(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074170
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】床版取替方法及びこれに用いる施工機械
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20230522BHJP
E01D 19/12 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
E01D22/00 Z
E01D19/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186982
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今田 遥介
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅博
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA14
2D059DD02
2D059GG39
2D059GG41
(57)【要約】
【課題】高速道路の床版取替工事において、門型クレーンを使用することの有利な点を活用し、門型クレーンを使用することの不利な点を改善して、道路を交通規制する範囲及び期間を可及的に小さくする。
【解決手段】本方法及びこれに用いる施工機械Мでは、油圧駆動の伸縮支柱構造体からなる施工機械Mを走行車輪ユニットR、走行レールLからなる走行機構RLにより、各床版撤去位置の直後に移動して、既設床版の撤去・搬出工程と新設床版の搬入・設置工程を繰り返し実施する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路の床版取替区間の既設床版を主桁上から撤去し、新設床版を主桁上に設置する床版取替方法において、
上下方向に伸縮可能な一対の支柱を少なくとも3基、各基相互間に所定の間隔を介して連結して機体を構成し、前記各支柱の上部間に一対の搬送ガイドレールをその長さ方向両端を両端の前記各支柱から延出して配設し、前記各搬送ガイドレール間に搬送ガイドを架け渡し配置して前記搬送ガイドに床版に接続可能な留め具を搭載してなる伸縮支柱構造体と、前記伸縮支柱構造体を既設床版上で走行する走行機構とを用い、
前記伸縮支柱構造体を前記走行機構を介して床版取替区間の最初の床版撤去位置の直後に設置して、前記一対の搬送ガイドレールの一端を搬送始端として最初の床版撤去位置の上方に配置し、他端側を搬送終端とし、
床版取替区間の既設床版を所定の大きさに切断した後、前記伸縮支柱構造体全体を収縮することにより前記一対の搬送ガイドレールを降下させて、前記一対の搬送ガイドレールの前記搬送始端で前記留め具を切断した既設床版に接続し、前記伸縮支柱構造体全体を伸長することにより前記一対の搬送ガイドレールを上昇させて、前記留め具で切断した既設床版を吊り上げ、前記留め具を前記搬送ガイドを介して前記一対の搬送ガイドレールを前記搬送始端から前記搬送終端へ移動することにより、切断した既設床版を搬出し、この既設床版の撤去・搬出工程を繰り返して、最初の床版撤去位置の既設床版を撤去、搬出し、
最初の床版撤去位置の既設床版を撤去、搬出した後、前記一対の搬送ガイドレールの他端側を搬送始端とし、一端を搬送終端として、前記搬送始端の下方に新設床版を搬入した後、前記伸縮支柱構造体全体を収縮することにより前記一対の搬送ガイドレールを降下させて、前記一対の搬送ガイドレールの前記搬送始端で前記留め具を新設床版に接続し、前記伸縮支柱構造体全体を伸長することにより前記一対の搬送ガイドレールを上昇させて、前記留め具で新設床版を吊り上げ、前記留め具を前記搬送ガイドを介して前記一対の搬送ガイドレールを前記搬送始端から前記搬送終端へ移動することにより、新設床版を搬入し、新設床版の搬入後、前記伸縮支柱構造体全体を収縮することにより前記一対の搬送ガイドレールを降下させて、既設床版の撤去位置に設置し、この新設床版の搬入・設置工程を繰り返して、最初の床版撤去位置に新設床版を搬入、設置し、
以降、前記伸縮支柱構造体を前記走行機構により各床版撤去位置の直後に移動して、前記既設床版の撤去・搬出工程と前記新設床版の搬入・設置工程を繰り返す、
ことを特徴とする床版取替方法。
【請求項2】
走行機構に一対の走行車輪ユニットと一対の走行レールとを用い、前記一対の走行車輪ユニットを各一対の支柱の各下端に設け、前記一対の走行レールを床版取替区間の幅方向両側に敷設して、前記伸縮支柱構造体を前記各走行車輪ユニットを介して前記各走行レール上に乗せ、前記各走行レール上で移動させる請求項1に記載の床版取替方法。
【請求項3】
橋梁の場合など床版取替区間に勾配がある場合、一対の走行レールを伸縮支柱構造体の前後に隣り合う各一対の支柱の前側一方の各走行車輪ユニットの前端と後側他方の各走行車輪ユニットの後端との間の距離と略同じ又は少し長い長さを有する複数の分割レールで構成し、前記各分割レールを床版取替区間に間詰材を介して水平に設置し、前記各分割レールの継ぎ目間は段差になり、前記伸縮支柱構造体を前記各走行レール上で移動させる際に、前記各一対の支柱のうちの1基の前記各走行車輪ユニットが段差に達すると、他の2基の前記各走行車輪ユニットが前記段差までに移動距離が残るようにして、当該1基の前記各走行車輪ユニットが前記段差に達する毎に前記伸縮支柱構造体全体を他の2基で支持し、当該1基の前記各支柱を収縮することにより当該1基の前記各走行車輪ユニットを段差を超える高さまで上昇させて、この状態から他の2基の前記各走行車輪ユニットにより前記伸縮支柱構造体を前記各走行レール上で移動させることにより、当該1基の前記一対の走行車輪ユニットが段差を跨ぎ乗り越えるようにする請求項2に記載の床版取替方法。
【請求項4】
一対の搬送ガイドレールの一端の一対の支柱から延出する各一端側に一対の頬杖支柱ガイドを並設し、当該各一端側に前記各頬杖支柱ガイドを介して相対的に移動可能に係合し、上下方向に伸縮可能な一対の頬杖支柱を配置して、当該各一端側を前記各頬杖支柱で支持する請求項1乃至3のいずれかに記載の床版取替方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の床版取替方法に用いる施工機械であって、
上下方向に伸縮可能に伸縮駆動部を内蔵された少なくとも3基の一対の支柱が各基相互間に所定の間隔を介して連結されてなる機体、及び前記各伸縮駆動部を包括して又は個別に制御する伸縮制御部と、
前記各一対の支柱の上部間にその長さ方向両端を両端の前記各支柱から延出して配設される一対の搬送ガイドレール、前記各搬送ガイドレール間に架け渡し配置され、前記各搬送ガイドレールに沿って進退可能な搬送ガイド、前記各搬送ガイドレール上で前記搬送ガイドを進退駆動する進退駆動部、及び前記進退駆動部を制御する走行制御部と、
前記伸縮制御部及び前記走行制御部に有線又は無線で作動連結される前記伸縮制御部及び前記走行制御部と共通の又は各別の操作部と、
前記搬送ガイドに搭載され、床版に接続可能な留め具と、
を備えて構成され、
走行機構を介して、床版取替区間において各床版撤去位置の直後に設置され、前記一対の搬送ガイドレールの一端が搬送始端又は搬送終端として前記各床版撤去・設置位置の上方に配置され、他端側を搬送終端又は搬送始端として床版の搬出・搬入先に配置される、
ことを特徴とする施工機械。
【請求項6】
走行機構は、一対の走行車輪ユニットと、機体の前後に隣り合う各一対の支柱の前側一方の各走行車輪ユニットの前端と後側他方の各走行車輪ユニットの後端との間の距離と略同じ又は少し長い長さを有する複数の分割レールからなり、前記一対の走行車輪ユニットを走行案内する一対の走行レールと、前記一対の走行車輪ユニットを前記一対の走行レール上で走行駆動する駆動部、及び前記走行駆動部を制御する走行制御部と、前記走行制御部に有線又は無線で作動連結される、伸縮制御部及び走行制御部と共通の又は各別の操作部とを備え、前記一対の走行車輪ユニットが各一対の支柱の各下端に設けられ、前記一対の走行レールが床版取替区間の幅方向両側に敷設される請求項5に記載の施工機械。
【請求項7】
一対の搬送ガイドレールの一端の一対の支柱から延出する各一端側を支持する一対の頬杖支柱を備え、前記一対の頬杖支柱は上下方向に伸縮可能に伸縮駆動部を内蔵された伸縮支柱からなり、当該各一端側に一対の頬杖ガイドを並設されて、当該各一端側に前記各頬杖ガイドを介して当該各一端側に沿って移動可能に配置される請求項5又は6に記載の施工機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路の床版取替工事に使用する床版取替方法及びこれに用いる施工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路のコンクリート床版は、経年による老朽化、重交通による疲労、凍結防止剤や飛来塩分による塩害などによって劣化する。高速道路を維持するために、既設床版を撤去して新設床版に取り替える床版取替工事が実施される。
【0003】
従来、この種の床版取替工事では、既設床版を撤去する場合、鋼製主桁上に架設された鉄筋コンクリート製の床版を専用機械により所定の大きさに切断して、クレーンを用いて運搬車両に積み込み、運搬車両で搬出する。既設床版の撤去箇所を清掃した後、この撤去箇所に新設床版を設置する。新設床版を設置する場合は、運搬車両により新設床版を搬入し、クレーンで運搬車両から新設床版を吊り上げ、既設床版の撤去箇所に吊り下ろして設置する。
【0004】
また、この種の床版取付工事においては、既設床版の撤去、移動や新設床版の移動、設置に、主に移動式クレーンや門型クレーンが使用される。移動式クレーンは、上部に旋回体・資材揚重用のブームを持ち、下部に自走機構を持つもので、オールテレーンクレーンやラフテレーンクレーンなどの所謂クレーン車が用いられる。なお、この種の移動式クレーンは当業者に限らず一般的に知られており、特に先行技術文献を提示するまでもない。門型クレーンは、門型のフレームと、その上部に設置される資材揚重用の巻取り装置とにより構成され、施工面に専用レールを設置して、この専用レール上に組み立てられ、専用レール上で移動されるようになっている。なお、この種の門型クレーンは特許文献1などにより提案されている。
【0005】
さて、このような床版取替工事は、供用中の高速道路で行われることから、工事施工ヤードを確保するために、一定の期間、道路の一定の範囲を交通規制して実施する必要がある。このため、工事の実施により社会・経済へ及ぼす悪影響は大きく、道路を交通規制する期間、範囲を可及的に小さくする工法が求められる。ところが、床版取替工事では、揚重物の重量が10t以上になるため、揚重能力の高い大型のクレーンが必要で、また、この大型のクレーンを設置するための施工ヤードが必要となる。また、特に橋梁では多くの場合、縦断・横断両方向に沿って勾配があるため、クレーンが車輪で移動する構造の場合、クレーンが勾配下方向へ逸走するおそれがあり、クレーンの逸走を防止する設備が必要になり、また、クレーンを勾配上方向へ移動させるために、その動力の強化が必要となる。また、施工現場の周辺に、上空を通る送電線や立体交差の道路があったり反対車線側を車両やヒトが通行したりするなど、工事の対象外となる既設構造物の存在や一般の道路利用者の移動がある場合、これら物やヒトに対しての十分な安全性を確保することが必要になり、その対応が求められる。
【0006】
このような施工現場でのさまざまな要求に対する適用性について移動式クレーンを使用する場合と門型クレーンを使用する場合で見てみると、次のような違いがある。
【0007】
移動式クレーンを用いた施工の場合、クレーンの転倒や逸走を防止するために、クレーンをアウトリガーなどの設備によって設置するため、クレーンの設置に、一定の範囲を超えてスペースが必要になる。さらに、施工中の施工現場は、床版の撤去・架設箇所、クレーン、床版運搬用の車両が直列に並ぶため、施工ヤードはクレーンで分断され、施工時はクレーンのブームが180°旋回するため、ブーム及び吊荷が1車線外を通過することは避けられない。このため、クレーンの設置スペースやクレーンの旋回範囲を1車線以内に制限することは非常に困難な状況になっている。さらに、橋梁の現場で空頭制限がある場合、クレーンのブーム先端を空頭制限以下に収める必要があり、この場合、吊荷の揚程確保が困難になることがある。とは言え、移動式クレーンの場合、公道を自走することができ、動力に問題がない。また、アウトリガーなどの設備が搭載され、この設備によりクレーンを安定して設置できるので、クレーンの転倒、逸走の可能性は低い。
【0008】
門型クレーンを用いた施工の場合、クレーン幅の減少による揚重能力の低下は発生しにくい。このため、予めクレーン幅を調整して製造することで、交通規制の範囲を道路の一定の範囲に収めることができる。また、門型の本体の内側に空間があるため、床版の運搬車両を床版取替位置付近まで誘導可能であり、運搬車両を待機させるためのスペースを施工ヤードに別途用意する必要がない。また、この門型クレーンによる吊荷の移動は門型の本体の内側のみで行われるので、吊荷が交通規制外を通過することがなく、空頭制限についても門型の本体を空頭制限以下に調整することで問題がない。したがって、門型クレーンを用いた床版取替工事では、道路を交通規制する範囲を小さくすることができる。しかし、その一方で、門型クレーンの場合、製造場所が施工現場になるため、工事期間中にクレーンの落成検査が必要となる。さらに、門型クレーン移動用のレールも落成検査の対象となり、レールの設置を床版の取り替えと並行して行うことは、落成検査再受検が必要で、非効率になる。つまり、門型クレーンを用いた床版取替工事では、クレーンの組み立てと並行したレールの設置、落成検査の受検、床版撤去時のレールの撤去の3工程を含み、移動式クレーンを用いた床版取替工事に比較して、道路の交通規制が長期化する。また、門型クレーンは、移動用レールと本体の車輪が共に鋼製であることが多く、両者間に働く摩擦力が弱い。このため、橋梁の現場など道路に縦断方向、横断方向に勾配がある場合、門型クレーンは、勾配上方向へ移動するために動力の強化が必要となり、また、勾配下方向へ逸走するおそれがあり、その確実な防止が必要である。但し、これに対しては、レールを水平にすることで、動力の強化は必要がなく、逸走の可能性も低下する。レールを水平に設置するのもレールの下部に間詰材を介在することで可能である。しかし、この場合、レールを1橋梁全体で水平に設置すると、レールの端部の嵩上げ高さが大きくなり、レールの設置が困難となる。また、複数に分割したレールを1本ずつ水平に設置することで、嵩上げ高さは比較的小さく済むものの、各レールの継ぎ目継ぎ目に段差が生じ、この段差を門型クレーンは通過できないため、段差毎に、門型クレーンの解体・組み立てが必要になる。
【0009】
このように床版取替工事において移動式クレーンを用いる場合も門型クレーンを用いる場合も有利な点不利な点が存在する。もっとも、門型クレーンを用いる場合と移動式クレーンを用いる場合とを比較すると、交通の規制期間の点で、門型クレーンを用いる場合の方が不利になる。したがって、床版取替工事を行うに当たっては、これら施工機械を現場条件に応じて使い分け、それぞれの不利な点を改善した上で使用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述したように、門型クレーンを用いた施工では、移動式クレーンを用いた施工に比べて、交通の規制期間の点で不利とはいえ、移動式クレーンを用いた施工に場合に比べて、揚重能力が機械幅に影響されない点、吊荷が交通規制外を通過しない点、空頭制限下の高さに適用できる点、床版の運搬車両を床版取替箇所付近まで誘導できる点は、道路を交通規制する範囲を小さくする上で、その有用性は大きい。
【0012】
そこで、本発明は、高速道路の床版取替工事において、門型クレーンを使用することの有利な点を活用し、門型クレーンを使用することの不利な点を改善して、道路を交通規制する範囲及び期間を可及的に小さくすることのできる新たな床版取替方法及びこれに用いる施工機械を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、
高速道路の床版取替区間の既設床版を主桁上から撤去し、新設床版を主桁上に設置する床版取替方法において、
上下方向に伸縮可能な一対の支柱を少なくとも3基、各基相互間に所定の間隔を介して連結して機体を構成し、前記各支柱の上部間に一対の搬送ガイドレールをその長さ方向両端を両端の前記各支柱から延出して配設し、前記各搬送ガイドレール間に搬送ガイドを架け渡し配置して前記搬送ガイドに床版に接続可能な留め具を搭載してなる伸縮支柱構造体と、前記伸縮支柱構造体を既設床版上で走行する走行機構とを用い、
前記伸縮支柱構造体を前記走行機構を介して床版取替区間の最初の床版撤去位置の直後に設置して、前記一対の搬送ガイドレールの一端を搬送始端として最初の床版撤去位置の上方に配置し、他端側を搬送終端とし、
床版取替区間の既設床版を所定の大きさに切断した後、前記伸縮支柱構造体全体を収縮することにより前記一対の搬送ガイドレールを降下させて、前記一対の搬送ガイドレールの前記搬送始端で前記留め具を切断した既設床版に接続し、前記伸縮支柱構造体全体を伸長することにより前記一対の搬送ガイドレールを上昇させて、前記留め具で切断した既設床版を吊り上げ、前記留め具を前記搬送ガイドを介して前記一対の搬送ガイドレールを前記搬送始端から前記搬送終端へ移動することにより、切断した既設床版を搬出し、この既設床版の撤去・搬出工程を繰り返して、最初の床版撤去位置の既設床版を撤去、搬出し、
最初の床版撤去位置の既設床版を撤去、搬出した後、前記一対の搬送ガイドレールの他端側を搬送始端とし、一端を搬送終端として、前記搬送始端の下方に新設床版を搬入した後、前記伸縮支柱構造体全体を収縮することにより前記一対の搬送ガイドレールを降下させて、前記一対の搬送ガイドレールの前記搬送始端で前記留め具を新設床版に接続し、前記伸縮支柱構造体全体を伸長することにより前記一対の搬送ガイドレールを上昇させて、前記留め具で新設床版を吊り上げ、前記留め具を前記搬送ガイドを介して前記一対の搬送ガイドレールを前記搬送始端から前記搬送終端へ移動することにより、新設床版を搬入し、新設床版の搬入後、前記伸縮支柱構造体全体を収縮することにより前記一対の搬送ガイドレールを降下させて、既設床版の撤去位置に設置し、この新設床版の搬入・設置工程を繰り返して、最初の床版撤去位置に新設床版を搬入、設置し、
以降、前記伸縮支柱構造体を前記走行機構により各床版撤去位置の直後に移動して、前記既設床版の撤去・搬出工程と前記新設床版の搬入・設置工程を繰り返す、
ことを要旨とする。
【0014】
この場合、走行機構に一対の走行車輪ユニットと一対の走行レールとを用い、前記一対の走行車輪ユニットを各一対の支柱の各下端に設け、前記一対の走行レールを床版取替区間の幅方向両側に敷設して、前記伸縮支柱構造体を前記各走行車輪ユニットを介して前記各走行レール上に乗せ、前記各走行レール上で移動させることが好ましい。
特に、橋梁の場合など床版取替区間に勾配がある場合、一対の走行レールを伸縮支柱構造体の前後に隣り合う各一対の支柱の前側一方の各走行車輪ユニットの前端と後側他方の各走行車輪ユニットの後端との間の距離と略同じ又は少し長い長さを有する複数の分割レールで構成し、前記各分割レールを床版取替区間に間詰材を介して水平に設置し、前記各分割レールの継ぎ目間は段差になり、前記伸縮支柱構造体を前記各走行レール上で移動させる際に、前記各一対の支柱のうちの1基の前記各走行車輪ユニットが段差に達すると、他の2基の前記各走行車輪ユニットが前記段差までに移動距離が残るようにして、当該1基の前記各走行車輪ユニットが前記段差に達する毎に前記伸縮支柱構造体全体を他の2基で支持し、当該1基の前記各支柱を収縮することにより当該1基の前記各走行車輪ユニットを段差を超える高さまで上昇させて、この状態から他の2基の前記各走行車輪ユニットにより前記伸縮支柱構造体を前記各走行レール上で移動させることにより、当該1基の前記一対の走行車輪ユニットが段差を跨ぎ乗り越えるようにすることが望ましい。
【0015】
また、(施工条件や現場条件、また、一対の搬送ガイドレールの設計条件(重量や強度)に応じて)一対の搬送ガイドレールの一端の一対の支柱から延出する各一端側に一対の頬杖支柱ガイドを並設し、当該各一端側に前記各頬杖支柱ガイドを介して相対的に移動可能に係合し、上下方向に伸縮可能な一対の頬杖支柱を配置して、当該各一端側を前記各頬杖支柱で支持するようにしてもよい。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、
上記床版取替方法に用いる施工機械であって、
上下方向に伸縮可能に伸縮駆動部を内蔵された少なくとも3基の一対の支柱が各基相互間に所定の間隔を介して連結されてなる機体、及び前記各伸縮駆動部を包括して又は個別に制御する伸縮制御部と、
前記各一対の支柱の上部間にその長さ方向両端を両端の前記各支柱から延出して配設される一対の搬送ガイドレール、前記各搬送ガイドレール間に架け渡し配置され、前記各搬送ガイドレールに沿って進退可能な搬送ガイド、前記各搬送ガイドレール上で前記搬送ガイドを進退駆動する進退駆動部、及び前記進退駆動部を制御する走行制御部と、
前記伸縮制御部及び前記走行制御部に有線又は無線で作動連結される前記伸縮制御部及び前記走行制御部と共通の又は各別の操作部と、
前記搬送ガイドに搭載され、床版に接続可能な留め具と、
を備えて構成され、
走行機構を介して、床版取替区間において各床版撤去位置の直後に設置され、前記一対の搬送ガイドレールの一端が搬送始端又は搬送終端として前記各床版撤去・設置位置の上方に配置され、他端側を搬送終端又は搬送始端として床版の搬出・搬入先に配置される、
ことを要旨とする。
【0017】
この場合、走行機構は、一対の走行車輪ユニットと、機体の前後に隣り合う各一対の支柱の前側一方の各走行車輪ユニットの前端と後側他方の各走行車輪ユニットの後端との間の距離と略同じ又は少し長い長さを有する複数の分割レールからなり、前記一対の走行車輪ユニットを走行案内する一対の走行レールと、前記一対の走行車輪ユニットを前記一対の走行レール上で走行駆動する駆動部、及び前記走行駆動部を制御する走行制御部と、前記走行制御部に有線又は無線で作動連結される、((段落0016で)既述の)伸縮制御部及び走行制御部と共通の又は各別の操作部とを備え、前記一対の走行車輪ユニットが各一対の支柱の各下端に設けられ、前記一対の走行レールが床版取替区間の幅方向両側に敷設されることが好ましい。
【0018】
また、(施工条件や現場条件、また、一対の搬送ガイドレールの設計条件(重量や強度)により)一対の搬送ガイドレールの一端の一対の支柱から延出する各一端側を支持する一対の頬杖支柱を備え、前記一対の頬杖支柱は上下方向に伸縮可能に伸縮駆動部を内蔵された伸縮支柱からなり、当該各一端側に一対の頬杖ガイドを並設されて、当該各一端側に前記各頬杖ガイドを介して当該各一端側に沿って移動可能に配置されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の床版取替方法及びこれに用いる施工機械によれば、次のような本発明独自の各別な作用効果を奏する。
(1)施工機械の施工現場に応じた幅方向、高さ方向の小型化による床版の揚重、搬送の各性能の低下、床版取り替えの作業効率の低下が発生しないため、高架道路での1車線施工や空頭制限下の橋梁での施工に最適となる。
(2)走行機構に一対の走行車輪ユニットと一対の走行レールとを用い、一対の走行レールを複数の分割レールで構成し、橋梁など施工面に縦断勾配がある場合でも、これらの分割レールを水平に設置して、この水平の走行レール上を施工機械が移動するので、橋梁など施工面の縦断勾配の有無が施工機械の逸走の危険性に影響せず、車輪ブレーキなどアウトリガー以外の装備によって逸走を防止することができ、他面で、施工機械を従来の門型クレーンを勾配上方向に移動させるときのような勾配に応じた動力の強化も必要がない。
(3)施工機械内部に作業空間を有し、その内部で床版の吊り作業、搬送作業を行うので、吊荷の床版が交通規制の範囲外を通過することがなく、また、床版の運搬車両を床版取り替えの施工箇所付近まで誘導することができ、床版の取り替え作業を安全に効率よく実施することができる。
(4)走行レールの撤去・設置作業を伴っても、施工機械に従来の門型クレーンのように巻取り装置がなく施工機械がクレーンに該当しないため、走行レールの撤去・設置作業を盛替えという形で同一作業として行えるので、移動式クレーンと比較しても施工機械の移動工程にロスがない。
したがって、本方法及びこれに用いる施工機械によれば、交通規制を必要とする範囲及び期間の点、適用可能な現場の広さなどの現場条件の点の2点において、従来の施工機械よりも著しく優れており、これまでの床版取替工事が社会、経済に及ぼしていた悪影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る床版取替方法及びこれに用いる施工機械のイメージを示す側面図
【
図2】同方法に用いる施工機械の構成を示す図((a)は側面図(b)は(a)中のB-B線断面図(c)は(a)中のA-A線、C-C線断面図(d)は(a)中のD-D線断面図)
【
図3】同方法に用いる施工機械の変更例を示す側面図
【
図4】同方法に用いる施工機械の移動方式を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1にこの発明の一実施の形態に係る床版取替方法をこの方法に用いる施工機械とともに示している。
図2にこの床版取替方法に用いる施工機械を示し、
図3にこの施工機械の変更例、
図4にこの施工機械の移動方式を示している。
【0022】
図1に示すように、この床版取替方法(以下、本方法という。)は、高速道路の床版取替区間の既設床版を主桁上から撤去し、新設床版を主桁上に設置する高速道路の床版取替工事に用いるものである。
【0023】
本方法では、上下方向に伸縮可能な伸縮支柱構造体からなる施工機械Мと、施工機械Мを既設床版上で走行する走行機構RLとを用いる。
【0024】
施工機械Мをなす伸縮支柱構造体は、上下方向に伸縮可能な一対の支柱10を少なくとも3基、各基相互間に所定の間隔を介して連結して機体1を構成する。なお、ここでは一対の支柱10を3基で機体1を構成する。この機体1において各支柱10の上部間に一対の搬送ガイドレール2をその長さ方向両端を両端の各支柱10から延出して水平に配設し、これら搬送ガイドレール2間に搬送ガイド3を水平に架け渡し配置する。そして、この搬送ガイド3に、床版に接続可能な留め具4を搭載する。またこの場合、一対の搬送ガイドレール2の一端の一対の支柱10から延長方向に延出する各一端側を一対の頬杖支柱5により水平に支持する。これら頬杖支柱5には上下方向に伸縮可能な一対の伸縮支柱を用い、各頬杖支柱5の上端部に後述する一対の頬杖支柱ガイドレール6に係合可能な係合部51を併せて設けている。そして、一対の搬送ガイドレール2の一端側に一対の頬杖支柱ガイドレール6を並設し、各頬杖支柱5を各一端側に各頬杖支柱ガイドレール6を介して相対移動可能に係合させて立設配置する。
【0025】
この施工機械Мは、
図2に示すように、上下方向に伸縮可能に伸縮駆動部を内蔵された(少なくとも)3基の一対の支柱10が相互に対向してかつ各基相互間に所定の間隔を介して連結されてなる機体1、及び各伸縮駆動部を包括して又は個別に制御する伸縮制御部(図示省略)と、各一対の支柱10の上部間にその長さ方向両端を両端の前記各支柱10から延出して配設される一対の搬送ガイドレール2、各搬送ガイドレール2間に架け渡し配置され、各搬送ガイドレール2に沿って進退可能な搬送ガイド3、各搬送ガイドレール2上で搬送ガイド3を進退駆動する進退駆動部(図示省略)、及び進退駆動部を制御する走行制御部(図示省略)と、伸縮制御部及び走行制御部に有線又は無線で作動連結される伸縮制御部及び走行制御部と共通の又は各別の操作部(図示省略)と、搬送ガイド3に搭載され、床版に接続可能な留め具4とを備えて構成される。
【0026】
また、一対の頬杖支柱5は、一対の搬送ガイドレール2の一端の一対の支柱10から延出される各一端側を支持可能に、上下方向に伸縮可能に伸縮駆動部を内蔵された伸縮支柱からなり、上端部に係合部51として把持構造からなる複数のガイドローラを有する。一対の搬送ガイドレール2の各一端側の下部に一対の頬杖ガイドレール6が並設される。このようにして一対の頬杖支柱5は上端部の各ガイドローラを各一端側の下部の各頬杖ガイドレール6に係合されて各一端側に沿って移動可能に垂設される。
【0027】
なお、一対の頬杖支柱5は、施工条件、現場条件及び鋼製梁11の強度に応じて追加されるので、各頬杖支柱5が不要な場合は、
図3に示すように、省略される。なお、
図3の施工機械Мは、既に説明したとおりであり、
図2の施工機械Мと共通の各部に同一の符号を付している。
【0028】
図1に示すように、走行機構RLには、一対の走行車輪ユニットRと一対の走行レールLとを用いる。一対の走行車輪ユニットRを施工機械Мの各一対の支柱10の各下端に設ける。一対の走行レールLは通常のフラットな高架道路では一連の長いものであってもよいが、橋梁でも適用可能に、一対の走行レールLを施工機械Мの前後に隣り合う各一対の支柱10の前側一方の各走行車輪ユニットRの前端と後側他方の各走行車輪ユニットRの後端との間の距離と略同じ又は少し長い長さを有する複数の分割レールL1で構成する。この一対の走行レールLを床版取替区間の幅方向両側に敷設する。橋梁の場合など床版取替区間に勾配がある場合は、各分割レールL1を床版取替区間に間詰材を介して水平に設置する。この場合、各分割レールL1の継ぎ目間は段差Gになる。このようにして施工機械Мを各走行車輪ユニットRを介して各走行レールL上に乗せ、各走行レールL上で移動可能に設置する。
【0029】
この走行機構RLは、
図2に示すように、一対の走行車輪ユニットRと、施工機械Мの前後に隣り合う各一対の支柱10の前側一方の各走行車輪ユニットRの前端と後側他方の各走行車輪ユニットRの後端との間の距離と略同じ又は少し長い長さを有する複数の分割レールL1からなり、一対の走行車輪ユニットRを走行案内する一対の走行レールLと、一対の走行車輪ユニットRを一対の走行レールL上で走行駆動する走行駆動部(図示省略)、及び走行駆動部を制御する走行制御部(図示省略)と、走行制御部に有線又は無線で作動連結される、既述の伸縮制御部及び走行制御部と共通の又は各別の操作部とを備えて構成される。そして、一対の走行車輪ユニットRが各一対の支柱10の各下端に設けられ、一対の走行レールLが床版取替区間の幅方向両側に敷設される。
【0030】
このようにして伸縮支柱構造体からなる施工機械Мは、
図1に示すように、走行機構RLを介して、床版取替区間において(工事の進行方向)各床版撤去位置の直後に設置され、一対の搬送ガイドレール2の一端が搬送始端又は搬送終端として各床版撤去・設置位置の上方に配置され、他端側を搬送終端又は搬送始端として床版の搬入・搬送先に配置される。
【0031】
高速道路の床版取替工事に当たり、施工機械Мを走行機構RLを介して床版取替区間の最初の床版撤去位置の直後に設置して、一対の搬送ガイドレール2の一端を搬送始端として最初の床版撤去位置の上方に配置し、他端側を搬送終端とする。
【0032】
床版取替区間の既設床版を所定の大きさに切断した後、まず、施工機械Мの各支柱10全体の包括制御により各支柱10を同時に収縮させ、伸縮支柱構造体全体を収縮することにより一対の搬送ガイドレール2を水平を維持したまま降下させて、一対の搬送ガイドレール2の搬送始端で留め具4を切断した既設床版に接続する。続いて、施工機械Мの各支柱10全体の包括制御により各支柱10を同時に伸長させ、伸縮支柱構造体全体を伸長することにより一対の搬送ガイドレール2を水平を維持したまま上昇させて、留め具4で切断した既設床版を吊り上げる。そして、留め具4を搬送ガイド3を介して一対の搬送ガイドレール2で搬送始端から搬送終端へ水平に移動することにより、切断した既設床版を搬出する。この既設床版の撤去・搬出工程を繰り返すことで、最初の床版撤去位置の既設床版を撤去、搬出する。
【0033】
最初の床版撤去位置の既設床版を撤去、搬出した後、続いて、一対の搬送ガイドレール2の他端側を搬送始端とし、一端を搬送終端として、搬送始端の下方に新設床版を運搬する。新設床版の運搬後、伸縮支柱構造体全体を収縮することにより一対の搬送ガイドレール2を水平を維持したまま降下させて、一対の搬送ガイドレール2の搬送始端で留め具4を新設床版に接続する。続いて、門型構造体全体を伸長することにより一対の搬送ガイドレール2を水平を維持したまま上昇させて、留め具4で新設床版を吊り上げる。そして、留め具4を搬送ガイド3を介して一対の搬送ガイドレール2を搬送始端から搬送終端へ水平に移動することにより、新設床版を搬入し、新設床版の搬入後、伸縮支柱構造体全体を水平を維持したまま収縮することにより一対の搬送ガイドレール2を降下させて、既設床版の撤去位置(主桁)に設置(架設)する。この新設床版の搬入・設置工程を繰り返すことで、最初の床版撤去位置に新設床版を搬入、設置する。
【0034】
以降、施工機械Мを走行機構により各床版撤去位置の直後に移動して、既設床版の撤去・搬出工程と新設床版の搬入・設置工程を繰り返す。
【0035】
この際、通常のフラットな高架道路の場合は、一対の走行レールLの継ぎ目に段差がないが、橋梁など勾配がある場合は、複数の分割レールL1をそれぞれ施工面の低い側に間詰材を介在して水平に設置するため、各分割レールL1間に段差Gが生じる。このような場合、施工機械Мの各床版撤去位置間の移動を、
図4に示すように、施工機械Мと走行機構RLとの連係動作により行う。
【0036】
図4(1)のステップ1に示すように、先の床版取替位置で床版の取り替え作業を行う間、施工機械Мを先の床版取替位置の直後に一対の走行レールLを介して設置している。一対の走行レールLは、既述のとおり、複数の分割レールL1からなり、それぞれ、施工機械М、すなわち、伸縮支柱構造体の前後に隣り合う各一対の支柱10の前側一方の各走行車輪ユニットRの前端と後側他方の各走行車輪ユニットRの後端との間の距離と略同じ又は少し長い長さにしているので、施工機械Мは、各走行レールL上で、各一対の支柱10のうちの1基の各走行車輪ユニットRが(施工機械Мの進行方向)前方の段差Gに衝接し、他の2基の各走行車輪ユニットRはそれぞれの前方の段差Gまでに移動距離が残るようになっている。そのため、施工機械Мを一対の走行レールL上で先の床版取替位置の直後に設置すると、
図4(1)に示すように、施工機械Мの3基の一対の支柱10のうち中間の各支柱10の各走行車輪ユニットRが床版取替位置直後の各分割レールL1上でその次の各分割レールL1との間の段差Gに衝接し、後方の各支柱10の走行車輪ユニットRは床版取替位置直後の各分割レールL1上で床版取替位置側の端部にあり、前方の段差Gまでに移動距離が残り、前方の各支柱10の各走行車輪ユニットRはその次の各分割レールL1上でさらにその次の各分割レールL1の手前にあり、前方の段差Gまでに移動距離(走行車輪ユニットRの長さ分)が残るものの、このままでは施工機械Мは次の床版取替位置に向けて前進できない。
【0037】
そこでまず、この施工機械Мの各支柱10を各別の制御により、
図4(2)に示すように、伸縮支柱構造体全体を2基の支柱10で、この場合、前方の各支柱10と後方の各支柱10とで支持し、残りの1基の各支柱10、つまり、中間の各支柱10を収縮することによりこの1基の各走行車輪ユニットRを段差Gを超える高さまで上昇させて、この状態から、
図4(3)に示すように、前方、後方の他の2組の各走行車輪ユニットRにより施工機械Мを各走行レールL上で移動させることにより、中間の一対の走行車輪ユニットRが段差Gを跨ぎ飛び越える。この場合、一対の走行レールL上で施工機械Мが一対の走行車輪ユニットRの長さ分だけ走行する。これにより、中間の一対の走行車輪ユニットRは次の各分割レールL1の前の各分割レールL1側の端部上に移動される。このとき、後方の各支柱10の走行車輪ユニットRは床版取替位置直後の各分割レールL1上で両端部間の中間位置にあり、前方の段差Gまでに移動距離が残り、前方の各支柱10の各走行車輪ユニットRは次の各分割レールL1上でさらに次の各分割レールL1との間の段差Gに衝接する。ここで、
図4(4)に示すように、中間の各支柱10を伸長して中間の各走行車輪ユニットRを次の各分割レールL1上に乗せる。次いで、この施工機械Мの各支柱10を各別の制御により、施工機械Мを中間の各支柱10と後方の各支柱10とで支持し、前方の各支柱10を収縮することによりこれら支柱10の各走行車輪ユニットRを段差Gを超える高さまで上昇させて、この状態から他の中間、後方の各走行車輪ユニットRにより施工機械Мを各走行レールL上で移動させることにより、前方の一対の走行車輪ユニットRが段差Gを跨ぎ飛び越えて、前方の各走行車輪ユニットRをさらに次の各分割レールL1上に乗せる。これに続いて、同様にして、後方の各走行車輪ユニットRが段差Gを跨ぎ飛び超えて、後方の各走行車輪ユニットRを次の各分割レールL1上に乗せて、施工機械М全体を前の各分割レールL1から次の及びさらに次の各分割レールL1へ移動させる。
【0038】
このように橋梁など勾配があり、複数の分割レールL1間に段差Gが生じる場合でも、施工機械Мを、施工機械Мをなす伸縮支柱構造体と走行機構RLとの連係動作により、各床版撤去位置の直後に移動する。そして、各床版撤去位置で既設床版の撤去・搬出工程と新設床版の搬入・設置工程を繰り返し行う。
【0039】
図5に施工機械Мを用いた本方法の具体例として、橋梁での施工例を示している。
【0040】
図5において、ここで施工機械Мは、従来の門型クレーンの代用で、揚重機構としてクレーンに代えて伸縮式の一対の支柱10を3基用い、これに、これら一対の支柱10を連結する鋼製梁11、これら一対の支柱10間に配設されるレール軌道(搬送ガイドレール2、移動ガイドレール)、このレール軌道に沿って移動される移動梁(搬送ガイド3)及び荷掛用フック(留め具4)、さらにカウンターウェイト7を組み合わせて構成される。そして、施工条件、現場条件及び鋼製梁11の強度に応じて、頬杖支柱5が追加される。
【0041】
各一対の支柱10に油圧の調整によって柱長を伸縮可能な油圧リフターを2本ずつ用いる。3基の油圧リフターを6m間隔の配置で鋼製梁11により連結して機体1を構成する。通常、油圧リフターは支柱2本とこれら支柱を繋ぐ上梁とからなり、これを基本の構成単位(1基)とする。本来油圧リフターは1基での単独使用を想定されており、2基以上を同時に使用する場合でも、各基同士を連結して一体化し、一体的に制御するシステムとして利用することは行われていない。この施工機械では、3基の油圧リフターを水平に配置し、相互に連結して一体化させて、3基を同時に連動して又は異時に各別に動作させることによって、従来の門型クレーンではなし得ない作業方式の床版取替方法を実現する。また、これらの支柱10の下部には、後述のとおり、専用レール(走行レールL)上を走行可能に車輪構造(走行車輪ユニットR)を持つ。
【0042】
鋼製梁11は対をなし、それぞれ、3基の一対の支柱10の同じ側に配列される支柱10間に各一対の支柱10間に2列並列に固定されて、各一対の支柱10が連結される。これらの鋼製梁11は、後述の専用レール(走行レールL)と並行にかつ両端部が両端の一対の支柱10との固定位置からその延長方向に所定の長さだけ突出する長さ、この場合、一端側は8m以上の長さを有する。ここでは鋼製梁11の一端側が一端の各一対の支柱10から鋼製梁11の延長方向に8m張り出され、他端側が他端の各一対の支柱10から鋼製梁11の延長方向に7m張り出される。この一対の鋼製梁11には、レール軌道として、搬送ガイド3用の一対の搬送ガイドレール2と、カウンターウェイト7用の一対の移動ガイドレール71と、一対の頬杖支柱5用の一対の頬杖支柱ガイドレール6が配設される。この場合、各鋼製梁11の上面に略全長に亘って移動梁用の、つまり既述の搬送ガイド3用の各搬送ガイドレール2が設置される。各鋼製梁11の各外側の側面で両端の一対の支柱10間にカウンターウェイト7用の一対の移動ガイドレール71が設置される。各鋼製梁11の張り出された一端側、この場合、この施工機械Мの進行方向後方となる端部側の下面のみに各頬杖支柱5用の各頬杖ガイドレール6が設置される。
【0043】
移動梁は荷掛用フックを移動するための設備、すなわち、既述の搬送ガイド3で、一対の鋼製梁11のレール軌道間、この場合、一対の搬送ガイドレール2間に横断可能な長さを有し、両端に各鋼製梁11の各搬送ガイドレール2に係合可能な車輪構造を有する。この場合、移動梁は下面両端にガイドローラを軸支され、一対の搬送ガイドレール2上に移動可能に配置される。またこの場合、移動梁はその延びる方向略全長に亘って後述の荷掛フックのガイドローラを係合案内するガイドレールになっている。
【0044】
荷掛用フックは吊荷の揚重のための設備、すなわち、既述の留め具4で、床版に係止可能なフック41と、このフック41を移動梁に吊り下げるためのワイヤなどの索状部材42と、この索状部材42を移動梁のガイドレールに係合し移動梁上を移動可能にガイドレールに対して把持構造のガイドローラ43とからなり、移動梁に把持構造のガイドローラにより懸架される。
【0045】
カウンターウェイト7は施工機械Мの重心位置を調整し、施工機械Мの転倒を防止するための設備で、カウンターウェイト7用の移動梁70に搭載されて、一対の移動ガイドレール71上に走行可能に設置される。後述のとおり、この施工機械Мでは、各一対の支柱10を一対の走行レールLから浮上させるので、この動作により、機体1を支持する各一対の支柱10の組み合わせが変化するため、このカウンターウェイト7を移動梁のレール軌道上の移動に応じて機体1の両端方向(前後方向)に位置を可変とする。
【0046】
一対の頬杖支柱5はこの施工機械Мによる揚重作業中の一対の鋼製梁11の張り出された(後方の)一端側に作用する曲げモーメントを低減するための設備で、油圧の調整によって柱長を伸縮可能な2本の油圧リフターにより構成され、これら頬杖支柱5により一対の鋼製梁11の軽量化を図る。各頬杖支柱5は、上端部に一対の鋼製梁11の一端側(張り出された部分)の各頬杖支柱ガイドレール6に対して係合可能に把持構造のガイドローラを有し、一対の鋼製梁11の一端側に各頬杖支柱ガイドレール6を介して当該一端側に沿って移動可能に懸架される。なお、各頬杖支柱5の下端は高架道路、橋梁の主桁に直接設置される。
【0047】
なお、機体1の既述の伸縮制御部、走行制御部、操作部などについては特に図示していないが、これらは同一のシステムに集約される。オペレータはこのシステムを共通の操作部により操作する。この操作部の操作により、施工機械Мの全支柱10が同時に伸縮可能に、各支柱10の伸縮量が相対的に設定されて各支柱10が均一に又は不均一に伸縮可能になっている。
【0048】
そして、この施工機械Мを既設床版上で移動可能に、既設床版上には専用レール、既述の複数の分割レールL1からなる一対の走行レールLが水平に仮設される。この場合、各分割レールL1の1本当たりの長さは8m、1条の軌道となる一対の走行レールLは、各々、3本の分割レールL1で構成され、一度に設置される各走行レールLの全長は24mになる。分割レールL1は1本1本を水平になるように設置する。縦断方向に勾配を持つ橋梁に適用する場合は、施工面の低い方の各分割レールL1の下部を間詰材により嵩上げして各分割レールLを水平状態にして設置する。
【0049】
かかる施工機械Мを用いて本方法を次のようにして実行する。
【0050】
まず、
図5(1)に示すように、橋梁の既設床版上で床版取替区間の最初の床版撤去位置の直後から橋軸方向に一対の走行レールLを敷設し、この一対の走行レールL上で最初の床版撤去位置の直後に施工機械Мを組み立て、一対の搬送ガイドレール2の一端を搬送始端として最初の床版撤去位置の上方に配置し、他端側を搬送終端として床版の搬出・搬入先の上方に配置する。
【0051】
次いで、床版取替区間の既設床版を所定の大きさに切断した後、カウンターウェイト7を移動梁70の一対の移動ガイドレール71上の移動により機体1の前方(施工機械の進行方向前方)、この場合、他端(施工機械Мの進行方向前方)の一対の支柱10上へ移動する。続いて、施工機械Мの各支柱10全体の包括制御により各支柱10を同時に収縮させ、伸縮支柱構造体全体を収縮することにより一対の搬送ガイドレール2を水平を維持したまま降下させて、一対の搬送ガイドレール2の搬送始端で留め具4を切断した既設床版に接続する。続いて、施工機械Мの各支柱10全体の包括制御により各支柱10を同時に伸長させ、伸縮支柱構造体全体を伸長することにより一対の搬送ガイドレール2を水平を維持したまま上昇させて、留め具4で切断した既設床版を吊り上げる。そして、留め具4を搬送ガイド3を介して一対の搬送ガイドレール2で搬送始端から搬送終端へ水平に移動して、搬送終端で切断した既設床版を搬出する。この場合、搬送終端の下方が床版の搬出先で、床版の運搬車両が待機しており、既設床版を運搬車両に積み込み、運搬車両で搬出する。この既設床版の撤去・搬出工程を繰り返すことで、最初の床版撤去位置の既設床版を撤去、搬出する。
【0052】
最初の床版撤去位置の既設床版を撤去、搬出した後、橋桁の清掃等の作業を行い、最初の床版撤去位置に新設床版を搬入し、設置する。この場合、一対の搬送ガイドレール2の他端側を搬送始端とし、一端を搬送終端として、搬送始端の下方に新設床版を運搬する。新設床版の運搬後、施工機械М全体を収縮することにより一対の搬送ガイドレール2を水平を維持したまま降下させて、一対の搬送ガイドレール2の搬送始端で留め具4を新設床版に接続する。続いて、施工機械М全体を伸長することにより一対の搬送ガイドレール2を水平を維持したまま上昇させて、留め具4で新設床版を吊り上げる。そして、留め具4を搬送ガイド3を介して一対の搬送ガイドレール2を搬送始端から搬送終端へ水平に移動することにより、新設床版を搬入し、新設床版の搬入後、伸縮支柱構造体全体を水平を維持したまま収縮することにより一対の搬送ガイドレール2を降下させて、既設床版の撤去位置(主桁)に設置(架設)する。この新設床版の搬入・設置工程を繰り返すことで、最初の床版撤去位置に新設床版を搬入、設置する。
【0053】
このようにして最初の床版取替位置の床版の取り替え完了後、施工機械Мを3組の一対の走行車輪ユニットRで一対の走行レールL上を走行することにより次の床版撤去位置の直後へ移動して、既設床版の撤去・搬出工程と新設床版の搬入・設置工程を繰り返す。
【0054】
この場合、
図5(2)に示すように、まず、一対の頬杖支柱5を各別の制御により収縮して橋桁上に浮上させる。続いて、各頬杖支柱5を一対の頬杖支柱ガイドレール6に沿って機体1の進行方向前方へ8m移動し、そこで各頬杖支柱5を伸長して橋桁上に再設置する。
【0055】
続いて、
図5(3)に示すように、施工機械Мの各一対の支柱10を各別の制御により、機体1全体を前方の各支柱10と後方の各支柱10とにより支持し、中間の各支柱10を収縮することによりこの中間の各走行車輪ユニットRを一対の走行レールLから段差Gを超える高さまで浮上させる。この状態から前方、後方の各走行車輪ユニットRにより機体1を各走行レールL上で2m移動させることにより、中間の一対の走行車輪ユニットRが段差Gを跨ぎ飛び越える。これにより、中間の一対の走行車輪ユニットRは次の各分割レールL1の前の各分割レールL1側の端部上に移動される。このとき、後方の各支柱10の走行車輪ユニットRは床版取替位置直後の各分割レールL1上で両端部間の中間位置にあり、前方の段差Gまでに移動距離が残り、前方の各支柱10の各走行車輪ユニットRは次の各分割レールL1上でさらに次の各分割レールL1との間の段差Gに衝接する。ここで、中間の各支柱10を伸長して中間の各走行車輪ユニットRを次の各分割レールL1上に乗せる。
【0056】
次いで、
図5(4)に示すように、カウンターウェイト7を移動梁70の一対の移動ガイドレール71上の移動により機体1の後方(施工機械の進行方向後方)、この場合、一端(施工機械Мの進行方向後方)の一対の支柱10上へ移動する。続いて、施工機械Мの各一対の支柱10を各別の制御により、施工機械Мを中間の各支柱10と後方の各支柱10とで支持し、前方の各支柱10を収縮することによりこれら支柱10の各走行車輪ユニットRを段差Gを超える高さまで浮上させる。この状態から他の中間、後方の各走行車輪ユニットRにより施工機械Мを各走行レールL上で2m移動させることにより、前方の一対の走行車輪ユニットRが段差Gを跨ぎ飛び越える。ここで、前方の各走行車輪ユニットRを次の各分割レールL1上に乗せる。
【0057】
次いで、
図5(5)に示すように、カウンターウェイト7を移動梁70の一対の移動ガイドレール71上の移動により機体1の前方(施工機械Мの進行方向前方)、この場合、他端(施工機械Мの進行方向前方)の一対の支柱10上へ移動する。続いて、施工機械Мの各一対の支柱10を各別の制御により、施工機械Мを中間の各支柱10と前方の各支柱10とで支持し、後方の各支柱10を収縮することによりこれら支柱10の各走行車輪ユニットRを段差Gを超える高さまで浮上させる。この状態から他の中間、前方の各走行車輪ユニットRにより施工機械Мを各走行レールL上で4m移動させることにより、後方の一対の走行車輪ユニットRが段差Gを跨ぎ飛び越える。ここで、
図5(6)に示すように、後方の各走行車輪ユニットRを次の各分割レールL1上に乗せる。
【0058】
以上の1サイクルで、橋梁の橋軸方向8m分の床版の取り替えと施工機械Мの移動を行う。この1サイクルを繰り返し実施することにより、橋梁全体の施工を完了する。
【0059】
このように施工機械Мを用いた本方法では、2本一対の支柱10を基本構成としこれを複数組組み合わせて機体1を支持する点、これらの支柱10がレール軌道上で移動する点、機体1内で床版の揚重・移動作業を行う点の3点で、従来の門型クレーンと共通する。これにより、(1)揚重能力が機械幅に影響されない、(2)吊荷が交通規制外を通過しない、(3)空頭制限下の高さに適用できる、(4)運搬車両を施工箇所付近まで誘導できる、といった従来の門型クレーンと同様の技術的利益を得ることができる。
【0060】
そして、この施工機械Мでは特に、各一対の支柱10に油圧リフターを使用し、支柱10内部の油圧シリンダーの制御によって柱長の伸縮を行うことで資材の揚重を行うので、従来の門型クレーンと異なり、巻取り装置を使用することなしに床版を昇降することができる。さらに、この施工機械Мの場合、この施工機械Мの組み立て時に、3基の一対の支柱10と頬杖支柱5を繋ぐ鋼製梁11を水平にする(
図4(1)のSTEP1)。床版の揚重時は、全支柱10を同時かつ同量伸縮させることにより、鋼製梁11の水平を維持する。施工機械Мの移動時は、機体1を構成する3基の一対の支柱10のうち任意の2基の各支柱10の伸縮を固定状態とすることで、鋼製梁11の高さを安定して維持し、一対の頬杖支柱5を選択的に設置し、この状態から、残りの1基の各支柱10を収縮すると、この1基の収縮の基点は一対の走行レールLではなく鋼製梁11となり、各支柱10下部の各走行車輪ユニットRを各走行レールLから浮上させることができる(
図4(2)のSTEP2)。この状態で、施工機械Мを水平に移動させることができ、段差Gにある各支柱10が各分割レールL1間の段差Gを通過する(
図4(3)のSTEP3)。これにより、従来の門型クレーンの課題であった縦断勾配が存在する橋梁への適用性も確保される。そして、この施工機械Мは、巻取り装置を搭載しないためクレーンに該当せず、落成検査が不要であり、走行レールLの設置工程に制約がない。これにより、各床板取替位置での施工の進捗に伴って施工機械Мを移動した後、施工機械Мの進行方向後方に残った各走行レールL(各分割レールL1)を即時前方へ移動することができる。したがって、各走行レールLの撤去・設置作業を同時作業にすることによって、工程の短縮を図ることかできる。
【0061】
以上説明したように、この施工機械Мを用いた本方法によれば、従来の移動式のクレーンや門型クレーンでは実現が困難であった次のような作用効果を奏する。
(1)施工機械Мの施工現場に応じた幅方向、高さ方向の小型化による床版の揚重、搬送の各性能の低下、床版取り替えの作業効率の低下が発生しないため、橋梁を含む高架道路での1車線施工に最適で、空頭制限の存在する橋梁での施工にも最適である。
(2)走行機構RLに一対の走行車輪ユニットRと一対の走行レールLとを用い、一対の走行レールLを複数の分割レールL1で構成し、これらを水平に設置して、施工機械Мが水平の走行レールL上で移動するので、橋梁など施工面の縦断勾配の有無が施工機械Мの逸走の危険性に影響せず、車輪ブレーキなどアウトリガー以外の装備によって逸走を防止することができ、他面で、施工機械Мを従来の門型クレーンを勾配上方向に移動させるときのような勾配に応じた動力の強化も必要がない。
(3)施工機械М内部に作業空間を有し、その内部で床版の吊り作業、搬送作業を行うため、吊荷の床版が規制範囲外を通過することがなく、床版の運搬車両を床版取り替えの施工箇所付近まで誘導することができ、床版の取り替え作業を安全に効率よく実施することができる。
(4)走行レールLの撤去・設置作業を伴っても、施工機械Мに従来の門型クレーンのように巻取り装置がなく施工機械Мがクレーンに該当しないため、走行レールLの撤去・設置作業を盛替えという形で同一作業として行うことができ、移動式クレーンと比較しても施工機械の移動工程にロスがない。
【0062】
したがって、この施工機械Мを用いた本方法によれば、交通規制を必要とする範囲及び期間、適用可能な現場の広さなどの現場条件の2点において、従来の施工機械よりも著しく優れ、これまでの床版取替工事が社会、経済に及ぼしていた悪影響を低減するための解決策となり得る。
【0063】
なお、この実施の形態は、高速道路の床版取替工事に使用する床版取替方法及びこれに用いる施工機械として例示しているが、本方法及び施工機械は、一般道路の橋梁においても、同様に、利用することができ、上記と同様の作用効果を奏することは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
М 施工機械
1 機体
10 支柱
11 鋼製梁
2 搬送ガイドレール(レール軌道)
3 搬送ガイド(移動梁)
4 留め具(荷掛用フック)
41 フック
42 索状部材
43 ガイドローラ
5 頬杖支柱
51 係合部
6 頬杖支柱ガイドレール(レール軌道)
7 カウンターウェイト
70 移動梁
71 移動ガイドレール
RL 走行機構
R 走行車輪ユニット
L 走行レール
L1 分割レール
G 段差