(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074053
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 37/14 20060101AFI20230522BHJP
H02K 7/06 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
H02K37/14 Y
H02K37/14 B
H02K7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186797
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】古林 一美
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB10
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607DD10
5H607DD19
5H607EE52
(57)【要約】
【課題】モータケースの外周側に向かって同じ方向に伸びる複数の端子ピンと、複数の端子ピンの先端側に固定される給電用基板とを備えるモータにおいて、複数の端子ピンが伸びる方向への給電用基板の移動を規制することが可能であっても、部品点数を削減することが可能なモータを提供する。
【解決手段】モータ1では、モータケース21の外周側に向かって複数の端子ピン23が伸びる方向をY2方向とすると、ロータを回転可能に支持する軸受16を保持するとともにモータケース21に固定される軸受保持プレート22に、Y2方向側から給電用基板7に接触してY2方向側への給電用基板7の移動を規制する規制部22dが形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用磁石を有するロータと、前記駆動用磁石の外周側に配置される駆動用コイルを有するステータと、前記駆動用コイルが電気的に接続される平板状の給電用基板とを備え、
前記ステータは、前記駆動用コイルが収容されるモータケースと、前記ロータを回転可能に支持する軸受を保持するとともに前記モータケースに固定される軸受保持プレートと、前記駆動用コイルの端部が電気的に接続されるとともに少なくとも先端部が前記モータケースの外部に配置される複数の端子ピンとを備え、
複数の前記端子ピンは、前記モータケースの外周側に向かって同じ方向に伸びており、
前記モータケースの外周側に向かって複数の前記端子ピンが伸びる方向を第1方向とすると、
前記給電用基板は、前記モータケースの外部に配置されるとともに複数の前記端子ピンの先端側である複数の前記端子ピンの第1方向側に固定され、
前記軸受保持プレートには、第1方向側から前記給電用基板に接触して第1方向側への前記給電用基板の移動を規制する規制部が形成されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記給電用基板には、平板状に形成される前記給電用基板の外周側に向かって突出する凸部が形成され、
前記規制部は、第1方向側から前記凸部に接触していることを特徴とする請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記軸受保持プレートは、平板状に形成され、
前記軸受保持プレートには、前記軸受保持プレートの厚さ方向で前記軸受保持プレートを貫通するとともに前記凸部が挿入される貫通穴が形成され、
前記軸受保持プレートの、前記貫通穴の第1方向側に配置される部分が前記規制部となっていることを特徴とする請求項2記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータが有する送りねじ軸に係合するとともに前記送りねじ軸が回転すると前記送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、前記送りねじ軸の軸方向における前記可動体の位置を検知するための検知器と、前記モータケースに固定されるフレームとを備え、
前記送りねじ軸の軸方向である前記ロータの軸方向は、第1方向と直交しており、
前記ロータの軸方向の一方側を出力側とし、前記ロータの軸方向の他方側を反出力側とすると、
前記可動体は、前記モータケースよりも出力側に配置され、
前記フレームは、前記送りねじの出力側の端部を回転可能に支持する出力側軸受を保持するとともに前記モータケースの出力側の端面に固定され、
前記軸受保持プレートは、前記モータケースの反出力側の端面に固定され、
前記検知器は、前記フレームに固定される検知器本体と、前記検知器本体から突出する第2端子ピンとを備え、
前記第2端子ピンは、前記給電用基板に差し込まれて固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記ステータは、複数の前記端子ピンの基端部が固定される端子台を備え、
前記端子台には、前記給電用基板の、第1方向側の面と反対側の面に接触可能な複数の支持ピンが形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記軸受保持プレートは、前記モータケースの、前記ロータの軸方向における一方側の端面に接触する接触部と、前記接触部から第1方向側に突出する突出部とを備え、
前記ロータの軸方向から見たときに、前記接触部の外周面の少なくとも一部は、前記モータケースの外周面に沿って配置されており、
前記規制部は、前記突出部に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記ロータの軸方向から見たときの前記モータケースの外周面の形状は、円形状となっており、
前記ロータの軸方向から見たときに、前記モータケースの外周面に沿って配置される前記接触部の外周面の少なくとも一部の形状は、円弧状となっていることを特徴とする請求項6記載のモータ。
【請求項8】
前記ロータが有する送りねじ軸に係合するとともに前記送りねじ軸が回転すると前記送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、前記可動体を前記送りねじ軸の軸方向に案内するガイド軸と、前記モータケースに固定されるフレームとを備え、
前記送りねじ軸の軸方向である前記ロータの軸方向は、第1方向と直交しており、
前記ロータの軸方向の一方側を出力側とし、前記ロータの軸方向の他方側を反出力側とすると、
前記可動体は、前記モータケースよりも出力側に配置され、
前記フレームは、前記送りねじの出力側の端部を回転可能に支持する出力側軸受を保持する平板状の軸受保持部と、前記モータケースの出力側の端面に固定される平板状の被固定部と、前記軸受保持部と前記被固定部とを繋ぐ平板状の接続部とを備え、
前記軸受保持部は、前記接続部の出力側端から所定方向に向かって立ち上がり、
前記被固定部は、前記接続部の反出力側端から前記軸受保持部と同じ方向に向かって立ち上がり、
前記ガイド軸の反出力側の端部は、前記被固定部に圧入されて固定され、
前記被固定部は、前記ロータの軸方向から見たときに前記モータケースの外周面よりも前記モータケースの外周側に突出する外周方向突出部を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記ロータの軸方向から見たときの前記モータケースの外周面の形状は、円形状となっており、
前記ロータの軸方向から見たときの前記被固定部の形状は、正方形状または長方形状となっており、
前記ロータの軸方向から見たときの前記被固定部の四隅部分が前記外周方向突出部となっていることを特徴とする請求項8記載のモータ。
【請求項10】
前記ロータが有する送りねじ軸に係合するとともに前記送りねじ軸が回転すると前記送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、前記モータケースに固定されるフレームとを備え、
前記送りねじ軸の軸方向である前記ロータの軸方向は、第1方向と直交しており、
前記ロータの軸方向の一方側を出力側とし、前記ロータの軸方向の他方側を反出力側とすると、
前記可動体は、前記モータケースよりも出力側に配置され、
前記フレームは、前記送りねじの出力側の端部を回転可能に支持する出力側軸受を保持する軸受保持部と、前記モータケースの出力側の端面に固定される被固定部と、前記軸受保持部と前記被固定部とを繋ぐ接続部とを備え、
前記ロータの軸方向から見たときに、前記被固定部の外周面の少なくとも一部は、前記モータケースの外周面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のモータ。
【請求項11】
前記ロータの軸方向から見たときの前記モータケースの外周面の形状は、円形状となっており、
前記ロータの軸方向から見たときに、前記モータケースの外周面に沿って配置される前記被固定部の外周面の少なくとも一部の形状は、円弧状となっていることを特徴とする請求項10記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動用磁石を有するロータと、駆動用磁石の外周側に配置される駆動用コイルを有するステータとを備えるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送りねじ軸が形成される回転軸および駆動用磁石を有するロータと、駆動用磁石の外周側に配置される駆動用コイルを有するステータと、ステータの出力側端に固定されるフレームとを備えるモータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のモータでは、ステータは、駆動用コイルが収容されるモータケースと、駆動用コイルの端部が固定される4本の端子ピンを備えている。4本の端子ピンは、モータケースの外周側に向かって同じ方向に伸びており、モータケースの外部に配置されている。端子ピンの先端側には、給電用基板が半田付けされて固定されている。ステータには、給電用基板を保持する基板保持部材が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のモータでは、基板保持部材によって給電用基板が保持されているため、4本の端子ピンが伸びる方向への給電用基板の移動も規制されている。しかしながら、特許文献1に記載のモータでは、4本の端子ピンが伸びる方向への給電用基板の移動を規制するために、給電用基板を保持するための専用の部材である基板保持部材が必要になる。したがって、特許文献1に記載のモータでは、モータの部品点数が増えて、モータが大型化するとともに、モータのコストが高くなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、モータケースの外周側に向かって同じ方向に伸びる複数の端子ピンと、複数の端子ピンの先端側に固定される給電用基板とを備えるモータにおいて、複数の端子ピンが伸びる方向への給電用基板の移動を規制することが可能であっても、部品点数を削減することが可能なモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のモータは、駆動用磁石を有するロータと、駆動用磁石の外周側に配置される駆動用コイルを有するステータと、駆動用コイルが電気的に接続される平板状の給電用基板とを備え、ステータは、駆動用コイルが収容されるモータケースと、ロータを回転可能に支持する軸受を保持するとともにモータケースに固定される軸受保持プレートと、駆動用コイルの端部が電気的に接続されるとともに少なくとも先端部がモータケースの外部に配置される複数の端子ピンとを備え、複数の端子ピンは、モータケースの外周側に向かって同じ方向に伸びており、モータケースの外周側に向かって複数の端子ピンが伸びる方向を第1方向とすると、給電用基板は、モータケースの外部に配置されるとともに複数の端子ピンの先端側である複数の端子ピンの第1方向側に固定され、軸受保持プレートには、第1方向側から給電用基板に接触して第1方向側への給電用基板の移動を規制する規制部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のモータでは、モータケースの外周側に向かって複数の端子ピンが伸びる方向を第1方向とすると、ロータを回転可能に支持する軸受を保持する軸受保持プレートに、第1方向側から給電用基板に接触して第1方向側への給電用基板の移動を規制する規制部が形成されている。すなわち、本発明では、軸受を保持する軸受保持プレートを利用して、複数の端子ピンが伸びる方向である第1方向側への給電用基板の移動を規制している。そのため、本発明では、複数の端子ピンが伸びる方向への給電用基板の移動を規制するための専用の部材を設ける必要がなくなる。したがって、本発明では、複数の端子ピンが伸びる方向への給電用基板の移動を規制することが可能であっても、モータの部品点数を削減することが可能になる。
【0008】
本発明において、給電用基板には、平板状に形成される給電用基板の外周側に向かって突出する凸部が形成され、規制部は、第1方向側から凸部に接触していることが好ましい。このように構成すると、給電用基板の、配線パターンが形成された部分に規制部が接触するのを防止することが可能になる。
【0009】
本発明において、軸受保持プレートは、平板状に形成され、軸受保持プレートには、軸受保持プレートの厚さ方向で軸受保持プレートを貫通するとともに凸部が挿入される貫通穴が形成され、軸受保持プレートの、貫通穴の第1方向側に配置される部分が規制部となっていることが好ましい。このように構成すると、第1方向に直交する方向における規制部の両側が、軸受保持プレートの本体部分に繋がっているため、規制部の強度を確保することが可能になるとともに、第1方向に直交する方向において、給電用基板の移動を規制することが可能になる。
【0010】
本発明において、モータは、ロータが有する送りねじ軸に係合するとともに送りねじ軸が回転すると送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、送りねじ軸の軸方向における可動体の位置を検知するための検知器と、モータケースに固定されるフレームとを備え、送りねじ軸の軸方向であるロータの軸方向は、第1方向と直交しており、ロータの軸方向の一方側を出力側とし、ロータの軸方向の他方側を反出力側とすると、可動体は、モータケースよりも出力側に配置され、フレームは、送りねじの出力側の端部を回転可能に支持する出力側軸受を保持するとともにモータケースの出力側の端面に固定され、軸受保持プレートは、モータケースの反出力側の端面に固定され、検知器は、フレームに固定される検知器本体と、検知器本体から突出する第2端子ピンとを備え、第2端子ピンは、給電用基板に差し込まれて固定されていることが好ましい。
【0011】
このように構成すると、軸受保持プレートの規制部によって、反出力側において給電用基板の第1方向側への移動が規制されるのに加えて、モータケースの出力側の端面に固定されたフレームに固定される検知器によって、出力側において給電用基板の第1方向側への移動を規制することが可能になる。したがって、複数の端子ピンが伸びる方向への給電用基板の移動を効果的に規制することが可能になる。
【0012】
本発明において、ステータは、複数の端子ピンの基端部が固定される端子台を備え、端子台には、給電用基板の、第1方向側の面と反対側の面に接触可能な複数の支持ピンが形成されていることが好ましい。このように構成すると、端子台に形成される複数の支持ピンを利用して、第1方向側と反対側への給電用基板の移動を規制することが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、軸受保持プレートは、モータケースの、ロータの軸方向における一方側の端面に接触する接触部と、接触部から第1方向側に突出する突出部とを備え、ロータの軸方向から見たときに、接触部の外周面の少なくとも一部は、モータケースの外周面に沿って配置されており、規制部は、突出部に形成されている。この場合には、たとえば、ロータの軸方向から見たときのモータケースの外周面の形状は、円形状となっており、ロータの軸方向から見たときに、モータケースの外周面に沿って配置される接触部の外周面の少なくとも一部の形状は、円弧状となっている。この場合には、モータケースの外周面に沿って配置される接触部の外周面の一部をレーザ溶接によってモータケースに固定しやすくなる。
【0014】
本発明において、モータは、ロータが有する送りねじ軸に係合するとともに送りねじ軸が回転すると送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、可動体を送りねじ軸の軸方向に案内するガイド軸と、モータケースに固定されるフレームとを備え、送りねじ軸の軸方向であるロータの軸方向は、第1方向と直交しており、ロータの軸方向の一方側を出力側とし、ロータの軸方向の他方側を反出力側とすると、可動体は、モータケースよりも出力側に配置され、フレームは、送りねじの出力側の端部を回転可能に支持する出力側軸受を保持する平板状の軸受保持部と、モータケースの出力側の端面に固定される平板状の被固定部と、軸受保持部と被固定部とを繋ぐ平板状の接続部とを備え、軸受保持部は、接続部の出力側端から所定方向に向かって立ち上がり、被固定部は、接続部の反出力側端から軸受保持部と同じ方向に向かって立ち上がり、ガイド軸の反出力側の端部は、被固定部に圧入されて固定され、被固定部は、ロータの軸方向から見たときにモータケースの外周面よりもモータケースの外周側に突出する外周方向突出部を備えることが好ましい。
【0015】
このように構成すると、外周方向突出部の反出力側の面を所定の治具に突き当てた状態で、モータケースの出力側の端面に固定された状態の被固定部にガイド軸の反出力側の端部を出力側から圧入することが可能になる。したがって、モータケースの出力側の端面に固定された状態の被固定部にガイド軸の反出力側の端部を出力側から圧入する際の圧入力を外周方向突出部で受けることが可能になる。そのため、モータケースの出力側の端面に固定された状態の被固定部にガイド軸を圧入する場合であっても、モータケースの変形を防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、ロータの軸方向から見たときのモータケースの外周面の形状は、円形状となっており、ロータの軸方向から見たときの被固定部の形状は、正方形状または長方形状となっており、ロータの軸方向から見たときの被固定部の四隅部分が外周方向突出部となっていることが好ましい。このように構成すると、被固定部にガイド軸を圧入する際の圧入力を、被固定部の四隅に形成される外周方向突出部で受けることが可能になる。したがって、被固定部にガイド軸を圧入する際の圧入力を外周方向突出部で確実に受けることが可能になる。
【0017】
本発明において、モータは、たとえば、ロータが有する送りねじ軸に係合するとともに送りねじ軸が回転すると送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、モータケースに固定されるフレームとを備え、送りねじ軸の軸方向であるロータの軸方向は、第1方向と直交しており、ロータの軸方向の一方側を出力側とし、ロータの軸方向の他方側を反出力側とすると、可動体は、モータケースよりも出力側に配置され、フレームは、送りねじの出力側の端部を回転可能に支持する出力側軸受を保持する軸受保持部と、モータケースの出力側の端面に固定される被固定部と、軸受保持部と被固定部とを繋ぐ接続部とを備え、ロータの軸方向から見たときに、被固定部の外周面の少なくとも一部は、モータケースの外周面に沿って配置されている。
【0018】
この場合には、たとえば、ロータの軸方向から見たときのモータケースの外周面の形状は、円形状となっており、ロータの軸方向から見たときに、モータケースの外周面に沿って配置される被固定部の外周面の少なくとも一部の形状は、円弧状となっている。この場合には、モータケースの外周面に沿って配置される被固定部の外周面の一部をレーザ溶接によってモータケースに固定しやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明では、モータケースの外周側に向かって同じ方向に伸びる複数の端子ピンと、複数の端子ピンの先端側に固定される給電用基板とを備えるモータにおいて、複数の端子ピンが伸びる方向への給電用基板の移動を規制することが可能であっても、モータの部品点数を削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるモータの側面図である。
【
図4】
図1に示すモータの一部分を反対側から示す側面図である。
【
図6】
図1に示すステータ、フレーム、軸受および板バネを抜き出して示す背面図である。
【
図7】
図1のF-F方向からモータケースおよびフレームを示す図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態にかかる軸受保持プレートの構成を説明するための概略図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態にかかる軸受保持プレートおよび給電用基板の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(モータの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるモータ1の側面図である。
図2は、
図1に示すモータ1の一部分の斜視図である。
図3は、
図1に示すモータ1の一部分の平面図である。
図4は、
図1に示すモータ1の一部分を反対側から示す側面図である。
図5は、
図1のE-E断面の断面図である。
図6は、
図1に示すステータ6、フレーム14、軸受16および板バネ17を抜き出して示す背面図である。
図7は、
図1のF-F方向からモータケース21およびフレーム14を示す図である。
【0023】
本形態のモータ1は、ステッピングモータである。モータ1は、回転軸2および駆動用磁石3(
図5参照)を有するロータ4と、駆動用磁石3の外周側に配置される駆動用コイル5(
図5参照)を有するステータ6と、駆動用コイル5が電気的に接続される平板状の給電用基板7とを備えている。回転軸2の出力側部分は、ステータ6よりも出力側へ突出している。回転軸2の、ステータ6よりも突出している部分は、外周面に送りねじが形成された送りねじ軸(リードスクリュー)2aとなっている。すなわち、ロータ4は、送りねじ軸2aを備えている。モータ1は、送りねじ軸2aに係合する可動体8を備えている。可動体8は、送りねじ軸2aが回転すると送りねじ軸2aの軸方向に直線的に移動する。
【0024】
以下の説明では、送りねじ軸2aの軸方向であるロータ4の軸方向(すなわち、回転軸2の軸方向、
図1等のX方向)を前後方向とし、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、前後方向の他方側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。また、以下の説明では、説明の便宜上、前後方向に直交する
図1等のY方向を左右方向とし、前後方向と左右方向とに直交する
図1等のZ方向を上下方向とする。
【0025】
また、以下の説明では、左右方向の一方側であるY1方向側を「右」側とし、左右方向の他方側であるY2方向側を「左」側とし、上下方向の一方側であるZ1方向側を「上」側とし、上下方向の他方側であるZ2方向側を「下」側とする。本形態の前側(X1方向側)は、ロータ4の軸方向の一方側である出力側となっており、後ろ側(X2方向側)は、ロータ4の軸方向の他方側である反出力側となっている。
【0026】
モータ1は、可動体8を前後方向(すなわち、送りねじ軸2aの軸方向)に案内する2本のガイド軸11と、前後方向における可動体8の位置を検知するための検知器12とを備えている。また、モータ1は、ステータ6に固定されるフレーム14と、ロータ4を回転可能に支持する軸受15(
図1参照)および軸受16と、回転軸2の後端に接触して回転軸2を前側に付勢する板バネ17とを備えている。
【0027】
軸受15は、回転軸2の前端部(すなわち、送りねじ軸2aの出力側の端部)を回転可能に支持している。軸受16は、回転軸2の後端部を回転可能に支持している。本形態の軸受15は、出力側軸受である。
図5に示すように、駆動用磁石3は、厚肉の円筒状に形成されている。駆動用磁石3は、回転軸2の後端側部分に固定されており、送りねじ軸2aよりも後ろ側に配置されている。駆動用磁石3は、ステータ6の内部に配置されている。
【0028】
ステータ6は、駆動用磁石3の外周面に対向配置される複数の極歯が形成される外ステータコア18および内ステータコア19と、駆動用コイル5が巻回されるボビン20(
図5参照)と、軸受16を保持する軸受保持プレート22と、駆動用コイル5の端部が電気的に接続される複数の端子ピン23とを備えている。ステータ6は、前後方向において間隔をあけた状態で配置される2個の駆動用コイル5を有する2相構造となっており、2個の外ステータコア18と2個の内ステータコア19と2個のボビン20と4本の端子ピン23とを備えている。
【0029】
外ステータコア18は、複数の極歯の根本が繋がる平板状かつ略円環状の環状板部18aと、駆動用コイル5の外周面を覆う円筒状のケース部18bとを備えている。環状板部18aは、環状板部18aの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。外ステータコア18の極歯は、環状板部18aの内周端に繋がっている。ケース部18bは、環状板部18aの外周端に繋がっている。
【0030】
内ステータコア19は、複数の極歯の根本が繋がる平板状かつ略円環状の環状板部19aを備えている。環状板部19aは、環状板部19aの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。内ステータコア19の極歯は、環状板部19aの内周端に繋がっている。外ステータコア18の極歯と内ステータコア19の極歯とは、ロータ4の周方向において交互に配列されている。
【0031】
2個の環状板部19aは、前後方向において隣接配置されている。また、2個の環状板部19aは、前後方向において2個の駆動用コイル5の間に配置されている。2個の環状板部18aは、前後方向において2個の駆動用コイル5の外側に配置されており、駆動用コイル5は、前後方向において環状板部18aと環状板部19aとの間に配置されている。ボビン20は、前後方向において環状板部18aと環状板部19aとの間に配置されている。また、ボビン20は、ロータ4の径方向において駆動用コイル5と複数の極歯との間に配置されており、駆動用コイル5は、ボビン20を介して、複数の極歯の外周側に配置されている。
【0032】
前側に配置されるケース部18bの後端面と、後ろ側に配置されるケース部18bの前端面とは、互いに接触した状態で溶接されて固定されている。本形態では、2個の環状板部18aと2個のケース部18bとによって、駆動用コイル5が収容されるモータケース21が構成されている。すなわち、ステータ6は、駆動用コイル5が収容されるモータケース21を備えている。モータケース21は、全体として肉厚の円筒状に形成されている。前後方向から見たときのモータケース21の外周面の形状は、円形状となっている。モータケース21の前端面および後端面(すなわち、前側に配置される環状板部18aの前面および後ろ側に配置される環状板部18aの後面)は、前後方向に直交する環状の平面となっている。
【0033】
2個のボビン20には、4本の端子ピン23の基端部が固定される端子台20aが形成されている。すなわち、ステータ6は、4本の端子ピン23の基端部が固定される端子台20aを備えている。端子台20aは、モータケース21の外周面よりも外周側に突出している。具体的には、端子台20aは、モータケース21の外周面よりも左側に突出している。端子台20aは、ステータ6の前後方向の中心部に配置されている。モータケース21には、端子台20aの根本部分が配置される開口部21aが形成されている。
【0034】
4本の端子ピン23は、上下方向において千鳥配列されている。端子台20aに基端部が固定される4本の端子ピン23の少なくとも先端部は、モータケース21の外部に配置されている。本形態では、4本の端子ピン23の全体がモータケース21の外部に配置されている。端子ピン23は、直線状に形成されている。4本の端子ピン23は、モータケース21の外周側に向かって同じ方向に伸びている。具体的には、4本の端子ピン23は、左方向に向かって伸びている。すなわち、4本の端子ピン23は、端子台20aから左方向に向かって突出している。本形態の左方向(Y2方向)は、モータケース21の外周側に向かって4本の端子ピン23が伸びる方向である第1方向となっている。
【0035】
給電用基板7は、ガラスエポキシ基板等の平板状のリジッド基板である。給電用基板7は、長方形の平板状に形成されている。給電用基板7は、給電用基板7の厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。給電用基板7には、平板状に形成される給電用基板7の外周側に向かって突出する凸部7aが形成されている。凸部7aは、後ろ側に向かって突出している。凸部7aは、上下方向を長辺方向とする細長い長方形状に形成されている。凸部7aは、給電用基板7の上下方向の中心部に形成されている。給電用基板7からは、リード線24が引き出されている。本形態では、6本のリード線24が給電用基板7の下端部から右側に向かって引き出されている。なお、
図3、
図5では、リード線24の図示を省略している。
【0036】
給電用基板7は、4本の端子ピン23の先端側に固定されている。すなわち、給電用基板7は、4本の端子ピン23の左端側に固定されている。また、給電用基板7は、4本の端子ピン23の左端側に半田付けされて固定されている。給電用基板7には、端子ピン23が差し込まれる貫通穴が形成されている。この貫通穴は、前後方向における給電用基板7の中心部に形成されている。また、給電用基板7には、検知器12の一部を構成する後述の端子ピン31が差し込まれる貫通穴も形成されている。この貫通穴は、給電用基板7の前端部に形成されている。
【0037】
給電用基板7は、モータケース21の外部に配置されている。具体的には、給電用基板7は、モータケース21の左側に配置されている。また、給電用基板7は、端子台20aの左側に配置されている。端子台20aには、給電用基板7の右面に接触可能な複数の支持ピン20bが形成されている。複数の支持ピン20bは、端子台20aの左端部に形成されている。支持ピン20bは、円柱状に形成されており、左側に向かって突出している。支持ピン20bの左端面は、左右方向に直交する平面となっている。支持ピン20bの左端面と給電用基板7の右面との間にはわずかな隙間が形成されている。支持ピン20bは、端子台20aの前端部および後端部のそれぞれにおいて、上下方向に所定の間隔をあけた状態で複数形成されている。
【0038】
軸受保持プレート22は、平板状に形成されている。軸受保持プレート22は、軸受保持プレート22の厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。軸受保持プレート22は、モータケース21に固定されている。具体的には、軸受保持プレート22は、モータケース21の後端面に固定されている。軸受保持プレート22は、モータケース21の後端面に接触する接触部22aと、接触部22aから左側に突出する突出部22bとを備えている。
【0039】
本形態の軸受保持プレート22は、接触部22aと突出部22bとから構成されている。接触部22aは、略円板状に形成されている。突出部22bは、長方形の平板状に形成されている。突出部22bは、突出部22bの長辺方向と上下方向とが一致するように配置されている。突出部22bの上下方向の幅は、接触部22aの直径よりも狭くなっている。
【0040】
軸受保持プレート22には、前後方向で軸受保持プレート22を貫通する貫通穴22cが形成されている。貫通穴22cは、突出部22bに形成されている。具体的には、貫通穴22cは、突出部22bの左端部に形成されている。貫通穴22cは、上下方向を長辺方向とする長方形状の穴である。貫通穴22cには、給電用基板7の凸部7aが挿入されている。凸部7aの後端面は、軸受保持プレート22の後面よりも後ろ側に配置されている。すなわち、給電用基板7の後端面は、軸受保持プレート22の後面よりも後ろ側に配置されている。貫通穴22cの上下方向の幅は、凸部7aの上下方向の幅よりも広くなっている。貫通穴22cの左右方向の幅は、凸部7aの厚さ(左右方向の厚さ)とほぼ等しくなっている。
図4に示すように、凸部7aの前端は、軸受保持プレート22の前面よりも前側に配置されている。
【0041】
軸受保持プレート22の、貫通穴22cの左側に配置される部分は、左側から給電用基板7に接触して左側への給電用基板7の移動を規制する規制部22dとなっている。すなわち、軸受保持プレート22には、左側から給電用基板7に接触して左側への給電用基板7の移動を規制する規制部22dが形成されている。規制部22dは、左側から凸部7aに接触している。
【0042】
上述のように、前後方向から見たときのモータケース21の外周面の形状は、円形状となっている。また、接触部22aは、略円板状に形成されており、
図6に示すように、前後方向から見たときの接触部22aの外周面の形状は、円弧状となっている。接触部22aは、前後方向から見たときに、接触部22aの曲率中心とモータケース21の曲率中心とが一致するようにモータケース21の後端面に固定されている。前後方向から見たときに、接触部22aの曲率半径は、モータケース21の曲率半径よりも若干小さくなっている。
【0043】
そのため、前後方向から見たときに、接触部22aの外周面は、モータケース21の外周面に沿って配置されている。なお、本形態では、前後方向から見たときに、接触部22aの外周面の全体がモータケース21の外周面に沿って配置されているが、接触部22aの外周面の一部がモータケース21の外周面に沿って配置されていても良い。この場合には、前後方向から見たときに、モータケース21の外周面に沿って配置される接触部22aの外周面の一部の形状は、円弧状となっている。
【0044】
接触部22aは、レーザ溶接によってモータケース21の後端面に固定されている。具体的には、接触部22aの外周面がレーザ溶接によってモータケース21の後端面に固定されている。接触部22aの外周面は、たとえば、モータケース21の周方向における4箇所でレーザ溶接によってモータケース21の後端面に固定されており、モータケース21の周方向の全域ではレーザ溶接されていない。
【0045】
軸受16は、接触部22aの中心部に固定されている。具体的には、軸受16は、接触部22aの中心部にカシメ固定されている。接触部22aの中心部には、軸受16の一部が配置される貫通穴が形成されている。軸受16は、駆動用磁石3よりも後ろ側に配置されている。軸受16は、回転軸2の径方向で回転軸2を支持している。
図5に示すように、駆動用磁石3の後端面と軸受16の前端面との間には、平板状かつ円環状に形成される受け板25が配置されている。板バネ17は、軸受保持プレート22の後面に固定されている。板バネ17は、軸受保持プレート22に固定される被固定部17aと、回転軸2の後端に接触して回転軸2を前側に付勢するバネ部17bとを備えている。なお、
図5では、バネ部17bの図示を省略している。
【0046】
フレーム14は、軸受15を保持している。また、フレーム14は、モータケース21に固定されている。具体的には、フレーム14は、モータケース21の前端面に固定されている。フレーム14は、金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。フレーム14は、軸受15を保持する平板状の軸受保持部14aと、モータケース21の前端面に固定される平板状の被固定部14bと、軸受保持部14aと被固定部14bとを繋ぐ平板状の接続部14cと、検知器12が固定される平板状の検知器固定部14dとを備えている。
【0047】
接続部14cは、接続部14cの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。接続部14cは、フレーム14の下側部分を構成している。軸受保持部14aは、接続部14cの前端から上方向に向かって立ち上がっている。被固定部14bは、接続部14cの後端から上方向に向かって立ち上がっている。すなわち、被固定部14bは、接続部14cの後端から軸受保持部14aと同じ方向に向かって立ち上がっている。検知器固定部14dは、接続部14cの左端の後端側部分から上方向に向かって立ち上がっている。検知器固定部14dは、給電用基板7よりも左側に配置されている。
【0048】
軸受保持部14aは、軸受保持部14aの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。被固定部14bは、被固定部14bの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。検知器固定部14dは、検知器固定部14dの厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。軸受15は、軸受保持部14aに保持されている。軸受15は、回転軸2の軸方向(前後方向)および回転軸2の径方向で回転軸2を支持している。被固定部14bには、回転軸2が挿通される貫通穴14gが形成されている。検知器固定部14dには、検知器12の一部を構成する後述の検知器本体30が固定されている。
【0049】
前後方向から見たときの被固定部14bの形状は、正方形状となっている。前後方向から見たときに、正方形状に形成される被固定部14bの互いに平行な2辺は、上下方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。
図7に示すように、上下方向と平行な2辺の、上下方向の中心部には、円弧状に形成される円弧部14eが形成されている。すなわち、被固定部14bの外周面の一部は、円弧部14eとなっている。また、被固定部14bの外周面の2箇所が円弧部14eとなっている。円弧部14eは、前後方向から見たときに、被固定部14bの中心を曲率中心とする円弧状に形成されている。被固定部14bは、前後方向から見たときに、被固定部14bの中心とモータケース21の中心とが一致するように、モータケース21の前端面に固定されている。
【0050】
図6に示すように、前後方向から見たときに、被固定部14bの1辺の長さは、円形状に形成されるモータケース21の外周面の外径と等しくなっている。前後方向から見たときに、被固定部14bの四隅部分は、モータケース21の外周面よりもモータケース21の外周側に突出している。本形態では、前後方向から見たときの被固定部14bの四隅部分は、外周方向突出部14fとなっている。すなわち、被固定部14bは、前後方向から見たときにモータケース21の外周面よりもモータケース21の外周側に突出する外周方向突出部14fを備えている。
【0051】
また、前後方向から見たときに、円弧部14eの曲率半径は、モータケース21の曲率半径よりも若干小さくなっている。そのため、前後方向から見たときに、被固定部14bの外周面の一部である円弧部14eは、モータケース21の外周面に沿って配置されている。また、前後方向から見たときに、モータケース21の外周面に沿って配置される被固定部14bの外周面の一部(すなわち、円弧部14e)は、円弧状となっている。
【0052】
被固定部14bは、レーザ溶接によってモータケース21の前端面に固定されている。具体的には、円弧部14eがレーザ溶接によってモータケース21の前端面に固定されている。2個の円弧部14eのそれぞれは、たとえば、モータケース21の周方向における2箇所でレーザ溶接によってモータケース21の前端面に固定されており、モータケース21の周方向の全域ではレーザ溶接されていない。
【0053】
2本のガイド軸11は、フレーム14に固定されている。ガイド軸11の後端部は、被固定部14bに圧入されて固定されている。ガイド軸11は、ガイド軸11の後端部が被固定部14bに圧入されて固定されることでフレーム14に固定されている。被固定部14bには、ガイド軸11の後端部が圧入されて固定される貫通穴14h(
図7参照)が形成されている。軸受保持部14aには、ガイド軸11の前端部が挿入されて配置される貫通穴が形成されている。フレーム14にガイド軸11を固定するときには、軸受保持部14aの前側から後ろ側に向かってガイド軸11を移動させて、ガイド軸11の後端部を被固定部14bに圧入する。
【0054】
可動体8は、モータケース21よりも前側に配置されている。また、可動体8は、前後方向において軸受保持部14aと被固定部14bとの間に配置されている。可動体8は、送りねじ軸2aに係合するねじ穴が形成されるナット部材27(
図1参照)と、ナット部材27を保持するスライダ28とを備えている。スライダ28は、ナット部材27と一緒に前後方向に直線的に移動する。スライダ28には、ガイド軸11が挿通されるガイド穴が形成されている。スライダ28は、検知器12に検知される被検知部28aを備えている。被検知部28aは、スライダ28の左端部を構成している。被検知部28aは、長方形の平板状に形成されている。被検知部28aは、被検知部28aの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。
【0055】
検知器12は、接触式スイッチである。検知器12は、フレーム14の検知器固定部14dに固定される検知器本体30と、検知器本体30から突出する端子ピン31とを備えている。本形態の検知器12は、2本の端子ピン31を備えている。検知器本体30は、検知器固定部14dの左側に配置されている。検知器本体30は、検知器固定部14dに圧入されて固定されている。
図3に示すように、検知器本体30の右面には、検知器固定部14dの固定穴に圧入される圧入用の突起30aが形成されている。
【0056】
検知器本体30は、スライダ28の被検知部28aよりも後ろ側に配置されており、後ろ側において可動体8の原点位置を検知する。検知器本体30は、前後方向に移動可能な接点部32を備えている。接点部32は、前側に向かって突出しており、前側に向かって付勢されている。被検知部28aが接点部32に接触して接点部32が所定の位置まで後ろ側に移動すると、可動体8が原点位置にあることが検知される。
【0057】
2本の端子ピン31は、上下方向で重なるように配置されている。端子ピン31は、検知器本体30から後ろ側に向かって伸びた後、右側に向かって伸びるL形状に形成されている。端子ピン31は、給電用基板7に差し込まれて固定されている。具体的には、端子ピン31は、左側から給電用基板7に差し込まれて固定されており、端子ピン31の右端側が給電用基板7に固定されている。また、端子ピン31の右端側が給電用基板7に半田付けされて固定されている。検知器12は、給電用基板7に電気的に接続されている。本形態の端子ピン31は、第2端子ピンである。
【0058】
モータ1を組み立てるときには、ロータ4およびステータ6を組み立てて、ステータ6の内周側に駆動用磁石3を配置するとともに、モータケース21にフレーム14を固定して、回転軸2の両端を軸受15、軸受16に支持させる。その後、送りねじ軸2aに係合するナット部材27にスライダ28を組み込む。その後、ガイド軸11をフレーム14に固定する。ガイド軸11をフレーム14に固定するときには、外周方向突出部14fの後面を所定の治具に突き当てた状態で、ガイド軸11の後端部を被固定部14bに前側から圧入する。
【0059】
その後、リード線24が取り付けられた状態の給電用基板7の凸部7aを軸受保持プレート22の貫通穴22cに挿入するとともに、端子ピン23の左端側を給電用基板7の貫通穴に差し込む。また、検知器本体30を検知器固定部14dに圧入して固定するとともに、端子ピン31の右端側を給電用基板7の貫通穴に差し込む。その状態で、端子ピン23、31を給電用基板7に半田付けして固定する。
【0060】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、軸受16を保持する軸受保持プレート22に、左側から給電用基板7に接触して左側への給電用基板7の移動を規制する規制部22dが形成されている。すなわち、本形態では、軸受16を保持する軸受保持プレート22を利用して、4本の端子ピン23が伸びる方向である左側への給電用基板7の移動を規制している。そのため、本形態では、4本の端子ピン23が伸びる方向への給電用基板7の移動を規制するための専用の部材を設ける必要がない。したがって、本形態では、4本の端子ピン23が伸びる方向への給電用基板7の移動を規制することが可能であっても、モータ1の部品点数を削減することが可能になる。
【0061】
本形態では、規制部22dは、給電用基板7の外周側に向かって突出する給電用基板7の凸部7aに接触している。そのため、本形態では、給電用基板7の、配線パターンが形成された部分に規制部22dが接触するのを防止することが可能になる。また、本形態では、軸受保持プレート22の、貫通穴22cの左側に配置される部分が規制部22dとなっており、上下方向における規制部22dの両側が突出部22bの右側部分に繋がっている。そのため、本形態では、規制部22dの強度を確保することが可能になる。
【0062】
本形態では、軸受保持プレート22は、モータケース21の後端面に固定されている。また、本形態では、モータケース21の前端面に固定されたフレーム14に検知器本体30が固定され、検知器本体30から突出する端子ピン31が左側から給電用基板7に差し込まれて固定されている。そのため、本形態では、軸受保持プレート22の規制部22dによって、給電用基板7の後端側において給電用基板7の左側への移動が規制されるのに加えて、検知器12によって、給電用基板7の前端側において給電用基板7の左側への移動を規制することが可能になる。したがって、本形態では、4本の端子ピン23が伸びる方向への給電用基板7の移動を効果的に規制することが可能になる。
【0063】
本形態では、端子台20aに、給電用基板7の右面に接触可能な複数の支持ピン20bが形成されている。そのため、本形態では、端子台20aに形成される複数の支持ピン20bを利用して、右側への給電用基板7の移動を規制することが可能になる。
【0064】
本形態では、前後方向から見たときのモータケース21の外周面の形状は、円形状となっている。また、本形態では、前後方向から見たときに、モータケース21の外周面に沿って配置される接触部22aの外周面の形状は、円弧状となっている。そのため、本形態では、モータケース21の外周面に沿って配置される接触部22aの外周面の一部をレーザ溶接によってモータケース21に固定しやすくなる。
【0065】
本形態では、前後方向から見たときのモータケース21の外周面の形状は、円形状となっている。また、本形態では、前後方向から見たときに、モータケース21の外周面に沿って配置される被固定部14bの外周面の一部である円弧部14eは、円弧状となっている。そのため、本形態では、モータケース21の外周面に沿って配置される被固定部14bの一部をレーザ溶接によってモータケース21に固定しやすくなる。
【0066】
本形態では、前後方向から見たときの被固定部14bの四隅部分は、外周方向突出部14fとなっている。また、本形態では、ガイド軸11をフレーム14に固定するときに、外周方向突出部14fの後面を所定の治具に突き当てた状態で、ガイド軸11の後端部を被固定部14bに前側から圧入している。そのため、本形態では、モータケース21の前端面に固定された状態の被固定部14bにガイド軸11の後端部を前側から圧入する際の圧入力を外周方向突出部14fで受けることが可能になる。
【0067】
特に本形態では、前後方向から見たときの被固定部14bの四隅部分が外周方向突出部14fとなっているため、被固定部14bにガイド軸11を圧入する際の圧入力を、被固定部14bの四隅に形成される4個の外周方向突出部14fで受けることが可能になる。したがって、本形態では、モータケース21の前端面に固定された状態の被固定部14bにガイド軸11の後端部を前側から圧入する際の圧入力を外周方向突出部14fで確実に受けることが可能になる。その結果、本形態では、モータケース21の前端面に固定された状態の被固定部14bにガイド軸11を圧入する場合であっても、モータケース21の変形を防止することが可能になる。
【0068】
(軸受保持プレートの変更例)
図8は、本発明の他の実施の形態にかかる軸受保持プレート22の構成を説明するための概略図である。
【0069】
上述した形態において、貫通穴22cに代えて、たとえば、
図8に示すように、突出部22bの下端面から上側に向かって切り欠かれた凹部22fが軸受保持プレート22に形成されていても良い。この場合には、凹部22fに給電用基板7の凸部7aが挿入されている。また、軸受保持プレート22の、凹部22fの左側に配置される部分が、左側から給電用基板7に接触して左側への給電用基板7の移動を規制する規制部22dとなっている。
【0070】
(軸受保持プレートおよび給電用基板の変更例)
図9は、本発明の他の実施の形態にかかる軸受保持プレート22および給電用基板9の構成を説明するための概略図である。
【0071】
上述した形態において、軸受保持プレート22に貫通穴22cが形成されていなくても良い。この場合には、たとえば、
図9(A)に示すように、突出部22bの左端から前側に向かって伸びる規制部22dが軸受保持プレート22に形成されており、この規制部22dが、左側から給電用基板7に接触して左側への給電用基板7の移動を規制している。この場合には、給電用基板7の後端面は、軸受保持プレート22の前面よりも前側に配置されている。また、この場合には、給電用基板7に、凸部7aが形成されていても良いし、凸部7aが形成されていなくても良い。
【0072】
また、突出部22bの左端から前側に向かって伸びる規制部22dが軸受保持プレート22に形成されている場合には、
図9(B)に示すように、規制部22dの前端から右側に向かって伸びる基板係合部22gが軸受保持プレート22に形成されていても良い。この場合には、基板係合部22gが差し込まれる貫通穴7bが給電用基板7に形成されている。また、突出部22bの左端から前側に向かって伸びる規制部22dが軸受保持プレート22に形成されている場合には、
図9(C)に示すように、突出部22bの左端部が配置される貫通穴7cが給電用基板7に形成されていても良い。この場合には、給電用基板7の後端面は、軸受保持プレート22の後面よりも後ろ側に配置されている。
【0073】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0074】
上述した形態において、貫通穴22cの上下方向の幅が凸部7aの上下方向の幅とほぼ等しくなっていて、軸受保持プレート22によって、給電用基板7の上下方向への移動が規制されていても良い。また、上述した形態において、凸部7aの前端と軸受保持プレート22の前面とが前後方向においてほぼ同じ位置に配置されていて、軸受保持プレート22によって、給電用基板7の後ろ方向への移動が規制されていても良い。
【0075】
上述した形態において、端子ピン31が右側から給電用基板7に差し込まれて端子ピン31の左端側が給電用基板7に固定されるように、給電用基板7および検知器12が配置されていても良い。また、上述した形態において、モータ1は、検知器12を備えていなくても良い。この場合には、給電用基板7の前端側において給電用基板7の左側への移動を規制する規制部がフレーム14に形成されていても良い。また、上述した形態において、前後方向から見たときの被固定部14bの形状は、長方形状となっていても良い。この場合であっても、前後方向から見たときの被固定部14bの四隅部分は、前後方向から見たときにモータケース21の外周面よりもモータケース21の外周側に突出する外周方向突出部14fとなっている。
【0076】
上述した形態では、回転軸2の一部が送りねじ軸2aとなっているが、回転軸2と別体で形成された送りねじ軸2aが回転軸2に固定されていても良い。また、上述した形態において、回転軸2に送りねじ軸2aが形成されていなくても良い。この場合には、モータ1は、可動体8およびガイド軸11を備えていない。また、この場合には、モータ1は、フレーム14を備えていなくても良い。さらに、上述した形態において、モータ1は、ステッピングモータ以外のモータであっても良い。
【符号の説明】
【0077】
1 モータ
2a 送りねじ軸
3 駆動用磁石
4 ロータ
5 駆動用コイル
6 ステータ
7 給電用基板
7a 凸部
8 可動体
11 ガイド軸
12 検知器
14 フレーム
14a 軸受保持部
14b 被固定部
14c 接続部
14f 外周方向突出部
15 軸受(出力側軸受)
16 軸受
20a 端子台
20b 支持ピン
21 モータケース
22 軸受保持プレート
22a 接触部
22b 突出部
22c 貫通穴
22d 規制部
23 端子ピン
30 検知器本体
31 端子ピン(第2端子ピン)
X 送りねじ軸の軸方向、ロータの軸方向、軸受保持プレートの厚さ方向
X1 出力側
X2 反出力側
Y2 第1方向