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特開2023-74143電気料金単価決定装置、コントローラおよび電気料金単価決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074143
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】電気料金単価決定装置、コントローラおよび電気料金単価決定方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230522BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20230522BHJP
   G16Y 20/10 20200101ALI20230522BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20230522BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20230522BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20230522BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20230522BHJP
【FI】
G06Q50/06
G16Y10/35
G16Y20/10
G16Y20/30
G16Y40/10
G16Y40/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186933
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】茶山 将慶
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】需要家の需要を誘導可能な電気料金単価決定装置等を提供する。
【解決手段】電気料金単価決定装置10は、電力の小売を行う事業者が需要家20等に販売する電力の価格を決定する電気料金単価決定装置である。電気料金単価決定装置10は、事業者と卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方との間における、販売計画に基づく電力の取引価格を取得する取引価格取得部11と、卸電力取引市場の市場価格に基づいてインバランス価格予測値を算出するインバランス価格予測部12と、販売電力量実績値に基づいて、販売電力量予測値を算出する販売電力量予測部13と、販売電力量計画と販売電力量予測値との差分である販売電力量差分を算出し、販売電力量差分と、取引価格と、インバランス価格予測値とに基づいて、電気料金単価を算出する電気料金単価算出部14と、需要家20等に電気料金単価を通知する通知部15とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の小売を行う事業者が需要家に販売する電力の価格を決定する電気料金単価決定装置であって、
前記事業者と卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方との間における、販売電力量計画に基づく電力の取引価格を取得する取引価格取得部と、
前記卸電力取引市場の市場価格に基づいてインバランス価格予測値を算出するインバランス価格予測部と、
販売電力量実績値に基づいて、販売電力量予測値を算出する販売電力量予測部と、
前記販売電力量計画と前記販売電力量予測値との差分である販売電力量差分を算出し、前記販売電力量差分と、前記取引価格と、前記インバランス価格予測値とに基づいて、電気料金単価を算出する電気料金単価算出部と、
前記需要家に前記電気料金単価を通知する通知部と、を備える
電気料金単価決定装置。
【請求項2】
前記電気料金単価算出部は、前記販売電力量差分が所定の範囲に含まれる場合、前記電気料金単価を基準電気料金単価とし、前記販売電力量差分が前記所定の範囲の上限より大きい場合、前記電気料金単価を前記インバランス価格予測値および前記販売電力量差分のうち少なくとも一方に応じて前記基準電気料金単価より低くし、前記販売電力量差分が前記所定の範囲の下限より小さい場合、前記電気料金単価を前記インバランス価格予測値および前記販売電力量差分のうち少なくとも一方に応じて前記基準電気料金単価より高くする
請求項1に記載の電気料金単価決定装置。
【請求項3】
前記需要家は、前記電気料金単価決定装置が制御可能なエネルギーリソースを有し、
前記電気料金単価決定装置は、さらに、前記エネルギーリソースの制御可能量を取得する制御可能量取得部を備え、
前記電気料金単価算出部は、さらに、前記制御可能量に基づいて、前記電気料金単価を算出する
請求項1または2に記載の電気料金単価決定装置。
【請求項4】
さらに、前記エネルギーリソースを制御するための制御指令を策定する第1制御部を備え、
前記通知部は、前記エネルギーリソースを管理するアグリゲータおよび前記需要家のうち少なくとも一方に前記制御指令を通知する
請求項3に記載の電気料金単価決定装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記電気料金単価の通知よりも後に、前記制御指令を前記少なくとも一方に通知する
請求項4に記載の電気料金単価決定装置。
【請求項6】
さらに、
前記電気料金単価算出部が算出した前記電気料金単価を提示する第1提示部と、
前記電気料金単価の更新値の入力を受け付ける受付部と、を備え、
前記通知部は、前記受付部に入力された電気料金単価の更新値を前記需要家に通知する
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気料金単価決定装置。
【請求項7】
前記インバランス価格予測部は、さらに、インバランス価格実績値および気象情報の少なくとも一方に基づいて、前記インバランス価格予測値を算出する
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気料金単価決定装置。
【請求項8】
需要家に設置されたエネルギーリソースを制御するコントローラであって、
請求項1から7のいずれか1項に記載の電気料金単価決定装置で算出された電気料金単価を取得する取得部と、
前記電気料金単価を提示する第2提示部と、を備える
コントローラ。
【請求項9】
さらに、前記電気料金単価から前記エネルギーリソースに対する第1制御指令を策定し、策定した前記第1制御指令を前記エネルギーリソースに出力する第2制御部を備える
請求項8に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記需要家は、外部の装置から制御可能なエネルギーリソースを有し、
前記取得部は、さらに、前記エネルギーリソースを制御するための第2制御指令を前記外部の装置から取得し、
前記第2制御部は、さらに、前記第2制御指令に基づいて前記第1制御指令を策定する
請求項9に記載のコントローラ。
【請求項11】
電力の小売を行う事業者が需要家に販売する電力の価格を決定する電気料金単価決定方法であって、
前記事業者と卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方との間における、販売電力量計画に基づく電力の取引価格を取得するステップと、
前記卸電力取引市場の市場価格に基づいて、インバランス価格予測値を算出するステップと、
販売電力量実績値に基づいて、販売電力量予測値を算出するステップと、
前記販売電力量計画と前記販売電力量予測値との差分である販売電力量差分を算出し、前記販売電力量差分と、前記取引価格と、前記インバランス価格予測値とに基づいて、電気料金単価を算出するステップと、
前記需要家に前記電気料金単価を通知するステップと、を含む
電気料金単価決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気料金単価決定装置、コントローラおよび電気料金単価決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の小売全面自由化に伴い、電気の小売業に参入する民間企業(いわゆる小売電気事業者)が続々と現れている。このような小売電気事業者は、収益を得るために複数の電気料金プランを提供することがある。特許文献1には、小売電気事業者が収益を確保することに寄与する料金メニュー(電気料金プラン)を出力する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-21113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、小売電気事業者の収益確保、および、安定的な電力需給バランスの確保のため、販売計画と実績値との差分であるインバランスの発生を抑制することが望まれる。例えば、インバランスの発生を抑制するように需要家の電力需要を誘導することができればインバランスの発生の抑制に寄与し得るが、特許文献1にはそのような構成は開示されていない。
【0005】
そこで、本発明は、需要家の電力需要を誘導可能な電気料金単価決定装置、コントローラおよび電気料金単価決定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電気料金単価決定装置は、電力の小売を行う事業者が需要家に販売する電力の価格を決定する電気料金単価決定装置であって、前記事業者と卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方との間における、販売電力量計画に基づく電力の取引価格を取得する取引価格取得部と、前記卸電力取引市場の市場価格に基づいてインバランス価格予測値を算出するインバランス価格予測部と、販売電力量実績値に基づいて、販売電力量予測値を算出する販売電力量予測部と、前記販売電力量計画と前記販売電力量予測値との差分である販売電力量差分を算出し、前記販売電力量差分と、前記取引価格と、前記インバランス価格予測値とに基づいて、電気料金単価を算出する電気料金単価算出部と、前記需要家に前記電気料金単価を通知する通知部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るコントローラは、需要家に設置されたエネルギーリソースを制御するコントローラであって、上記の電気料金単価決定装置で算出された電気料金単価を取得する取得部と、前記電気料金単価を提示する第2提示部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る電気料金単価決定方法は、電力の小売を行う事業者が需要家に販売する電力の価格を決定する電気料金単価決定方法であって、前記事業者と卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方との間における、販売電力量計画に基づく電力の取引価格を取得するステップと、前記卸電力取引市場の市場価格に基づいて、インバランス価格予測値を算出するステップと、販売電力量実績値に基づいて、販売電力量予測値を算出するステップと、前記販売電力量計画と前記販売電力量予測値との差分である販売電力量差分を算出し、前記販売電力量差分と、前記取引価格と、前記インバランス価格予測値とに基づいて、電気料金単価を算出するステップと、前記需要家に前記電気料金単価を通知するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、需要家の需要を誘導可能な電気料金単価決定装置等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る電力需要誘導システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態1に係る電気料金単価決定装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係るコントローラの機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態1に係る電力需要誘導システムの動作を示すシーケンス図である。
図5図5は、実施の形態1に係る電気料金単価決定装置の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態2に係る電気料金単価決定装置の機能構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施の形態3に係る電気料金単価決定装置の機能構成を示すブロック図である。
図8図8は、実施の形態3に係る電力需要誘導システムの動作の第1例を示すシーケンス図である。
図9図9は、実施の形態3に係る電力需要誘導システムの動作の第2例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明に至った経緯)
日本において2016年に電力小売の全面自由化が始まり、家庭、商店等のあらゆる需要家(消費者)が、電気の購入先、料金プランを自由に選択できるようになった。その結果、これまでは主に各エリアの電力会社(旧一般電気事業者)が電気を供給していたが、電力自由化を受けて新たに電気の小売業に参入する事業者、いわゆる「小売電気事業者(旧特定規模電気事業者)」が続々と現れている。小売電気事業者は、電力の小売供給を行う事業者の一例である。なお、電力の小売を行う事業者は、小売電気事業者に限定されない。
【0012】
電力小売の全面自由化に伴い、2016年より計画値同時同量制度が導入された。これにより、小売電気事業者には、電力の販売計画と販売実績とを常に(例えば、30分単位で)一致させることが義務付けられている。小売電気事業者における電力の需要量の計画値を含む販売計画と、電力の需要量の実績値を含む販売実績との差分であるインバランスが発生すると、小売電気事業者には、インバランス料金と呼ばれる料金の支払いが課されることがある。そのため、販売計画と販売実績との差を小さくすることは、小売電気事業者の収益にとって重要である。インバランス量を抑えることで小売電気事業者の電力の調達および調整のコストを削減することができるため、当該小売電気事業者の収益改善につながる。また、インバランス量を抑えることで電力系統における需給バランスの維持にもつながる。
【0013】
なお、30分は、所定の期間の一例である。所定の期間は、デマンド時限(需要時限)単位の期間であり、例えば、30分であるがこれに限定されない。また、販売計画の作成方法は、特に限定されず、既存のいかなる方法が用いられてもよい。販売は供給とも称され、販売計画は需要計画または販売電力量計画とも称される。
【0014】
このような小売電気事業者のおおまかな業務フローについて説明する。まずは、需要家に電力を販売する前日の業務フローについて説明する。
【0015】
小売電気事業者は、必要に応じて、一般送配電事業者(旧一般電気事業者の送配電部門)から翌日のFIT(Feed-in Tariff)発電計画値の情報を取得する。発電計画値は、例えば、30分単位の計画値であってもよい。また、小売電気事業者は、必要に応じて、契約している需要家の需要量(電力需要量)の予測値に基づいて、翌日の販売計画を策定する。販売計画は例えば翌日(当日)の30分単位の48コマの需要量を含む。
【0016】
小売電気事業者は、販売計画と、例えば、発電事業者から直接調達する電力量とに基づいて、翌日の電力の不足分があるか否かを判定し、不足している場合には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)における卸電力取引市場(いわゆるスポット市場)から入札により電力の不足分を調達する。発電事業者は、自ら発電設備(発電用の電気工作物)を維持・運用し、小売電気事業等の用に供するための電気を発電する事業者である。なお、小売電気事業者が発電設備を保有している場合、すなわち、例えば、発電事業と小売電気事業を兼業している場合、小売電気事業者は、販売計画と当該発電設備による発電量(発電予測量)とに基づいて、翌日の電力の不足分があるか否かを判定するようにしてもよい。
【0017】
そして、小売電気事業者は、卸電力取引市場からの調達分を含めて、最終的な翌日の販売計画を策定し、策定した販売計画を電力広域的運営推進機関(OCCTO)に提出する。最終的な翌日の販売計画を当初の販売計画とも記載する。電力広域的運営推進機関は、長期方針・広域系統整備計画の策定、系統アクセス業務の審査等を行う機関である。
【0018】
電力の取引価格には、発電事業者と小売電気事業者との間の取引価格と、スポット市場から調達するときの取引価格とがある。発電事業者と小売電気事業者との間の取引価格は、発電事業者と小売電気事業者との間の相対契約において取り決められている。
【0019】
また、スポット市場から調達するときの取引価格は、例えば、スポット市場での約定価格であり、前日の午前10時過ぎに決定される。例えば、約定価格、すなわち卸電力取引市場の市場価格にはシステムプライス(全国大の売り入札曲線と買い入札曲線の交点の価格)とエリアごとのエリアプライス(連系線容量の制約により、エリアごとに約定価格を算出する場合の価格)とがあるが、取引価格はどちらのプライスであってもよい。当該取引価格は、卸電力取引市場を介した1以上の小売電気事業者と1以上の発電事業者との取引に基づく電力の価格であるとも言える。スポット市場は前日市場又は一日前市場の一例である。なお、電力が不足するケースについて説明したが、小売電気事業者は、販売計画と例えば発電事業者から直接調達する電力量とに基づいて、翌日の電力の余剰分がある場合には、スポット市場に売り手として入札し取引してもよい。
【0020】
なお、発電事業者と小売電気事業者との間の取引価格、および、スポット市場から調達するときの取引価格の少なくとも一方は、販売電力量計画に基づく電力の取引価格の一例である。
【0021】
なお、上記では、JEPXにおけるスポット市場から電力を調達する例について説明したが、JEPXにおけるスポット市場であることに限定されず、卸電力取引市場であればよい。
【0022】
次に、需要家に電力を供給する当日の業務フローについて説明する。
【0023】
小売電気事業者は、前日に策定した販売計画通りの電力の販売ができているか監視(いわゆる同時同量達成の監視)を行う。小売電気事業者は、当日に電力が不足する場合、JEPXにおける卸電力取引市場(いわゆる時間前市場)への入札により当日に発生した電力の不足分を調達し、必要に応じて販売計画の再計画を行って電力広域的運営推進機関に提出する。再計画は、例えば、前日に策定した販売計画と当日の販売とが大きく乖離する場合等に行われる。なお、余剰分がある場合には、スポット市場と同様、時間前市場に売り手として入札し取引してもよい。また、時間前市場は当日市場の一例であり、時間前市場における電力の取引価格は、卸電力取引市場の市場価格の一例である。
【0024】
このように、小売電気事業者は、当日の電力調達等により、インバランスの発生を抑制するように電力供給を行うが、さらにインバランスの発生を抑制することが望まれる。なお、不足するケースに説明したが、計画値に対して余剰が発生する場合も余剰分を引き渡してインバランスの発生を抑制することになる。
【0025】
ここで、小売電気事業者が需要家に提供する電気料金プランには、卸電力取引市場に連動した料金プラン(Real Time Pricing)がある。このような卸電力市場連動型の料金プランには、卸電力取引市場の市場価格に連動して30分ごとの従量単価(電気料金単価)が変動し、従量料金を算出する従量料金型がある。従量料金型の料金プランでは、市場価格が上がれば電気料金単価が上がるといった単調な料金設定しかできず、料金設定の自由度が少ない。例えば、インバランス回避(ペナルティ回避)するために、需要家の需要を誘導するような細かな電気料金単価を設定することができない。
【0026】
そこで、本願発明者らは、需要家の需要を誘導可能な電気料金単価を決定可能な電気料金単価決定装置、コントローラおよび電気料金単価決定方法について鋭意検討を行い、以下で説明する電気料金単価決定装置、コントローラおよび電気料金単価決定方法を創案した。
【0027】
以下、各実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
なお、以下で説明する各実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の各実施の形態で示される数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0029】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0030】
また、本明細書において、同じなどの要素間の関係性を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(例えば、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0031】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置について、図1図5を参照しながら説明する。
【0032】
[1-1.電気料金単価決定装置の構成]
まず、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置、および、電気料金単価決定装置を備える電力需要誘導システムの構成について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る電力需要誘導システム1の概略構成を示すブロック図である。図2は、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置10の機能構成を示すブロック図である。なお、以下では、特段の説明がない限り、スポット市場に入札して取引価格が決定した後について記載する。
【0033】
図1に示すように、電力需要誘導システム1は、電気料金単価決定装置10と、需要家20および30(以降において、需要家20等とも記載する)と、外部システム40とを備える。なお、以下では、需要家20等に電力を供給する対象となる日(例えば、翌日)を当日とし、当該当日の前の日を前日とする。
【0034】
電気料金単価決定装置10は、外部システム40等から供給される情報に基づいて、小売電気事業者が需要家20等に販売する電力の価格を決定する情報処理装置である。電気料金単価決定装置10は、例えば、小売電気事業者が管理するサーバ装置等により実現される。
【0035】
図2に示すように、電気料金単価決定装置10は、取引価格取得部11と、インバランス価格予測部12と、販売電力量予測部13と、電気料金単価算出部14と、通知部15とを備える。電気料金単価決定装置10は、プロセッサ、メモリ等を含むコンピュータまたはスマートフォンにより実現される。具体的には、電気料金単価決定装置10は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムに従って動作することにより、取引価格取得部11、インバランス価格予測部12、販売電力量予測部13、電気料金単価算出部14および通知部15として機能する。
【0036】
取引価格取得部11は、小売電気事業者と卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方との間における販売電力量計画に基づく電力の取引価格を取得する。取引価格は、小売電気事業者が卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方から電力を調達するときの価格(例えば、単価)を含む。取引価格は、例えば、当日に需要家20等に供給するために調達した電力に対する価格であり、電気料金単価を需要家へ通知するタイミングよりも前に取得される。
【0037】
取引価格取得部11は、外部システム40(例えば、取引価格を管理するサーバ装置)から取引価格を取得してもよい。この場合、取引価格取得部11は、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。また、取引価格取得部11は、ユーザからの入力により取引価格を取得してもよい。この場合、取引価格取得部11は、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成される。また、取引価格取得部11は、電気料金単価決定装置10が有する記憶部(図示しない)に取引価格が記憶されている場合、当該記憶部から取引価格を読み出してもよい。
【0038】
インバランス価格予測部12は、卸電力取引市場の市場価格に基づいてインバランス価格予測値を算出する。インバランス価格予測値は、販売計画と販売実績との間に差分がある時点における電力単価(インバランス料金の単価)である。インバランス料金の単価は、インバランス料金単価、またはインバランス価格とも称される。インバランス価格予測部12は、例えば、販売計画より販売実績が大きい場合のインバランス価格予測値と、販売計画より販売実績が小さい場合のインバランス価格予測値との両方を算出してもよいし、同一の予測値としてもよい。すなわち、インバランス価格予測部12は、余剰時のインバランス価格と不足時のインバランス価格とが異なる場合には、別々に予測する。例えば、インバランス価格の計算式、または入力値とインバランス価格との対応関係(料金カーブ)が事前に設定されており、インバランス価格予測部12は、当該計算式または対応関係に基づいて、当日のインバランス価格予測値を算出する。なお、インバランス価格の計算式には、卸電力取引市場の市場価格が含まれる。
【0039】
また、インバランス価格は電力供給予備率によって上限値が設定されてもよい。インバランス価格予測部12は、インバランス価格予測値を0円以上とし、不足時のインバランス価格予測値≧余剰時のインバランス価格予測値となるように算出してもよい。また、インバランス価格予測値は、例えば、30分ごとに算出される。対応関係は、例えば、電力需給ひっ迫時の補正カーブを用いたものであってもよい。
【0040】
なお、インバランス価格予測に必要な入力値は外部から取得されてもよいし、予め記憶されていてもよい。卸電力取引市場の市場価格は、例えば、当該市場価格を管理するサーバ装置等から取得される。インバランス価格予測部12は、卸電力取引市場の市場価格を取得する取得部として機能する。また、電力供給予備率は、例えば、当日の30分ごとの予測値であり、例えば、電力供給予備率を管理するサーバ装置または一般送配電事業者等から取得される。インバランス価格予測部12は、電力供給予備率を取得する取得部として機能してもよい。また、インバランス価格予測部12は、エリアごと、当日の30分ごとの供給力および需要予測値から、電力供給予備率を算出するようにしてもよい。
【0041】
販売電力量予測部13は、気象情報と、販売電力量実績値とに基づいて、当日の販売電力量予測値を算出する。販売電力量予測部13は、過去の期間および当日の気象情報と、当該過去の期間の販売電力量実績値とに基づいて、当日の販売電力量予測値を算出する。また、販売電力量予測部13は、気象情報と、販売電力量実績値とを取得する取得部として機能する。なお、販売電力量予測部13は、電気料金単価決定装置10が有する記憶部(図示しない)に販売電力量実績値が記憶されている場合、当該記憶部から取引価格を読み出してもよい。
【0042】
気象情報は、過去の期間の気象実績と当日の気象予報とを含む。気象情報には、温湿度、天気(晴れ、曇り、雨、雪等)、日射量等が含まれるが、これに限定されない。気象情報は、気象情報を管理する外部のサーバ装置(例えば、気象庁または気象情報を提供する民間企業等が管理するサーバ装置)から取得される。気象情報は、例えば、3時間ごとの情報であってもよい。また、ここでの気象情報は、スポット市場に入札して取引価格が決定した後に取得される情報である。つまり、ここでの気象情報は、前日において、策定した販売計画を電力広域的運営推進機関に提出した後に取得される情報である。ここでの第2期間の気象情報は、電力広域的運営推進機関に提出するための販売計画を策定するときに用いられた気象情報から更新されている(変わっている)可能性がある。販売計画を電力広域的運営推進機関に提出した後に取得される気象情報を、更新された気象情報とも記載する。また、販売電力量予測部13は、気象情報に替えて、または、気象情報に加えてイベント情報を取得し、当該イベント情報に基づいて当日の販売電力量予測値を算出してもよい。イベント情報は、行われるイベントの内容(祭り、コンサート等)と、当該イベントが行われる時間帯とを含む。また、イベント情報は祝祭日等のカレンダー情報を含んでいてもよい。例えば、需要家が工場またはオフィスビルである場合、カレンダー情報には、稼働日、営業日および休業日を示す情報が含まれる。ここで、取得する気象情報またはイベント情報は、少なくとも小売電気事業者が契約している需要家が存在するエリアに紐づく気象情報またはイベント情報となる。
【0043】
なお、販売電力量実績値は、小売電気事業者が契約している需要家20等に過去に販売(供給)した総電力量の実績値である。
【0044】
販売電力量予測部13は、例えば、当日の気象情報と同じ気象情報である過去の年月日および時間帯を特定し、特定された過去の年月日および時間帯のときの販売電力量実績値を当日の販売電力量予測値としてもよい。販売電力量予測部13は、例えば、30分ごとに販売電力量予測値を算出してもよい。なお、販売電力量予測部13は、当日の販売電力量を予測できればよく、販売電力量予測値を算出することに限定されない。
【0045】
なお、販売電力量予測部13は、少なくとも販売電力量実績値に基づいて当日の販売電力量予測値を算出すればよい。販売電力量予測部13は、例えば、当日の月日と同じ月日の過去の販売電力量実績値に基づいて当日の販売電力量予測値を算出してもよいし、直近の期間(例えば、直近1週間)の販売電力量実績値に基づいて当日の販売電力量予測値を算出してもよい。この場合、過去の複数の販売電力量実績値の平均値を当日の販売電力量予測値とするが、例えば、過去の複数の販売電力量実績値の中央値、最大値、最小値、最頻値のいずれかを当日の販売電力量予測値としてもよい。
【0046】
電気料金単価算出部14は、販売計画から販売電力量予測値を差し引いた販売電力量差分(第1差分)を算出し、第1差分と、取引価格と、インバランス価格予測値とに基づいて、電気料金単価を算出する。電気料金単価算出部14は、30分ごとに電気料金単価を算出してもよい。電気料金単価算出部14は、全国大で同一の電気料金単価を算出してもよいし、エリアごとに同一の電気料金単価を算出してもよいし、需要家ごとに異なる電気料金単価を算出してもよい。電気料金単価算出部14は、第1差分およびインバランス価格予測値を使って電気料金単価を決定する点に特徴を有する。電気料金単価の決定については、後述する。なお、第1差分は、インバランス量の予測値であるとも言える。
【0047】
通知部15は、電気料金単価算出部14が算出した電気料金単価を通信により需要家20等に通知する。通知部15は、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。また、通知部15は小売電気事業者のウェブサイト上に電気料金単価算出部14が算出した電気料金単価を公開するようにしてもよい。
【0048】
また、電気料金単価決定装置10は、さらに、受付部および表示部の少なくとも1つを有するユーザインターフェースを備えていてもよい。受付部は、電気料金単価の算出等を行うための情報の入力を付ける装置であり、例えば、表示部に表示した電気料金単価に対して、電気料金単価決定装置10の管理者(例えば、小売電気事業者)から電気料金単価の更新値の入力を受け付ける。受付部は、キーボード、ボタン等の操作部またはディスプレイと一体となったタッチパネルであるが、音声により入力を受け付ける装置であってもよい。表示部は、電気料金単価を提示する提示部の一例であり、電気料金単価を画像で表示する。なお、提示部は、画像に替えて、または、画像とともに音声等により電気料金単価を提示してもよい。なお、受付部および提示部はリモートにある端末の構成要素であってもよい。
【0049】
図1を再び参照して、需要家20等は、小売電気事業者と電力に関する契約を行い、小売電気事業者から電力を購入する消費者である。需要家20等の施設は、例えば、住居であるがこれに限定されず、工場、マンション、ビル、病院、学校等の、少なくとも負荷が配置される建物であればよい。
【0050】
需要家20等は、電力系統50(商用電力系統)と接続されており、電力系統50から需要家20等のエネルギーリソース21への順潮流、または、エネルギーリソース21から電力系統50への逆潮流を行うことができる。
【0051】
なお、図1では、便宜上、需要家20および30のみを図示しているが、電力需要誘導システム1に含まれる需要家の数は、1以上であれば特に限定されない。
【0052】
需要家20は、エネルギーリソース21と、負荷22と、コントローラ23とを有する。
【0053】
エネルギーリソース21は、エネルギー(電力)の生成および消費の少なくとも一方を行うことができ、かつ、コントローラ23からの制御指令(メッセージ)を取得可能な分散型のエネルギーリソースである。エネルギーリソース21は、需要家20が有する電源(分散型電源)であり、例えば、発電機、太陽電池(発電設備)、蓄電池(蓄電池設備)、電気自動車の蓄電池、エコキュート(登録商標)等のヒートポンプ技術を用いた電気給湯機(貯湯設備)等の機器である。
【0054】
負荷22は、エネルギー(電力)の消費を行うことができ、かつ、コントローラ23からの制御指令(メッセージ)を取得可能な装置である。負荷22は、例えば、家電機器、工場の設備、計測機器等であるがこれに限定されない。
【0055】
コントローラ23は、エネルギーリソース21および負荷22が設置される需要家20の施設内に設置され、当該施設内に設置された機器の制御、消費電力の管理等を行う。コントローラ23は、例えば、エネルギーマネジメント機能を有するHEMS(Home Energy Management System)コントローラであるが、エネルギーマネジメント機能を有するホームコントローラ、ゲートウェイ装置またはサーバ装置であってもよい。また、コントローラ23と、エネルギーリソース21および負荷22との通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0056】
コントローラ23は、電気料金単価決定装置10と通信可能に接続される。コントローラ23と電気料金単価決定装置10との通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0057】
コントローラ23について、さらに図3を参照しながら説明する。図3は、本実施の形態に係るコントローラ23の機能構成を示すブロック図である。なお、図3では、コントローラ23は、エネルギーリソース21に対して制御指令を出力する例について図示しているが、負荷22に対して制御指令を出力してもよい。
【0058】
図3に示すように、コントローラ23は、受信部23aと、表示部23bと、制御部23cとを備える。
【0059】
受信部23aは、電気料金単価決定装置10から電気料金単価を取得する。受信部23aは、例えば、無線通信により電気料金単価を受信する。受信部23aは、コントローラ23が電気料金単価決定装置10と通信するための構成要素であり、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。受信部23aは、電気料金単価を取得する取得部の一例である。
【0060】
表示部23bは、受信部23aが取得した電気料金単価を表示する。つまり、表示部23bは、電気料金単価を可視化する。表示部23bは、例えば、当日の30分ごとの電気料金単価を前日に表示する。これにより、需要家20等のユーザは、電気料金単価を事前に知ることができる。
【0061】
電気料金単価は、例えば、後述する基準電気料金単価と、基準電気料金単価から第1金額(第1単価)を減算した電気料金単価と、基準電気料金単価から第2金額(第2単価)を加算した電気料金単価の3つの電気料金単価を含んでもよい。表示部23bは、3つの料金単価ごとに表示態様を異ならせて表示してもよい。表示部23bは、液晶ディスプレイ等の表示装置により実現される。
【0062】
表示部23bは、コントローラ23が有する提示部の一例である。提示部は、画像に替えて、または、画像とともに音声等により電気料金単価を提示してもよい。さらに、表示部23bは、電気料金単価だけでなく、制御部23cの制御指令およびエネルギーリソース21等で計測したデータ(例えば、蓄電量等)の少なくとも一方を表示してもよい。
【0063】
また、電気料金単価決定装置10の通知部15が小売電気事業者のウェブサイト上に電気料金単価を公開する場合には、コントローラ23は表示部23bを有していなくてもよい。その場合、需要家20等のユーザはPC(Personal Computer)、タブレット、またはスマートフォン等の端末から電気料金単価を閲覧する。
【0064】
制御部23cは、コントローラ23の各構成要素を制御する制御装置である。制御部23cは、受信部23aが取得した電気料金単価に基づいて、エネルギーリソース21を制御するための制御指令を策定し、エネルギーリソース21に出力する策定部として機能する。制御部23cは、例えば、受信部23aが取得した電気料金単価に応じた制御指令を策定する。制御部23cは、電気料金単価が安い時間帯には電力使用量を増やす(例えば、蓄電量を増やす)制御を行い、電気料金単価が高い時間帯には電力使用量を減らす(例えば、蓄電量を減らす(放電する)、発電機を動作させる)制御を行う。また、制御部23cは、電気料金単価が基準電気料金単価から第1金額が減算された電気料金単価である期間(30分間)の電力使用量を増やす(例えば、蓄電量を増やす)制御を行い、電気料金単価が基準電気料金単価から第2金額が加算された電気料金単価である期間(30分間)の電力使用量を減らす(例えば、蓄電量を減らす(放電する)、発電機を動作させる)制御を行ってもよい。
【0065】
このように、制御部23cは、インバランスの発生を抑制するための制御を行ってもよい。なお、制御部23cは、受信部23aが取得した電気料金単価に基づいてエネルギーリソース21を自動で制御することに限定されず、例えばユーザからの指示に基づいて制御してもよい。制御部23cは、第2制御部の一例である。
【0066】
例えば、コントローラ23は、さらにユーザからの入力を受け付ける受付部を有していてもよい。受付部は、表示部23bが電気料金を表示した後、エネルギーリソース21および負荷22の少なくとも一方の制御に関する指示を受け付ける。指示は、例えば、電気料金単価に応じて電力使用量を30分ごとに増減する指示を含む。受付部は、例えば、キーボード、ボタン等または表示部23bと一体となったタッチパネルであるが、音声によりユーザからの入力を受け付ける構成であってもよい。また、受付部は、API(Application Programming Interface)を提供し、スマートフォン等の端末からAPI経由で入力を受け付けてもよい。このように、制御部23cは、ユーザの手動操作に基づいてエネルギーリソース21を制御してもよい。
【0067】
需要家30は、エネルギーリソース31と、負荷32と、コントローラ33とを有する。エネルギーリソース31、負荷32およびコントローラ33の機能はそれぞれ、エネルギーリソース21、負荷22およびコントローラ23と同じであり説明を省略する。
【0068】
外部システム40は、電気料金単価決定装置10と通信可能に接続されており、電気料金単価決定装置10における電力の単価の決定に用いられる各種情報を出力する。外部システム40は、例えば、取引価格、卸電力取引市場の市場価格、電力供給予備率、気象情報および販売電力量実績値を管理する1以上のサーバ装置を含んで構成される。なお、外部システム40は、取引価格、卸電力取引市場の市場価格、電力供給予備率、気象情報および販売電力量実績値の少なくとも1つを管理していればよい。
【0069】
[1-2.電力需要誘導システムの動作]
続いて、上記のように構成される電力需要誘導システム1の動作について、図4および図5を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態に係る電力需要誘導システム1の動作(電気料金単価決定方法)を示すシーケンス図である。なお、図4では、電気料金単価決定装置10から需要家20のコントローラ23に電気料金単価が出力される例を示しているが、需要家30のコントローラ33にも電気料金単価が出力される。コントローラ23に出力される電気料金単価とコントローラ33に出力される電気料金単価とは、例えば、同価格である。また、図4に示す処理は、例えば、前日に行われるが、これに限定されない。例えば、需要家がステップS16の制御を行わない場合、電気料金精算時に事後的に電気料金単価を算出し、算出された電気料金単価を通知するようにしてもよい。
【0070】
図4に示すように、電気料金単価決定装置10は、外部システム40から取引価格を取得し(S11)、外部システム40から卸電力取引市場の市場価格を取得し(S12)、外部システム40から気象情報を取得し(S13)、外部システム40から販売電力量実績値を取得する(S14)。電気料金単価決定装置10が各情報を取得するタイミングは特に限定されず、互いに異なるタイミングであってもよい。また、電気料金単価決定装置10が各情報を取得する順序もこの限りではない。なお、電気料金単価決定装置10は、ステップS12において、さらに、外部システム40から電力供給予備率を取得してもよい。
【0071】
次に、電気料金単価決定装置10は、取得した取引価格、卸電力取引市場の市場価格、気象情報および販売電力量実績値に基づいて、需要家20等の電気料金単価を算出し、コントローラ23に出力する(S15)。
【0072】
次に、コントローラ23は、ステップS15で取得した電気料金単価に基づいてエネルギーリソース21を制御するための制御指令を生成し、エネルギーリソース21に出力する(S16)。ここで出力される制御指令は、エネルギーリソース21の当日における制御内容を含む。制御指令は、例えば、30分ごと24時間分の制御内容を含んでいてもよい。また、コントローラ23は、制御内容が変わるタイミングで都度制御指令をエネルギーリソース21に送信するようにしてもよい。
【0073】
次に、電気料金単価決定装置10の動作について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置10の動作(電気料金単価決定方法)を示すフローチャートである。図5に示す各処理は、例えば、1日(例えば、前日)に1回行われるが、実行タイミングは前日に限定されず、回数も1回に限定されない。
【0074】
図5に示すように、電気料金単価決定装置10の取引価格取得部11は、外部システム40から取引価格を取得し(S101)、インバランス価格予測部12は、外部システム40から卸電力取引市場の市場価格を取得し(S102)、販売電力量予測部13は、外部システム40から気象情報および販売電力量実績値を取得する(S103およびS104)。ステップS101は、図4に示すステップS11に対応し、ステップS102は、図4に示すステップS12に対応し、ステップS103は、図4に示すステップS13に対応し、ステップS104は、図4に示すステップS14に対応する。なお、図示していないが、電力広域的運営推進機関への販売計画の提出はステップS101の前であっても後であってもよい。
【0075】
次に、インバランス価格予測部12は、卸電力取引市場の市場価格に基づいてインバランス価格予測値を算出する(S105)。インバランス価格予測部12は、例えば、エリアごと、当日の30分ごとの卸電力取引市場の市場価格の予測値に基づいて当該30分ごとのインバランス価格予測値を算出する。インバランス価格予測部12は、算出したインバランス価格予測値を電気料金単価算出部14に出力する。
【0076】
また、インバランス価格予測部12は、さらに、ステップS102において、例えば、エリアごと、当日の30分ごとの電力供給予備率の値を取得している場合、当該電力供給予備率の値に基づいて、インバランス価格の上限値の予測値を算出してもよい。
【0077】
なお、インバランス価格予測部12は、さらに気象情報およびインバランス価格実績値の少なくとも一方に基づいて、インバランス価格予測値を算出してもよい。インバランス価格実績値は、外部システム40から取得される。インバランス価格予測部12は、過去の期間および当日の気象情報と、当該過去の期間のインバランス価格実績値とに基づいて、当日のインバランス価格予測値を算出してもよい。また、インバランス価格予測部12は、例えば、気象情報とインバランス価格実績値とに基づいて、インバランス価格の誤差範囲を算出してもよい。
【0078】
次に、販売電力量予測部13は、気象情報および販売電力量実績値に基づいて販売電力量予測値を算出する(S106)。販売電力量予測部13は、算出した販売電力量予測値を電気料金単価算出部14に出力する。ここでの気象情報は、更新された気象情報である。言い換えると、電気料金単価算出部14に出力される販売電力量予測値は、更新された気象情報に基づく予測値である。
【0079】
次に、電気料金単価算出部14は、取引価格と、インバランス価格予測値と、販売電力量予測値とに基づいて、電気料金単価を算出する(S107)。まず、電気料金単価算出部14は、電力広域的運営推進機関に提出した当初の販売計画から更新された気象情報に基づく販売電力量予測値を減算した第1差分の絶対値が所定値を超えるか否かを判定する。言い換えると、電気料金単価算出部14は、当該第1差分の絶対値が所定の範囲内であるか否かを判定する。電気料金単価算出部14は、当該第1差分の絶対値が所定値以下である場合、つまり当該第1差分が所定の範囲内である場合、電気料金単価を基準電気料金単価に決定する。具体的には、電気料金単価算出部14は、取引価格に所定の金額(例えば、託送料、収益等)を加算することで算出した基準電気料金単価を電気料金単価に決定する。なお、基準電気料金単価は、取引価格に基づいた単価であればよく、算出方法はこれに限定されない。
【0080】
また、電気料金単価算出部14は、第1差分が所定の範囲の上限値より大きい場合、基準電気料金単価から第1金額を減算した金額を電気料金単価として算出する(以下の(式1)を参照)。
【0081】
電気料金単価=基準電気料金単価-第1金額 ・・・(式1)
【0082】
電気料金単価算出部14は、インバランス価格予測値に応じて第1金額を算出する。電気料金単価算出部14は、例えば、インバランス価格予測値が大きいほど大きな金額となるように第1金額を算出する。また、電気料金単価算出部14は、さらに第1差分に応じて第1金額を算出してもよい。電気料金単価算出部14は、第1差分が所定の範囲の上限値より大きい場合の電気料金単価を、インバランス価格予測値および第1差分のうち少なくとも一方に応じて基準電気料金単価より低くしてもよい。電気料金単価算出部14は、例えば、当該少なくとも一方が大きいほど、大きな金額となるように第1金額を算出してもよい。
【0083】
また、電気料金単価算出部14は、第1差分が所定の範囲の下限値より小さい場合、基準電気料金単価から第2金額を加算した金額を電気料金単価として算出する(以下の(式2)を参照)。
【0084】
電気料金単価=基準電気料金単価+第2金額 ・・・(式2)
【0085】
電気料金単価算出部14は、インバランス価格予測値に応じて第2金額を算出する。電気料金単価算出部14は、例えば、インバランス価格予測値が大きいほど大きな金額となるように第2金額を算出する。また、電気料金単価算出部14は、さらに第1差分に応じて第2金額を算出してもよい。電気料金単価算出部14は、第1差分が所定の範囲の下限値より小さい場合の電気料金単価を、インバランス価格予測値および第1差分のうち少なくとも一方に応じて基準電気料金単価より高くしてもよい。電気料金単価算出部14は、例えば、当該少なくとも一方が大きいほど、大きな金額となるように第2金額を算出してもよい。
【0086】
なお、第1金額と第2金額とは同じ金額であってもよいし、互いに異なる金額であってもよい。また、第1差分が所定の範囲の下限値より小さい場合、(式2)により、電気料金単価は基準電気料金単価より高くなるため、電気料金単価算出部14は、抑制できたインバランス清算費用を需要家20等に還元するようにしてもよい。
【0087】
このように、電気料金単価算出部14は、第1差分が所定の範囲の上限値より大きい場合、つまり予測より計画が大きい場合、電気料金単価を基準電気料金単価より低い金額とし、第1差分が所定の範囲の下限値より小さい場合、つまり計画より予測が大きい場合、電気料金単価を基準電気料金単価より高い金額とする。このように、電気料金単価算出部14は、電気料金単価を細かく設定可能である。
【0088】
電気料金単価算出部14は、30分ごとの電気料金単価を算出する。電気料金単価算出部14は、30分ごと24時間分の全ての電気料金単価を算出したか否かを判定し、全ての電気料金単価を算出している場合、算出した電気料金単価を通知部15に出力し、全ての電気料金単価を算出していない場合、ステップS107の処理を継続する。
【0089】
次に、通知部15は、需要家20等に電気料金単価を通知する(S108)。通知部15は、電気料金単価算出部14から出力された電気料金単価を需要家20等に通知する。なお、通知部15は、電気料金単価の更新値が受付部を介して管理者等から入力された場合、当該電気料金単価の更新値を需要家20等に通知する。通知部15は、電気料金単価算出部14から出力された電気料金単価に替えて、電気料金単価の更新値を需要家20等に通知する。
【0090】
これにより、需要家20等のそれぞれに販売電力量差分(第1差分)に応じた電気料金単価が通知される。需要家20を例に説明すると、コントローラ23の表示部23bに表示された基準電気料金単価より低い電気料金単価をユーザが見た場合、当該ユーザは、より多くの電力を使用するようにエネルギーリソース21を制御する可能性がある。つまり、電気料金単価算出部14は、ユーザにより多くの電力を使用することを間接的に促すことができる。また、コントローラ23の表示部23bに表示された基準電気料金単価より高い電気料金単価をユーザが見た場合、当該ユーザは、電力の使用を控えるようにエネルギーリソース21を制御する可能性がある。つまり、電気料金単価算出部14は、ユーザに電力の使用を抑制することを間接的に促すことができる。
【0091】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置10は、小売電気事業者(電力の小売を行う事業者の一例)が需要家20等に販売する電力の価格を決定する電気料金単価決定装置である。電気料金単価決定装置10は、小売電気事業者と卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方との間における、販売計画(販売電力量計画の一例)に基づく電力の取引価格を取得する取引価格取得部11と、卸電力取引市場の市場価格に基づいてインバランス価格予測値を算出するインバランス価格予測部12と、販売電力量実績値に基づいて、販売電力量予測値を算出する販売電力量予測部13と、販売電力量計画と販売電力量予測値との差分である販売電力量差分を算出し、販売電力量差分と、取引価格と、インバランス価格予測値とに基づいて、電気料金単価を算出する電気料金単価算出部14と、需要家20等に電気料金単価を通知する通知部15とを備える。
【0092】
これにより、電気料金単価決定装置10は、算出した電気料金単価、つまり販売電力量差分に応じた電気料金単価を、需要家20等のユーザに知らせることができる。例えば、需要家20等において高い電気料金単価が表示される場合、ユーザが電力消費を控える、または、電力を放電するように機器(例えば、エネルギーリソース21)を制御することが期待され、低い電気料金単価が表示される場合、ユーザが電力消費を増やす、または、電力を蓄電するように機器を制御することが期待される。よって、本実施の形態によれば、電気料金単価によって間接的に電力需要を誘導することができるので、需要家20等の電力需要を誘導可能な電気料金単価決定装置10を実現することができる。需要家20等の電力需要を誘導することで、インバランスの発生を回避することができ得る。
【0093】
また、電気料金単価算出部14は、販売電力量差分が所定の範囲に含まれる場合、電気料金単価を基準電気料金単価とし、販売電力量差分が所定の範囲の上限より大きい場合、電気料金単価をインバランス価格予測値および販売電力量差分のうち少なくとも一方に応じて基準電気料金単価より低くし、販売電力量差分が所定の範囲の下限より小さい場合、電気料金単価をインバランス価格予測値および販売電力量差分のうち少なくとも一方に応じて基準電気料金単価より高くする。
【0094】
これにより、電気料金単価決定装置10は、インバランスが発生することが予測される場合に、当該インバランスの発生を抑制するように需要家20等の電力需要をより確実に誘導可能である。
【0095】
また、さらに、電気料金単価算出部14が算出した電気料金単価を提示する表示部(第1提示部の一例)と、電気料金単価の更新値の入力を受け付ける受付部とを備え、通知部15は、受付部に入力された電気料金単価の更新値を需要家20に通知する。
【0096】
これにより、電気料金単価決定装置10の管理者(例えば、小売電気事業者のオペレータ)が電気料金単価を補正することができる。管理者が各種状況に応じて電気料金単価を適切に補正することで、インバランスの発生がより抑制された電気料金単価を需要家20等に通知することができる。
【0097】
また、インバランス価格予測部12は、さらに、インバランス価格実績値および気象情報の少なくとも一方に基づいて、インバランス価格予測値を算出する。
【0098】
これにより、さらに、インバランス価格実績値および気象情報の少なくとも一方を用いてインバランス価格予測値が算出されるので、インバランス価格予測値の予測精度が向上することが期待される。
【0099】
また、以上のように、本実施の形態に係るコントローラ23は、需要家20に設置されたエネルギーリソース21を制御するコントローラである。上記の電気料金単価決定装置10で算出された電気料金単価を取得する受信部23a(取得部の一例)と、電気料金単価を表示する表示部23b(第2提示部の一例)とを備える。
【0100】
これにより、コントローラ23は、電気料金単価決定装置10で算出された電気料金単価、つまり販売電力量差分に応じた電気料金単価を、需要家20等のユーザに知らせることができる。例えば、高い電気料金単価が表示される場合、ユーザが電力消費を控える、または、電力を放電するようにエネルギーリソース21を制御することが期待され、低い電気料金単価が表示される場合、ユーザが電力消費を増やす、または、電力を蓄電するようにエネルギーリソース21を制御することが期待される。よって、本実施の形態によれば、需要家20等の電力需要を誘導可能なコントローラ23を実現することができる。需要家20等の電力需要を誘導することで、インバランスの発生を回避することができ得る。
【0101】
また、さらに、電気料金単価からエネルギーリソース21に対する第1制御指令を策定し、策定した第1制御指令をエネルギーリソース21に出力する制御部23cを備える。
【0102】
これにより、コントローラ23は、電気料金単価決定装置10で算出された電気料金単価、つまり販売電力量差分に応じた電気料金単価に応じて自動でエネルギーリソース21を制御することができる。コントローラ23は、例えば、高い電気料金単価を取得した場合、電力消費を控える、または、電力を放電するようにエネルギーリソース21を制御し、低い電気料金単価を取得した場合、電力消費を増やす、または、電力を蓄電するようにエネルギーリソース21を制御することが可能となる。よって、コントローラ23は、ユーザが不在であっても、インバランスが発生しないようにエネルギーリソース21を制御することができる。なお、電気料金単価決定装置10が電気料金単価に基づいてコントローラ23にエネルギーリソース21を制御させることは、需要家20等の電力需要を誘導することに含まれる。
【0103】
また、以上のように、本実施の形態に係る電気料金単価決定方法は、小売電気事業者が需要家20等に販売する電力の価格を決定する電気料金単価決定方法である。電気料金単価決定方法は、小売電気事業者と卸電力取引市場および発電事業者の少なくとも一方との間における、販売電力量計画に基づく電力の取引価格を取得するステップ(S101)と、卸電力取引市場の市場価格に基づいて、インバランス価格予測値を算出するステップ(S105)と、販売電力量実績値に基づいて、販売電力量予測値を算出するステップ(S106)と、販売電力量計画と販売電力量予測値との差分である販売電力量差分を算出し、販売電力量差分と、取引価格と、インバランス価格予測値とに基づいて、電気料金単価を算出するステップ(S107)と、需要家20に電気料金単価を通知するステップ(S108)とを含む。
【0104】
これにより、上記の電気料金単価決定装置10と同様の効果を奏する。
【0105】
(実施の形態2)
以下では、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置について、図6を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0106】
[2-1.電気料金単価決定装置の構成]
本実施の形態に係る電気料金単価決定装置の構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置110の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る電気料金単価決定装置110は、制御可能量取得部16を備え、エネルギーリソースの制御可能量も用いて電気料金単価を算出する点において、実施の形態1に係る電気料金単価決定装置10と相違する。
【0107】
また、本実施の形態では、電気料金単価決定装置110が需要家20等のうち少なくとも1つの需要家が有するエネルギーリソースを制御可能である場合について説明する。当該少なくとも1つの需要家は、電気料金単価決定装置110が直接制御可能なエネルギーリソースを有する制御対象需要家である。以下では、制御対象需要家が需要家20である例について説明する。この場合、需要家20のエネルギーリソース21は、電気料金単価決定装置110からの制御指令(メッセージ)を取得可能に構成される。
【0108】
図6に示すように、電気料金単価決定装置110は、実施の形態1に係る電気料金単価決定装置10に加えて制御可能量取得部16を備える。
【0109】
制御可能量取得部16は、制御対象需要家である需要家20のエネルギーリソース21の制御可能量を取得する。制御可能量は、電気料金単価決定装置110がエネルギーリソース21に対して電力の生成または消費を制御可能な電力量である。エネルギーリソース21が蓄電機能を有する場合、制御可能量は、充電または放電を制御可能な電力量であってもよい。制御可能量の上限値は、例えば、小売電気事業者と需要家20との契約で予め設定されている。制御可能量取得部16は、例えば、制御可能量の上限値を外部システム40から取得してもよい。例えば、制御可能量取得部16は、制御可能量の上限値を管理するサーバ装置から需要家20のエネルギーリソース21の制御可能量の上限値を取得してもよい。制御可能量の上限値は、30分ごとに設定されていてもよい。
【0110】
また、制御可能量取得部16は、当日のエネルギーリソース21の30分ごとの充放電の可能量を制御可能量として取得してもよい。エネルギーリソース21の充放電の可能量は、充電量または空き容量に基づいて算出される。エネルギーリソース21の充放電の可能量は、既存のいかなる算出方法により算出されてもよい。また、制御可能量取得部16は、エネルギーリソース21が、ヒートポンプ給湯機の場合、出湯量または貯湯量に基づいて制御可能量を算出する。
【0111】
制御可能量取得部16は、例えば、実施の形態1の図5に示すステップS107の処理が行われるまでに、制御可能量を取得すればよい。制御可能量取得部16は、取得した制御可能量を電気料金単価算出部14に出力する。
【0112】
なお、制御可能量取得部16は、制御可能量を外部から取得することに限定されず、エネルギーリソース21のカタログ値(最大容量)と、当日のエネルギーリソース21の状態(例えば、空き容量)の予測値とに基づいて、制御可能量を算出することで、制御可能量を取得してもよい。
【0113】
電気料金単価算出部14は、取引価格、インバランス価格予測値および販売電力量予測値に加えて、制御可能量取得部16が取得した制御可能量に基づいて、電気料金単価を算出する。電気料金単価算出部14は、販売電力量差分(第1差分)と制御可能量との第2差分に応じて電気料金単価を算出する。当該第2差分は、電気料金単価決定装置110がエネルギーリソース21を制御した場合であっても生じるインバランスである。
【0114】
電気料金単価算出部14は、予測より計画が大きい場合、販売電力量差分から制御可能量に含まれる蓄電可能量(例えば、空き容量、沸き上げ可能量)を減算した値を、当該第2差分として算出する。また、電気料金単価算出部14は、計画より予測が大きい場合、販売電力量差分から制御可能量に含まれる供給可能量(例えば、蓄電量、発電量)を減算した値を、当該第2差分として算出する。そして、電気料金単価算出部14は、実施の形態1の販売電力量差分に替えて当該第2差分を用いて電気料金単価を算出する。
【0115】
また、電気料金単価算出部14は、制御可能量の大きさに応じて、電気料金単価を算出してもよい。例えば、制御対象需要家である需要家20の電気料金単価を制御非対象需要家である需要家30の電気料金単価よりも安く算出してもよい。また、制御可能量に対し、電気料金単価とは別にインセンティブを支払うようにしてもよい。
【0116】
なお、制御可能量は、電気料金単価決定装置110以外の需要家20の外部の装置が、需要家20のエネルギーリソース21を制御するときの制御可能量であってもよい。つまり、電気料金単価決定装置110は、エネルギーリソース21を制御するための制御指令を生成する構成を有していなくてもよい。
【0117】
[2-2.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る需要家20は、電気料金単価決定装置110が制御可能なエネルギーリソース21を有する。そして、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置110は、さらに、エネルギーリソース21の制御可能量を取得する制御可能量取得部16を備え、電気料金単価算出部14は、さらに、制御可能量に基づいて、電気料金単価を算出する。
【0118】
これにより、電気料金単価決定装置110は、直接制御できるエネルギーリソース21の制御可能量にも基づいてインバランスの発生を抑制できる電気料金単価を算出することができる。電気料金単価決定装置110は、例えば、さらに細かく電気料金単価を設定することができる。よって、電気料金単価決定装置110は、インバランスの発生をより抑制することができる。
【0119】
(実施の形態3)
以下では、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置について、図7図9を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態2との相違点を中心に説明し、実施の形態2と実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0120】
[3-1.電気料金単価決定装置の構成]
まず、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置の構成について、図7を参照しながら説明する。図7は、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置210の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る電気料金単価決定装置210は、制御部17を備え、エネルギーリソースの制御するための制御指令を生成する点において、実施の形態2に係る電気料金単価決定装置110と相違する。
【0121】
また、本実施の形態では、電気料金単価決定装置210が需要家20等のうち少なくとも1つの需要家が有するエネルギーリソースを直接制御可能であり、かつ、当該少なくとも1つの需要家以外の需要家が有するエネルギーリソースを直接制御不可能である場合について説明する。当該少なくとも1つの需要家は、電気料金単価決定装置210が直接制御可能なエネルギーリソースを有する制御対象需要家であり、当該少なくとも1つの需要家以外の需要家は、電気料金単価決定装置210が直接制御可能なエネルギーリソースを有していない制御非対象需要家である。
【0122】
図7に示すように、電気料金単価決定装置210は、実施の形態2に係る電気料金単価決定装置110に加えて制御部17を備える。
【0123】
以下では、制御対象需要家が需要家20であり、制御非対象需要家が需要家30である例について説明する。この場合、需要家20のエネルギーリソース21は、電気料金単価決定装置210からの制御指令を取得可能に構成され、需要家30のエネルギーリソース31は、電気料金単価決定装置210からの制御指令を取得不可能に構成される。また、本実施の形態では、制御可能量取得部16は、制御可能量を制御部17にも出力する。
【0124】
制御部17は、制御可能量取得部16から取得した制御可能量に基づいて、需要家20のエネルギーリソース21を制御するための制御指令を策定する。制御部17は、例えば、インバランスを抑制するために販売電力量差分および制御可能量のいずれか小さい方の電力量に基づいて制御指令を策定する。制御部17は、例えば、エネルギーリソース21に所定量の蓄電または放電を行わせるための制御指令を策定してもよいし、蓄電または放電を行う時間帯をシフトさせるための制御指令を策定してもよい。制御部17は、30分ごとの制御指令を策定する。制御部17は、第1制御部の一例である。
【0125】
なお、制御部17は、例えば、制御対象需要家が複数ある場合、複数の制御対象需要家のそれぞれに対して制御指令を策定する。
【0126】
通知部15は、電気料金単価に加えて制御指令を需要家20のコントローラ23に出力する。
【0127】
[3-2.電力需要誘導システムの動作]
続いて、上記のように構成される電気料金単価決定装置210を備える電力需要誘導システムの動作について、図8および図9を参照しながら説明する。図8は、本実施の形態に係る電力需要誘導システムの動作(電気料金単価決定方法)の第1例を示すシーケンス図である。なお、図8では、電気料金単価決定装置210が電気料金単価を算出した後の処理を示す。
【0128】
図8に示すように、電気料金単価決定装置210の通知部15は、制御対象需要家である需要家20および制御非対象需要家である需要家30のそれぞれに電気料金単価を出力する(S21およびS22)。通知部15は、コントローラ23および33のそれぞれに共通の電気料金単価を出力する。
【0129】
次に、通知部15は、制御部17が策定した制御指令をコントローラ23に出力する(S23)。通知部15は、例えば、30分ごとの24時間分の制御指令を前日のうちにコントローラ23に出力するが、少なくとも一部の制御指令を当日にコントローラ23に出力してもよい。通知部15は、例えば、制御指令を出力するよりも前に電気料金単価をコントローラ23および33に通知してもよい。言い換えると、通知部15は、電気料金単価の通知よりも後に制御指令をコントローラ23に出力してもよい。
【0130】
コントローラ23の受信部23aは、需要家20のエネルギーリソース21を制御するための制御指令を前日のうちに受信する。
【0131】
ステップS23までの処理は、例えば、前日のうちに行われる。これにより、需要家20等に前日のうちに電気料金単価を通知することができるので、需要家20等は当日の電力使用について検討を行うことができる。なお、ステップS23までの処理は、前日に行われることに限定されない。
【0132】
なお、制御部17は、例えば、第1差分または第2差分の絶対値が所定の範囲内である場合、制御指令を策定しなくてもよい。また、制御部17は、例えば、第1差分または第2差分が所定の範囲の上限値より大きい場合、第1差分または第2差分の絶対値が所定の範囲内である場合に比べてエネルギーリソース21の需要を増やす制御指令を策定し、第1差分または第2差分の絶対値が所定の範囲の下限値より小さい場合に比べてエネルギーリソース21の需要を減らす制御指令を策定してもよい。
【0133】
次に、コントローラ23の制御部23cは、電気料金単価決定装置210からの制御指令に基づいてエネルギーリソース21に対する制御指令を策定し、策定した制御指令をエネルギーリソース21に出力する(S24)。制御部23cは、例えば、電気料金単価決定装置210からの電気料金単価に基づいて当該制御部23cが策定した制御指令(第1制御指令)と、電気料金単価決定装置210(外部の装置の一例)からの制御指令(第2制御指令)とに基づいて、エネルギーリソース21に出力する制御指令(第3制御指令)を策定する。制御部23cは、第1制御指令および第2制御指令の内容を満たす第3制御指令を策定してもよいし、時間帯ごと(例えば、30分ごと)に第1制御指令および第2制御指令のいずれかを選択することで第3制御指令を策定してもよい。また、制御部23cは、第1制御指令および第2制御指令のうち第2制御指令を優先して第3制御指令を策定してもよい。例えば、制御部23cは、第1制御指令および第2制御指令の両方が存在する時間帯においては、第2制御指令を実行するように第3制御指令を策定してもよい。
【0134】
コントローラ33の制御部33cは、電気料金単価決定装置210からの電気料金単価に基づいてエネルギーリソース31に対する制御指令を策定し、策定した制御指令をエネルギーリソース31に出力する(S25)。
【0135】
なお、コントローラ23の表示部23bは、ステップS23で受信した制御指令およびステップS24で送信した制御指令の少なくとも一方を表示してもよい。また、コントローラ33の表示部33bは、ステップS25で送信した制御指令を表示してもよい。
【0136】
これにより、電気料金単価決定装置210は、需要家20等に制御対象需要家および制御非対象需要家が含まれる場合であっても、制御対象需要家および制御非対象需要家のそれぞれにおいて間接的に電力需要を誘導することが可能である。
【0137】
また、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用した高度なエネルギーマネジメント技術により1以上の需要家が有するエネルギーリソースを束ね(アグリゲーション)、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用し、あたかも一つの発電所のように機能する、「仮想発電所:バーチャルパワープラント(VPP)」という仕組み、概念等が提案されている。
【0138】
このようなVPPという仕組みを用いたエネルギー制御システムでは、需要家のエネルギーリソース等を統合制御するアグリゲータ(特定卸供給事業者)が設けられる。アグリゲータは、当該需要家が参加する電力サービスに応じた制御条件で需要家のエネルギーリソースを運転させるための制御指令を出力することで、当該エネルギーリソースを所望の制御条件で運転させる。
【0139】
本実施の形態における需要家20等は、このようなVPPという仕組みを用いたエネルギー制御システムに含まれる需要家であってもよい。この場合、需要家20等と電気料金単価決定装置210との間には、上記のアグリゲータが介在する。この場合の電力需要誘導システムの動作について図9を参照しながら説明する。図9は、本実施の形態に係る電力需要誘導システムの動作(電気料金単価決定方法)の第2例を示すシーケンス図である。なお、図9では、電気料金単価決定装置210が電気料金単価を算出する処理を省略している。また、アグリゲータ60が管理するサーバ装置は、例えば、外部システム40に含まれる。
【0140】
図9に示すように、アグリゲータ60は、電気料金単価決定装置210に制御可能量を出力する(S31)。制御可能量は、例えば、当日の30分ごとの24時間分の制御可能な電力量を含む。アグリゲータ60が制御可能量を出力するタイミングは特に限定されず、定期的に出力してもよいし、電気料金単価決定装置210からの要求に基づいて出力してもよい。これにより、電気料金単価決定装置210は、エネルギーリソース21の状態に応じた電気料金単価を算出可能である。
【0141】
電気料金単価決定装置210は、制御可能量を用いて電気料金単価を算出し、算出した電気料金単価をコントローラ23および33に出力する(S21およびS22)。
【0142】
次に、電気料金単価決定装置210の通知部15は、制御部17が策定した制御指令をアグリゲータ60に出力する(S32)。通知部15は、例えば、当日の30分ごとの24時間分の制御指令を前日のうちアグリゲータ60に出力するが、少なくとも一部の時間帯の制御指令を当日にアグリゲータ60に出力してもよい。通知部15は、例えば、アグリゲータ60に制御指令を出力するよりも前に電気料金単価をコントローラ23および33に通知してもよい。言い換えると、通知部15は、電気料金単価の通知よりも後に制御指令をアグリゲータ60に出力してもよい。
【0143】
次に、アグリゲータ60は、電気料金単価決定装置210からの制御指令に基づく制御指令をコントローラ23に出力する(S33)。アグリゲータ60は、電気料金単価決定装置210からの制御指令をコントローラ23に転送してもよいし、電気料金単価決定装置210からの制御指令にピークカット、デマンドレスポンス(DR)等の電力サービスを追加した制御指令を新たに策定し、新たに策定した制御指令をコントローラ23に出力してもよい。
【0144】
ステップS31、S21、S22、S32およびS33までの処理は、例えば、前日のうちに行われるがこれに限定されない。
【0145】
次に、コントローラ23の制御部23cは、アグリゲータ60からの制御指令に基づいてエネルギーリソース21に対する制御指令を策定し、策定した制御指令をエネルギーリソース21に出力する(S34)。制御部23cは、例えば、電気料金単価決定装置210からの電気料金単価に基づいて当該制御部23cが策定した制御指令(第1制御指令)と、アグリゲータ60からの制御指令(第4制御指令)とに基づいて、エネルギーリソース21に出力する制御指令(第3制御指令)を策定する。制御部23cは、第1制御指令および第4制御指令の内容を満たす第3制御指令を策定してもよいし、時間帯ごと(例えば、30分ごと)に第1制御指令および第4制御指令のいずれかを選択することで第3制御指令を策定してもよい。また、制御部23cは、第1制御指令および第4制御指令のうち第4制御指令を優先して第3制御指令を策定してもよい。例えば、制御部23cは、第1制御指令および第4制御指令の両方が存在する時間帯においては、第4制御指令を実行するように第3制御指令を策定してもよい。
【0146】
また、コントローラ33の制御部33cは、需要家30が制御非対象需要家でありアグリゲータ60が制御できないので、電気料金単価決定装置210からの電気料金単価に基づいてエネルギーリソース31に対する制御指令を策定し、策定した制御指令をエネルギーリソース31に出力する(S25)。
【0147】
ステップS34およびS25は、例えば、当日に行われるが、前日のうちに行われてもよい。
【0148】
なお、コントローラ23の表示部23bは、ステップS33で受信した制御指令およびステップS34で送信した制御指令の少なくとも一方を表示してもよい。
【0149】
図8および図9に示すように、通知部15は、アグリゲータ60および需要家20の少なくとも一方に制御部17が策定した制御指令を通知すればよい。また、電気料金単価決定装置210またはアグリゲータ60の制御指令に基づいてエネルギーリソース21が制御されることで、需要家20は、例えば、インセンティブを取得することができる。
【0150】
[3-3.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る電気料金単価決定装置210は、さらに、エネルギーリソース21を制御するための制御指令を策定する制御部17を備える。そして、通知部15は、エネルギーリソース21を管理するアグリゲータ60および需要家20のうち少なくとも一方に制御指令を通知する。
【0151】
これにより、電気料金単価決定装置210は、エネルギーリソース21を制御可能な構成を備えているので、制御可能量および販売電力量差分に応じてエネルギーリソース21を直接制御することができる。つまり、電気料金単価決定装置210は、インバランスの発生を抑制するために、エネルギーリソース21を直接制御することができる。よって、電気料金単価決定装置210は、インバランスの発生をさらに抑制することができる。
【0152】
また、通知部15は、電気料金単価の通知よりも後に、制御指令をアグリゲータ60および需要家20のうち少なくとも一方に通知する。
【0153】
これにより、電気料金単価決定装置210は、通知部15が電気料金単価を先に通知するので、需要家20等のユーザに電気料金単価を早めに知らせることができる。例えば、制御部17が策定した制御指令による制御が開始される前に、ユーザに電気料金単価を知らせることができる。
【0154】
また、以上のように、本実施の形態に係る需要家20は、電気料金単価決定装置210(外部の装置の一例)から制御可能なエネルギーリソース21を有する。そして、本実施の形態に係るコントローラ23の受信部23a(取得部の一例)は、さらに、エネルギーリソース21を制御するための第2制御指令を電気料金単価決定装置210から取得し、制御部23cは、さらに、第2制御指令に基づいて第1制御指令を策定する。
【0155】
これにより、制御部23cは、電気料金単価から策定した制御指令と、電気料金単価決定装置210が策定した制御指令とに基づいて、エネルギーリソース21に対する制御指令を策定することができるので、インバランスが発生することをより抑制可能な制御指令を策定することができる。
【0156】
(その他の実施の形態)
以上、一つまたは複数の態様に係る電気料金単価決定装置等について、各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明に含まれてもよい。
【0157】
例えば、上記各実施の形態では、コントローラが表示部を有し、電気料金単価を表示する例について説明したが、コントローラは、電気料金単価を需要家のユーザが所持する携帯端末に出力し、携帯端末の表示部に表示させてもよい。携帯端末は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等であるが、これに限定されない。
【0158】
また、上記各実施の形態では、電気料金単価算出部は、(式1)および(式2)を用いて電気料金単価を算出する例について説明したが、(式1)および(式2)は例示であり、これらの算出式を用いることに限定されない。
【0159】
また、上記各実施の形態における制御部は、制御指令に替えて、または、制御指令とともに、制御可能量に基づいて需要家に電力需給を誘導するための提案情報を生成してもよい。提案情報は、エネルギーリソースを制御するための情報である。制御部は、例えば、ある時間帯においてエネルギーリソースを所定量充電すること、または、ある時間帯においてエネルギーリソースから所定量放電することを含む提案情報を生成してもよい。通知部は、制御可能量に基づく電気料金単価と、当該制御可能量に基づく提案情報とを対応付けて需要家に通知してもよい。そして、コントローラの表示部は、電気料金単価と提案情報とを並べて表示してもよい。
【0160】
また、上記各実施の形態では、電気料金単価算出部は、販売計画と実績予測値との第1差分が所定の範囲外である場合、取引価格に応じた基準電気料金単価を基準に電気料金単価を算出する、つまり取引価格に連動して電気料金単価を算出する例について説明したが、取引価格に連動して電気料金単価を算出することに限定されない。電気料金単価算出部は、第1差分が所定の範囲外である場合、例えば、インバランス価格予測値に所定の演算を行うことで電気料金単価を算出してもよい。所定の演算は、例えば、託送料、収益等に応じた所定の金額を加算することであってもよい。このように、電気料金単価算出部は、第1差分が所定の範囲内である場合、取引価格に連動して電気料金単価を算出し、第1差分が所定の範囲外である場合、取引価格に連動せずに電気料金単価を算出してもよい。また、取引価格はスポット市場価格および相対契約価格だけでなく、時間前市場の価格としてもよい。
【0161】
また、上記各実施の形態における販売電力量予測部は、例えば、機械学習モデルを用いて販売電力量を予測してもよい。例えば、販売電力量予測部は、あらかじめ過去一定期間の販売電力量実績値と気象情報とを用いて学習された機械学習モデルにより、将来の販売電力量予測値を予測してもよい。
【0162】
また、上記各実施の形態における需要家は、エネルギーリソースおよび負荷のうち、少なくとも一方を有していればよい。また、需要家が有するエネルギーリソースおよび負荷の数は特に限定されず、複数であってもよい。
【0163】
また、上記各実施の形態における需要家は、コントローラを有している例について説明したが、これに限定されず、コントローラを有していなくてもよい。コントローラの機能は、例えば、電気料金単価決定装置が有していてもよい。この場合、電気料金単価決定装置は、コントローラに制御指令を直接出力してもよい。
【0164】
また、上記各実施の形態におけるインバランス価格予測部が取得する卸電力取引市場の市場価格の予測値は、例えば、卸電力取引市場の市場取引における取引実績価格に基づいて予測された価格であってもよい。卸電力取引市場の市場価格の予測値は、例えば、取引価格取得部11が取得した取引価格等に基づいて算出される価格であってもよい。また、卸電力取引市場の市場価格の予測値は、例えば、過去の取引実績価格の平均値、中央値、最頻値、最大値または最小値であってもよい。また、卸電力取引市場の市場価格の予測値は、例えば、取引実績価格と気象情報とに基づいて予測された価格であってもよい。また、インバランス価格予測部は、少なくとも取引実績価格に基づいて、卸電力取引市場の市場価格の予測値を予測してもよい。この場合、インバランス価格予測部は、外部から卸電力取引市場の市場価格の過去の取引実績価格を取得する。
【0165】
また、上記各実施の形態におけるインバランス価格予測部が取得する卸電力取引市場の市場価格は、卸電力取引市場の市場価格の実績値であってもよい。
【0166】
また、上記各実施の形態における各機器の通信に用いられる通信規格は、特に限定されず、既存のいかなる通信規格が用いられてもよい。
【0167】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0168】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が他のステップと同時(並列)に実行されてもよいし、上記ステップの一部は実行されなくてもよい。
【0169】
また、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0170】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェアまたはソフトウェアが並列または時分割に処理してもよい。
【0171】
また、上記各実施の形態に係る電気料金単価決定装置は、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。電気料金単価決定装置が複数の装置によって実現される場合、当該電気料金単価決定装置が備える各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、電気料金単価決定装置が複数の装置で実現される場合、当該複数の装置間の通信方法は、特に限定されず、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。また、装置間では、無線通信および有線通信が組み合わされてもよい。
【0172】
また、上記各実施の形態で説明した各構成要素は、ソフトウェアとして実現されても良いし、典型的には、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路(例えば、専用のプログラムを実行する汎用回路)または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)または、LSI内部の回路セルの接続若しくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。
【0173】
システムLSIは、複数の処理部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0174】
また、本発明の一態様は、図4図5図8および図9のいずれかに示される各方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。
【0175】
また、例えば、プログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。また、本発明の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布または流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【符号の説明】
【0176】
10、110、210 電気料金単価決定装置
11 取引価格取得部
12 インバランス価格予測部
13 販売電力量予測部
14 電気料金単価算出部
15 通知部
16 制御可能量取得部
17 制御部(第1制御部)
20、30 需要家
21、31 エネルギーリソース
23、33 コントローラ
23a 受信部(取得部)
23b 表示部(第2提示部)
23c 制御部(第2制御部)
60 アグリゲータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9