(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074178
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】排水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 3/06 20230101AFI20230522BHJP
C02F 3/00 20230101ALI20230522BHJP
B01D 24/16 20060101ALI20230522BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
C02F3/06
C02F3/00 E
B01D23/10 C
B01D23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186992
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】390021348
【氏名又は名称】フジクリーン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市成 剛
(72)【発明者】
【氏名】水野 真一
(72)【発明者】
【氏名】田中 一也
(72)【発明者】
【氏名】仲野 祥子
(72)【発明者】
【氏名】新井 宏幸
【テーマコード(参考)】
4D003
4D027
4D116
【Fターム(参考)】
4D003AA01
4D003AB02
4D003BA02
4D003CA01
4D003CA02
4D003CA03
4D003DA10
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4D003EA30
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4D116QA45C
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4D116QC06
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4D116QC26
4D116QC29
4D116RR01
4D116RR03
4D116RR12
4D116TT02
4D116TT04
4D116TT07
4D116VV09
(57)【要約】
【課題】排水を処理する場合に固形物を分離する。
【解決手段】
排水処理装置は、第1濾過槽と、第1濾過槽の下流側に配置された好気処理槽と、好気処理槽の下流側に配置された第2濾過槽と、を含む複数の水処理槽を備え、好気処理槽は、固定床を有する。これに代えて、排水処理システムは、沈殿槽と貯留槽とを含む複数の水処理槽と、沈殿槽内の水を撹拌するように構成された撹拌装置と、沈殿槽から貯留槽へ水を移送するように構成された移送装置と、撹拌装置と移送装置とを制御するように構成された制御部と、を備える。制御部は、撹拌装置に沈殿槽内の水を撹拌させる撹拌処理と、撹拌処理の後に、移送装置に、沈殿槽から貯留槽へ固形物を含む水を移送させる移送処理と、を含む特定処理を実行するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水処理装置であって、
第1濾過槽と、前記第1濾過槽の下流側に配置された好気処理槽と、前記好気処理槽の下流側に配置された第2濾過槽と、を含む複数の水処理槽を備え、
前記好気処理槽は、固定床を有する、
排水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排水処理装置であって、
前記複数の水処理槽は、
前記好気処理槽と、前記好気処理槽よりも下流側に配置された水処理槽と、のいずれかである第1対象槽と、
前記第1濾過槽と、前記第1濾過槽よりも上流側に配置された水処理槽と、固形物を貯留するための貯留槽と、嫌気処理槽と、のうちのいずれである第2対象槽と、
を含み、
前記排水処理装置は、前記第1対象槽から前記第2対象槽へ水を移送するように構成された対象移送装置を備える、
排水処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排水処理装置であって、
前記複数の水処理槽は、前記第2濾過槽に続く消毒槽を含む、
排水処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽は、複数の担体を含む第1濾過部を有し、
前記第2濾過槽は、複数の担体を含む第2濾過部を有し、
前記第2濾過部の担体は、前記第1濾過部の担体と同じである、
排水処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽は、複数の担体を含む第1濾過部を有し、
前記第2濾過槽は、複数の担体を含む第2濾過部を有し、
前記第2濾過部の前記複数の担体の体積は、前記第1濾過部の前記複数の担体の体積よりも、大きい、
排水処理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽の上部は、開放されており、
前記第1濾過部の担体の比重は、1よりも大きく、
前記第2濾過槽の上部は、開放されており、
前記第2濾過部の担体の比重は、1よりも大きい、
排水処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽から前記第1濾過槽とは異なる水処理槽への水の移送と、前記第2濾過槽から前記第2濾過槽とは異なる水処理槽への水の移送とを、併せて行うように構成された第1移送装置と、
前記第1濾過槽内の水の撹拌と前記第2濾過槽内の水の撹拌とを併せて行うように構成された撹拌装置と、
を備える、排水処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の排水処理装置であって、
前記排水処理装置は、ブロワに接続されるべき管であるブロワ管を有し、
前記第1移送装置は、
前記第1濾過槽内に配置された第1吸引口を有する第1エアリフトポンプと、
前記第2濾過槽内に配置された第2吸引口を有する第2エアリフトポンプと、
前記第1エアリフトポンプと前記第2エアリフトポンプとを接続する管であるポンプ接続管と、
前記ブロワ管と前記ポンプ接続管とを接続する第1接続管と、
前記第1接続管の流路上に設けられた第1バルブと、
を有し、
前記撹拌装置は、
前記第1濾過槽内に配置された第1散気装置と、
前記第2濾過槽内に配置された第2散気装置と、
前記第1散気装置と前記第2散気装置とを接続する管である散気接続管と、
前記ブロワ管と前記散気接続管とを接続する第2接続管と、
前記第2接続管の流路上に設けられた第2バルブと、
を有する、排水処理装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかに記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽から前記第1濾過槽とは異なる水処理槽へ水を移送するように構成された第1エアリフトポンプと、
前記第2濾過槽から前記第2濾過槽とは異なる水処理槽へ水を移送するように構成された第2エアリフトポンプと、
前記第1濾過槽内の水を撹拌するように構成された第1散気装置と、
前記第2濾過槽内の水を撹拌するように構成された第2散気装置と、
ブロワに接続されるべき管であるブロワ管と、
前記ブロワ管と前記第1エアリフトポンプとを接続する第1接続管と、
前記第1接続管の流路上に設けられた第1バルブと、
前記ブロワ管と前記第2エアリフトポンプとを接続する第2接続管と、
前記第2接続管の流路上に設けられた第2バルブと、
前記ブロワ管と前記第1散気装置とを接続する第3接続管と、
前記第3接続管の流路上に設けられた第3バルブと、
前記ブロワ管と前記第2散気装置とを接続する第4接続管と、
前記第4接続管の流路上に設けられた第4バルブと、
を備える、排水処理装置。
【請求項10】
排水処理システムであって、
請求項1から9のいずれかに記載の排水処理装置と、
制御部と、
を備え、
前記複数の水処理槽は、
前記第1濾過槽よりも上流側に配置された沈殿槽であって、固形物を濾過せずに前記固形物を沈殿させるように構成された前記沈殿槽と、
固形物を貯留するように構成された貯留槽と、
を含み、
前記排水処理装置は、
前記沈殿槽内の水を撹拌するように構成された沈殿槽撹拌装置と、
前記沈殿槽から前記貯留槽へ水を移送するように構成された第2移送装置と、
を備え、
前記制御部は、
前記沈殿槽撹拌装置に前記沈殿槽内の前記水を撹拌させる撹拌処理と、
前記撹拌処理の後に、前記第2移送装置に、前記沈殿槽から前記貯留槽へ固形物を含む水を移送させる移送処理と、
を含む特定処理を実行するように構成されている、排水処理システム。
【請求項11】
排水処理システムであって、
固形物を濾過せずに前記固形物を沈殿させるように構成された沈殿槽と、固形物を貯留するように構成された貯留槽と、を含む複数の水処理槽と、
前記沈殿槽内の水を撹拌するように構成された撹拌装置と、
前記沈殿槽から前記貯留槽へ水を移送するように構成された移送装置と、
前記撹拌装置と前記移送装置とを制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撹拌装置に前記沈殿槽内の前記水を撹拌させる撹拌処理と、
前記撹拌処理の後に、前記移送装置に、前記沈殿槽から前記貯留槽へ固形物を含む水を移送させる移送処理と、
を含む特定処理を実行するように構成されている、排水処理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の排水処理システムであって、
前記移送装置は、前記沈殿槽のうちの下方側の部分に配置された吸引口を有し、
前記特定処理は、前記撹拌処理の後、かつ、前記移送処理の前に行われる処理であって、前記撹拌装置による撹拌と前記移送装置による移送との両方を停止することによって前記沈殿槽内で固形物を沈殿させる沈殿処理を含む、
排水処理システム。
【請求項13】
請求項11または12に記載の排水処理システムであって、
前記制御部は、1日にN回(Nは1以上の整数)、前記特定処理を実行するように構成されている、
排水処理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の排水処理システムであって、
前記制御部は、前記特定処理の1日の回数Nの変更をユーザに許容するように構成されている、
排水処理システム。
【請求項15】
請求項11から14のいずれかに記載の排水処理システムであって、
前記特定処理は、前記撹拌処理の前に、前記移送装置に、前記沈殿槽から前記貯留槽へ水を移送させる処理を含む、
排水処理システム
【請求項16】
請求項11から15のいずれかに記載の排水処理システムであって、
前記複数の水処理槽は、前記沈殿槽と、前記沈殿槽よりも上流側に配置された水処理槽と、のいずれかである対象槽を含み、
前記排水処理装置は、前記貯留槽と前記対象槽とを接続する流路を有する、
排水処理システム。
【請求項17】
請求項11から16のいずれかに記載の排水処理システムであって、
前記複数の水処理槽は、前記沈殿槽よりも下流側に配置された好気処理槽を含む、
排水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般家庭などからの排水が、排水処理装置によって処理されている。排水処理装置は、水から固形物を分離するための種々の水処理槽を有し得る。例えば、排水処理装置は、固形物を濾過するように構成された濾過槽、または、固形物を沈殿させるように構成された沈殿槽を有し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-119562号公報
【特許文献2】特開2016-159290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排水を処理する場合に、固形物の分離は容易ではなく、工夫の余地があった。
【0005】
本明細書は、排水を処理する場合に固形物を分離する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
排水処理装置であって、
第1濾過槽と、前記第1濾過槽の下流側に配置された好気処理槽と、前記好気処理槽の下流側に配置された第2濾過槽と、を含む複数の水処理槽を備え、
前記好気処理槽は、固定床を有する、
排水処理装置。
【0008】
この構成によれば、好気処理槽が第1濾過槽の下流側に配置されているので、好気処理槽に流入する固形物の量は低減される。また、好気処理槽が固定床を有するので、好気処理槽に流入する固形物の破砕の可能性は低減される。固形物の破砕の可能性が低減されるので、第2濾過槽は、固形物を容易に捕捉できる。このように、排水処理装置は、固形物を適切に水から分離できる。
【0009】
[適用例2]
適用例1に記載の排水処理装置であって、
前記複数の水処理槽は、
前記好気処理槽と、前記好気処理槽よりも下流側に配置された水処理槽と、のいずれかである第1対象槽と、
前記第1濾過槽と、前記第1濾過槽よりも上流側に配置された水処理槽と、固形物を貯留するための貯留槽と、嫌気処理槽と、のうちのいずれである第2対象槽と、
を含み、
前記排水処理装置は、前記第1対象槽から前記第2対象槽へ水を移送するように構成された対象移送装置を備える、
排水処理装置。
【0010】
この構成によれば、対象移送装置は、好気処理槽、または、好気処理槽よりも下流側に配置された水処理槽から、水とともに固形物を、第2対象槽へ移送することができる。
【0011】
[適用例3]
適用例1または2に記載の排水処理装置であって、
前記複数の水処理槽は、前記第2濾過槽に続く消毒槽を含む、
排水処理装置。
【0012】
この構成によれば、第2濾過槽と消毒槽との間の別の水処理槽が設けられる場合と比べて、排水処理装置を小型化できる。
【0013】
[適用例4]
適用例1から3のいずれかに記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽は、複数の担体を含む第1濾過部を有し、
前記第2濾過槽は、複数の担体を含む第2濾過部を有し、
前記第2濾過部の担体は、前記第1濾過部の担体と同じである、
排水処理装置。
【0014】
仮に第1濾過部と第2濾過部との間で担体が異なる場合、第1濾過部または第2濾過部の製造に誤った担体が使用され得る。上記構成によれば、そのような不具合は、回避可能である。
【0015】
[適用例5]
適用例1から4のいずれかに記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽は、複数の担体を含む第1濾過部を有し、
前記第2濾過槽は、複数の担体を含む第2濾過部を有し、
前記第2濾過部の前記複数の担体の体積は、前記第1濾過部の前記複数の担体の体積よりも、大きい、
排水処理装置。
【0016】
この構成によれば、第1濾過槽は、比較的大きい固形物を捕捉可能であり、第2濾過槽は、比較的小さい固形物を捕捉可能であるので、排水処理装置は、固形物を適切に分離できる。
【0017】
[適用例6]
適用例4または5に記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽の上部は、開放されており、
前記第1濾過部の担体の比重は、1よりも大きく、
前記第2濾過槽の上部は、開放されており、
前記第2濾過部の担体の比重は、1よりも大きい、
排水処理装置。
【0018】
この構成によれば、第1濾過槽の上部と第2濾過槽の上部とが開放されているので、第1濾過槽と第2濾過槽との製造の複雑さは軽減可能である。また、第1濾過部の担体の比重と第2濾過部の担体の比重とが1よりも大きいので、第1濾過槽の上部から担体が流出する可能性と、第2濾過槽の上部から担体が流出する可能性とは、低減される。
【0019】
[適用例7]
適用例1から6のいずれかに記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽から前記第1濾過槽とは異なる水処理槽への水の移送と、前記第2濾過槽から前記第2濾過槽とは異なる水処理槽への水の移送とを、併せて行うように構成された第1移送装置と、
前記第1濾過槽内の水の撹拌と前記第2濾過槽内の水の撹拌とを併せて行うように構成された撹拌装置と、
を備える、排水処理装置。
【0020】
この構成によれば、第1濾過槽内の固形物の量と第2濾過槽内の固形物の量とは低減可能である。そして、排水処理装置の構成の複雑さは軽減可能である。
【0021】
[適用例8]
適用例7に記載の排水処理装置であって、
前記排水処理装置は、ブロワに接続されるべき管であるブロワ管を有し、
前記第1移送装置は、
前記第1濾過槽内に配置された第1吸引口を有する第1エアリフトポンプと、
前記第2濾過槽内に配置された第2吸引口を有する第2エアリフトポンプと、
前記第1エアリフトポンプと前記第2エアリフトポンプとを接続する管であるポンプ接続管と、
前記ブロワ管と前記ポンプ接続管とを接続する第1接続管と、
前記第1接続管の流路上に設けられた第1バルブと、
を有し、
前記撹拌装置は、
前記第1濾過槽内に配置された第1散気装置と、
前記第2濾過槽内に配置された第2散気装置と、
前記第1散気装置と前記第2散気装置とを接続する管である散気接続管と、
前記ブロワ管と前記散気接続管とを接続する第2接続管と、
前記第2接続管の流路上に設けられた第2バルブと、
を有する、排水処理装置。
【0022】
この構成によれば、第1バルブと第2バルブとによって、第1濾過槽と第2濾過槽とからの水の移送と、第1濾過槽内の水と第2濾過槽内の水との撹拌とを、容易に制御できる。
【0023】
[適用例9]
適用例1から6のいずれかに記載の排水処理装置であって、
前記第1濾過槽から前記第1濾過槽とは異なる水処理槽へ水を移送するように構成された第1エアリフトポンプと、
前記第2濾過槽から前記第2濾過槽とは異なる水処理槽へ水を移送するように構成された第2エアリフトポンプと、
前記第1濾過槽内の水を撹拌するように構成された第1散気装置と、
前記第2濾過槽内の水を撹拌するように構成された第2散気装置と、
ブロワに接続されるべき管であるブロワ管と、
前記ブロワ管と前記第1エアリフトポンプとを接続する第1接続管と、
前記第1接続管の流路上に設けられた第1バルブと、
前記ブロワ管と前記第2エアリフトポンプとを接続する第2接続管と、
前記第2接続管の流路上に設けられた第2バルブと、
前記ブロワ管と前記第1散気装置とを接続する第3接続管と、
前記第3接続管の流路上に設けられた第3バルブと、
前記ブロワ管と前記第2散気装置とを接続する第4接続管と、
前記第4接続管の流路上に設けられた第4バルブと、
を備える、排水処理装置。
【0024】
この構成によれば、4個のバルブによって、第1濾過槽からの水の移送と、第2濾過槽からの水の移送と、第1濾過槽内の水の撹拌と、第2濾過槽内の水の撹拌とを、容易に制御できる。
【0025】
[適用例10]
排水処理システムであって、
適用例1から9のいずれかに記載の排水処理装置と、
制御部と、
を備え、
前記複数の水処理槽は、
前記第1濾過槽よりも上流側に配置された沈殿槽であって、固形物を濾過せずに前記固形物を沈殿させるように構成された前記沈殿槽と、
固形物を貯留するように構成された貯留槽と、
を含み、
前記排水処理装置は、
前記沈殿槽内の水を撹拌するように構成された沈殿槽撹拌装置と、
前記沈殿槽から前記貯留槽へ水を移送するように構成された第2移送装置と、
を備え、
前記制御部は、
前記沈殿槽撹拌装置に前記沈殿槽内の前記水を撹拌させる撹拌処理と、
前記撹拌処理の後に、前記第2移送装置に、前記沈殿槽から前記貯留槽へ固形物を含む水を移送させる移送処理と、
を含む特定処理を実行するように構成されている、排水処理システム。
【0026】
この構成によれば、沈殿槽内で沈殿した固形物と浮上した固形物とが撹拌処理によって撹拌され、そして、撹拌処理の後に移送処理が行われるので、沈殿した固形物と浮上した固形物とを適切に移送できる。
【0027】
[適用例11]
排水処理システムであって、
固形物を濾過せずに前記固形物を沈殿させるように構成された沈殿槽と、固形物を貯留するように構成された貯留槽と、を含む複数の水処理槽と、
前記沈殿槽内の水を撹拌するように構成された撹拌装置と、
前記沈殿槽から前記貯留槽へ水を移送するように構成された移送装置と、
前記撹拌装置と前記移送装置とを制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撹拌装置に前記沈殿槽内の前記水を撹拌させる撹拌処理と、
前記撹拌処理の後に、前記移送装置に、前記沈殿槽から前記貯留槽へ固形物を含む水を移送させる移送処理と、
を含む特定処理を実行するように構成されている、排水処理システム。
【0028】
この構成によれば、沈殿槽内で沈殿した固形物と浮上した固形物とが撹拌処理によって撹拌され、そして、撹拌処理の後に移送処理が行われるので、固形物を適切に分離できる。
【0029】
[適用例12]
適用例11に記載の排水処理システムであって、
前記移送装置は、前記沈殿槽のうちの下方側の部分に配置された吸引口を有し、
前記特定処理は、前記撹拌処理の後、かつ、前記移送処理の前に行われる処理であって、前記撹拌装置による撹拌と前記移送装置による移送との両方を停止することによって前記沈殿槽内で固形物を沈殿させる沈殿処理を含む、
排水処理システム。
【0030】
この構成によれば、移送装置は、移送処理において、固形物の高い濃度を有する水を移送できる。
【0031】
[適用例13]
適用例11または12に記載の排水処理システムであって、
前記制御部は、1日にN回(Nは1以上の整数)、前記特定処理を実行するように構成されている、
排水処理システム。
【0032】
この構成によれば、特定処理の頻度が少ない場合と比べて、沈殿槽内に残存する固形物の量は低減可能である。
【0033】
[適用例14]
適用例13に記載の排水処理システムであって、
前記制御部は、前記特定処理の1日の回数Nの変更をユーザに許容するように構成されている、
排水処理システム。
【0034】
この構成によれば、ユーザは、排水処理装置の流入負荷に合わせて、特定処理の1日の回数Nを調整できる。
【0035】
[適用例15]
適用例11から14のいずれかに記載の排水処理システムであって、
前記特定処理は、前記撹拌処理の前に、前記移送装置に、前記沈殿槽から前記貯留槽へ水を移送させる処理を含む、
排水処理システム
【0036】
この構成によれば、水の移送によって沈殿槽の水位が下がった状態で撹拌処理が行われるので、撹拌処理において沈殿槽から固形物が溢れる可能性は低減される。
【0037】
[適用例16]
適用例11から15のいずれかに記載の排水処理システムであって、
前記複数の水処理槽は、前記沈殿槽と、前記沈殿槽よりも上流側に配置された水処理槽と、のいずれかである対象槽を含み、
前記排水処理装置は、前記貯留槽と前記対象槽とを接続する流路を有する、
排水処理システム。
【0038】
この構成によれば、貯留槽から排水処理装置の外部へ水が溢れる可能性は低減される。
【0039】
[適用例17]
適用例11から16のいずれかに記載の排水処理システムであって、
前記複数の水処理槽は、前記沈殿槽よりも下流側に配置された好気処理槽を含む、
排水処理システム。
【0040】
この構成によれば、好気処理槽が沈殿槽の下流側に配置されているので、好気処理槽に流入する固形物の量は低減される。従って、排水処理装置は、適切に、排水を処理できる。
【0041】
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、濾過槽または沈殿槽、濾過槽または沈殿槽を有する排水処理装置、排水処理方法、排水処理装置の制御装置、排水処理装置の制御方法、コンピュータプログラム等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】一実施例としての排水処理装置を示す概略図である。
【
図4】水処理槽130-160の状態の変化を示すタイミングチャートである。
【
図5】(A)-(C)は、水処理槽130-160のそれぞれの状態を示す概略図である。
【
図6】(A)、(B)は、水処理槽130-160のそれぞれの状態を示す概略図である。
【
図7】スケジュール決定処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】スケジュール実行処理の例を示すフローチャートである。
【
図9】排水処理システムの別の実施例の概略図である。
【
図10】水処理槽130140160の状態の変化を示すタイミングチャートである。
【
図11】排水処理装置の別の実施例を示す概略図である。
【
図12】本実施例の排水処理システム1000dの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
A.第1実施例:
A1.装置構成:
図1は、一実施例としての排水処理装置を示す概略図である。図中には、横から見た排水処理装置100が示されている。本実施例の排水処理装置100は、一般家庭などからの排水の浄化処理を行う(このような装置は「浄化槽」とも呼ばれる)。排水処理装置100は、ボディ200を有している。ボディ200は、ばっ気型スクリーン110、流量調整槽120、夾雑物除去槽130、第1濾過槽140、好気濾床槽150、第2濾過槽160、消毒槽170、放流ポンプ槽180、汚泥貯留槽190を、収容している。ボディ200は、これらの水処理槽110-190を形成する複数の壁(仕切壁201-208を含む)を有している。仕切壁201-208は、それぞれ、隣り合う2個の水処理槽の間を仕切っている。
【0044】
排水処理装置100へ流入した排水は、ばっ気型スクリーン110へ流入する。ばっ気型スクリーン110は、散気装置を有するスクリーン111を有しており、大きな固形物を取り除く。スクリーン111を通過した水は、水処理槽110、120の間の第1仕切壁201に形成された開口113を通じて、流量調整槽120へ流入する。
【0045】
流量調整槽120は、下流側の水処理槽(ここでは、夾雑物除去槽130)へ移送される水の単位時間当たりの量を調整する水処理槽である。流量調整槽120は、ポンプ121(例えば、電気ポンプ)と、計量調整装置122と、を有している。ポンプ121は、流量調整槽120内の水を計量調整装置122へ移送する。計量調整装置122には、移送管123が接続されている。計量調整装置122は、移送された水のうちの計量された一部を、移送管123に供給する。移送管123は、計量調整装置122から夾雑物除去槽130へ水を移送する。
図1の実施例では、流量調整槽120と夾雑物除去槽130との間に、汚泥貯留槽190が配置されている。移送管123は、水処理槽120、190の間の第2仕切壁202と、水処理槽190、130の間の第3仕切壁203とを、貫通している。計量調整装置122に移送された水のうちの余剰水は、流量調整槽120へ戻る。なお、流量調整槽120には、流量調整槽120内の水を撹拌する撹拌装置が設けられている(図示省略)。撹拌装置は、例えば、図示しないブロワからの空気を使用して気泡を吐出する散気装置であってよい。
【0046】
夾雑物除去槽130は、固形物を沈殿分離する水処理槽である。このような水処理槽は、沈殿槽とも呼ばれる。以下、夾雑物除去槽130を、沈殿槽130とも呼ぶ。沈殿槽130は、流入バッフル131と、移流バッフル132と、散気装置139とを、有している。バッフル131、132は、沈殿槽130を形成する壁に固定されている(本実施例では、流入バッフル131は、第3仕切壁203に固定され、移流バッフル132は、水処理槽130、140の間の第4仕切壁204に固定されている)。移送管123からの水は、流入バッフル131に囲まれる領域に、流入する。流入バッフル131は、水を、下方に向かって移動させて、沈殿槽130内へ導く。移流バッフル132は、沈殿槽130内の水を、上方に向かって移動させて、下流側の水処理槽(本実施例では、第1濾過槽140)へ導く。本実施例では、移流バッフル132に囲まれる領域の水は、第4仕切壁204に形成された開口133を通じて、第1濾過槽140へ流入する。流入バッフル131と移流バッフル132とは、沈殿槽130内の水の撹拌と沈殿槽130を通り抜ける水の短絡とを抑制する。沈殿槽130内では、固形物が沈殿分離される。散気装置139は、気泡を吐出するための複数の孔を有しており、沈殿槽130の下部に配置されている(以下、沈殿槽散気装置139とも呼ぶ)。沈殿槽散気装置139は、沈殿槽130内の水を撹拌するために使用される(詳細は、後述)。
【0047】
第1濾過槽140は、固形物を濾過分離する水処理槽である。第1濾過槽140は、流入バッフル141と、第1濾過部147と、第1濾過部147を下から支持する第1支持部146と、第1支持部146よりも低い位置に配置された第1散気装置149と、を有している。流入バッフル141は、第1濾過槽140を形成する壁(本実施例では、第4仕切壁204)に固定されている。開口133からの水は、流入バッフル141に囲まれる領域に流入する。流入バッフル141は、水を、第1濾過槽140のうちの第1支持部146よりも低い部分に導く。水は、第1支持部146と第1濾過部147とを通って、上方へ移動する。第1濾過部147は、水に含まれる固形物を捕捉する。第1濾過部147を通り抜けた水は、水処理槽140、150の間の第5仕切壁205に形成された開口143を通じて、好気濾床槽150へ流入する。
【0048】
第1濾過部147は、複数の第1濾過担体148(単に、第1担体148とも呼ぶ)を含んでいる。第1担体148は、粒状の部材である。本実施例では、第1担体148は、樹脂を含む材料(例えば、ポリプロピレンを含む材料)で形成され、円筒形状を有している。第1支持部146は、第1担体148よりも小さい複数の貫通孔を有する板部材である。第1支持部146は、水の通過を許容し、第1担体148の通過を防止する。本実施例では、第1支持部146は、樹脂を含む材料(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、繊維強化プラスチック(FRP)、ジシクロペンタジエン等)で形成された網である。第1支持部146は、第1濾過槽140を形成する壁(本実施例では、仕切壁204、205)に、固定されている。
【0049】
本実施例では、第1担体148の比重は、1よりも大きい。従って、複数の第1担体148は、水中で下降し、そして、第1支持部146上に堆積する。第1支持部146上に堆積した複数の第1担体148の全体が、第1濾過部147を形成する。第1濾過槽140内の水が流動する場合、第1担体148は、水とともに流動可能である。例えば、第1担体148の比重は、1.0より大きく、1.2以下である。
【0050】
第1散気装置149は、気泡を吐出するための複数の孔を有している。第1散気装置149は、第1濾過槽140内の水と複数の第1担体148とを撹拌するために使用される(詳細は、後述)。なお、第1濾過槽140には、複数の第1担体148の上方への移動を防止するための部材(例えば、網状の蓋部材)は、設けられていない。すなわち、第1濾過槽140の上部は、開放されている。ただし、開口133、143には、水の通過を許容し、第1担体148の通過を防止するための、第1担体148よりも小さい複数の貫通孔を有する部材(例えば、網)が設けられている(図示省略)。
【0051】
好気濾床槽150は、好気性微生物による排水の好気処理を行う水処理槽である。好気濾床槽150は、好気性微生物を保持するための濾床158と、濾床158よりも低い位置に配置された散気装置159と、を有している。濾床158は、好気濾床槽150を形成する壁(本実施例では、第5仕切壁205、および、水処理槽150、160の間の第6仕切壁206)に固定されている。本実施例では、濾床158は、樹脂を含む材料(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)で形成された立体的な網構造を有する網部であり、互いに絡み合う複数の線を有している。なお、濾床158は、網部に限らず、板部など、種々の形状の部分を含んでよい。散気装置159は、気泡を吐出するための複数の孔を有している。散気装置159には、図示しないブロワによって空気が供給される。散気装置159から吐出される気泡は、好気濾床槽150内の水を撹拌し、そして、水に酸素を供給する。濾床158に付着する好気性微生物は、酸素を使用して、好気処理を行う。以下、散気装置159を、好気散気装置159とも呼ぶ。好気処理済の水は、第6仕切壁206に形成された開口153を通じて、第2濾過槽160へ流入する。
【0052】
第2濾過槽160は、固形物を濾過分離する水処理槽である。第2濾過槽160の構成は、第1濾過槽140の構成と、類似している。第2濾過槽160は、流入バッフル161と、第2濾過部167と、第2濾過部167を下から支持する第2支持部166と、第2支持部166よりも低い位置に配置された第2散気装置169と、を有している。流入バッフル161は、第2濾過槽160を形成する壁(本実施例では、第6仕切壁206)に固定されている。開口153からの水は、流入バッフル161に囲まれる領域に流入する。流入バッフル161は、水を、第2濾過槽160のうちの第2支持部166よりも低い部分に導く。水は、第2支持部166と第2濾過部167とを通って、上方へ移動する。第2濾過部167は、水に含まれる固形物を捕捉する。第2濾過部167を通り抜けた水は、水処理槽160、170の間の第7仕切壁207に形成された開口163を通じて、消毒槽170へ流入する。
【0053】
第2濾過部167は、複数の第2濾過担体168(単に、第2担体168とも呼ぶ)を含んでいる。第2支持部166は、第2担体168よりも小さい複数の貫通孔を有する板部材である。第2支持部166は、水の通過を許容し、第2担体168の通過を防止する。本実施例では、第2支持部166は、第1支持部146と同様に、樹脂を含む材料で形成された網である。第2支持部166は、第2濾過槽160を形成する壁(本実施例では、、仕切壁206、207)に、固定されている。
【0054】
第2濾過部167は、第1濾過部147と比べてより細かい固形物を捕捉できるように、構成されている。本実施例では、第2担体168は、第1担体148と同じである。そして、第2濾過部167の体積V2(すなわち、複数の第2担体168の体積)は、第1濾過部147の体積V1(すなわち、複数の第1担体148の体積)よりも大きい。すなわち、第2濾過部167を形成する複数の第2担体168の総数は、第1濾過部147を形成する複数の第1担体148の総数よりも、多い。この構成により、第1濾過槽140は、比較的大きい固形物を捕捉可能であり、第2濾過槽160は、比較的小さい固形物を捕捉可能である。
【0055】
第2散気装置169は、気泡を吐出するための複数の孔を有している。第2散気装置169は、第2濾過槽160内の水と複数の第2担体168とを撹拌するために使用される(詳細は、後述)。なお、第2濾過槽160には、複数の第2担体168の上方への移動を防止するための部材(例えば、網状の蓋部材)は、設けられていない。すなわち、第2濾過槽160の上部は、開放されている。ただし、開口153、163には、水の通過を許容し、第2担体168の通過を防止するための、第2担体168よりも小さい複数の貫通孔を有する部材(例えば、網)が設けられている(図示省略)。
【0056】
消毒槽170は、消毒剤171を有しており、消毒槽170へ流入した水を、消毒剤171によって消毒する。消毒された水は、水処理槽170、180の間の第8仕切壁208に形成された開口173を通じて、放流ポンプ槽180へ流入する。
【0057】
放流ポンプ槽180は、放流ポンプ181(例えば、電気ポンプ)を有している。放流ポンプ181は、放流ポンプ槽180内の水を、排水処理装置100の外へ移送する。
【0058】
排水処理装置100は、4個のエアリフトポンプ310-340を有している。第1エアリフトポンプ310は、第1濾過槽140から汚泥貯留槽190へ水を移送する。第1エアリフトポンプ310の第1吸引口311は、第1濾過槽140内の第1濾過部147(すなわち、第1支持部146)よりも低い部分に配置されている。
【0059】
本実施例では、第1エアリフトポンプ310は、第1支持部146よりも低い第1位置P1で第5仕切壁205を貫通して第1濾過槽140から好気濾床槽150へ延びている。そして、第1エアリフトポンプ310は、好気濾床槽150内で、第1位置P1から、水位WL5よりも高い位置まで延びている(水位WL5は、通常運転時の好気濾床槽150での水位である)。この理由は、仮に第1エアリフトポンプ310が第1濾過槽140内で第1支持部146を貫通して上方に向かって延びる場合、第1支持部146と第1エアリフトポンプ310との間の隙間を第1担体148よりも小さくするための製造の負荷が大きいからである。ただし、第1エアリフトポンプ310は、第5仕切壁205を貫通せずに、第1支持部146を貫通するように構成されてよい。
【0060】
第2エアリフトポンプ320は、第2濾過槽160から汚泥貯留槽190へ水を移送するためのポンプである。第2エアリフトポンプ320の第2吸引口321は、第2濾過槽160内の第2濾過部167(すなわち、第2支持部166)よりも低い部分に配置されている。
【0061】
本実施例では、第2エアリフトポンプ320は、第2支持部166よりも低い第2位置P2で第6仕切壁206を貫通して第2濾過槽160から好気濾床槽150へ延びている。そして、第2エアリフトポンプ320は、好気濾床槽150内で、第2位置P2から水位WL5よりも高い位置まで延びている。この理由は、仮に第2エアリフトポンプ320が第2濾過槽160内で第2支持部166を貫通して上方に向かって延びる場合、第2支持部166と第2エアリフトポンプ320との間の隙間を第2担体168よりも小さくするための製造の負荷が大きいからである。ただし、第2エアリフトポンプ320は、第6仕切壁206を貫通せずに、第2支持部166を貫通するように構成されてよい。
【0062】
エアリフトポンプ330は、沈殿槽130から汚泥貯留槽190へ水を移送するためのポンプである(沈殿槽エアリフトポンプ330とも呼ぶ)。沈殿槽エアリフトポンプ330の第3吸引口331は、沈殿槽130のうちの下方側の部分130Lに配置されている。下方側の部分130Lは、沈殿槽130の水位を使用して、以下のように決定される。図中の水位WL3は、通常運転時の沈殿槽130での水位である。中間水位WLMは、この水位WL3の半分の水位である。下方側の部分130Lは、沈殿槽130のうち中間水位WLM以下の部分である。
【0063】
3個のエアリフトポンプ310、320、330は、いずれも、移送管390に接続されている。移送管390は、エアリフトポンプ310、320、330からの水を、汚泥貯留槽190へ移送する。
【0064】
汚泥貯留槽190は、固形物を貯留するための水処理槽である。汚泥貯留槽190は、流入バッフル191と、移流バッフル192と、を有している。バッフル191、192は、汚泥貯留槽190を形成する壁に固定されている(本実施例では、流入バッフル191は、第3仕切壁203に固定され、移流バッフル192は、第2仕切壁202に固定されている)。移送管390からの水は、流入バッフル191に囲まれる領域に、流入する。流入バッフル191は、水を、下方に向かって移動させて、汚泥貯留槽190内へ導く。移流バッフル192は、汚泥貯留槽190内の水を、上方に向かって移動させて、他の水処理槽(本実施例では、流量調整槽120)へ導く。本実施例では、移流バッフル192に囲まれる領域の水は、第2仕切壁202に形成された開口193を通じて、流量調整槽120へ流入する。流入バッフル191と移流バッフル192とは、汚泥貯留槽190内の水の撹拌と汚泥貯留槽190を通り抜ける水の短絡とを抑制する。汚泥貯留槽190内では、固形物が沈殿分離される。
【0065】
エアリフトポンプ340は、好気濾床槽150の水を第1濾過槽140へ移送するためのポンプである。エアリフトポンプ340は、水を、第1濾過槽140と好気濾床槽150との間で循環させる(循環エアリフトポンプ340とも呼ぶ)。循環エアリフトポンプ340の吸引口341は、好気濾床槽150内の濾床158よりも低い部分に配置されている。循環エアリフトポンプ340は、好気濾床槽150から汲み上げた水を、第1濾過槽140の流入バッフル141に囲まれる領域に、移送する。
【0066】
図2は、排水処理システム1000の概略図である。排水処理システム1000は、排水処理装置100と、ブロワ700と、制御装置600と、を有している。ブロワ700は、空気を吐出する装置である。ブロワ700は、ダイアフラム式のポンプ、または、ロータリ式のポンプなど、種々のポンプを含んでよい。排水処理装置100は、
図1で説明した構成に加えて、4個のバルブ510-540と、管511-513、518、519、521-523、528、529、535、536、590と、を有している。
【0067】
管590は、ブロワ700に接続されるべき管である(ブロワ管590とも呼ぶ)。ブロワ管590には、排水処理装置100の外部に設けられた外管710を介して、ブロワ700が接続されている。ブロワ700は、空気をブロワ管590に供給する。
【0068】
エアリフトポンプ310、320、330には、それぞれ、管511、512、513が接続されている(副ポンプ給気管511、512、513とも呼ぶ)。副ポンプ給気管511、512、513は、管518に接続されている(主ポンプ給気管518とも呼ぶ)。主ポンプ給気管518とブロワ管590とは、第1接続管519によって接続されている。第1接続管519の流路上には、第1バルブ510(移送バルブ510とも呼ぶ)が設けられている。
【0069】
第1散気装置149と第2散気装置169と沈殿槽散気装置139とには、それぞれ、管521、522、523が接続されている(副散気用給気管521、522、523とも呼ぶ)。副散気用給気管521、522、523は、管528に接続されている(主散気用給気管528とも呼ぶ)。主散気用給気管528とブロワ管590とは、第2接続管529によって接続されている。第2接続管529の流路上には、第2バルブ520(撹拌バルブ520とも呼ぶ)が設けられている。
【0070】
好気散気装置159には、管536が接続されている(好気散気用給気管536とも呼ぶ)。好気散気用給気管536は、ブロワ管590に接続されている。好気散気用給気管536の流路上には、バルブ530が設けられている(好気バルブ530とも呼ぶ)。
【0071】
循環エアリフトポンプ340には、管535が接続されている(好気ポンプ給気管535とも呼ぶ)。好気ポンプ給気管535は、好気散気用給気管536のうち好気散気装置159と好気バルブ530との間の部分に接続されている。好気ポンプ給気管535の流路上には、バルブ540が設けられている(循環バルブ540とも呼ぶ)。循環バルブ540は、手動バルブである。ユーザ(例えば、排水処理システム1000の管理者)は、循環バルブ540の開度を調整することによって、循環エアリフトポンプ340による単位時間当りの移送水量を調整できる。
【0072】
バルブ510、520、530は、それぞれ、電気的に制御可能なアクチュエータ(例えば、ソレノイド)を有しており、バルブの状態は、アクチュエータによって制御される。バルブ510、520、530は、制御装置600によって制御される。本実施例では、バルブ510、520、530のそれぞれの状態は、閉状態と開状態とのいずれかに制御される。
【0073】
制御装置600は、種々の装置を電気的に制御する装置であり、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)である。制御装置600は、プロセッサ610と、揮発性記憶装置620と、不揮発性記憶装置630と、出力装置640と、入力装置650と、インタフェース690と、を有している。
【0074】
プロセッサ610は、データ処理を行うように構成された装置であり、例えば、CPUである。揮発性記憶装置620は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置630は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置630は、制御プログラム631を格納している。出力装置640は、ランプ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなど、情報を出力するように構成された装置である。入力装置650は、ボタン、レバー、タッチパネルなどの、ユーザによる操作を受け取るように構成された装置である。インタフェース690は、他の装置を接続するためのインタフェースである。インタフェース690は、例えば、複数の入力端子と、複数の出力端子と、を有している。本実施例では、バルブ510-530のそれぞれのアクチュエータは、バルブに対応付けられた出力端子に接続されている。
【0075】
本実施例では、制御装置600は、バルブ510-530のそれぞれの状態を制御する。なお、ブロワ700は、動作し続けることとする。これに代えて、制御装置600は、ブロワ700を間欠運転してよい。
【0076】
A2.制御処理:
図3は、制御処理の例を示すフローチャートである。
図4は、水処理槽130-160の状態(具体的には、移送と撹拌と散気と循環のそれぞれの状態)の変化を示すタイミングチャートである。ハッチングで示される期間は、動作中の期間を示している。制御装置600のプロセッサ610は、制御プログラム631に従って、
図3の処理を実行する。
【0077】
S100では、プロセッサ610は、通常運転を実行する。通常運転は、複数の水処理槽110-190のそれぞれが水処理を継続して行う運転モードである。本実施例では、プロセッサ610は、移送バルブ510を閉状態に、撹拌バルブ520を閉状態に、好気バルブ530を開状態に、それぞれ維持する。
【0078】
図5(A)-
図5(C)、
図6(A)、
図6(B)は、水処理槽130-160のそれぞれの状態を示す概略図である。各図には、
図1と同様の水処理槽130-160の概略図が示されている。水位WL3-WL6は、水処理槽130-160のそれぞれの水位を示している。
【0079】
図5(A)は、通常運転の状態を示している。通常運転では、各槽130-160の状態は、以下の通りである。移送バルブ510(
図2)の状態が閉状態であるので、エアリフトポンプ310-330は、停止している。撹拌バルブ520の状態が閉状態であるので、散気装置139、149、169は停止している。夾雑物除去槽130では、水から固形物が分離される。夾雑物除去槽130の水面の近傍には、浮上した固形物431が蓄積され得る(スカムとも呼ばれる)。夾雑物除去槽130の底部には、下降した固形物432が蓄積され得る。沈殿槽130で処理された水は、第1濾過槽140へ流入する。
【0080】
第1濾過槽140では、水が第1濾過担体148を通過する。第1濾過担体148は、固形物441を捕捉する。第1濾過槽140で処理された水は、好気濾床槽150へ流入する。
【0081】
好気濾床槽150では、好気バルブ530の状態が開状態であるので、好気散気装置159は、気泡を吐出し、循環エアリフトポンプ340は、好気濾床槽150から第1濾過槽140へ水を移送する。好気散気装置159によって吐出される気泡は、好気濾床槽150内の水に酸素を供給し、そして、好気濾床槽150内の水を流動させる。これにより、好気濾床槽150は、水の好気処理を行う。また、好気濾床槽150内の固形物は、循環エアリフトポンプ340によって、水とともに第1濾過槽140へ移送される。好気濾床槽150で処理された水は、第2濾過槽160へ流入する。
【0082】
第2濾過槽160では、水が第2濾過担体168を通過する。第2濾過担体168は、固形物461を捕捉する。第2濾過槽160で処理された水は、消毒槽170(
図1)へ流入する。
【0083】
他の水処理槽110、120、170-190(
図1)は、
図1で説明したように、それぞれの水処理を行う。以上のように、通常運転では、水処理槽110-190のそれぞれが、水処理を継続して行う。
【0084】
本実施例では、制御装置600は、通常運転を継続して行うように構成されている。また、制御装置600は、定期的に、特定処理を実行するように構成されている。
図3に示す処理S900は、特定処理の例を示している。本実施例では、特定処理S900は、S110-S190を含んでいる。
図4の第1時刻T1は、特定処理の開始時刻である。本実施例では、制御装置600は、予め決められた第1時刻T1に、特定処理S900を開始する(制御装置600は、1日に1回、特定処理S900を実行する)。
【0085】
S110(
図3)では、プロセッサ610は、移送バルブ510を開け、好気バルブ530を閉じる。撹拌バルブ520の状態は、閉状態に維持される。これにより、プロセッサ610は、第1移送処理S120を実行する。
図5(B)は、第1移送処理S120での状態を示している。好気バルブ530の状態が閉状態であるので、好気濾床槽150の好気散気装置159と循環エアリフトポンプ340とは、停止している。移送バルブ510の状態が開状態であるので、エアリフトポンプ310、320、330は、水処理槽140、160、130の水を、汚泥貯留槽190へ移送する。これにより、水処理槽130、140、160の水位WL3、WL4、WL6のそれぞれが、低下する。
【0086】
水位WL3、WL4、WL6のそれぞれを低下させる理由は、以下の通りである。後述するように、第1移送処理S120の後、水処理槽130、140、160内の水を撹拌する撹拌処理S140が行われる。水の撹拌により、水処理槽130、140、160内の水は、開口(例えば、開口133、143、153、163(
図1))を通じて、別の水処理槽へ流出し得る。第1移送処理S120による水位WL3、WL4、WL6の低下は、水の流出の可能性を低減できる。
図4に示すように、プロセッサ610は、第1時刻T1から第2時刻T2までの第1継続時間DT1の間、第1移送処理S120を継続する。第1継続時間DT1は、撹拌処理S140で水が流出しない水位まで水位WL3、WL4、WL6が下がるように、予め実験的に決定される(例えば、10秒以上、5分以下)。第1継続時間DT1は、撹拌処理S140で第2濾過槽160から消毒槽170へ水が流出しないように、決定されていることが好ましい。
【0087】
第1時刻T1からの第1継続時間DT1の経過に応じて、プロセッサ610は、バルブを操作する(S130(
図3))。プロセッサ610は、移送バルブ510を閉じ、撹拌バルブ520を開ける。好気バルブ530の状態は、閉状態に維持される。これにより、プロセッサ610は、撹拌処理S140を実行する。
図5(C)は、撹拌処理S140での状態を示している。移送バルブ510の状態が閉状態であるので、エアリフトポンプ310、320、330は、停止している。撹拌バルブ520の状態が開状態であるので、散気装置139、149、169は、気泡を吐出することによって、水処理槽130、140、160内の水を撹拌する。夾雑物除去槽130内では、流動する水は、固形物433を撹拌する。固形物433は、浮上した固形物431(
図5(B))と沈殿した固形物432とを含んでいる。第1濾過槽140では、流動する水は、複数の第1担体148と捕捉された固形物441とを、撹拌する。複数の第1担体148が流動するので、第1担体148に捕捉された固形物は、第1担体148から離れる。第2濾過槽160では、流動する水は、複数の第2担体168と捕捉された固形物461とを、撹拌する。複数の第2担体168が流動するので、第2担体168に捕捉された固形物は、第2担体168から離れる。水処理槽内の部材(例えば、担体148、168)に付着した固形物を、通常運転時の水流の方向とは異なる方向の水流によってその部材から引き離す処理は、逆洗とも呼ばれる。
【0088】
図4に示すように、プロセッサ610は、第2時刻T2から第3時刻T3までの第2継続時間DT2の間、撹拌処理S140を継続する。第2継続時間DT2は、水処理槽130、140、160の固形物433、441、461が十分に撹拌されるように、予め実験的に決定される(例えば、10秒以上、5分以下)。
【0089】
第2時刻T2からの第2継続時間DT2の経過に応じて、プロセッサ610は、バルブを操作する(S150(
図3))。プロセッサ610は、撹拌バルブ520を閉じ、好気バルブ530を開ける。移送バルブ510の状態は、閉状態に維持される。これにより、プロセッサ610は、沈殿処理S160を実行する。
図6(A)は、沈殿処理S160での状態を示している。エアリフトポンプ310-330と、散気装置139、149、169とは、停止している。従って、夾雑物除去槽130と第1濾過槽140と第2濾過槽160とでは、水は静置される。この結果、これらの水処理槽130、140、160では、撹拌された固形物433、441、461が底部に沈殿する。水処理槽130、140、160の底部では、固形物433、441、461の濃度が高くなる。また、第1濾過槽140では、複数の第1担体148は、第1支持部146上に堆積する。第2濾過槽160では、複数の第2担体168は、第2支持部166上に堆積する。なお、好気バルブ530の状態が開状態であるので、ブロワ700(
図2)は、適切に動作を継続できる(本実施例では、好気濾床槽150では、
図5(A)の状態と同様に、好気処理を行う)。
【0090】
図4に示すように、プロセッサ610は、第3時刻T3から第4時刻T4までの第3継続時間DT3の間、沈殿処理S160を継続する。第3継続時間DT3は、水処理槽130、140、160の固形物433、441、461が十分に沈殿できるように、予め実験的に決定される(例えば、1分以上、1時間以下)。
【0091】
第3時刻T3からの第3継続時間DT3の経過に応じて、プロセッサ610は、バルブを操作する(S170(
図3))。プロセッサ610は、移送バルブ510を開け、好気バルブ530を閉じる。撹拌バルブ520の状態は、閉状態に維持される。これにより、プロセッサ610は、第2移送処理S180を実行する。
図6(B)は、第2移送処理S180での状態を示している。移送バルブ510の状態が開状態であるので、エアリフトポンプ310-330は、水処理槽140、160、130の水を、汚泥貯留槽190へ移送する。これにより、水処理槽130、140、160の底部に沈殿した固形物433、441、461は、汚泥貯留槽190へ移送される。
【0092】
図4に示すように、プロセッサ610は、第4時刻T4から第5時刻T5までの第4継続時間DT4の間、第2移送処理S180を継続する。第4継続時間DT4は、十分な量の固形物433、441、461を移送できるように、予め実験的に決定される(例えば、30秒以上、5分以下)。
【0093】
なお、
図1で説明したように、汚泥貯留槽190では、固形物が沈殿分離される。従って、汚泥貯留槽190は、水処理槽130、140、160から移送された固形物を、適切に貯留できる。また、汚泥貯留槽190で処理された水は、流量調整槽120へ流入する。流量調整槽120の水は、計量調整装置122を通じて、少量ずつ、夾雑物除去槽130へ移送される。本実施例では、処理S120-S180において、流量調整槽120から移送される水による水処理槽130、140、160の水位WL3、WL4、WL6の上昇は、水処理槽130、140、160の水が開口(例えば、開口133、143、153、163(
図1))から水が流出しない程度に、小さい。
【0094】
第4時刻T4からの第4継続時間DT4の経過に応じて、プロセッサ610は、バルブを操作する(S190(
図3))。プロセッサ610は、移送バルブ510を閉じ、好気バルブ530を開ける。撹拌バルブ520の状態は、閉状態に維持される。これにより、プロセッサ610は、特定処理S900を終了し、通常運転(S200)を開始する。
【0095】
以上のように、本実施例の排水処理装置100(
図1)は、第1濾過槽140と、第1濾過槽140の下流側に配置された好気処理槽の例である好気濾床槽150と、好気濾床槽150の下流側に配置された第2濾過槽160と、を含む複数の水処理槽110-190を有している。そして、好気濾床槽150は、固定床の例である濾床158を有している。好気濾床槽150には、第1濾過槽140によって固形物が分離された後の水が、流入する。すなわち、好気濾床槽150に流入する固形物の量は、第1濾過槽140によって、低減される。また、好気濾床槽150が固定床(ここでは、濾床158)を有するので、好気濾床槽150に流入する固形物の破砕の可能性は低減される。仮に、好気濾床槽150が、水とともに流動する複数の担体を有する場合、流動する複数の担体は、固形物との接触によって固形物を破砕し得る。本実施例では、好気濾床槽150は、そのような担体を有していないので、固形物のそのような破砕は、回避される。また、好気濾床槽150での固形物の破砕の可能性が低減されるので、第2濾過槽160は、好気濾床槽150からの水に含まれる固形物を容易に捕捉できる。仮に好気濾床槽150で固形物が破砕される場合、破砕されて小さくなった固形物は、第2濾過槽160の第2濾過部167によって捕捉されずに、第2濾過槽160から下流側へ流出し得る。本実施例では、第2濾過槽160からの固形物の流出の可能性は、低減される。このように、排水処理装置100は、固形物を適切に水から分離できる。
【0096】
排水処理装置100(
図1)は、第2エアリフトポンプ320と、循環エアリフトポンプ340と、を有している。第2エアリフトポンプ320は、第2濾過槽160から汚泥貯留槽190へ水を移送するように構成されている。第2濾過槽160は、好気濾床槽150よりも下流側に配置されている。第2濾過槽160は、「好気処理槽と、好気処理槽よりも下流側に配置された水処理槽と、のいずれかである第1対象槽」の例である。汚泥貯留槽190は、固形物を貯留するための貯留槽である。汚泥貯留槽190は、「第1濾過槽と、第1濾過槽よりも上流側に配置された水処理槽と、固形物を貯留するための貯留槽と、嫌気処理槽と、のうちのいずれである第2対象槽」の例である。第2エアリフトポンプ320は、第1対象槽から第2対象槽へ水を移送するように構成された対象移送装置の例である。また、循環エアリフトポンプ340は、好気濾床槽150から第1濾過槽140へ水を移送するように構成されている。好気濾床槽150は、上述した第1対象槽の例である。第1濾過槽140は、上述した第2対象槽の例である。循環エアリフトポンプ340は、第1対象槽から第2対象槽へ水を移送するように構成された対象移送装置の例である。一般的に、好気処理槽を有する排水処理装置は、好気処理槽による処理済の水を、排水処理装置の外へ放流する。対象移送装置320、340は、好気濾床槽150、または、好気濾床槽150よりも下流側に配置された水処理槽から、水とともに固形物を、第2対象槽へ移送することができる。従って、排水処理装置100は、好気濾床槽150または好気濾床槽150よりも下流側に配置された水処理槽の水に含まれる固形物の量、ひいては、排水処理装置100の外へ放流される水に含まれる固形物の量を、低減できる。
【0097】
排水処理装置100(
図1)の複数の水処理槽110-190は、第2濾過槽160に続く消毒槽170を含んでいる。このように、第2濾過槽160と消毒槽170との間には、別の水処理槽は、設けられていない。例えば、第2濾過槽160からの水を一時的に貯留する処理水槽は、設けられていない。従って、排水処理装置100の小型化が可能である。
【0098】
第1濾過槽140(
図1)は、複数の第1担体148を含む第1濾過部147を有している。第2濾過槽160は、複数の第2担体168を含む第2濾過部167を有している。第2濾過部167の第2担体168は、第1濾過部147の第1担体148と同じである。仮に第1濾過部147と第2濾過部167との間で担体が異なる場合、第1濾過部147または第2濾過部167の製造に誤った担体が使用され得る。例えば、第2担体168が、誤って、第1濾過槽140に入れられ得る。本実施例では、同じ担体が第1濾過部147と第2濾過部167とを形成するので、そのような不具合は、回避可能である。
【0099】
第2濾過部167(
図1)の複数の第2担体168の体積V2は、第1濾過部147の複数の第1担体148の体積V1よりも、大きい。この構成によれば、第1濾過槽140は、比較的大きい固形物を捕捉可能であり、第2濾過槽160は、比較的小さい固形物を捕捉可能である。従って、排水処理装置100は、固形物を適切に分離できる。
【0100】
なお、複数の担体の体積は、以下のように測定可能である。直方体形状を有する収容空間を形成する容器を準備する。この容器を、収容空間の底を形成する矩形底面が水平となるように、設置する。この容器に、複数の担体を投入する。容器内では、複数の担体は、底面からの高さが高い山部分と、高さが低い谷部分と、を形成し得る。山部分の複数の担体を谷部分に移動させることによって、底面からの高さのばらつきを低減する。容器を振動させることによって、高さのばらつきを低減してもよい。これにより、複数の担体は、おおよそ水平な上面を形成する。矩形底面とおおよそ同じ矩形状を有する平板蓋を、容器内の複数の担体の上に配置する。平板蓋を、底面と平行な状態を維持しつつ、複数の担体に載せる。この状態で、容器と平板蓋とによって囲まれる直方体の体積は、複数の担体の体積として採用可能である。
【0101】
図1で説明したように、第1濾過槽140の上部は、開放されており、第2濾過槽160の上部は、開放されている。従って、第1濾過槽140と第2濾過槽160との製造の複雑さは軽減可能である。例えば、第1濾過槽140と第2濾過槽160とに蓋部材を固定する工程は、省略される。また、第1濾過部147の第1担体148の比重は、1よりも大きく、第2濾過部167の第2担体168の比重は、1よりも大きい。従って、第1濾過槽140の上部から第1担体148が流出する可能性と、第2濾過槽160の上部から第2担体168が流出する可能性とは、低減される。
【0102】
図1に示すように、第1エアリフトポンプ310は、第1濾過槽140内に配置された第1吸引口311を有している。第2エアリフトポンプ320は、第2濾過槽160内に配置された第2吸引口321を有している。
図2に示すように、第1エアリフトポンプ310には、第1副ポンプ給気管511が接続され、第2エアリフトポンプ320には、第2副ポンプ給気管512が接続されている。これらの副ポンプ給気管511、512は、主ポンプ給気管518に接続されている。これらのポンプ給気管511、512、518の全体は、第1エアリフトポンプ310と第2エアリフトポンプ320とを接続するポンプ接続管の例である(ポンプ接続管517と呼ぶ)。第1接続管519は、ブロワ管590と、ポンプ接続管517(具体的には、主ポンプ給気管518)と、を接続している。第1接続管519の流路上には、第1バルブ510が設けられている。ポンプ接続管517(511、512、518)のうち第1エアリフトポンプ310から第2エアリフトポンプ320へ至る流路上には、バルブは設けられていない。従って、第1エアリフトポンプ310と第2エアリフトポンプ320とは、独立には動作できない。エアリフトポンプ310、320は、第1濾過槽140からの水の移送と、第2濾過槽160からの水の移送とを、併せて行う。このように、第1濾過槽140からの水の移送と第2濾過槽160からの水の移送とは、同時に進行する。エアリフトポンプ310、320と、管517(511、512、518)、519と、第1バルブ510と、の全体は、第1濾過槽140からの水の移送と第2濾過槽160からの水の移送とを併せて行うように構成された第1移送装置の例である(第1移送装置910とも呼ぶ)。ここで、第1濾過槽140からの水の移送先は、第1濾過槽140とは異なる水処理槽(本実施例では、汚泥貯留槽190)である。第2濾過槽160からの水の移送先は、第2濾過槽160とは異なる水処理槽(本実施例では、汚泥貯留槽190)である。
【0103】
図1に示すように、第1散気装置149は、第1濾過槽140内に配置されている。第2散気装置169は、第2濾過槽160内に配置されている。
図2に示すように、第1散気装置149には、第1副散気用給気管521が接続され、第2散気装置169には、第2副散気用給気管522が接続されている。これらの副散気用給気管521、522は、主散気用給気管528に接続されている。これらの散気用給気管521、522、528の全体は、第1散気装置149と第2散気装置169とを接続する散気接続管の例である(散気接続管527と呼ぶ)。第2接続管529は、ブロワ管590と、散気接続管527(具体的には、主散気用給気管528)と、を接続している。第2接続管529の流路上には、第2バルブ520が設けられている。散気接続管527(521、522、528)のうち第1散気装置149から第2濾過槽160へ至る流路上には、バルブは設けられていない。従って、第1散気装置149と第2散気装置169とは、独立には動作できない。散気装置149、169は、第1濾過槽140内の水の撹拌と、第2濾過槽160内の水の撹拌とを、併せて行う。このように、第1濾過槽140内の水の撹拌と第2濾過槽160内の水の撹拌とは、同時に進行する。散気装置149、169と、管527(521、522、528)、529と、第2バルブ520と、の全体は、第1濾過槽140内の水の撹拌と第2濾過槽160内の水の撹拌とを併せて行うように構成された撹拌装置の例である(撹拌装置920とも呼ぶ)。
【0104】
このように、排水処理装置100は、第1移送装置910と撹拌装置920とを有している。従って、排水処理装置100は、撹拌装置920による撹拌と第1移送装置910による移送とによって、第1濾過槽140内の固形物の量と第2濾過槽160内の固形物の量とを、低減可能である。これにより、濾過槽140、160は、作業者による濾過槽140、160の清掃(例えば、排水処理装置100の外への固形物の引き抜き)が無くても、固形物の分離を継続できる。また、第1バルブ510と第2バルブ520とを操作することによって、第1濾過槽140と第2濾過槽160とからの水の移送と、第1濾過槽140内の水と第2濾過槽160内の水との撹拌とを、容易に制御できる。また、排水処理装置100の構成の複雑さは軽減可能である。例えば、第1エアリフトポンプ310と第2エアリフトポンプ320とを独立に制御するためには、第1エアリフトポンプ310用のバルブと、第2エアリフトポンプ320用のバルブと、などの構成が追加される。本実施例では、そのような追加の構成は、省略可能である。
【0105】
排水処理装置100(
図1)の複数の水処理槽110-190は、沈殿槽130と、汚泥貯留槽190と、を含んでいる。沈殿槽130は、固形物を濾過せずに固形物を沈殿させるように構成されている(本実施例では、沈殿槽130は、流入バッフル131と移流バッフル132とを有している)。汚泥貯留槽190は、固形物を貯留するように構成されている(本実施例では、汚泥貯留槽190は、流入バッフル191と移流バッフル192を有している)。
【0106】
沈殿槽130(
図1)内には、沈殿槽130内の水を撹拌するための沈殿槽散気装置139が配置されている。
図2に示すように、沈殿槽散気装置139には、第3副散気用給気管523が接続され、第3副散気用給気管523は、主散気用給気管528に接続されている。主散気用給気管528は、第2接続管529に接続され、第2接続管529の流路上には、第2バルブ520が設けられている。沈殿槽散気装置139による水の撹拌は、第2バルブ520によって制御可能である。沈殿槽散気装置139と、管523、528、529と、第2バルブ520と、の全体は、沈殿槽130内の水を撹拌するように構成された沈殿槽撹拌装置の例である(沈殿槽撹拌装置930、または、単に、撹拌装置930とも呼ぶ)。
【0107】
沈殿槽エアリフトポンプ330(
図1)は、沈殿槽130内に配置された第3吸引口331を有している。
図2に示すように、沈殿槽エアリフトポンプ330には、第3副ポンプ給気管513が接続され、第3副ポンプ給気管513は、主ポンプ給気管518に接続されている。主ポンプ給気管518は、第1接続管519に接続され、第1接続管519の流路上には、第1バルブ510が設けられている。沈殿槽エアリフトポンプ330による水の移送は、第1バルブ510によって制御可能である。沈殿槽エアリフトポンプ330と、管513、518、519と、第1バルブ510と、の全体は、沈殿槽130から汚泥貯留槽190へ水を移送するように構成された第2移送装置の例である(第2移送装置940、または、単に、移送装置940とも呼ぶ)。
【0108】
排水処理システム1000(
図2)は、沈殿槽撹拌装置930と第2移送装置940とを制御するように構成された制御装置600を有している。
図3に示すように、制御装置600は、特定処理S900を実行するように構成されている。特定処理S900は、撹拌処理S140と第2移送処理S180とを含んでいる。撹拌処理S140は、沈殿槽撹拌装置930に沈殿槽130内の水を撹拌させる撹拌処理を含んでいる。第2移送処理S180は、撹拌処理S140の後に、第2移送装置940に、沈殿槽130から汚泥貯留槽190へ固形物を含む水を移送させる移送処理を含んでいる。この構成によれば、沈殿槽130(
図5(A))内で沈殿した固形物432と浮上した固形物431とは、撹拌処理S140(
図5(C))によって撹拌される。そして、撹拌処理S140の後に第2移送処理S180(
図6(B))が行われる。従って、第2移送装置940の沈殿槽エアリフトポンプ330は、沈殿した固形物432と浮上した固形物431とを含む固形物433を適切に移送できる。また、沈殿槽130は、作業者による沈殿槽130の清掃(例えば、排水処理装置100の外への固形物の引き抜き)が無くても、固形物の分離を継続できる。
【0109】
本実施例では、複数の水処理槽110-190は、第1濾過槽140を含んでいる。そして、沈殿槽130は、第1濾過槽140よりも上流側に配置されている。沈殿槽130によって固形物が分離された水が、第1濾過槽140に流入する。従って、第1濾過槽140の負荷が軽減されるので、第1濾過槽140は、適切に、濾過を行うことができる。例えば、固形物による第1濾過部147の閉塞の可能性は、低減される。
【0110】
本実施例では、制御装置600(
図2)は、沈殿槽撹拌装置930と第2移送装置940とに加えて、第1移送装置910と撹拌装置920とを制御するように構成されている。撹拌処理S140(
図3、
図5(C))は、撹拌装置920に、第1濾過槽140内の水の撹拌と第2濾過槽160内の水の撹拌とを併せて行わせる処理を含んでいる。第2移送処理S180(
図6(B))は、第1移送装置910に、第1濾過槽140からの水の移送と第2濾過槽160からの水の移送とを併せて行わせる処理を含んでいる。従って、第1移送装置910のエアリフトポンプ310、320は、第1濾過槽140の固形物441と第2濾過槽160の固形物461とを、適切に移送できる。これにより、濾過槽140、160は、作業者による濾過槽140、160の清掃(例えば、排水処理装置100の外への固形物の引き抜き)が無くても、固形物の分離を継続できる。
【0111】
第2移送装置940の沈殿槽エアリフトポンプ330(
図1)は、沈殿槽130のうちの下方側の部分130Lに配置された第3吸引口331を有している。特定処理S900(
図3)は、撹拌処理S140の後、かつ、第2移送処理S180の前に行われる沈殿処理S160を含んでいる。沈殿処理S160(
図6(A))は、沈殿槽撹拌装置930による撹拌と第2移送装置940による移送との両方を停止することによって沈殿槽130内で固形物を沈殿させる沈殿処理を含んでいる。この構成によれば、第2移送装置940の沈殿槽エアリフトポンプ330は、第2移送処理S180(
図6(B))において、固形物433の高い濃度を有する水を移送できる。従って、1回の第2移送処理S180での沈殿槽エアリフトポンプ330による合計移送水量を、低減できる。沈殿槽エアリフトポンプ330によって汚泥貯留槽190に移送される水は、汚泥貯留槽190内の水流を生成し得る。強い水流は、沈殿した固形物を、水中に巻き上げ得る。巻き上げられた固形物は、水とともに、汚泥貯留槽190から流出し得る。合計移送水量が少ない場合、合計移送水量が多い場合と比べて、移送水によって生成される汚泥貯留槽190内の水流が弱くなる。従って、汚泥貯留槽190からの固形物の流出量は、低減される。
【0112】
第1移送装置910(
図2)の第1エアリフトポンプ310(
図1)は、第1濾過槽140のうち第1濾過部147よりも低い部分に配置された第1吸引口311を有している。第2エアリフトポンプ320は、第2濾過槽160のうち第2濾過部167よりも低い部分に配置された第2吸引口321を有している。沈殿処理S160(
図3、
図6(A))は、撹拌装置920による撹拌と第1移送装置910による移送との両方を停止することによって濾過槽140、160内で固形物を沈殿させる沈殿処理を含んでいる。この構成によれば、第1移送装置910のエアリフトポンプ310、320は、第2移送処理S180(
図6(B))において、固形物441、461の高い濃度を有する水を移送できる。従って、1回の第2移送処理S180でのエアリフトポンプ310、320による合計移送水量を、低減できる。合計移送水量が少ない場合、合計移送水量が多い場合と比べて、移送水によって生成される汚泥貯留槽190内の水流が弱くなる。従って、汚泥貯留槽190からの固形物の流出量は、低減される。
【0113】
図4で説明したように、本実施例では、制御装置600は、1日に1回、特定処理S900を実行するように構成されている。従って、特定処理S900の頻度が少ない場合(例えば、2日に1回など)と比べて、沈殿槽130内に残存する固形物の量は低減可能である。さらに、本実施例では、濾過槽140、160内に残存する固形物の量は低減可能である。
【0114】
図3に示すように、特定処理S900は、撹拌処理S140の前に実行される第1移送処理S120を含んでいる。第1移送処理S120は、第2移送装置940(
図2)の沈殿槽エアリフトポンプ330に、沈殿槽130から汚泥貯留槽190へ水を移送させる処理を含んでいる。この構成によれば、水の移送によって沈殿槽130(
図5(C))の水位WL3が下がった状態で沈殿槽130の撹拌処理(撹拌処理S140)が行われるので、撹拌処理において沈殿槽130から固形物が溢れる可能性は低減される。
【0115】
第1移送処理S120は、第1移送装置910(
図2)のエアリフトポンプ310、320に、第1濾過槽140からの水の移送と第2濾過槽160からの水の移送とを併せて行わせる処理を含んでいる。この構成によれば、水の移送によって濾過槽140、160(
図5(C))のWL4、WL6が下がった状態で濾過槽140、160の撹拌処理(撹拌処理S140)が行われるので、撹拌処理において濾過槽140、160から固形物が溢れる可能性は低減される。
【0116】
図1に示すように、排水処理装置100の複数の水処理槽110-190は、流量調整槽120を含んでいる。排水処理装置100は、開口193を形成する第2仕切壁202を有している。開口193は、流量調整槽120と汚泥貯留槽190とを接続する流路の例である。汚泥貯留槽190に移送された水は、固形物の分離の後、開口193を通じて流量調整槽120へ流入する。従って、汚泥貯留槽190から排水処理装置100の外へ水が溢れる可能性は、低減される。なお、流量調整槽120は、沈殿槽130よりも上流側に配置されている。流量調整槽120は、「沈殿槽と、沈殿槽よりも上流側に配置された水処理槽と、のいずれかである対象槽」の例である。開口193は、「貯留槽と対象槽とを接続する流路」の例である。
【0117】
図1に示すように、排水処理装置100の複数の水処理槽110-190は、沈殿槽130よりも下流側に配置された好気濾床槽150を含んでいる。好気濾床槽150へは、沈殿槽130によって固形物が分離された水が、流入する。これにより、好気濾床槽150の負荷が軽減されるので、好気濾床槽150は、適切に、好気処理を実行できる。このように、排水処理装置100は、適切に、排水を処理できる。
【0118】
B.第2実施例:
図7は、スケジュール決定処理の例を示すフローチャートである。
図8は、スケジュール実行処理の例を示すフローチャートである。本実施例の排水処理システムの構成は、制御プログラム631(
図2)がこれらの処理を実行するように構成されている点を除いて、第1実施例の排水処理システム1000の構成と同じである。本実施例では、制御装置600は、特定処理S900(
図3)の1日の実行回数Nと、N回の特定処理S900のそれぞれの開始時刻と、を含むスケジュールの決定を、ユーザに許容する。そして、制御装置600は、ユーザによって決定されたスケジュールに従って、特定処理S900を実行する。
【0119】
ユーザは、入力装置650(
図2)を操作することによって、スケジュールを決定するための指示を入力する。プロセッサ610は、指示に応じて、制御プログラム631に従って、
図7の処理を開始する。
【0120】
S310では、プロセッサ610は、1日の実行回数Nの入力を受け付ける。ユーザは、入力装置650を操作することによって、実行回数Nを入力する。実行回数Nは、1以上の任意の整数であってよい。S320では、プロセッサ610は、入力された実行回数Nを示すデータを、揮発性記憶装置620に格納する。
【0121】
S330では、プロセッサ610は、番号iを1に初期化する。S340では、プロセッサ610は、i番目の特定処理S900の開始時刻の入力を受け付ける。ユーザは、入力装置650を操作することによって、i番目の特定処理S900の開始時刻を入力する。なお、特定処理S900は、排水処理装置100への排水の流入が少ない時間帯に行われることが好ましい(例えば、深夜の00:00(0時)から朝の05:00(5時)までの時間帯)。S350では、プロセッサ610は、入力された開始時刻を示すデータを、揮発性記憶装置620に格納する。
【0122】
S360では、プロセッサ610は、N個の全ての開始時刻が決定されたか否かを判断する。本実施例では、i=Nである場合に、判断結果はYesである。判断結果がNoである場合(すなわち、i<N)、プロセッサ610は、S370で番号iに1を加算し、S340へ移行する。そして、新たな番号iの開始時刻のための処理を実行する。
【0123】
i番目の開始時刻は、1回の特定処理S900に要する時間である処理時間を、i-1番目の開始時刻に加算して得られる時刻以降の時刻に設定される。例えば、i-1番目の開始時刻が00:00であり、処理時間が15分である場合、i番目の開始時刻は、00:15以降の時刻に設定される。なお、i-1番目とi番目との間の開始時刻の差を長くすることによって、i-1番目とi番目との特定処理S900の間の時間で、水処理槽130、140、160での固形物の沈殿を促進できる。例えば、処理時間が15分程度である場合に、i番目の開始時刻は、i-1番目の開始時刻の1時間後であってよい。
【0124】
S360でi=Nである場合(S360:Yes)、プロセッサ610は、
図7の処理を終了する。
【0125】
プロセッサ610は、
図8のスケジュール実行処理を繰り返し実行することによって、N回の特定処理S900のそれぞれを実行する。S410では、プロセッサ610は、現在時刻を取得する。本実施例では、制御装置600は、図示しないタイマを有している。プロセッサ610は、タイマから現在時刻を取得する。
【0126】
S420では、プロセッサ610は、現在時刻がN個の開始時刻のいずれかと同じであるか否かを判断する。現在時刻がN個の開始時刻の全てと異なる場合(S420:No)、プロセッサ610は、S410へ移行する。現在時刻がいずれかの開始時刻と同じである場合(S420:Yes)、S430で、プロセッサ610は、特定処理S900を実行する。プロセッサ610は、
図3、
図4で説明した手順と同じ手順に従って、特定処理S900を実行する。なお、本実施例では、
図4の第1時刻T1は、S420で現在時刻と同じと判断された開始時刻を示している。
【0127】
以上のように、本実施例では、制御装置600は、1日にN回(Nは1以上の整数)、特定処理S900を実行するように構成されている。従って、特定処理S900の頻度が少ない場合(例えば、2日に1回など)と比べて、沈殿槽130内に残存する固形物の量は低減可能である。さらに、本実施例では、濾過槽140、160内に残存する固形物の量は低減可能である。
【0128】
また、制御装置600は、特定処理S900の1日の回数Nの変更をユーザに許容するように構成されている。ユーザは、排水処理装置100の状況に合わせて、特定処理S900の1日の回数Nを調整できる。例えば、ユーザは、排水処理装置100による処理済の水に含まれる固形物の濃度が十分に低い場合には、実行回数Nを低減してよい。固形物の濃度が高い場合には、ユーザは、実行回数Nを増大してよい。固形物の濃度としては、例えば、浮遊物質(SS(suspended solid)とも呼ばれる)の濃度が使用されてよい(一般的な単位は、mg/L)。
【0129】
C.第3実施例:
図9は、排水処理システムの別の実施例の概略図である。
図2の排水処理システム1000との差異は、3個のエアリフトポンプ310-330と、3個の散気装置139、149、169と、のそれぞれにバルブが設けられている点である。制御装置600の制御プログラム631bは、これらのバルブを制御するように構成されている(詳細は、後述)。排水処理システム1000bの他の部分の構成は、第1実施例の排水処理システム1000の対応する部分の構成と同じである(同じ部分については、図示と説明を省略する)。
【0130】
本実施例の排水処理システム1000bは、排水処理装置100bと、ブロワ700と、制御装置600と、を有している。排水処理装置100bは、
図1で説明した構成に加えて、8個のバルブ510a-510c、520a-520c、530、540と、管511-513、521-523、535、536、590と、を有している。
【0131】
好気ポンプ給気管535と、好気散気用給気管536と、ブロワ管590とは、
図2の実施例の管535、536、590と、それぞれ同じである。
【0132】
エアリフトポンプ310、320、330には、それぞれ、副ポンプ給気管511、512、513が接続されている。
図2の実施例とは異なり、主ポンプ給気管518は省略されている。副ポンプ給気管511、512、513は、それぞれ、ブロワ管590に接続されている。副ポンプ給気管511、512、513の流路上には、移送バルブ510a、510b、510cが、それぞれ設けられている。
【0133】
散気装置149、169、139には、それぞれ、副散気用給気管521、522、523が接続されている。
図2の実施例とは異なり、主散気用給気管528は省略されている。副散気用給気管521、522、523は、それぞれ、ブロワ管590に接続されている。副散気用給気管521、522、523の流路上には、撹拌バルブ520a、520b、520cが、それぞれ設けられている。
【0134】
移送バルブ510a-510cと撹拌バルブ520a-520cと好気バルブ530とは、それぞれ、電気的に制御可能なアクチュエータ(例えば、ソレノイド)を有している。これらのバルブ510a-510c、520a-520c、530のそれぞれのアクチュエータは、制御装置600のインタフェース690に接続されている。バルブ510a-510c、520a-520c、530は、制御装置600によって制御される。本実施例では、バルブ510a-510c、520a-520c、530のそれぞれの状態は、閉状態と開状態とのいずれかに制御される。
【0135】
図10は、水処理槽130、140、160の状態(具体的には、特定処理S900の実行状態)の変化を示すタイミングチャートである。ハッチングで示される期間は、特定処理S900の実行中の期間を示している。
図4の実施例とは異なり、制御装置600のプロセッサ610は、沈殿槽130の特定処理S900と、第1濾過槽140の特定処理S900と、第2濾過槽160の特定処理S900とを、互いに異なるタイミングで実行する。
【0136】
プロセッサ610は、予め決められた第1開始時刻T11に、沈殿槽130のための特定処理S900を開始する。沈殿槽130のための特定処理S900は、
図3の特定処理S900において、移送バルブ510を第3移送バルブ510cに、撹拌バルブ520を第3撹拌バルブ520cに、それぞれ置換して得られる処理である。濾過槽140、160のための移送バルブ510a、510bと撹拌バルブ520a、520bとのそれぞれの状態は、閉状態に維持される。このような特定処理S900により、
図5(A)-
図5(C)、
図6(A)、
図6(C)の実施例と同様に、沈殿槽130の固形物は汚泥貯留槽190へ移送される。沈殿槽130のための特定処理S900は、第1終了時刻T12(
図10)に終了する。
【0137】
第1終了時刻T12から所定の第1待機時間DT11が経過した第2開始時刻T13で、プロセッサ610は、第1濾過槽140のための特定処理S900を開始する。第1濾過槽140のための特定処理S900は、
図3の処理において、移送バルブ510を第1移送バルブ510aに、撹拌バルブ520を第1撹拌バルブ520aに、それぞれ置換して得られる処理である。第2濾過槽160と沈殿槽130とのための移送バルブ510b、510cと撹拌バルブ520b、520cとのそれぞれの状態は、閉状態に維持される。このような特定処理S900により、
図5(A)-
図5(C)、
図6(A)、
図6(C)の実施例と同様に、第1濾過槽140の固形物は汚泥貯留槽190へ移送される。第1濾過槽140のための特定処理S900は、第2終了時刻T14(
図10)に終了する。
【0138】
第2終了時刻T14から所定の第2待機時間DT12が経過した第3開始時刻T15で、プロセッサ610は、第2濾過槽160のための特定処理S900を開始する。第2濾過槽160のための特定処理S900は、
図3の処理において、移送バルブ510を第2移送バルブ510bに、撹拌バルブ520を第2撹拌バルブ520bに、それぞれ置換して得られる処理である。第1濾過槽140と沈殿槽130とのための移送バルブ510a、510cと撹拌バルブ520a、520cとのそれぞれの状態は、閉状態に維持される。このような特定処理S900により、
図5(A)-
図5(C)、
図6(A)、
図6(C)の実施例と同様に、第2濾過槽160の固形物は汚泥貯留槽190へ移送される。第2濾過槽160のための特定処理S900は、第3終了時刻T16(
図10)に終了する。
【0139】
第3終了時刻T16の後、プロセッサ610は、次回の沈殿槽130のための特定処理S900の開始時刻まで、通常運転を実行する。
【0140】
以上のように、本実施例の排水処理装置100b(
図9)は、エアリフトポンプ310、320と、散気装置149、169と、ブロワ管590と、副ポンプ給気管511、512と、移送バルブ510a、510bと、副散気用給気管521、522と、撹拌バルブ520a、520bと、を有している。第1エアリフトポンプ310は、第1濾過槽140から第1濾過槽140とは異なる水処理槽(本実施例では、汚泥貯留槽190)へ水を移送するように構成されている。第2エアリフトポンプ320は、第2濾過槽160から第2濾過槽160とは異なる水処理槽(本実施例では、汚泥貯留槽190)へ水を移送するように構成されている。第1散気装置149は、第1濾過槽140内の水を撹拌するように構成されている。第2散気装置169は、第2濾過槽160内の水を撹拌するように構成されている。ブロワ管590は、ブロワ700に接続されるべき管である。第1副ポンプ給気管511は、ブロワ管590と第1エアリフトポンプ310とを接続する第1接続管の例である。第1移送バルブ510aは、第1接続管(本実施例では、第1副ポンプ給気管511)の流路上に設けられた第1バルブの例である。第2副ポンプ給気管512は、ブロワ管590と第2エアリフトポンプ320とを接続する第2接続管の例である。第2移送バルブ510bは、第2接続管(本実施例では、第2副ポンプ給気管512)の流路上に設けられた第2バルブの例である。第1副散気用給気管521は、ブロワ管590と第1散気装置149とを接続する第3接続管の例である。第1撹拌バルブ520aは、第3接続管(本実施例では、第1副散気用給気管521)の流路上に設けられた第3バルブの例である。第2副散気用給気管522は、ブロワ管590と第2散気装置169とを接続する第4接続管の例である。第2撹拌バルブ520bは、第4接続管(本実施例では、第2副散気用給気管522)の流路上に設けられた第4バルブの例である。この構成によれば、4個のバルブ510a、510b、520a、520bによって、第1濾過槽140からの水の移送と、第2濾過槽160からの水の移送と、第1濾過槽140内の水の撹拌と、第2濾過槽160内の水の撹拌とを、容易に独立に制御できる。
【0141】
本実施例では、排水処理装置100bは、さらに、沈殿槽エアリフトポンプ330と、沈殿槽散気装置139と、第3副ポンプ給気管513と、第3移送バルブ510cと、第3副散気用給気管523と、第3撹拌バルブ520cと、を有している。沈殿槽エアリフトポンプ330は、沈殿槽130から沈殿槽130とは異なる水処理槽(本実施例では、汚泥貯留槽190)へ水を移送するように構成されている。沈殿槽散気装置139は、沈殿槽130内の水を撹拌するように構成されている。第3副ポンプ給気管513は、ブロワ管590と沈殿槽エアリフトポンプ330とを接続する。第3移送バルブ510cは、第3副ポンプ給気管513の流路上に設けられている。第3副散気用給気管523は、ブロワ管590と沈殿槽散気装置139とを接続する。第3撹拌バルブ520cは、第3副散気用給気管523の流路上に設けられている。従って、6個のバルブ510a、510b、510c、520a、520b、520cによって、水処理槽130、140、160のそれぞれからの水の移送と、水処理槽130、140、160のそれぞれの水の撹拌とを、容易に独立に制御できる。
【0142】
なお、本実施例では、沈殿槽散気装置139と、管523、と、第3撹拌バルブ520cと、の全体は、沈殿槽130内の水を撹拌するように構成された沈殿槽撹拌装置の例である(沈殿槽撹拌装置930bとも呼ぶ)。また、沈殿槽エアリフトポンプ330と、管513と、第3移送バルブ510cと、の全体は、沈殿槽130から汚泥貯留槽190へ水を移送するように構成された第2移送装置の例である(第2移送装置940bとも呼ぶ)。制御装置600は、沈殿槽撹拌装置930bと第2移送装置940bとを制御するように、構成されている。制御装置600は、上述したように、特定処理S900(
図3)を実行する。従って、第2移送装置940bの沈殿槽エアリフトポンプ330は、沈殿した固形物と浮上した固形物とを含む固形物を適切に移送できる。
【0143】
また、
図10に示すように、制御装置600は、水処理槽130、140、160のそれぞれの特定処理S900を、互いに異なる時間に実行する。夾雑物除去槽130のための処理の時間(T11-T12)と、第1濾過槽140のための処理の時間(T13-T14)と、第2濾過槽160のための処理の時間(T15-T16)とは、互いに重ならない。従って、2以上の水処理槽の特定処理S900が同じ時間に実行される場合と比べて、汚泥貯留槽190に移送される水の単位時間当りの量は、低減される。この結果、移送水によって生成される汚泥貯留槽190内の水流が弱くなるので、汚泥貯留槽190からの固形物の流出量は、低減される。
【0144】
D.第4実施例:
図11は、排水処理装置の別の実施例を示す概略図である。図中には、横から見た排水処理装置100dが示されている。本実施例の排水処理装置100dは、ボディ200dを有している。ボディ200dは、沈殿槽110d、貯留槽120d、嫌気処理槽130d、好気処理槽140d、処理水槽150d、消毒槽160dを、収容している。本実施例では、水処理槽110d-160dは、ボディ200d内で、水処理槽120d、110d、130d、140d、150d、160dの順に並んでいる。ボディ200dは、これらの水処理槽110d-160dを形成する複数の壁(仕切壁201d-205dを含む)を有している。
【0145】
排水処理装置100dへ流入した排水は、移送管115dによって、沈殿槽110dへ導かれる。沈殿槽110dは、固形物を沈殿分離する水処理槽である。沈殿槽110dは、流入バッフル111dと、移流バッフル112dと、散気装置119dとを、有している。沈殿槽110dは、
図1の沈殿槽130の構成と類似する構成を有している。移送管115dからの水は、流入バッフル111dに囲まれる領域に流入する。移流バッフル112dは、沈殿槽110d内の水を、上方に向かって移動させて、下流側の水処理槽(本実施例では、嫌気処理槽130d)へ導く。本実施例では、移流バッフル112dに囲まれる領域の水は、水処理槽110d、130dの間の第2仕切壁202dに形成された開口113dを通じて、嫌気処理槽130dへ流入する。沈殿槽110d内では、固形物が沈殿分離される。散気装置119dは、気泡を吐出するための複数の孔を有しており、沈殿槽110dの下部に配置されている(以下、沈殿槽散気装置119dと呼ぶ)。沈殿槽散気装置119dは、沈殿槽110d内の水を撹拌するために使用される(詳細は、後述)。
【0146】
嫌気処理槽130dは、嫌気性微生物による排水の嫌気処理を行う水処理槽である。嫌気処理槽130dは、流入バッフル131dと、嫌気性微生物を保持するための嫌気濾床138dと、を有している。嫌気濾床138dは、板部、網部などの種々の形状の部分を有してよい。開口113dからの水は、流入バッフル131dによって、嫌気濾床138dよりも低い部分に導かれる。水は、嫌気濾床138dを通って、上方へ移動する。嫌気濾床138dに保持された嫌気性微生物は、嫌気濾床138dを通る水の嫌気処理を行う。嫌気処理された水は、水処理槽130d、140dの間の第3仕切壁203dに形成された開口133dを通じて、好気処理槽140dへ流入する。
【0147】
好気処理槽140dは、好気性微生物による排水の好気処理を行う水処理槽である。好気処理槽140dは、好気性微生物を保持するための好気濾床148dと、好気濾床148dよりも低い位置に配置された散気装置149dと、を有している。好気濾床148dは、板部、網部などの種々の形状の部分を有してよい。散気装置149dは、気泡を吐出するための複数の孔を有している。散気装置149dには、図示しないブロワによって空気が供給される。散気装置149dから吐出される気泡は、好気処理槽140d内の水を撹拌し、水に酸素を供給する。好気濾床148dに付着する好気性微生物は、酸素を使用して、好気処理を行う。以下、散気装置149dを、好気散気装置149dとも呼ぶ。水処理槽140d、150dの間の第4仕切壁204dは、底部に位置する開口143dを形成している。好気処理済の水は、開口143dを通じて処理水槽150dへ流入する。
【0148】
処理水槽150dは、水を一時的に貯留する水処理槽である。開口143dを通じて処理水槽150dへ流入した水は、処理水槽150d内を上方に向かって移動する。水に含まれる固形物は、下降して、底部に堆積する。水面まで上昇した水は、水処理槽150d、160dの間の第5仕切壁205dに形成された開口153dを通じて、消毒槽160dへ流入する。
【0149】
消毒槽160dは、消毒剤161dを有しており、消毒槽160dへ流入した水を、消毒剤161dによって消毒する。消毒された水は、ボディ200dに形成された開口163dを通じて、排水処理装置100dの外へ移送される。
【0150】
排水処理装置100dは、2個のエアリフトポンプ310d、320dを有している。移送エアリフトポンプ310dは、沈殿槽110dのうちの下方側の部分110dLに配置された吸引口311dを有している。下方側の部分110dLは、中間水位WLMd以下の部分である。中間水位WLMdは、沈殿槽110dの通常運転時の水位WL1dの半分の水位である。移送エアリフトポンプ310dは、沈殿槽110dの底部から、貯留槽120dの上部へ、水を移送する。沈殿槽110dの底部に堆積した固形物は、移送エアリフトポンプ310dによって、貯留槽120dへ移送される。
【0151】
循環エアリフトポンプ320dは、処理水槽150d内の底部に配置された吸引口321dを有している。循環エアリフトポンプ320dは、処理水槽150dの底部から、沈殿槽110dへ、水を移送する。循環エアリフトポンプ320dからの水は、流入バッフル111dに囲まれる領域に流入する。処理水槽150dの底部に堆積した固形物は、循環エアリフトポンプ320dによって、沈殿槽110dへ移送される。
【0152】
貯留槽120dは、濾材121dを有している。濾材121dは、板部、網部などの種々の形状の部分を有してよい。貯留槽120dへ移送された水に含まれる固形物は、下降して、濾材121dへ到達し得る。濾材121dは、固形物を捕捉し得る。濾材121dに捕捉されなかった固形物は、貯留槽120dの底部に堆積し得る。このように、貯留槽120dでは、固形物が分離される。水処理槽110d、120dの間の第1仕切壁201dは、貯留槽120dの水面の位置に設けられた開口123dを形成している。固形物が分離された水は、開口123dを通じて、沈殿槽110dへ流入する。開口123dからの水は、流入バッフル111dに囲まれる領域に流入する。
【0153】
図12は、本実施例の排水処理システム1000dの概略図である。排水処理システム1000dは、排水処理装置100dと、ブロワ700dと、制御装置600と、を有している。ブロワ700dは、ブロワ700(
図2)と同様に、種々のポンプを含んでよい。排水処理装置100dは、
図11で説明した構成に加えて、4個のバルブ510d-540dと、管513d、523d、535d、536d、590dと、を有している。
【0154】
管590dは、ブロワ700dに接続されるべき管である(ブロワ管590dとも呼ぶ)。ブロワ管590dには、排水処理装置100dの外部に設けられた外管710dを介して、ブロワ700dが接続されている。ブロワ700dは、空気をブロワ管590dに供給する。
【0155】
移送エアリフトポンプ310dには、ポンプ給気管513dが接続されている。ポンプ給気管513dは、ブロワ管590dに接続されている。ポンプ給気管513dの流路上には、移送バルブ510dが設けられている。
【0156】
沈殿槽散気装置119dには、散気用給気管523dが接続されている。散気用給気管523dは、ブロワ管590dに接続されている。散気用給気管523dの流路上には、撹拌バルブ520dが設けられている。
【0157】
好気散気装置149dには、好気散気用給気管536dが接続されている。好気散気用給気管536dは、ブロワ管590dに接続されている。好気散気用給気管536dの流路上には、好気バルブ530dが設けられている。
【0158】
循環エアリフトポンプ320dには、好気ポンプ給気管535dが接続されている。好気ポンプ給気管535dは、好気散気用給気管536dのうちの好気散気装置149dと好気バルブ530dとの間の部分に接続されている。好気ポンプ給気管535dの流路上には、循環バルブ540dが設けられている。循環バルブ540dは、手動バルブである。ユーザ(例えば、排水処理システム1000dの管理者)は、循環バルブ540dの開度を調整することによって、循環エアリフトポンプ320dによる単位時間当りの移送水量を調整できる。
【0159】
バルブ510d、520d、530dは、それぞれ、電気的に制御可能なアクチュエータ(例えば、ソレノイド)を有している。バルブ510d、520d、530dは、制御装置600によって制御される。バルブ510d、520d、530dのそれぞれの状態は、閉状態と開状態とのいずれかに制御される。
【0160】
制御装置600のハードウェア構成は、
図2の制御装置600のハードウェア構成と同じである。不揮発性記憶装置630は、制御プログラム631dを格納している。プロセッサ610は、制御プログラム631dに従って、バルブ510d、520d、530dを制御する。
【0161】
本実施例では、バルブ510d、520d、530dの制御処理は、
図3の制御処理において、バルブ510、520、530をバルブ510d、520d、530dにそれぞれ置換して得られる処理である。
【0162】
通常運転(S100)では、好気散気装置149d(
図11、
図12)と循環エアリフトポンプ320dとが動作する。沈殿槽散気装置119dと移送エアリフトポンプ310dとは、停止している。
【0163】
第1移送処理S120では、好気散気装置149dと循環エアリフトポンプ320dと沈殿槽散気装置119dとは停止している。移送エアリフトポンプ310dは、沈殿槽110dから貯留槽120dへ水を移送する。これにより、沈殿槽110dの水位は低下し得る。例えば、貯留槽120d内において、水が濾材121dを通り抜けるために要する時間が長い場合には、沈殿槽110dの水位は低下する。なお、貯留槽120dに移送された水が、容易に、沈殿槽110dへ戻ることができる場合、水位の変化は小さい。
【0164】
撹拌処理S140では、移送エアリフトポンプ310dは停止している。沈殿槽散気装置119dは、沈殿槽110d内の水を撹拌する。これにより、水処理槽110dでは、浮上した固形物と沈殿した固形物とが撹拌される。
【0165】
沈殿処理S160では、沈殿槽散気装置119dと移送エアリフトポンプ310dとは、停止している。沈殿槽110dでは、水は静置される。この結果、沈殿槽110dでは、撹拌された固形物が底部に沈殿する。なお、好気バルブ530dの状態が開状態であるので、ブロワ700dは、適切に動作を継続できる(好気散気装置149dと循環エアリフトポンプ320dとは、通常運転と同様に、動作する)。
【0166】
第2移送処理S180では、移送エアリフトポンプ310dは、沈殿槽110dから貯留槽120dへ水を移送する。これにより、沈殿槽110dの底部に沈殿した固形物は、貯留槽120dへ移送される。
【0167】
以上のように、本実施例の排水処理装置100d(
図11)は、固形物を濾過せずに固形物を沈殿させるように構成された沈殿槽110dと、固形物を貯留するように構成された貯留槽120dと、を含む複数の水処理槽110d-160dを有している。
【0168】
沈殿槽110d(
図11)内には、沈殿槽110d内の水を撹拌するための沈殿槽散気装置119dが配置されている。
図12に示すように、沈殿槽散気装置119dには、散気用給気管523dが接続されている。散気用給気管523dの流路上には、撹拌バルブ520dが設けられている。沈殿槽散気装置119dによる水の撹拌は、撹拌バルブ520dによって制御可能である。沈殿槽散気装置119dと、散気用給気管523dと、撹拌バルブ520dと、の全体は、沈殿槽110d内の水を撹拌するように構成された撹拌装置の例である(撹拌装置930dとも呼ぶ)。
【0169】
移送エアリフトポンプ310d(
図11)は、沈殿槽110d内に配置された吸引口311dを有している。
図12に示すように、移送エアリフトポンプ310dには、ポンプ給気管513dが接続されている。ポンプ給気管513dの流路上には、移送バルブ510dが設けられている。移送エアリフトポンプ310dによる水の移送は、移送バルブ510dによって制御可能である。移送エアリフトポンプ310dとポンプ給気管513dと移送バルブ510dとの全体は、沈殿槽110dから貯留槽120dへ水を移送するように構成された移送装置の例である(移送装置940dとも呼ぶ)。
【0170】
排水処理システム1000d(
図12)は、撹拌装置930dと移送装置940dとを制御するように構成された制御装置600を有している。上述したように、制御装置600は、
図3のフローチャートに基づいて、特定処理S900を実行するように構成されている。特定処理S900は、撹拌処理S140と移送処理S180とを含んでいる。本実施例では、撹拌処理S140は、撹拌装置930dに沈殿槽110d内の水を撹拌させる撹拌処理を含んでいる。移送処理S180は、撹拌処理S140の後に、移送装置940dに、沈殿槽110dから貯留槽120dへ固形物を含む水を移送させる移送処理を含んでいる。この構成によれば、沈殿槽110d内で沈殿した固形物と浮上した固形物とは、撹拌処理S140によって撹拌される。そして、撹拌処理S140の後に移送処理S180が行われる。従って、移送装置940dは、沈殿した固形物と浮上した固形物とを含む固形物を適切に移送できる。また、沈殿槽110dは、作業者による沈殿槽110dの清掃(例えば、排水処理装置100dの外への固形物の引き抜き)が無くても、固形物の分離を継続できる。
【0171】
本実施例では、撹拌装置930dと移送装置940dとの制御は、第1実施例の制御と同様に行われる。従って、本実施例の排水処理システム1000dは、排水処理システム1000と同様に、種々の利点を有する。例えば、移送装置940dの移送エアリフトポンプ310dは、沈殿槽110dのうちの下方側の部分110dLに配置された吸引口311dを有している。特定処理S900は、撹拌処理S140の後、かつ、第2移送処理S180の前に行われる沈殿処理S160を含んでいる。沈殿処理S160は、撹拌装置930dによる撹拌と移送装置940dによる移送との両方を停止することによって沈殿槽110d内で固形物を沈殿させる沈殿処理を含んでいる。この構成によれば、移送装置940dの移送エアリフトポンプ310dは、第2移送処理S180において、固形物の高い濃度を有する水を移送できる。従って、1回の第2移送処理S180での移送エアリフトポンプ310dによる合計移送水量を、低減できる。合計移送水量が少ない場合、合計移送水量が多い場合と比べて、移送水によって生成される貯留槽120d内の水流が弱くなる。従って、貯留槽120dからの固形物の流出量は、低減される。
【0172】
また、制御装置600は、1日に1回、特定処理S900を実行するように構成されている。従って、特定処理S900の頻度が少ない場合と比べて、沈殿槽110d内に残存する固形物の量は低減可能である。
【0173】
制御装置600の制御プログラム631dは、スケジュール決定処理(
図7)とスケジュール実行処理(
図8)とを実行するように構成されてよい。この場合、制御装置600は、1日にN回(Nは1以上の整数)、特定処理S900を実行する。従って、沈殿槽110d内に残存する固形物の量は、適切に、低減可能である。また、制御装置600は、特定処理S900の1日の回数Nの変更をユーザに許容する。ユーザは、排水処理装置100dの流入負荷に合わせて、特定処理S900の1日の回数Nを調整できる。
【0174】
特定処理S900(
図3)は、撹拌処理S140の前に実行される第1移送処理S120を含んでいる。第1移送処理S120は、移送装置940d(
図12)に、沈殿槽110dから貯留槽120dへ水を移送させる処理を含んでいる。この構成によれば、水の移送によって沈殿槽110dの水位が下がり得る。そして、水位が下がった状態で沈殿槽110dの撹拌処理(撹拌処理S140)が行われ得る。従って、撹拌処理において沈殿槽110dから固形物が溢れる可能性は低減される。
【0175】
図11に示すように、排水処理装置100dの水処理槽110d-160dは、沈殿槽110dを含んでいる。排水処理装置100dは、開口123dを形成する仕切壁201dを有している。開口123dは、貯留槽120dと沈殿槽110dとを接続する流路の例である。貯留槽120dに移送された水は、固形物の分離の後、開口123dを通じて沈殿槽110dへ流入する。従って、貯留槽120dから排水処理装置100dの外へ水が溢れる可能性は、低減される。なお、貯留槽120dからの水が流入する沈殿槽110dは、「沈殿槽と、沈殿槽よりも上流側に配置された水処理槽と、のいずれかである対象槽」の例である。
【0176】
図11に示すように、排水処理装置100dの複数の水処理槽110d-160dは、沈殿槽110dよりも下流側に配置された好気処理槽140dを含んでいる。好気処理槽140dへは、沈殿槽110dによって固形物が分離された水が、流入する。これにより、好気処理槽140dの負荷が軽減されるので、好気処理槽140dは、適切に、好気処理を実行できる。このように、排水処理装置100dは、適切に、排水を処理できる。
【0177】
E.変形例:
(1)制御装置600は、特定処理S900(
図3)に関連して、種々の処理を実行してい。例えば、特定処理S900(
図3)の1日の実行回数Nは、1以上の任意の整数であってよい。N回の特定処理S900のそれぞれの開始時刻は、ユーザによって決定されずに、予め決められてよい。
図9、
図10の実施例に、
図7、
図8の処理が適用されてよい。この場合、
図7の処理では、制御装置600は、N回の特定処理のためのN個の第1開始時刻T11(
図10)の決定を、ユーザに許容してよい。制御装置600は、
図4の継続時間DT1、DT2、DT3、DT4のそれぞれの調整を、ユーザに許容してよい。制御装置600は、
図10の待機時間DT11、DT12のそれぞれの調整を、ユーザに許容してよい。
図10の実施例において、水処理槽130、140、160の特定処理の順番は、他の任意の順番でよい。例えば、制御装置600は、第2濾過槽160、第1濾過槽140、沈殿槽130の順番に、特定処理を実行してよい。制御装置600は、沈殿処理S160で、ブロワ700、700dを停止してよい。
【0178】
(2)濾過槽や沈殿槽などの固形物を分離する水処理槽から固形物を含む水を他の水処理槽へ移送する処理は、特定処理S900(
図3)に代えて、他の種々の処理であってよい。例えば、S120、S140、S160から任意に選択された1以上の処理が、省略されてよい。
【0179】
(3)第1濾過槽140(
図1)の複数の第1担体148の構成は、固形物を捕捉可能な任意の構成であってよい。例えば、第1担体148は、樹脂製のスポンジであってよい。撹拌処理S140(
図3)で固形物を第1担体148から引き離すためには、水が流動する場合に、複数の第1担体148が水とともに流動することが好ましい。例えば、第1担体148の比重が1よりも大きい場合に、比重が小さいほど、第1担体148は流動し易い。なお、第1担体148の比重は、水が流動する場合に第1担体148が流動しないほどに、大きくてもよい。また、第1担体148の比重は、1未満であってもよい。この場合、第1濾過槽140は、複数の第1担体148の上方への移動を防止するための部材(例えば、網状の蓋部材)を有することが好ましい。以上の第1濾過槽140と嫌気濾床138dとに関する説明は、第2濾過槽160と第2濾過担体168とに適用されてよい。
【0180】
(4)第2濾過槽160(
図1)の第2担体168は、第1濾過槽140の第1担体148とは異なる担体であってよい。例えば、第1担体148と第2担体168との間で、大きさ、形状、比重、材料などの1以上のパラメータが、異なってよい。例えば、第2担体168の大きさは、第1担体148の大きさよりも小さくてよい。この場合、第2濾過担体168は、小さい固形物を容易に捕捉できる。また、この場合、複数の第2担体168の体積V2は、複数の第1担体148の体積V1よりも、小さくてよい。
【0181】
(5)濾過槽140、160の構成は、上記の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、第1濾過槽140の第1濾過部147は、複数の担体148に代えて、網部などの濾過槽に固定されたフィルタを有してよい。第2濾過槽160の第2濾過部167も、同様に、フィルタを有してよい。第2濾過槽160のフィルタは、第1濾過槽140のフィルタよりも細かいことが好ましい。いずれの場合も、濾過槽140、160は、通常運転時に、水が、濾過部147、167を通って下方へ移動するように、構成されてよい。
【0182】
(6)排水処理装置の構成は、
図1、
図2、
図9、
図11の排水処理装置100、100b、100dの構成に限らず、他の種々の構成であってよい。例えば、排水処理装置の構成は、第1濾過槽(例えば、第1濾過槽140(
図1))と、第1濾過槽の下流側に配置された好気処理槽(例えば、好気濾床槽150)と、好気処理槽の下流側に配置された第2濾過槽(例えば、第2濾過槽160)と、を含む複数の水処理槽を備える種々の構成であってよい。ここで、好気処理槽は、固定床を有することが好ましい。
【0183】
好気濾床槽150(
図1)の上流側の構成は、第1濾過槽140を含む任意の構成であってよい。例えば、水処理槽110、120、130、190から任意に選択された1以上の水処理槽が、省略されてよい。また、夾雑物除去槽130と第1濾過槽140との間、または、第1濾過槽140と好気濾床槽150との間に、嫌気処理槽130d(
図11)が設けられてよい。
【0184】
循環エアリフトポンプ340は、水を、好気濾床槽150よりも上流側の任意の水処理槽、または、汚泥貯留槽190へ移送してよい。例えば、循環エアリフトポンプ340は、水を、流量調整槽120、汚泥貯留槽190、夾雑物除去槽130、上記の嫌気処理槽、のいずれかに移送してよい。同様に、第1エアリフトポンプ310は、水を、第1濾過槽140よりも上流側の任意の水処理槽、または、汚泥貯留槽190へ移送してよい。第2エアリフトポンプ320は、水を、第2濾過槽160よりも上流側の任意の水処理槽、または、汚泥貯留槽190へ移送してよい。沈殿槽エアリフトポンプ330は、沈殿槽130よりも上流側の任意の水処理槽、または、汚泥貯留槽190へ移送してよい。
【0185】
好気濾床槽150(
図1)の下流側の構成は、第2濾過槽160を含む任意の構成であってよい。例えば、好気濾床槽150と第2濾過槽160との間、または、第2濾過槽160と消毒槽170との間に、水を一時的に貯留する処理水槽が設けられてよい。循環エアリフトポンプ340は、この処理水槽から水を移送してよい。
【0186】
排水処理装置は、第2エアリフトポンプ320(
図1)と循環エアリフトポンプ340とに限らず、第1対象槽から第2対象槽へ水を移送するように構成された種々の対象移送装置を有してよい。ここで、第1対象槽は、好気処理槽(例えば、好気濾床槽150)と、好気処理槽よりも下流側に配置された水処理槽(例えば、第2濾過槽160、上記の処理水槽のいずれか)と、のいずれかである。第2対象槽は、第1濾過槽(例えば、第1濾過槽140)と、第1濾過槽よりも上流側に配置された水処理槽(例えば、水処理槽110、120、130、上記の嫌気処理槽のいずれか)と、固形物を貯留するための貯留槽(例えば、汚泥貯留槽190)と、嫌気処理槽と、のうちのいずれである。なお、このような対象移送装置は、省略されてよい。例えば、循環エアリフトポンプ340は、省略されてよい。
【0187】
(7)排水処理装置の構成は、沈殿槽と貯留槽とを含む複数の水処理槽と、沈殿槽内の水を撹拌するように構成された撹拌装置と、沈殿槽から貯留槽へ水を移送するように構成された移送装置と、を備える種々の構成であってよい。ここで、沈殿槽は、固形物を濾過せずに固形物を沈殿させるように構成された水処理槽である(例えば、沈殿槽130(
図1)、沈殿槽110d(
図11))。貯留槽は、固形物を貯留するように構成された水処理槽である(例えば、汚泥貯留槽190(
図1)、貯留槽120d(
図11))。例えば、
図1の排水処理装置100のうち、水処理槽110、120、140、150、160、170、180から任意に選択された1以上の水処理槽が、省略されてよい。また、
図11の排水処理装置100dのうち、水処理槽130d-160dから任意に選択された1以上の水処理槽が、省略されてよい。
【0188】
なお、沈殿槽の構成は、流入バッフル(例えば、流入バッフル131、111d(
図1、
図11)と、移流バッフル(例えば、移流バッフル132、112d(
図1、
図11))を有する構成に限らず、固形物を沈殿させることが可能な種々の構成であってよい。例えば、流入バッフルと移流バッフルとの一方または両方が省略されてよい。沈殿槽は、上部に水が流入し、底部に設けられた開口から水が流出するように、構成されてよい。沈殿槽は、底部に設けられた開口から水が流入し、水面の位置に設けられた開口から水が流出するように、構成されてよい。沈殿槽は、固形物を移流させずに水を移流させる堰を有してよい。貯留槽の構成は、流入バッフル191(
図1)と移流バッフル192を有する構成と、濾材121d(
図11)を有する構成と、に代えて、固形物を貯留可能な種々の構成であってよい。例えば、汚泥貯留槽190(
図1)の流入バッフル191と移流バッフル192との一方または両方が省略されてよい。貯留槽120d(
図11)の濾材121dは、省略されてよい。貯留槽120dに、流入バッフルと移流バッフルとの一方、または、両方が設けられてよい。貯留槽は、上部に水が流入し、底部に設けられた開口から水が流出するように、構成されてよい。貯留槽は、底部に設けられた開口から水が流入し、水面の位置に設けられた開口から水が流出するように、構成されてよい。貯留槽は、固形物を移流させずに水を移流させる堰を有してよい。貯留槽は、上記の汚泥貯留槽190(
図1)、貯留槽120d(
図11)のように、沈殿槽から貯留槽へ水を移送するための処理(例えば、
図3の特定処理S900)が行われていない状態で、水が流入しない水処理槽であることが好ましい。ただし、貯留槽は、沈殿槽から貯留槽へ水を移送するための処理が行われていない状態で、排水処理のために水が流入する水処理槽であってよい。
【0189】
また、通常運転時の沈殿槽の水位は、排水処理装置に流入する排水の単位時間当りの量の変動に応じて、変動してよい。この場合、沈殿槽のうちの下方側の部分(例えば、部分130L(
図1)110dL(
図11))は、沈殿槽の設計上の最高水位の半分の水位以下の部分であってよい。
【0190】
いずれの場合も、制御装置600は、撹拌処理と、移送処理と、を含む特定処理を実行するように構成されていることが好ましい。ここで、撹拌処理は、撹拌装置に沈殿槽内の水を撹拌させる処理である。移送処理は、撹拌処理の後に、移送装置に、沈殿槽から貯留槽へ固形物を含む水を移送させる処理である。これにより、沈殿槽は、作業者による沈殿槽の清掃(例えば、排水処理装置の外への固形物の引き抜き)が無くても、固形物の分離を継続できる。
【0191】
(8)好気処理槽に設けられる固定床は、好気処理槽を形成する壁に固定された種々の部材であってよい。なお、好気処理槽は、水とともに流動する複数の担体を有してよい。
【0192】
(9)排水処理装置は、2つの水処理槽を接続する種々の流路を有する。例えば、第2仕切壁202(
図1)に形成された開口193は、汚泥貯留槽190と流量調整槽120とを接続する流路の例である。流路を形成する流路形成部は、第2仕切壁202などの壁に限らず、管や樋などの任意の部材であってよい。
【0193】
(10)水を移送する装置は、エアリフトポンプに代えて、他の種類のポンプを含んでよい(例えば、電気ポンプ)。また、水処理槽内の水を撹拌する装置は、散気装置に代えて、他の種類の装置を含んでよい。例えば、スクリューとスクリューを回転させるモータとを有する撹拌装置が採用されてよい。また、水処理槽内の第1位置から第2位置へ水を移送するポンプが採用されてよい。
【0194】
(11)ボディ内の複数の水処理槽の配置は、任意の配置であってよい。例えば、2以上の水処理槽が、ボディの幅方向に並んで配置されてよい。また、複数の水処理槽は、複数個のボディに分散して設けられてよい。このように、排水処理装置は、複数のボディを有してよい。
【0195】
(12)制御装置600(
図2、
図12)は、PLCに代えて、種々のコンピュータであってよい(例えば、パーソナルコンピュータ)。
【0196】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、制御装置600は、
図3の特定処理S900の機能を実行する専用のハードウェア回路を含んでよい。
【0197】
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
【0198】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0199】
100、100b、100d…排水処理装置、110…ばっ気型スクリーン、110d…沈殿槽、111…スクリーン、111d…流入バッフル、112d…移流バッフル、113、113d…開口、115d…移送管、119d…散気装置(沈殿槽散気装置)、120…流量調整槽、120d…貯留槽、121…ポンプ、121d…濾材、122…計量調整装置、123…移送管、123d…開口、130…沈殿槽(夾雑物除去槽)、130d…嫌気処理槽、131、131d…流入バッフル、132…移流バッフル、133、133d…開口、138d…嫌気濾床、139…沈殿槽散気装置、140…第1濾過槽、140d…好気処理槽、141…流入バッフル、143、143d…開口、146…第1支持部、147…第1濾過部、148…第1担体(第1濾過担体)、148d…好気濾床、149…第1散気装置、149d…好気散気装置、150…好気濾床槽、150d…処理水槽、153、153d…開口、158…濾床、159…好気散気装置、160…第2濾過槽、160d…消毒槽、161…流入バッフル、161d…消毒剤、163、163d…開口、166…第2支持部、167…第2濾過部、168…第2担体(第2濾過担体)、169…第2散気装置、170…消毒槽、171…消毒剤、173…開口、180…放流ポンプ槽、181…放流ポンプ、190…汚泥貯留槽、191…流入バッフル、192…移流バッフル、193…開口、200、200d…ボディ、201、201d…第1仕切壁、202、202d…第2仕切壁、203、203d…第3仕切壁、204、204d…第4仕切壁、205、205d…第5仕切壁、206…第6仕切壁、207…第7仕切壁、208…第8仕切壁、310…第1エアリフトポンプ、310d…移送エアリフトポンプ、311…第1吸引口、311d…吸引口、320…第2エアリフトポンプ(対象移送装置)、320d…循環エアリフトポンプ、321…第2吸引口、321d…吸引口、330…沈殿槽エアリフトポンプ、331…第3吸引口、340…循環エアリフトポンプ、341…吸引口、390…移送管、431、432、433、441、461…固形物、510…第1バルブ(移送バルブ)、510a…第1移送バルブ、510b…第2移送バルブ、510c…第3移送バルブ、510d…移送バルブ、511…第1副ポンプ給気管、512…第2副ポンプ給気管、513…第3副ポンプ給気管、513d…ポンプ給気管、517…ポンプ接続管、518…主ポンプ給気管、519…第1接続管、520…第2バルブ(撹拌バルブ)、520a…第1撹拌バルブ、520b…第2撹拌バルブ、520c…第3撹拌バルブ、520d…撹拌バルブ、521…第1副散気用給気管、522…第2副散気用給気管、523…第3副散気用給気管、523d…散気用給気管、527…散気接続管、528…主散気用給気管、529…第2接続管、530、530d…好気バルブ、535、535d…好気ポンプ給気管、536、536d…好気散気用給気管、540、540d…循環バルブ、590、590d…ブロワ管、600…制御装置、610…プロセッサ、620…揮発性記憶装置、630…不揮発性記憶装置、631、631b、631d…制御プログラム、640…出力装置、650…入力装置、690…インタフェース、700、700d…ブロワ、710、710d…外管、910…第1移送装置、920…撹拌装置、930、930b…沈殿槽撹拌装置、930d…撹拌装置、940、940b…第2移送装置、940d…移送装置、1000、1000b、1000d…排水処理システム