(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074094
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20230522BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20230522BHJP
G02B 15/20 20060101ALN20230522BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
G02B15/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186863
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】塩田 了
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA06
2H087LA03
2H087MA07
2H087MA13
2H087NA14
2H087PA12
2H087PA13
2H087PA14
2H087PA15
2H087PA16
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB16
2H087PB17
2H087PB18
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA36
2H087SA24
2H087SA26
2H087SA29
2H087SA32
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SB06
2H087SB12
2H087SB24
2H087SB31
2H087UA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各群を構成するレンズの硝材を適切に選択し配置することで、色収差などの諸収差を補正しつつ全長と径の短縮化と軽量化を達成し、高性能なフォーカスを有する光学系を提供する。
【解決手段】物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、屈折力を有する第4レンズ群G4と、屈折力を有する第5レンズ群G5より構成され、合焦の際少なくとも第2レンズ群が光軸に沿って移動し、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が変化し、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が変化し、第4レンズ群は正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを含み、第5レンズ群は正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを含みかつ最も物体側に正の屈折力を有するレンズ若しくは正の屈折力を有するレンズを含む接合レンズを配置し、特定の条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正または負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正または負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正または負の屈折力を有する第5レンズ群G5より構成され、合焦の際少なくとも前記第2レンズ群G2が光軸に沿って移動し、同時に前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2との間隔が変化し、同時に前記第2レンズ群G2と前記第3レンズ群G3との間隔が変化し、前記第4レンズ群G4は正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを含み、前記第5レンズ群G5は正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを含み、かつ前記第5レンズ群G5の最も物体側に正の屈折力を有するレンズ若しくは正の屈折力を有するレンズを含む接合レンズを配置し、以下の条件式(1)から(4)を満足することを特徴とする光学系である。
(1)ΔθgF_G4P > 0.000
(2)VD_GF4P > 50.00
(3)ΔθgF_G5P > 0.000
(4)VD_GF5P < 40.00
ただし、
ΔθgF_G4P:前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
g線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFはレンズ毎にそのg線とF線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとすると
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
として計算される
VD_GF4P:前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
ΔθgF_G5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
VD_GF5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
【請求項2】
前記第2レンズ群G2以外の群は合焦の際像面に対し固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の光学系。
(5)-1.50 < f/f1 < 0.00
(6)0.05 < f/|f2| < 0.75
(7)0.10 < f/f3 < 1.20
(8)-1.00 < f/f4 < 1.00
(9)-1.00 < f/f5 < 1.00
ただし、
f:無限遠撮影時のレンズ全系の焦点距離
前記光学系がズームレンズの場合は望遠端における焦点距離とする
f1:無限遠撮影時の前記第1レンズ群G1の焦点距離
f2:無限遠撮影時の前記第2レンズ群G2の焦点距離
f3:無限遠撮影時の前記第3レンズ群G3の焦点距離
f4:無限遠撮影時の前記第4レンズ群G4の焦点距離
f5:無限遠撮影時の前記第5レンズ群G5の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光学系。
(10)VD_G1P < 40.00
(11)ΔθgF_G1N > ―0.010
(12)ΔθgF_G3P > ―0.005
(13)ΔθgF_G4N < 0.010
(14)ΔθgF_G5N < 0.005
(15)nd_G1P > 1.8500
(16)nd_G5P > 1.8500
ただし、
VD_G1P:前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
ΔθgF_G1N:前記第1レンズ群G1を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G3P:前記第3レンズ群G3を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G4N:前記第4レンズ群G4を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G5N:前記第5レンズ群G5を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
nd_G1P:前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率の平均値
nd_G5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率の平均値
【請求項5】
前記第1レンズ群G1が、物体側から物体側に凸形状の面を向けた負の屈折力のメニスカスレンズ、負の屈折力のレンズ、および正の屈折力のレンズの順に並んだ構成を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学系。
【請求項6】
前記第4レンズ群G4は、接合面が物体側に凸面を向けており、かつ物体側の媒質の屈折率が像面側の媒質の屈折率より高い接合レンズを1組以上有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学系。
【請求項7】
前記第5レンズ群G5が光軸中心から周辺に向かって正の屈折力が弱くなる、または負の屈折力が強くなるような非球面を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光学系。
【請求項8】
前記第2レンズ群G2がレンズ2枚以下で構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置や投影装置などに用いるレンズに好適な光学系に関し、色収差を効果的に補正しながら、軽量化に寄与するように適切な配置を行ったものである。
【背景技術】
【0002】
近年デジタルカメラ等の高画素化に伴い、用いられる光学系に対して諸収差を厳しく補正することが求められるようになってきている。
【0003】
また、高速かつ正確なフォーカス駆動やオートフォーカス時コントラスト検知のためのウォブリング駆動のために、フォーカス駆動時移動する箇所の軽量化が望まれている。
【0004】
そこで、従来提案されてきた光学系においては、物体側から開口絞りまでの群をフォーカス駆動時に固定とし、フォーカス群を絞りの像側に配置することで、フォーカス群を軽量化したものが提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2019/073744号公報
【特許文献2】特開2016-009170号公報
【0006】
特許文献1において、インナーフォーカス形式であり、合焦の際移動するレンズ群の構成を適切に指定することにより諸収差の抑制を図った光学系が提唱されている。しかしながら特許文献1に記載の光学系は中間画角から画面周辺にかけてC線からF線の光軸方向の結像点のずれによる色のフレアが残りやすい他、大口径比の光学系に採用する場合駆動部分の重量が重くなりやすい問題がある。
【0007】
特許文献2において、大口径比でありながら合焦の際移動するレンズの重量を抑制した光学系が提唱されている。しかしながら特許文献2に記載の光学系は色のフレアに加えて軸上色収差や倍率色収差の補正が十分ではなく、サジタルコマフレアが発生しやすい問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、各群を構成するレンズの硝材を適切に選択し配置することで、色収差などの諸収差を補正しつつ全長と径の短縮化と軽量化を達成し、高性能なフォーカスを有する光学系を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段である第1の発明は、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正または負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正または負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正または負の屈折力を有する第5レンズ群G5より構成され、合焦の際少なくとも前記第2レンズ群G2が光軸に沿って移動し、同時に前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2との間隔が変化し、同時に前記第2レンズ群G2と前記第3レンズ群G3との間隔が変化し、前記第4レンズ群G4は正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを含み、前記第5レンズ群G5は正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを含み、かつ前記第5レンズ群G5の最も物体側に正の屈折力を有するレンズ若しくは正の屈折力を有するレンズを含む接合レンズを配置し、以下の条件式(1)から(4)を満足することを特徴とする光学系である。
(1)ΔθgF_G4P > 0.000
(2)VD_GF4P > 50.00
(3)ΔθgF_G5P > 0.000
(4)VD_GF5P < 40.00
ただし、
ΔθgF_G4P:前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
g線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFはレンズ毎にそのg線とF線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとすると
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
として計算される
VD_GF4P:前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
ΔθgF_G5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
VD_GF5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明においてさらに、前記第2レンズ群G2以外の群は合焦の際像面に対し固定されていることを特徴とする光学系である。
【0011】
また、第3の発明は、第1または第2の発明においてさらに、以下の条件式を満足することを特徴とする光学系である。
(5)-1.50 < f/f1 < 0.00
(6)0.05 < f/|f2| < 0.75
(7)0.10 < f/f3 < 1.20
(8)-1.00 < f/f4 < 1.00
(9)-1.00 < f/f5 < 1.00
ただし、
f:無限遠撮影時のレンズ全系の焦点距離
前記光学系がズームレンズの場合は望遠端における焦点距離とする
f1:無限遠撮影時の前記第1レンズ群G1の焦点距離
f2:無限遠撮影時の前記第2レンズ群G2の焦点距離
f3:無限遠撮影時の前記第3レンズ群G3の焦点距離
f4:無限遠撮影時の前記第4レンズ群G4の焦点距離
f5:無限遠撮影時の前記第5レンズ群G5の焦点距離
【0012】
また、第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明においてさらに、以下の条件式を満足することを特徴とする光学系である。
(10)VD_G1P < 40.00
(11)ΔθgF_G1N > ―0.010
(12)ΔθgF_G3P > ―0.005
(13)ΔθgF_G4N < 0.010
(14)ΔθgF_G5N < 0.005
(15)nd_G1P > 1.8500
(16)nd_G5P > 1.8500
ただし、
VD_G1P:前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
ΔθgF_G1N:前記第1レンズ群G1を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G3P:前記第3レンズ群G3を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G4N:前記第4レンズ群G4を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G5N:前記第5レンズ群G5を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
nd_G1P:前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率の平均値
nd_G5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率の平均値
【0013】
また、第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明においてさらに、前記第1レンズ群G1が、物体側から物体側に凸形状の面を向けた負の屈折力のメニスカスレンズ、負の屈折力のレンズ、および正の屈折力のレンズの順に並んだ構成を含むことを特徴とする光学系である。
【0014】
また、第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明においてさらに、前記第4レンズ群G4は、接合面が物体側に凸面を向けており、かつ物体側の媒質の屈折率が像面側の媒質の屈折率より高い接合レンズを1組以上有することを特徴とする光学系である。
【0015】
また、第7の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明においてさらに、前記第5レンズ群G5が光軸中心から周辺に向かって正の屈折力が弱くなる、または負の屈折力が強くなるような非球面を有することを特徴とする光学系である。
【0016】
また、第8の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明においてさらに、前記第2レンズ群G2がレンズ2枚以下で構成されることを特徴とする光学系である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、各群を構成するレンズの硝材を適切に選択し配置することで、色収差などの諸収差を補正しつつ全長と径の短縮化と軽量化を達成し、高性能なフォーカスを有する光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1の光学系の無限遠におけるレンズ断面図
【
図3】実施例1の光学系の撮影距離249mmにおける縦収差図
【
図5】実施例1の光学系の撮影距離249mmにおける横収差図
【
図6】実施例2の光学系の無限遠におけるレンズ断面図
【
図8】実施例2の光学系の撮影距離250mmにおける縦収差図
【
図10】実施例2の光学系の撮影距離250mmにおける横収差図
【
図11】実施例3の光学系の無限遠におけるレンズ断面図
【
図12】実施例3の光学系の無限遠における縦収差図
【
図13】実施例3の光学系の撮影距離248mmにおける縦収差図
【
図14】実施例3の光学系の無限遠における横収差図
【
図15】実施例3の光学系の撮影距離248mmにおける横収差図
【
図16】実施例4の光学系の無限遠におけるレンズ断面図
【
図17】実施例4の光学系の無限遠における縦収差図
【
図18】実施例4の光学系の撮影距離245mmにおける縦収差図
【
図19】実施例4の光学系の無限遠における横収差図
【
図20】実施例4の光学系の撮影距離245mmにおける横収差図
【
図21】実施例5の変倍可能な光学系の広角端の無限遠におけるレンズ断面図
【
図22】実施例5の変倍可能な光学系の広角端の無限遠における縦収差図
【
図23】実施例5の変倍可能な光学系の中間焦点距離の無限遠における縦収差図
【
図24】実施例5の変倍可能な光学系の望遠端の無限遠における縦収差図
【
図25】実施例5の変倍可能な光学系の広角端の無限遠における横収差図
【
図26】実施例5の変倍可能な光学系の中間焦点距離の無限遠における横収差図
【
図27】実施例5の変倍可能な光学系の望遠端の無限遠における横収差図
【
図28】実施例6の光学系の無限遠におけるレンズ断面図
【
図29】実施例6の光学系の無限遠における縦収差図
【
図30】実施例6の光学系の撮影距離226mmにおける縦収差図
【
図31】実施例6の光学系の無限遠における横収差図
【
図32】実施例6の光学系の撮影距離226mmにおける横収差図
【
図33】実施例7の光学系の無限遠におけるレンズ断面図
【
図34】実施例7の光学系の無限遠における縦収差図
【
図35】実施例7の光学系の撮影距離227mmにおける縦収差図
【
図36】実施例7の光学系の無限遠における横収差図
【
図37】実施例7の光学系の撮影距離227mmにおける横収差図
【
図38】実施例8の光学系の無限遠におけるレンズ断面図
【
図39】実施例8の光学系の無限遠における縦収差図
【
図40】実施例8の光学系の撮影距離225mmにおける縦収差図
【
図41】実施例8の光学系の無限遠における横収差図
【
図42】実施例8の光学系の撮影距離225mmにおける横収差図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる光学系の実施例について詳細に説明する。なお、以下の実施例の説明は本発明の光学系の一例を説明したものであり、本発明はその要旨を逸脱しない範囲において本実施例に限定されるものではない。
【0020】
本願明細書中でレンズ枚数をカウントする場合、特段の記載がない限り、単レンズは1枚、接合レンズの場合はそれを構成する単レンズ毎に1枚としてカウントする。例えば、凸レンズと凹レンズからなる接合レンズであれば2枚としてカウントする。
【0021】
本発明の光学系は、
図1、
図6、
図11、
図16、
図21、
図28、
図33、
図38に示すレンズ構成図からわかるように、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正または負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正または負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正または負の屈折力を有する第5レンズ群G5より構成され、合焦の際少なくとも前記第2レンズ群G2が光軸に沿って移動し、同時に前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2との間隔が変化し、同時に前記第2レンズ群G2と前記第3レンズ群G3との間隔が変化し、前記第4レンズ群G4は正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを含み、前記第5レンズ群G5は正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを含み、かつ前記第5レンズ群G5の最も物体側に正の屈折力を有するレンズ若しくは正の屈折力を有するレンズを含む接合レンズを配置することを特徴とする。
【0022】
本発明は色収差などの諸収差を補正しつつ小型化を達成した光学系の提供を目的としており、それぞれのレンズ群を構成するレンズの硝材を適切に選択することが重要となる。
【0023】
特に広角系から標準系の光学系においては、軸上色収差と倍率色収差を同時補正するための手段として、絞りより像面側に屈折率の波長分散が小さく、かつg線付近の短波長側の異常分散性が大きい硝材を、正の屈折力を有するレンズに当てはめることが知られている。しかしこのような硝材は屈折率の低い硝材が多いため像面湾曲の制御には不利に作用する。また軸上色収差と倍率色収差を補正できても、画面周辺の短波長の光線によるフレアを補正することは困難であった。
【0024】
そこで、絞りより像面側のレンズ群を物体側の第4レンズ群G4と像面側の第5レンズ群G5に分割し、それぞれの群に正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズを配置して、それぞれの正の屈折力を有するレンズの分散特性を適切に設定することで軸上色収差、倍率色収差と画面周辺のフレアを同時に補正しつつ、像面湾曲等も抑制することが可能となる。
【0025】
また、絞りより物体側に最も物体側から第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3の順に配置し、第2レンズ群G2を合焦時に駆動する群とすることで、絞り像面側に合焦のための空間を確保する必要がなくなり、前述の色収差を補正する能力を最大限発揮することが可能となる。
【0026】
さらに本発明の光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
(1)ΔθgF_G4P > 0.000
(2)VD_GF4P > 50.00
(3)ΔθgF_G5P > 0.000
(4)VD_GF5P < 40.00
ΔθgF_G4P:前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
g線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFはレンズ毎にそのg線とF線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとすると
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
として計算される
VD_GF4P:前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
ΔθgF_G5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
VD_GF5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
として計算される。
【0027】
条件式(1)は前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比について好ましい範囲を規定するものである。
【0028】
条件式(1)の下限値を超え、前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値が小さくなると、前記第4レンズ群G4内で軸上色収差を補正することが困難になる。
【0029】
条件式(2)は前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数について好ましい範囲を規定するものである。
【0030】
条件式(2)の下限値を超え、前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値が小さくなると、前記第4レンズ群G4を構成する正の屈折力を有するレンズにg線付近の短波長側の異常分散性が大きい硝材を選択しにくくなる他、中間画角から画面周辺にかけてC線からF線の光軸方向の結像点のずれによる色のフレアを補正することが困難になる。
【0031】
また、条件式(2)の下限値を55.00にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0032】
条件式(3)は前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比について好ましい範囲を規定するものである。
【0033】
条件式(3)の下限値を超え、前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値が小さくなると、前記第5レンズ群G5内でg線の倍率色収差を補正することが困難になる。
【0034】
条件式(4)は前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数について好ましい範囲を規定するものである。
【0035】
条件式(4)の上限値を超え、前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値が大きくなると、前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズに屈折率が大きい硝材を選択しにくくなるため像面湾曲の補正が困難になる他、中間画角から画面周辺にかけてC線とF線の倍率色収差の変動を補正することが困難になる。
【0036】
また、条件式(4)の上限値を35.00にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0037】
本発明の光学系は、さらに前記第2レンズ群G2以外の群は合焦の際像面に対し固定されていることが望ましい。
【0038】
前記第2レンズ群G2以外の群を合焦の際像面に対し固定とすることで、合焦の際移動する機構を単純化し、軽量化することが可能になる。
【0039】
また本発明の光学系は、以下の条件式を満足することが望ましい。
(5)-1.50 < f/f1 < 0.00
(6)0.05 < f/|f2| < 0.75
(7)0.10 < f/f3 < 1.20
(8)-1.00 < f/f4 < 1.00
(9)-1.00 < f/f5 < 1.00
ただし、
f:無限遠撮影時のレンズ全系の焦点距離
前記光学系がズームレンズの場合は望遠端における焦点距離
f1:無限遠撮影時の前記第1レンズ群G1の焦点距離
f2:無限遠撮影時の前記第2レンズ群G2の焦点距離
f3:無限遠撮影時の前記第3レンズ群G3の焦点距離
f4:無限遠撮影時の前記第4レンズ群G4の焦点距離
f5:無限遠撮影時の前記第5レンズ群G5の焦点距離
【0040】
条件式(5)は前記第1レンズ群G1の屈折力について好ましい範囲を規定するものである。
【0041】
条件式(5)の上限値を超え、前記第1レンズ群G1の屈折力が正となると、十分広い画角を確保することが困難になる。
【0042】
条件式(5)の下限値を超え、前記第1レンズ群G1の負の屈折力が強くなると、出射するマージナル光束の発散が強くなるため、前記第2レンズ群G2を通過する光束の径が拡大し、フォーカスの際駆動する部分の軽量化が困難になる。
【0043】
また、条件式(5)の下限値を-1.40にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。また、条件式(5)の上限値を-0.05にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0044】
条件式(6)は前記第2レンズ群G2の屈折力について好ましい範囲を規定するものである。
【0045】
条件式(6)の上限値を超え、前記第2レンズ群G2の屈折力の絶対値が強くなると、前記第2レンズ群G2の偏芯による収差の悪化を抑え辛くなる。また、僅かなフォーカス移動量だけで像面側の合焦位置が大きく移動してしまい、精密な合焦が困難になる。
【0046】
条件式(6)の下限値を超え、前記第2レンズ群G2の屈折力の絶対値が弱くなると、フォーカスの際に前記第2レンズ群G2が移動する距離が長くなり、フォーカスの高速化や全長の短縮が困難になる。
【0047】
また、条件式(6)の下限値を0.10にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。また、条件式(6)の上限値を0.60にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0048】
条件式(7)は前記第3レンズ群G3の屈折力について好ましい範囲を規定するものである。
【0049】
条件式(7)の上限値を超え、前記第3レンズ群G3の屈折力が強くなると、群内で球面収差等の諸収差を抑制することが困難になる。
【0050】
条件式(7)の下限値を超え、前記第3レンズ群G3の屈折力が弱くなると、光束を収束する作用が弱くなるため、前記第2レンズ群G2や開口絞りSを通過する光束の径が拡大し、フォーカスの際駆動する部分の軽量化や製品外径の抑制が困難になる。
【0051】
また、条件式(7)の下限値を0.15にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。また、条件式(7)の上限値を1.00にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0052】
条件式(8)は前記第4レンズ群G4の屈折力について好ましい範囲を規定するものである。
【0053】
条件式(8)の上限値を超え、前記第4レンズ群G4の正の屈折力が強くなると、コマ収差等の諸収差を抑制することが困難になる他、前記第5レンズ群G5に入射する画面周辺光線の高さが低くなり、前記第5レンズ群G5が倍率色収差を抑制する機能を十分発揮できなくなる。
【0054】
条件式(8)の下限値を超え、前記第4レンズ群G4の負の屈折力が強くなると、光束が拡大し、径方向の小型化が困難になる。
【0055】
また、条件式(8)の下限値を―0.90にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。また、条件式(8)の上限値を0.90にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0056】
条件式(9)は前記第5レンズ群G5の屈折力について好ましい範囲を規定するものである。
【0057】
条件式(9)の上限値を超え、前記第5レンズ群G5の正の屈折力が強くなると、非点収差等の諸収差を抑制することが困難になる。
【0058】
条件式(9)の下限値を超え、前記第5レンズ群G5の負の屈折力が強くなると、最外角光線が強く発散され、十分なバックフォーカスやテレセントリック性を確保することが困難になる。
【0059】
また、条件式(9)の下限値を―0.90にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。また、条件式(9)の上限値を0.90にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0060】
また本発明の光学系は、以下の条件式を満足することが望ましい。
(10)VD_G1P < 40.00
(11)ΔθgF_G1N > ―0.010
(12)ΔθgF_G3P > ―0.005
(13)ΔθgF_G4N < 0.010
(14)ΔθgF_G5N < 0.005
(15)nd_G1P > 1.8500
(16)nd_G5P > 1.8500
VD_G1P:前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値
ΔθgF_G1N:前記第1レンズ群G1を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G3P:前記第3レンズ群G3を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G4N:前記第4レンズ群G4を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ΔθgF_G5N:前記第5レンズ群G5を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
nd_G1P:前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率の平均値
nd_G5P:前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率の平均値
【0061】
条件式(10)は前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数について好ましい範囲を規定するものである。
【0062】
条件式(10)の上限値を超え、前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数の平均値が大きくなると、倍率色収差を補正することが困難になる。
【0063】
条件式(11)は前記第1レンズ群G1を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差について好ましい範囲を規定するものである。
【0064】
条件式(11)の下限値を超え、前記第1レンズ群G1を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値が小さくなると、倍率色収差を補正することが困難になる。
【0065】
条件式(12)は前記第3レンズ群G3を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差について好ましい範囲を規定するものである。
【0066】
条件式(12)の下限値を超え、前記第3レンズ群G3を構成する正の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値が小さくなると、軸上色収差を補正することが困難になる。
【0067】
条件式(13)は前記第4レンズ群G4を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差について好ましい範囲を規定するものである。
【0068】
条件式(13)の上限値を超え、前記第4レンズ群G4を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値が大きくなると、軸上色収差を補正することが困難になる。
【0069】
条件式(14)は前記第5レンズ群G5を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差について好ましい範囲を規定するものである。
【0070】
条件式(14)の上限値を超え、前記第5レンズ群G5を構成する負の屈折力を有するレンズのg線とF線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値が大きくなると、軸上色収差や倍率色収差を補正することが困難になる。
【0071】
条件式(15)は前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率について好ましい範囲を規定するものである。
【0072】
条件式(15)の下限値を超え、前記第1レンズ群G1を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率の平均値が大きくなると、像面湾曲等の諸収差を補正することが困難になる。
【0073】
条件式(16)は前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率について好ましい範囲を規定するものである。
【0074】
条件式(16)の下限値を超え、前記第5レンズ群G5を構成する正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率の平均値が大きくなると、像面湾曲等の諸収差を補正することが困難になる。
【0075】
また本発明の光学系は、さらに、前記第1レンズ群G1が、物体側から物体側に凸形状の面を向けた負の屈折力のメニスカスレンズ、負の屈折力のレンズ、および正の屈折力のレンズの順に並んだ構成を含むことが望ましい。
【0076】
この様な構成とすることで、歪曲収差や非点収差を抑えながら広い画角に対応することが可能になる。
【0077】
また本発明の光学系は、さらに、前記第4レンズ群G4が、接合面が物体側に凸面を向けており、かつ物体側の媒質の屈折率が像面側の媒質の屈折率より高い接合レンズを1組以上有することが望ましい。
【0078】
前記第4レンズ群G4が、接合面が物体側に凸面を向けており、かつ物体側の媒質の屈折率が像面側の媒質の屈折率より高い接合レンズを1組以上配置することで、コマ収差や球面収差等の諸収差を抑制することができる。
【0079】
また本発明の光学系は、さらに、前記第5レンズ群G5が光軸中心から周辺に向かって正の屈折力が弱くなる、または負の屈折力が強くなるような非球面を有することが望ましい。
【0080】
前記第5レンズ群G5が前述のような形状の非球面を有することで、像面湾曲や歪曲収差を抑制することができる。
【0081】
また本発明の光学系は、さらに、前記第2レンズ群G2がレンズ2枚以下で構成されることが望ましい。
【0082】
このような構成とすることで、合焦の際移動する部分を軽量化することが可能となる。
【0083】
以下に、本発明の光学系に係る実施例の数値実施例と条件式対応値について説明する。
【0084】
次に、本発明の光学系に係る実施例のレンズ構成について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像面側の順番で記載する。また、実施例中のLnの表記は、物体側からn番目のレンズのことを示している。
【0085】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面または開口絞りの番号、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面の間隔、ndはd線(波長587.56nm)に対する屈折率、vdはd線に対するアッベ数、θgFはg線(波長435.84nm)とF線(波長486.13nm)の部分分散比を示している。
【0086】
面番号に付した*(アスタリスク)は、そのレンズ面形状が非球面であることを示している。
【0087】
面番号に付した(絞り)は、その位置に開口絞りが位置していることを示している。平面又は開口絞りに対する曲率半径には∞(無限大)を記入している。
【0088】
[非球面データ]には、[面データ]において*を付したレンズ面の非球面形状を与える各係数の値を示している。非球面の形状は、下記の式で表される。以下の式において、光軸に直交する方向への光軸からの変位をy、非球面と光軸の交点から光軸方向への変位(サグ量)をz、基準球面の曲率半径をr、コーニック係数をKで表している。また、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16次の非球面係数をそれぞれA3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16で表している。
【0089】
[各種データ]には、各撮影距離合焦状態における焦点距離等の値を示している。
【0090】
[可変間隔データ]には、各撮影距離合焦状態における可変間隔およびBFの値を示している。
【0091】
[レンズ群データ]には、各レンズ群を構成する最も物体側の面番号および群全体の合成焦点距離を示している。
【0092】
また、各実施例に対応する収差図において、d、g、Cはそれぞれd線、g線、C線を表しており、△S、△Mはそれぞれサジタル像面、メリジオナル像面を表している。
【0093】
なお、以下の全ての諸元の値において、記載している焦点距離f、曲率半径r、レンズ面間隔d、その他の長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用するが、光学系では比例拡大と比例縮小とにおいても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【実施例0094】
図1は、本発明の実施例1の光学系のレンズ構成図である。
【0095】
実施例1は物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3、負の屈折力の第4レンズ群G4、及び正の屈折力の第5レンズ群G5から構成される。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間には開口絞りSが配置される。
【0096】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL2と、両凸レンズL3と、両凹レンズL4と、物体側に物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5とから構成されており、負メニスカスレンズL1の両側のレンズ面および正メニスカスレンズL5の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。
【0097】
第2レンズ群G2は、両凸レンズL6のみから構成されている。第2レンズ群G2は、無限遠物体距離から近距離へのフォーカシングに際して像面側へ移動する。
【0098】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と、両凸レンズL8と、両凸レンズL9と両凹レンズL10とからなる接合レンズとから構成されており、両凸レンズL8の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。
【0099】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL11と両凹レンズL12とからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL13と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14とからなる接合レンズとから構成されている。
【0100】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL15と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL16と、両凹レンズL17とから構成されており、両凹レンズL17の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。
【0101】
以下に実施例1に係る光学系の諸元値を示す。
数値実施例1
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd θgF
物面 ∞ (d0)
1* 161.4805 2.8015 1.58313 59.38 0.000922
2* 26.5270 2.7786
3 31.5334 1.5000 1.43700 95.10 0.056526
4 19.7048 9.4216
5 102.0441 3.2383 2.00069 25.46 0.011062
6 -444.8551 6.9281
7 -28.8940 1.0500 1.61340 44.27 -0.005289
8 74.0668 0.4500
9* 32.7524 3.0446 1.73077 40.50 -0.003978
10* 60.9305 (d10)
11 173.5602 5.9483 1.59349 67.00 0.008940
12 -34.1836 (d12)
13 -36.8596 0.9500 1.77047 29.74 0.000271
14 -173.8209 0.1500
15* 44.3951 6.8110 1.77250 49.50 -0.007316
16* -80.7953 0.1500
17 67.0933 3.8187 2.00100 29.13 0.003566
18 -237.0573 0.9500 1.61340 44.27 -0.005289
19 71.4524 3.3044
20(絞り) ∞ 1.4000
21 225.1592 7.2264 1.55032 75.50 0.027580
22 -22.5226 0.9000 1.85451 25.15 0.007183
23 93.2011 0.1500
24 40.7178 0.9000 1.77047 29.74 0.000271
25 23.0838 4.7828 1.43700 95.10 0.056526
26 99.7497 0.5000
27 47.5495 6.1520 2.00100 29.13 0.003566
28 -47.5495 0.1500
29 65.5334 0.9000 1.61340 44.27 -0.005289
30 35.4713 3.9899
31* -160.0000 1.5000 1.80610 40.73 -0.005657
32* 240.0000 (BF)
像面 ∞
[非球面データ]
1面 2面 9面
K 0.00000 0.00000 0.00000
A4 9.70576E-06 2.95756E-06 -2.42866E-05
A6 -1.86433E-08 -1.66290E-08 5.00209E-08
A8 2.75229E-11 2.98210E-11 6.27171E-11
A10 -2.96311E-14 -1.49159E-13 -3.63242E-13
A12 2.10699E-17 2.74816E-16 3.31214E-16
A14 -6.75390E-21 -1.93740E-19 0.00000E+00
A16 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
10面 15面 16面
K 0.00000 0.00000 0.00000
A4 -2.30319E-05 -5.38648E-06 1.60401E-06
A6 5.54940E-08 7.55003E-09 7.34939E-10
A8 4.43002E-11 7.81632E-12 6.17228E-12
A10 -2.63258E-13 -1.85817E-14 2.52853E-14
A12 2.18796E-16 -1.74128E-17 -8.42590E-17
A14 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
A16 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
31面 32面
K 0.00000 0.00000
A4 -2.74145E-05 -1.43072E-06
A6 1.40603E-07 1.49542E-07
A8 -8.91781E-10 -7.26583E-10
A10 2.43875E-12 1.86133E-12
A12 -2.31913E-15 -2.03497E-15
A14 0.00000E+00 0.00000E+00
A16 0.00000E+00 0.00000E+00
[各種データ]
INF
焦点距離 23.86
Fナンバー 1.46
全画角2ω 84.43
像高Y 21.63
レンズ全長 113.95
[可変間隔データ]
INF 249mm
d0 ∞ 136.5000
d10 3.7171 9.2968
d12 8.1632 2.5835
BF 23.0355 23.0355
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 -26.10
G2 11 48.64
G3 13 51.61
G4 21 -49.60
G5 27 36.37
実施例2は物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3、負の屈折力の第4レンズ群G4、及び正の屈折力の第5レンズ群G5から構成される。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間には開口絞りSが配置される。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL2と、物体側に物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL3と、両凹レンズL4と、物体側に物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5とから構成されており、負メニスカスレンズL1の両側のレンズ面および正メニスカスレンズL5の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凹レンズL7と、両凸レンズL8と、両凸レンズL9と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL10とからなる接合レンズとから構成されており、両凸レンズL8の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。
第4レンズ群G4は、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と両凹レンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる3枚接合レンズのみから構成されている。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL14と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL15と、両凹レンズL16とから構成されており、両凹レンズL16の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。