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特開2023-7406電流強度を測定するための装置を製造する方法および電流強度を測定するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007406
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】電流強度を測定するための装置を製造する方法および電流強度を測定するための装置
(51)【国際特許分類】
   H01C 17/28 20060101AFI20230111BHJP
   H01C 13/00 20060101ALI20230111BHJP
   H01C 1/14 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H01C17/28
H01C13/00 J
H01C1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076525
(22)【出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10 2021 003 365.5
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2021 005 839.9
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】592179160
【氏名又は名称】ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WIELAND-WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】ガーハード ツァム
(72)【発明者】
【氏名】ドラゴスラヴ ヴューシック-シール
(72)【発明者】
【氏名】トニー ロベルト ノル
【テーマコード(参考)】
5E028
5E032
【Fターム(参考)】
5E028BA21
5E028BB01
5E028CA12
5E028DA05
5E028JA04
5E028JB03
5E032BA21
5E032BB01
5E032CA12
5E032CC04
5E032CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より簡単でより安価な、電流強度を測定する装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】方法は、2つの接続素子3と、接続素子の間に配置された1つの抵抗素子4と、を備える抵抗アセンブリ2を提供するステップと、1つの接続素子の材料から又は抵抗素子の材料から、抵抗アセンブリから離反した端面と、そこで開いた中空空間53とを有する1つの接点素子5を成形するステッププと、内表面91に導電材料92が設けられた1つの貫通孔を備える導体基板8を提供するステップと、接点素子が貫通孔内に突出するように、抵抗アセンブリ上に導体基板を位置決めするステップと、接点素子を拡開手段14によって半径方向に拡開するステップと、を包含する。拡開手段が接点素子の中空空間に挿入され、それにより接点素子と貫通孔の内表面上の導電材料との間に導電接続を作成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗アセンブリ(2)によって電流強度を測定するための装置(1)を製造する方法であって、前記方法は、
a)少なくとも2つの接続素子(3、3‘)と、電流の方向で前記接続素子(3、3‘)の間に配置された少なくとも1つの抵抗素子(4)と、を備える抵抗アセンブリ(2)を提供するステップであって、前記少なくとも1つの抵抗素子(4)と前記接続素子(3、3‘)が異なった導電材料からなる、ステップと、
b)少なくとも1つの接続素子(3、3‘)の前記材料から、または前記抵抗素子(4)の前記材料から少なくとも1つの接点素子(5)を成形するステップであって、前記接点素子(5)は、軸方向と、これに対して垂直の半径方向とを定義する長手軸(A)を有し、前記接点素子(5)は、前記抵抗アセンブリ(2)から離反した端面(52)と、前記抵抗アセンブリ(2)から離反した前記接点素子(5)の前記端面(52)で開いた中空空間(53)とを有するように成形される、ステップと、
c)導電材料(92)が設けられた内表面(91)を有する少なくとも1つの貫通孔(9)を備える導体基板(8)を提供するステップと、
d)前記導体基板(8)が前記抵抗アセンブリ(2)から離反した上面(81)を有するように、かつ前記少なくとも1つの接点素子(5)が前記貫通孔(9)内に少なくとも突出するように、前記抵抗アセンブリ(2)上に前記導体基板(8)を位置決めするステップと、
e)前記接点素子(5)を拡開手段(14)によって半径方向に拡開するステップであって、前記拡開手段が前記接点素子(5)の前記中空空間(53)に軸方向に挿入され、それにより前記接点素子(5)と前記貫通孔(9)の前記内表面(91)上の前記導電材料(92)との間に導電接続が作成される、ステップと、を包含する方法。
【請求項2】
前記拡開手段(14)は、前記拡開手段(14)を挿入することによって前記接点素子(5)の前記拡開が行われるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記拡開手段(14)は、前記拡開手段(14)を挿入した後に前記接点素子(5)の前記拡開が行われるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
方法ステップe)での前記拡開によって、前記導体基板(8)の前記貫通孔(9)の前記内表面(91)と前記接点素子(5)との間に力結合的接続が作成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接点素子(5)は、前記導体基板(8)を位置決めした後に、前記抵抗アセンブリ(2)から離反した前記接点素子(5)の前記端面(52)が前記導体基板(8)の前記貫通孔(9)内にあるか、または前記導体基板(8)の前記上面(81)と面一に終端するように選択された高さ(H)を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法ステップb)での前記接点素子(5)の前記成形は、エンボスステップまたは流動プレス成形によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接点素子(5)に形状付与するために、前記接点素子(5)の外輪郭に対応する少なくとも1つの空洞(121)と、前記空洞(121)に位置決めされる、前記中空空間(53)を成形するための少なくとも1つの内工具(122)を有する負型(12)が使用されることと、方法ステップb)の間、前記内工具(122)が前記接点素子(5)の前記長手軸(A)の方向に前記空洞(121)に相対して動かされることと、を特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
方法ステップe)での前記接点素子(5)の前記拡開は、超音波またはレーザで前記接点素子(5)の材料を加熱することによって支援されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
抵抗アセンブリ(2)と、前記抵抗アセンブリ(2)と機械的および電気的に接続される導体基板(8)とを備える電流強度を測定するための装置(1)であって、前記抵抗アセンブリ(2)が、少なくとも2つの接続素子(3、3‘)と、電流の方向で前記接続素子(3、3‘)の間に配置された少なくとも1つの抵抗素子(4)とを備え、前記少なくとも1つの抵抗素子(4)と前記接続素子(3、3‘)が異なった導電材料からなり、
前記導体基板(8)が、導電材料(92)が設けられた内表面(91)を有する少なくとも1つの貫通孔(9)を備える、装置において、
前記抵抗アセンブリ(2)は、前記接続素子(3、3‘)のうちの1つとモノリシック接続され、かつ前記接続素子(3、3‘)の材料から作り出される、または前記抵抗素子(4)とモノリシック接続され、かつ前記抵抗素子(4)の材料から作り出される、長手軸(A)を有する少なくとも1つの接点素子(5)を有し、前記接点素子によって、前記接点素子(5)が前記導体基板(8)の前記貫通孔(9)内に少なくとも突出し、かつ前記貫通孔(9)の前記内表面(91)上の前記導電材料(92)と力結合的に接続されることにより、前記抵抗アセンブリ(2)が前記導体基板(8)と導電的および機械的に接続され、
前記接点素子(5)は、前記抵抗アセンブリ(2)から離反した端面(52)と、前記抵抗アセンブリ(2)から離反した前記接点素子(5)の前記端面(52)で開いた中空空間(53)とを有し、前記接点素子(5)は、その端面(52)から前記中空空間(53)への移行部に円錐形の輪郭を有することを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記接点素子(5)は、前記抵抗アセンブリ(2)から離反した前記接点素子(5)の前記端面(52)が前記導体基板(8)の前記貫通孔(9)内にあるか、または前記導体基板(8)の前記上面(81)と面一に終端するように選択された高さ(H)を有することを特徴とする、請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記接点素子(5)は、前記導体基板(8)の、前記抵抗アセンブリ(2)から離反した側で前記導体基板(8)上に突出部(56)を有し、この突出部(56)の領域において、前記導体基板(8)を固定するために横方向に広げられていることを特徴とする、請求項9に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記接点素子(5)は、前記接続素子(3、3‘)と前記導体基板(8)との間に円錐形の外輪郭を有する区分(55)を備え、それにより前記接点素子(5)の断面積が前記接続素子(3、3‘)に向かって拡大することを特徴とする、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの接点素子(5)は、前記導体基板(8)が前記抵抗アセンブリ(2)から離隔されるように、前記導体基板(8)が載る段部(51)を有することを特徴とする、請求項9に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの接点素子(5)は、金属コーティング、特に錫含有、銀含有、またはニッケル含有コーティングを有する表面を備えることを特徴とする、請求項9に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流強度を測定するための装置を製造する方法、およびそのような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路の電流測定には、監視されるべき部品と直列に接続される測定抵抗器が使用される。その場合、電流強度は、シャント抵抗器と呼ばれる測定抵抗器を介して降下する電圧から決定される。例えば、電気車またはハイブリッド車のバッテリマネージメントシステムでは、正確で信用できる電流強度の測定が特に重要である。約10~50μOhmの低オームの測定抵抗器と、抵抗アセンブリを電気回路と接続するための接続素子とを備える抵抗アセンブリを、縦シーム溶接された複合材料から製造することができる。このことは、例えば特許文献1から知られている。複合材料は3つの金属バンドから製作され、その際、個々の金属バンドがそれぞれ電子ビーム溶接法またはレーザ溶接法で縦方向のシームを介して互いに接続される。
【0003】
測定抵抗器で降下する電圧は、接続素子上の測定抵抗器の両側に配置されているコンタクトピンまたは類似の素子を介して取り出される。そのようなコンタクトピンは、抵抗アセンブリの接続素子に半田付け、圧着、または溶接され得る。電圧は、測定および評価電子機器によって検出され、さらに処理される。このために、導体基板に配置することができる電子部品が設けられている。その場合、導体基板を抵抗アセンブリのすぐ近くに配置することができる。
【0004】
特許文献2から低オームの電流測定抵抗器を有する抵抗アセンブリが知られている。この抵抗アセンブリでは、抵抗アセンブリを外部電気回路に接続するために用いられる板状部材におけるエンボス加工とねじ山成形によって形成されている接続接点が電圧を取り出すために設けられている。接続接点への電圧測定のための測定線の接続は、ケーブルシューおよび固定ねじによって行われる。
【0005】
さらに、特許文献3から、抵抗アセンブリを外部電気回路に接続するための2つの板状の素子と1つの帯状の抵抗素子とを有する抵抗アセンブリが知られている。抵抗素子の両側で2つの接続素子にそれぞれ1つの穴が設けられ、この穴にそれぞれ1つのコンタクトピンが差し込まれる。コンタクトピンは、そのために製作して抵抗アセンブリに付加する必要のある別個の部品である。
【0006】
従来技術から知られる装置では、測定抵抗器で降下する電圧を取り出すために追加の部品を使用する必要がある。このことは追加の手間とコストを要する。さらに、個々の部品の接触箇所には電圧信号を歪曲させ得る接触電圧が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0605800号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102009031408号明細書
【特許文献3】米国特許第10163553号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電流強度を測定するための装置を製造するための、改善された、特により簡単でより安価な方法、およびそのような装置を提供するという課題にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、方法に関して請求項1の特徴により、装置に関して請求項9の特徴により示される。これらを引用する他の請求項は、本発明の有利な実施形態および発展形態に関する。
【0010】
本発明は、抵抗アセンブリによって電流強度を測定するための装置を製造する方法に関し、方法は、
a)電流方向を決定する少なくとも2つの接続素子と、電流の方向で接続素子の間に配置された少なくとも1つの抵抗素子と、を備える抵抗アセンブリを提供するステップであって、少なくとも1つの抵抗素子と接続素子が異なった導電材料からなる、ステップと、
b)少なくとも1つの接続素子の材料から、または抵抗素子の材料から少なくとも1つの接点素子を成形するステップであって、接点素子は、軸方向と、これに対して垂直の半径方向とを定義する長手軸を有し、接点素子は、抵抗アセンブリから離反した端面と、抵抗アセンブリから離反した接点素子の端面で開いた中空空間とを有するように成形される、ステップと、
c)導電材料が設けられた内表面を有する少なくとも1つの貫通孔を備える導体基板を提供するステップと、
d)導体基板が抵抗アセンブリから離反した上面を有するように、かつ少なくとも1つの接点素子が貫通孔内に少なくとも突出するように、抵抗アセンブリ上に導体基板を位置決めするステップと、
e)接点素子を拡開手段(Aufweitmittel)によって半径方向に拡開するステップであって、拡開手段が接点素子の中空空間に軸方向に挿入され、それにより接点素子と貫通孔の内表面上の導電材料との間に導電接続が作成される、ステップと、を包含する。
【0011】
電流強度の測定とは、一時的に変化する場合がある電流の強度の測定とも解される。上記の抵抗アセンブリは、10~50μOhmの抵抗のシャント抵抗器を抵抗素子として備えることができる。抵抗素子と接続素子は導電材料からなる。その場合、抵抗素子の材料の比電気抵抗は、接続素子の材料の比電気抵抗より格段に大きく、典型的には少なくともファクタ10大きい。その一方で、接続素子の材料の抵抗温度係数の値は、抵抗素子の材料の抵抗温度係数の値よりはるかに大きく、典型的には少なくともファクタ80大きい。通常、抵抗素子の材料の抵抗温度係数が±5・10-51/K未満であるのに対して、接続素子の材料の抵抗温度係数は約±4・10-31/Kである。抵抗アセンブリの接続素子は、特に銅、好ましくは低合金の銅合金、アルミニウム、または好ましくは低合金のアルミニウム合金からなり得るか、あるいはこれらの材料のうちの少なくとも1つを含み得る。抵抗素子は、抵抗合金として一般に使用される銅合金からなり得る。
【0012】
接続素子は、抵抗アセンブリの末端にある接続素子であり得る。しかし、少なくとも1つの接続素子は、可能な電流流路で2つの抵抗素子の間に配置されていることも可能である。抵抗アセンブリは平面状配置で形成することができる。この場合、接続素子と少なくとも1つの抵抗素子が板状または帯状の素子として形成され、一平面上に並べて、好ましくは一列に配置されている。その場合、1つの抵抗素子もしくは複数の抵抗素子の厚さは任意であり得る。しかしこれらは通常、接続素子の厚さ以下の大きさである。
【0013】
接点素子とは、接続素子または抵抗素子の、それ以外は変形されない表面上に立ち上がる材料突出部と解される。接点素子の成形は、接続素子の材料もしくは抵抗素子の材料を、接続素子もしくは抵抗素子の表面に対して実質的に垂直の方向に移動させることによって行われる。材料が移動される方向は、接点素子の長手軸に対して平行の軸方向と、これに対して垂直の半径方向とを定義する。接点素子は、これが抵抗アセンブリから離反した端面と、抵抗アセンブリから離反した接点素子の端面で開いた中空空間とを有するように成形される。すなわち、接点素子は、少なくとも部分的に中空であり、中空空間は、接点素子の端面から軸方向に接点素子内に延びる。中空空間は、接続素子もしくは抵抗素子の移動された材料からなる周回する閉じた壁によって半径方向に画定される。すなわち接点素子は、少なくとも一方の側が開いたスリーブの形状をこの領域に有する。中空空間は直径上で向かい側が閉じ、それにより接点素子がこの領域にカップに似た形状を有することが好ましい。接点素子の高さは、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmである。
【0014】
接点素子の外形は任意であり得、好ましくは円形、矩形、正方形、または六角形であり得る。接点素子が中空空間の領域に円環状の断面を有することが好ましい。接点素子の断面の形状および/またはサイズは一定であり得るか、または接点素子の長手軸に沿って定常的または非定常的に変化し得る。例えば、接点素子は、わずかに円錐形の輪郭、すなわち、境界面が接続素子もしくは抵抗素子の表面に対してわずかに傾いた輪郭を有することができる。さらに、接点素子は段部を有するように成形され得る。段部とは、接点素子の断面形状および/または断面サイズの非定常の、すなわち跳躍的な変化と解される。段部は、導体基板のための支持体(Auflage)として用いることができる。
【0015】
接点素子は、好ましくは別の接点素子と一緒に、抵抗素子で降下する電圧を測定するための電圧タップとして使用することができる。接点素子が抵抗素子の材料から成形される場合、これを抵抗素子の一部分で降下する電圧を測定するための電圧タップとして使用することができる。これに代えて、接点素子を、抵抗アセンブリを接地するために用いることもできる。抵抗アセンブリのすべての接続素子に1つまたは複数のそのような接点素子が成形されることが好ましい。その場合、電圧測定のために用いられる接点素子は、電圧降下が検知されるべき抵抗素子の可能な限り近くに位置決めされる。
【0016】
本発明の範囲内で、導体基板とは、導電材料において電気信号を伝導するのに適した平らな板状または帯状の部品と解される。部品の互いに向かい側に位置する2つの面が互いに平行平面的(planparallel)である場合、平らな部品は板状または帯状である。これらの2つの面の距離は部品の厚さを定義する。導体基板は、例えば金属帯であり得るか、または非導電材料からなり、その表面に導体路が設けられるプレートであり得る。このようなプレートは、「プリント回路基板(printed circuit board)」という用語で知られている。導体基板は、導電材料が設けられた内表面を有する少なくとも1つの貫通孔を備えている。このことは、導体基板が金属帯または金属小板であり、それにより貫通孔の内表面に導電材料が本来的に備わっている事例も含む。導体基板が非導電材料からなり、その表面に導体路が設けられているプレートである場合、導電材料は、好ましくは導体基板の、抵抗アセンブリから離反する側に配置されている導体路と貫通孔の内表面上で接続することができる。さらに、電気信号を測定および評価するために用いられる電気部品をそのような導体基板に配置することができる。導体基板において導体基板の厚さ全体にわたって延びる空洞は貫通孔という用語で表される。貫通孔は、円筒形の形状を有することができる。これに代えて円錐形の形状も可能である。
【0017】
導体基板は、少なくとも1つの接点素子が貫通孔内に少なくとも突出するように抵抗アセンブリに位置決めされる。その場合、導体基板は、抵抗アセンブリに対して実質的に平行平面的に位置決めされ、それにより導体基板は、抵抗アセンブリから離反した上面と、抵抗アセンブリの方に向いた下面とを有する。導体基板と抵抗アセンブリとの間には距離が存在することができる。しかし、導体基板が抵抗アセンブリに直接載ることも可能である。接点素子は、導体基板の厚さの少なくとも半分まで、好ましくは導体基板の厚さの少なくとも70%まで導体基板の貫通孔内に突出しなければならない。
【0018】
続いて、接点素子は、適当な拡開手段によって半径方向に拡開される。そのために、拡開手段は、導体基板の上側から接点素子の中空空間内に軸方向に挿入される。拡開手段は、これが中空空間の領域において接点素子を半径方向に拡開できるように形成されている。そのために、中空空間を半径方向に画定する接点素子の材料が、それが導体基板の貫通孔の内表面と接触するまで半径方向に外に向けて移動される。このようにして、接点素子と、貫通孔の内表面上の導電材料との間の導電接続が作成される。拡開によってもたらされる接点素子の外側寸法の拡大は、拡開前の外側寸法の2%~15%であることが好ましい。拡開によって、さらに接点素子の肉厚が低減される。当初の肉厚の少なくとも20%の低減が有利である。拡開手段は、拡開後に再び接点素子の中空空間から取り去られる適当な工具であり得る。
【0019】
上記の方法の利点は、抵抗アセンブリと導体基板との間に接続を作成するために追加の部品および/または材料が必要とされないことである。接点素子が接続素子または抵抗素子の材料から直接成形されるので、接点素子を抵抗アセンブリまたは導体基板に別途マウントする必要がない。このために必要な作業工程および、例えばはんだなどの必要とされる材料は省略される。複数の接点素子を同時に成形することができる。
【0020】
接点素子と接続素子との間、もしくは接点素子と抵抗素子との間のモノリシック接続によって、測定を歪曲する可能性のある不都合な接触電圧が回避される。
【0021】
提案される方法の特に有利な一態様は、適当な拡開手段による接点素子の半径方向の拡開である。拡開手段が接点素子の中空空間に挿入されるので、接点素子と導体基板との間の接続は実質的に貫通孔の領域で行われる。それにより、接点素子が導体基板上に突き出す、すなわち導体基板の上面上に突出部を有する必要がない。したがって、接点素子を成形するために、接続素子または抵抗素子の材料をわずかに変形させさえすればよい。必要な力はわずかである。このことは工具耐用期間およびプロセス速度の点で有利である。抵抗素子から1つまたは複数の接点素子を成形すべき場合に、提案される方法を特に有利に適用できる。抵抗素子の材料は、通常、接続素子の材料より変形(unformbar)困難である。プロセスは、変形させる必要が少なければ少ないほど簡単になる。
【0022】
拡開手段は、接点素子の中空空間内に恒久的にとどまり続ける物体であってもよい。このような物体は、例えば栓またはリベットであり得る。そのような物体によって、接点素子と導体基板の貫通孔の内表面との間に特に信用できる、かつ恒久的な接点が作成される。
【0023】
抵抗アセンブリが縦シーム溶接されたバンド状の複合材料から切断されることにより製作される場合、複合材料を切断するのと同時に接点素子を成形できることが好ましい。すなわちこの場合、方法のステップa)とb)が同時に行われる。したがって、接点素子を成形するための別個の、かつ追加の作業工程の必要がない。したがって、この方法は、複合材料を切断した後に初めて接点素子が成形される場合よりも迅速かつ安価である。さらに、このようにして接点素子の高い位置精度が達成される。
【0024】
本発明の一実施形態の範囲内で、拡開手段は、拡開手段を挿入することによって接点素子の拡開が行われるように形成され得る。すなわち接点素子は、中空空間への拡開手段の挿入中にすでに半径方向に拡開される。このために、拡開手段は、少なくとも部分的に円錐形の外輪郭を有する。この外輪郭は、拡開手段が中空空間に挿入される場合に接点素子の材料の半径方向の移動をもたらす。それにより短い加工時間が可能になる。
【0025】
これに代わる本発明の一実施形態の範囲内で、拡開手段は、拡開手段を挿入した後に接点素子の拡開が行われるように形成されていてもよい。すなわち接点素子は、実質的に拡開手段が中空空間に挿入されて初めて半径方向に拡開される。このために、拡開手段は、中空空間の内径より小さい外径の区分を有する。その場合、中空空間への拡開手段のこの区分の挿入は、大した抵抗なしに、したがって接点素子が意図せず変形することもなく行われる。拡開手段の挿入後、適当なメカニズムで接点素子の半径方向の拡開が行われる。拡開手段が工具である場合、例えば工具を拡開することにより、工具を偏心的に回転させることにより、または電磁力によってこれを行うことができる。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態の範囲内で、方法ステップe)での拡開によって導体基板の貫通孔の内表面と接点素子との間の力結合的接続も同時に作成することができる。このために、接点素子の拡開は、材料が導体基板の貫通孔の内表面に強く押し付けられ、それによりプレス嵌めが形成される程度に行われる。その場合、接点素子の肉厚が、好ましくは少なくとも40%低減される。プレス嵌めを形成することによって、抵抗アセンブリ上に導体基板を機械的に固定するための別の手段を使わずに済ませることができる。
【0027】
本発明のこの実施形態の特別な一形態の範囲内で、方法ステップe)での拡開によって、導体基板の貫通孔の内表面と接点素子との間の形状結合的接続も同時に作成することができる。例えば、導体基板の貫通孔が円錐形の形状を有することができ、かつ導体基板の下面からその上面へ内径が拡大するように形成され得る。適合させた円錐形の外輪郭を有する拡開手段を使用する場合、接点素子の拡開は形状結合的接続をもたらす。このような接続は、特に確実な種類の接続である。
【0028】
本発明の好ましい一実施形態の範囲内で、接点素子は、導体基板を位置決めした後に、抵抗アセンブリから離反した接点素子の端面が導体基板の貫通孔内にあるか、または導体基板の上面と面一に終端するように選択された高さを有することができる。その場合、高さは、接続素子もしくは抵抗素子の変形されない表面から軸方向に測定された接点素子の延在を示す。すなわち高さは、導体基板の貫通孔への接点素子の侵入深さが導体基板の厚さと最大限等しくなるように寸法設定されている。換言すれば、接点素子は、この実施形態では、導体基板の上面上に突出部を有していない。そのように小さい高さの接点素子は、特に有利に成形することができる。本発明のこの実施形態の特別な形態の範囲内で、導体基板の貫通孔への接点素子の侵入深さは、導体基板の厚さの80~100%であり得る。これは、接点素子の成形時に必要な手間と、接点素子と導体基板の接点の品質との間の最適条件である。
【0029】
本発明の別の実施形態の範囲内で、方法ステップb)での接点素子の成形は、エンボスステップまたは流動プレス成形によって行うことができる。エンボス加工および流動プレス成形は、接続素子または抵抗素子の表面に対して実質的に垂直に延びる、接続素子または抵抗素子の材料とモノリシック接続される接点素子を成形するのに特に適している。その場合、材料の成形は、パンチおよび適当な負型を用いて行われる。
【0030】
本発明のこの実施形態の特別な一形態の範囲内で、接点素子に形状付与するために、接点素子の外輪郭に対応する少なくとも1つの空洞と、空洞に位置決めされる、中空空間を成形するための少なくとも1つの内工具とを有する負型を使用することができ、方法ステップb)の間、内工具が接点素子の長手軸の方向に空洞に相対して動かされる。このことは、変形成形技術的に特に有利な手順であることが明らかになり、それにより大きい高さを有する接点素子を製作することができる。
【0031】
本発明の別の特別な一形態の範囲内で、方法ステップe)での接点素子の拡開を超音波またはレーザによる接点素子の材料の加熱によって支援することができる。接点素子の材料は、方法ステップb)での変形にもとづいて固められて硬くなる。このことは、後続のステップe)での変形の支障になる。レーザまたは超音波による熱入力によって、接点素子の材料を、それが少なくとも部分的に軟化(entfestigen)される、すなわち柔らかくなるまで加熱することができる。その場合、ステップe)での変形がより容易に可能である。
【0032】
本発明による方法の他の技術的特徴および利点については、電流強度を測定する装置と関連する以下の説明ならびに図および図の説明が明示的に参照される。
【0033】
本発明の別の態様は、電流強度を測定するための装置に関する。これは、一時的に変化する場合がある電流の強度を測定することとも解される。装置は、抵抗アセンブリと、抵抗アセンブリと機械的および電気的に接続される導体基板とを備える。抵抗アセンブリは、電流方向を定義する少なくとも2つの接続素子と電流方向で接続素子の間に配置された少なくとも1つの抵抗素子とを備え、少なくとも1つの抵抗素子と接続素子は異なった導電材料からなる。導体基板は、導電材料が設けられた内表面を有する少なくとも1つの貫通孔を有する。抵抗アセンブリは、接続素子のうちの1つとモノリシック接続され、かつ接続素子の材料から作り出される、または抵抗素子とモノリシック接続され、かつ抵抗素子の材料から作り出される、長手軸を有する少なくとも1つの接点素子を備える。この接点素子によって、接点素子が導体基板の貫通孔内に少なくとも突出し、貫通孔の内表面上の導電材料と力結合的に接続されることにより、抵抗アセンブリが導体基板と導電的および機械的に接続される。このために、接点素子は、抵抗アセンブリから離反した端面と、抵抗アセンブリから離反した接点素子の端面で開いた中空空間とを有する。接点素子は、その端面から中空空間への移行部に円錐形の輪郭を有する。
【0034】
装置を説明するために使用される用語に関して、電流強度を測定するための装置を製造する方法の説明と関連する上記の用語の説明が明示的に参照される。
【0035】
上記の装置の特別な利点は、接点素子と接続素子もしくは抵抗素子との間のモノリシック接続によって、測定を歪曲し得る不都合な接触電圧が回避されることである。さらに、装置は、安価に、かつ高い精度で製造することができるが、それは、接点素子が接続素子または抵抗素子の材料から直接成形されているからである。上記の装置の特に有利な態様は、導体基板と抵抗アセンブリとの間の力結合的接続である。この接続は、拡開プロセスによって導体基板の貫通孔の内表面と電気的および機械的に接触させられる接点素子によって作成される。この拡開プロセスを実行するために、接点素子は、抵抗アセンブリから離反した端面と、抵抗アセンブリから離反した接点素子の端面で開いた中空空間とを有する。接点素子は、その端面から中空空間への移行部に円錐形の輪郭を有する。この円錐形の輪郭は、拡開プロセスの結果であり、接点素子の中空空間に拡開手段をより容易に挿入するためにこれを用いることができる。
【0036】
本発明の一実施形態の範囲内で、接点素子は、抵抗アセンブリから離反した接点素子の端面が導体基板の貫通孔内にあるか、または導体基板の上面と面一に終端するように選択された高さを有することができる。その場合、高さは、接続素子もしくは抵抗素子の変形されない表面から測定される接点素子のその長手軸の方向の延在を示す。すなわち、高さは、導体基板の貫通孔への接点素子の侵入深さが導体基板の厚さに最大限等しくなるように寸法設定されている。換言すれば、接点素子は導体基板の上面上に突出部を有していない。この小さい高さの接点素子は、特に有利に成形することができる。本発明のこの実施形態の特別な一形態の範囲内で、導体基板の貫通孔への接点素子の侵入深さは、導体基板の厚さの80~100%であり得る。これは、接点素子の成形時に必要な手間と、接点素子と導体基板の接点の品質との間の最適条件である。
【0037】
本発明の代替の実施形態の範囲内で、接点素子は、導体基板の、抵抗アセンブリから離反した側で導体基板上に突出部を有することができ、この突出部の領域において、導体基板を固定するために横方向に広げられ、好ましくは円錐形に拡開され得る。導体基板上のこの突出部の領域において接点素子を横方向に広げること、好ましくは円錐形に拡開することによって、導体基板が、接点素子の軸方向、すなわち抵抗アセンブリの接続素子の方向に、少なくとも一方向に形状結合的に固定される。接点素子を円錐形に拡開すること以外の別の変形によって横方向に広げることができる。その例は、球形、円筒形、またはボール状の工具による圧着、フランジ加工、部分折り曲げ加工、および拡開である。
【0038】
本発明のこの代替の実施形態の特別な一形態の範囲内で、接点素子は、接続素子と導体基板との間に円錐形の外輪郭を有する区分を備えている。その場合、円錐形の区分は、接点素子の断面積が接続素子に向かって拡大するように選択されている。円錐形の輪郭を有する区分は導体基板に直接隣接する。円錐形の外輪郭によって、接点素子の断面積が定常的に拡大し、少なくとも、これが導体基板の貫通孔の断面積より大きくなるまで拡大する。したがって、突出部の領域における接点素子の円錐形の拡開と共に、導体基板の形状結合的および力結合的固定を接点素子の軸方向と、これに対して垂直の方向とに達成することができる。導体基板は、接点素子によって二重の円錐形で(doppelt-konisch)締め付けられる。本発明のこの形態は、例えば振動などの機械的負荷に対して特に耐性がある。
【0039】
装置の別の有利な実施形態の範囲内で、少なくとも1つの接点素子は、導体基板が接続素子、したがって抵抗アセンブリから離隔されるように、導体基板が載る段部を有することができる。導体基板と抵抗アセンブリとの間の距離は、導体基板を抵抗アセンブリからより良好に熱的に切り離す。この場合、電流が抵抗素子を流れる場合に生じる熱は、抵抗素子または接続素子から導体基板に直接伝達されず、熱は接点素子を流れざるを得ない。接点素子は、その比較的小さい断面にもとづいて、大きい熱抵抗を示す。そのため抵抗アセンブリから導体基板への熱流が低減され、導体基板は、導体基板が接続素子に直接載る場合より低いレベルの温度にとどまる。この実施形態は、抵抗素子の厚さが接続素子のそれぞれの厚さより小さくない場合に特に有利である。
【0040】
さらに、装置の特に有利な一実施形態の範囲内で、第1の接点素子が接続素子と導体基板との間に円錐形の区分を有するのに対して、第2の接点素子は、接続素子と導体基板との間に導体基板が載る段部を有することが企図され得る。特に、この場合、2つの接点素子は、抵抗アセンブリから離反する導体基板の側にそれぞれ導体基板上の突出部を有することができ、突出部の領域において横方向に広げられ得る。異なった形状および機能の接点素子をそのように組み合わせることの特別な利点は、振動と温度変化による負荷が重畳する場合に第1の接点素子が導体基板の横方向の固定をもたらすのに対して、第2の接点素子は、横方向の運動自由度を追加的に制限することなしに、導体基板に対して垂直の方向の導体基板の固定を可能にすることである。したがって、導体基板と抵抗アセンブリの膨張が異なることにより、温度が変化した場合に生じ得る応力が低減される。したがって、装置は特に堅牢である。
【0041】
本発明の有利な形態では、少なくとも1つの接点素子の表面が金属コーティング、特に錫含有、銀含有、またはニッケル含有コーティングを有することができる。そのようなコーティングは腐食を阻止し、したがって、装置の寿命全体にわたって接点素子と貫通孔の内表面上の導電材料との間の電気接点を高品質にすることができる。その場合、コーティングをステップb)での接点素子の成形前に設けることができ、または接点素子を方法ステップb)とc)との間の別個のステップでコーティングすることができる。
【0042】
本発明による装置の他の技術的特徴および利点に関して、上述の本発明による方法と関連する説明、ならびに図および図の説明が明示的に参照される。
【0043】
模式的図面をもとにして本発明の実施例を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】抵抗アセンブリの斜視図である。
図2】抵抗アセンブリの側面図である。
図3】方法ステップb)の完了時の抵抗アセンブリの部分断面図である。
図4】接点素子が成形された抵抗アセンブリの部分断面図である。
図5】導体基板が位置決めされた抵抗アセンブリの部分断面図である。
図6】方法ステップe)の間の抵抗アセンブリの部分断面図である。
図7】導体基板が固定された抵抗アセンブリの部分断面図である。
図8】導体基板が固定され、接点素子が段部を有する抵抗アセンブリの部分断面図である。
図9】導体基板が固定され、接点素子が円錐形の区分を有する抵抗アセンブリの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
互いに対応する部品には、すべての図において同じ参照符号が付されている。
【0046】
図1は、まだ接点素子のない抵抗アセンブリ2の斜視図を示す。抵抗アセンブリ2は、末端にある2つの接続素子3、3‘と、2つの接続素子3、3‘の間に位置決めされた1つの抵抗素子4とを有する。接続素子3、3‘と抵抗素子4はそれぞれ板状の形状である。抵抗素子4の厚さは、2つの接続素子3、3‘のそれぞれの厚さよりいくらか小さい。2つの接続素子3、3‘で抵抗アセンブリ2を電気回路と接続することができる。この目的で、2つの接続素子3、3‘は、例えば孔などの図示されない接続装置を有することができる。これらの接続装置はそれぞれ、接続素子3、3‘の、抵抗素子4から離れた領域に設けられる。抵抗素子4は、電流が流れる方向で接続素子3、3‘の間に位置する。電流が流れると、抵抗素子4で電圧が降下し、この電圧をもとにして、抵抗アセンブリ2を流れる電流強度を検知することができる。
【0047】
図2は、図1による抵抗アセンブリ2の側面図を示す。図1および図2に示される抵抗アセンブリ2は、知られているように、3つの帯状体を縦シーム溶接して複合材料とし、続いて溶接された複合材料を切断して製作することができる。
【0048】
図3は、方法ステップb)の完了時の、図1および図2による抵抗アセンブリ2の拡大された部分断面図を示す。空洞121と空洞121内に配置された内工具122とを有する負型12が接続素子3の上面に位置決めされた。接続素子3の下側で、パンチ11が接続素子3の材料に入り込み、そのことが上向き矢印で表されている。パンチ11は、それが負型12の空洞121の向かい側に位置するように位置決めされている。パンチ11が入り込むことによって、接続素子3の材料が接続素子3の表面に対して実質的に垂直方向に変形され、空洞121と内工具122によって定義される負型12の空いた空間内に移された。このようにして、接点素子5を形成する材料凸部が成形された。内工具122は、内工具122を取り去った後に接点素子5が片側だけ開いた中空空間を有することをもたらす。
【0049】
図4は、方法ステップb)で接点素子5が成形された抵抗アセンブリ2の拡大された部分断面図を示す。パンチ11と負型12は取り去られた。パンチ11と負型12の取り去りを容易にするために、パンチ11、空洞121、および負型12内の内工具122はそれぞれ、離型のための傾斜を付けた輪郭を有することができる。それに応じて、成形された接点素子5も同様に傾斜を付けた輪郭を有することができる。離型のための傾斜が接続素子3の表面の法線となす角度は典型的には約2°である。法線からの偏差がわずかであるため、傾斜は図に明確に示されていない。
【0050】
接点素子5は、接続素子3の表面に対して垂直に向いた長手軸Aを有する。さらに、接点素子5は、接続素子3から、したがって抵抗アセンブリ2から離反した端面52を有する。中空空間53は、この端面52から接点素子5の長手軸Aに沿って延びる。図示される事例では、この中空空間53は、接続素子3の変形されない表面あたりまで延びる。しかし製造技術上の理由から、中空空間53が接点素子5内に延びる程度が比較的少ないか、またはそれに代えて、中空空間53が接続素子3の材料の中まで達するように、接点素子5を成形することが有利であり得る。中空空間53によって、接点素子5は、一方の側が閉じ、もう一方の側が開いたスリーブの形状である。接点素子5の高さが記号Hで示される。高さHは、接続素子3の変形されない表面から接点素子5の端面52まで測定される。
【0051】
接点素子5は、抵抗素子4で降下する電圧を取り出すために設けられている。測定値の歪曲を最小限に抑えるために、接点素子5は、これが接続素子3と抵抗素子4との間の接続箇所の近くに位置決めされるように接続素子3から成形された。
【0052】
図5は、抵抗アセンブリ2上に位置決めされた厚さDの導体基板8を追加した図4による抵抗アセンブリ2の拡大された部分断面図を示す。したがって図5は、方法ステップd)による抵抗アセンブリ2と導体基板8を示す。導体基板8は貫通孔9を有する。導体基板8の貫通孔9の内表面91には、明瞭性の理由から詳しく示されない導電材料92が設けられている。導体基板8は、接点素子5が侵入深さTまで貫通孔9内に突出するように位置決めされた。図示される事例では、侵入深さTは、導体基板8の厚さDよりいくらか小さく、それにより接点素子5の端面52が導体基板8の上面81と面一に終端せず、まだ貫通孔9内にある。侵入深さTは、導体基板8の厚さDの約90%である。貫通孔9の内のり幅は、接点素子5の外側寸法よりわずかに大きい。図示される実施例では、導体基板8は接続素子3に直接載っていず、このことは、例えば図示されないスペーサによって達成することができる。導体基板8と抵抗素子4との間の距離が大きいことが有利であるが、その理由は、それによって抵抗素子に生じる熱を迅速に排出できるからである。導体基板8上に場合によって存在する電子部品は、明瞭性の理由から図示されていない。
【0053】
図6は、方法ステップe)の間の抵抗アセンブリ2の拡大された部分断面図である。円錐形の形状を有する拡開手段14が接点素子5の中空空間53内に矢印方向に挿入される。拡開手段14の外側寸法は、拡開手段14の円錐形の形状によって、接点素子5の材料が半径方向で外方に、すなわち貫通孔9の内表面91に向かって移動されるように選択されている。これによって、接点素子5は、貫通孔9の内表面91上の導電材料92と導電接続を形成して接触する。図6に示される拡開手段14は、接点素子5の中空空間53内にとどまり続ける物体であり得るか、またはこれは拡開後に接点素子5の中空空間53から再び取り去られる工具の動作領域(Arbeitsbereich)であり得る。
【0054】
図7は、拡開するために使用された工具を取り去った後の、図6による抵抗アセンブリ2の拡大された部分断面図を示す。したがって、図7は、同時に抵抗アセンブリ2によって電流強度を測定するための装置1の一部の断面図である。
【0055】
図8は、別の実施例として、抵抗アセンブリ2と、抵抗アセンブリ2上に位置決めされた導体基板8とを有する電流強度を測定するための装置1の一部の断面図を示す。接点素子5は、周回する段部51を有し、この段部に導体基板8が載っている。この目的で、接点素子5は、接続素子3に直接隣接する部分領域において、接点素子5の外側寸法が導体基板8の貫通孔9の内のり幅より大きく形成されている。したがって、導体基板8は、追加のスペーサがなくても接続素子3にも抵抗素子4にも載らない。接続素子3の材料から接点素子5を成形する際に、すでに段部51の高さが考慮に入れられた。接点素子5による導体基板8の接触は、図6に示され、かつ図6との関連で説明された実施例と同じように行われる。
【0056】
図9は、別の実施例として、抵抗アセンブリ2と、抵抗アセンブリ2上に位置決めされた導体基板8とを有する電流強度を測定するための装置1の一部の断面図を示す。接点素子5は、導体基板8に直接隣接する円錐形の外輪郭を有する区分55を接続素子3と導体基板8との間に有する。さらに、接点素子5は、導体基板8の上に突出部56を有する。突出部56の領域において、接点素子5が円錐形に拡開された。それによって、接点素子5は、導体基板8の上面81の上に横方向に突出する。接点素子5がその突出部56の領域において円錐形に拡開することによって、導体基板8が接続素子3の方向に動かされ、それにより導体基板8と接続素子3との間の接点素子5の円錐形の区分55に押し付けられる。このようにして、導体基板8が接点素子の長手軸Aの方向に力結合的に固定される。
【0057】
本発明は、より良い表現性という理由から、図1図9において、例示的に1つの抵抗素子4と末端にある2つの接続素子3、3‘を備えるだけの抵抗アセンブリ2をもとにして説明した。上記の方法を、2つ以上の抵抗素子と、可能な電流流路で2つの抵抗素子間に配置された少なくとも1つの別の接続素子を有する抵抗アセンブリに適用することも可能である。その場合、少なくとも2つの抵抗素子に同じ電流が流れ、そのことが二重化された電流測定を可能にするように、あるいは少なくとも2つの抵抗素子に異なる電流が流れ、そのことが部分電流の測定を可能にするように抵抗アセンブリを構成することができる。これらの場合に、2つの抵抗素子の間に配置された接続素子の材料から1つまたは複数の接点素子5を成形するためにも、上記の説明、図1図9、および実施例をもとにして説明された接点素子5を成形、および導体基板8との電気的接続を作成する方法を使用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 装置
2 抵抗アセンブリ
3、3‘ 接続素子
4 抵抗素子
5 接点素子
51 段部
52 端面
53 中空空間
55 区分
56 突出部
8 導体基板
81 上面
9 貫通孔
91 内表面
92 導電材料
11 パンチ
12 負型
121 空洞
122 内工具
14 拡開手段
A 長手軸
H 高さ
T 侵入深さ
D 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9