(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074177
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】電力調整計画作成装置および電力調整計画作成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20230522BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186990
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
(72)【発明者】
【氏名】茶山 将慶
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】経済性が高い電力調整計画を作成可能な電力調整計画作成装置等を提供する。
【解決手段】電力調整計画作成装置100は、電力の小売を行う事業者が需要家に電力供給を行うときの電力の調整計画を作成する電力調整計画作成装置であって、電力取引市場と調整が必要な電力量を示す調整電力量を取得する調整電力量予測部120と、調整電力量を前日市場で取引するときの損益を示す前日市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する前日市場調整損益予測部と、調整電力量を当日市場で取引するときの損益を示す当日市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する当日市場調整損益予測部と、前日市場調整推定損益および当日市場調整推定損益をデマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて調整計画を作成する調整計画作成部170と、調整計画を出力する出力部180とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の小売を行う事業者が需要家に電力供給を行うときの電力の調整計画を作成する電力調整計画作成装置であって、
前日市場および当日市場を含む電力取引市場と調整が必要な電力量を示す調整電力量を取得する調整電力量取得部と、
前記調整電力量を前記前日市場で取引するときの損益を示す前日市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する前日市場調整損益取得部と、
前記調整電力量を前記当日市場で取引するときの損益を示す当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位で取得する当日市場調整損益取得部と、
前記前日市場調整推定損益および前記当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて前記調整計画を作成する調整計画作成部と、
前記調整計画を出力する出力部と、を備える
電力調整計画作成装置。
【請求項2】
前記需要家への過去の第1期間における販売電力の実績を示す販売電力量を取得する販売電力量取得部と、
前記第1期間の電力取引市場価格の実績を示す取引実績価格を取得する市場取引価格取得部と、
前記需要家への供給可能な電力量の計画値および前記需要家への電力の売電単価を記憶する記憶部と、
前記取引実績価格に含まれる第1価格に基づいて、前記前日市場で約定する前日市場取引予測単価を前記デマンド時限単位で予測する前日市場単価予測部と、
前記取引実績価格に含まれる第2価格に基づいて、将来の電力供給の対象となる第2期間の前記当日市場で約定する当日市場取引予測単価を前記デマンド時限単位で予測する当日市場単価予測部と、をさらに備え、
前記調整電力量取得部は、前記販売電力量および前記計画値に基づいて、前記第2期間における前記調整電力量を予測し、
前記前日市場調整損益取得部は、前記売電単価、前記前日市場取引予測単価および前記調整電力量に基づいて、前記前日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位で推定し、
前記当日市場調整損益取得部は、前記売電単価、前記当日市場取引予測単価および前記調整電力量に基づいて、前記当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位で推定する
請求項1に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項3】
前記電力取引市場に対して前記調整電力量の取引を行なわず、インバランスを発生させた場合の損失を示すインバランス推定損失を前記デマンド時限単位で取得するインバランス損失取得部をさらに備え、
前記調整計画作成部は、前記前日市場調整推定損益、前記当日市場調整推定損益および前記インバランス推定損失を比較した前記比較結果に基づいて前記調整計画を作成する
請求項2に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項4】
前記第2期間の供給予備率情報を取得する情報取得部と、
前記供給予備率情報に基づいて、前記第2期間におけるインバランス予測単価を予測するインバランス単価予測部と、をさらに備え
前記インバランス損失取得部は、前記インバランス予測単価および前記調整電力量に基づいて、前記インバランス推定損失を前記デマンド時限単位で推定する
請求項3に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項5】
前記第1期間および前記第2期間の気象情報を取得する気象情報取得部をさらに備え、
前記記憶部は、さらに、前記需要家の施設の地点情報および営業日情報の少なくとも一方を含む需要家情報を記憶し、
前記調整電力量取得部は、さらに、前記気象情報および前記需要家情報の少なくとも1つに基づいて、前記調整電力量を予測する
請求項4に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項6】
前日市場単価予測部は、さらに前記気象情報に基づいて、前記前日市場取引予測単価を予測し、
当日市場単価予測部は、さらに前記気象情報に基づいて、前記当日市場取引予測単価を予測する
請求項5に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項7】
前記インバランス単価予測部は、さらに、前記気象情報に基づいて、前記インバランス予測単価を予測する
請求項5または6に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項8】
前記出力部が前記調整計画を出力した後に、調整電力量、前日市場取引予測単価、当日市場取引予測単価およびインバランス予測単価の少なくとも1つの入力を受け付ける受付部をさらに備え、
前記調整計画作成部は、前記受付部が受け付けた前記少なくとも1つに基づいて、前記調整計画を更新する
請求項4から7のいずれか一項に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項9】
前記電力取引市場に対して前記調整電力量の取引を行なわず、インバランスを発生させた場合の損失を示すインバランス推定損失を前記デマンド時限単位で取得するインバランス損失取得部をさらに備え、
前記調整計画作成部は、前記前日市場調整推定損益、前記当日市場調整推定損益および前記インバランス推定損失を比較した前記比較結果に基づいて前記調整計画を作成する
請求項1に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項10】
前記調整計画作成部は、前記比較結果に基づいて前記事業者の損益が最大となる行動を含む前記調整計画を作成する
請求項1から9のいずれか一項に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項11】
前記電力取引市場に対して前記調整電力量を入札する市場入札部と、
前記市場入札部による前記電力取引市場への入札に関する入札情報を取得する入札情報取得部と、をさらに備える
請求項1から10のいずれか一項に記載の電力調整計画作成装置。
【請求項12】
電力の小売を行う事業者が需要家に電力供給を行うときの電力の調整計画を作成する電力調整計画作成方法であって、
前日市場および当日市場を含む電力取引市場と調整が必要な電力量を示す調整電力量を取得する第1取得ステップと、
前記調整電力量を前日市場で取引するときの損益を示す前日市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する第2取得ステップと、
前記調整電力量を当日市場で取引するときの損益を示す当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位で取得する第3取得ステップと、
前記前日市場調整推定損益および前記当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて前記調整計画を作成する作成ステップと、
前記調整計画を出力する出力ステップと、を含む
電力調整計画作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力調整計画作成装置および電力調整計画作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の小売全面自由化に伴い、電気の小売業に参入する民間企業(いわゆる小売電気事業者)が続々と現れている。このような小売電気事業者には、販売計画と実績値との差分であるインバランスが発生するとインバランス料金と呼ばれる料金の支払いが課されることがある。そこで、特許文献1には、需給計画の実行前にインバランス価格を予測する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、小売電気事業者は、例えば、需要家に電力供給を行う対象日の前日等に、当該対象日の電力調整計画を作成する。小売電気事業者の収益改善の観点から、小売電気事業者における経済性が高い電力調整計画が作成されることが望まれることがある。
【0005】
そこで、本発明は、経済性が高い電力調整計画を作成可能な電力調整計画作成装置および電力調整計画作成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電力調整計画作成装置は、電力の小売を行う事業者が需要家に電力供給を行うときの電力の調整計画を作成する電力調整計画作成装置であって、前日市場および当日市場を含む電力取引市場と調整が必要な電力量を示す調整電力量を取得する調整電力量取得部と、前記調整電力量を前記前日市場で取引するときの損益を示す前日市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する前日市場調整損益取得部と、前記調整電力量を前記当日市場で取引するときの損益を示す当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位で取得する当日市場調整損益取得部と、前記前日市場調整推定損益および前記当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて前記調整計画を作成する調整計画作成部と、前記調整計画を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る電力調整計画作成方法は、電力の小売を行う事業者が需要家に電力供給を行うときの電力の調整計画を作成する電力調整計画作成方法であって、前日市場および当日市場を含む電力取引市場と調整が必要な電力量を示す調整電力量を取得する第1取得ステップと、前記調整電力量を前日市場で取引するときの損益を示す前日市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する第2取得ステップと、前記調整電力量を当日市場で取引するときの損益を示す当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位で取得する第3取得ステップと、前記前日市場調整推定損益および前記当日市場調整推定損益を前記デマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて前記調整計画を作成する作成ステップと、前記調整計画を出力する出力ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、経済性が高い電力調整計画を作成可能な電力調整計画作成装置等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る電力調整計画提示システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る電力調整計画作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る提示部の表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る電力調整計画提示システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る電力調整計画作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態3に係る電力調整計画提示システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3に係る電力調整計画作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態4に係る電力調整計画提示システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態4に係る電力調整計画作成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明に至った経緯)
日本において2016年に電力小売の全面自由化が始まり、家庭、商店等のあらゆる需要家(消費者)が、電気の購入先、料金プランを自由に選択できるようになった。その結果、これまでは主に各エリアの電力会社(旧一般電気事業者)が電気を供給していたが、電力自由化を受けて新たに電気の小売業に参入する事業者、いわゆる「小売電気事業者(旧特定規模電気事業者)」が続々と現れている。小売電気事業者は、電力の小売供給を行う事業者の一例である。なお、電力の小売を行う事業者は、小売電気事業者に限定されない。
【0011】
電力小売の全面自由化に伴い、2016年より計画値同時同量制度が導入された。これにより、小売電気事業者には、電力の販売計画と販売実績とを常に(例えば、30分単位で)一致させることが義務付けられている。小売電気事業者における電力の需要量の計画値を含む販売計画と、電力の需要量の実績値を含む販売実績との差分であるインバランスが発生すると、小売電気事業者にはインバランス料金と呼ばれる料金の支払いが課されることがある。そのため、販売計画と販売実績との差を小さくすることは、小売電気事業者の収益にとって重要である。インバランス量を抑えることで小売電気事業者の電力の調達および調整のコストを削減することができるため、当該小売電気事業者の収益改善につながる。また、インバランス量を抑えることで電力系統における需給バランスの維持にもつながる。
【0012】
なお、30分は、所定の期間の一例である。所定の期間は、デマンド時限(需要時限)単位の期間であり、例えば、30分であるがこれに限定されない。また、販売計画の作成方法は、特に限定されず、既存のいかなる方法が用いられてもよい。販売は供給とも称され、販売計画は需要計画または販売電力量計画とも称される。
【0013】
このような小売電気事業者のおおまかな業務フローについて説明する。まずは、需要家に電力を販売する前日の業務フローについて説明する。
【0014】
小売電気事業者は、必要に応じて、一般送配電事業者(旧一般電気事業者の送配電部門)から翌日のFIT(Feed-in Tariff)発電計画値の情報を取得する。発電計画値は、例えば、30分単位の計画値であってもよい。また、小売電気事業者は、必要に応じて、契約している需要家の需要量(電力需要量)の予測値に基づいて、翌日の販売計画を策定する。販売計画は、例えば、翌日(当日)の30分単位の48コマの需要量を含む。
【0015】
小売電気事業者は、販売計画と例えば発電事業者から直接調達する電力量とに基づいて、翌日の電力の不足分があるか否かを判定し、不足している場合には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)における卸電力取引市場(いわゆるスポット市場)から入札により電力の不足分を調達する。発電事業者は、自ら発電設備(発電用の電気工作物)を維持・運用し、小売電気事業等の用に供するための電気を発電する事業者である。なお、小売電気事業者が発電設備を保有している場合、すなわち、例えば、発電事業と小売電気事業とを兼業している場合、小売電気事業者は、販売計画と当該発電設備による発電量(発電予測量)とに基づいて、翌日の電力の不足分があるか否かを判定するようにしてもよい。また、スポット市場は前日市場の一例であり、時間前市場は当日市場の一例である。
【0016】
そして、小売電気事業者は、卸電力取引市場からの調達分を含めて、最終的な翌日の販売計画を策定し、策定した販売計画を電力広域的運営推進機関(OCCTO)に提出する。最終的な翌日の販売計画を当初の販売計画とも記載する。電力広域的運営推進機関は、長期方針・広域系統整備計画の策定、系統アクセス業務の審査等を行う機関である。
【0017】
電力の取引価格には、発電事業者と小売電気事業者との間の取引価格と、スポット市場から調達するときの取引価格とがある。発電事業者と小売電気事業者との間の取引価格は、発電事業者と小売電気事業者との間の相対契約において取り決められている。
【0018】
また、スポット市場から調達するときの取引価格は、例えば、スポット市場での約定価格であり、前日の午前10時過ぎに決定される。例えば、約定価格、すなわち卸電力取引市場の市場価格にはシステムプライス(全国大の売り入札曲線と買い入札曲線の交点の価格)とエリアごとのエリアプライス(連系線容量の制約により、エリアごとに約定価格を算出する場合の価格)とがあるが、取引価格はどちらのプライスであってもよい。当該取引価格は、卸電力取引市場を介した1以上の小売電気事業者と1以上の発電事業者との取引に基づく電力の価格であるとも言える。なお、電力が不足するケースについて説明したが、小売電気事業者は、販売計画と例えば発電事業者から直接調達する電力量とに基づいて、翌日の電力の余剰分がある場合には、スポット市場に売り手として入札し取引してもよい。
【0019】
なお、発電事業者と小売電気事業者との間の取引価格、および、スポット市場から調達するときの取引価格の少なくとも一方は、販売電力量計画に基づく電力の取引価格の一例である。
【0020】
なお、上記では、JEPXにおけるスポット市場から電力を調達する例について説明したが、JEPXにおけるスポット市場であることに限定されず、卸電力取引市場であればよい。
【0021】
次に、需要家に電力を供給する当日の業務フローについて説明する。
【0022】
小売電気事業者は、前日に策定した販売計画通りの電力の販売ができているか監視(いわゆる同時同量達成の監視)を行う。小売電気事業者は、当日に電力が不足する場合、JEPXにおける卸電力取引市場(いわゆる時間前市場)への入札により当日に発生した電力の不足分を調達し、必要に応じて販売計画の再計画を行って電力広域的運営推進機関に提出する。再計画は、例えば、前日に策定した販売計画と当日の販売とが大きく乖離する場合等に行われる。なお、余剰分がある場合には、スポット市場と同様、時間前市場に売り手として入札し取引してもよい。また、時間前市場は当日市場の一例であり、時間前市場における電力の取引価格は、卸電力取引市場の市場価格の一例である。
【0023】
小売電気事業者は、上記でも説明したように前日に当初の販売計画を作成する必要がある。小売電気事業者は、販売計画と例えば発電事業者から直接調達する電力量とに基づいて、翌日の電力が不足している場合には、スポット市場または翌日の時間前市場から不足分の電力調達をするように当初の販売計画を作成する。スポット市場取引単価と時間前市場取引単価とが大きく異なる場合、最適な当初の販売計画からのズレが生じるので、小売電気事業者の収益性が低下する恐れがある。また、市場価格がインバランス価格以上に高騰した場合にも、最適な当初の販売計画からのズレが生じるので、小売電気事業者の収益性が低下する恐れがある。そのため、小売電気事業者にける収益改善の観点から、当初の販売計画を作成する上で、スポット市場取引単価および時間前市場取引単価を考慮し、翌日の電力不足分を調達するための経済性の高い電力調達計画が作成されることが望まれる。なお、上記では電力が不足するケースについて説明したが、計画値に対して電力の余剰が発生する場合も余剰分を引き渡してインバランスの発生を抑制することになる。小売電気事業者は、余剰分を卸電力取引市場に売却することを含む事前計画を作成する。
【0024】
そこで、本願発明者らは、経済性が高い電力調整計画を作成可能な電力調整計画作成装置および電力調整計画作成方法について鋭意検討を行い、以下で説明する電力調整計画作成装置および電力調整計画作成方法を創案した。なお、以下では、電力調整計画を単に調整計画と記載する。
【0025】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0027】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0028】
また、本明細書において、同じ、一致等の要素間の関係性を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(例えば、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0029】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
【0030】
[1-1.電力調整損計画提示システムの構成]
まず、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置を備える電力調整計画提示システムの構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る電力調整計画提示システム1の構成を示す機能ブロック図である。
【0031】
図1に示すように、電力調整計画提示システム1は、電力調整計画作成装置100と、提示部300とを備える。電力調整計画作成装置100と、提示部300との通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0032】
電力調整計画作成装置100は、小売電気事業者が需要家に電力供給を行うときの調整計画を作成する。電力調整計画作成装置100は、販売計画と発電事業者から調達する電力量とに基づいて翌日の電力が不足している場合に、不足分の電力を調達するための調整計画を作成する。小売電気事業者は、需要家に電力供給を行う事業者である。なお、小売電気事業者が発電設備(例えば、発電所)を保有している場合、電力調整計画作成装置100は、販売計画と当該発電設備による発電量(発電予測量)とに基づいて、調整計画を作成してもよい。小売電気事業者と発電事業者とは、同一の事業者であってもよい。
【0033】
なお、需要家は、小売電気事業者と電力に関する契約を行い、小売電気事業者から電力を購入する消費者である。需要家の施設は、例えば、住居であるがこれに限定されず、工場、マンション、ビル、病院、学校等の、少なくとも負荷が配置される建物であってもよい。なお、以下では、需要家に電力を供給する対象となる日(例えば、翌日)を当日とし、当該当日の前の日を前日と記載する場合がある。
【0034】
電力調整計画作成装置100は、販売電力量取得部110aと、気象情報取得部110bと、市場取引価格取得部110cと、調整電力量予測部120と、スポット市場単価予測部130と、時間前市場単価予測部140と、スポット市場調整損益推定部150と、時間前市場調整損益推定部160と、調整計画作成部170と、出力部180と、各種テーブルを記憶する記憶部(図示しない)とを備える。電力調整計画作成装置100は、プロセッサ、メモリ等を含むコンピュータまたはスマートフォンにより実現される。具体的には、電力調整計画作成装置100は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムに従って動作することにより、販売電力量取得部110a、気象情報取得部110b、市場取引価格取得部110c、調整電力量予測部120、スポット市場単価予測部130、時間前市場単価予測部140、スポット市場調整損益推定部150、時間前市場調整損益推定部160、調整計画作成部170および出力部180として機能する。電力調整計画作成装置100は、例えば、小売電気事業者が有するサーバ装置等により実現されてもよい。
【0035】
販売電力量取得部110aは、1以上の需要家への過去の第1期間の電力量の販売実績を示す販売電力量(販売電力量実績値)を取得する。販売電力量取得部110aは、例えば、一般送配電事業者または需要家に設置された計量器から直接、販売電力量を取得してもよいし、販売電力量を管理するサーバ装置から販売電力量を取得してもよいし、自装置の記憶部に販売電力量が記憶されている場合、記憶部から読み出すことで販売電力量を取得してもよい。なお、販売電力量は、小売電気事業者が契約している需要家に第1期間に販売(供給)した総電力量の実績値である。また、販売電力量は、例えば、デマンド時限単位ごとに取得される。
【0036】
気象情報取得部110bは、第1期間および将来の電力供給対象となる第2期間の気象情報を取得する。気象情報は、第1期間における3時間ごとの気象実績と、第2期間における3時間ごとの気象予報とを含んでいてもよい。つまり、気象情報は、3時間ごとの情報であってもよい。なお、気象情報は3時間ごとの情報であることに限定されない。
【0037】
なお、気象情報取得部110bは、例えば、気象情報配信会社等から気象情報を取得してもよい。気象情報取得部110bは、例えば、気象情報を管理するサーバ装置(例えば、気象庁または気象情報を提供する民間企業等が管理するサーバ装置)から第1期間および第2期間の気象情報を取得してもよい。また、第1期間は特に限定されず、例えば、第2期間から数日、数週間、数ヶ月または数年前の期間であってもよい。
【0038】
気象情報には、温湿度、天気(晴れ、曇り、雨、雪等)、日射量等が含まれるが、これに限定されない。また、ここでの第2期間の気象情報は、スポット市場に入札する前に取得される(予報される)情報を含む。つまり、ここでの気象情報は、前日において、販売計画を電力広域的運営推進機関に提出する前に取得される情報である。ここでの第2期間の気象情報は、電力広域的運営推進機関に提出するための販売計画を策定するときに用いられる気象情報である。
【0039】
また、気象情報取得部110bは、気象情報に替えて、または、気象情報に加えてイベント情報を取得してもよい。イベント情報は、当日に行われるイベントの内容(祭り、コンサート等)と、当該イベントが行われる時間帯とを含む。また、イベント情報は、祝祭日等のカレンダー情報を含んでいてもよい。例えば、需要家が工場またはオフィスビルである場合、カレンダー情報には、稼働日、営業日および休業日を示す情報が含まれる。ここで、取得する気象情報またはイベント情報は、少なくとも小売電気事業者が契約している需要家が存在するエリアに紐づく気象情報またはイベント情報となる。
【0040】
市場取引価格取得部110cは、第1期間の卸電力取引市場価格の実績を示す取引実績価格を取得する。取引実績価格は、卸電力取引市場の市場取引における価格であり、小売電気事業者が卸電力取引市場で電力を取引したときの価格(例えば、単価)を含む。取引実績価格は、例えば、需要家に電力を供給するために第1期間にスポット市場で電力を取引したときの実績(スポット市場取引実績価格)と、第1期間に需要家に電力を供給するために時間前市場で電力を取引したときの実績(時間前市場取引実績価格)とを含む。スポット市場取引実績価格と時間前市場取引実績価格とは、同一期間の実績であってもよいし、互いに異なる期間の実績であってもよい。市場取引価格取得部110cは、卸電力取引市場を管理するサーバ装置等から取引実績価格を取得する。スポット市場取引実績価格は第1価格の一例であり、時間前市場取引実績価格は第2価格の一例である。また、スポット市場取引実績価格は、例えば、スポット市場から電力を調達したときの実績と、スポット市場に電力を売却したときの実績との少なくとも一方を含み、時間前市場取引実績価格は、例えば、時間前市場から電力を調達したときの実績と、時間前市場に電力を売却したときの実績との少なくとも一方を含む。
【0041】
販売電力量取得部110a、気象情報取得部110bおよび市場取引価格取得部110cは、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。なお、販売電力量取得部110a、気象情報取得部110bおよび市場取引価格取得部110cの少なくとも1つは、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成され、小売電気事業者の管理者等からの入力により各種情報を取得してもよい。また、販売電力量取得部110a、気象情報取得部110bおよび市場取引価格取得部110cは、1つの装置として実現されてもよいし、互いに異なる装置として実現されてもよい。
【0042】
調整電力量予測部120は、卸電力取引市場と取引が必要な電力量を示す調整電力量を取得する。本実施の形態では、調整電力量予測部120は、販売電力量、気象情報、需要家マスターテーブルおよび計画値に基づいて、第2期間における卸電力取引市場で取引が必要な電力量を示す調整電力量を予測することで調整電力量を取得する。まず、調整電力量予測部120は、販売電力量、気象情報および需要家マスターテーブルに基づいて、第2期間の電力需要量を予測する。調整電力量予測部120は、例えば、第2期間の気象予報と同じ気象実績のときの1以上の販売電力量に基づいて、基本電力需要量を算出する。基本電力需要量は、1以上の販売電力量の平均値、中央値、最頻値、最大値または最小値のいずれかであってもよい。そして、調整電力量予測部120は、基本電力需要量に需要家マスターテーブルに応じた演算を行うことで第2期間の電力需要量を算出する。需要家マスターテーブルに応じた演算とは、例えば、当日需要家が休業日等であり電力消費量が減る見込みである場合、基本電力需要量から所定の電力量を減らすまたは係数を小さくして電力需要量を算出し、当日がイベント日等であり電力消費量が増える見込みである場合、基本電力需要量から所定の電力量を増やすまたは係数を大きくして電力需要量を算出してもよい。
【0043】
なお、電力需要量の算出方法は、これに限定されず、既存のいなかる算出方法が用いられてもよい。例えば、調整電力量予測部120は、少なくとも販売電力量に基づいて電力需要量を予測すればよく、気象情報および需要家マスターテーブルの少なくとも一方を用いなくてもよい。この場合、調整電力量予測部120は、第1期間の販売電力量の平均値、中央値、最頻値、最大値または最小値を第2期間の電力需要量として予測してもよい。第1期間は第2期間と属性が同じ期間を含んでいてもよく、第1期間と第2期間とは、例えば、季節、曜日、気象情報が同じ期間であってもよい。
【0044】
そして、調整電力量予測部120は、第2期間の電力需要量と第2期間の計画値とに基づいて第2期間における調整電力量を予測する。調整電力量予測部120は、例えば、電力需要量と計画値との差分を調整電力量として算出してもよい。調整電力量予測部120は、例えば、電力需要量から計画値を減算した値がプラスである場合、当該値を不足分の電力量として算出してもよい。また、調整電力量予測部120は、電力需要量から計画値を減算した値がマイナスである場合、当該値の絶対値を余剰分の電力量として算出してもよい。このように、調整電力量予測部120は、電力の不足が予測される場合、卸電力取引市場から調達する電力量(調整電力量の一例)を予測し、電力の余剰が予測される場合、卸電力取引市場に売却する電力量(調整電力量の一例)を予測してもよい。
【0045】
調整電力量予測部120は、前日のスポット市場の入札開始前に調整電力量を予測する。調整電力量予測部120は、デマンド時限単位のそれぞれで調整電力量を予測する。このように、調整電力量予測部120は、第2期間の電力需要量を予測することで当該電力需要量を取得する調整電力量取得部として機能する。
【0046】
また、調整電力量予測部120は、予測誤差を含む電力量を調整電力量として予測してもよい。調整電力量予測部120は、例えば、販売電力量のばらつき、気象情報のばらつき、または、需要家の情報に基づいて、調整電力量の誤差を算出してもよい。このように、調整電力量予測部120は、調整電力量の上限値および下限値を含む調整電力量の範囲を予測してもよい。
【0047】
スポット市場単価予測部130は、取引実績価格(スポット市場取引実績価格)に基づいて、当日(第2期間)にスポット市場で約定するスポット市場取引予測単価をデマンド時限単位で予測する。スポット市場単価予測部130は、例えば、スポット市場における取引予測単価を予測する。スポット市場単価予測部130は、例えば、第1期間の取引実績価格の平均値、中央値、最頻値、最大値または最小値を第2期間の取引予測単価として予測してもよい。
【0048】
スポット市場単価予測部130は、取引実績価格および気象情報に基づいて、当日(第2期間)にスポット市場で約定するスポット市場取引予測単価をデマンド時限単位で予測してもよい。スポット市場単価予測部130は、第1期間および第2期間の気象情報と、当該第1期間のスポット市場取引実績価格とに基づいて、第2期間のスポット市場取引予測単価を算出する。また、スポット市場単価予測部130は、推定誤差を含む価格をスポット市場取引実績価格として算出してもよい。スポット市場単価予測部130は、例えば、スポット市場取引実績価格のばらつきに基づいて、スポット市場取引予測単価の推定誤差を算出してもよい。このように、スポット市場単価予測部130は、スポット市場取引実績価格の上限値および下限値を含むスポット市場取引実績価格の範囲を予測してもよい。
【0049】
なお、スポット市場単価予測部130は、全国大で同一のスポット市場取引実績価格を算出してもよいし、エリアごとに同一のスポット市場取引実績価格を算出してもよい。スポット市場単価予測部130は、前日市場単価予測部の一例であり、スポット市場取引予測単価は、前日市場取引予測単価の一例である。
【0050】
時間前市場単価予測部140は、取引実績価格(時間前市場取引実績価格)に基づいて、当日(第2期間)に時間前市場で約定する時間前市場取引予測単価をデマンド時限単位で予測する。時間前市場単価予測部140は、例えば、時間前市場における取引予測単価を予測する。時間前市場単価予測部140は、例えば、第1期間の取引実績価格の平均値、中央値、最頻値、最大値または最小値を第2期間の取引予測単価として予測してもよい。
【0051】
時間前市場単価予測部140は、取引実績価格(時間前市場取引実績価格)および気象情報に基づいて、当日(第2期間)に時間前市場で約定する時間前市場取引予測単価をデマンド時限単位で予測する。時間前市場単価予測部140は、第1期間および第2期間の気象情報と、当該第1期間の時間前市場取引実績価格とに基づいて、第2期間の時間前市場取引予測単価を算出する。また、時間前市場単価予測部140は、推定誤差を含む価格を時間前市場取引予測単価として算出してもよい。時間前市場単価予測部140は、例えば、時間前市場取引実績価格のばらつきに基づいて、時間前市場取引予測単価の推定誤差を算出してもよい。このように、時間前市場単価予測部140は、時間前市場取引予測単価の上限値および下限値を含む時間前市場取引予測単価の範囲を予測してもよい。
【0052】
なお、時間前市場単価予測部140は、全国大で同一の時間前市場取引実績価格を算出してもよいし、エリアごとに同一の時間前市場取引実績価格を算出してもよい。時間前市場単価予測部140は、当日市場単価予測部の一例であり、時間前市場取引実績価格は、当日市場取引予測単価の一例である。
【0053】
スポット市場調整損益推定部150は、調整電力量をスポット市場で取引するときの損益を示すスポット市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する。スポット市場調整損益推定部150は、調整電力量が電力の不足が発生することを含む場合、調整電力量をスポット市場から調達するときの損益を示すスポット市場調達推定損益をデマンド時限単位で取得する。スポット市場調整損益推定部150は、例えば、調整電力量の全てをスポット市場から調達するときのスポット市場調達推定損益を取得する。本実施の形態では、スポット市場調整損益推定部150は、調整電力量、売電単価および取引予測単価(スポット市場取引予測価格)に基づいて、前日における市場調達分の損益を示すスポット市場調達推定損益を推定する。市場調達分とは、調整電力量であってもよい。このように、スポット市場調整損益推定部150は、スポット市場調達推定損益を推定することで当該スポット市場調達推定損益を取得するスポット市場調整損益取得部として機能する。
【0054】
スポット市場調整損益推定部150は、例えば、以下の(式1)に基づいて市場調達分の損益を算出することで、スポット市場調達推定損益を推定する。スポット市場調整損益推定部150は、(式1)を用いてデマンド時限単位ごとにスポット市場調達推定損益を算出する。スポット市場調整損益推定部150は、例えば、調整電力量が電力の不足が発生することを含む場合、当該電力の不足が発生する時間帯(例えば、後述する
図3に示す時間帯「0:00-0:30」)の損益を以下の(式1)を用いて算出する。
【0055】
スポット市場調達推定損益=調整電力量×(売電単価-スポット市場取引予測価格) ・・・(式1)
【0056】
スポット市場調整損益推定部150は、調整電力量に対する小売電気事業者の損益を算出するとも言える。当該損益は、利益または損失である。例えば、スポット市場取引予測価格が売電単価を上回る場合、損失が発生し得る。
【0057】
また、スポット市場調整損益推定部150は、調整電力量が電力の余剰が発生することを含む場合、調整電力量をスポット市場に売却するときの損益を示すスポット市場売却推定損益をデマンド時限単位で取得する。スポット市場調整損益推定部150は、例えば、調整電力量の全てをスポット市場に売却するときのスポット市場売却推定損益を取得する。本実施の形態では、スポット市場調整損益推定部150は、調整電力量および取引予測単価(スポット市場取引予測価格)に基づいて、第2期間における余剰分に関する損益を示すスポット市場売却推定損益(スポット市場売却推定利益)を推定する。スポット市場調整損益推定部150は、例えば、以下の(式2)に基づいて、余剰分をスポット市場で売却したときの利益を算出することで、スポット市場売却推定損益を推定する。スポット市場調整損益推定部150は、例えば、調整電力量が電力の余剰が発生することを含む場合、当該電力の余剰が発生する時間帯(例えば、
図3に示す時間帯「0:30-1:00」)の損益を以下の(式2)を用いて算出する。
【0058】
スポット市場売却推定損益=調整電力量×スポット市場取引予測単価・・・(式2)
【0059】
なお、スポット市場において余剰分の買い手がつかないことも考えられるので、スポット市場調整損益推定部150は、スポット市場売却推定損益を一律に0としてもよい。
【0060】
スポット市場調整損益推定部150は、例えば、調整電力量に基づいて、所定の期間ごとに(式1)および(式2)のいずれの算出式を用いて当該所定の期間の損益を算出するかを判定し、判定された算出式を用いて当該所定の期間の損益を推定する。
【0061】
スポット市場調整損益推定部150は、前日市場調整損益推定部の一例であり、スポット市場調達推定損益およびスポット市場売却推定損益は、スポット市場調整推定損益の一例である。スポット市場調整推定損益は、例えば、所定の期間ごとに推定される。なお、スポット市場調整損益推定部150は、スポット市場調達推定損益およびスポット市場売却推定損益の少なくとも一方を推定すればよい。スポット市場調整推定損益には、スポット市場調達推定損益およびスポット市場売却推定損益の少なくとも一方が含まれていればよい。また、スポット市場調整推定損益は、前日市場調整推定損益の一例である。
【0062】
なお、スポット市場調整損益推定部150は、例えば、調整電力量およびスポット市場取引予測価格の少なくとも1つが推定誤差を含む場合、誤差を含むスポット市場調整推定損益を推定してもよい。スポット市場調整損益推定部150は、スポット市場調整推定損益の上限値および下限値を含むスポット市場調整推定損益の範囲を推定してもよい。
【0063】
時間前市場調整損益推定部160は、調整電力量を時間前市場で取引するときの損益を示す時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する。時間前市場調整損益推定部160は、調整電力量が電力の不足が発生することを含む場合、調整電力量を時間前市場から調達するときの損益を示す時間前市場調達推定損益をデマンド時限単位で取得する。時間前市場調整損益推定部160は、例えば、調整電力量の全てを時間前市場から調達するときの時間前市場調達推定損益を取得する。本実施の形態では、時間前市場調整損益推定部160は、調整電力量、売電単価および取引予測単価(時間前市場取引予測価格)に基づいて、当日(第2期間)における市場調達分の損益を示す時間前市場調達推定損益を推定する。市場調達分とは、調整電力量であってもよい。このように、時間前市場調整損益推定部160は、時間前市場調達推定損益を推定することで当該時間前市場調達推定損益を取得する時間前市場調整損益取得部として機能する。
【0064】
時間前市場調整損益推定部160は、例えば、以下の(式3)に基づいて市場調達分の損益を算出することで、時間前市場調達推定損益を推定する。時間前市場調整損益推定部160は、(式3)を用いてデマンド時限単位ごとに時間前市場調達推定損益を算出する。時間前市場調整損益推定部160は、例えば、調整電力量が電力の不足が発生することを含む場合、当該電力の不足が発生する時間帯(例えば、
図3に示す時間帯「1:00-1:30」)の損益を以下の(式3)を用いて算出する。
【0065】
時間前市場調達推定損益=調整電力量×(売電単価-時間前市場取引予測価格) ・・・(式3)
【0066】
時間前市場調整損益推定部160は、調整電力量に対する小売電気事業者の損益を算出するとも言える。当該損益は、利益または損失である。例えば、時間前市場取引予測価格が売電単価を上回る場合、損失が発生し得る。
【0067】
また、時間前市場調整損益推定部160は、調整電力量が電力の余剰が発生することを含む場合、調整電力量を時間前市場に売却するときの損益を示す時間前市場売却推定損益をデマンド時限単位で取得する。時間前市場調整損益推定部160は、例えば、調整電力量の全てを時間前市場に売却するときの時間前市場売却推定損益を取得する。本実施の形態では、時間前市場調整損益推定部160は、調整電力量および取引予測単価(時間前市場取引予測価格)に基づいて、第2期間における余剰分に関する損益を示す時間前市場売却推定損益(時間前市場売却推定利益)を推定する。時間前市場調整損益推定部160は、例えば、以下の(式4)に基づいて、余剰分を時間前市場で売却したときの利益を算出することで、時間前市場売却推定損益を推定する。時間前市場調整損益推定部160は、例えば、調整電力量が電力の余剰が発生することを含む場合、当該電力の余剰が発生する時間帯の損益を以下の(式4)を用いて算出する。
【0068】
時間前市場売却推定損益=調整電力量×時間前市場取引予測単価 ・・・(式4)
【0069】
なお、時間前市場において余剰分の買い手がつかないことも考えられるので、時間前市場調整損益推定部160は、時間前市場売却推定損益を一律に0としてもよい。
【0070】
時間前市場調整損益推定部160は、例えば、調整電力量に基づいて、所定の期間ごとに(式3)および(式4)のいずれの算出式を用いて当該所定の期間の損益を算出するかを判定し、判定された算出式を用いて当該所定の期間の損益を推定する。
【0071】
時間前市場調整損益推定部160は、当日市場調整損益推定部の一例であり、時間前市場調達推定損益および時間前市場売却推定損益は、時間前市場調整推定損益の一例である。時間前市場調整推定損益は、例えば、所定の期間ごとに推定される。なお、時間前市場調整損益推定部160は、時間前市場調達推定損益および時間前市場売却推定損益の少なくとも一方を推定すればよい。時間前市場調整推定損益には、時間前市場調達推定損益および時間前市場売却推定損益の少なくとも一方が含まれていればよい。また、時間前市場調整推定損益は、当日市場調整推定損益の一例である。
【0072】
なお、時間前市場調整損益推定部160は、例えば、調整電力量および時間前市場取引予測価格の少なくとも1つが推定誤差を含む場合、誤差を含む時間前市場調整推定損益を推定してもよい。時間前市場調整損益推定部160は、時間前市場調整推定損益の上限値および下限値を含む時間前市場調整推定損益の範囲を推定してもよい。
【0073】
調整計画作成部170は、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて調整計画を作成する。調整計画作成部170は、例えば、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益のデマンド時限単位での比較結果に基づいて、小売電気事業者の収益が最大となる行動を含む調整計画を作成する。調整計画作成部170は、例えば、デマンド時限単位で、スポット市場および時間前市場での推定損益を比較し、収益を最大化する行動を行うように調整計画を作成してもよい。調整計画作成部170は、比較結果に基づいて調整計画を決定するとも言える。
【0074】
また、調整計画作成部170は、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益が推定誤差を含む範囲である場合、スポット市場調整推定損益の範囲および時間前市場調整推定損益の範囲が少なくとも一部において重なるとき、推定誤差の小さい損益に応じた行動を含む調整計画を作成してもよい。なお、ここでの行動とは、調整電力量をスポット市場で取引するか、時間前市場で取引するかのいずれかを含む。
【0075】
調整計画作成部170は、上記のように、デマンド時限単位のそれぞれにおいて、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益の大小を比較し、利益が大きいほうの市場で調整電力量を取引するように調整計画を作成する。また、調整計画作成部170は、デマンド時限単位のそれぞれにおける比較結果に基づいて、デマンド時限単位のそれぞれの行動を含む調整計画を作成してもよい。
【0076】
出力部180は、調整計画作成部170が作成した調整計画を含む情報を提示部300に出力する。出力部180は、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。調整計画を含む情報は、例えば、デマンド時限単位のそれぞれにおける、調整先および調整量(調整電力量)を含むが、さらにスポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益を含んでいてもよい。
【0077】
記憶部は、需要家マスターテーブル191、供給能力テーブル192および売電単価テーブル193を記憶する記憶装置である。需要家マスターテーブル191、供給能力テーブル192および売電単価テーブル193は、1つの記憶装置に記憶されていてもよいし、互いに異なる記憶装置に記憶されていてもよい。記憶部は、HDD(Hard Disk Drive)または不揮発性の半導体メモリ等により実現されるが、これに限定されない。
【0078】
需要家マスターテーブル191には、需要家の施設の地点情報、カレンダー情報等の需要家に固有の情報が登録されている。地点情報は、例えば、需要家の施設の緯度および経度を含み、カレンダー情報は、第1期間および第2期間の少なくとも一方における、需要家の施設の営業日、イベント等の情報を含む。需要家マスターテーブル191は、需要家情報の一例である。
【0079】
なお、稼働日、営業日および休業日等のカレンダー情報は、需要家情報に含まれていてもよいし、気象情報取得部110bを介して外部から取得されてもよい。また、需要家マスターテーブル191は、気象情報取得部110bを介して外部から取得されたカレンダー情報に基づいて更新されてもよい。
【0080】
供給能力テーブル192には、第2期間に小売電気事業者から需要家への供給可能な電力量の計画値(供給計画量とも記載する)が登録されている。供給能力テーブル192は、例えば、前日以前に登録される。供給能力テーブル192には、例えば、第2期間における所定の期間ごと(例えば、デマンド時限単位ごと)の計画値が含まれる。供給計画量は、小売電気事業者が発電事業者から相対契約で購入する電力量、または、小売電気事業者が発電設備(例えば、発電所)を所有する場合は当該小売電気事業者内の発電設備から引き込む予定の電力量を意味してもよい。
【0081】
売電単価テーブル193には、小売電気事業者から需要家への売電時の売電単価が登録されている。売電単価は、例えば、小売電気事業者と需要家との間の契約等により予め設定されている。
【0082】
提示部300は、電力調整計画作成装置100からの小売電気事業者の調整計画を含む情報を小売電気事業者の管理者等に提示する。提示部300は、例えば、液晶ディスプレイ装置等の表示装置であり画像により当該情報を提示するが、音声等により当該情報を提示してもよい。提示部300は、据え置き型の装置により実現されてもよいし、小売電気事業者の管理者等が所持する携帯端末が備える表示部等により実現されてもよい。提示部300は、例えば、電力調整計画作成装置100から遠隔地に設けられるが、これに限定されない。
【0083】
[1-2.電力調整計画作成装置の動作]
続いて、上記のように構成される電力調整計画作成装置100の動作(電力調整計画作成方法)について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置100の動作を示すフローチャートである。
図2に示す動作は、例えば、翌日分(第2期間分)の調整電力量の調整のためにスポット市場に入札する前に実行される。なお、
図2では、スポット市場調整推定損益のうちスポット市場調達推定損益のみを推定し、時間前市場調整推定損益のうち時間前市場調達推定損益のみを推定する場合の動作例を示している。
【0084】
図2に示すように、電力調整計画作成装置100は、販売電力量、気象情報および取引実績価格を取得する(S101)。具体的には、販売電力量取得部110aは第1期間の販売電力量を取得し、気象情報取得部110bは第1期間および第2期間の気象情報を取得し、市場取引価格取得部110cは第1期間のスポット市場取引実績価格および時間前市場取引実績価格を取得する。販売電力量取得部110a、気象情報取得部110bおよび市場取引価格取得部110cが各種情報を取得するタイミングおよび順序は特に限定されない。また、販売電力量が取得される第1期間と、取引実績価格が取得される第1期間とは、同一の期間であってもよいし、互いに異なる期間であってもよい。
【0085】
販売電力量取得部110aは、販売電力量を調整電力量予測部120に出力する。気象情報取得部110bは、気象情報を少なくともスポット市場単価予測部130および時間前市場単価予測部140に出力し、本実施の形態では、さらに調整電力量予測部120にも出力する。市場取引価格取得部110cは、スポット市場取引実績価格をスポット市場単価予測部130に出力し、時間前市場取引実績価格を時間前市場単価予測部140に出力する。
【0086】
次に、調整電力量予測部120は、少なくとも販売電力量に基づいて、第2期間の電力需要量を予測し、予測した電力需要量と計画値(供給計画量)とに基づいて、第2期間における電力の調整電力量を予測する(S102)。なお、以降では、ステップS102において電力が不足することを含む調整電力量が予測された場合の処理を主に説明する。
【0087】
調整電力量予測部120は、予測した調整電力量をスポット市場調整損益推定部150および時間前市場調整損益推定部160に出力する。また、調整電力量予測部120は、予測した調整電力量を出力部180に出力してもよい。ステップS102は、第1取得ステップの一例である。
【0088】
次に、スポット市場単価予測部130は、スポット市場取引実績価格および気象情報に基づいて、前日にスポット市場で約定するスポット市場取引予測単価をデマンド時限単位で予測する(S103)。スポット市場単価予測部130は、予測したスポット市場取引予測単価をスポット市場調整損益推定部150に出力する。また、スポット市場単価予測部130は、予測したスポット市場取引予測単価を出力部180に出力してもよい。
【0089】
次に、スポット市場調整損益推定部150は、調整電力量、売電単価およびスポット市場取引予測価格に基づいて、スポット市場調達推定損益を推定する(S104)。スポット市場調整損益推定部150は、例えば、(式1)を用いてスポット市場調達推定損益をデマンド時限単位で推定する。スポット市場調整損益推定部150は、推定したスポット市場調達推定損益を調整計画作成部170に出力する。また、スポット市場調整損益推定部150は、推定したスポット市場調達推定損益を出力部180に出力してもよい。ステップS104は、第2取得ステップの一例である。
【0090】
なお、スポット市場売却推定損益が推定される場合、スポット市場調整損益推定部150は、ステップS104において、調整電力量および取引予測単価に基づいて、余剰分をスポット市場に売却した場合のスポット市場売却推定損益を推定する。スポット市場調整損益推定部150は、例えば、上記の(式2)に基づいて、スポット市場売却推定損益をデマンド時限単位で推定する。この場合、スポット市場調整損益推定部150は、デマンド時限単位ごとにスポット市場調達推定損益およびスポット市場売却推定損益のいずれかを含むスポット市場調整推定損益を調整計画作成部170に出力する。
【0091】
次に、時間前市場単価予測部140は、時間前市場取引実績価格および気象情報に基づいて、当日(第2期間)に時間前市場で約定する時間前市場取引予測単価をデマンド時限単位で予測する(S105)。時間前市場単価予測部140は、予測した時間前市場取引予測単価を時間前市場調整損益推定部160に出力する。また、時間前市場単価予測部140は、予測した時間前市場取引予測単価を出力部180に出力してもよい。
【0092】
次に、時間前市場調整損益推定部160は、調整電力量、売電単価および時間前市場取引予測価格に基づいて、時間前市場調達推定損益を推定する(S106)。時間前市場調整損益推定部160は、例えば、(式3)を用いて時間前市場調達推定損益をデマンド時限単位で推定する。時間前市場調整損益推定部160は、推定した時間前市場調達推定損益を調整計画作成部170に出力する。また、時間前市場調整損益推定部160は、推定した時間前市場調達推定損益を出力部180に出力してもよい。ステップS106は、第3取得ステップの一例である。
【0093】
なお、時間前市場売却推定損益が推定される場合、時間前市場調整損益推定部160は、ステップS106において、調整電力量および取引予測単価に基づいて、余剰分を時間前市場に売却した場合の時間前市場売却推定損益を推定する。時間前市場調整損益推定部160は、例えば、上記の(式4)に基づいて、時間前市場売却推定損益をデマンド時限単位で推定する。この場合、時間前市場調整損益推定部160は、デマンド時限単位ごとに時間前市場調達推定損益および時間前市場売却推定損益のいずれかを含む時間前市場調整推定損益を調整計画作成部170に出力する。
【0094】
次に、調整計画作成部170は、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて調整計画を作成する(S107)。調整計画作成部170は、比較結果に基づいてデマンド時限単位のそれぞれで調整電力量をスポット市場で取引するか、時間前市場で取引するかを判定した結果を含む調整計画を作成する。調整計画作成部170は、作成した調整計画を出力部180に出力する。ステップS107は、作成ステップの一例である。
【0095】
次に、出力部180は、小売電気事業者の調整計画を含む情報を提示部300に出力する(S108)。出力部180は、翌日分(第2期間分)の調整電力量の調整のためにスポット市場に入札する前に、当該情報を提示部300に出力する。ステップS108は、出力ステップの一例である。
【0096】
これにより、電力調整計画作成装置100は、提示部300を介して小売電気事業者の調整計画を含む情報を小売電気事業者の管理者等に提示することができる。
【0097】
また、出力部180は、ステップS108において、調整電力量、スポット市場取引予測単価、時間前市場取引予測単価、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益の少なくとも1つを提示部300に出力してもよい。
【0098】
これにより、電力調整計画作成装置100は、提示部300を介して、調整計画の作成に用いられた情報を小売電気事業者の管理者等に提示することができる。
【0099】
ここで、提示部300に表示される画像の一例について
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係る提示部300の表示例を示す図である。なお、A1、A2、B1、B2等の単価を示しており、同じアルファベットにおいて、数値が小さい方が単価が小さいことを示す。
【0100】
図3に示すように、調整計画は、年月日、時間帯、調整先、調整電力量、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価を含む。調整計画は、調整電力量、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価に替えて、または、調整電力量、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価とともに、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0101】
年月日は、電力を供給する対象となる日であり、例えば翌日である。
【0102】
時間帯は、デマンド時限単位の時間帯であり、本実施の形態では、30分ごとの時間帯である。
【0103】
調整先は、調整電力量をスポット市場および時間前市場のいずれかで取引することをデマンド時限単位ごとに示す情報である。例えば、「スポット市場」または「時間前市場」が表示される。なお、調整しなくてもよい時間帯は、例えば、「-」で示される。
【0104】
調整電力量は、調整する電力量(不足する電力量または余剰となる電力量)をデマンド時限単位ごとに示す情報である。0kWhは、不足するまたは余剰となる電力量がない、つまり予測された電力需要量と計画値とが一致することを示す。
【0105】
スポット市場取引単価は、スポット市場取引単価をデマンド時限単位ごとに示す情報である。時間前市場取引単価は、時間前市場取引単価をデマンド時限単位ごとに示す情報である。
【0106】
時間帯0:00-0:30の調整電力量は、2000kWh不足である。この場合、2000kWhの電力を卸電力取引市場から調達することが想定される。時間帯0:00-0:30では、スポット市場取引予測単価のA1(<A2)円/kWhは、時間前市場取引予測単価のA2円/kWhより低いので、調整電力量2000kWhの調達先がスポット市場となっている。
【0107】
また、時間帯0:30-1:00の調整電力量は、2300kWhの余剰である。この場合、2300kWhの電力を卸電力取引市場に売却することが想定される。時間帯0:30-1:00では、スポット市場取引予測単価のB2(>B1)円/kWhは、時間前市場取引予測単価のB1円/kWhより高いので、調整電力量2300kWhの売却先がスポット市場となっている。
【0108】
また、時間帯1:00-1:30の調整電力量は、1500kWhの不足である。この場合、1500kWhの電力を卸電力取引市場から調達することが想定される。時間帯1:00-1:30では、スポット市場取引予測単価のC2(>C1)円/kWhは、時間前市場取引予測単価のC1円/kWhより高いので、調整電力量1500kWhの調達先が時間前市場となっている。
【0109】
なお、調整計画は、少なくとも年月日、時間帯および調整先が含まれていればよい。また、調整電力量、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価の少なくとも1つは、上限値および下限値を含む範囲であってもよい。
【0110】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置100は、小売電気事業者(電力の小売を行う事業者の一例)が需要家に電力供給を行うときの電力の調整計画を作成する電力調整計画作成装置である。電力調整計画作成装置100は、スポット市場(前日市場の一例)および時間前市場(当日市場の一例)を含む卸電力取引市場と調整が必要な電力量を示す調整電力量を取得する調整電力量予測部120(調整電力量取得部の一例)と、調整電力量をスポット市場で取引するときの損益を示すスポット市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得するスポット市場調整損益推定部150(前日市場調整損益取得部の一例)と、調整電力量を時間前市場で取引するときの損益を示す時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する時間前市場調整損益推定部160(当日市場調整損益取得部の一例)と、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて調整計画を作成する調整計画作成部170と、調整計画を出力する出力部180とを備える。
【0111】
これにより、電力調整計画作成装置100は、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益を比較するので、例えば、損益が高い方に応じた行動(調整先)を含む調整計画を作成可能である。よって、電力調整計画作成装置100は、経済性が高い電力調整計画を作成可能である。このような調整計画は、小売電気事業者において販売計画を作成する上で有益である。
【0112】
また、電力調整計画作成装置100は、需要家への過去の第1期間における販売電力の実績を示す販売電力量を取得する販売電力量取得部110aと、第1期間の電力取引市場価格の実績を示す取引実績価格を取得する市場取引価格取得部110cと、需要家への供給可能な電力量の計画値および需要家への電力の売電単価を記憶する記憶部と、取引実績価格に含まれるスポット市場取引実績価格(第1価格の一例)に基づいて、スポット市場で約定するスポット市場取引予測単価をデマンド時限単位で予測するスポット市場単価予測部130と、取引実績価格に含まれる時間前市場取引実績価格(第2価格の一例)に基づいて、将来の電力供給の対象となる第2期間の時間前市場で約定する時間前市場取引予測単価をデマンド時限単位で予測する時間前市場単価予測部140とをさらに備える。そして、調整電力量予測部120は、販売電力量および計画値に基づいて、第2期間における調整電力量を予測し、スポット市場調整損益推定部150は、売電単価、スポット市場取引予測単価および調整電力量に基づいて、スポット市場調整推定損益をデマンド時限単位で推定し、時間前市場調整損益推定部160は、売電単価、時間前市場取引予測単価および調整電力量に基づいて、時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位で推定する。
【0113】
これにより、電力調整計画作成装置100は、過去の実績を用いるので、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価を精度よく予測することができる。つまり、電力調整計画作成装置100は、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益を精度よく推定することができるので、例えば、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益の差が小さい場合でも大小関係を正確に判定することができる。よって、電力調整計画作成装置100は、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益の差の大小によらず、経済性が高い電力調整計画を作成可能である。また、電力調整計画作成装置100は、スポット市場調整推定損益および時間前市場取引予測単価を推定することにより取得することができる。つまり、電力調整計画作成装置100は、スポット市場調整推定損益および時間前市場取引予測単価の取得から経済性が高い調整計画の作成までを自動で行うことができる。よって、電力調整計画作成装置100の利便性が向上する。
【0114】
また、電力調整計画作成装置100は、第1期間および第2期間の気象情報を取得する気象情報取得部110bをさらに備え、記憶部は、さらに、需要家の施設の地点情報および営業日情報の少なくとも一方を含む需要家情報を記憶し、調整電力量予測部120は、さらに、気象情報および需要家情報に基づいて、調整電力量を予測する。
【0115】
これにより、さらに、気象情報および需要家情報の少なくとも一方を用いて調整電力量が算出されるので、調整電力量の予測精度が向上することが期待される。
【0116】
また、スポット市場単価予測部130は、さらに気象情報に基づいて、スポット市場取引予測単価を予測し、時間前市場単価予測部140は、さらに気象情報に基づいて、時間前市場取引予測単価を予測する。
【0117】
これにより、さらに、気象情報を用いてスポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価が算出されるので、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価の予測精度が向上することが期待される。
【0118】
また、調整計画作成部170は、比較結果に基づいて小売電気事業者の損益が最大となる行動を含む調整計画を作成する。
【0119】
これにより、調整計画作成部170は、小売電気事業者の損益が最大となるように調整計画を作成することができるので、経済性がさらに高い調整計画を作成可能である。
【0120】
また、以上のように、本実施の形態に係る電力調整計画作成方法は、小売電気事業者が需要家に電力供給を行うときの電力の調整計画を作成する電力調整計画作成方法である。電力調整計画作成方法は、スポット市場および時間前市場を含む卸電力取引市場と調整が必要な電力量を示す調整電力量を取得する第1取得ステップ(S102)と、調整電力量をスポット市場で取引するときの損益を示すスポット市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する第2取得ステップ(S104)と、調整電力量を時間前市場で取引するときの損益を示す時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位で取得する第3取得ステップ(S106)と、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて調整計画を作成する作成ステップ(S107)と、調整計画を出力する出力ステップ(S108)とを含む。
【0121】
これにより、上記の電力調整計画作成装置100と同様の効果を奏する。
【0122】
(実施の形態2)
以下では、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置について、
図4および
図5を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一または類似の内容については説明を省略または簡略化する。
【0123】
[2-1.電力調整計画提示システムの構成]
まず、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置を備える電力調整計画提示システムの構成について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係る電力調整計画提示システム1aの構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る電力調整計画提示システム1aの電力調整計画作成装置100aは、提示部300が提示した調整計画に対する入力を受け付ける受付部210を備える点において、実施の形態1に係る電力調整計画提示システム1の電力調整計画作成装置100と相違する。また、調整電力量取得部、スポット市場調整損益取得部および時間前市場調整損益取得部の少なくとも1つはデマンド時限単位で入力を受け付けるユーザインタフェース部として実現され、本実施の形態では、調整電力量取得部、スポット市場調整損益取得部および時間前市場調整損益取得部のそれぞれがユーザインタフェース部として実現される。
【0124】
図4に示すように、電力調整計画作成装置100aは、電力調整計画作成装置100に加えて受付部210を備える。受付部210は、出力部180が調整計画を提示部300に出力した後、調整電力量、スポット市場調整推定損益を取得するためのスポット市場取引予測単価および時間前市場調整推定損益を取得するための時間前市場取引予測単価の少なくとも1つの入力を取得する。受付部210は、調整計画に対する入力を受け受けるとも言える。受付部210は、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成されてもよいし、音声による入力を受け付ける集音装置等を含んで構成されてもよい。
【0125】
なお、電力調整計画作成装置100aがインバランス予測単価を予測する構成(例えば、後述する
図8に示すインバランス単価予測部410を備える構成)である場合、受付部210は、出力部180が調整計画を提示部300に出力した後、インバランス予測単価の入力を取得してもよい。
【0126】
調整計画作成部170は、当該少なくとも1つの入力に基づいて調整計画を更新する。
【0127】
[2-2.電力調整計画作成装置の動作]
続いて、上記のように構成される電力調整計画作成装置100aの動作(電力調整計画作成方法)について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置100aの動作を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、
図2に示すフローチャートの後に実行される。
【0128】
図5に示すように、受付部210は、調整電力量、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価の少なくとも1つの入力を受け付ける(S201)。受付部210は、例えば管理者等の入力により当該少なくとも1つを取得するが、例えば、通信により当該少なくとも1つを取得してもよい。受付部210は、調整電力量の入力を受け付けた場合、入力された調整電力量を調整電力量予測部120に出力し、調整電力量予測部120は、入力された調整電力量をスポット市場調整損益推定部150および時間前市場調整損益推定部160に出力する。受付部210は、スポット市場取引予測単価の入力を受け付けた場合、入力されたスポット市場取引予測単価をスポット市場単価予測部130に出力し、スポット市場単価予測部130は、入力されたスポット市場取引予測単価をスポット市場調整損益推定部150に出力する。受付部210は、時間前市場取引予測単価の入力を受け付けた場合、入力された時間前市場取引予測単価を時間前市場単価予測部140に出力し、時間前市場単価予測部140は、入力された時間前市場取引予測単価を時間前市場調整損益推定部160に出力する。
【0129】
なお、調整電力量予測部120、スポット市場単価予測部130および時間前市場単価予測部140の少なくとも1つは、受付部210により入力された入力値を用いて次回の予測を行ってもよい。
【0130】
なお、受付部210は、入力された調整電力量、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価の少なくとも1つを、スポット市場調整損益推定部150または時間前市場調整損益推定部160に出力してもよい。
【0131】
次に、電力調整計画作成装置100aは、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益の少なくとも一方を更新する(S202)。スポット市場調整損益推定部150は、受付部210に入力された調整電力量およびスポット市場取引予測単価の少なくとも1つに基づいて、スポット市場調整推定損益を更新する。また、時間前市場調整損益推定部160は、受付部210に入力された調整電力量および時間前市場取引予測単価の少なくとも1つに基づいて、時間前市場調整推定損益を更新する。更新された推定損益は、調整計画作成部170に出力される。
【0132】
次に、調整計画作成部170は、更新された推定損益に基づいて、調整計画を更新する(S203)。調整計画作成部170は、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益の両方が更新された場合、更新されたスポット市場調整推定損益および更新された時間前市場調整推定損益をデマンド時限単位のそれぞれで比較し、比較結果に基づいて調整計画を更新する。調整計画作成部170は、更新された調整計画を出力部180に出力する。
【0133】
次に、出力部180は、更新された調整計画を提示部300に出力する(S204)。
【0134】
これにより、電力調整計画作成装置100aは、提示部300を介して小売電気事業者の更新された調整計画を含む情報を小売電気事業者の管理者等に提示することができる。提示部300は、例えば、更新前後の調整計画を並べて表示させてもよい。
【0135】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置100は、出力部180が調整計画を出力した後に、調整電力量、スポット市場取引予測単価、時間前市場取引予測単価およびインバランス予測単価の少なくとも1つの入力を受け付ける受付部210をさらに備える。そして、調整計画作成部170は、受付部210が受け付けた調整電力量、スポット市場取引予測単価および時間前市場取引予測単価の当該少なくとも1つに基づいて、調整計画を更新する。
【0136】
これにより、電力調整計画作成装置100は、調整電力量、スポット市場取引予測単価、時間前市場取引予測単価およびインバランス予測単価の少なくとも1つの予測値が不自然である場合等に、小売電気事業者の管理者等の入力により、調整計画を修正することができる。また、電力調整計画作成装置100は、損益以外の要素(例えば、調整先、調整量に何らかの制約がある等)がある場合、当該要素を反映した調整計画に修正することができる。
【0137】
(実施の形態3)
以下では、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置について、
図6および
図7を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一または類似の内容については説明を省略または簡略化する。
【0138】
[3-1.電力調整計画提示システムの構成]
まず、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置を備える電力調整計画提示システムの構成について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係る電力調整計画提示システム1bの構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る電力調整計画提示システム1bの電力調整計画作成装置100bは、市場入札部310を備える点において、実施の形態1に係る電力調整計画提示システム1の電力調整計画作成装置100と相違する。また、調整計画作成部170は、作成した調整計画を市場入札部310にも出力する。
【0139】
図6に示すように、電力調整計画作成装置100bは、電力調整計画作成装置100に加えて市場入札部310を備える。市場入札部310は、調整計画に基づいて、デマンド時間単位で卸電力取引市場に対して調整電力量を入札する処理を実行する。市場入札部310は、スポット市場で調整電力量を取引する場合、前日の所定時間にスポット市場に入札し、時間前市場で調整電力量を取引する場合、当日(第2期間)に時間前市場に入札する。
【0140】
また、電力調整計画作成装置100bは、市場入札部310による卸電力取引市場への入札に関する入札情報を取得する入札情報取得部をさらに備えていてもよい。入札情報取得部は、例えば、実施の形態2に示す受付部210により実現されてもよい。つまり、受付部210は、入札情報を取得する入札情報取得部として機能してもよい。入札情報取得部は、管理者等から受け付けた入力情報を市場入札部310に出力する。入札情報は、入札を実行することを許可することを示す情報であってもよいし、デマンド時限単位ごとの市場調整分の電力量または調整先の入力(調整計画を一部変更する入力)であってもよい。また、入札情報取得部は、API(Application Programming Interface)を提供し、スマートフォン等の端末からAPI経由で入力を受け付けてもよい。
【0141】
[3-2.電力調整計画作成装置の動作]
続いて、上記のように構成される電力調整計画作成装置100bの動作(電力調整計画作成方法)について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置100bの動作を示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、
図2に示すフローチャートに加えて、ステップS301を含む。なお、
図7では、
図2と同様、スポット市場調整推定損益のうちスポット市場調達推定損益のみを推定し、時間前市場調整推定損益のうち時間前市場調達推定損益のみを推定する場合の動作例を示している。
【0142】
図7に示すように、市場入札部310は、出力部180が調整計画を出力した後、入札処理を実行する(S301)。入札方法は特に限定されないが、JEPXのウェブサイトに入力する、または、WebAPI等の電文通信を行うことにより(電力取引市場のAPIを用いて)、入札を実行する。また、市場入札部310は、電力調整計画作成装置100bが表示部を備えている場合、表示部に電力取引市場のウェブサイトを表示させてもよい。これにより、計画値に対して調整が必要な電力量(例えば、不足している電力量または余剰となる電力量)を調整するための処理を、自動化することができる。
【0143】
なお、市場入札部310は、調達電力量が電力の不足を含む場合、当該電力を調達するための入札処理を実行し、調達電力量が電力の余剰を含む場合、当該電力を売却するための入札処理を実行する。
【0144】
[3-3.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置100bは、電力取引市場に対して調整電力量を入札する市場入札部310と、市場入札部310による卸電力取引市場への入札に関する入札情報を取得する入札情報取得部(例えば、実施の形態2の受付部210)とをさらに備える。
【0145】
これにより、電力調整計画作成装置100bは、入札情報に応じてスポット市場または時間前市場で調整電力量に応じた電力を取引するための入札を自動で行うことができる。
【0146】
(実施の形態4)
以下では、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置について、
図8および
図9を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一または類似の内容については説明を省略または簡略化する。
【0147】
[4-1.電力調整計画提示システムの構成]
まず、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置を備える電力調整計画提示システムの構成について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る電力調整計画提示システム1cの構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る電力調整計画提示システム1cの電力調整計画作成装置100cは、インバランス推定損失を推定するための各構成要素を備える点において、実施の形態1に係る電力調整計画提示システム1の電力調整計画作成装置100と相違する。また、気象情報取得部110bは、取得した気象情報をインバランス単価予測部410にも出力する。
【0148】
図8に示すように、電力調整計画作成装置100cは、電力調整計画作成装置100に加えて、供給予備率取得部110dと、インバランス価格取得部110eと、インバランス単価予測部410と、インバランス損失推定部420とを備える。
【0149】
供給予備率取得部110dは、第2期間におけるデマンド時限単位ごとの電力供給予備率を含む供給予備率情報を取得する。供給予備率取得部110dは、さらに、第1期間におけるデマンド時限単位ごとの電力供給予備率を含む供給予備率情報を取得してもよい。供給予備率取得部110dは、例えば、電力供給予備率を管理するサーバ装置または一般送配電事業者等から電力供給予備率を、前日のスポット市場に入札する前に取得する。
【0150】
インバランス価格取得部110eは、第1期間のインバランス実績価格を取得する。インバランス価格取得部110eは、例えば、インバランス実績価格を管理するサーバ装置からインバランス実績価格を、前日のスポット市場に入札する前に取得する。インバランス実績価格は、デマンド時限単位ごとの価格(単価)であってもよい。インバランス実績価格は、インバランス単価の実績を示す。
【0151】
供給予備率取得部110dおよびインバランス価格取得部110eは、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。なお、供給予備率取得部110dおよびインバランス価格取得部110eの少なくとも1つは、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成され、小売電気事業者の管理者等からの入力により各種情報を取得してもよい。また、供給予備率取得部110dおよびインバランス価格取得部110eは、1つの装置として実現されてもよいし、互いに異なる装置として実現されてもよい。供給予備率取得部110dおよびインバランス価格取得部110eは、情報取得部の一例である。
【0152】
なお、インバランス価格取得部110eは、デマンド時限単位でインバランス予測単価に対する入力を受け付けるボタン等のユーザインタフェース部として実現されてもよい。
【0153】
インバランス単価予測部410は、少なくとも供給予備率情報に基づいて、第2期間のインバランス単価であるインバランス予測単価をデマンド時限単位で予測する。インバランス単価予測部410は、第2期間の供給予備率情報と、供給予備率情報およびインバランス価格が対応付けられたテーブルとに基づいて、第2期間のインバランス予測単価を予測してもよい。また、インバランス単価予測部410は、例えば、供給予備率情報に基づいて、電力の余剰時のインバランス価格予測値、および、電力の不足時のインバランス価格予測値を予測してもよい。
【0154】
インバランス単価予測部410は、供給予備率情報と、インバランス実績単価および気象情報の少なくとも一方とに基づいて、インバランス予測単価をデマンド時限単位で予測してもよい。インバランス単価予測部410は、第2期間の供給予備率情報と、第1期間および第2期間の気象情報と、当該第1期間のインバランス実績価格とに基づいて、第2期間(当日)のインバランス価格予測値を算出してもよい。インバランス単価予測部410は、第1期間のうち第2期間の気象情報と同一または類似する気象情報であった期間の1以上のインバランス実績価格を抽出し、抽出した1以上のインバランス実績価格と、供給予備率情報に基づくインバランス価格とに基づいてインバランス価格予測値を算出してもよい。第1期間のインバランス実績価格の平均値、中央値、最頻値、最大値または最小値と、供給予備率情報に基づくインバランス価格とに基づいて第2期間のインバランス価格予測値を算出してもよい。また、インバランス単価予測部410は、例えば、気象情報およびインバランス実績価格に基づいて、インバランス価格の誤差範囲を算出してもよい。
【0155】
また、インバランス単価予測部410は、電力供給予備率に基づいてインバランス価格予測値を算出してもよい。インバランス単価予測部410は、例えば、エリアごと、当日のデマンド時限単位ごと(例えば、30分ごと)の電力供給予備率の予測値に基づいて当該デマンド時限単位ごとのインバランス価格予測値を算出してもよい。インバランス単価予測部410は、インバランス単価取得部の一例である。
【0156】
なお、電力の不足を発生させた場合のインバランス価格と電力の余剰を発生させた場合のインバランス価格とは、異なることが想定される。そのため、インバランス単価予測部410は、電力の不足を発生させた場合のインバランス価格の予測値である第1インバランス価格予測値と、電力の余剰を発生させた場合のインバランス価格の予測値である第2インバランス価格予測値とを予測してもよい。インバランス単価予測部410は、電力の不足を発生させた場合のインバランス価格の実績である第1インバランス実績単価に基づいて、第1インバランス価格予測値を予測し、電力の余剰を発生させた場合のインバランス価格の実績である第2インバランス実績単価に基づいて、第2インバランス価格予測値を予測してもよい。また、インバランス単価予測部410は、第2期間の供給予備率情報と、当該供給予備率情報および第1インバランス価格が対応付けられたテーブルとに基づいて、第2期間の第1インバランス予測単価を予測し、当該供給予備率情報と、当該供給予備率情報および第2インバランス価格が対応付けられたテーブルとに基づいて、第2期間の第2インバランス予測単価を予測してもよい。
【0157】
インバランス損失推定部420は、調整電力量およびインバランス予測単価に基づいて、卸電力取引市場に対して調整電力量の取引を行なわず、インバランスを発生させた場合の損失額(インバランス推定損失)をデマンド時限単位で推定する。インバランス損失推定部420は、調整電力量を卸電力取引市場から調整しない場合のインバランス推定損失を推定する。具体的には、インバランス損失推定部420は、調整電力量に不足が発生すると予測される場合、その調整電力量を卸電力取引市場から調達しないときに発生する損失額を推定し、調整電力量に余剰が発生すると予測される場合、その調整電力量を卸電力取引市場に売却しないときに発生する損失額を推定する。インバランス損失推定部420はインバランス損失取得部の一例である。
【0158】
インバランス損失推定部420は、例えば、以下の(式5)に基づいてインバランス推定損失を算出することで、インバランス推定損失を推定する。インバランス損失推定部420は、(式5)を用いてデマンド時限単位ごとにインバランス推定損失を算出する。
【0159】
インバランス推定損失=調整電力量×インバランス予測単価 ・・・(式5)
【0160】
インバランス損失推定部420は、例えば、調整電力量に不足が発生すると予測される場合、(式5)のインバランス予測単価に第1インバランス価格予測値を用いてインバランス損失を算出し、調整電力量に余剰が発生すると予測される場合、(式5)のインバランス予測単価に第2インバランス価格予測値を用いてインバランス損失を算出する。
【0161】
また、本実施の形態では、調整計画作成部170は、スポット市場調整推定損益、時間前市場調整推定損益およびインバランス推定損失に基づいて調整計画を作成する。
【0162】
[4-2.電力調整計画作成装置の動作]
続いて、上記のように構成される電力調整計画作成装置100cの動作(電力調整計画作成方法)について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置100cの動作を示すフローチャートである。
図9に示すフローチャートは、
図2に示すフローチャートに加えて、ステップS401~S403を含む。なお、
図9では、
図2と同様、スポット市場調整推定損益のうちスポット市場調達推定損益のみを推定し、時間前市場調整推定損益のうち時間前市場調達推定損益のみを推定する場合の動作例を示している。
【0163】
図9に示すように、情報取得部は、電力供給予備率およびインバランス実績価格を取得する(S401)。電力供給予備率(供給予備率情報)およびインバランス実績価格を取得するタイミングは特に限定されず、例えば、互いに異なるタイミングで取得される。なお、ステップS401では、電力供給予備率およびインバランス実績価格の少なくとも1つが取得されればよい。情報取得部は、取得した電力供給予備率およびインバランス実績価格をインバランス単価予測部410に出力する。なお、情報取得部は、ステップS401において、少なくとも電力供給予備率を取得すればよい。
【0164】
次に、インバランス単価予測部410は、電力供給予備率およびインバランス実績価格の少なくとも1つと、気象情報とに基づいて、第2期間のデマンド時限単位ごとのインバランス予測単価を予測する(S402)。インバランス単価予測部410は、予測したインバランス単価をインバランス損失推定部420に出力する。
【0165】
次に、インバランス損失推定部420は、調整電力量と、予測されたインバランス単価とに基づいて、第2期間のデマンド時限単位ごとのインバランス推定損失を推定する(S403)。インバランス損失推定部420は、例えば、デマンド時限単位ごとに(式5)の計算を行うことで、デマンド時限単位ごとのインバランス推定損失を推定する。インバランス損失推定部420は、推定したインバランス推定損失を調整計画作成部170に出力する。
【0166】
次に、調整計画作成部170は、調整計画を作成する(S107)。本実施の形態では、調整計画作成部170は、スポット市場調整推定損益、時間前市場調整推定損益およびインバランス推定損失を比較し、比較結果に基づいて調整計画を作成する。例えば、卸電力取引市場が需要過多となり市場価格が高騰して売電単価を上回る場合、インバランスを発生させた方が小売電気事業者の損失が小さくなる場合がある。調整計画作成部170は、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益のそれぞれが損失である場合、損失額の小さい方と、インバランス推定損失とを比較し、さらにその小さい方に応じた行動を含む調整計画を作成する。このように、調整計画作成部170は、ある時間帯において損失が発生する場合、損失額を最小化する行動を行うように調整計画を作成してもよい。なお、ここでの行動とは、調整電力量をスポット市場で取引するか、時間前市場で取引するか、または、調整電力量の調整を行わずインバランスを発生させる(インバランス料金を支払う)かのいずれかを含む。
【0167】
なお、ステップS401~S403は、ステップS104で推定されたスポット市場調整推定損益およびステップS106で推定された時間前市場調整推定損益のそれぞれが損失である場合、または、所定の利益以下である場合に実行されてもよい。例えば、調整計画作成部170は、ステップS104で推定されたスポット市場調整推定損益およびステップS106で推定された時間前市場調整推定損益に基づいて、ステップS401~S403の処理を実行するか否かを判定し、実行すると判定した場合のみステップS401~S403を実行してもよい。
【0168】
[4-3.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る電力調整計画作成装置100cは、卸電力取引市場に対して調整電力量の取引を行わず、インバランスを発生させた場合の損失を示すインバランス推定損失をデマンド時限単位で取得するインバランス損失推定部420(インバランス損失取得部の一例)をさらに備える。そして、調整計画作成部170は、スポット市場調整推定損益、時間前市場調整推定損益およびインバランス推定損失を比較した比較結果に基づいて調整計画を作成する。
【0169】
これにより、電力調整計画作成装置100cは、例えば、スポット市場調整推定損益および時間前市場調整推定損益のそれぞれが損失となる時間帯がある場合、スポット市場調整推定損益、時間前市場調整推定損益およびインバランス推定損失の比較により損失が小さくなるように電力の調整先を決定することができる。つまり、電力調整計画作成装置100cは、損失が発生する場合の損失額を低くすることが可能である。よって、電力調整計画作成装置100cは、経済性がさらに高い電力調整計画を作成可能である。
【0170】
また、電力調整計画作成装置100cは、第2期間の供給予備率情報を取得する情報取得部と、供給予備率情報に基づいて、第2期間におけるインバランス予測単価を予測するインバランス単価予測部410とをさらに備える。そして、インバランス損失推定部420は、インバランス予測単価および調整電力量に基づいて、インバランス推定損失をデマンド時限単位で推定する。
【0171】
これにより、電力調整計画作成装置100cは、インバランス予測単価を推定し、さらに当該インバランス予測単価に基づいてインバランス推定損失を推定することができる。つまり、電力調整計画作成装置100cは、電力取引市場に対して調整電力量の取引を行わず、インバランスを発生させた場合のインバランス推定損失を推定することができる。
【0172】
また、インバランス単価予測部410は、さらに、気象情報に基づいて、インバランス予測単価を予測する。
【0173】
これにより、さらに、気象情報を用いてインバランス予測単価が算出されるので、インバランス予測単価の予測精度が向上することが期待される。
【0174】
(その他の実施の形態)
以上、一つまたは複数の態様に係る電力調整計画作成装置等について、各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明に含まれてもよい。
【0175】
例えば、上記各実施の形態等では、電力調整計画提示システムが備える提示部が1つである例について説明したが、提示部の数は特に限定されず、複数であってもよい。
【0176】
また、上記各実施の形態等では、各取得部は、キーボード、ボタン、タッチパネル等で構成され管理者等の操作を入力として受け付ける例について説明したが、マイクロフォン等の集音装置等により構成され管理者等の音声を入力として受け付けてもよい。
【0177】
また、上記各実施の形態における調整電力量取得部は、調整電力量を予測することにより調整電力量を取得する例について説明したがこれに限定されず、調整電力量を管理者等の入力により取得してもよい。この場合、調整電力量取得部は、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成されてもよいし、音声による入力を受け付ける集音装置等を含んで構成されてもよい。
【0178】
また、上記各実施の形態におけるスポット市場調整損益取得部は、スポット市場調整推定損益を予測することによりスポット市場調整推定損益を取得する例について説明したがこれに限定されず、スポット市場調整推定損益を管理者等の入力により取得してもよい。この場合、スポット市場調整損益取得部は、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成されてもよいし、音声による入力を受け付ける集音装置等を含んで構成されてもよい。
【0179】
また、上記各実施の形態における時間前市場調整損益取得部は、時間前市場調整推定損益を推定することにより時間前市場調整推定損益を取得する例について説明したがこれに限定されず、時間前市場調整推定損益を管理者等の入力により取得してもよい。この場合、時間前市場調整損益取得部は、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成されてもよいし、音声による入力を受け付ける集音装置等を含んで構成されてもよい。
【0180】
また、上記実施の形態4におけるインバランス価格取得部は、インバランス予測価格を予測することによりインバランス予測価格を取得する例について説明したが、これに限定されず、インバランス予測価格を管理者等の入力により取得してもよい。この場合、インバランス価格取得部は、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成されてもよいし、音声による入力を受け付ける集音装置等を含んで構成されてもよい。
【0181】
また、上記実施の形態4におけるインバランス損失取得部は、インバランス推定損失を推定することによりインバランス推定損失を取得する例について説明したがこれに限定されず、インバランス推定損失を管理者等の入力により取得してもよい。この場合、インバランス損失取得部は、キーボード、ボタン、タッチパネル等を含んで構成されてもよいし、音声による入力を受け付ける集音装置等を含んで構成されてもよい。
【0182】
また、上記各実施の形態において調整計画作成部は、デマンド時限単位ごとにスポット市場および時間前市場のいずれで調整電力量を取引するかを判定する例について説明したが、デマンド時限単位ごとであることに限定されず、例えば、任意の時間ごとに調整電力量の調整先を判定してもよい。
【0183】
また、上記各実施の形態では、電力調整計画作成装置と、提示部とは別体である例について説明したが、一体であってもよい。つまり、電力調整計画作成装置は、ユーザインタフェースとして提示部を備えていてもよい。この場合、電力調整計画作成装置が備える提示部は、上記各実施の形態で説明した電力調整計画提示システムが備える提示部と同様の機能を有する。電力調整計画作成装置が備える提示部は、例えば、
図3に示す調整計画を提示する機能を有する。また、電力調整計画作成装置が備える提示部と、受付部とは、一体のユーザインタフェースとして実現されてもよい。
【0184】
また、上記各実施の形態における調整電力量予測部、スポット市場単価予測部、時間前市場単価予測部およびインバランス単価予測部の少なくとも1つは、例えば、機械学習モデルを用いて予測を行ってもよい。調整電力量予測部は、例えば、あらかじめ過去一定期間の販売電力量を用いて学習された機械学習モデルにより、将来の電力需要量を予測した上で、電力需要量と計画値との差異から調整電力量を予測してもよい。また、例えば、スポット市場単価予測部は、例えば、あらかじめ過去一定期間のスポット市場取引実績価格と気象情報とを用いて学習された機械学習モデルにより、将来のスポット市場取引単価を予測してもよい。また、例えば、時間前市場単価予測部は、例えば、あらかじめ過去一定期間の時間前市場取引実績価格と気象情報とを用いて学習された機械学習モデルにより、将来の時間前市場取引単価を予測してもよい。また、例えば、インバランス単価予測部は、例えば、あらかじめ過去一定期間のインバランス発生時におけるインバランス単価と電力供給予備率と気象情報とを用いて学習された機械学習モデルにより、将来のインバランス単価を予測してもよい。
【0185】
また、上記各実施の形態における需要家は、例えば電力負荷が極めて大きい1件の大口需要家(例えば工場)であってもよいし、電力負荷が小さい複数の需要家(例えば一般住宅)であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。
【0186】
また、上記各実施の形態では、電力調整計画作成装置は、(式1)~(式5)を用いて算出する例について説明したが、(式1)~(式5)は例示であり、これらの算出式を用いることに限定されない。
【0187】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0188】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が他のステップと同時(並列)に実行されてもよいし、上記ステップの一部は実行されなくてもよい。
【0189】
また、機能ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェアまたはソフトウェアが並列または時分割に処理してもよい。
【0190】
また、上記各実施の形態に係る電力調整計画作成装置は、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。電力調整計画作成装置が複数の装置によって実現される場合、当該電力調整計画作成装置が有する各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。電力調整計画作成装置が複数の装置で実現される場合、当該複数の装置間の通信方法は、特に限定されず、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。また、装置間では、無線通信および有線通信が組み合わされてもよい。
【0191】
また、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0192】
また、上記各実施の形態で説明した各構成要素は、ソフトウェアとして実現されても良いし、典型的には、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路(専用のプログラムを実行する汎用回路)または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)または、LSI内部の回路セルの接続若しくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。
【0193】
システムLSIは、複数の処理部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0194】
また、本発明の一態様は、
図2、
図5、
図7および
図9のいずれかに示される電力調整計画作成方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。
【0195】
また、例えば、プログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。また、本発明の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布または流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【符号の説明】
【0196】
100、100a、100b、100c 電力調整計画作成装置
110a 販売電力量取得部
110b 気象情報取得部
110c 市場取引価格取得部
110d 供給予備率取得部(情報取得部)
110e インバランス価格取得部(情報取得部)
120 調整電力量予測部(調整電力量取得部)
130 スポット市場単価予測部(前日市場単価予測部)
140 時間前市場単価予測部(当日市場単価予測部)
150 スポット市場調整損益推定部(前日市場調整損益取得部)
160 時間前市場調整損益推定部(当日市場調整損益取得部)
170 調整計画作成部
180 出力部
191 需要家マスターテーブル(需要家情報)
210 受付部
310 市場入札部
410 インバランス単価予測部
420 インバランス損失推定部(インバランス損失取得部)