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  • 特開-二次電池システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074109
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】二次電池システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20230522BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230522BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230522BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 X
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186887
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 之也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA08
5G503EA05
5G503GD03
5G503HA01
5H030AA10
5H030AS20
5H030BB01
5H030BB23
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、システム内蓄電及び外部対象充放電の両変数を総合した、より優れた制御が可能な、二次電池システムを提供することである。
【解決手段】セルを接続してなりBMUを含むパックを接続してなり、セル毎の電圧を調整するセルバランス補正、及びパック間のバランスを調整するパックバランス補正を含むックバランス補正追加制御を実施し、セルが、セルバイパス回路に並列接続されたセルメイン回路及びセル電圧出力両端子を含み、パックが、第1及び第2の2つの入出力端子と、両端子間のパック本流回路と、少なくとも一方の該入出力端子に接続されたパック分流回路とを含み、BMUが、セルバイパス回路にセルバランス補正に係りセル電圧に基づき制御されたセルバイパス電流を流し、かつ、パック分流回路にパックバランス補正に係り制御されたパック分流電流を流す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の二次電池セルを直列、及び/又は、並列に接続してなり、バッテリーマネジメントユニット(BMU)を含むパックを複数個、直列、及び/又は、並列に接続してなり、
セル毎の電圧を調整するセルバランス補正、及び、電池パック間のバランスを調整するパックバランス補正を含む、パックバランス補正追加制御を実施し、かつ
電力の出入に係る対象との間で放電及び充電する二次電池システムであって、
該セルが、
セルバイパス回路に並列接続されてなる、
セル本体を含むセルメイン回路、及び
該セル本体の端子間電圧であるセル電圧を出力するセル電圧出力両端子、
を含み、
該パックが、
第1及び第2の2つの入出力端子と、
複数個の該セルを含むパック本流回路であって、
該第1及び第2の2つの入出力端子間のパック本流回路と、
を含み、
少なくとも一方の該入出力端子に接続されたパック分流回路と、
該BMUが、セルバイパス電流制御、及び、パック分流電流制御を実施し、
該セルバイパス電流制御が、該セルバイパス回路に、該セルバランス補正に係り、該セル電圧に基づき制御された、セルバイパス電流を流す制御であり、かつ、
該パック分流電流制御が、該パック分流回路に、該パックバランス補正に係り制御されたパック分流電流を流す制御である、二次電池システム。
【請求項2】
前記BMUが、
前記セル電圧を入力され、
該セル電圧に基づき前記セルバイパス電流制御を実施し、かつ、
パック分流制御電圧を出力し、
該パック分流制御電圧に基づき前記パック分流電流制御を実施し、
さらに、
前記セルバイパス回路、前記パック分流回路が、
各々対応して、別体である、セルバランス補正負荷、パックバランス補正負荷を含む、請求項1に記載の二次電池システム。
【請求項3】
前記BMUが、
前記セル電圧以外にも、
前記第1及び第2の2つの入出力端子の間の電圧及び電流である、
パック電圧、及びパック充放電電流に係るパック情報を入力され、さらに、
前記セルの、
温度に係るセル温度、
充電残量に係るセル充電残量、及び
セルの劣化状態に係るセル劣化状態からなる群から選ばれる1以上に係るセル情報を入力され、
該パック情報及びセル情報に基づき、前記セルバイパス電流を流す制御を実施する、請求項1、又は2に記載の二次電池システム。
【請求項4】
前記セル充電残量が、満充電状態を100%の充電残量とした際の、実際の充電状態の容量であるセル充電残量と、該セル充電残量を含む範囲を各々上限及び下限の駆動容量とする、予め設定された、かつ、第1の、上限及び下限の駆動容量と、であり、
前記BMUが、前記セル情報に基づき、予め設定された、かつ、他の上限及び/又は下限の駆動容量を設定可能であり、さらに、
前記BMUが、セル充電残量を、前記セル電圧に基づき算出する、請求項3に記載の二次電池システム。
【請求項5】
前記BMUが、CPUを含み、
該CPUが、前記セルバイパス電流制御を、アナログ制御により、無段階に実施する、請求項2-4のいずれかに記載の二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池システムに関し、特に、急速充放電に対応可能な二次電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の急速充放電の必要性増加や制御回路系の多機能化により、(単)セル電圧のアンバランスが、特にセルを直列接続した場合に、発生しやすくなっており、従来のセルバランス補正だけでは追従できず、過充電や過放電による電池寿命劣化や、システム停止に至る問題が発生している。
対策として、より一層、短時間で調整可能なダイナミックかつ精度の高いセルバランス補正が求められている。
【0003】
セル毎の電圧を調整するセルバランス補正としては、電力消費によるパッシブセルバランス(損失型)のみならず、電力授受によるアクティブセルバランス(非損失型)が実施されつつある。アクティブセルバランス補正においては、パッシブセルバランス補正に比べて補正回路が複雑化し、コスト高となるもののエネルギー効率が高い。
【0004】
例えば、特許文献1は、正確なセル電池の電圧に基づきセル電池間および複数のセル電池から成る電池パック間のエネルギーバランスをとって汎用的に使用できる電池システムとして、各々が直列に接続された複数のセル電池を含む複数の電池パックが接続された電池システムであって、複数の電池パックの各々は、複数のセル電池の各々で発生されたセル電圧を検出してセル電圧信号を生成し、該生成したセル電圧信号に基づきセル電池間のエネルギーを均等化させるセル電圧検出/セル間バランス回路2と、複数のセル電池で発生されたセル電圧を合計したモジュール電圧に基づき電池パック間のエネルギーを均等化させる電池パック間バランス回路を備える電池システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-029050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような特許文献1のシステムにおいては、セル電池間及び電池パック間のエネルギーを均等化しているものの、システム内の蓄電変数であるセル情報、及び、外部の対象との関係で制御されるべき充放電変数であるパック情報を総合し、充分に必要とされる制御を可能とすべく、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決すべく為されたものであり、システム内蓄電及び外部対象充放電の両変数を総合した、より優れた制御が可能な、二次電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる課題を解決するため検討を行なったところ、セル情報、及び、パック情報を、パック内の制御素子部に入力し、これら情報を勘案した制御を、制御素子部からの出力信号により実施することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明の二次電池システムを発明するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、複数個の二次電池セルを直列、及び/又は、並列に接続してなり、バッテリーマネジメントユニット(BMU)を含むパックを複数個、直列、及び/又は、並列に接続してなり、
セル毎の電圧を調整するセルバランス補正、及び、電池パック間のバランスを調整するパックバランス補正を含む、パックバランス補正追加制御を実施し、かつ
電力の出入に係る対象との間で放電及び充電する二次電池システムであって、
該セルが、
セルバイパス回路に並列接続されてなる、
セル本体を含むセルメイン回路、及び
該セル本体の端子間電圧であるセル電圧を出力するセル電圧出力両端子、
を含み、
該パックが、
第1及び第2の2つの入出力端子と、
複数個の該セルを含むパック本流回路であって、
該第1及び第2の2つの入出力端子間のパック本流回路と、
を含み、
少なくとも一方の該入出力端子に接続されたパック分流回路と、
該BMUが、セルバイパス電流制御、及び、パック分流電流制御を実施し、
該セルバイパス電流制御が、該セルバイパス回路に、該セルバランス補正に係り、該セル電圧に基づき制御された、セルバイパス電流を流す制御であり、かつ、
該パック分流電流制御が、該パック分流回路に、該パックバランス補正に係り制御されたパック分流電流を流す制御である、二次電池システムに関する。
【0010】
このような本発明の二次電池システムでは、パック電圧の均等化の調整を、パック充放電電流に応じて、例えば、急速充放電の場合は、セル情報の変化を予測しつつ、パック内での放電手段の必要な活用も伴って、パックバランス補正追加制御にて実施するので、システム内蓄電及び外部対象充放電の両変数を総合した、より優れた制御が可能となる。また、本発明では、さらなる急速充放電に向け、比較的大きな電流でダイナミックに、また、より高精度のセルバランス補正も可能となる。
【0011】
具体的には、セルバランス、及びパックバランス補正に係る制御における電流を、無段階可変とすることが可能となり、セル特性(充放電カーブ)に基づき、セルのみならずパックの、充放電電流、温度、残量(SOC)、劣化状態(SOH)等から、BMUで最適なバランス補正電流として、そのような連続値として、本発明に係る、セルバイパス電流や、パック分流電流の組合せとしての電流値を算出し、このような最適なバランス補正を行うことによって、その効率・精度を高めることが可能となる。
【0012】
即ち、セルバランスでの調整力(電流×時間)とパックバランスでの調整力(電流×時間)をどういう電流値、時間、セルバランス/パックバランスの配分(組合せ)で制御するかを、BMUが最適に算出・実施可能とする構成を、本発明のシステムは備え、このような本発明のシステムは、急速充放電に対応するシステムとして、特に、急速充電に対応するシステムとして、一層効果的なのである。
【0013】
また、前記BMUは、
前記セル電圧を入力され、
該セル電圧に基づき前記セルバイパス電流制御を実施し、かつ、
パック分流制御電圧を出力し、
該パック分流制御電圧に基づき前記パック分流電流制御を実施する
ことが好ましく、
さらに、
前記セルバイパス回路、前記パック分流回路が、
各々対応して、別体である、セルバランス補正負荷、パックバランス補正負荷を含むことが好ましく、より優れた制御が可能となる。

また、前記BMUが、
前記セル電圧以外にも、
前記第1及び第2の2つの入出力端子の間の電圧及び電流である、
パック電圧、及びパック充放電電流に係る
パック情報を入力され、さらに、
前記セルの、
温度に係るセル温度、
充電残量に係るセル充電残量、及び
セルの劣化状態に係るセル劣化状態
からなる群から選ばれる1以上に係る
セル情報を入力され、
該パック情報、及び該セル情報に基づき、前記セルバイパス電流を流す制御を実施することが好ましく、より優れた制御が可能となる。
【0014】
また、前記セル充電残量が、満充電状態を100%の充電残量とした際の、実際の充電状態の容量であるセル充電残量と、該セル充電残量を含む範囲を各々上限及び下限の駆動容量とする、予め設定された、かつ、第1の、上限及び下限の駆動容量と、であり、
前記BMUが、前記セル情報に基づき、予め設定された、かつ、他の上限及び/又は下限の駆動容量を設定可能であり、さらに、
前記BMUが、セル充電残量を、前記セル電圧に基づき算出することが好ましく、
セルの状態に応じた制御が可能な期使用可能な二次電池システムとなる。
【0015】
また、前記BMUが、CPUを含み、
該CPUが、前記セルバイパス電流制御を、アナログ制御により、無段階に実施することが好ましく、パック間のバランスを、パック充放電電流、セル温度、セル充電残量、あるいはセル劣化状態に応じて、無段階に補正することがきる。
【0016】
また、本発明に係る電池パックバランス補正追加制御は、システムの電力の出入に係る対象に含まれる、目的負荷や前記セルバランス補正に係るセルバランス補正負荷とは別に、電池パック内蔵の負荷として、電池パックバランス補正負荷、及び、この電池パックバランス補正負荷にて電力を消費せしめる制御回路を含み、パックバランス補正負荷には制御回路で自動生成される無段階の可変電圧源が印加される構成をとることにより、電池パック間での消費電流のバラツキを精度良く自動調整することにより、例えば、直列接続電池パックの場合には電池パック間で生じるパック電圧のバラツキをその使用条件に応じて極小化する等の、パック間での電流や電圧の調整を行うことができる。
【0017】
また、本発明のシステムは、パック間や対象との間で通信することで、より優れた制御が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の二次電池システムにおいては、システム内蓄電及び外部対象充放電の両変数を総合した、より優れた制御が可能となり、特に、急速充放電に対応した、比較的大きな電流でダイナミックに、また、より高精度のセルバランス補正も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施態様に係る二次電池パックの電気的な概略構成を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の二次電池システムの実施態様につき、これを構成する構成要素の説明と共に、詳述する。
【0021】
(二次電池システム)
本発明の二次電池システムは、電力の出入に係る対象との間で、放電及び充電するシステムであり、後述するパックバランス補正追加制御を実施することを一つの特徴とし、複数個の二次電池セルを含む、二次電池パックを、複数個、直列、及び/又は、並列に接続し含むシステムである。
【0022】
(パックバランス補正追加制御)
本発明に係るパックバランス補正追加制御は、電池パック間のバランスを調整するパックバランス補正、及び、セル毎の電圧を調整するセルバランス補正の両方の補正を実施する制御であり、これらの補正は、いずれも後述する、パック情報、セル情報に基づく制御により実施される。
パック情報は、いずれも後述する、パック充放電電流、パック電圧等の情報である。
セル情報は、いずれも後述する、セル温度、セル充電残量、セル劣化状態等の情報である。
【0023】
ここで、セル充電残量(State of Charge:SOC)は、例えば、満充電状態を100%と表現した際の充電残量の比率として表され、実際の充電状態の容量であるセル充電残量である。
【0024】
このようなセル充電残量の駆動範囲であって、パックの種類に応じて後述するバッテリーマネジメントユニット(BMU)に予め設定され保持された値が駆動容量であり、そのような駆動容量としては、少なくとも第1の上限・下限の駆動容量であって、セル充電残量を含む範囲を各々上限及び下限の駆動容量とする、第1の上限・下限の駆動容量があり、好ましくは、この第1の上限・下限の駆動容量の範囲を範囲として含む、他の上限・下限の駆動容量があり、BMUは、好ましくは、セル充電残量をセル電圧に基づき算出する機能を有し、より好ましくは、算出したセル充電残量を、比較演算の為に保持する。
【0025】
このような本発明に係るBMUは、入力されたセル劣化状態(state of health:SOH)に基づき、他の上限及び/又は下限の駆動容量を設定可能であり、当該BMUに予め設定・保持された劣化基準と比較演算した結果に基づいて、BMU200は、他の上限及び/又は下限の駆動容量を設定し保持する。
【0026】
ここで、このようなセル劣化状態SOHの算出方法には、少なくとの4種類の方法があるが、本発明に係るSOH算出方法としては、インピーダンス・トラック方式が好ましく、高い精度が得られる。
【0027】
インピーダンス・トラック方式は、電池セルのインピーダンスを捕捉するもので、どんなセルでも、使えば使うほど内部インピーダンスは高くなる傾向があり、その様なインピーダンスから導出される値をSOHとすることが基本であるが、そのようなインピーダンスに応じて、エネルギー容量である本発明に係る駆動容量の範囲は減る傾向があるので、そのような使用により変化した駆動容量範囲を、電池セルの種類に応じた放電特性や温度特性などの測定データをリファレンスとしたものを、SOHとすることもできる。
【0028】
このようなセル劣化状態SOHを、その初期値や、設定値、測定値としてBMUに保存、入力、即ち、そのメモリに格納しておき、セル(パック)稼働時の電圧と電流、温度をモニターしつつ、これらと関連付けて電池セルのインピーダンスを常時捕捉し、データを更新していくことで、経年劣化によるインピーダンス変化を算出し、SOHを算出することが、より好ましい。
【0029】
ただし、本発明の構成とすることで、このようなSOHの要素を加味しなくても、過電圧・過放電に至らないように、充分にバランス補正することができるだけでなく、優れた蓄電性能を発揮しうる高精度の制御が可能であることが、本発明のポイントで。
ある。
【0030】
(パックバランス補正)
本発明に係るパックバランス補正は、電池パック間のバランスを調整する補正であり、即ち、本発明のシステムには、一のパックである一パックとは別に、他のパックである他パックが含まれる。
【0031】
(セルバランス補正)
本発明に係るセルバランス補正は、セル毎の電圧を調整する補正であり、ここで、セルは直列、及び/又は、並列に接続されパックに含まれ、即ち、本発明のシステムには、一のパックに含まれる一パックセルとは別に、他のパックに含まれる他パックセルが、夫々複数個含まれる。
【0032】
(パック)
図1は、本発明の一実施態様に係る二次電池パックの電気的な概略構成を示す回路ブロック図である。
【0033】
本発明に係る二次電池パックは、第1及び第2の入出力端子102,103と、これらの端子間に存在するパック本流回路10とを少なくとも含み、これらに、BMU200が付加された構成を有し、このBMU200が、パック本流回路10から分岐するパック分流回路23を含むことを一つの特徴とする。
【0034】
第1及び第2の入出力端子102,103の端子間電圧がパック電圧であり、また、当該端子から、又は当該端子に流れる電流、即ち、当該端子を流れる電流が、パック充放電電流である。
【0035】
図1に示す二次電池パック100は、直列接続された複数個のセルを含む電池モジュール101と、本発明に係るセル温度を測定する為の温度検出部105と、一対(プラス電源端子およびマイナス電源端子)の入出力端子である前記第1及び第2の入出力端子102、103と、通信コネクタ104と、BMU200とを備え、前記パック本流回路10は、第1入出力端子102から、BMU200及び電池モジュール101を介し、第2入出力端子103までに至る回路である。
【0036】
温度検出部105は、電池モジュール101に近接して配置されており、電池モジュール101の、場合によっては、個別のセル本体の、温度を検出する。温度検出部105としては、特に限定されないが、例えばサーミスタが挙げられる。
【0037】
通信コネクタ104に関して、一パックであるパック100は、通信コネクタ104を介し、直列、及び/又は、並列に接続された他パック100との間で少なくとも、好ましくは、本発明に係る対象であり、より好ましくは上位システムである、外部の接続機器との間でも、通信を行う。通信コネクタ104を介し行う通信インターフェースとしては、特に限定されないが、CANや、RS485等の標準インターフェースが挙げられ、その様なインターフェースドライバー内蔵のCPU201を例に記述している。
【0038】
(第1及び第2の入出力端子102、103)
前記第1及び第2の入出力端子102、103は、本発明の二次電池システムにおいて、前記対象の入力や出力の端子と電気接続される、二次電池システムの外部入出力端子とすることができ、また、片方の入出力端子のみを、当該外部入出力端子とすることもでき、さらに、両方の入出力端子を、当該外部入出力端子としないこともできる。
【0039】
パック100は、一対の入出力端子102、103を介して、電池モジュール101から、本発明に係る対象である、外部負荷(例えば、後述する対象機器)への放電と、同様に本発明に係る対象である、外部電源(例えば、後述する充電器)から電池モジュール101への充電と、を行う。
【0040】
第1及び第2の両方の入出力端子102、103が、当該外部入出力端子である場合には、少なくとも、2個の、各々が当該第1及び第2の入出力端子102、103を含む、パックを、本発明の二次電池システムは含む。
【0041】
(パック本流回路10)
本発明に係るパック本流回路10は、第1及び第2の入出力端子間に存在し、これらの端子を連結する回路であり、当該回路中には、直列、及び/又は、並列に接続された複数のセルを前述した一パックセルとして含む、モジュール101を含む。
【0042】
(セル)
本発明に係るセルは、セル本体を含むセルメイン回路と、セル本体の端子間電圧であり、このセルメイン回路の両端電圧でもある、セル電圧をセルの外部に出力する、セル電圧出力両端子とを含み、好ましくは、モジュール101内において隣接する、一のセル本体と他のセル本体との、一及び他のセル電圧出力端子は共用される。
【0043】
(セルメイン回路)
本発明に係るセルメイン回路は、充電式(rechargeable)の二次電池(secondary battery)であるセル本体を含む。
【0044】
(セル本体)
セル本体としては、特に限定されないが、例えばリチウムイオン電池が挙げられる。リチウムイオン電池の中でも、負極の材料としてチタン酸リチウム(Lithium Titanate、Lithium Titanium Oxide:LTO)を用いたリチウムイオン電池(以下、LTO電池ともいう。)が好ましい。LTO電池は、自己放電による電圧低下量が小さく、繰り返し充放電による寿命が長く、急速充電機能に優れる。
【0045】
(バッテリーマネジメントユニット(BMU)200)
本発明に係るBMU200は、セルバイパス回路を含むセル入力部21、セルバイパス電流及びパック分流電流の制御に係る信号の入力・生成・出力を担う制御素子部20、及びパック分流回路23を含み、必要に応じて、パック充放電スイッチ204や、パック充放電電流を検出する電流検出部205等を含み、セルバイパス電流制御、パック分流電流制御を介して、過電圧/過電流、過充電/過放電、過低温/過高温等から二次電池システム、特に電池モジュール101を保護する保護機能を有し、好ましくは、保護機能だけでなく、本発明に係る対象との間での放電及び充電そのものについての充放電制御機能や、パック情報やセル情報についての通知に係る通知機能を有する。
【0046】
このような本発明に係るBMU200には、好ましくは、パック情報が入力され、より好ましくは、セル情報が入力される。
【0047】
パック充放電スイッチ204は、電池モジュール101の充放電を制御するスイッチング素子である。パック充放電スイッチ204としては、特に限定されないが、例えば電界効果トランジスタ(FET)が挙げられる。充電用と放電用のFETをそれぞれ構成することで、充電/放電の制御がそれぞれ単独で可能となる。
【0048】
電流検出部205は、図1においては、BMU200内において、パック本流回路10の一部から、後述するアナログフロントエンド(AFE:周辺演算部)に、電池モジュール101の充放電電流でもある、パック充放電電流に係るパック情報を出力する素子として描かれており、このパック情報を基にして、BMU200が、電池モジュール101のセル充放電容量に関する制御信号を算出し、当該制御信号に基づきセルバイパス電流制御を実施することもできる。
【0049】
電流検出部205としては、特に限定されないが、例えば、パック充放電電流に対応するシャント抵抗の電圧降下を出力し、BMU200にて演算処理する方法が挙げられる。この場合、電流検出部205は、電池モジュール101の充放電電流に応じた電圧を生成することとなる。
【0050】
(セル入力部21)
セル入力部21は、セルバイパス回路を含み、このセルバイパス回路の両端間の電圧として、セル本体の電圧であるセル電圧を出力し、その値は、AFE202に入力される。即ち、セル入力部21には、対応する電池モジュール101に含まれる全てのセル本体の各々について、セルのセル電圧出力両端子に各々接続されたセル電圧入力両端子を含み、好ましくは、上述のセルと同様に、隣接する一のセルと他のセルとの一及び他のセル電圧出力端子に対応する、セル電圧入力両端子は共用される。
【0051】
(セルバイパス回路)
本発明に係るセルバイパス回路は、セルバランス補正負荷を含み、例えば、放電の対象のセル本体を、MOSFETとセルバランス補正負荷を介して放電させるパッシブ方式の回路構成であり、オペアンプを用いた定電流回路として構成でき、この様な構成することで、本発明に係る無段階電流制御とすることが容易となる。
【0052】
(制御素子部20)
制御素子部20は、好ましくはCPU(メイン演算部)201、及びAFE202の2個の素子から構成され、制御に係る情報を保持情報として保持すると共に、入力された信号と比較演算し、制御に係る信号を生成・出力する機能を有し、好ましくは、通信コネクタ104を介して、当該パック100の外部の、当該パックである一パック以外の他パックや、対象である外部機器等との間で情報を通信する通信機能も有する。
【0053】
CPU201およびAFE202の各種機能は、例えばCPU201に内蔵の記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現され、好ましくは、CPU201は、セルバイパス電流制御を、アナログ制御により、無段階に実施可能である。AFE202は、例えばCPU201とI2Cバスで接続されており、CPU201のスレーブとして動作する構成でもよく、場合によっては、AFE202が通信コネクタ104を介して外部と通信を行ってもよい。
【0054】
AFE202は、セル入力部21から入力されたセル電圧、電流検出部205から入力されたパック充放電電流に応じた電圧、及び、温度検出部105から入力された電池モジュール101の温度に応じた電圧を、アナログ-デジタル変換した後、変換後の信号をCPU201に出力する。
【0055】
CPU201は、AFE202からの出力信号や、通信コネクタ104からの入力情報に基づいて、制御に係る信号や情報を、保持し、比較演算し、生成・出力する機能を有し、AFE202にもこれら機能の一部が内蔵されていても良く、例えば、CPU201は、AFE202から保護がかかったことを通知されるのみの構成とすることもでき、例えば、CPU201は、電池モジュール101の、各電池セルのセル電圧、パック充放電電流、及びセル温度に基づき、セル充電残量やセル劣化状態を算出する演算処理を行い、また、通信コネクタ104を介して外部と通信を行い、演算処理の結果等を送信することができる。
【0056】
(セルバイパス電流制御)
本発明に係るセルバイパス電流制御は、セルバイパス回路に、セルバランス補正に係り、セル電圧に基づき制御されたセルバイパス電流を流す制御であり、好ましくは、アナログ制御により、無段階に実施され。また、好ましくは、セル電圧だけでなく、制御素子部20に入力された、パック電圧、パック充放電電流、セル情報からなる群に含まれる一以上に基づいても実施される。
【0057】
即ち、セルバイパス電流制御は、セルバランス補正に係り、電池モジュール101における各電池セルのセル電圧に基づき制御されたセルバイパス電流であって、セル入力部21に含まれるセルバイパス回路を流れるセルバイパス電流の制御であり、セル電圧を均等にするため制御とすることが基本であるが、本発明に係るセル温度、セル充電残量、セル劣化状態といったセル情報や、パック電圧、パック充放電電流にパック情報に基づき、各電池セルに対応するセルバイパス電流につき、制御の程度をより精密なものとし、セル電圧につき。必ずしも均等にするものでなくても良く、このようなセルバイパス電流制御は、メインCPU201及びAFE202が、共同して行うことができるが、AFE202が単独で行うこともできる。
【0058】
(パック分流電流制御)
本発明に係るパック分流電流制御は、パック分流回路に、パックバランス補正に係り制御されたパック分流電流を流す制御であり、好ましくは、本発明に係るBMU200が出力するパック分流制御電圧に応じて、パック分流制御電圧の値が、増減する。
【0059】
即ち、CPU201のデジタル―アナログ変換により生成されるパック分流制御電圧の出力と外部の定電流回路を含むパック分流回路23により、パック分流電流は、好ましくは無段階に、制御される。さらに、パック分流回路23に大電流駆動可能な素子、例えばNPN型トランジスタおよび抵抗を設けることで、大きなパック分流電流を流すことが可能となる。これによりパックバランス補正はCPU201の算出結果に基づき、好ましくは無段階に、高精度、かつ、ダイナミックに実施されることとなる。
【符号の説明】
【0060】
100 電池パック
10 パック本流回路
101 電池モジュール
102,103 入出力端子
104 通信コネクタ
105 温度検出部(サーミスタ)
200 バッテリーマネジメントユニット(BMU)
20 制御素子部
201 CPU(メイン演算部)
202 アナログフロントエンド(AFE)(周辺演算部)
21 セル入力部
23 パック分流回路
204 パック充放電スイッチ
205 電流検出部
図1