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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074123
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】電池の製造装置および電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/169 20210101AFI20230522BHJP
【FI】
H01M50/169
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186903
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】臼沢 太一
(72)【発明者】
【氏名】前花 英一
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB03
5H011DD13
5H011DD26
(57)【要約】
【課題】ケースと蓋体とを溶接する際に生じるヒューム等の拡散をより抑制することができる電池の製造装置および電池の製造方法を提供する。
【解決手段】
有底筒体のバッテリケース2の上面4に形成された開口部5を塞ぐ蓋体3を設けた電池の製造装置10である。製造装置10は、溶接ステージ12を設けた装置本体11と、バッテリケース2を治具13で保持して溶接ステージ12に搬送する搬送機構14と、を備える。製造装置10は、開口部5の溶接部位に蓋体3をレーザ溶接するレーザ溶接部15と、装置本体11に設けられて溶接部位に向けて不活性ガスを噴出する噴出孔17を有する噴射装置16と、噴出孔17よりも上方で、不活性ガスを捕集して排気する排気口18と、噴出孔17と治具13との間に空気を導入する大気開放口19と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒体のバッテリケースの上面に形成された開口部を塞ぐ蓋体を設けた電池の製造装置であって、
溶接ステージを設けた装置本体と、
前記バッテリケースを治具で保持して前記溶接ステージに搬送する搬送機構と、
前記開口部を塞ぐ蓋体を溶接部位においてレーザ溶接するレーザ溶接部と、
前記装置本体に設けられて前記溶接部位に向けてガスを噴出する噴出孔を有する噴射装置と、
前記噴出孔よりも上方で、ガスを排気する排気口と、
前記噴出孔と前記治具との間に空気を導入する大気開放口と、を備えることを特徴とする電池の製造装置。
【請求項2】
前記噴出孔は、前記バッテリケースの上面に沿わせてガスを水平に噴出させることを特徴とする請求項1に記載の電池の製造装置。
【請求項3】
前記大気開放口は、前記治具の側面に沿って大気を導入する導入路と連通していることを特徴とする請求項1または2に記載の電池の製造装置。
【請求項4】
前記導入路は、前記治具と前記噴射装置との間に形成される隙間を有することを特徴とする請求項3に記載の電池の製造装置。
【請求項5】
溶接部位を有するバッテリケースを治具で保持して装置本体の溶接ステージに搬送する搬送工程と、
溶接部位に向けてガスを噴出する噴出工程と、
前記噴出したガスに巻き込まれる空気を導入する導入工程と、
溶接部位をレーザ溶接するレーザ溶接工程と、
前記ガスと空気に含まれるヒュームを捕集して排気する排気工程と、を備えることを特徴とする電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の製造装置および電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池の製造装置としては、内部に電解液等が注入された有底角筒形のバッテリケースの上面に形成される開口に電池蓋体を被せてレーザ溶接により密閉するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5849804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ溶接を行う際、溶接箇所の周囲にヒューム、煤、スパッタ等(以下、ヒューム等とも記す)が拡散する。拡散したヒューム等は溶接箇所の周囲に付着して電池の外観品質を低下させてしまう。
このため、従来の電池の製造装置は、バッテリケースと電池蓋体とをレーザ溶接する際、溶接箇所に供給される不活性ガスとともにヒューム等を捕集して拡散しないように排気している。
しかしながら、このような構成であっても充分にヒューム等を捕集できず溶接箇所の周囲に不良生成物として付着してしまう場合があり、さらなる改善が求められている。
そこで、本発明は、ケースと蓋体とを溶接する際に生じるヒューム等の拡散をより抑制することができる電池の製造装置および電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電池の製造装置は、有底筒体のバッテリケースの上面に形成された開口部を塞ぐ蓋体を設けた電池の製造装置であって、溶接ステージを設けた装置本体と、バッテリケースを治具で保持して溶接ステージに搬送する搬送機構と、開口部を塞ぐ蓋体を溶接部位においてレーザ溶接するレーザ溶接部と、装置本体に設けられて溶接部位に向けてガスを噴出する噴出孔を有する噴射装置と、噴出孔よりも上方で、ガスを排気する排気口と、噴出孔と治具との間に空気を導入する大気開放口と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ケースと蓋体とを溶接する際に生じるヒューム等の拡散をより抑制することができる電池の製造装置および電池の製造方法が提供される。
【0007】
詳しくは、大気開放口を介して導入された空気は、噴出されたガスの噴流による巻き込み効果によって巻き込まれて連れまわる。このため、溶接部位で生じたヒューム等は、ガスに加えて充分な空気量で捕集されて排気口から排気される。したがって、溶接部位の周囲に不良生成物が付着する虞が減少して、外観品質を向上させることができる。
【0008】
また、排気口にヒューム等を含むガスや空気が集められて、一箇所に捕集(集塵)される。このため、メンテナンス作業性が良好である。
そして、ガスと空気の流れ方向が一致する。このため、製造装置は、溶接により生じるプルームを所望の方向へ容易に偏向させて、レーザ溶接光の吸収および散逸を防止できる。したがってさらに溶接品質が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の電池の製造装置および電池の製造方法で、全体の構成を説明する斜視図である。
図2】本実施形態の電池の製造装置で、要部の構成を説明する斜視図である。
図3】本実施形態の電池の製造装置で、図1中のIII-III線に沿った位置での断面図である。
図4】本実施形態の電池の製造装置で、図3中IV部の構成を説明する部分拡大図である。
図5】本実施形態の電池の製造装置で、不活性ガス噴出流速に対する流れ場の流速の比率を示す図4に相当する箇所での断面図である。
図6】本実施形態の電池の製造装置で、空気の流速を示す図5中VI部の速度分布ベクトルを示す断面図である。
図7】本実施形態の電池の製造装置で、空気の流れを示す模式的な断面図である。
図8】本実施形態の電池の製造方法で、工程を示すフローチャートである。
図9】変形例1の電池の製造装置で、変形例1における図4に相当する図である。
図10】変形例2の電池の製造装置で、変形例2における図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の電池の製造装置および電池の製造方法の一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の基本的な実施形態の電池の製造装置10を示している。
製造装置10によって製造される電池は、主に二次電池1である。二次電池1は、有底筒体のバッテリケース2と、バッテリケース2の内部に収容される電解液等の電池要素と、蓋体3とを有している。
バッテリケース2は、上面4に開口部5が開口形成されている。開口部5は、蓋体3の外周縁とほぼ同じ大きさで溶接部位としての周縁5a(図4参照)を環状に設けている。
そして、蓋体3の外周縁が開口部5の周縁5aに対して略全周でレーザ溶接される。これにより、バッテリケース2の開口部5は蓋体3で塞がれて内部に充填された電解液が漏出しないように密閉される。
【0011】
本実施形態の電池の製造装置10は、溶接ステージ12を設けた装置本体11と、バッテリケース2を治具13により保持して溶接ステージ12に搬送する搬送機構14と、を備える。また、製造装置10は、レーザ溶接部15と、図示しない制御部と、を備えている。制御部は、後述する溶接工程におけるレーザ溶接や吸排気、或いは、搬送工程における治具13の移動等を制御する。
装置本体11は、左,右一対の吸排気ブロック11a,11bと、これらの吸排気ブロック11a,11bの間に設けられる溶接ステージ12と、を有している。溶接ステージ12には、搬送機構14の一部であるレール部14aが吸排気ブロック11a,11bと、平行に敷設されている。
【0012】
治具13には、上面側を開放する保持凹部13b(図3参照)が形成されている。保持凹部13bには、バッテリケース2が上面4を上方に向けて保持されている。保持状態では、開口部5の周縁5aが治具13の上面13cより上方へ突出している(図4参照)。
また、本実施形態の製造装置10は、図4に示すように、治具13の側面13aと上面13cとが交差する角部に面取り部13dが形成されている。
【0013】
搬送機構14は、左右対称に設けられた吸排気ブロック11a,11b間に溶接ステージ12の前工程のステージからバッテリケース2を保持した治具13を搬送するレール部14aと、レール部14aに摺接するスライダ14bとを有している。
そして、制御部の制御により搬送機構14が動作すると、スライダ14bに搭載された治具13は、レール部14aに沿って各工程のステージ間を移動する。
【0014】
搬送機構14では、レール部14aに沿って治具13が吸排気ブロック11a,11b間に搬入されて溶接ステージ12に到達する。
治具13とともに溶接ステージ12に搬入されたバッテリケース2は、レーザ溶接部15の下方に配置されて、溶接部位である上面4の開口部5を上方に向けて停止する。
【0015】
溶接ステージ12には、上方から吸排気ブロック11a,11bの間に向けてレーザ光15aを照射するレーザ溶接部15が設けられている。
レーザ溶接部15は、吸排気ブロック11a,11bの間に搬送された治具13に保持されたバッテリケース2の上面4に向けてレーザ照射を行う。レーザ照射は、制御部によりレーザ光15aの照射エネルギおよび照射位置が調整される。これにより、溶接部位である開口部5の周縁5aに蓋体3がレーザ溶接される。
【0016】
また、図2に示すように、製造装置10は、噴射装置16を備えている。噴射装置16は、装置本体11の吸排気ブロック11a,11bにそれぞれ噴射装置16に接続されるジョイント部16aを介して噴出孔17を有している。噴出孔17は、各吸排気ブロック11a,11bの対向面に開口形成されている。
本実施形態の噴出孔17は、長手方向を水平に沿わせたスリット状に形成されている。噴出孔17の長手方向の長さ寸法は、吸排気ブロック11a,11bの略全幅で溶接部位全体に向けてガスとしての不活性ガスを噴出するように構成されている。
【0017】
そして、図3に示すように、噴射装置16は、対向面11c,11dの反対側の背面から供給される不活性ガス(N2ガス等)をバッテリケース2の上面4に平行に沿うように開口部5の周縁5aに向けて水平に噴出する。本実施形態では、対向する二つの噴出孔17,17から上面4を挟むように噴出される。噴出孔17は、高さ位置が治具13の上面13cと同じまたはやや高い位置となるように設定されている(図4参照)。
本実施形態の製造装置10では、各吸排気ブロック11a,11bの噴出孔17から噴出した不活性ガスが治具13の上面13cに沿って水平に直進する。そして、蓋体3がレーザ光15aによりレーザ溶接される開口部5の周縁5aに不活性ガスが横方向から当接するように構成されている。
【0018】
そして、図3に示すように、製造装置10は、噴出孔17と治具13との間に空気を導入する大気開放口19を備えている。
大気開放口19は、治具13の側面13aに沿って大気を導入する導入路20と連通している。導入路20は、治具13と噴射装置16との間に形成される隙間21を有している。また、本実施形態の大気開放口19は、大気に開放されて、外部の空気は、大気開放口19、導入路20を介して隙間21から噴出孔17の前方まで導入される。
【0019】
隙間21は、所定の大きさとなるように設定されている。本実施形態の隙間21は、所定の大きさに設定されている。図4に示すように例えば隙間21の大きさaは、a=数~数十mmに設定され、さらに好ましくは、a=約3mm程度に設定されている。このため、治具13がレール部14aに沿って吸排気ブロック11a,11b間の溶接ステージ12に搬入される際、噴出孔17,17周辺に治具13が干渉しない。
また、導入路20の最下流側の断面形状が縮小形状(テーパ形状)の流路になっている。このように、縮小形状の流路により導入路20では流れの滞留が防止される。
すなわち、冶具13との隙間21からは不活性ガスの流れによる巻き込み効果による受動的な流れを発生させる。このため、噴流等を発生させる機器を追加する必要がなく、製造コストの上昇が抑制される。
【0020】
さらに、図3に示すように、各吸排気ブロック11a,11bには、排気口18がそれぞれ備えられている。
排気口18は、吸排気ブロック11a,11bの対向面11c,11dにそれぞれ集塵開口18a,18bを有している。集塵開口18a,18bは、それぞれの噴射装置16,16の噴出孔17,17よりも上方に開口形成されている。
集塵開口18a,18bは、対向面11c,11dの反対側の背面11e,11fから排気される排気ダクト18c,18d(図1参照)にそれぞれ連通している。そして、排気口18は、集塵開口18a,18bから不活性ガスを捕集して巻き上げられたヒューム等を集塵し、背面11e,11fから排気ダクト18c,18dを介して排気する。
【0021】
次に本実施形態の電池の製造装置10を用いた製造方法の作用効果を図8のフローチャートに沿って説明する。
図1に示すように、製造装置10は、制御部の制御により搬送機構14を動作させて、図8の製造工程を開始する。ステップS1では、治具13をレール部14aに沿わせて溶接工程の溶接ステージ12まで移動させる。
治具13には、溶接部位としての開口部5を有するバッテリケース2が保持されている。
【0022】
ステップS2では、図3に示すように、各噴射装置16は、噴出孔17から開口部5の周縁5a(図4参照)に向けて不活性ガスを上面に沿うように噴出する(噴出工程)。
ステップS3では、大気開放口19からは、噴出した不活性ガスに巻き込まれる空気が導入路20を通過して下方から上方へ導入される(導入工程)。
大気開放口19を介して導入された空気は、図4に示すように隙間21を通過して噴出されて不活性ガスに巻き込まれて連れまわる。図5および図6に示すように、治具13の上面13cに沿って平行に通過した導入空気を含む不活性ガスは、開口部5の周縁5aに到達して、上方へ巻き上げられる。このうち、図5は、不活性ガス噴出流速に対する流れ場の流速の比率を示している。
そして、ステップS4では、開口部5の周縁5aと蓋体3との接合部分にレーザ溶接部15のレーザ光15aが真上から照射されてレーザ溶接される(レーザ溶接工程)。
【0023】
周縁5aと蓋体3との接合部分にて生じたヒューム等は、不活性ガスに加えて大気開放口19を介して導入された充分な空気量で捕集される。
これにより、ステップS5では、不活性ガスと空気に含まれるヒューム等は、効率良く集塵されて図5に示すように排気口18の各集塵開口18a,18bを介して排気される(排気工程)。
したがって、溶接部位の周囲に不良生成物が付着する虞が減少して、外観品質を向上させることができる。
【0024】
また、排気口18にヒューム等を含む不活性ガスや空気が集められて、一箇所に捕集(集塵)される。このため、メンテナンス作業性が良好である。
そして、図6に示すように、不活性ガスと大気開放口19を介して導入された空気の流れ方向が一致する。このため、溶接により生じたプルームは、所望の方向へ容易に偏向する。これにより、レーザ溶接の際にレーザ光線の吸収および散逸を防ぐことができる。
【0025】
例えば、図7に示すように、治具13と噴出孔17を形成する装置本体11とを相対移動可能な別部材で構成することができる。このため、治具13を搬送移動させることが出来、前工程のステージ等、別ステージでバッテリケース2に電解液の注入や蓋体3等の組付けを行える。したがって、溶接ステージ12では、組付け作業が減少してレーザ溶接部15の妨げとならず、治具13の上方の空間効率を向上させることができる。
【0026】
また、溶接ステージ12では、治具13と噴出孔17との間の隙間21が形成される。
大気開放口19からの空気は、隙間21から導出されて噴出孔17から噴出された不活性ガスの噴流による巻き込み効果で吹き出し流れに巻き込まれて連れまわる。
そして、不活性ガスは、空気とともに噴出孔17と同じ対向面の上方に位置する排気口18から排気される。この際、溶接部位で生じたヒューム等は、不活性ガスに加えて充分な空気量で捕集されて上昇して排気口18から排気される。
したがって、溶接部位の周囲に不良生成物が付着する虞が減少して、外観品質を向上させることができる。
また、図7に示すように、製造装置10は、真上から下方に向けてレーザ溶接部15から照射されるレーザ溶接光の吸収および散逸を防止できる。よって、レーザ溶接部15から照射されるレーザ光15aの位置や角度の自由度が向上する。このため、さらに溶接品質が良好である。
このように本実施形態の電池の製造装置および電池の製造方法によれば、二次電池1のバッテリケース2と蓋体3とを溶接する際に生じるヒューム等の拡散をより抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態の製造装置10は、図4に示すように、治具13の側面13aと上面13cとが交差する角部に面取り部13dが形成されている。
図6に示すように、噴出孔17から噴出した不活性ガスに巻き込まれる空気が導入路20から隙間21を通過する際、さらに円滑に導入される。このため、より充分な空気量を得やすく、ヒューム等を捕集する効率を向上させることができる。
【0028】
さらに、本実施形態の製造装置10は、隙間21が所定の大きさに設定されている。このため、レール部14aに沿って吸排気ブロック11a,11b間の溶接ステージ12に搬入される際、噴出孔17,17周辺に治具13が干渉しない。
また、冶具13と噴射装置16との間に一定の隙間21を設けている。これにより噴出孔17から噴出する不活性ガスの噴流による巻き込み効果を用いて外部にヒュームが漏れないようにすることができる。
したがって、円滑に治具13ごと各ステージ間を移動させることができる。しかも、本実施形態の製造装置10は、干渉を防止する隙間21を設定することにより空気の導入路20が各吸排気ブロック11a,11bと治具13との間に形成される。
このため、別途、空気通路を形成する必要が無く、エアポンプ等の動力源も不要である。したがって、製造装置10の構成を簡略化することができる。
【0029】
図9は、実施形態の変形例1の電池の製造装置で、実施形態の図4に相当する部分の断面図である。なお、実施形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、相違点を中心に説明する。
図9に示す治具23は、導入路30を形成する側面23aに水平な段差部24が形成されている。このため、大気開放口29と隙間21とを連通する導入路30は、略L字状となるように形成されている。
【0030】
このように構成された電池の製造装置では、大気開放口29を介して導入された空気は、図9に示すように隙間21を通過して噴出孔17から水平に噴出された不活性ガスに巻き込まれて連れまわる。このため、不活性ガスに加えて大気開放口29を介して導入された充分な空気量で接合部分にて生じるヒューム等が捕集される。
他の構成及び作用効果については、実施形態と同一であるので説明を省略する。
【0031】
図10は、実施形態の変形例2の電池の製造装置で、実施形態の図4に相当する部分の断面図である。なお、実施形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、相違点を中心に説明する。
図10に示す治具33は、水平な段差部34と側面33aとの入隅にガイド斜面35が形成されている。
他の構成及び作用効果については、実施形態および変形例1と同一であるので説明を省略する。
【0032】
このように構成された電池の製造装置では、大気開放口39を介して水平に導入された空気は、図10に示すようにガイド斜面35が形成されている導入路40に沿って垂直に上昇する。そして、空気は隙間21を通過して噴出孔17から水平に噴出された不活性ガスに巻き込まれて連れまわる。
他の構成及び作用効果については、実施形態と同一であるので説明を省略する。
【0033】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、たとえば、以下のようなものである。
【0034】
本実施形態の搬送機構14は、レール部14aを有していてバッテリケース2を治具13に保持させた状態でレール部14aに沿わせて溶接ステージ12にまで搬送するように構成している。しかしながら、本発明は、特にこれに限らない。例えばレール部14aがなくても、自走する台車を用いて、治具13が保持したバッテリケース2を溶接ステージ12にまで搬送する等、どのような搬送機構であってもよい。すなわち、搬送機構は、バッテリケース2を治具で保持して溶接ステージに搬送するものであればよく、形状、数量および動力が特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
1 二次電池(電池)
2 バッテリケース
3 蓋体
4 上面
5 開口部
11 装置本体
12 溶接ステージ
13 治具
14 搬送機構
15 レーザ溶接部
16 噴射装置
17 噴出孔
18 排気口
19 大気開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10