(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074065
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】壁紙糊付機
(51)【国際特許分類】
B44C 7/04 20060101AFI20230522BHJP
B05C 1/08 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
B44C7/04
B05C1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186810
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】極東産機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲士
【テーマコード(参考)】
4F040
【Fターム(参考)】
4F040AA22
4F040AB01
4F040AC01
4F040BA23
4F040CB16
4F040CB19
4F040CB22
(57)【要約】
【課題】
カットテープの移動や交換をする場合に、ナラシローラーの周囲をスポンジなどで清掃しやすく、カットテープをナラシローラーへ巻き付ける作業を容易にする機能を有する壁紙糊付機が望まれている。
【解決手段】
ナラシローラーにより糊面を均しながらカットテープを糊面に貼り付けて排出する壁紙糊付機であって、ナラシローラーを、ナラシローラーを回転させるためのナラシローラーギアの孔にワンウェイクラッチを嵌め込んで、ワンウェイクラッチの孔にナラシローラーの軸を挿入して取り付ける構造とし、送り出しローラーが壁紙を排出する方向に回転する場合は、ナラシローラーギアとナラシローラーの軸を連結させて、ナラシローラーを壁紙が排出する方向に回転させ、ナラシローラーがナラシローラー側から与えられた力で逆回転する場合は、ナラシローラーの軸とナラシローラーギアを空転させて、ナラシローラーを逆回転させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り出しローラーにより壁紙を搬送し、
糊付けローラーにより糊を塗布して糊面を形成し、
ナラシローラーにより糊面を均しながらカットテープまたは下敷きテープを糊面に貼り付けて排出する壁紙糊付機であって、
前記ナラシローラーを、前記ナラシローラーを回転させるためのナラシローラーギアの孔にワンウェイクラッチを嵌め込んで、前記ワンウェイクラッチの孔に前記ナラシローラーの軸を挿入して取り付ける構造とし、
前記送り出しローラーが壁紙を排出する方向に回転する場合は、
前記ナラシローラーギアと前記ナラシローラーの軸を連結させて、前記ナラシローラーを壁紙が排出する方向に回転させ、
前記ナラシローラーが前記ナラシローラー側から与えられた力で逆回転する場合は、
前記ナラシローラーギアと前記ナラシローラーの軸を空転させて、前記ナラシローラーを逆回転させることを特徴とする壁紙糊付機。
【請求項2】
前記ナラシローラーを本体部に軸支するための軸受板を設け、
前記軸受板が本体部の切り欠きに嵌まり込むことにより、
前記ナラシローラーを本体部に脱着自在に軸支することを特徴とする前記請求項1記載の壁紙糊付機。
【請求項3】
前記軸受板が、カットテープまたは下敷きテープを前記ナラシローラーに巻き付けるためのガイド部を有することを特徴とする前記請求項2記載の壁紙糊付機。
【請求項4】
前記ガイド部は、ナラシローラーの下方に設けられ、壁紙搬送経路の下流から上流に向かって登り勾配の傾斜面を有することを特徴とする前記請求項3記載の壁紙糊付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の天井や壁面に貼る壁紙に糊を塗布する自動壁紙糊付機である。詳しくは、カットテープや下敷きテープを壁紙の糊面に貼り付けながら糊付けを行う場合において、作業者がカットテープや下敷きテープをナラシローラーへ巻き付けるための作業を容易にするための機能を有する壁紙糊付機である。
【背景技術】
【0002】
従来、内装施工において、先に壁に貼り付けている壁紙に対して後から貼り合わせる壁紙の、先に貼っている壁紙側の端部には、壁紙糊付機で糊付けする際に、糊が付いている上にカットテープを貼り付けておき、壁紙を貼り合わせる時に剥がすようにすると手際よく作業ができることが知られており、この為のカットテープや下敷きテープが販売され、壁紙糊付機にはカットテープや下敷きテープを装着するための、カットテープ装置装置が備えられている。
また、カットテープや下敷きテープの種類は、長さが1000m巻きのものや500m巻きなどがあり、厚みの薄いものや厚いものが販売されている。
また、壁紙糊付機には、作業者が手で壁紙を引っ張る力で複数のローラーを回転させる手動壁紙糊付機と、モーターにより複数のローラーを回転させる自動壁紙糊付機が存在する。
【0003】
図10と
図11を用いて、従来技術の自動壁紙糊付機(101)において、カットテープや下敷きテープを貼り付けながら壁紙に糊付けする場合を説明する。
カットテープCや下敷きテープは、カットテープ芯棒(166)と、カットテープ芯棒(166)に通して取り付け可能な左右一対のサイド板(167)とカットテープ紙管の内側に当接してカットテープを保持する紙管保持部(168)で構成されるカットテープ装着装置にセットされて脚部(104)に装着される。
カットテープCや下敷きテープは、先頭が引き出され、糊箱(107)の底面に引っかけられて正面に沿って上昇し、ナラシローラー(114)の周囲に巻き付けられて、壁紙Aの糊Bが塗布された裏面の端部へ貼り付けられて壁紙Aと一緒に排出される。
【0004】
カットテープCの、壁紙Aの糊面に貼り付いていない側には糊Bは付着させない。
【0005】
また、カットテープCの幅方向のセット位置は、糊を塗布した壁紙Aの端にカットテープCが貼り付くようにするので、スリッター(106)により裁断された壁紙Aの幅が広い場合はナラシローラー(114)の外寄りにセットされ、幅が狭い場合は内寄りにセットされる。
【0006】
また、カットテープCを別の種類のものに交換する場合は、カットテープCを取り外して別のカットテープCに交換してセットをやり直す必要がある。
この場合、ナラシローラー(114)だけを回転させることができないので、作業者は、上部フレーム(102)を開けて、ナラシローラー(114)と他のローラーのギアとの連結を絶って、壁紙Aの位置がずれないように注意しながら、ナラシローラー(114)だけを回転させて、ナラシローラー(114)の周囲に付着している糊を掃除している。これを
壁紙Aの裁断幅を変更する毎に行っている。
【0007】
また、ナラシローラー(114)は、ナラシローラー(114)と糊切りが一体となって本体部(101a)に脱着自在のナラシローラーアッセンブリーが本体部(101a)に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【0009】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
数枚糊付けをした後で、スリッター(106)により裁断される壁紙Aの幅を幅を狭くした場合、作業者は、狭く裁断された壁紙Aの端部にカットテープCが貼り付くように内側へ移動させて、ナラシローラー(114)の表面の、幅の広い壁紙Aに接触して均していたところに付着している糊Bを、水を含ませたスポンジで拭き取らなければならないのであるが、
この時、本体部(101a)の搬送経路にある壁紙Aの位置をずらすと、シワが生じたり、次に作糊付を付ける壁紙Aの先頭の位置が変わってしまうので、上部フレーム(102)を締めて、検尺ローラー(108)と送り出しローラー(109)により壁紙Aを保持したまま、本体部(101a)の前方に垂れ下がっている壁紙Aをめくり上げてナラシローラー(114)が見えるようにして、ナラシローラー(114)の全周の糊Bを拭き取らなければならないが、ナラシローラー(114)が回転しないので全周の糊Bを拭き取ることが困難である。
【0011】
また、数枚糊付けをした後で、カットテープや下敷きテープを別のものに交換する場合、
糊が付着したナラシローラーアッセンブリーを作業者が手で持ち上げて、カットテープや下敷きテープをナラシローラーに巻き付けている。
以上のことから、カットテープCの移動や交換をする場合に、ナラシローラーの周囲をスポンジなどで清掃しやすく、カットテープをナラシローラーへ巻き付ける作業を容易にする機能を有する壁紙糊付機が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
送り出しローラーにより壁紙を搬送し、
糊付けローラーにより糊を塗布して糊面を形成し、
ナラシローラーにより糊面を均しながらカットテープまたは下敷きテープを糊面に貼り付けて排出する壁紙糊付機であって、
ナラシローラーを、ナラシローラーを回転させるためのナラシローラーギアの孔にワンウェイクラッチを嵌め込んで、ワンウェイクラッチの孔にナラシローラーの軸を挿入して取り付ける構造とし、
送り出しローラーが壁紙を排出する方向に回転する場合は、
ナラシローラーギアとナラシローラーの軸を連結させて、ナラシローラーを壁紙が排出する方向に回転させ、
ナラシローラーがナラシローラー側から与えられた力で逆回転する場合は、
ナラシローラーの軸とナラシローラーギアを空転させて、ナラシローラーを逆回転させることを特徴とする。
【0013】
ナラシローラーを本体部に軸支するための軸受板を設け、
軸受板が本体部の切り欠きに嵌まり込むことにより、
ナラシローラーを本体部に脱着自在に軸支することを特徴とする。
【0014】
軸受板が、カットテープまたは下敷きテープを前記ナラシローラーに巻き付けるためのガイド部を有することを特徴とする。
【0015】
ガイド部は、ナラシローラーの下方に設けられ、壁紙搬送経路の下流から上流に向かって登り勾配の傾斜面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
送り出しローラーにより壁紙を搬送し、
糊付けローラーにより糊を塗布して糊面を形成し、
ナラシローラーにより糊面を均しながらカットテープまたは下敷きテープを糊面に貼り付けて排出する壁紙糊付機であって、
ナラシローラーを、ナラシローラーを回転させるためのナラシローラーギアの孔にワンウェイクラッチを嵌め込んで、ワンウェイクラッチの孔にナラシローラーの軸を挿入して取り付ける構造とし、
送り出しローラーが壁紙を排出する方向に回転する場合は、
ナラシローラーギアとナラシローラーの軸を連結させて、ナラシローラーを壁紙が排出する方向に回転させ、
ナラシローラーがナラシローラー側から与えられた力で逆回転する場合は、
ナラシローラーの軸とナラシローラーギアを空転させて、ナラシローラーを逆回転させることを特徴とするので、
途中で、糊を塗布する壁紙の幅を狭くする場合、
上部フレームを閉じたまま、垂れ下がっている壁紙めくりあげて、
ナラシローラーを手で逆転させながら、表面に付着している糊を拭き取ることができる。
また、この時、ナラシローラー以外の全てのローラーギアは噛合状態にあるが、ナラシローラーだけが空転するので、本体部の内部の壁紙はナラシローラー以外の全てのローラーで保持されているので移動しない。
また、ナラシローラーだけが空転するので、作業者は弱い力でナラシローラーを逆回転させることができる。
作業者はナラシローラーの全周を容易に拭き取ることができる。
【0017】
ナラシローラーを本体部に軸支するための軸受板を設け、
軸受板が本体部の切り欠きに嵌まり込むことにより、
ナラシローラーを本体部に脱着自在に軸支することを特徴とするので、
作業者はナラシローラーを手で持ち上げられて隙間を作り、カットテープをナラシローラーに巻き付けられることができる。
また、ナラシローラーを本体から外して水洗いすることができる。
【0018】
軸受板が、カットテープまたは下敷きテープを前記ナラシローラーに巻き付けるためのガイド部を有することを特徴とするので、
カットテープ装着装置に装着しているカットテープを別の種類のものに交換した場合は、
カットテープの先頭を、ガイド部とナラシローラーの隙間に押し込んでいけば、
カットテープはガイド部に沿ってナラシローラーを囲むように上方へ顔を出すので、
作業者はカットテープを容易にナラシローラーに巻き付けることができる。
【0019】
ガイド部は、ナラシローラーの下方に設けられ、壁紙搬送経路の下流から上流に向かって登り勾配の傾斜面を有することを特徴とするので、
カットテープはガイド部に沿ってナラシローラーを囲むように上方へ顔を出すので、
作業者はカットテープを容易にナラシローラーに巻き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の自動壁紙糊付機の構成を説明するための斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の自動壁紙糊付機の構成を説明するための断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の自動壁紙糊付機の制御装置のブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の自動壁紙糊付機のギアの連結を説明するための図であり、本体部の左側面を示している。
【
図5】
図5は、本発明の自動壁紙糊付機のギアの連結を説明するための図であり、本体部の右側面を示している。
【
図6】
図6は、本発明の自動壁紙糊付機のナラシローラーアッセンブリーを説明するための図である。
【
図7】
図7は、ナラシローラーアッセンブリーを本体部に軸支する状態を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明の自動壁紙糊付機の本発明の自動壁紙糊付機のナラシローラーの構造を説明するための図であり、
図8(a)は、ナラシローラーアッセンブリー(81)が下部フレーム(3)に装着されている状態を壁紙Aが排出される側から見た図であり、
図8(b)は、ギア側から見た図である。
【
図9】
図9は、ナラシローラーアッセンブリーに設けられた、カットテープを通す場合のガイド部を説明するための図であり、
図9(a)はアーム(84)が糊付けを実行する位置、
図9(b)、上側へ回動した位置である。
【
図10】
図10は、従来技術の自動壁紙糊付機を説明するための斜視図である。
【
図11】
図11は、従来技術の自動壁紙糊付機を説明するための断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1と
図2を用いて本発明の自動壁紙糊付機(1)の構成を説明する。
自動壁紙糊付機(1)は、本体部(1a)と脚部(4)とスリッター(6)と制御装置(5)からなる。
本体部(1a)は、左右一対の上部フレーム(2)と左右一対の下部フレーム(3)からなり、上部フレーム(2)は開閉支点により下部フレーム(3)に対して開閉可能である。
下部フレーム(3)には、送り出しローラー(9)、ドクターローラー(11)、糊付けローラー(12)、ナラシローラー(14)が軸支されており、
また、左右一対の下部フレーム(3)の間には糊箱(7)が装着され、糊箱(7)の内部には糊Bを汲み上げて糊付けローラー(12)に転写するための糊上げローラー(15)が設けられている。
また、下部フレーム(3)には壁紙Aの左右端を裁断する為の、左右一対の上刃(28)と左右一対の下刃(29)が配設されたスリッター(6)が装着される。
【0022】
また、上部フレーム(2)には、検尺ローラー(8)、ハイテンションローラー(10)、押さえローラー(13)が軸支されており、検尺ローラー(8)の軸端には検尺部(35)が設けられている。
【0023】
続いて、
図4と
図5を用いて、各ローラーを回転させるためのギアについて説明する。
図4は本体部(1a)の左側(糊付け作業者から見て左手)であり、壁紙Aは
図4の左側から送り込まれて右側に排出される。(壁紙Aが送り込まれる側を上流、排出される側を下流と称する。)
図5は、本体部(1a)の右側(糊付け作業者から見て右手)であり、壁紙Aは
図5の右側から送り込まれて左側に排出される。
図5の右側が上流である。
図4に示す、モーターギア(51)が第一中継ギア(52)の大径ギア(52a)と噛合し、第一中継ギア(52)の小径ギア(52b)に糊付けローラー左ギア(53)が噛合する。
本発明の自動壁紙糊付機(1)の回転駆動源はモーター(24)であり、駆動伝達の源のギアはモーター(24)の出力軸(24a)に取り付けられたモーターギア(51)である。
【0024】
図4に示す、糊付けローラー左ギア(53)とドクターローラーギア(54)が噛合する。
【0025】
図4に示す、ドクターローラーギア(54)と送り出しローラーギア(55)が噛合する。
【0026】
図5に示す、糊付けローラー(12)の右側の軸に取り付けられている糊付けローラー右ギア(56)と第五中継ギア(60)が噛合し、第五中継ギア(60)とナラシローラーギア(61)が噛合する。ナラシローラーギア(61)はワンウェイクラッチ(89)を介してナラシローラー軸(82)に取り付けられている。
【0027】
図5に示す、糊付けローラー右ギア(56)と第二中継ギア(57)が噛合し、第二中継ギア(57)と第三中継ギア(58)が噛合し、第三中継ギア(58)と第四中継ギア(59)が噛合し、第四中継ギア(59)と下刃右ギア(63)が噛合し、下刃右ギア(63)と上刃右ギア(62)が噛合する。
【0028】
糊付けローラー(12)の下部フレーム(3)の内側に取り付けられた糊上ローラー駆動ギア(図示せず)と、糊上ローラー(15)に取り付けられた糊上ローラーギア(図示せず)が噛合する。
【0029】
検尺ローラー(8)とハイテンションローラー(10)には、モーター(24)の駆動力を伝達するためのギアは取り付けられていない。
【0030】
続いて、各ローラーの役割を説明する。 送り出しローラー(9)は、壁紙Aを検尺ローラー(8)と送り出しローラー(9)で挟み込んで、壁紙Aを搬送するためのローラーである。
図4に示す送り出しローラーギア(55)が時計回りに回転し、
図1に示す原反受け(19)にセットされた壁紙Aが引き出され、スリッター(6)の上刃(28)と下刃(29)により、幅方向が裁断されてから本体部(1a)の内部へ搬送される。
【0031】
糊付けローラー(12)は糊を付けるためのローラーであり、糊付けローラー(12)の回転と糊上ローラー(15)の回転により、糊箱(7)の内部に貯留されている糊Bが汲み上げられて糊付けローラー(12)の表面に転写され、ドクターローラー(11)と糊付けローラー(12)との隙間によって定められた所定の厚みの糊Bが糊付けローラー(12)によって壁紙Aの裏面に塗布されて糊面が形成されて下流へ搬送される。
【0032】
ナラシローラー(14)は糊面を均らすためのローラーであり、糊付けローラー(12)の下流に配置されている。ナラシローラー(14)が壁紙Aの裏面に接触して回転することによって、糊面が均らされてから壁紙Aは排出される。
図5では、ナラシローラーギア(61)が反時計回りに回転して糊面が均らされて壁紙Aが搬送される。
【0033】
また、検尺ローラー(8)とハイテンションローラー(10)は、左右一対の上部フレーム(2)に軸支されおり、壁紙Aを下方へ押さえるローラーであり、作業者により上部フレーム(2)が開けられた場合には、壁紙Aから離れるローラーである。
また、検尺ローラー(8)は搬送される壁紙Aに従動回転して検尺信号(37)を生成する役割もする。
【0034】
また、第五中継ギア(60)は 上部フレーム(2)に取り付けられているので、作業者により上部フレーム(2)が開けられた場合には、糊付けローラー右ギア(56)とナラシローラーギア(61)の噛合は絶たれる。
【0035】
また、モーター(24)の回転駆動が伝達されるローラーで壁紙Aに接触するローラーの配置は、送り出しローラー(9)が最も上流で、次に糊付けローラー(12)で、ナラシローラー(14)が一番下流であり、壁紙Aに対する周速はナラシローラー(14)が一番速くなっている。
【0036】
続いて、本発明の自動壁紙糊付機(1)の制御装置(5)の機能を、
図3のブロックを用いて説明する。
【0037】
モーター(24)はDCブラシレスモーターであり、ホール素子によりローターの位置を検出して回転方向と回転速度に比例した信号を出力する機能を有している。
【0038】
モーター制御部(34)はモーター(24)から出力される回転方向や回転速度に比例した信号によりモーター(24)を速度制御する。
【0039】
表示操作部(30)は、自動壁紙糊付機(1)の作動条件の入力や作動状態の出力や作動指示をするためのものであり、複数のキースイッチと液晶表示器とタッチパネル等で構成されている。また、操作音や通知音を発生するブザー(図示せず)が設けられている。
【0040】
記憶部(32)は、演算部(33)が実行する複数の処理を記憶し、処理を実行する為に必要な変数や、作動条件などのデータや糊付実行レコード等のデーターを記憶するためのRAMとROMである。
【0041】
検尺部(35)は、搬送される壁紙に従動回転する検尺ローラー(8)の回転に比例する検尺信号(37)を生成する。
【0042】
クロス検知部(36)は壁紙Aの有無を検知するものである。
【0043】
通信部(31)は、携帯端末装置等とデーターを送受信するものである。
【0044】
演算部(33)は、主にワンチップマイコンからなり、予め定められたシーケンスを実行することにより、自動壁紙糊付機(1)を制御するものであり、検尺部(35)により生成される検尺信号(37)を計数して搬送した壁紙Aの「実行糊付け長さ」を算出する。演算部(33)は、検尺信号(37)を1つ計数する毎に、カウンタとしてのパラメータtを、t←t+1として加算し、「実行糊付け長さ」Lを、L=t×P、(Pは検尺信号(37)を1つ計数した場合の壁紙Aの移動距離(検尺ローラー(8)の直径に基づき定めている定数))として求める。
また、演算部(33)は、表示操作部(30)やモーター制御部(34)や通信部(31)などを制御する機能を有している。
【0045】
図6と
図7を用いてナラシローラーアッセンブリー(81)を説明する。
ナラシローラーアッセンブリー(81)は、ナラシローラー(14)と、左右一対の軸受板(83)からなり、軸受板(83)には、内側糊切り(88)が複数個取り付けられた内側糊切りステー(86)が脱着自在に取り付けられている。
また、複数の外側糊切り(87)が取り付けられた外側糊切りステー(85)が、アーム(84)により、ナラシローラー(14)の軸(82)に脱着自在、かつ、回動自在に装着され、外側糊切りステー(85)はナラシローラー(14)の軸(82)を中心に回動できる(
図9(b)は上側へ回動した位置、
図9(a)は糊付けを実行する位置)。
【0046】
また、
図7に示すように、軸受板(83)が下部フレーム(3)に設けられた切り欠き(3a)に嵌まり込んで、ナラシローラー(14)を含むナラシローラーアッセンブリー(81)が本体部(1a)に脱着自在に軸支される。
【0047】
図8を用いて、ナラシローラー(14)の詳細を説明する。
ナラシローラー(14)は、ワンウェイクラッチ(89)とナラシローラーギア(61)で構成され、ワンウェイクラッチ(89)の孔(89a)にナラシローラー(14)の軸(82)が通されて取り付けられており、ワンウェイクラッチ(89)はナラシローラーギア(61)の孔(61a)に嵌め込まれて取り付けられている。
ワンウェイクラッチ(89)とナラシローラーギア(61)は、ナラシローラーアッセンブリー(81)が本体部(1a)の下部フレーム(3)の切り欠き(3a)に嵌り込んで装着された時に右側になるナラシローラー(14)の軸(82)に取り付けられており、
ナラシローラー(14)が本体部(1a)に軸支された時に、ナラシローラーギア(61)は第5中継ギア(60)と噛合する。
【0048】
ナラシローラー(14)の軸(82)にワンウェイクラッチ(89)が取り付けられている向きは、本発明の自動壁紙糊付機(1)は、ナラシローラー(14)は壁紙Aが排出される方向と同じ方向(順方向)に回転して糊面を均す方式としているので、モーターギア(51)からの回転駆動が、
図4に示した各ギアの噛合により送り出しローラーギア(55)に伝達されて、送り出しローラー(9)が壁紙Aを排出する方向に回転している場合に、
図5に示す、第五中継ギア(60)が時計回りに回転してナラシローラーギア(61)が反時計回りに回転し、ナラシローラーギア(61)とナラシローラー(14)の軸(82)が、ワンウェイクラッチ(89)の作用により連結されて、ナラシローラー(14)は壁紙Aが排出される方向に回転し、
【0049】
一方、ナラシローラー(14)側から与えられた力でナラシローラー(14)が逆回転する場合((壁紙Aが排出される方向とは反対方向に回転する場合)(
図5に示す、ナラシローラー(14)が時計回りに回された場合))には、ナラシローラー(14)の軸(82)は、ワンウェイクラッチ(89)の作用により、ナラシローラーギア(61)に対して空転する向きとしている。
【0050】
このような向きにワンウェイクラッチ(89)を取り付ける目的は、自動壁紙糊付機(1)の制御装置(5)が糊付けを実行するためにモーター(24)を回転させている時には、
図4と
図5に示す全てのギヤは噛合して全てのローラーが回転するようにし、制御装置(5)が1枚の壁紙の糊付け実行を終えてモーター(24)を停止させている時に、作業者が手でナラシローラー(14)を逆回転させた場合に、弱い力でナラシローラー(14)を逆回転させることができ、かつ、ナラシローラー(14)が逆回転させられている時に、
図4と
図5に示す全てのギヤは噛合したままで、ナラシローラー(14)以外の全てのローラー(送り出しローラー(9)、ハイテンションローラー(10)、ドクターローラー(11)、糊付けローラー(12)、押さえローラー(13)、ナラシローラー(14)、糊上げローラー(15))は回転駆動力を受けず、壁紙Aは移動せず、壁紙Aに従動回転する検尺ローラー(8)も回転せず、検尺信号(37)が発生しないようにして、壁紙Aの停止位置を、制御装置(5)が1枚の壁紙の糊付け実行を終えてモーター(24)を停止させた時の位置で保持するようにするためでる。
【0051】
続いて、軸受板(83)に設けられている、カットテープCの先頭を導くためのガイド部(83b)を、
図8と
図9を用いて説明する。
図8は、ナラシローラーアッセンブリー(81)が本体部(1a)に装着されている状態を、壁紙Aが排出される側(自動壁紙糊付機の正面側)から見た図である。
ガイド部(83b)は、軸受板(83)の孔(83a)の下側で、自動壁紙糊付機(1)の中央の方向へ飛び出した突起であり、ナラシローラー(14)の軸(82)を囲むように設けられている。
図9に示すように、ガイド部(83b)の、ナラシローラー(14)の真下から前方は水平面(83c)になっており、ナラシローラー(14)の後方(上流側)ではガイド部(83b)は曲面(83d)になっており、曲面(83d)は、前方から後方へ向かって上り坂の曲面となっている。
ガイド部(83b)は、ナラシローラー(14)の下方に設けられた、壁紙搬送経路の下流(壁紙排出側から)上流(壁紙原反側)に向かって登り勾配の傾斜面である。
【0052】
ガイド部(83b)をこのような形状にする目的は、
図9(b)に示すように、カットテープCの先頭が、自動壁紙糊付機(1)の正面側から、ナラシローラー(14)の軸(82)とガイド部(83b)の水平面(83c)との隙間に通されて、後方へ押し込まれた時に、カットテープCの先頭は水平面(83c)に沿ってナラシローラー(14)の軸(82)の後方に進んでから、曲面(83e)に当たって沿いながら上方へ向きを変えてからナラシローラー(14)の軸(82)よりも上の方へ顔を出して、ナラシローラー(14)の周囲に巻き付くように、ガイド部(83b)を作用させるためである。
【0053】
続いて、本発明の自動壁紙糊付機(1)を用いて、カットテープCを貼り付けながら壁紙Aに糊付けする様子を説明する。
図2に示すように、カットテープ装着装置は、カットテープ芯棒(66)と、カットテープ芯棒(66)に通して取り付け可能な左右一対のサイド板(67)とカットテープ紙管の内側に当接してカットテープCを保持する紙管保持部(68)からなり、カットテープCの紙管の内空部分に嵌め込んでカットテープCを保持した紙管保持部(68)をカットテープ芯棒(66)に通して回転自在に取り付け、左右一対のサイド板(66)により挟み込んで蝶ネジ(図示せず)によって固定して脚部(4)に装着される。
【0054】
そして、作業者によりカットテープCの先頭を引き出されて、糊箱(7)の底面に引っかけて正面に沿わせて上昇させ、ナラシローラーアッセンブリー(81)のガイド部(83b)に通されてナラシローラー(14)に巻き付けられる。
【0055】
続いて、作業者により、糊箱(7)に糊Bが入れられ、モーター(24)の起動が指示され、全てのローラーが回転し、糊付けローラー(12)の表面に糊Bが付着する。
【0056】
続いて、作業者により、壁紙Aの原反から壁紙Aの先頭が引き出されて、上部フレーム(2)が開けられ、糊付けローラー(12)の上にセットされて、上部フレーム(2)が閉じられ、モーター(24)の起動が指示され、全てのローラーが回転して壁紙Aが搬送され、
糊Bが塗布された裏面にカットテープCが貼り付いて自動壁紙糊付機(1)の正面に排出されて垂れ下がる。
【0057】
以上で準備作業は終わったので、続いて、作業者により、表示操作部(30)の数字キーやセットキーなどで、糊を付ける壁紙Aの「設定糊付け長さ」と「設定枚数」が設定されてスタートキーが押されると、演算部(33)は、モーター(24)を起動して送り出しローラー(9)など複数のローラーを回転させると、壁紙原反受け(19)にセットされた壁紙Aは、送り出しローラー(9)と検尺ローラー(8)に挟まれて引き出され、スリッター(6)の上刃(28)と下刃(29)により側縁部が切断され、所定の幅に定められて、本体部(1a)の内部へ搬送される。
演算部(33)は、搬送される壁紙Aに従動回転検尺ローラー(8)により生成される検尺信号(37)を計数して「実行糊付け長さ」を算出する。
【0058】
糊Bは、糊上げローラー(15)により汲み上げられて糊付けローラー(12)に転写され、ドクターローラー(11)と糊付けローラー(12)の隙間によって所定の厚みに定められて壁紙Aの裏面に塗布される。
糊Bが塗布された壁紙Aの裏面は、ナラシローラー(14)によって均される。
ナラシローラー(14)に巻きつけられているカットテープCは、糊Bが塗布された壁紙Aの裏面に貼り付いて、壁紙Aと一緒に排出される。
【0059】
演算部(33)は、「実行糊付け長さ」が「設定糊付け長さ」に達すれば、モーター(24)を停止させる。
作業者は脚部ステー(27)の上面にカッターナイフを沿わせて、カットテープCが貼り付いている壁紙Aを一直線に切断すると1枚目の糊付き壁紙ができあがる。
同様のことを繰り返して複数枚の糊付き壁紙を造っていく。
【0060】
そして、途中で、糊Bを塗布する壁紙Aの幅を狭くする場合、作業者は、左右の上刃(28)、下刃(29)の幅を狭くし、左右のカットテープ装着装置の幅を狭くし、上部フレーム(2)を閉じたまま、
図9(b)に示すように、垂れ下がっている壁紙Aをめくりあげて、ナラシローラー(14)を、手で逆転させながら、表面に付着している糊Bを拭き取る。
【0061】
この時、ナラシローラー(14)は、ナラシローラー(14)以外の全てのローラー(送り出しローラー(9)、ハイテンションローラー(10)、ドクターローラー(11)、糊付けローラー(12)、押さえローラー(13)、ナラシローラー(14)、糊上げローラー(15))のギアは噛合状態にあるが、ワンウェイクラッチ(89)の作用により、ナラシローラー(14)だけが空転するので、本体部(1a)の内部の壁紙Aはナラシローラー(14)以外の全てのローラーで保持されているので移動しない。
また、ナラシローラー(14)だけが空転するので、作業者は弱い力でナラシローラー(14)を逆転させることができる。
【0062】
作業者は、表面に付着している糊Bを拭き取ったところへカットテープCを移動させて、続きの壁紙Aの糊付けを行う。
【0063】
また、途中で、カットテープ装着装置に装着しているカットテープCを別の種類のものに交換した場合は、
図9(b)に示すように、外側糊切りステー(85)を回動させてから、
交換したカットテープCの先頭を、軸受板(83)の下方のガイド部(83b)とナラシローラー(14)の隙間に押し込んでいけば、カットテープCはガイド部(83b)に沿って
ナラシローラー(14)のナラシローラー軸(82)を囲むように上方へ顔を出すので、作業者はナラシローラー(14)に巻き付ける。
そして、カットテープCをナラシローラー(14)に巻き付ける位置が、壁紙Aの端にくるようにカットテープ装着装置の取り付け位置を調整する。そして、続きの壁紙Aの糊付けを行う。
【0064】
全ての壁紙Aの糊付けが終わると、作業者はナラシローラーアッセンブリー(81)ごとナラシローラーを本体部(1a)から外して水洗いする。
【符号の説明】
【0065】
1 自動壁紙糊付機
1a 本体部
2 上部フレーム
3 下部フレーム
3a 切り欠き
4 脚部
5 制御装置
6 スリッター
7 糊箱
8 検尺ローラー
9 送り出しローラー
9a 送り出しローラー軸
10 ハイテンションローラー
11 ドクターローラー
11aドクターローラー軸
12 糊付けローラー
12a糊付けローラー軸
13 押さえローラー
14 ナラシローラー
15 糊上げローラー
16 スリッター背面ステー
17 スリッター入り口ステー
18 取手
19 原反受け
20 原反芯棒
21 サイド板
22 テンションバー
23 スリッターフレーム
24 モーター
24aモーター出力軸
25 糊箱前面
26 下部前方ステー
27 脚部ステー
28 上刃
29 下刃
30 表示操作部
31 通信部
32 記憶部
33 演算部
34 モーター制御部
35 検尺部
36 クロス検知部
37 検尺信号
51 モーターギア
52 第一中継ギア
52a 大径ギア
52b 小径ギア
53 糊付けローラー左ギア
54 ドクターローラーギア
55 送り出しローラーギア
56 糊付けローラー右ギア
57 第二中継ギア
58 第三中継ギア
59 第四中継ギア
60 第五中継ギア
61 ナラシローラーギア
61a ナラシローラーギアの孔
62 上刃右ギア
63 下刃右ギア
64 上刃左ギア
65 下刃左ギア
66 カットテープ心棒
67 サイド板
68 紙管保持部
81 ナラシローラーアッセンブリー
82 ナラシローラー軸
83 軸受板
83a 軸受板の孔
83bガイド部
83cガイド部の水平面
83dガイド部の曲面
83e軸受板の凹部
83f
84 アーム
85 外側糊切りステー
86 内側糊切りステー
87 外側糊切り
88 内側糊切り
89 ワンウェイクラッチ
89a ワンウェイクラッチの孔
101 自動壁紙糊付機
101a 本体部
102 上部フレーム
103 下部フレーム
104 脚部
105 制御装置
106 スリッター
107 糊箱
108 検尺ローラー
109 送り出しローラー
110 ハイテンションローラー
111 ドクターローラー
112 糊付けローラー
113 押さえローラー
114 ナラシローラー
115 糊上げローラー
116 スリッター背面ステー
117 スリッター入り口ステー
118 取手
119 原反受け
120 原反芯棒
121 サイド板
122 テンションバー
123 スリッターフレーム
124 モーター
125 糊箱前面
126 下部前方ステー
127 脚部ステー
128 上刃
129 下刃
130 表示操作部
A 壁紙
B 糊
C カットテープ