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  • 特開-ヒータ付きバルブ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074044
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】ヒータ付きバルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 49/00 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
F16K49/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186774
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000129529
【氏名又は名称】株式会社クラベ
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩徳
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA17
3H066BA35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】省スペースに寄与しつつも効率的に凍結防止または解氷をすることが可能なヒータ付きバルブ装置を提供する。
【解決手段】弁10と、該弁に流体を導入する導入路21と、上記弁から流体を導出する導出路22と、ヒータ30と、該ヒータからの熱を伝える導熱板40とを有し、上記弁における流体の導入方向と、上記弁における流体の導出方向とが、略平行となっており、上記導熱板が、上記導入路における上記弁に接続される部分と上記導出路における上記弁に接続される部分との間に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁と、該弁に流体を導入する導入路と、上記弁から流体を導出する導出路と、ヒータと、該ヒータからの熱を伝える導熱板とを有し、
上記弁における流体の導入方向と、上記弁における流体の導出方向とが、略平行となっており、
上記導熱板が、上記導入路における上記弁に接続される部分と上記導出路における上記弁に接続される部分との間に配置されるヒータ付きバルブ装置。
【請求項2】
上記ヒータが、上記導入路上又は上記導出路上に配置されている請求項1記載のヒータ付きバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、住宅設備用配管や自動車用配管におけるバルブ装置において、弁内の凍結防止、または、弁内の解氷をすることができるものに係り、省スペースに寄与しつつも効率的に凍結防止または解氷をすることが可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅設備用配管や自動車用配管においては、通過する流体を制御するために、例えば電磁式の開閉バルブ等の弁が設置されている。このような住宅設備用配管や自動車用配管は、寒冷地での使用において、流体そのもの凍結や流体中の水分の凍結の可能性があるため、凍結防止の対策や解氷の手段が必要となる。特に弁開閉箇所となる弁座(バルブホール)の近傍においては、流体経路が狭く、凍結しやすい箇所であるし、凍結によって弁が作動できなくなることは避けなければならないため、ヒータを設置するなど、より確実な凍結防止の対策や解氷の手段が必要となっている(例えば、特許文献1~3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-84694公報
【特許文献2】特許第5396704号公報
【特許文献3】特許第3284039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、弁の凍結防止や解氷においては、ヒータの設置が効果的であり、熱効率の観点から弁の直近にヒータを設置することが最も好ましい態様である。しかしながら昨今においては、機器のコンパクト化、高集積化、省スペース化によって、配管の自由度が減少するとともに、周辺機器の設置にも大きく制限がかかっている。ヒータもその例外ではなく、弁の近傍にヒータを設置できないこともある。その場合、弁の凍結防止や解氷を効率的に行うことが困難となってしまうという課題があった。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、省スペースに寄与しつつも効率的に凍結防止または解氷をすることが可能なヒータ付きバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するべく、本発明によるヒータ付きバルブ装置は、弁と、該弁に流体を導入する導入路と、上記弁から流体を導出する導出路と、ヒータと、該ヒータからの熱を伝える導熱板とを有し、上記弁における流体の導入方向と、上記弁における流体の導出方向とが、略平行となっており、上記導熱板が、上記導入路における上記弁に接続される部分と上記導出路における上記弁に接続される部分との間に配置されるものである。
また、上記ヒータが、上記導入路上又は上記導出路上に配置されていることが考えられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導熱板によってヒータの熱を効率的に弁に伝熱できることから、省スペース化等の要求によってヒータの設置に制約があるような場合でも、弁の凍結防止または解氷を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態によるヒータ付きバルブ装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1を参照して実施の形態を説明する。本実施の形態で用いるバルブ装置1で使用される弁10は、ポペット式の2ポート電磁弁であり、コイル11、コイル11に囲まれた固定コア12、コイル11に囲まれ先端に弁体14が設置された可動コア13、弁体14と相対する弁座15、弁体14と弁座15の間を隔てるダイヤフラム17、弁座15が形成され流路の一部を構成する弁部16などからなるものである。弁座15は導入路21と連通し、弁部16には導出路22と連通するよう孔が形成されている。弁10において、流体の導入方向と流体の導出方向は、逆方向且つ平行となっており、導入路21及び導出路22は途中で90度曲げられている。コイル11に通電されていない状態では、ダイヤフラム17を介して弁体14と弁座15が接しており、弁座15が閉じられた状態となり、流体は通過できない。コイル11に通電されると、固定コア12と可動コア13が磁化され、互いの引力により可動コア13が駆動する。それにより、ダイヤフラム17を介して接していた弁体14と弁座15が離れ、図1に示すような、流体が通過できる状態となる。これら弁10、導入路21及び導出路22の各構成は、種々の要求特性に応じた種々の公知の材料・構造を用いればよい。また、弁座15、弁部16、導入路21及び導出路22について、エンジニアリングプラスチック等によって一体的に成型されていてもよい。尚、導入路21及び導出路22の先端には、図示しないパイプなどが接続され、配管経路を構成する。
【0010】
本実施の形態によるヒータ30は、発熱素子31、第一電極端子33a、第二電極端子33b及びケース35からなるものである。発熱素子31は、縦14.0mm、横50.0mm、厚さ1.2mmの略角板状に形成されたチタン酸バリウム系セラミックの正特性サーミスタ素子(PTC素子)からなり、一つの主面に銀ペーストからなる電極層が形成され、もう一方の主面にも銀ペーストからなる電極層が形成されている。これら2つの電極層の内の一方が+極、もう一方が-極とされる。尚、発熱素子31の材料については、必要とされる発熱特性(例えば、キュリー温度等)に応じて適宜設定すればよい。第一電極端子33aは、厚さ1.0mmの銅合金板と厚さ0.3mmのバネ弾性に優れたりん青銅板を組合せてなるもの、第二電極端子33bは、厚さ0.3mmのバネ弾性に優れたりん青銅板からなるものが使用される。第一電極端子33aはPTC発熱素子31の一方の主面に形成された電極層と接するように配置され、第二電極端子33bは発熱素子31のもう一方の主面に形成された電極層と接するように配置される。ケース35は、ポリアミド樹脂からなり、PTC発熱素子11、第一電極端子33a及び第二電極端子33bを収納するとともに、これらを周囲から絶縁するものである。第一電極端子33a及び第二電極端子33bの端部は、ケース35から導出され、図示しないコネクタやリード線を介して電源に接続される。
【0011】
導熱板40は、厚さ0.5mmの銅合金板からなり、ヒータ30の熱を弁10に伝熱するものである。導熱板40を構成する材料としては、熱伝導率の高いものが好ましく、銅合金などの金属材料が好ましく使用される。本実施の形態においては、第一電極端子33aの一部が導熱板40としても機能するものとなっている。第一電極端子33a(即ち導熱板40)は、電源とPTC発熱素子11の間を通電するともに、導熱板40(即ち第一電極端子33a)が、発熱素子31で発生した熱を効率的に弁10に伝えることになる。第一電極端子33aは、他の電極端子や絶縁体等を介することなく、PTC発熱素子11に直接接触するものであるため、第一電極端子33aを導熱板40と兼ねた構成することで、熱効率を向上させることができる。なお、導熱板40に通電させるような構成とする場合は、導熱板40もケース35で覆うなど、導熱板40を周囲から絶縁させることが好ましい。なお、放熱板40は、弁部16の近傍に圧入やインサート成形をすれば、空気層なく密着させることができるので、より効率的に熱を弁10に伝えることができる。
【0012】
本実施の形態においては、ヒータ30は、導熱板40を介して、導入路21の上に設置される。もちろん、ヒータ30を導出路22の上に設置しても良いし、他の箇所に設置しても良い。導熱板40も、ヒータ30と導入路21の間だけでなく、例えば、ヒータ30の上に設置することも考えられる。
【0013】
また、導熱板40は、導入路21の曲げに沿った形状で曲げられており、導入路21と導入路22の間にまで延出している。即ち、導熱板40が、導入路21における弁10に接続される部分と導出路22における弁10に接続される部分との間に配置されることになっている。このような構成にすることによって、ヒータ30の熱は、導熱板40を通じて弁10まで伝熱することになるため、弁10から離れた箇所にヒータ30を設置したとしても、ヒータ30の熱を弁10に効率的に伝えることができる。特に、弁10における弁座14の部分は流路が狭くなる箇所であり、寒冷時などに氷が詰まりやすい傾向がある。本発明であれば、導熱板40を弁座14の近傍まで配置することができるので、より効果的に弁10の凍結を防止することができる。
【0014】
本発明は上記の実施の形態に限定されず、他の種々の形態であっても適用することができる。例えば、弁10やヒータ30など、従来公知の種々のものを使用することができる。また、ヒータ30の設置においても、種々の箇所に設置することができる。また、上記の実施の形態では、導熱板40として、電極端子を兼ねたものとしたが、これらが別々の部材であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上詳述したように本発明によれば、省スペースに寄与しつつも効率的に凍結防止または解氷をすることが可能なヒータ付きバルブ装置を得ることができる。このようなヒータ付きバルブ装置は、例えば、住宅設備配管、自動車用配管、産業機器用配管、家電用配管など、種々の配管設備において好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 バルブ装置
10 弁
21 導入路
22 導出路
30 ヒータ
31 発熱素子
33a 第一電極端子
33b 第二電極端子
35 ケース
40 導熱板
図1