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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074074
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20230522BHJP
   B65G 47/84 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
B65G47/14 M
B65G47/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186827
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】関口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】カルピオ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英人
(72)【発明者】
【氏名】山口 健吾
【テーマコード(参考)】
3F072
3F080
【Fターム(参考)】
3F072AA27
3F072AA33
3F072GA06
3F072GB07
3F072GB10
3F072GC07
3F072KC02
3F080AA05
3F080AA34
3F080BA01
3F080BB03
3F080BC01
3F080BD02
3F080CC02
3F080CF01
3F080DA01
(57)【要約】
【課題】搬入時は向きがバラバラの物品を姿勢矯正して搬送でき、後段に安定した供給を実現でき、検査精度を向上させる物品搬送装置を提供する。
【解決手段】厚みの小さい偏平小塊状の物品Wを供給する供給手段6の下方に配置され、水平軸7で回転されて供給手段6から落下される物品Wを外周の凹部8で受けるとともに下方に搬送する搬送回転体2を具備する物品搬送装置であって、凹部8は、物品Wの厚み方向が水平軸7に沿う起立姿勢となる向きで挟んで物品Wの姿勢を矯正する姿勢矯正部12を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みの小さい偏平小塊状の物品(W)を供給する供給手段(6)の下方に配置され、水平軸(7)で回転されて前記供給手段から落下される前記物品を外周の凹部(8)で受けるとともに下方に搬送する搬送回転体(2)を具備する物品搬送装置であって、
前記凹部は、前記物品の厚み方向が前記水平軸に沿う起立姿勢となる向きで挟んで前記物品の姿勢を矯正する姿勢矯正部(12)を有することを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記姿勢矯正部は、前記凹部の開口部分に形成されて、前記凹部に進入する前記物品の厚み方向に徐々に接近して最接近部における離間距離が前記物品の厚みよりも大きいテーパー部(13)を有することを特徴とする請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記搬送回転体の円周方向に等間隔で複数が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記搬送回転体は、前記水平軸と平行で前記水平軸を含む水平面よりも上方で前記供給手段から前記物品を受け取り、円周方向において前記受け取りの位置よりも搬送方向下流側で前記物品を排出することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記搬送回転体の外周に沿って設けられて前記凹部の開口を塞ぎ、前記凹部とで搬送室(16)を構成し、その終端位置(17)が前記物品の排出位置となる案内壁(3)を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記搬送回転体からの前記物品の排出先が、検査手段(4)であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の物品搬送装置。
【請求項7】
前記検査手段の次段には、前記検査手段の検査結果に基づき前記物品を選別する選別部(5)が設けられることを特徴とする請求項6に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円板形錠剤等の偏平な固形製剤を、これらをランダムな状態で貯蔵したホッパーから印刷装置やPTP包装装置等へ整列した状態で搬送する固形製剤搬送装置が知られている(特許文献1等参照)。この固形製剤搬送装置は、ホッパーから供給ドラムの第1の収容ポケットに固形製剤を移し換える場合において、あらかじめガイド溝の部分で固形製剤をその最大の円形断面が垂直となる状態に整列させる。ガイド溝は、そのままの状態で、第1の収容ポケットに固形製剤を移し換えるように構成したので、1つの第1の収容ポケットには、必ず1個の固形製剤が収容され、かつ2個以上は収容されることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-271086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の固形製剤搬送装置は、ガイド溝の幅を、円板状固形製剤の最大断面積円の直径よりも小さくなるように設定し、ホッパーの底部のガイド溝の部分において、円板状固形製剤が縦方向に整列するように構成されるが、多数の円板状固形製剤を貯蔵するホッパーの底部では、上方に積載された円板状固形製剤の荷重が相互に作用して、第1の収容ポケットへの円板状固形製剤の移し換え時に、姿勢がバラつくことが懸念される。姿勢がバラつけば、安定した検査精度を実現できない場合がある。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、搬入時は向きがバラバラの物品を姿勢矯正して搬送でき、後段に安定した供給を実現でき、検査精度を向上させる物品搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
【0007】
本発明の請求項1記載の物品搬送装置は、厚みの小さい偏平小塊状の物品Wを供給する供給手段6の下方に配置され、水平軸7で回転されて前記供給手段6から落下される前記物品Wを外周の凹部8で受けるとともに下方に搬送する搬送回転体2を具備する物品搬送装置であって、
前記凹部8は、前記物品Wの厚み方向が前記水平軸7に沿う起立姿勢となる向きで挟んで前記物品Wの姿勢を矯正する姿勢矯正部12を有することを特徴とする。
【0008】
この物品搬送装置では、凹部8が、搬送回転体2からの物品Wの投入部分に、姿勢矯正部12を有する。物品Wは、凹部8に進入する際に、この姿勢矯正部12を通過することになる。姿勢矯正部12は、物品Wの姿勢を所定の向きに矯正(修正)する。
物品Wは、錠剤などの偏平小塊状である。偏平小塊状は、円板形、多角形(三角形、五角形、六角形等)などである。また、偏平小塊状は、板表裏面を曲面で膨出させたR錠形などであってもよい。
姿勢矯正部12は、この偏平小塊状の物品Wを、起立姿勢に矯正する。起立姿勢とは、物品Wの厚み方向が搬送回転体2の水平軸7に沿う方向である。従って、物品Wが円板状である場合、表裏円形面の中心を通る軸線が、水平軸7と同方向となる。つまり、物品Wは、凹部8の中で立った状態となる。物品Wは、立った姿勢で搬送回転体2の下降搬送路(時計回り回転する搬送回転体2のほぼ12時から6時までの範囲である右半部の範囲)を移動することになる。
この起立姿勢とすることにより、物品Wは、他部材に触れない状態で搬送を行うことが可能となり、例えば、次段の検査手段4へ転がりながら移載が可能となる。これにより、検査手段4では、物品Wが、凹部8の側壁などに触れなくなる自立した起立姿勢となるので、測定時の精度を向上させることができる。
【0009】
本発明の請求項2記載の物品搬送装置は、請求項1に記載の物品搬送装置であって、
前記姿勢矯正部12は、前記凹部8の開口部分に形成されて、前記凹部8に進入する前記物品Wの厚み方向に徐々に接近して最接近部における離間距離が前記物品Wの厚みよりも大きいテーパー部13を有することを特徴とする。
【0010】
この物品搬送装置では、姿勢矯正部12が、テーパー部13を有する。テーパー部13は、物品Wの落下に伴って、物品Wの姿勢を修正する斜面となる。
これにより、テーパー部13に落下した物品Wは、テーパー部13の斜面に当たると、下部の厚み方向が凹部8内のスリット14に挟まれて落ち込む。物品Wは、直径がこのスリット14の溝幅よりも大きいので、スリット14内において、軸線が、搬送回転体2の水平軸7に直交方向となる平伏姿勢とはならない。
このようにして、テーパー部13とスリット14により姿勢が修正された凹部8内の物品Wは、回転方向側のテーパー部13が無い部分へ重力により移動される。凹部8は、このテーパー部13が無い部分では、幅狭のスリット14が搬送回転体2の外周面で開口する。物品Wは、この幅狭のスリット14のみとなった部分に移動することにより、テーパー部13で立ちつつあった状態から、きちんと立つことになる。つまり、このテーパー部13が無い部分が、物品Wを立たせる(起立姿勢となる)ように機能する。換言すれば、物品Wは、凹部8の全長にテーパー部13があると、立ちきらない可能性がある。また、物品Wは、搬送回転体2が止まっている状態ではテーパー部13からスリット14に落ちても、起立姿勢には至らない。姿勢矯正部12は、搬送回転体2が回っていることにより、テーパー部13の位置から入った物品Wが、先端方向のスリット14のみの部分に重力にて移動していき、そのときに物品Wの姿勢を起立姿勢に矯正することができる。
【0011】
本発明の請求項3記載の物品搬送装置は、請求項1または2に記載の物品搬送装置であって、
前記凹部8は、前記搬送回転体2の円周方向に等間隔で複数が設けられていることを特徴とする。
【0012】
この物品搬送装置では、搬送回転体2の円周方向に複数の凹部8が等間隔で設けられている。供給手段6からバラバラなタイミングで物品Wが凹部8に投入されても、重力により凹部8の下端に配置される前壁10に寄せられるので、必ず同じタイミングで、次段へ移載が可能となる。
凹部8は、搬送回転体2の外周の方向に、物品Wが移動可能な所定の長さで形成されているので、供給手段6からの投入位置がずれても、そのバラツキを吸収して基準位置となる等間隔の各凹部8にて位置決めすることができる。つまり、次々に供給される個々の物品Wに対して長めの凹部8を用意していて、供給手段6からの投入タイミングがずれても、きちんと凹部8の中に入り、また、凹部8毎の間隔で搬送できるようになっている。
【0013】
本発明の請求項4記載の物品搬送装置は、請求項1~3のいずれか1つに記載の物品搬送装置であって、
前記搬送回転体2は、前記水平軸7と平行で前記水平軸7を含む水平面よりも上方で前記供給手段6から前記物品Wを受け取り、円周方向において前記受け取りの位置よりも搬送方向下流側で前記物品Wを排出することを特徴とする。
【0014】
この物品搬送装置では、搬送回転体2が、水平軸7と平行で水平軸7を含む水平面よりも上方で供給手段6から物品Wを受け取る。この受け取り範囲は、例えば時計回りで回転する搬送回転体2の場合、ほぼ9時の位置から3時の位置までの略上半部の範囲となる。これにより、重力を利用して、搬送回転体2の外周面への投入が容易となる。また、物品Wの排出位置は、搬送回転体2の円周方向において、上記の受け取りの位置よりも搬送方向下流側となる。すなわち、3時の位置から、9時までの略下半部の位置とすることができる。これにより、重力を利用して、物品Wの姿勢を凹部8にて矯正し、搬送回転体2の外周面から物品Wを容易に排出できるようになる。
【0015】
本発明の請求項5記載の物品搬送装置は、請求項1~4のいずれか1つに記載の物品搬送装置であって、
前記搬送回転体2の外周に沿って設けられて前記凹部8の開口を塞ぎ、前記凹部8とで搬送室16を構成し、その終端位置17が前記物品Wの排出位置となる案内壁3を有することを特徴とする。
【0016】
この物品搬送装置では、姿勢矯正部12にて偏平小塊状の物品Wが起立姿勢に矯正され、凹部8の中で立った状態となり、立った物品Wは、重力により、搬送室16内にて凹部8を構成する前壁10と案内壁3とに接しながら、立った姿勢で搬送回転体2の下降搬送路(時計回り回転する搬送回転体2のほぼ12時から6時までの範囲である右半部の範囲)を移動することになる。物品Wは、立った姿勢で搬送回転体2の下降搬送路(時計回り回転する搬送回転体2のほぼ12時から6時までの範囲である右半部の範囲)を移動することになる。これにより、重力を利用して、物品Wの姿勢を凹部8にて矯正し、案内壁3に沿わせて搬送し、終端位置17から物品Wを容易に排出できるようになる。
【0017】
本発明の請求項6記載の物品搬送装置は、請求項1~4のいずれか1つに記載の物品搬送装置であって、
前記搬送回転体2からの物品Wの排出先が、検査手段4であることを特徴とする。
【0018】
この物品搬送装置では、搬送回転体2からの物品Wの排出先が、検査手段4となる。物品Wは、案内壁3と、搬送回転体2の凹部8とにより構成される搬送室16に収容されて、検査手段4へ送られる。物品Wは、搬送室16を構成する凹部8の前壁10に接した状態で、検査手段4へ移される。前壁10は、搬送回転体2の外周面に等間隔で設けられている。
従って、一定の回転速度で回転される搬送回転体2からは、一定の排出タイミングで物品Wが検査手段4へ送られる。また、物品Wは、起立姿勢となって検査手段4へ送られる。検査手段4は、物品Wが定間隔で送られることにより、物品Wの揺らぎを減衰させた後に、静止状態の物品Wを検査することができる。
【0019】
本発明の請求項7記載の物品搬送装置は、請求項6に記載の物品搬送装置であって、
前記検査手段4の次段には、前記検査手段4の検査結果に基づき前記物品Wを選別する選別部5が設けられることを特徴とする。
【0020】
この物品搬送装置では、物品Wの検査が検査手段4で終了すると、凹部8の後壁11が物品Wを押し出し、検査手段4から物品Wが選別部5へと送られる。選別部5は、検査手段4から物品Wが到着する前に、検査手段4による検査結果が入力される。選別部5は、この検査結果を受信すると、物品Wが到達する前に、物品Wの排出経路を、例えばOK品経路またはNG品経路に、振り分け機構により切り替える。選別部5に到達した物品Wは、検査結果に基づき、OK品経路またはNG品経路へと振り分けられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る請求項1記載の物品搬送装置によれば、搬入時は向きがバラバラの物品を姿勢矯正して搬送でき、物品の向きを起立姿勢などとして次段へ排出でき、安定した供給を実現でき、検査精度を向上させることができる。
【0022】
本発明に係る請求項2記載の物品搬送装置によれば、偏平小塊状の物品を、テーパー部によって起立姿勢に修正することができる。
【0023】
本発明に係る請求項3記載の物品搬送装置によれば、凹部内への落下位置が定まらない物品を、等間隔の複数の凹部にて定間隔で搬送し、凹部にて次段への排出の際の物品の向きを常に同じ姿勢にして、次段へ受け渡すことができる。
【0024】
本発明に係る請求項4記載の物品搬送装置によれば、物品に作用する重力を利用して、供給装置からの物品を搬送回転体にて受け取るとともに、各物品は姿勢を起立姿勢に矯正され、搬送回転体から次段へ排出でき、すなわち次段における物品の姿勢を常に一定にすることができる。
【0025】
本発明に係る請求項5記載の物品搬送装置によれば、搬入時は向きがバラバラの物品を姿勢矯正して搬送でき、搬送室内で重力を利用し、物品の向きを起立姿勢などとして後段に安定して供給できる。
【0026】
本発明に係る請求項6記載の物品搬送装置によれば、搬送回転体への投入のタイミングに関わらず、姿勢を矯正された物品を定間隔で検査手段へ排出することができ、常に姿勢を正された物品とされることで高精度な検査を可能にできる。
【0027】
本発明に係る請求項7記載の物品搬送装置によれば、検査手段から排出された物品は、検査手段の測定結果に基づき、測定直後に選別部により、OK品、NG品等に選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態に係る物品搬送装置を含む物品検査装置の要部構成図である。
図2図1に示した搬送回転体の斜視図である。
図3図2に示した搬送回転体の要部拡大断面図である。
図4図1に示した検査台の斜視図である。
図5図4に示した検査台の側面図である。
図6図5に示した窪みの要部拡大断面図である。
図7】(a)は搬送回転体への物品供給時の動作説明図、(b)は(a)の回転後の動作説明図である。
図8】供給手段から搬送回転体に供給される物品の状況を表した動作説明図である。
図9】(a)は図8のA-A断面位置においてテーパー部に当たる前の物品を表す動作説明図、(b)は同位置においてテーパー部により姿勢が修正された物品を表す動作説明図である。
図10】案内壁と共に物品を搬送する搬送回転体を一部分切り欠いて表した動作説明図である。
図11図10のB-B断面図である。
図12】搬送回転体に等間隔で搬送される物品を表す動作説明図である。
図13】検査台において秤量が開始される物品を表す動作説明図である。
図14】秤量が終了した検査台を表す要部側断面図である。
図15】物品が窪みに配置された検査時の状況を表す要部拡大図である。
図16図15のC-C断面図である。
図17】物品の排出が開始された検査台の要部拡大側断面図である。
図18】物品の排出途中の検査台の要部拡大側断面図である。
図19】物品が送り込まれた選別部を表す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る物品搬送装置を含む物品検査装置1の要部構成図である。
本実施形態に係る物品検査装置1は、物品搬送装置を備えるとともに、検査手段4と、選別部5と、を具備する。物品搬送装置としては、搬送回転体としての搬送ドラム2と、案内壁3と、有する。
【0030】
搬送ドラム2は、物品Wを供給する供給手段としての供給装置6の下方に配置され、水平軸31で回転され供給装置6から落下される物品Wを外周の凹部8で受ける。
【0031】
本実施形態において、供給装置6は、ドラム型を例に説明するが、供給装置6は、これに限定されない。供給装置6は、例えばマガジンタイプ、直線フィーダタイプ等であってもよい。本実施形態の供給装置6は、水平軸31を中心に供給ドラム9が回転され、この外周面で物品Wを負圧により吸着して所定間隔で搬送する。供給装置6は、搬送ドラム2の直上で吸着が解除され、物品Wを搬送ドラム2へ投入する。供給ドラム9は、物品Wの落下位置が凹部8と一致するように搬送ドラム2と回転が逆向きで同期される。搬送ドラム2および供給ドラム9は、搬送動作が開始されると、等速回転される。
【0032】
なお、物品検査装置1の検査対象である物品Wは、比較的小径の物品Wであり、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品W、一口サイズの物品Wの他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状の物品Wや成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品Wを含む。該当する物品Wとしては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。以下、検査対象の物品Wとして、平面視で円形とされ、その直径に比して高さ(厚さ)の小さい偏平小塊状で表裏面が膨出球面とされ円柱周面を備えたR錠や丸錠と言われる錠剤を例にとって説明する。
【0033】
また、物品Wの搬送時の姿勢は、平面視が円形となる偏平小塊状の物品Wの場合、表裏面の中心を通る軸線が水平を向くときを起立姿勢、表裏面の中心を通る軸線が上下方向を向くときを平伏姿勢と称すこととする。また、物品Wの厚みとは、物品Wの軸線方向の距離とする。
【0034】
凹部8は、搬送ドラム2の回転方向に沿う外周の方向に物品Wが移動可能な所定の長さのスリット状に形成される。凹部8は、物品Wの重力による移動方向前側で、物品Wが当たる前壁10と、物品Wの移動方向後側で物品Wを検査手段4から押し出す後壁11とを有する。凹部8は、搬送ドラム2の円周方向に等間隔で複数が設けられている。
【0035】
図2は、図1に示した搬送ドラム2の斜視図である。
凹部8は、物品Wの厚み方向が水平軸7に沿う起立姿勢となる向きで挟んで物品Wの姿勢を矯正する姿勢矯正部12を有する。姿勢矯正部12は、凹部8の開口部分に形成されて、凹部8に進入する物品Wの板厚方向に徐々に接近して最接近部における離間距離が物品Wの厚みよりも大きいテーパー部13を有する。
【0036】
図3は、図2に示した搬送ドラム2の要部拡大断面図である。
姿勢矯正部12は、このテーパー部13と、テーパー部13よりも搬送ドラム2の半径方向内側に彫り込まれるスリット14よりなる。スリット14は、凹部8の延在方向に亘って、搬送ドラム2の外周面に沿って凹設される。つまり、スリット14は、例えば外周面に沿う湾曲溝とすることができる。このスリット14の溝幅は、偏平小塊状の略円板状に成形された物品W(R錠も含む)の直径よりも小さい。また、スリット14の溝幅は、物品Wが、角のない三角形、五角形および六角形等の略多角形の場合は、その外接円の直径よりも小さい。
【0037】
テーパー部13は、このスリット14の開口側(搬送ドラム2の外周面側)に設けられる(図2参照)。テーパー部13は、スリット14の延在方向の殆どに設けられているが、搬送ドラム2の回転方向側の一部分には設けられていない。従って、この一部分では、スリット14のみが外周面に開口される。すなわち、搬送ドラム2の回転方向におけるテーパー部13の長さLtは、同方向のスリット14の長さLsよりも短い(Lt<Ls)。また、このテーパー部13が設けられていない一部分の長さ(Ls-Lt)は、物品Wの半径dよりもやや長い(d<(Ls-Lt))ことが好ましい。これにより、テーパー部13が設けられていない一部分は、物品Wの半径dより短い(d>Ls-Lt))場合に比べ、物品Wを凹部8内でより確実に立たせる(起立姿勢とする)ことができるようになる。
【0038】
テーパー部13は、搬送ドラム2の外周面に開口する入口側の間隔が、物品Wの直径Dよりも大きい(後述の図9(a)参照)。また、テーパー部13は、彫り込まれるに従って、徐々に接近する傾斜面となり、最終的には、離間距離がスリット14の幅と一致する。つまり、このスリット14の幅と一致するテーパー部13の離間距離は、物品Wの厚みよりも大きく設定される。スリット14の溝幅間隔は、例えば物品Wの厚みの1.4~2倍程度に設定される。従って、スリット14は、物品Wの厚みに対して遊びがある。また、スリット14とテーパー部13とを合わせた凹部8の深さは、物品Wの直径Dよりも長く、テーパー部13の下縁からスリット14の底部までの深さは物品Wの半径よりもやや長く設定される。なお、姿勢矯正部12のテーパー部13は、徐々に間隔を狭める段部であってもよい。
【0039】
凹部8は、搬送ドラム2の回転方向に沿う外周の方向に物品Wが移動可能な所定の長さで形成される。凹部8は、搬送ドラム2の回転方向側の内壁が前壁10となる。前壁10は、搬送ドラム2の半径方向と平行な平面部Fsを有する。また、凹部8は、搬送ドラム2の回転方向反対側の内壁が後壁11となる。
【0040】
物品搬送装置は、搬送ドラム2の回転方向がほぼ下向きとなる領域の外側に、図1に示す案内ブロック15を対向させて配置している。本実施形態において、案内ブロック15は、一例として時計回りで回転される搬送ドラム2に対して1時から5時の範囲で対向する。なお、本明細書中、回転体の回転位置は、理解を容易とするため長短針を備えた時計における文字盤の数字位置を例として説明する場合がある。
【0041】
この案内ブロック15の搬送ドラム2に対向する面には、搬送ドラム2の外周面に沿う案内壁3が形成されている。案内壁3は、搬送ドラム2の外周に沿って設けられ凹部8とで搬送室16(図7参照)を構成する。つまり、搬送ドラム2の凹部8は、回転により案内壁3によって開口が塞がれることにより、密閉空間の搬送室16となる。案内壁3は、図1に示す終端位置17(すなわち、上述の例でほぼ5時の位置)が物品Wの排出位置となる。
【0042】
搬送ドラム2は、水平軸7と平行で水平軸7を含む水平面よりも上方で供給装置6から物品Wを受け取り、円周方向において受け取りの位置よりも搬送方向下流側で物品Wを排出する。物品検査装置1は、搬送ドラム2からの物品Wの排出先が、検査手段4となる。
【0043】
検査手段4は、搬送ドラム2の下方に配置される。検査手段4は、案内壁3の終端位置17からの物品Wを受け取る。本実施形態において、検査手段4は、質量検査用秤である。なお、検査手段4は、質量検査用秤に限定されない。物品検査装置1は、検査手段4が、カメラ等による外形検査など、その他の検査を行うものであってもよい。
【0044】
図4は、図1に示した検査台18の斜視図である。
検査手段4は、搬送室16から排出された物品Wが移載される検査台18を有する。この検査台18は、検査手段4が質量検査用秤である場合、秤量台となる。検査台18は、移動する物品Wの慣性により物品Wを転がす凹曲面19を有する。凹曲面19は、搬送ドラム2の外周面に沿う。換言すれば、搬送ドラム2は、外周面が、検査台18の凹曲面19に沿う。つまり凹曲面19と案内壁3とは終端位置17を挟み略連続する曲面を構成する。
【0045】
凹曲面19には、物品Wの転がり方向の途中に窪み20が形成される。窪み20は、最深部を挟んで搬送ドラム2の回転方向側(物品Wの転がり方向側)の緩やかな傾斜面21と、搬送ドラム2の回転方向反対側(物品Wの転がり方向と反対側)の急な傾斜面22とからなる。また、緩やかな傾斜面21と急な傾斜面22とは、挟角が鈍角となるように設定される。
【0046】
図5は、図4に示した検査台18の側面図である。
ここで、搬送ドラム2の水平軸7を通る鉛直線23を考える。この鉛直線23は、検査台18の凹曲面19における物品Wの搬送方向の中央点24を通る。窪み20の最深部は、この鉛直線23が水平軸7を中心に若干回転されてずれ量δでずれた半径方向の延長線25と交わる。つまり、窪み20は、搬送ドラム2の最下部に対応する凹曲面19の中央部よりも搬送ドラム2の回転方向側にずれて設けられる。
【0047】
この延長線25と凹曲面19が交わる点における接線を考える。この接線を平行移動して窪み20の最深部に交わらせた接線26とするとき、接線26と緩やかな傾斜面21とが成す角をUとし、接線26と急な傾斜面22とが成す角をQとする。このとき、緩やかな傾斜面21と急な傾斜面22とは、U<Qの関係となる。また、U+Q≧90°の関係となる。物品Wは、この検査台18の窪み20において、緩やかな傾斜面21と急な傾斜面22との二箇所のみを接触させて起立姿勢で支持される(図16参照)。
【0048】
図6は、図5に示した窪み20の要部拡大断面図である。
物品検査装置1は、検査手段4の次段に、検査手段4の検査結果に基づき物品を選別する選別部5が設けられる。凹部8は、物品Wの移動方向後側で選別部5へ押す後壁11を有する。後壁11は、図6に示すように、物品Wの厚み方向が水平軸7に沿う起立姿勢のときに、その物品Wの上下方向中央よりも下側に傾斜下端27が当接する掻出傾斜面28を有する。
【0049】
次に、物品検査装置1の動作を説明する。
【0050】
図7(a)は搬送ドラム2への物品供給時の動作説明図、(b)は(a)の回転後の動作説明図である。
物品検査装置1は、物品Wの搬送が開始されると、搬送ドラム2が回転(一例として図7の時計回り回転)される。搬送ドラム2には、同期して回転する供給装置6から、それぞれの凹部8のテーパー部13が上端に到達したときに、物品Wが投入(重力により落下)される。この動作が、搬送ドラム2の円周方向に等間隔で設けられている凹部8に対して、搬送ドラム2が回転されることにより連続して行われる。従って、搬送ドラム2は、12時から6時までの範囲(図中右半部の範囲)の凹部8には、物品Wが収容されていることになる。
【0051】
図8は、供給装置6から搬送ドラム2に供給される物品Wの状況を表した動作説明図である。
供給装置6は、図1に示すように、物品Wを表裏面を正面から見えるよう軸線を水平に側面を吸着保持されて搬送されるが、図8に示すように、供給ドラム9の外周面に、例えば軸線が供給ドラム9の半径方向となる向きで物品Wを吸着する場合がある。従って、搬送ドラム2へ物品Wを供給する供給ドラム9の下端では、物品Wは、平伏姿勢となる。物品Wは、この平伏姿勢のまま搬送ドラム2の凹部8へ落下する。
【0052】
図9(a)は図8のA-A断面位置においてテーパー部13に当たる前の物品Wを表す動作説明図、(b)は同位置においてテーパー部13により姿勢が修正された物品Wを表す動作説明図である。
供給ドラム9から落下した物品Wは、任意な姿勢で姿勢矯正部12のテーパー部13に当たる。テーパー部13に当たった物品Wは、下部のみがスリット14へ進入するようにガイドされることにより、ほぼ立った状態に姿勢が矯正される。
【0053】
図10は、案内壁3と共に物品Wを搬送する搬送ドラム2を一部分切り欠いて表した動作説明図である。
ほぼ立った状態に姿勢が矯正された物品Wは、搬送ドラム2の下向きの回転領域(一例として1時から5時までの範囲)で、重力により下降して前壁10に当たる。
【0054】
図11は、図10のB-B断面図である。
物品Wは、さらに3時から5時の範囲では、前壁10と案内壁3とに当たる。すなわち、重力の作用している物品Wは、前壁10と案内壁3とに支えられながら下降する。特にこの範囲で、物品Wは、荷重を支持する対象が、前壁10から案内壁3へと移っていく。物品Wは、図10に示す5時近辺の位置では、案内壁3に支持される荷重が、前壁10に支持される荷重よりも大きくなる。つまり、案内壁3を転動する物品Wが、前壁10にもたれかかった状態となる。
【0055】
図12は、搬送ドラム2に等間隔で搬送される物品Wを表す動作説明図である。
物品Wは、案内壁3の終端位置17に達すると、同じ曲率である検査台18に、重力により転がり移る。物品検査装置1では、物品Wが検査台18に転がり移る直前において、回転方向で隣接する2つの物品Wがそれぞれ当接する2つの前壁10の間隔が、検査手段4へ物品Wを供給する物品Wの搬送間隔Hkとなる。すなわち、凹部8は、前壁同士の間隔がこの搬送間隔Hkとなり、終端位置17からの排出タイミングとなるように設定されている。
【0056】
図13は、検査台において秤量が開始される物品Wを表す動作説明図である。
検査台18の凹曲面19に転がり込んだ物品Wは、窪み20を通過した後、転がり方向と反対側に、方向転換して戻り、窪み20で停止する。このとき、物品Wは、前壁10にも、後壁11にも接触しない。この状態で、質量検査用秤は、次の物品Wが検査台18に載るまでの間に、秤量を完了させるように作動する。
【0057】
図14は、秤量が終了した検査台18を表す要部側断面図である。
検査が終了すると、等速回転する搬送ドラム2の後壁11が、窪み20に位置している物品Wに搬送方向の後方より接近する。このとき、物品Wに接近する後壁11の背部に位置する次の前壁10が、検査台18の凹曲面19に移動する。これにより、検査台18には、次の物品Wが、凹曲面19に転がり込んでくる。
【0058】
図15は、物品Wが窪み20に配置された検査時の状況を表す要部拡大図である。
物品検査装置1は、搬送ドラム2の回転方向におけるスリット14の長さLsが、秤量中の物品Wに、回転する搬送ドラム2の後壁11が接しない長さで設定されている。
【0059】
物品搬送装置では、搬送室16に物品Wを投入して、その空間内に収容したまま案内壁3に沿わせて移動させ、検査台18に送り出す。検査台18では、搬送室16の前壁10と後壁11との間で、物品Wが接触してない状態を作って検査台18の上で測る。そして、後壁11で物品Wを検査台18から排出する。物品検査装置1は、これらの動作を定間隔で行う。定間隔とは、前壁10と後壁11との間隔ではなく、各搬送室16のそれぞれの後壁11による排出が一定間隔であるという意である。1つ目の物品Wと、2つ目の物品Wとが近づいてきてしまうと、選別が間に合わなくなる。すなわち、正しい判定結果が得られず、選別ができなくなる。そこで、物品検査装置1では、凹曲面19で移動する物品Wを前壁10に当てて定間隔での搬送を実現させている。
【0060】
図16は、図15のC-C断面図である。
秤量中の物品Wは、軸線と平行で軸線を含む断面においても、スリット14の溝内壁面29、テーパー部13、窪み20の対向内壁面30にも接触しない。つまり、物品Wは、最下部が検査台18の窪み20のみに線接触して起立姿勢で自立する。物品Wは、窪み20において、緩やかな傾斜面21と急な傾斜面22との二箇所に線接触することで、安定した静止状態での秤量が可能となる。
【0061】
図17は、物品Wの排出が開始された検査台18の要部拡大側断面図である。
秤量が完了した物品Wは、搬送ドラム2の回転により、後壁11の傾斜面における傾斜下端27が搬送方向の後方より当接する。このとき、後壁11の背部に形成される次の凹部8の前壁10には、次の物品Wが接触状態となっている。
【0062】
図18は、物品Wの排出途中の検査台18の要部拡大側断面図である。
傾斜下端27は、物品Wの中心よりも下側で、窪み20から物品Wを掻き出すように押す。物品Wを押す後壁11は、上り坂となる緩やかな傾斜面21に対して物品Wを押し上げた後、検査台18の凹曲面19から排出する。
【0063】
図19は、物品Wが送り込まれた選別部5を表す動作説明図である。
検査台18から排出された物品Wは、選別部5へ送られる。選別部5は、検査手段4からの検査結果を受信すると、物品Wが到達する前に、検査台18に接続する物品Wの排出経路を、例えばOK品経路またはNG品経路に、振り分け機構により切り替える。これにより、物品検査装置1は、選別部5に到達した物品Wを、検査結果に基づき、OK品とNG品とに振り分け、1つの物品Wに対する検査を終了する。
【0064】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0065】
本実施形態に係る物品搬送装置では、物品Wが、供給装置6から搬送ドラム2の凹部8に供給される。凹部8に収容された物品Wは、搬送ドラム2の回転により下方へ移動されながら、重力により進行方向前側の前壁10に当たりつつ、案内壁3に沿って、次工程の検査手段4へ排出される。
【0066】
凹部8は、搬送ドラム2における外周の方向に、物品Wが移動可能な所定の長さでスリット状に形成されている。すなわち、凹部8に収容された物品Wは、重力により凹部8の長手方向に移動が可能となり、その移動の結果、移動方向前側に位置する前壁10に当たって凹部8内での移動が停止する(すなわち、支持される)。これにより、物品Wは、回転する搬送ドラム2における円周方向複数の基準位置、すなわち、前壁10ごとに位置決めされることになる。
【0067】
物品Wは、それぞれの凹部8において、落下位置から前壁10までの任意の距離を移動することにより、定間隔の排出タイミングで排出が可能となるように、支持位置(凹部8内の停止位置)が調整されている。その結果、搬入のタイミングに関わらず、物品Wを定間隔で検査できる。
【0068】
この物品搬送装置では、搬送ドラム2の円周方向に複数の凹部8が等間隔で設けられている。供給装置6からバラバラなタイミングで物品Wが凹部8に投入されても、重力により凹部8の下端に配置される前壁10に寄せられるので、必ず同じタイミングで、次の検査台18へ移載が可能となる。
【0069】
凹部8は、搬送ドラム2の外周の方向に、物品Wが移動可能な所定の長さで形成されているので、供給装置6からの投入位置がずれても、そのバラツキを吸収して基準位置となる前壁10に位置決めすることができる。つまり、次々に供給される個々の物品Wに対して長めの凹部8を用意していて、供給装置6からの投入タイミングがずれても、きちんと凹部8の中に入るようになっている。その結果、物品Wが、重力に従い凹部8の前壁10に支持されることにより、供給の際にバラバラに供給されて、落下位置が定まらない物品Wであっても、定間隔で搬送して、次の検査手段4へ受け渡すことができる。
【0070】
また、この物品搬送装置では、搬送ドラム2の外周面に設けられた凹部8の回転方向側に、搬送ドラム2の半径方向と平行な平面部Fsが形成される。平面部Fsの搬送ドラム2の外周面側の端が、案内壁3に摺接若しくは対向して移動する。物品Wは、重力により、これら平面部Fsと案内壁3に接しながら、搬送ドラム2に対する回転方向の相対位置が一定に位置決めされて、検査手段4へ移動される。
【0071】
平面部Fsは、搬送ドラム2の半径方向と平行となるため、搬送ドラム2の回転方向側の半部(時計回りでは、12時から6時までの半分)では、凹部8に収容された物品Wに前壁10に当たる方向の重力を作用させ続けることができる。その結果、凹部8は、物品Wを搬送方向に片寄せて位置決めできる。つまり、平面部Fsが平面であることで、物品Wの外形状における最も安定する向きで支えることができ、これにより、次段への排出の際の物品Wの向きを常に同じにできる。
【0072】
物品検査装置1では、検査手段4が、質量検査用秤となる。物品Wは、案内壁3と、搬送ドラム2の凹部8とにより構成される搬送室16に収容されて、質量検査用秤へ送られる。物品Wは、搬送室16の前壁10に接した状態で、質量検査用秤へ移される。前壁10は、搬送ドラム2の円周方向に等間隔で設けられている。
【0073】
従って、一定の回転速度で回転される搬送ドラム2からは、一定の排出タイミングで物品Wが質量検査用秤へ送られる。質量検査用秤は、物品Wが定間隔で送られることにより、物品Wの揺らぎを減衰させた後に、静止状態の物品Wを高精度に秤量することができる。その結果、搬送ドラム2から受け渡された物品Wの全数を個々に、重い、軽い、正しい等の重量検査を行うことができる。
【0074】
また、この物品検査装置1では、物品Wの検査が検査手段4で終了すると、検査台18から物品Wが選別部5へと送られる。選別部5は、検査台18から物品Wが到着する前に、検査手段4からの検査結果が入力される。選別部5は、この検査結果を受信すると、物品Wが到達する前に、物品Wの排出経路を、例えばOK品経路またはNG品経路に、振り分け機構により切り替える。選別部5に到達した物品Wは、検査結果に基づき、OK品経路またはNG品経路へと振り分けられる。その結果、後壁11で検査手段4から排出された物品Wは、検査手段4の測定結果に基づき、測定直後に選別部5により、OK品、NG品に選別することができる。
【0075】
また、この物品搬送装置では、凹部8が、搬送ドラム2からの物品Wの投入部分に、姿勢矯正部12を有する。物品Wは、凹部8に進入する際に、この姿勢矯正部12を通過することになる。姿勢矯正部12は、物品Wの姿勢を所定の向きに矯正(修正)する。
【0076】
物品Wは、錠剤などの偏平小塊状である。偏平小塊状は、円板形、多角形(三角形、五角形、六角形等)などである。また、偏平小塊状は、板表裏面を曲面で膨出させたR錠形などであってもよい。
【0077】
姿勢矯正部12は、この偏平小塊状の物品Wを、起立姿勢に矯正する。起立姿勢とは、物品Wの厚み方向が搬送ドラム2の水平軸7に沿う方向である。従って、物品Wが円板状である場合、表裏円形面の中心を通る軸線が、水平軸7と同方向となる。つまり、物品Wは、凹部8の中で立った状態となる。立った物品Wは、重力により、凹部8の前壁10と案内壁3とに接しながら、立った姿勢で搬送ドラム2の下降搬送路(時計回り回転する搬送ドラム2のほぼ12時から6時までの範囲である右半部の範囲)を移動することになる。
【0078】
この起立姿勢とすることにより、物品Wは、他部材に触れない状態で検査手段4へ転がりながら移載が可能となる。これにより、検査手段4は、物品Wが、凹部8の側壁などに触れなくなる自立した起立姿勢となるので、測定時の精度を向上させることができる。その結果、搬入時は向きがバラバラの物品Wを姿勢矯正して搬送でき、安定した検査精度を実現できる。
【0079】
この物品搬送装置では、姿勢矯正部12が、テーパー部13を有する。テーパー部13は、物品Wの落下に伴って、物品Wの姿勢を修正する斜面となる。
これにより、テーパー部13に落下した物品Wは、テーパー部13の斜面に当たると、下部の厚み方向がスリット14に挟まれて落ち込む。物品Wは、直径がスリット14の溝幅よりも大きいので、スリット14内において、軸線が、搬送ドラム2の水平軸7に直交方向となる平伏姿勢とはならない。
【0080】
このようにして、テーパー部13とスリット14により姿勢が修正された物品Wは、回転方向側のテーパー部13が無い部分へと重力により移動される。凹部8は、このテーパー部13が無い部分では、幅狭のスリット14が搬送ドラム2の外周面で開口する。物品Wは、この幅狭のスリット14のみとなった部分に移動することにより、テーパー部13で立ちつつあった状態から、きちんと立つことになる。つまり、このテーパー部13が無い部分が、物品Wを立たせる(起立姿勢となる)ように機能する。換言すれば、物品Wは、凹部8の全長にテーパー部13があると、立ちきらない可能性がある。また、物品Wは、搬送ドラム2が止まっている状態ではテーパー部13からスリット14に落ちても、起立姿勢には至らない。姿勢矯正部12は、搬送ドラム2が回っていることにより、テーパー部13の位置から入った物品Wが、先端方向のスリット14のみの部分に重力にて移動していき、そのときに物品Wの姿勢を起立姿勢に矯正することができる。
【0081】
また、この物品搬送装置では、搬送ドラム2が、水平軸7と平行で水平軸7を含む水平面よりも上方で供給装置6から物品Wを受け取る。この受け取り範囲は、例えば時計回りで回転する搬送ドラム2の場合、ほぼ9時の位置から3時の位置までの略上半部の範囲となる。これにより、重力を利用して、搬送ドラム2の外周面への投入が容易となる。また、物品Wの排出位置は、搬送ドラム2の円周方向において、上記の受け取りの位置よりも搬送方向下流側となる。すなわち、3時の位置から、9時までの略下半部の位置とすることができる。これにより、重力を利用して、搬送ドラム2の外周面から物品Wを容易に排出できるようになる。その結果、物品Wに作用する重力を利用して、供給装置6から物品Wを搬送ドラム2に受け取るとともに、搬送ドラム2から検査手段4へ排出できる。
【0082】
物品検査装置1では、搬送ドラム2からの物品Wの排出先が、検査手段4となる。物品Wは、案内壁3と、搬送ドラム2の凹部8とにより構成される搬送室16に収容されて、検査手段4へ送られる。物品Wは、搬送室16の前壁10に接した状態で、検査手段4へ移される。前壁10は、搬送ドラム2の外周面に等間隔で設けられている。
【0083】
従って、一定の回転速度で回転される搬送ドラム2からは、一定の排出タイミングで物品Wが検査手段4へ送られる。検査手段4は、物品Wが定間隔で送られることにより、物品Wの揺らぎを減衰させた後に、静止状態の物品Wを検査することができる。その結果、搬送ドラム2への投入のタイミングに関わらず、物品Wを定間隔で検査手段4へ排出し、高精度な検査を可能にできる。
【0084】
この物品検査装置1では、検査手段4が、凹曲面19となる検査台18を有する。この凹曲面19には、物品Wの転がり方向の途中に窪み20が形成される。検査台18は、凹曲面19のままの構成であると、凹曲面19の一端側から転がり込んだ偏平小塊状に成形された起立姿勢の物品Wが、進行方向に行ったり来たりする振り子運動(減衰振動)で動いてしまう。これら振り子運動等の減衰振動は、本明細書中、揺らぎとも称すこととする。物品Wは、このような振り子運動のままでは、減衰に時間を要する。
【0085】
物品検査装置1は、質量検査精度を高くしたいことから、振り子動作が収束するまで待てば、高能力(検査処理数増強)が達成できない。また、能力をあげたいことから、振り子動作が収束する前に検査を開始すれば、質量検査精度を高くできない。
【0086】
そこで、物品検査装置1は、検査台18が、凹曲面19に窪み20を有することにより、その動きを収束させて止めるよう工夫されている。
【0087】
すなわち、窪み20は、深さや傾斜面の形状、角度が、物品Wの有している慣性エネルギーを減衰させる。検査台18は、窪み20の位置、形状が工夫されている。慣性エネルギーを有した物品Wは、窪み20に落ち込ませ、減衰振動を早くゼロとすることにより、窪み20でピタリと止めることが可能となる。検査台18は、物品Wの揺らぎを早く収束させることができる。その結果、振り子運動へ移行しようとする物品Wを早期に静止させて検査できる。
【0088】
この物品検査装置1では、窪み20が、検査台18の中央部に設けられるのでなく、搬送ドラム2の回転方向側(物品Wの進行方向側)に少しずれて配置されている。なお、検査台18の中央部とは、搬送ドラム2の最下部に対応する検査台18の位置である。つまり、搬送ドラム2の回転中心の真下の位置である。
【0089】
凹曲面19の中央部に窪み20を設けると、凹曲面19を転がる物品Wは、行ったり来たりが大きくなる(振り子運動の振幅が小さくなりにくい)。窪み20は、中央部にある場合、重力による減衰の効果が弱い。また、窪み20は、深い場合、物品Wを取り出す際に検査台18に外力として負荷をかけてしまう。一方、窪み20は、物品Wが中央部よりも少し行き過ぎた位置に設けると、転がりスピードがMAXから減少している状態にて重力の力でストンと嵌って、行ったり来たりがほとんどなくなる。これにより、検査台18は、物品Wの揺らぎをなくして、物品Wを早く安定状態とすることができる。その結果、物品Wに作用する重力の力を利用して、より早く物品Wの揺らぎを止めることができる。なお、本明細書中では、物品Wの移動の一形態として「転がり」を例に説明するが、例えば角のない三角形状の物品W等の移動形態としては「滑る」であってもよい。
【0090】
また、この物品搬送装置では、搬送ドラム2が、所謂ドラム型となる。ドラム型の搬送ドラム2は、外周面が、検査台18の凹曲面19に沿うように曲率がほぼ一致する。すなわち、検査台18における凹曲面19の曲率半径の中心は、搬送ドラム2の水平軸7となる。搬送ドラム2の外周面と、検査台18の凹曲面19との間には、相互間の干渉を防止するための僅かな隙間が設けられている。
【0091】
これにより、搬送ドラム2は、凹部8に収容した物品Wを、凹曲面19の一端側(搬送方向上流側)から検査台18に送り込み、凹部8と非接触とした状態の物品Wを、凹曲面19の他端側(搬送方向下流側)へ転がすことができる。その結果、搬送ドラム2から受け取った起立姿勢の物品Wを、凹曲面19の一端側から重力により転がし、他端側に向けて重力に抗して転がすことで、慣性エネルギーを速やかに消失させて静止させることが可能となる。
【0092】
この物品搬送装置では、物品Wが、回転ドラムにおける凹部8の前壁10(進行方向前側)と後壁11(進行方向後側)の間に収容されて搬送される。より具体的には、物品Wは、重力により、案内壁3と前壁10とに接触した状態で支持されて搬送される。凹部8は、外周の方向に物品Wが移動可能な所定の長さで形成される。この凹部8は、搬送ドラム2の円周方向に等間隔で形成される。従って、前壁10により検査台18へ移された物品Wは、回転方向に移動する前壁10に接しながら検査台18を転がり、検査台18の窪み20で静止する。静止した物品Wは、検査台18での検査が完了すると、同じ凹部8の後壁11が搬送ドラム2の回転により接近して当接し、後壁11の移動に伴い、押されて選別部5へと排出される。その結果、回転する搬送ドラム2の凹部8における前壁10で検査手段4への供給タイミングを作り、後壁11で検査手段4からの排出タイミングを作ることにより、検査のための時間を決めることができる。
【0093】
また、この物品搬送装置では、後壁11が、物品Wの上下方向中央よりも下側に傾斜下端27が当接する掻出傾斜面28を有する。後壁11は、検査台18の窪み20において静止している物品Wに対し、掻出傾斜面28の傾斜下端27を円周方向の下側(時計回りの3時から6時の範囲)に差し入れて、物品Wを掻き上げるようにして検査台18から排出する。その結果、窪み20に嵌った物品Wに対し、後壁11の傾斜下端27を物品Wの中心よりも下の位置に差し入れることにより、物品Wを持ち上げるように排出力を作用させることができ、秤および物品Wへの衝撃、荷重負荷を抑制できる。
【0094】
この物品検査装置1の検査手段4では、窪み20が、最深部を挟んで回転方向側の緩やかな傾斜面21と、回転方向反対側の急な傾斜面22とからなる。
【0095】
検査手段4が質量検査用秤である場合、検査台18は秤量台となる。質量検査用秤では、物品Wの振動は少ない方が精度の良い質量の検査をすることができる。振動を抑えるには、搬送ドラム2の回転速度を遅くすることが考えられる。凹部8の前壁10から後壁11に当たるまでの時間を伸ばしてあげれば、精度は出るが、1分あたりに何個、という処理能力が落ちる。これに対し、物品検査装置1では、能力を維持しつつ、精度も向上させたい要請がある。そのために、なるべく早く物品Wの揺らぎを止める必要がある。
【0096】
すなわち、物品Wが、凹曲面19の前後を行ったり来たりする振り子運動的な振動(揺らぎとも称す)を早く収束させたい。
【0097】
上述のように、凹曲面19上の物品Wは、移載された位置から凹曲面19に沿って転がり、凹曲面19上で行ったり来たり往復する振り子運動(減衰振動)となる。重力があることで振幅はいずれゼロになり静止するが、その減衰を早めたい。凹曲面19に窪みを設けることで物品Wの振幅運動の障害となり、その振幅を小さくすることが可能となるが、その窪みの位置が凹曲面19の中央部では重力の作用で振幅が小さくなりにくい。一方、窪み20は、物品Wが中央部よりも少し行き過ぎた位置に設けると、行ったり来たりがほとんどなくなる。つまり振り子運動に重力方向以外の外力が加わることとなって減衰が早まる。これに加え、物品Wの進行方向に緩やかな傾斜面21を設けることにより、凹曲面19の曲面よりも仰角方向であることで物品Wにとっては上り坂となり慣性エネルギーを消費させることができる。また、窪み20の回転方向反対側に急な傾斜面22を設けることにより、凹曲面19を下って戻ってきた物品Wを受け止めることができる。物品Wをこれら2つの斜面と重力の力で窪み20にストンと嵌るようにできる。物品Wの行ったり来たりの振り子運動を急速に収めることができる。これにより、検査台18は、物品Wの揺らぎをなくして、物品Wを早く安定状態とすることができる。その結果、緩やかな傾斜面21と急な傾斜面22との挟角を鈍角とすることにより、物品Wを転がせるようになり、かつ搬送ドラム2の回転方向側(前側)を緩やかな傾斜面21とし、搬送ドラム2の回転方向反対側(後側)を角度をつけた急な傾斜面22とすることにより、揺らぐ物品Wの収束を早めて、止めることができる。
【符号の説明】
【0098】
2…搬送回転体(搬送ドラム)
3…案内壁
4…検査手段
5…選別部
6…供給手段(供給装置)
7…水平軸
8…凹部
12…姿勢矯正部
13…テーパー部
16…搬送室
17…終端位置
W…物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19