0028】
<作用・効果>
例えば、振動子511と521にかける駆動電力を変えることで各振動子の推進力に差を設け、液中のジェットの流れをz軸方向からy軸の上または下にシフトさせて移動方向を操舵することが可能となる。同様の操作を振動子512と522にも行うことで2つの振動子ペアによるジェットの推進が合成されたより複雑な操舵を行うことができる。一方振動子531と541、および532と542(図示せず)の振動子ペアの操作によりz軸方向からx軸の左右に移動方向をシフトさせることができ、これらも組み合わせることで一層複雑な液中操舵が可能となる。
【0029】
[実施形態3]
<カプセルタイプ>
実施形態3は、本体がカプセル形状をしている点で実施形態1と異なる。
図11は、カプセルタイプの液中ロボットの一例を示す図である。カプセル形状において、2つのドーム形状の一つを一端部601、他の一つを他端部602と言う。ここに方向を表すのにxyz軸座標を用い、カプセル形状の一端部601と他端部602の頂点を結ぶ方向をz軸方向とする。(a)は液中ロボットをx軸方向からみた側面図、(b)は液中ロボットをz軸方向からみた正面図である。
【0030】
実施形態3において、2個の振動子からなるペア2つを、一端部601と他端部602のドーム面において、ペアとなる振動子の中心を結ぶ線が互いに90°ずれるように設置した構成を有する。
図11(a)で振動子611と621のペアの各振動子の中心を結ぶ線はy軸に平行であり、振動子631と641のペアの各振動子の中心を結ぶ線はx軸に平行である。ドーム形状の表面に設置する振動子は2つに限られず、任意の数の振動子を設置することが可能である。また一端部601と他端部602に設置する振動子の数や配置は同じであっても異ならせてもどちらでもよい。
【0031】
<作用効果>
本実施形態において、振動子611を駆動した場合yz平面内で回転と直進の合成された運動が行われ、振動子621を駆動した場合yz平面内で振動子611とは逆方向の回転とy軸成分が逆方向の直進が合成された運動が行われる。振動子631と641に関してもxz面内で同様の運動が行われる。したがってこれら4つの振動子を駆動すれば3次元的に複雑な液中移動の操舵が可能となる。各振動子を駆動する駆動電力を異ならせることで一層微細な操舵を行うことも可能となる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0033】
上述した実施形態1~3を適宜組み合わせて3次元の液中移動を行ってもよい。例えば実施形態1において、多面体形状をとる本体の少なくとも一つの面に、実施形態2のように振動子を複数行列形状に設置することもできる。さらにそのような振動子の設置された2個の多面体の表面が互いに平行になるように向かい合わせ、挟まれた液中にジェットタイプの直進流を生じさせ液中移動させる構成にしてもよい。
【0034】
[振動子による液中ロボットを用いた活用事例]
本発明に係る振動子による液中ロボットを用いた活用の事例を以下に列挙する。
上下水道などのインフラや工場などの液体管内の点検、調査および修理。例えば、断水せずに水道管内に液中ロボットを走行させ調査を行うこと。
狭い液体管内の点検、調査および修理。例えば、車などの給油パイプといった狭い管内に液中ロボットを入れて調査を行うこと。
湖海などの人が行きづらい場所での調査。例えば、原発事故放射線汚染区域、自然保護のため人の立ち入りが制限される摩周湖などで液中ロボットを使った調査を行うこと。
ミリオーダーの寸法を実現し、ドラッグデリバリーや低侵襲手術などの医療ロボットとしての活用。
【0035】
[サイズの小型化]
駆動周波数を高周波化することで,出力密度を低下させることなくマイクロ化が可能である。駆動周波数をkHzからMHzさらにGHzとすれば、液中ロボットの寸法を小型化にでき,センチからミリさらにマイクロ化が期待される。例えば、2MHzで10ミリ程度のロボットができ、20MHzで1ミリ程度のサイズが実現できる。さらに100MHz~1GHzでミクロン程度の液中ロボットが可能である。
【0036】
[無線給電]
上述した液中ボールロボット307の実施例においては導線で液中ロボットを駆動したが、RFタグ(Tag)のような素子を用いて無線(wireless)給電を行う可能性もある。また電池を液中ロボットに装着して給電することもできる。超音波素子の電極にアンテナを付け、駆動周波数のマイクロ波送信を行えば,同調周波数での複数素子の個別選択的駆動が可能となり、遠隔での制御も行える。
【符号の説明】
【0037】
100…自走式液中ロボット、101…先頭部、102…側部、201~204…振動子
301~306…振動子、307…液中ボールロボット、401…先頭部、402…側部
403…振動子行列面、411~413,421~423、431~433…振動子
511、512,521、522,531、532,541、542…振動子
601…一端部、602…他端部、611,621,631,641…振動子