(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074157
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/31 20180101AFI20230522BHJP
F21S 43/33 20180101ALI20230522BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20230522BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20230522BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20230522BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20230522BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20230522BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20230522BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20230522BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/33
F21W103:35
F21W103:20
F21W103:45
F21W102:00
F21W103:10
F21W103:40
F21W103:55
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186961
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】千竈 啓之
(57)【要約】
【課題】部品点数の増加を抑えつつ、より均一な発光を得ることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源2と、光源2から出射された光Lを正面側に向けて拡散しながら反射する拡散反射面3aを含むリフレクタ3とを備え、拡散反射面3aは、光源2から出射された光Lの光軸AXに沿った少なくとも一の方向の断面において、光源2から出射される光Lの指向特性に合わせた曲線を描く曲面形状を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を正面側に向けて拡散しながら反射する拡散反射面を含むリフレクタとを備え、
前記拡散反射面は、前記光源から出射された光の光軸に沿った少なくとも一の方向の断面において、前記光源から出射される光の指向特性に合わせた曲線を描く曲面形状を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記拡散反射面は、前記光源から出射された光の光軸に沿った少なくとも一の方向の断面において、前記光源から出射される光の出射角に応じた光度が大きくなるほど、前記光源からの距離が長くなる曲線を描く曲面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記拡散反射面は、前記光源から出射された光の光軸とは直交し且つ前記一の方向と直交する他の方向の断面において、前記光軸を中心とする円弧を描く曲面形状又はその円弧に近似した曲線を描く曲面形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源から出射される光の指向特性がランバーシアン配光であり、
前記拡散反射面は、前記光源から出射された光の光軸に沿った少なくとも一の方向の断面において、cosカーブを描く曲面形状を有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記リフレクタは、光拡散性を有する反射部材からなることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記拡散反射面は、微細な凹凸構造を含むことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光源から出射された光の一部を前記拡散反射面に向けて反射する反射面を含むサブリフレクタを備えることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記反射面は、前記光軸を挟んだ正面側に向かう光の一部を前記光軸を挟んだ背面側に位置する前記拡散反射面に向けて反射することを特徴とする請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記光源は、複数並んで配置され、
前記リフレクタは、前記光源の各々に対応した複数の前記拡散反射面を含み、
前記拡散反射面は、前記光源が並ぶ方向に連続して設けられていることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載される車両用灯具として、灯体の内側に、光源と、光源から出射された光を正面側に向けて反射するリフレクタとを配置したものがある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
ところで、近年の車両用灯具では、発光ダイオード(LED)の高輝度化や低コスト化が進むに従って、光源にLEDを採用したものが増えてきている。一方、LEDは、長寿命で消費電力が少ないといったメリットがある反面、ランバーシアンで発光する指向特性を有している。すなわち、LEDは、指向性(直進性)が高いといった反面、光が拡散し難いといった指向特性を有している。
【0004】
このため、従来の車両用灯具では、LEDのような指向性の強い光がリフレクタの反射面に入射することで、このLEDの指向特性による影響を大きく受けてしまう。具体的に、リフレクタの反射面は、光源の中心(発光点)を焦点とする放物線を描くように形成された放物反射面により構成されている。
【0005】
この場合、リフレクタは、放物反射面に入射した光を正面側に向けて平行化(コリメート)しながら反射する。このため、光源からの距離が異なる反射面に入射した光をそれぞれ正面側に向けて均一に反射させることが困難となる。
【0006】
下記特許文献1に記載の発明では、このような課題に対して、リフレクタの前方に拡散レンズを配置し、リフレクタにより反射された光を拡散レンズにより拡散しながら、均一な発光を得ることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の発明では、拡散レンズを必要とするため、部品点数の増加によりコストが嵩むといった課題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、部品点数の増加を抑えつつ、より均一な発光を得ることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、
前記光源から出射された光を正面側に向けて拡散しながら反射する拡散反射面を含むリフレクタとを備え、
前記拡散反射面は、前記光源から出射された光の光軸に沿った少なくとも一の方向の断面において、前記光源から出射される光の指向特性に合わせた曲線を描く曲面形状を有することを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記拡散反射面は、前記光源から出射された光の光軸に沿った少なくとも一の方向の断面において、前記光源から出射される光の出射角に応じた光度が大きくなるほど、前記光源からの距離が長くなる曲線を描く曲面形状を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記拡散反射面は、前記光源から出射された光の光軸とは直交し且つ前記一の方向と直交する他の方向の断面において、前記光軸を中心とする円弧を描く曲面形状又はその円弧に近似した曲線を描く曲面形状を有することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記光源から出射される光の指向特性がランバーシアン配光であり、
前記拡散反射面は、前記光源から出射された光の光軸に沿った少なくとも一の方向の断面において、cosカーブを描く曲面形状を有することを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記リフレクタは、光拡散性を有する反射部材からなることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記拡散反射面は、微細な凹凸構造を含むことを特徴とする前記〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記光源から出射された光の一部を前記拡散反射面に向けて反射する反射面を含むサブリフレクタを備えることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記反射面は、前記光軸を挟んだ正面側に向かう光の一部を前記光軸を挟んだ背面側に位置する前記拡散反射面に向けて反射することを特徴とする前記〔7〕に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記光源は、複数並んで配置され、
前記リフレクタは、前記光源の各々に対応した複数の前記拡散反射面を含み、
前記拡散反射面は、前記光源が並ぶ方向に連続して設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔8〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、部品点数の増加を抑えつつ、より均一な発光を得ることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の鉛直方向に沿った断面図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具が備えるリフレクタの構成を示し、(A)はその斜視図であり、(B)はその上方側から見た平面図である。
【
図3】光源から出射される光の指向特性を極座標及び直交座標に示したグラフである。
【
図4】リフレクタの拡散反射面の形状を説明するための断面図である。
【
図5】サブリフレクタを追加した構成を示す断面図である。
【
図6】光源から出射された光の光軸を鉛直方向に対して傾けた構成を示す断面図である。
【
図7】(A)は、光源から出射される光の別の指向特性を極座標に示したグラフであり、(B)は、その指向特性に合わせたリフレクタの拡散反射面の形状を示す断面図である。
【
図8】複数の光源及び複数のリフレクタを並べて配置した構成を上方側から見た平面図である。
【
図9】複数の拡散反射面が連続して設けられたリフレクタの構成を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す平面図である。
【
図11】
図10中に示す線分X-Xによる車両用灯具の断面図である。
【
図12】
図10に示す車両用灯具に対する視野角が車幅方向の外側に15°となる場合の光源像を示す写真である。
【
図13】
図10に示す車両用灯具に対する視野角が車幅方向の外側に30°となる場合の光源像を示す写真である。
【
図14】
図10に示す車両用灯具に対する視野角が車幅方向の外側に45°となる場合の光源像を示す写真である。
【
図15】
図10に示す車両用灯具に対する視野角が車両の上方に10°となる場合の光源像を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0014】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図4に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1の鉛直方向に沿った断面図である。
図2は、車両用灯具1が備えるリフレクタ3の構成を示し、(A)はその斜視図であり、(B)はその上方側から見た平面図である。
図3は、光源2から出射される光の指向特性を極座標及び直交座標に示したグラフである。
図4は、リフレクタ3の拡散反射面3aの形状を説明するための断面図である。
【0015】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0016】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1及び
図2に示すように、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部(本実施形態では左後端側のコーナー部)に搭載されるリアコンビネーションランプのうち、赤色発光するテールランプに本発明を適用したものである。
【0017】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0018】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1及び
図2(A),(B)に示すように、光源2と、リフレクタ3とを備え、リアコンビネーションランプを構成する灯体(図示せず。)の内側に配置されている。
【0019】
なお、灯体は、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うアウターレンズ(カバーレンズ)とにより構成される。また、灯体の形状については、車両のデザイン等に合わせて適宜変更することが可能である。
【0020】
光源2は、赤色光(以下、「光」という。)Lを発する発光ダイオード(LED)からなる。光源2は、LEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板4の一面(本実施形態では下面)側に実装されている。これにより、光源2は、回路基板4の一面に対して垂直な方向(本実施形態では下方)に向けて光Lを放射状に出射する。
【0021】
リフレクタ3は、光源2の下方に配置されて、光源2から出射された光Lを正面側に向けて拡散しながら反射する拡散反射面3aを有している。リフレクタ3には、例えば白色のガラスエポキシ樹脂などの光拡散性を有する反射部材が用いられている。また、白色の反射部材に含有される酸化チタンなどの粒子が光拡散の機能を有している。また、拡散反射面3aは、例えばシボなどの光Lをランダムに拡散させるための微細な凹凸構造を含む反射面により構成されている。
【0022】
ところで、本実施形態の車両用灯具1において、リフレクタ3の拡散反射面3aは、光源2から出射された光Lの光軸AXに沿った少なくとも一の方向(本実施形態ではリフレクタ3の鉛直方向)の断面(以下、「鉛直断面」という。)において、光源2から出射される光Lの指向特性に合わせた曲線を描く曲面形状を有している。
【0023】
具体的に、この拡散反射面3aは、その鉛直断面において、光源2から出射される光Lの出射角に応じた光度が大きくなるほど、光源2からの距離が長くなる曲線を描く曲面形状を有している。
【0024】
ここで、光源2から出射される光Lの指向特性は、
図3に示すようなランバーシアン配光である。ランバーシアン配光とは、光軸AXに対する光Lの出射角θが光軸AX上(θ=0°)の光度のcosθ倍で表すことができる配光である。したがって、光軸AX上の光度の半値となる出射角(半値角)は、cosθ=0.5から、θ=60°である。
【0025】
拡散反射面3aは、
図4に示すように、その鉛直断面において、光源2から出射された光Lの光軸AXを挟んだ背面側に位置して、出射角θが少なくとも0°~60°(本実施形態では0°~80°)となる角度範囲に亘って、ランバーシアン配光に合わせたcosカーブを描く凹状の曲面により構成されている。
【0026】
すなわち、このcosカーブは、出射角θが0°のときの光源2から拡散反射面3aまでの距離Aとし、出射角θのときの光源2から拡散反射面3aまでの距離Bとしたときに、下記式(1)で表される曲線である。
B=Acosθ …(1)
【0027】
なお、出射角θが0°となる位置(拡散反射面3aの下端)での光Lの光度が最も高く、この位置での光源2から拡散反射面3aまでの距離Aが最も長くなっている。一方、出射角θが最も大きくなる位置(拡散反射面3aの上端)での光Lの光度が最も弱く、この位置での光源2から拡散反射面3aまでの距離B(
図4中のCで示す。)が最も短くなっている。
【0028】
また、拡散反射面3aは、
図2(A),(B)に示すように、光源2から出射された光Lの光軸AXとは直交し且つ一の方向とは直交する他の方向(本実施形態ではリフレクタ3の水平方向)の断面(以下、「水平断面」という。)において、光軸AXを中心とする円弧を描く曲面形状を有している。
【0029】
すなわち、この拡散反射面3aは、上述したcosカーブを光軸AXを中心に回転させることによって得られる凹状の曲面により構成されている。また、拡散反射面3aの水平断面における光軸AXを中心とした角度αは、例えば-45°~45°の範囲に設定されている。なお、角度αについては、光源2からの距離によって適宜変更することが可能である。
【0030】
リフレクタ3は、拡散反射面3aの正面側が開口しており、この拡散反射面3aに入射した光Lを拡散しながら反射し、車両用灯具1の正面側に向けて拡散された光Lを出射することになる。これにより、本実施形態の車両用灯具1では、リフレクタ3の正面側をテールランプの発光面として赤色発光させることが可能である。
【0031】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、上述したリフレクタ3の拡散反射面3aが光源2から出射される光Lの指向特性に合わせた曲面形状を有することで、この拡散反射面3aにより拡散反射される光Lの輝度を拡散反射面3aの全域に亘って均一化することが可能である。
【0032】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した拡散反射面3aにより拡散反射される光Lの輝度を均一化することによって、その正面視からの視野角が大きくなった場合でも、テールランプの発光面を同じ明るさで視認させることが可能である。
【0033】
さらに、本実施形態の車両用灯具1では、従来のような拡散レンズを追加する必要がないため、部品点数の増加を抑えつつ、低コスト化を図ることが可能である。
【0034】
なお、本発明は、上記第1の実施形態の構成に必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記車両用灯具1では、例えば
図5に示すようなサブリフレクタ5を追加した構成としてもよい。なお、
図5は、上記車両用灯具1にサブリフレクタ5を追加した構成を示す断面図である。
【0035】
サブリフレクタ5は、光源2の下方且つリフレクタ3の正面側に配置されて、光源2から出射された光Lの一部を拡散反射面3aに向けて反射する反射面5aを有している。サブリフレクタ5には、例えばアルミ蒸着膜などの反射膜が設けられた反射部材が用いられている。
【0036】
サブリフレクタ5の反射面5aは、その鉛直断面において、光源2から出射された光Lの光軸AXを挟んだ正面側且つリフレクタ3よりも上方に位置する凹状の自由曲面により構成されている。また、反射面5aは、その水平断面において、光軸AXを中心とする円弧を描く曲面形状を有している。
【0037】
サブリフレクタ5は、反射面5aのリフレクタ3と対向する面側が開口しており、この反射面5aに入射した光Lを拡散反射面3aの出射角θが大きくなる範囲に向けて反射する。
【0038】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、拡散反射面3aの出射角θが大きくなる範囲で拡散反射される光Lの輝度を補完しながら、この拡散反射面3aにより拡散反射される光Lの輝度を拡散反射面3aの全域に亘って均一化することが可能である。
【0039】
また、上記車両用灯具1では、例えば
図6に示すように、光源2から出射された光Lの光軸AXを鉛直方向に対して傾けた構成としてよい。なお、
図6は、光源2から出射された光Lの光軸AXを鉛直方向に対して傾けた構成を示す断面図である。
【0040】
具体的に、この
図6に示す構成では、光源2から出射された光Lの光軸AXが鉛直方向によりも背面側に向けて傾いている。これに対応して、拡散反射面3aは、その鉛直断面において、光源2から出射された光Lの光軸AXを挟んだ正面側に向かって、ランバーシアン配光に合わせたcosカーブを描く延長部分5bを含んでいる。また、延長部分5bは、拡散反射面3aの正面側に向けて拡散反射される光Lを妨げない範囲で延長されている。
【0041】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、光軸AXを挟んだ正面側に向かう光Lの一部を拡散反射面3aの延長部分3bにより拡散反射することができ、光源2から出射された光Lの光軸AX上付近の強い光Lを効率良く利用することが可能である。
【0042】
また、上記車両用灯具1では、例えば
図7(A)に示すような光源2から出射される光Lの指向特性に合わせて、
図7(B)に示すような拡散反射面3aの曲面形状とすることも可能である。なお、
図7(A)は、光源2から出射される光Lの別の指向特性を極座標に示したグラフである。
図7(B)は、その指向特性に合わせたリフレクタ3の拡散反射面3aの形状を示す断面図である。
【0043】
すなわち、拡散反射面3aは、その鉛直断面において、光源2から出射される光Lの指向特性に合わせた曲線を描く曲面形状、若しくはその曲線に近似した曲面形状であればよい。
【0044】
同様に、拡散反射面3aは、その水平断面において、光軸AXを中心とする円弧を描く曲面形状に限らず、その円弧に近似した曲線を描く曲面形状であってもよい。
【0045】
また、本発明を適用した車両用灯具は、例えば
図8に示すように、複数(本例では2個)の光源2と、複数の光源2に各々対応して配置された複数(本例では2個)のリフレクタ3とを備えた構成であってもよい。なお、
図8は、複数の光源2及び複数のリフレクタ3を並べて配置した構成を上方側から見た平面図である。
【0046】
しかしながら、この構成の場合、隣り合う拡散反射面3aの間の境界部分Rにおいて、拡散反射面3aの曲面形状が大きく変化するため、この境界部分Rで発光の暗部が生じ易くなる。
【0047】
これに対して、例えば
図9に示すような複数(本例では3個)の拡散反射面3aが連続して設けられたリフレクタ30を備えた構成としてもよい。なお、
図9は、複数の拡散反射面3aが連続して設けられたリフレクタ30の構成を示す斜視図である。
【0048】
この構成の場合、リフレクタ30の水平断面において、隣り合う拡散反射面3aの円弧の曲率を大きくすることによって、境界部分Rでの形状変化を小さくし、この境界部分Rでの暗部の発生を抑制することが可能である。
【0049】
なお、隣り合う拡散反射面3aの円弧の曲率を大きくした場合、境界部分Rに向かって各拡散反射面3aの鉛直断面における曲面形状がcosカーブの理想形状からずれるものの、隣り合う拡散反射面3aの間で発光の均一化を図る上で十分に許容することが可能である。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図10及び
図11に示す車両用灯具10について説明する。
【0051】
なお、
図10は、車両用灯具10の構成を示す平面図である。
図11は、
図10中に示す線分X-Xによる車両用灯具10の断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0052】
本実施形態の車両用灯具10は、
図10及び
図11に示すように、複数(本実施形態では13個)の光源2と、リフレクタ40とを備え、リアコンビネーションランプを構成する灯体(図示せず。)の内側に配置されている。
【0053】
リフレクタ40は、複数の光源2の下方に配置されて、各光源2から出射された光Lを正面側に向けて拡散しながら反射する拡散反射面40aを有している。リフレクタ40には、例えば白色のガラスエポキシ樹脂などの光拡散性を有する反射部材が用いられている。また、拡散反射面40aは、例えばシボなどの光Lをランダムに拡散させるための微細な凹凸構造を含む反射面により構成されている。
【0054】
本実施形態の車両用灯具10において、リフレクタ40の拡散反射面40aは、各光源2から出射された光Lの光軸AXに沿った少なくとも一の方向の断面(本実施形態では光源2から拡散反射面40aへの垂線に沿った鉛直断面)において、光源2から出射される光Lの指向特性に合わせた曲線を描く曲面形状を有している。
【0055】
具体的に、この拡散反射面40aは、各光源2に対応した鉛直断面において、それぞれcosカーブを描く凹状の曲面により構成されている。
【0056】
一方、拡散反射面40aは、その水平断面において、車両の後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車両の幅方向(以下、「車幅方向」という。)において円弧状に湾曲した曲面形状を有している。
【0057】
このため、拡散反射面40aは、上述した各光源2に対応した鉛直断面において、cosカーブの理想形状を有するものの、各光源2の間ではcosカーブの理想形状からずれることになる。
【0058】
一方、拡散反射面40aは、光源2が並ぶ方向に連続しているため、上述した隣り合う拡散反射面3aの間の境界部分Rが発生せず、各光源2の間で発光の均一化を図る上で十分に許容することが可能である。
【0059】
一方、拡散反射面40aの両端は、その両端に配置された光源2の光軸AXを中心にcosカーブを回転させることによって得られる凹状の曲面により構成されている。これにより、拡散反射面40aの両端では、cosカーブの理想形状とすることが可能である。
【0060】
リフレクタ40は、拡散反射面40aの正面側が開口しており、この拡散反射面40aに入射した光Lを拡散しながら反射し、車両用灯具10の正面側に向けて拡散された光Lを出射することになる。これにより、本実施形態の車両用灯具10では、リフレクタ40の正面側をテールランプの発光面として赤色発光させることが可能である。
【0061】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具10では、上述したリフレクタ40の拡散反射面40aが各光源2から出射される光Lの指向特性に合わせた曲面形状を有することで、この拡散反射面40aにより拡散反射される光Lの輝度を拡散反射面40aの全域に亘って均一化することが可能である。
【0062】
また、本実施形態の車両用灯具10では、上述した拡散反射面40aにより拡散反射される光Lの輝度を均一化することによって、その正面視からの視野角が大きくなった場合でも、テールランプの発光面を同じ明るさで視認させることが可能である。
【0063】
さらに、本実施形態の車両用灯具10では、従来のような拡散レンズを追加する必要がないため、部品点数の増加を抑えつつ、低コスト化を図ることが可能である。
【0064】
ここで、車両用灯具10に対する視野角が車幅方向の外側に15°,30°,45°、車両の上方に10°となる場合の車両用灯具10の光源像をシミュレーションにより求めた。そのシミュレーション結果による光源像を
図12~
図15に示す。
【0065】
なお、
図12は、車両用灯具10に対する視野角が車幅方向の外側に15°となる場合の光源像を示す写真である。
図13は、車両用灯具10に対する視野角が車幅方向の外側に30°となる場合の光源像を示す写真である。
図14は、車両用灯具10に対する視野角が車幅方向の外側に45°となる場合の光源像を示す写真である。
図15は、車両用灯具10に対する視野角が車両の上方に10°となる場合の光源像を示す写真である。
【0066】
図12~
図15に示すように、車両用灯具10に対する視野角を変化させた場合でも、同じ明るさでより均一な光源像を得ることが可能である。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、上述したリアコンビネーションランプを構成するテールランプに本発明を適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したリア側の車両用灯具に限らず、フロント側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0068】
すなわち、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプに限らず、例えば、ストップランプ(ブレーキランプ)や方向指示器(ターンランプ)、バックランプ、リッドランプ、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯用(デイタイム・ランニング)ランプなど、光源とリフレクタとを備える車両用灯具に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【0069】
また、光源が発する光の色については、上述した赤色光に限らず、白色光や橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【0070】
さらに、本発明は、上述した車両用灯具に好適に用いられるものの、車両用灯具に適用したものに必ずしも限定されるものではなく、例えば住宅用の照明装置など一般の照明装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…車両用灯具 2…光源 3…リフレクタ 3a…拡散反射面 4…回路基板 5…サブリフレクタ 5a…反射面 10…車両用灯具 30…リフレクタ 40…リフレクタ 40a…拡散反射面 L…光 AX…光軸