(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074058
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】歩行車
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186803
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000138244
【氏名又は名称】株式会社モルテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 博
(72)【発明者】
【氏名】梶原 隆司
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046AA42
4C046AA48
4C046BB07
4C046CC01
4C046CC04
4C046DD02
4C046DD27
4C046DD33
4C046DD45
4C046DD46
4C046FF02
(57)【要約】
【課題】電池部、制御ユニット部を有する歩行車であっても、横方向に折り畳み可能にするとともに、足を振り出す場合に十分なスペースを確保することができる電動アシスト歩行車を提供する。
【解決手段】一対の側基部4,4の間に設けられて左右方向に車体を折り畳み可能にするクロス杆30,30と、クロス杆30,30の一対の上側杆間に設けられた座面部35と、を備えた歩行車1である。座面部35の下側には、少なくとも電池部40を保持するための2つの保持部5,5を備え、2つの保持部5,5は左右方向に連設されており、2つの保持部5,5は、クロス杆30,30の展開状態と折り畳み状態とに対応して移動できるように、保持部5,5の間に2つ折り自在の折曲部23を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側体部の間に設けられて左右方向に車体を折り畳み可能にするクロス機構と、
前記クロス機構の一対の上側杆間に設けられた座面部と、を備えた歩行車であって、
前記座面部下側に設けられ、少なくとも電池部を保持するための2つの保持部を備え、
前記2つの保持部は左右方向に連設されており、
前記2つの保持部は、前記クロス機構の展開状態と折り畳み状態とに対応して移動できるように、前記保持部の間に2つ折り自在の折曲部を備えている、ことを特徴とする歩行車。
【請求項2】
前体部と後体部の間に設けられて前後方向に車体を折り畳み可能にするクロス機構と、
前記クロス機構の一対の上側杆間に設けられた座面部と、を備えた歩行車であって、
前記座面部下側に設けられ、少なくとも電池部を保持するための2つの保持部を備え、
前記2つの保持部は前後方向に連設されており、
前記2つの保持部は、前記クロス機構の展開状態と折り畳み状態とに対応して移動できるように、前記保持部の間に2つ折り自在の折曲部を備えている、ことを特徴とする歩行車。
【請求項3】
前記クロス機構よりも前方側に前記2つの保持部を設けた、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行車。
【請求項4】
前記クロス機構よりも後方側に前記2つの保持部を設けた、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行車。
【請求項5】
前記2つの保持部を2つの収納部を有する収納袋で構成した、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の歩行車。
【請求項6】
一方の前記保持部に前記電池部を保持させ、他方の前記保持部に前記歩行車の制御ユニット部を保持させた、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の歩行車。
【請求項7】
右側の前記保持部の右上端は、右側の前記上側杆寄りに配置され、
左側の前記保持部の左上端は、左側の前記上側杆寄りに配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行車。
【請求項8】
前記歩行車が電動アシスト歩行車であり、
前記電池部によってアシスト用モータを駆動させる、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の歩行車。
【請求項9】
前記収納袋の上面が前記座面部の上面となる、ことを特徴とする請求項5に記載の歩行車。
【請求項10】
前記収納部から前記電池部が着脱自在に構成してある、ことを特徴とする請求項5に記載の歩行車。
【請求項11】
前記2つの保持部は前記クロス機構から着脱自在に構成してある、ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の歩行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が座る座面部を有した歩行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、高齢者などの足腰が弱い人の歩行を補助するための歩行車が知られている。
このような歩行車は、前輪、後輪で規定される前後方向の内側範囲に利用者が持つグリップハンドルが立設された構成になっている。これは利用者の歩行の安定性を確保するため、内側範囲において足を振り出すスペースが必要になるからである。
【0003】
一方、電動モータによって歩行をアシストする機能を備えた電動アシスト歩行車では、電源となる電池部と制御ユニット部が必要となり、それらの電池部と制御ユニット部は、多くの場合、車体のフレームの内側に取り付けられる。
また、歩行車の前方側位置にバッグを設け、このバック内に電池部や制御ユニット部を収めた構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車体のフレームの内側に、電池部や制御ユニット部が取り付けられた構成であると、前記内側範囲に足を振り出す十分なスペースがなくなり、歩きずらくなる。
また、そのような状態であると、使用者は、自然と歩行車から離れて歩く状態になり、利用者が前かがみになって安定した歩行と視界を確保する上で好ましくない。
一方、歩行車の前方側位置にバッグを設ける構成では、小物入れなどのバックを取り付けるスペースがなくなり、利便性が悪くなる。
【0006】
さらに、横方向に折り畳み機能を備えた電動アシスト歩行車を考えた場合、折り畳むときは、バックを取り外すことが必要である。この場合、電池部及び制御ユニット部とモータの間には配線等があるので、バックの取り外しが煩雑であるという課題があった。
このように、本体フレームの内側に電池部及び制御ユニット部を備えた電動アシスト歩行車の場合、内側範囲に足を振り出すスペースを確保することが難しいという課題があった。
【0007】
また、本体フレームの内側に電池部及び制御ユニット部を備えた電動アシスト歩行車の場合、内側範囲に足を振り出すスペースを確保しつつ、歩行車を折り畳める構成を考えることはさらに難しい技術課題であった。
【0008】
本発明は、上記各課題を解決するためになされたものである。
本発明の目的は、足を振り出すスペースを確保することができるとともに折り畳み自在な、電池を備えた歩行車を提供することである。
本発明の他の目的は、電池部又は制御ユニット部を有する歩行車であっても、折り畳み可能にするとともに、足を振り出すスペースを確保することができる電動アシスト歩行車を提供することである。
本発明の他の目的は、折り畳み可能な歩行車において、従来、見逃されてきたデッドスペースを有効活用できる歩行車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様に係る歩行車は、
一対の側体部の間に設けられて左右方向に車体を折り畳み可能にするクロス機構と、
前記クロス機構の一対の上側杆間に設けられた座面部と、を備えた歩行車であって、
前記座面部下側に設けられ、少なくとも電池部を保持するための2つの保持部を備え、
前記2つの保持部は左右方向に連設されており、
前記2つの保持部は、前記クロス機構の展開状態と折り畳み状態とに対応して移動できるように、前記保持部の間に2つ折り自在の折曲部を備えている、ことを特徴とする。
本発明の第2態様に係る歩行車は、
前体部と後体部の間に設けられて前後方向に車体を折り畳み可能にするクロス機構と、
前記クロス機構の一対の上側杆間に設けられた座面部と、を備えた歩行車であって、
前記座面部下側に設けられ、少なくとも電池部を保持するための2つの保持部を備え、
前記2つの保持部は前後方向に連設されており、
前記2つの保持部は、前記クロス機構の展開状態と折り畳み状態とに対応して移動できるように、前記保持部の間に2つ折り自在の折曲部を備えている、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第3態様は、前記第1態様に記載の歩行車であって、前記クロス機構よりも前方側に前記2つの保持部を設けた、ことを特徴とする。
本発明の第4態様は、前記第1態様に記載の歩行車であって、前記クロス機構よりも後方側に前記2つの保持部を設けた、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第5態様は、前記第1態様又は前記第2態様に記載の歩行車であって、前記2つの保持部を2つの収納部を有する収納袋で構成した、ことを特徴とする。
本発明の第6態様は、前記第1態様から前記第5態様のいずれかに記載の歩行車であって、一方の前記保持部に前記電池部を保持させ、他方の前記保持部に前記歩行車の制御ユニット部を保持させた、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第7態様は、前記第1態様に記載の歩行車であって、
右側の前記保持部の右上端は、右側の前記上側杆寄りに配置され、
左側の前記保持部の左上端は、左側の前記上側杆寄りに配置される、ことを特徴とする。
本発明の第8態様は、前記第1態様から前記第7態様のいずれかに記載の歩行車であって、
前記歩行車が電動アシスト歩行車であり、
前記電池部によってアシスト用モータを駆動させる、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第9態様は、前記第5態様に記載の歩行車であって、前記収納袋の上面が前記座面部の上面となる、ことを特徴とする。
本発明の第10態様は、前記第5態様に記載の歩行車であって、前記収納部から前記電池部が着脱自在に構成してある、ことを特徴とする。
本発明の第11態様は、前記第1態様から前記第10態様のいずれかに記載の歩行車であって、前記2つの保持部は前記クロス機構から着脱自在に構成してある、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明であれば、足を振り出すスペースを確保することができるとともに、折り畳み自在な、電池を備えた歩行車を提供することができた。
また、電池部又は制御ユニット部を有する歩行車であっても、折り畳み可能にするとともに、足を振り出すスペースを確保することができる電動アシスト歩行車を提供することができた。
さらに、折り畳み可能な歩行車において、従来、見逃されてきたデッドスペースを有効活用できる歩行車を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る電動アシスト歩行車の使用状態を前方斜め横側から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示す歩行車において、内部構成を見やすいように収納袋を想像線で描いた斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る電動アシスト歩行車において、収納袋の前蓋部を開いた状態を示す前方斜めから見た斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る電動アシスト歩行車において、横方向にリンク機構を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態において、クロス杆、保持部、収納袋の配置関係を示す模式的な拡大正面図である。
【
図6】第1実施形態に係る電動アシスト歩行車において、各部材の平面的な配置の一例を示す模式図である。
【
図7】第2実施形態に係る歩行車の模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る一実施形態である電動アシスト歩行車について詳細に説明する。
図1は歩行車1の外観を模式的に示す斜視図である。なお、本明細書及び図面の説明において、車体の幅方向を左右方向X(横方向)とする。また、歩行車を利用する場合の進行方向を前方向、その進行方向と反対方向を後方向とし、これらは前後方向Yとなる。高さ方向Zは上下方向とも称する。
【0017】
[第1実施形態]
図1~
図6に示すように、第1実施形態に係る歩行車1は、一対の側体部2,2をクロス機構3によって左右方向に折り畳み自在に連結した構成を備えている。
<車体の構成>
図1に示すように、この実施形態の構成では、前記側体部2,2を側基部4,4で構成したものが示してある。その側基部4,4は、前輪6と後輪7を備えた側方フレーム部8,8と、側方フレーム部8,8から上方に向けて立設された側柱部9,9と、側柱部9,9の先端側を後方側へ折り曲げたように形成される把持部10,10とを有している。
側方フレーム部8,8は側柱部9,9から連結部12,12を介して後方斜め下方に下がるように延出された後脚フレーム部13,13と、連結部12,12から前方に向かって斜め下方に延出された前脚フレーム部14,14とを有している。
【0018】
前脚フレーム部14,14の先端部に前輪6が取り付けられ、後脚フレーム部13,13の先端部に後輪7が取り付けられる。
【0019】
側柱部9,9、連結部12,12、後脚フレーム部13,13、前脚フレーム部14,14を含んで構成される側基部4,4は、通常、一体成形で構成される。但し、その他にも、各構成フレーム材をボルト等の連結具で連結すること、又は溶接することなどによって構成してもよい。
【0020】
把持部10,10には摩擦抵抗の大きいゴム等で覆われたグリップ部18,18が設けられ、そのグリップ部18,18の下側にはブレーキレバー19,19が設けられている。
一対の側柱部9,9の上部には背もたれ部20を固定するブラケット21,21が設けられている。背もたれ部20は平面視において円弧状に曲がった曲面20aを備えており、ブラケット21,21回りに回動させることによって、背もたれ部20を側柱部9,9から見て、前方側位置と後方側位置の2つの位置をとり得るように構成してある。
図1~
図4に示す場合は、背もたれ部20が前方側位置にある状態が示してある。
通常、利用者が座面部35に座る場合は、背もたれ部20を側柱部9,9から見て後方側に位置させ、歩行車1を固定状態にした後、歩行車1前方側から座面部35に座ることになる。
【0021】
<クロス機構3>
クロス機構3は少なくともクロス杆30を含んで構成されることが多い。但し、クロス機構3はクロス杆30だけで構成される場合も含む。
本実施形態の構成ではクロス杆30,30を一対の側基部4,4間に架け渡すように設けている。
【0022】
具体的には、
図5に示すように、クロス杆30は、2本の傾斜フレーム部31,31をその中間域でピン軸32などの部材で回動自在に連結して構成される。本歩行車1では、そのクロス杆30を前後方向に2組(複数組)配置した構成にしてある。
傾斜フレーム部31,31の下端は、側基部4,4の内面側に設けられた軸支部33,33によって回動自在に軸支されている。
傾斜フレーム部31,31の上端には前後方向に延びる一対の上側杆34,34がそれぞれ固定されている。
【0023】
また、左右方向に平行に配置された一対の上側杆34,34間には利用者が座る座面部35が折り畳み自在な形態で架け渡されている。座面部35は通常、クロス杆30,30の折り畳みに対応して変形できる座布などの部材で構成される。本実施形態では、座面部35は後述する収納袋39の上面39aで兼用されている。
【0024】
また、利用者が座面部35に座った状態において、利用者の重量を支える各種の支え構成を備えている。そのような構成の一例として上側杆34,34を支える上側杆受体が例示できる。
【0025】
<保持部5>
図1~
図6に示すように、この歩行車1では、少なくとも電池を保持するための2つの保持部5,5が設けられている。2つの保持部5,5は、歩行車1の左右方向に連設されており、2つの保持部5,5は座面部35の下側位置に設けてある。2つの保持部5,5を座面部35の下側位置に設けることで、雨等で濡れることを防止することができる。
さらに、2つの保持部5,5を座面部35の下側位置に設けることで、低重心を維持でき、移動用機器として安定性を確保できる。
また、
図6に示すように、2つの保持部5,5はクロス杆30,30の傾斜フレーム部31,31位置よりも前方側の位置に取り付けられているのでクロス杆30,30の折り畳みに伴う、保持部5,5との干渉を防止できる。また、この構成であると、クロス杆30,30の後方には電池部40が入った収容ケース等はないことになるので、足を振り出すスペースを上方側及び前後方向に大きくできる。
逆に、2つの保持部5,5をクロス杆30,30の傾斜フレーム部31,31位置よりも後方側の位置に取り付ける構成も採用できる。この構成であると、クロス杆30,30の前方には収容ケース等はないことになる。
【0026】
図5に示すように、2つの保持部5,5の間には、各保持部5を2つ折り可能に連結する折曲部23を有している。折曲部23において2つの保持部5,5が2つ折りされることによって、クロス杆30,30の展開状態(
図3参照)と折り畳み状態(
図4参照)とに対応して、各保持部5,5が展開状態にある保持部5の位置から折り畳み状態にある保持部5の位置へ円滑に移動できることになる。
【0027】
本実施形態では、2つの保持部5,5を2つの収納部38,38を有する収納袋39で構成した例が示してある。その2つの収納部38,38の一方に電池部40を収容し、他方に歩行車1の制御ユニット部41を収納する構成である。制御ユニット部41としては、利用者が歩行をアシストしたい場合に、図示しない操作部からの信号を受けて、アシストモータ(図示せず)の動作を開始する制御回路が例示できる。但し、その他、制御ユニット部41には、歩行車1に搭載される各種機能用の制御回路を含めることができる。
【0028】
図5に示すように、収納袋39は、一対の上側杆34の間の座面領域を覆うような上面39aと、上側杆34周辺を覆う側面39bと、2つの収納部38を含んで座面領域を下から覆う下面39cを備えている。収納袋39の後面は閉じられ、前面は電池部40、制御ユニット部41を出し入れする入替え開口部42としている。入替え開口部42の前には収納袋39の前蓋部46(
図2,
図3参照)が設けられている。
なお、この実施形態では、前方から電池部40等を出し入れできるように構成されているが、その出し入れする方向は前方だけでなく他の方向、例えば、側方でも可能である。
なお、
図1に示す取手25を収容袋39の上面39aに設けてある。この構成であれば、収納時にこの取手25をもって引き上げると片手動作で折り畳みを行うことができ、便利である。
【0029】
2つの収納部38,38の構成は、収納袋39内にさらに小さい2つの袋部を設ける構成や、合成樹脂、金属等で形成された略直方体形の2つの収納ケースを収納袋39に固着することなどによっても構成できる。
保持部5を収納袋39で構成することで、袋材によって上下振動の吸収低減を行なえるので、電池部40及び制御ユニット部41が壊れにくくなる利点がある。
また、保持部5を収納袋39で構成することで、2つの収納部38,38間の袋素材の曲げ、変形等によって折曲部23を構成でき、構造を簡単化できる。
さらに、多くの種類の歩行車1がある場合でも、その車種に対応した袋形状を作るだけで保持体5を構成できるので、保持部5を安価に製造できる利点もある。
【0030】
収納袋39をクロス杆30,30に取り付ける場合は、
図5に示すように、上下方向配置において、右側の収納部38の右上端は右側の上側杆34寄りに配置され、左側の収納部38の左上端は、左側の上側杆34寄りに配置される。収納袋39の折曲部23は傾斜フレーム部31,31の上側でピン軸32寄り位置に配置されているので、傾斜フレーム部31,31の傾きの変化に対して、追従性よく移動することができる。
【0031】
また、
図5に示すように、左側の収納部38と左側の上側杆34の間及び右側の収納部38と右側の上側杆34の間には、左右方向の余裕幅43,43を持たせた構成にしてあることが好ましい。また、一対の傾斜フレーム部31,31と収納部38,38の間にも上下方向の余裕幅44,44を設けることが好ましい。このように、左右方向、上下方向に余裕幅43,44を設けることで、収納部38,38の上下の動き、左右の動きをある程度、許容して、円滑な折り畳み動作を実現できる。
なお、収納袋39はクロス杆30,30及び上側杆34から着脱自在の構成とすることもできる。
着脱自在にする構成としては、収納袋39にボルト,ナット等の着脱構成を設けること、又は収納袋39に面ファスナーを設ける構成などが例示できる。
【0032】
本実施形態では、歩行車1の前方向に電池部40や制御ユニット部41を収容するバックを設ける必要がないので、必要に応じて大きなバックを歩行車1の前方に設けることが可能になる。
また、
図6において示すように、前輪6、後輪7の前後方向の距離L1に対して、後輪7からの座面部35後端までの距離L2の比率が大きい歩行車1ほど、足が入り込む範囲が大きくなるので、本実施形態の利用価値は大きい。
【0033】
このように、本実施形態を電池部40及び制御ユニット部41を備えた電動アシスト歩行車1に適用した場合は、内側範囲に足を振り出す十分なスペースを確保しつつ、横方向に折り畳める構成を実現できる。
また、折り畳み歩行車1であっても座面部35下側のデッドスペースを利用できる。
【0034】
<その他の変形例>
2つの保持部5,5の構成は、第1実施形態に示した構成に限定されない。個々の保持部5の間に2つ折り自在の折曲部23を備え、クロス杆30,30の展開状態と折り畳み状態とに対応して移動できるように構成してあるものであれば、保持部5の構成は特に限定されない。
【0035】
例えば、袋状に比べて防水性には劣る構成にはなるが、電池部40、制御ユニット部41を収容する合成樹脂等の一対の収容ケースを設け、その一対の収容ケースの上面に丈夫な布材などの四角形の支持布部を固着して、その支持布部をクロス杆30,30又は上側杆34,34の所定箇所に固定することで構成してもよい。
【0036】
第1実施形態では、電池部40の電力を電動アシスト歩行車1のアシストモータ(図示せず)に利用することを想定して説明したが、利用者が歩行車1を用いて夜間にも歩行できるように、夜間用ランプを備えた歩行車1においては、そのランプ駆動用の電源として用いることも可能である。また、各種通信機器などのコンピュータを駆動するための電池部40等を収納することも可能である。このように本実施形態において、電池部40の用途は特に限定されない。
また、電池は交換式の電池部40でも、充電式の電池部40でも採用が可能である。
【0037】
なお、電動アシスト歩行車だけでなく、電池部40を備えた歩行車にも適用が可能である。
さらに、歩行車だけでなく、足が本体フレームの内側に入り込む構成で横方向に折り畳む構成のものであれば、外観が車椅子形状の構成でも本実施形態を適用すれば、同様の利益を得ることが可能である。
【0038】
[第2実施形態]
図7に模式的に示すように、第2実施形態に係る歩行車1は、前体部48と後体部49をクロス機構3によって前後方向Yに折り畳み自在に連結した構成を備えている。
一対の前体部48,48は歩行車1の前方側に設けられる部材であり、それぞれ下方先端部に前輪6が取り付けられている。一対の前体部48,48は紙面垂直方向に延びる横杆(図示せず)によって連結してある。
【0039】
一対の後体部49,49は歩行車1の後方側に設けられる部材であり、それぞれ下方先端部に後輪7が取り付けられている。一対の後体部49,49は紙面垂直方向に延びる横杆(図示せず)によって連結されているとともに、斜め後上方に延びる一対の傾柱部51,51が延設されている。一対の傾柱部51,51の先端部は後方側に曲げられてグリップ部18,18としてある。
前体部48、後体部49の下方内側位置には軸支部50がそれぞれ設けられ、傾斜フレーム部31,31が軸支されている。クロス機構3、電池部40、制御ユニット部41及び収容袋39の構成は、
図5に示す構成と同様のものが採用できる。
また、前体部48及び後体部49の構成は
図7に示す構成に限定されず、車体にクロス機構3を介在させて前後方向に折り畳む前後の支持体として機能すれば、構成は特に限定されない。
【0040】
なお、車体の全体形状を安定させるリンクなどの構成、利用者が座面部35に座ったときにその荷重を受け止める構成、折り畳みのロック及び解除などの構成は公知のものが採用できる。簡便のため、そのような構成は、
図7に示す走行車1では省略して描いている。
このように、クロス機構3によって前後の方向に折り畳む構成の歩行車1であっても本発明は同様に適用が可能である。
【0041】
以上、実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の構成には限定されない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて判断されるべきであり、その範囲内であれば、多様な変形や構成の追加、又は改良が行えることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1:歩行車
2:側体部
3:クロス機構
4:側基部(側体部の一例)
5:保持部
23:折曲部
30:クロス杆(クロス機構の一例)
34:上側杆
35:座面部
38:収納部
39:収納袋(保持部の一例)
39a: 収納袋の上面
40:電池部
41:制御ユニット部
48:前体部
49:後体部